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アフターサービスとは?コールセンターの専門家が重要性を徹底解説

「アフターサービスってどういうものなのか詳しく理解したい」
「アフターサービスを自社に導入するべきか判断したい」
とお考えではありませんか?

アフターサービスとは商品の購入後の顧客に提供するサービスのことです。
保証期間内に商品を修理してくれるサービスは、一般的に多くの企業が行っているアフターサービスであり、あなたも利用したことがあるのではないでしょうか。

アフターサービスを提供することで他社との差別化を図ることができ、リピート購入やアップセル・クロスセルを顧客に促し、企業の利益向上に貢献します。

ただしアフターサービスはただ導入すればいいというものではありません。
質の低いアフターサービスを導入してしまうと、むしろ逆効果となり顧客が離れていってしまう可能性があるのです。

そこでこの記事では、アフターサービスの基礎知識や導入・強化するべき理由からアフターサービスを導入・強化する際の注意点まで詳しく解説していきます。

・アフターサービスとは
・アフターサービスの一般的な内容
・近年のアフターサービス事情「次世代アフターサービス」について
・アフターサービスを導入・強化するべき理由
・アフターサービスのメリット
・アフターサービスを導入した企業の成功事例
・アフターサービスを導入・強化するうえで注意点

本記事を読むことで、アフターサービスがどういうものかわかります。そして導入・強化の必要性を理解し、アフターサービスを提供する際の注意点や質を高める方法などを知って、CX向上に向けて一歩を踏み出せるようになります。

ぜひ最後までお読みください。

目次 [非表示]

1.アフターサービスとは

まずはアフターサービスの基礎知識について、以下を解説します。

・アフターサービスとは
・アフターサービスの一般的な内容
・近年では「次世代アフターサービス」が注目されている

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1.アフターサービスとは商品購入後の顧客に提供するサービスのこと

アフターサービスとは、商品を購入した後の顧客に提供するサービスのことです。

一般的に、保証期間内であれば企業が商品の修理・保守点検をしたり、問い合わせ対応を行ったりするサービスが提供されています。

アフターサービスの狙いは、購入後もサービスを提供し顧客との関係を長く続けることによって、継続して購入してもらったり、別の商品の購入につなげたりして利益を向上させることです。

アフターサービスを行うことで顧客にとって「商品の提供者」という位置づけから、顧客との継続的な関係を築く「パートナー」となることができます。長期的な関係を築き上げることで、顧客が商品や対応に満足し、将来的に購買意欲が高まるよう促しているのです。

このように、アフターサービスは購入後の顧客に対してサービスを提供し続け、リピートや別商品の購入につなげ、自社の利益向上に貢献するサービスなのです。

1-2.アフターサービスの一般的な内容

一般的なアフターサービスの内容には、以下5つが挙げられます。

・使用方法などのアドバイス・レクチャー
・クレーム・問い合わせ対応
・商品の設置・組立の代行
・商品の返品・修理・交換
・部品や消耗品の交換・充填・提供

それぞれ詳しく見ていきましょう。

使用方法などのアドバイス・レクチャー

1つめは使用方法などのアドバイス・レクチャーです。

商品を購入したものの、「使い方がわからない」「うまく使いこなせない」「もっと有効な活用方法を知りたい」と感じる顧客もいます。そこで購入後に使用方法のアドバイスやレクチャーを行うことで、購入後の顧客との関係を良好にし、将来的なリピート購入・別商品購入の可能性を高めているのです。

以下のように複雑な操作が必要となるものは、アフターサポートとして使用方法のアドバイスサービスを提供していることがあります。

【複雑な操作をともなう機器例】

・パソコン
・パソコンソフト
・スマートフォン
・インターネットサービス
・その他電子機器類

例えば、各種携帯キャリア会社がスマートフォン購入者に対して無料で使い方セミナーを実施することがあります。

スマートフォンも新しい機能が追加されていき、使い方もあわせて複雑化していますので、スマートフォンを購入したものの、機能を使いこなせていない顧客のために、以下の内容をレクチャーするというものです。

・画面操作の仕方
・写真の撮り方、送り方
・アプリのダウンロード方法、使い方  など

こうした使用方法のアドバイス・レクチャーの実施は、購入後の顧客と関係を継続させることができます。そして顧客が別の商品の購入を検討したり、同じ商品をリピート購入したりする際に、自社で購入してもらえる可能性を高めることができるのです。

そのため、一般的に使用方法のアドバイスやレクチャーはアフターサービスとして実施されています。

クレーム・問い合わせ対応

2つめは商品に関する顧客の不満や疑問を解決するクレーム・問い合わせ対応です。
電話・メール・チャット・チャットボット・問い合わせフォーム・SNSなど様々なチャネルを使って、クレームや問い合わせの対応を行います。

このアフターサービスには、顧客からストレスや疑問を取り除くことで、顧客との関係を良好に維持する目的があります。

ある顧客のもとに「A社のお皿を購入したら、ヒビの入っているものが届いた」場合、対応する部署がなければ、顧客のストレスは取り除かれる機会はありません。A社に対する怒りや不満を感じたままになってしまいます。

この場合、この顧客は二度とA社で商品を購入することはないでしょう。そればかりか、インターネットやSNSでA社の悪い口コミを投稿する可能性もあります。

このように顧客との関係が悪化しないよう、購入後でもアフターサービスを提供することで、顧客との関係を良好にしているのです。

商品の設置・組立

3つめは商品の設置・組立です。

購入後の商品設置や、組み立ての手間を省ける点は顧客にとって魅力的であるため、購入を促進する効果を狙ってアフターサービスとして取り入れられています。

エアコンや洗濯機、ベッド、ダイニングテーブルなど、個人で設置や組立が簡単ではない商品を提供している企業には、設置・組立をアフターサービスとしている企業が多い傾向にあります。

自社商品の購入を決断してもらうために、アフターサービスを取り入れているケースもあるのです。

商品の返品・修理・交換

4つめは商品の返品・修理・交換です。
購入後の商品に不具合が発生すると、顧客はストレスや不満を感じてしまいます。

そこで保証期間内であれば返品や修理、交換できるサービスを提供することで、顧客との関係を良好に維持することができるのです。

家電などの電気製品については、商品に不具合が発生すると保証期間内であれば修理や交換を行い、顧客との関係を維持している企業も多いでしょう。また、自動車や住宅を販売している企業では、保証期間内での定期点検やメンテナンスを行っている企業もあります。

商品の返品、修理、交換によって購入後も顧客との関係を良好に保ち、リピート購入や別商品の購入へとつなげています。

部品や消耗品の交換・充填・提供

5つめは部品や消耗品の交換・充填・提供です。
商品の部品や消耗品の交換などを行うことで自社商品を長く使用してもらい、顧客との関係維持を図るという狙いがあります。

スマートフォンを例に考えてみましょう。

スマートフォンのバッテリーの消費が激しくなってしまった場合、スマートフォン自体を買い替える人は多くいます。買い替え時に、再び自社で購入してもらえれば問題はありませんが、他社へ乗り換えてしまう可能性もあるでしょう。

そこで「バッテリー交換」を行うことで、顧客との関係を維持することができ、スマホを再購入する際には、再び自社で購入してもらえる可能性が高くなります。

こうして顧客との関係が維持できればリピート購入や別商品の購入をしてもらうという狙いがあるのです。

1-3.近年では「次世代アフターサービス」が注目されている

1-2.アフターサービスの一般的な内容」で、一般的によく行われているアフターサービスをご紹介しましたが、近年では以下のような「次世代アフターサービス」も重視されています。

①予防保全
商品の稼働データをもとに、累積稼働時間を把握することで、予防保全措置を提供する。

②故障予知
温度上昇や振動発生などの異常を早期察知し、AIによる機械学習や深層学習を使ってデータ解析することで、故障を予知。商品が故障する前に修理する。

③コンサルティングやセールス
稼働データ等を活用したコンサルティングや提案型セールスを行う。
例えば、商品から収集したデータをもとにして、顧客の生産プロセス全体を把握し、工程全体の最適化(効率化)をするにはどうすればいいのかコンサルティングする、など。

④保守パーツ販売
商品の部品や消耗品を一般消費者向けに販売する。

その理由は2つあります。

1つめは「SDGsが浸透してきたから」です。

SDGsが世の中に浸透したことで、「大量生産」「大量消費」「大量廃棄」からの脱却が求められるようになりました。商品はできるだけ長く使い続けることがサステナブルで、そうした姿勢・志向を持つ企業が市場に受け入れられるようになってきています。

そのため、次世代のアフターサービスは取り組むべき課題となり、これから企業が世の中に価値を提供し続け、生き残っていくための戦略となるのです。「①予防保全」「②故障予知」「④保守パーツ販売」は、商品を長く使い続けてもらうためのサービス提供といえるでしょう。

2つめの理由は「世の中のデジタル化によってアフターサービスの技術が高度化したから」です。

IoTやAIの活躍によって、商品から収集できるデータは倍増しています、そのためデータを活用して積極的なアフターサービスを提供することが可能になりました。

「①予防保全」「②故障予知」「③コンサルティングやセールス」はデータを活用することで、問い合わせを待つだけではない積極的な課題解決ができるようになっています。

このように、近年では「故障したら修理する」「クレーム対応をする」といった受動的なアフターサービスだけでなく、「故障しないように予防措置を施す」「商品使用データから顧客の課題を解決する」といった能動的なアフターサービスも重視されるようになってきているのです。

2.企業にとってアフターサービスの導入・強化は必要

アフターサービスの基礎知識について解説しましたが、アフターサービスを「自社に導入するべきなのか」「強化させるべきなのか」は悩むところです。

結論、アフターサービスは導入するべきです。
また、すでにアフターサービスを導入している企業は、さらに強化させるべきでしょう。

2章では、アフターサービスを導入・強化したほうがいい理由について、解説していきます。

2-1.【アフターサービスを導入・強化すべき理由①】他社との差別化

アフターサービスを導入・強化するべき1つめの理由は他社と差別化できるからです。

近年では技術の発達によって、商品の機能の高さだけでは競合他社との差別化が難しくなっています。
そこでアフターサービスを導入・強化することで、商品に付加価値をつけることができます。そして他社と差別化を図ることができ、顧客から自社商品を選んでもらいやすくなるのです。

東京都生活文化スポーツ局が行った「都民の消費生活に関する意識調査(令和6年)」において、商品購入・サービス利用時に意識する内容について尋ねたところ、「アフターサービス」と回答した人は48.1%。

つまり、約半数の消費者は商品購入時にアフターサービスの存在を意識していることになります。

こうしたことから、近年では消費者も「アフターサービス」を意識する人は多く、さらには「質」にこだわる層も一定数おり、アフターサービスが充実していると購入を決断する理由になり得ることがわかります。

従って、質の良いアフターサービスの提供によって他社と差別化でき、商品を購入してもらいやすくなるため、アフターサービスの導入・強化は行うべきだといえるでしょう。

2-2.【アフターサービスを導入・強化すべき理由②】リピート購入・アップセル・クロスセルにつなげられる

アフターサービスを導入・強化するべき2つめの理由はリピート購入・アップセル・クロスセルにつなげられるからです。

購入後に充実したアフターサービスを提供することで、顧客の満足度を高め、顧客にリピート購入してもらったり、アップセル、クロスセルにつなげたりすることもできるのです。

少し前のアンケートですが、住宅産業協議会が平成28年度にリフォームを行った顧客に対して「住宅に関するCSアンケート」を実施したところ、「アフターサービスの総合満足度」と「訪問点検の満足度」が高い人はリフォーム捕捉率(新築を供給した住宅メーカーにリフォームも依頼した回答者の割合)が9割を超えていました。

さらに、新築を供給した住宅メーカーにリフォームを依頼した理由について顧客に尋ねたところ、「住宅会社のアフターサービスが良かったから」と回答した人が最も多く、アフターサービスの質がリフォーム受注に大きな影響を及ぼしていることがわかっています。

つまり充実したアフターサービスを顧客に提供することが、別商品の購入につながるのです。

このように質の高いアフターサービスによって顧客の満足度を高めることで、再び自社の商品を購入してもらえる可能性が高くなるため、アフターサービスの導入・強化は取り入れるべきだといえるでしょう。

3.アフターサービスの5つのメリット

3章では、アフターサービスの具体的なメリットについて詳しく解説していきます。

・顧客満足度の向上につながる
・リピーターを獲得できる
・商品を改善できる
・新規顧客を獲得できる
・既存客をロイヤルカスタマー(優良顧客)へと育成できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1.顧客満足度の向上につながる

1つめは顧客満足度の向上につながることです。

アフターサービスを提供することによって、顧客に安心感を与えて満足してもらうことができます。また、能動的にアフターサービスを提供すれば顧客の課題を解決でき、更に顧客満足度を向上することができるのです。

疑問やトラブルが発生し、顧客がカスタマーサポートへ問い合わせを行った場合に、迅速で真摯な対応をしてもらえると不満やストレスは最小限に抑えられます。

それどころか、顧客はそうした対応に安心感や信頼感を持つようになり、「この企業に任せておけば安心」と満足してもらえるようになるでしょう。

従ってこのような顧客満足度を向上できるという点は、大きなメリットといえるでしょう。

3-2.リピーターを獲得できる

2つめはリピーターを獲得できることです。

アフターサービスを提供することで、商品やアフターサービスに対する評価が高まるため、継続購入・再購入や、別商品の購入につながりやすいのです。

もし商品に不具合があっても「迅速に修理・交換をしてもらえる」と顧客が感じていれば、今後も安心してその企業の商品を購入できます。

また「1-3.近年では「次世代アフターサービス」が注目されている」にあるようなアフターサービスが提供できれば「この企業で商品を購入すれば、安心」と提供企業を高く評価するため、また同じ企業から商品を購入したくなるでしょう。

先にお伝えした、住宅産業協議会の「住宅に関するCSアンケート(平成28年)」で、「アフターサービスの総合満足度」と「訪問点検の満足度」が高い人はリフォーム捕捉率(新築を供給した住宅メーカーにリフォームも依頼した回答者の割合)が9割を超えていること、さらに、新築を供給した住宅メーカーにリフォームを依頼した理由について、「住宅会社のアフターサービスが良かったから」と回答した人が最も多く、アフターサービスの質がリフォーム受注に大きな影響を及ぼしていることからも、アフターサービスの質が良ければリピーターを獲得できることがわかります。

このように、アフターサービスの導入・強化はリピーターを獲得でき、既存顧客を維持できるというメリットがあるのです。

3-3.商品を改善できる

3つめのメリットは商品を改善できることです。

アフターサービスを提供することで、商品購入後も顧客と接点を持つことができ、商品への率直な意見を聞く機会を得られます。そうした顧客の声(VOC)を収集することで、商品の改善点を明らかにし、改良していくことができるのです。

例えば、スマートフォンメーカーのアフターサービスとして、以下を提供している場合を考えてみましょう。

【スマートフォンメーカーA社のアフターサービス】

①オンラインコミュニティ
A社は商品購入者向けにオンラインコミュニティを導入しています。顧客はチャットや掲示板で商品に関する質問や問題を共有し、サポートスタッフや他の利用者からのフィードバックを得ることができます。

②カスタマーサポート
A社のカスタマーサポートは、購入者から直接の問い合わせを受け付けます。この際、顧客は商品に関する感想や要望をサポートスタッフに伝えることができます。

③専用アプリの提供
A社は専用のアフターサービスアプリを提供し、アプリ内で商品のアップデート情報を受け取れます。また、利用者はアプリを通じて商品に対する意見や改善の提案が送信できます。新機能に関するアンケートが行われることもあります。

④商品の改善プログラム
アフターサービスを通じて得られた意見や要望を元に、商品の改善プログラムを実施。たとえば、特定の機能の不具合や改善の要望が多かった場合、次回のソフトウェアアップデートで改善点が反映されるようにしています。

アフターサービスを通して、上記のように顧客の意見を収集することで、商品の改善点を見つけて改良したり、新商品の開発に活かすことができます。

アフターサービスを提供することによって顧客からも貴重な意見をもらえるという点は、魅力的なメリットといえるでしょう。

3-4.新規顧客を獲得できる

4つめは新規顧客を獲得できることです。

アフターサービスが顧客を満足させる質の高いものであれば、顧客は友人や家族に対して商品を紹介してくれたり、ネットやSNS上で良い口コミを発信してくれたりすることもあります。その結果、紹介された人や口コミを見た人が、新規顧客となって商品を購入してくれるのです。

​3-5.既存顧客をロイヤルカスタマー(優良顧客)へと育成できる

5つめは既存顧客をロイヤルカスタマー(優良顧客)へと育成できることです。

ロイヤルカスタマーとは高額商品の購入や継続的な商品購入によって、自社の売上に大きく貢献してくれる顧客のことです。質の高いアフターサービスを提供し続けることで顧客からの信頼を積み重ね、既存顧客をロイヤルカスタマーへと育成することができます。

例えばスポーツ用品メーカーA社が以下のようなアフターサービスを提供した場合を例に考えてみましょう。

【スポーツ用品メーカーA社のアフターサービス】

①専門家による商品調整サービス
購入者が購入したランニングシューズの適切なサイズやフィット感を確保するために、専門のフィッティングサービスを提供。顧客は最適な商品を使用することで快適なスポーツ体験を得られます。

②無料のメンテナンスクリニック
定期的に、店舗で無料のメンテナンスクリニックを開催。顧客は自分のスポーツ用品を持ち込んで無料で点検やメンテナンスを受けられるため、商品の耐久性やパフォーマンスを向上させることができます。

③オンライン動画トレーニング
オンライン上で、商品の適切な使用方法やメンテナンスに関するトレーニング方法を動画で提供。これにより、顧客は自宅で効果的な商品のケアを学ぶことができます。

④商品改善アンケート
購入者に対して商品改善に関するアンケートを送付し、意見やフィードバックを収集します。A社は顧客の声を元に商品の改善点や新しい機能の追加を検討し、商品を改善・進化できます。

⑤特典付きメンバーシッププログラム
購入者がアフターサービスに登録すると、特典付きのメンバーシッププログラム(割引クーポン、新商品の最初のアクセス権、スペシャルイベントへの招待など)に参加できます。

上記のようなアフターサービスを継続的に提供されると、A社の一つの商品をリピート購入するだけでなく、様々な商品やサービスを購入したり買い続けてしまうのも、うなずけるのではないでしょうか。

このように、企業はアフターサービスを通して既存顧客との関係をより良くし、優良顧客へと育成していくことができるのです。

ロイヤルカスタマーは、商品やその企業に愛着や信頼を寄せているため、営業しなくても自ら商品を購入してくれます。さらに、周囲の人に良い口コミを発信してくれることもあるでしょう。

このように企業にとって貴重な存在である「ロイヤルカスタマーの育成」は、アフターサービスを提供する企業が最終的に目指すべき目標といえるでしょう。

4.アフターサービスを導入した企業の成功事例

アフターサービスを導入・強化するメリットについて理解したところで、次は、実際にアフターサービスを導入したことで売上拡大、優良顧客の育成に成功した企業の事例を見てみましょう。

①株式会社再春館製薬所様「LINEでお肌相談」の導入
②カゴメ株式会社様「LINEミニアプリ構築」によるキャンペーンの企画・運用

成功事例を見ることで、具体的なアフターサービスの導入・強化イメージを描けるようになります。
1つずつ見ていきましょう。

4-1.株式会社再春館製薬所様「LINEでお肌相談」の導入

1つめの事例は株式会社再春館製薬所様の「LINEでお肌相談」の導入です。

株式会社再春館製薬所様(以下、再春館製薬所様)は、「ドモホルンリンクル」を主力とした基礎化粧品や医薬部外品、医薬品の製造・販売を行っています。これまで電話やFAX、ハガキなどを中心にさまざまなチャネルで顧客からの注文・お問い合わせを受け付けていました。

しかし昨今、顧客の購入チャネルは徐々に電話からインターネットに移行。“デジタルでもお客様の気持ちに寄り添うことができる”質の高いコミュニケーションを実現させたいと、再春館製薬所様はLINEのさらなる活用を検討されていました。

そこでトランスコスモスは、「LINEの特性を活かしつつ、お客様の利便性や満足度を高めながらコミュニケーションを図る」ため、「ドモホルンリンクル」のLINE公式アカウントにおいて有人チャットによる「LINEでお肌相談」や既存会員向けのID連携などのLINE活用施策をご提案。

購入前の顧客からのお問い合わせも受け付けつつ、購入後の顧客が疑問に感じることや、商品使用に関する不安など、さまざまなお問い合わせに受け付けられるようにアフターサービスを強化しました。

◆相談の一次受付であるチャットでは、スタンプキャラクター「おもちちゃん」がカジュアルにやり取りをすることでお客様の気軽なお問い合わせを促し、その後、再春館製薬所様の担当者による有人チャットへエスカレーションさせることで、信頼感を醸成しながら相談内容の解決をはかる

◆LINE公式アカウントでは、有人チャットによる相談窓口に加え、メッセージの配信、FAQの案内、既存会員向けのID連携機能も提供する

その結果、サービス開始から約6カ月が経過した時点で、リピート率、購入金額、リーチ総数、クリック率と、多くの指標において数値が向上。リーチ総数は、メールのみを100%とした場合、メールとLINEの併用では145%に上昇しました。

また、LINEで相談したお客様の翌月リピート率が従来よりも3.4%増加、翌月購入単価が平均500円増加、クリック率がメールとの比較で最大17.9倍に向上するなどの運用成果をあげています。

このようにアフターサービスにおいてLINEを活用して「顧客に寄り添うコミュニケーション」を提供することで、売上を拡大することができます。

4-2.カゴメ株式会社様「LINEミニアプリ構築」による顧客データの収集とアフターサービスへの活用

2つめはカゴメ株式会社様「LINEミニアプリ構築」による顧客データの収集とアフターサービスへの活用を行った事例です。

カゴメ株式会社(以下、カゴメ様)は、さまざまな野菜の価値を活かした幅広く革新的な商品を次々とお届けし、人々の健康に貢献されている企業です。

カゴメ様はオフライン・オンラインの食に関するイベント、販売促進を目的としたキャンペーンなど、顧客との接点が多様化・拡大する中、既存顧客一人ひとりに合わせて、最適な情報配信やコミュニケーションを図りたいと考えていました。

そこでトランスコスモスは、LINEミニアプリの以下の強みを生かしたコミュニケーションプランをご提供しました。

①複数キャンペーンの共通管理やリアルとオンラインイベントの連携が可能
②LINE ユーザーIDをキーにすることで、顧客体験を優先した仕組みの実装とデータ連携を実現
③表現の自由度が高く独創性がある

具体的には、「LINE友だち追加の促進」や「アンケートから取得したデータの一括管理」、「複数キャンペーンとシームレスに連携」するために、トランスコスモス独自開発のAPI連携プラットフォーム 「DEC Connect (デック コネクト)」とカゴメ様のLINE公式アカウントをつなぎこみ、「カゴメ公式LINEミニアプリ」を構築。

カゴメ様のさまざまな顧客接点を持つチャネルと組み合わせることで、カゴメらしいLINEミニアプリを実装しました。

カゴメ様用に構築したオンラインイベントの連携システム

出典:トランスコスモス:カゴメ様導入事例

そして、これらを基盤として、以下のようなキャンペーンを企画・実施しました。

①カゴメ様の主力商品である「野菜生活100」と「カゴメトマトジュース」にQR コード付きのラベルを貼り付け、顧客がスマホで読み取るとLINEミニアプリが立ち上がる
②顧客はアンケートに回答することで、特典(デジタルインセンティブ)を受け取ることができる

商品購入者のキャンペーン参加により、これまでリーチできずにいた商品購入者とLINE上でコミュニケーションが可能となり、オフライン・オンライン両方のデータを紐づけた分析・活用の基盤ができるようになりました。

その結果、取得データを基にして、顧客の属性にあわせたセグメント配信により、顧客コミュニケーションを最適化。

オンライン・オフライン問わずイベントやキャンペーンなどから得た顧客情報をDEC Connectに蓄積し、紐づけることで、横断的に情報を一元管理。顧客一人ひとりが求めている情報配信により、カゴメファン化を促進しました。

このように購入者のデータを取得し、顧客に合わせて情報を配信するシステムを整えてアフターサービスを充実させることで、顧客をファン化させ、優良顧客を育成できるようになります。

5.アフターサービス導入・強化する際の3つの注意点

アフターサービスの導入・強化は長い目で見ると、企業の売上を拡大させ、利益を向上させる重要なサービスですが、実はサービス提供方法を誤るとメリットを得られないどころか、顧客からマイナスイメージを持たれてしまう可能性があります。

そこで5章では、アフターサービスを導入・強化するうえで注意するべきことを2点ご紹介します。

・人材リソース不足に陥る可能性がある
・アフターサービスの質が低いと逆効果になる可能性がある
・アフターサービスの内容を予告なく変更するとトラブルになる可能性がある

詳しく見てみましょう。

5-1.人材リソース不足に陥る可能性がある

1つ目の注意点はアフターサービスを導入・強化することで人材リソース不足に陥る可能性があるということです。

アフターサービスを導入・強化すると、

・アフターサービスの設計・開発
・アフターサービスの立ち上げ、運営
・アフターサービスの管理

など、以前より企業内の業務量が増えるため、社員一人あたりの業務量が増えたり、アフターサービス業務に従事する人材を確保したりする必要があるのです。

これまでに提供していなかったアフターサービスを導入・強化することで、業務量が増え人材リソース不足に陥る可能性があることは、多くの企業が懸念している点でもあります。

こうした注意点を解決する方法としては「アウトソーシング」が挙げられます。
自社で対応しきれない業務をアウトソーシングで補いながら、外部の業者と新たなサービスをともに創り上げていくのです。

アウトソーシングをうまく活用することによって、アフターサービスの対応時間や地域拡張による市場拡大、顧客の囲い込みなどを行うことで、アフターサービスの付加価値を最大にすることが可能です。

アウトソーシングについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

5-2.アフターサービスの質が低いと逆効果になる可能性がある

2つめはアフターサービスの質が低いと逆効果になる可能性があることです。

顧客は企業に対して「疑問・不安の解決」「不具合・故障の解決」など、何らかの理由でアフターサービスを利用します。期待感があってアフターサービスを利用したのにも関わらず、サービスの質が低いと顧客はがっかりするだけでなく、問題が解決しないので不満がたまってしまいます。

その結果、「もうこの企業からは購入しない」と顧客離れが起きてしまう可能性があるのです。

アフターサービスの質を向上させるためには、以下を実行すると良いでしょう。

【アフターサービスの質を向上させるために実行するべきこと】

①顧客がアフターサービスに求めることを洗い出す
アフターサービスの質を高めるためには、より顧客が求めるものを提供しなければなりません。そのためには、顧客が求めているものが何かを理解する必要があります。

・商品購入後にどのような悩みを抱くのか
・商品購入後にどのような行動をするのか

について顧客にアンケートを取ったり、直接「困っていることはありませんか?」とヒアリングを行ったりして、顧客がアフターサービスに望んでいる項目を洗い出しましょう。

顧客の悩み・トラブル・課題を迅速に解決する手段を提供する
顧客がアフターサービスに求める項目を洗い出したら、顧客が抱える悩みや課題、トラブルを解決する手段を考えて提供しましょう。

・FAQを充実させ自己解決率を高める
・顧客の過去の問い合わせ内容をデータとして蓄積し、新規問い合わせに対して過去の事例を参考にしながら迅速に対応する
・多くの人に知られていない、業務の効率が上がる機能の使い方をレクチャーする動画を配信する
・他社の成功事例を提供し、顧客が商品のより良い使い方を実践できるようにする
・チャットボットを実装して顧客が求める情報をいつでも取得できるようにする
・(ECサイトに)アクセスした顧客の購入履歴からおすすめの商品を表示する
・購入商品に関する最新情報(バージョンアップな)を提供し、顧客が商品を常に使いこなせるようにサポートする

といったように、顧客体験(CX)を向上させるような施策を実行すると良いでしょう。

5-3.アフターサービスの内容を予告なく変更するとトラブルになる可能性がある

3つめは「アフターサービスの内容を予告なく変更するとトラブルになる可能性がある」ことです。

アフターサポートについて、顧客に十分説明をしないまま変更をしてしまうと、変更前のアフターサービスを利用しようと考えていた顧客は不満を感じ、トラブルになってしまう可能性があるのです。

スマートフォンメーカーA社のアフターサービスが変更された場合を例に考えてみましょう。
A社が商品のアフターサービス内容について、保証対象外の故障に対する修理サービスの有償化や、以前提供されていた翌日修理サービスの廃止を行いました。

その結果、以前のサービスに慣れ親しんでいた顧客は、アフターサービスの変更が商品の購入時に提供された条件と異なるため、企業に対してクレームを申し立てるケースが相次ぎました。一部の顧客は、アフターサービスの変更についてSNSで批判的な意見を拡散しました。

この事例から、アフターサービスの変更が顧客の期待と異なる場合、予告や説明が不足していると、顧客の信頼を失うリスクがあるのです。

そのためアフターサービスを変更する際には、事前にアフターサービスが変更になる理由を発信したり、予告なく変更・中止となる場合がある旨をあらかじめ伝えておくなど、企業と顧客の間でコミュニケーションを取っておくと良いでしょう。

6.アフターサービスの導入・強化は利益向上に大きな影響があるため率先して強化すべき

本記事で繰り返し述べてきたように、アフターサービスの導入・強化は率先して行ったほうが良いでしょう。

アフターサービスを導入・強化することで商品を差別化でき、購入してもらいやすくなります。

商品購入後は、顧客の満足度を向上して既存顧客を維持できるだけでなく、優良顧客になってもらうことができます。アフターサービスを提供する価値は企業にとって非常に大きなものだといえるでしょう。

アフターサービスを導入していない企業は、ぜひ導入に向けて動き出しましょう。
すでにアフターサービスを提供している企業は、さらなる強化に向けて計画を始めると良いでしょう。

トランスコスモスではより質の高いアフターサービスを顧客が提供できるよう「Insight BI」の導入をおすすめしています。

Insight BIについて詳しくはトランスコスモスにお問合わせください

Insight BIとは、顧客接点チャネルで発生するWebやSNSでの行動データや、電話やチャットでの問い合わせデータといったオペレーショナルデータを自動で統合していく唯一無二のダッシュボードです。

Insight BIの活用により、チャネル横断でVOCを一元化でき、あらゆる年代属性のユーザーの生の声を網羅的に収集分析し、アフターサービスの改善に役立てることができます。また、商品購入後の顧客の行動データや問い合わせデータをもとに顧客体験やコスト収益観点で各チャネルのKPIを横断管理することで、CXの最適化を支援します。

Insight BIのCX最適化ダッシュボードの活用例

出典:トランスコスモス、TCI-DXサービスの加速に向けてダッシュボード「Insight BI」機能追加

Insight BIを活用すれば、商品購入後に生まれるそれぞれの顧客接点チャネルで分析→改善していたものを一元管理し、 全体最適視点でCX向上施策の実行が可能になります。

具体的には、

①アフターサービスにおけるCX改善のヒントが得られる
CXにまつわる、あらゆるチャネルのデータを一元的に集約し、洗練されたビジュアルでシンプルに可視化しているため、普段気付けない広い視野でアフターサービス施策を検討することができます。

また、データの集計レベルを1つずつ掘り下げて集計項目をさらに詳細にすることによって、問題や原因となる事象の核心に迫ることができ、より理解に深みが増すため、説得力あるアフターサービス実行施策に繋がります。

②高い鮮度のデータを活用できるため、アフターサービスにおいて先手となる攻めの施策が実行できる
Insight BIでは、アフターサービスのCX向上において重要なKPIを厳選し、主要レポートを自動化することで効率アップ。高い鮮度でトラブルの予兆や売上増の機会などを把握して、今まで実現できなかった速度で攻めのアフターサービス施策を実行できます。

といったことが可能になります。

ご興味のある方、資料をご希望の方はぜひお問い合わせください。

まとめ

本記事では、アフターサービスの基礎知識や導入・強化するべき理由、メリットや成功事例、注意点などを解説しました。

ここで改めて本記事の内容をおさらいしましょう。

◆アフターサービスとは商品購入後の顧客に提供するサービスのこと

◆アフターサービスの一般的な内容

・使用方法などのアドバイス・レクチャー
・クレーム処理・問い合わせ対応
・商品の設置・組立の代行
・商品の返品・修理・交換
・部品や消耗品の交換・充填・提供

◆次世代アフターサービスが注目されている

①予防保全
商品の稼働データをもとに、累積稼働時間を把握することで、予防保全措置を提供する。

②故障予知
温度上昇や振動発生などの異常を早期察知し、AIによる機械学習や深層学習を使ってデータ解析することで、故障を予知。商品が故障する前に修理する。

③コンサルティングやセールス
稼働データ等を活用したコンサルティングや提案型セールスを行う。
たとえば、商品から収集したデータをもとにして、顧客の生産プロセス全体を把握し、工程全体の最適化(効率化)をするにはどうすればいいのかコンサルティングする、など。

④保守パーツ販売
商品の部品や消耗品を一般消費者向けに販売する。

◆アフターサービスを導入・強化すべき理由

・他社と差別化できる
・リピート購入・アップセル・クロスセルにつなげられる

◆アフターサービス5つのメリット

・顧客満足度の向上につながる
・リピーターを獲得できる
・商品を改善できる
・新規顧客を獲得できる
・既存客をロイヤルカスタマー(優良顧客)へと育成できる

◆アフターサービス導入・強化する際の3つの注意点

・人材リソース不足に陥る可能性がある
・アフターサービスの質が低いと逆効果になる可能性がある
・アフターサービスの内容を予告なく変更するとトラブルになる可能性がある

本記事がアフターサービスの導入・強化をご検討中のご担当者様のお役に立てれば幸いです。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションのノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。