
リモート接客とは店舗やWebサイトなどの接客を、インターネットを介して遠隔で行うことです。例えば、以下のようなケースがリモート接客に該当します。
・オンラインストアで商品を購入するときにチャットで相談をする |
リモート接客は販売員と顧客が対面することなく、幅広いシチュエーションで活用できるところが大きな魅力です。販売員の物理的な移動も不要なので、人件費や交通費の削減にもつながります。
しかし、リモート接客は対面接客とは異なるマニュアル作成や準備が必要なので、リモート接客のメリットやデメリットを把握してから導入を検討することが欠かせません。
そこでこの記事では、リモート接客のメリットやデメリット、トランスコスモスの成功事例などリモート接客に関する基礎知識を解説していきます。
◎リモート接客とは |
この記事を最後まで読めばリモート接客とはどのような接客方法なのか把握でき、導入を検討できます。リモート接客は新たな顧客体験価値を提供できる手法として注目されているので、ぜひ参考にしてみてください。
1.リモート接客とは
冒頭でも触れたように、リモート接客とは店舗やWebサイトなどの接客を、インターネットを介して遠隔で行うことです。
従来は商品やサービスの購入を目的として店舗を訪れた場合、対人による接客が主流でしたが近年増加傾向にある接客方法です。対面での接客を行わないことで、業務効率化や感染症予防などのメリットがあります。
1-1.リモート接客の3つのタイプ
リモート接客には、主に下記の3タイプがあります。
タイプ | 概要 | メリット・デメリット | 一例 |
有人対応 | 販売員や担当者がモニター越しに接客をする方法 | ・対面での接客に近い状況で接客できる | ビデオ通話 |
アバター対応 | 企業やブランドのイメージに合ったキャラクターがモニター越しに接客をする方法 | ・応対品質の均一化ができる | ビデオ通話 |
無人対応 | メールやチャットなど担当者がツールを操作することで接客をする方法 | ・サポートが必要なときに臨機応変に対応できる | チャット |
有人対応とは、販売員や担当者がモニター越しに接客をする方法です。対面接客に近いため、顧客の表情や会話内容を汲み取りコミュニケーションが取れます。
アバター接客は、自社のイメージに合うキャラクターを画面に表示して接客をする方法です。接客は担当者が行いますが、担当者の代わりにアバターが表示されます。声質を変えることもでき、接客のイメージや品質を揃えやすいところがメリットです。
有人対応では対応するスタッフの雰囲気や声色、応対品質によって顧客が受ける雰囲気が変わりますが、アバター接客では同じキャラクター、同じような声色で応対できるため、イメージが均一化できます。
また、無人対応は、チャットやメールなど文章を使った接客となります。顧客が困っているタイミングや質問をしたいタイミングで、臨機応変な返答ができるところがメリットです。
どのリモート接客も非対面であることには変わりがなく、新たな接客の手法として注目されています。
それぞれ対応方法については「4.リモート接客の4つの方法」で詳しく解説しています。
1-2.リモート接客が向いている業種
リモート接客は、商品やサービスの購入時に顧客が相談をしたいと感じる業種や商品やサービスの検討時期が長い業種に向いています。一例として、以下のような業種は向いていると言えるでしょう。
業種 | リモート接客の活用方法の一例 |
アパレル・ジュエリー業界 | 店舗・オンラインショップでの購入サポート |
不動産業界 | リモート接客での内覧やモデルハウス見学 |
自動車業界 | 店舗でのリモート接客の実施 |
コスメ業界 | 店舗・オンラインショップでの購入サポート |
家具・電化製品・インテリア業界 | 店舗・オンラインショップでの購入サポート |
例えば、アパレルやジュエリーの購入時は、販売員のアドバイスや後押しが欲しい顧客が一定数います。対面接客の場合は常にフォローができますが、オンラインストアではそうはいきません。
そこで、リモート接客に該当するチャットを設け顧客が必要なタイミングにアドバイスをすることで、購入の促進や顧客満足度の向上が見込めます。
また、自動車や不動産、電化製品などは高額な買い物となるため、検討時期が長い傾向があります。店舗に足を運ぶところまで意欲が高まっている顧客もいれば、比較検討段階で店舗に足を運ぶに至らない顧客もいます。
リモート接客を活用すると、オンラインでの個別相談会や展示会などが開催できます。顧客は自宅にいながら商品について相談ができるため、参加の敷居が下がるでしょう。
このように、リモート接客は以下のような特徴をもった業種には向いていると言えるでしょう。
・商品やサービス購入時に販売員に相談をしたい |
2.リモート接客の6つのメリット
リモート接客の導入方法が把握できたところで、リモート接客のメリットが気になるところです。リモート接客には、6つのメリットがあります。
リモート接客の6つのメリット |
①非接触・非対面で接客ができる |
どのような点がメリットとなるのか、あらかじめ把握しておきましょう。
2-1.非接触・非対面で接客ができる
新型コロナウイルスの流行を機に、対面接客が制限される期間がありました。業種や店舗によっては、対面接客の在り方や方法を再検討したのではないでしょうか。
リモート接客は、直接顧客に会う必要がありません。例えば、ビデオ通話であればモニター画面やスマートフォンの画面越しに接客を行います。
そのため、感染症予防や感染症対策を視野に入れた接客を実現できます。今後感染症などの流行が再度起きても、リモート接客に慣れていれば接客サービスを提供し続けることが可能です。
また、繁忙期であっても店舗の販売員数を適切に保ち、従業員の健康管理や感染症に配慮した職場環境の構築にも役立ちます。
2-2.顧客体験価値の向上につながる
商品やサービス自体の物質的な価値だけでは差別化が難しくなった昨今は、購買体験そのものに価値を置く傾向があります。
リモート接客を導入すると、商品サービスを購入する体験価値の向上につながります。オンラインショップにチャット機能が設置されていれば、サポートが必要なタイミングですぐに返答ができます。
質問内容によっては商品やサービスに詳しい販売員が対応できるため、その場で疑問の解決がしやすくなります。対面接客しかない場合や他のサポートがない場合は、購入体験が劇的に変化することがありません。
リモート接客ができれば対面接客よりも更に一歩顧客に寄り添った接客が実現でき、顧客の不安解消や満足度の向上が実現するでしょう。
2-3.業務効率化ができる
リモート接客では、次の2つの点で業務効率化ができます。
連携がしやすい
対面接客の場合は、接客をする店舗内での連携が主流となっていました。常に知識のあるスタッフが在籍していればいいですが、知識のあるスタッフが不在の場合もあります。その場合に分からないことや対応できないことがあると、連携に時間がかかるデメリットがありました。
リモート接客なら不明な点があっても、エスカレーションがしやすいです。チャットなどですぐに責任者に確認ができる、リモート接客をしているセンター内に責任者がいるなど、問題しやすい環境を整えられます。そのため、接客内容で躓くことが減り、効率よく対応できます。
一度に複数名の顧客を対応できる
リモート接客の種類によっては、一度に複数名の顧客を対応できます。チャットやSNSの返信は、1人のオペレーターが複数人の対応を受け持つことが可能です。
ライブコマースでは視聴者人数に応じて、一度に多くの顧客に商品やサービスをアピールできます。対面接客では一人一人に訴求しなければならないことを複数人まとめて行えるため、効率よく利益の拡大や新規顧客の獲得を狙えるでしょう。
2-4.データの活用ができる
リモート接客に使用するツールによっては、自動的に接客時のデータを収集できます。一例としては、下記のようなデータを収集することが可能です。
・販売員の稼働状況 |
接客中の顧客の感情の動きや接客の内容をデータとして蓄積できれば、今後の戦略に活用できます。例えば、接客中の中盤になると顧客の期待度や感情の高ぶりが低下する傾向がある場合には、接客内容を見直して短縮化すると改善か見込めるでしょう。
また、販売員の管理もリモート接客に使用するツール内で完了できると、勤怠管理やシフト組みが楽になります。
対面接客や対面での個別相談では意図的に録音するなどの手法を取らなければ、現状把握や情報収集が難しいです。貴重な接客時のデータを簡単蓄積していけるのは、大きなメリットだと言えるでしょう。
2-5.フォローできる顧客が増える
対面での接客にしか対応していない場合は、フォローできる顧客が店舗に通える範囲に限定されます。関東地方にしか店舗がないと、関東圏以外の顧客は必然的にフォローの対象外になります。
リモート接客ができれば住まいや店舗に左右されず、商品やサービスに興味がある顧客をしっかりとフォローできます。
オンラインでの個別相談なら、住まいに関わらず商品やサービスの良さをアピールできます。同じくライブコマースも、視聴できる環境さえあれば地域問わず商品やサービスの紹介をすることが可能です。
・全国展開を視野に入れている |
など、対面で対応できる範囲を超えて、フォローできる顧客を増やしたい場合も有効活用できます。
2-6.人件費や人材育成費を削減できる
リモート接客は店舗まで足を運び対面で接客する必要がないので、限られた人員で効率よく稼働できます。
例えば、都内に3店舗展開している家電量販店があるとします。対面接客のみで稼働をすると各店舗に10名ずつ販売員が必要ですが、日によって混雑状況が大きく異なります。
そこで、対面接客を各店舗5名に減らし、10名のリモート接客スタッフを導入することにしました。リモート接客スタッフは店舗の混み具合や要望に応じて、臨機応変に対応します。
A店舗が混んでいる場合はA店舗のフォローをして、B店舗で質問がある場合は、専門的な知識のあるスタッフが対応します。このように、人件費を5人分減らしても問題なく稼働できる状況を構築できるでしょう。
これは薬剤師やローンの相談など専門性が高く、特別な資格が必要な職種においても同様のことがいえます。
誰にでもできる対応ではないため、リモート接客を活用することで限られた人数でより多くの顧客に対応することができるようになります。
リモート接客は店舗に通える範囲から求人する必要がないので、全国から知識や実践のあるスタッフを募集できます。人材育成にかかる手間や期間を削減し、品質の高い接客を実現できるところもメリットだと言えます。
3.リモート接客のデメリット
リモート接客のデメリットとしては、次のものが考えられます。
リモート接客のデメリット |
・導入に手間がかかる |
事前に把握しておくことで対策を検討できるため、参考にしてみてください。
3-1.導入に時間がかかる
リモート接客は対面接客とは手法が異なるので、リモート接客のための教育やマニュアルが必要です。
ビデオ通話の場合は、目の前で商品を見せて触ってもらったり資料を見せて訴求したりすることができません。対面接客での大きな魅力である体験や体感をどのようにカバーし納得してもらうのか、検討する必要があります。
また、ビデオ通話では専用のツールを使用することが多いので、ツールの使い方を理解しトラブルなく運用できるよう練習を行うことが大切です。
他にも、チャットやSNSなど文字でのコミュニケーションとなる場合は、ブランドや企業の考え方のコンセプトに沿ったやり取りができるようルールを決めることも欠かせません。
このように、対面接客からリモート接客に切り替えるには以下のような準備が必要となるので、急に切り替えることが難しいでしょう。移行期間をかけて計画的に取り組まなければならないので、どうしても時間がかかります。
・専用ツールの導入の検討 |
4.リモート接客の4つの方法
リモート接客のメリットやデメリットが把握できたところで、リモート接客にはどのように取り組めばいいのか気になるところです。リモート接客には、主に4つの方法があります。
方法 | 概要 | メリット | デメリット |
チャット | Webブラウザやスマートフォンの画面上でコミュニケーションを取る方法 | ・利用のハードルが低く手軽に活用できる | 文字ベースでのやり取りとなるので伝わりにくい部分がある |
ビデオ通話 | モニターを介してリアルタイムで接客を行う方法 | ・人件費や移動費の削減ができる | 回線状況に応じて通話が不安定になる可能性がある |
ライブコマース | 動画でライブ配信を行い、販売促進を行う方法 | 一度に多くの顧客を対象として接客ができる | 不特定多数の人が視聴できるので迷惑行為や妨害行為が起きる可能性がある |
SNS | DMや返信でフォロワーとコミュニケーションを取る | ランニングコストが低く手軽に開始できる | 一定の認知度やフォロワー数の獲得が必要 |
「1-2.リモート接客が向いている業種」で触れたように、商品やサービスの購入時に顧客が相談をしたいと感じる業種や商品やサービスの検討時期が長い業種ならどの方法でも検討できます。
また、1種類の方法を使用するのではなく顧客とのタッチポイントを踏まえて、複数を組み合わせることが大切です。実店舗とオンラインショップの双方を展開している場合には、実店舗ではビデオ通話、オンラインショップではライブコマースやチャットを検討できます。
効果のあるリモート接客を実現するためにも、どのような方法があるのか把握して導入を検討してみましょう。
4-1.チャット
リモート接客で活用できるチャットには、チャットとチャットボットの2種類があります。
種類 | 対応方法 | 概要 |
チャット | 有人対応 | Webブラウザやスマートフォンの画面上で、文字入力でコミュニケーションを取る方法 |
チャットボット | ボット | リアルタイムで使用できる自動会話プログラム |
チャットはオペレーターと顧客が文字入力でコミュニケーションを取る方法です。「この洋服のサイズ展開を教えてください」と入力した場合、オペレーターが内容を確認して「SとMの2サイズ展開です」と回答します。
一方で、チャットボットはボット機能による自動会話プログラムです。あらかじめ登録をしたFAQやシナリオに沿って回答をします。
「店舗の定休日が知りたいです」という質問があった場合、登録されている情報から「毎週水曜日です」と表示させます。選択肢を設け、選んでいくと回答にたどり着くシナリオ型と、設定した内容やAI(人工知能)により、顧客が入力した質問に対して回答を出すボット型があります。
チャットとチャットボットは、Webブラウザやスマートフォンの画面上でコミュニケーションを取る方法です。オンラインショップに以下のようなバナーを表示させて、チャットやチャットボットの利用を促す方法があります。
顧客がバナーをクリックするとチャットが始まり、質問に応じた回答を提示します。顧客の悩みや疑問をリアルタイムに解決できるため、購入促進につながります。
チャットやチャットボットの仕組みについては、下記の記事を参考にしてみてください。
チャットをリモート接客に活用するメリット
チャットは利用のハードルが低く、手軽に活用できるところがメリットです。トランスコスモスが実施した「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2021」を見るとチャットやチャットボットの利用意向率が高く、利用に抵抗がないことがわかります。
各チャネルの利用意向率 | |
メッセージアプリ | 62% |
チャットボット | 46% |
チャット | 52% |
ビデオ通話 | 33% |
そのため、対人接客ができないオンラインショップやWebサイトに設置すると、気兼ねなく利用してもらえる可能性があります。Webサイトのお問い合わせページにチャットを設置すると、ブランドや企業に質問がある顧客が積極的に使用してくれるでしょう。
「商品について詳しく知りたい」などの問い合わせがあったときにリアルタイムで返信をすることで、商談につながることも考えられます。
チャットをリモート接客に活用するデメリット
チャットは文字でのやり取りとなるため、どうしても伝わりにくい部分があります。
動画や写真の送付やビデオ通話への切り替えなど他のツールと連携させながら、接客の精度を高める工夫が必要です。
また、チャットボットは先ほども触れたように、あらかじめ登録されている情報がベースとなります。そのため、複雑な質問や個人的な質問には対応できない可能性があります。
チャットボットでカバーできない部分は有人対応するなどの連携をして、スムーズな接客ができるよう配慮しましょう。
チャットの導入方法
リモート接客でチャットを導入するには、チャットやチャットボット用のツールを使うことが一般的です。チャットボットの場合はツール内にシナリオやFAQを登録して、回答を表示できるように準備をします。
4-2.ビデオ通話
ビデオ通話は、モニターを介してリアルタイムで接客を行う方法です。リモート接客でビデオ通話を使う主な方法は、下記のとおりです。
店舗接客 | 店舗の売り場や相談窓口などにモニターを設置し、モニター越しに接客をする |
個別対応 | 顧客との打ち合わせや個別相談をオンラインで実施する |
オンライン接客 | オンラインショップやWebサイト経由でモニター越しに接客をする |
店舗接客では店舗にモニターを設置して、モニター越しに接客をします。電化製品や家具など専門性の高い商品を販売する場合は知識のある販売員がリモート接客をすることで、購買意欲が沸くでしょう。
また、ビデオ通話は、顧客の個別対応にも活用できます。例えば、保険商品の個別相談をする場合です。
従来は顧客に店舗まで足を運んでもらう手間がかかりました。ビデオ通話を活用してリモート接客をすることで、手軽に打ち合わせや個別相談ができるようになります。
ビデオ通話をリモート接客に活用するメリット
ビデオ通話は、人件費や移動費の削減に貢献するところが大きなメリットです。店舗接客にビデオ通話を導入すると、販売員はわざわざ店舗まで足を運ぶ必要がありません。一定の場所から接客が必要となったときに対応できるので、限られた人員で効率よく接客ができます。
また、対面接客の場合は顧客の質問によっては即答が難しく、顧客を待たせたり回答できなかったりするケースがあります。ビデオ通話はエスカレーションがしやすいのはもちろんのこと、場所や時間に縛られないため、適材適所が実践しやすいです。
ビデオ通話をリモート接客に活用するデメリット
ビデオ通話はインターネット回線を利用するため、回線状況によっては会話が途切れたり途中で切れたりします。とくに個別対応やオンライン接客など顧客側の回線状況に左右されるシーンでは、安定した回線を確保することが難しい場合があります。
ビデオ通話の導入方法
リモート接客を実施するためのビデオ通話は、一般的には専用のツールを使用することが多いです。リモート接客向けのビデオ通話ツールなら、顧客用の呼び出しボタン機能や音声録音機能、カメラ切り替え機能など接客に役立つ機能が備わっている商品があります。
4-3.ライブコマース
ライブコマースとは、動画でライブ配信を行い、販売促進を行う方法です。
例えば、コスメブランドの新商品をライブ配信で公開し、実際のメイク方法や使い方を伝えるのもライブコマースの一つです。ライブ配信を見た顧客は興味や関心を持ち、店舗に足を運んだりオンラインショップで購入したりします。
メイク方法を見ながら疑問を持った顧客はその場で質問でき、質問を見た配信者はリアルタイムで回答をします。訴求性の高い動画を活用しリアルタイムで顧客とコミュニケーションが図れるところが、ライブコマースの大きな魅力です。
ライブコマースをリモート接客に活用するメリット
ライブコマースは、一度に多くの顧客を対象として接客ができます。対面接客は顧客を一対一でのやり取りですが、ライブコマースは動画配信を見ている顧客全員が対象となります。一度に500人が視聴していれば500人を対象にアピールできるので、効率よく接客できるところがメリットです。
また、一方的に動画を配信するのではなく双方のコミュニケーションが図れるため、顧客側も参加をしている意識が芽生えます。
バッグブランドのライブコマースの場合「通勤に使えるサイズなのかな?」と疑問を持ったら、すぐに質問ができます。その場で回答ももらえるので、購入の判断や検討がしやすくなります。
ライブコマースをリモート接客に活用するデメリット
ライブコマースは一般的には不特定多数の人が視聴できるため、迷惑行為や妨害行為が起きる可能性があります。商品やサービスに無関係や発言や視聴者が不快となる発言があったときに、どのような対処を取るべきか決めておくことが大切です。
また、ライブコマースで宣伝をした商品やサービスが購入しにくいと、せっかく購買意欲が高まっても購入に至らない可能性があります。商品ページのリンクを設置する、オンラインショップ内でライブコマースを実施するなど、すぐに購入できる導線の確保も欠かせません。
ライブコマースの導入方法
ライブコマースはSNSのライブ配信機能や専用ツール、アプリなどを使い実施できます。SNSのアカウントを活用すれば無料で開始できますが、撮影機材の用意が必要です。
4-4.SNS
X(旧:Twitter)やInstagram、TikTokなどのSNSは一方的な情報発信ツールとしてではなく、フォロワーとコミュニケーションを取るツールとしても活用されています。
・自社の商品やサービスに関する発言や呟きに返信する |
などの使い方ができます。SNSは利用者数が多いため多くの顧客と接点を持ち、接客に活用できるところが特徴です。
SNSをリモート接客に活用するメリット
SNSは無料で導入できるため、ランニングコストがかかりません。ユーザーと直接やり取りをするダイレクトメールだけでなく、コメント機能やライブ配信機能など多数の接客方法を無料で使えます。
費用をかけないでリモート接客を導入したい場合は、SNSから取り組むのも一つの方法でしょう。
SNSをリモート接客に活用するデメリット
SNSをリモート接客に活用するには、一定の認知度やフォロワー数の獲得が必要です。フォロワーが100人しかいない状態でライブコマースをしても視聴者が少ないですし、情報発信への反応や問い合わせも限定されています。
そのため、リモート接客に使用できるレベルには、自社のアカウントを育てておかなければなりません。
また、SNSをリモート接客に活用するにはSNSアカウントの稼働が必須です。1年以上稼働していないX(旧:Twitter)に関心の高いダイレクトメールや返信はなかなか届きません。顧客が気兼ねなく質問や返信ができる状態にしておくためにも、継続したアカウント運用を念頭に置いておきましょう。
SNSの導入方法
SNSをリモート接客に活用するには、自社のアカウントを作成して運用する必要があります。アカウントの作成や運用自体は無料ですが、継続して運用を行うことが大切です。
5.トランスコスモスのリモート接客の事例
トランスコスモスでは、高い接客品質のアウトソースとリモート接客ツールで優れた顧客体験を実現するリモート接客サービスを提供しています。
ここでは、日産自動車株式会社様(以下日産自動車様)の事例をご紹介します。日産自動車様は自社のWebサイト上からの予約注文や試乗イベントの申し込みだけでなく、顧客の疑問解決や誘導の手段を強化したいと考えていました。
しかし、Web上にサポートチャネルを導入したくてもWeb接客手法やサポート導線設計のノウハウが少なく、ツールの導入だけでなく設計や運用が体制構築に課題を感じていたそうです。
そこで、トランスコスモスは日産自動車様の販売会社サイトからチャットボット経由でのリモート接客を提案し、システムの導入からチャットボットシナリオの設計、運用まで一貫したサポートを行いました。
顧客からの問い合わせにはまずはチャットボットが自動応対し、オペレーターの対応が必要な場面で有人チャットへと切り替えます。
オペレーターはチャットでのコミュニケーションから車種や地域などを特定し、来店へとつなげます。顧客が早い段階で「有人オペレーターへ接続」を選択し対話できる仕組みを導入し、成約に至る可能性が高い見込み客をシームレスに店舗へと送客するスキームを構築しました。
また、日産自動車様への迅速なエスカレーションや、定期的なシナリオボットのチューニングなどを実施し、高速でPDCAを実践しました。
販売会社サイトでのリモート接客開始から約1年で、店舗への送客数は数百名を超え幅広い客層から成約を獲得しました。その結果を評価いただき新型EV(ARIYA)会員特設サイトにもリモート接客を導入し、運用開始初月から予約注文を獲得しました。
リモート接客をより拡充していくための新たな取り組みとして、Webサイト上に写真や動画、プレゼン資料を表示しオペレーターが案内する「ビデオチャット」も開始します。リモート接客を活用しながら多様化した接点をシームレスにつなぎ、成果を納めた好事例になりました。
従来は対面接客が基本であった自動車販売も、オンラインニーズや行動に応える多様性が求められています。これからもトランスコスモスはデジタルやIT技術を活用し、日産自動車様の自動車販売におけるデジタルトランスフォーメーションを支援します。
6.リモート接客を成功させる3つのポイント
最後に、リモート接客を成功させるための3つのポイントをご紹介します。
リモート接客を成功させる3つのポイント |
①顧客の負担を最小限にする導線やツールを工夫する |
リモート接客はツールを導入するだけで終わりではなく、顧客と販売員の双方が活用できる仕組みの構築が必要です。どのようなことに留意するべきか参考にしてみてください。
6-1.顧客の負担を最小限にする導線やツールを工夫する
リモート接客を導入しても、顧客に利用してもらえなければ意味がありません。顧客が手軽に利用できる導線やツールの導入を工夫するようにしましょう。一例としては、下記のような工夫が考えられます。
リモート接客の方法 | 工夫できる内容 |
チャット | ・オンラインサイトやWebサイトにポップアップ表示、固定設置をしてチャットが利用できることを分かってもらう |
ビデオ通話 | ・店舗設置の場合は呼び出しボタンなどを設置し、顧客が必要なタイミングで利用できるようにする |
ライブコマース | ・ターゲット層に応じて視聴しやすいツールやチャネルで実施をする |
SNS | ・文字だけで伝えにくい場合はビデオ通話や動画URLを提案する |
チャットの場合は、チャットを利用してもらえる導線設置が大切です。顧客が利用しやすい位置やページを調査して、手軽に利用できるよう配慮するといいでしょう。
また、業種によっては事例のようにチャットの問い合わせのみで終わらないよう、ビデオ通話や店舗来店予約ツールなどとの連携も必要です。
6-2.リモート接客ならではの応対やアピール方法を検討する
リモート接客と対面接客は異なるため、対面接客と同じ訴求方法では伝わらない可能性があります。あらかじめ、リモート接客に特化したアピール方法を検討しましょう。
例えば、リモート接客では顧客への質問や問いかけが重要です。
リモート接客ではオペレーター側が一方的に話をして、顧客が話を聞く形になりやすいです。定期的に質問をして、双方のコミュニケーションが取れている状態を維持しましょう。
また、リモート接客では目の前に商品を置いて、実際に動かしたり触ったりして説明をすることができません。
この弱点を補完するために、あらかじめ動画や資料を作成しておき必要なタイミングで提示するのも一つの方法です。商品の魅力が新機能であればそれがすぐに分かるような動画があると、顧客への説明時に役立ちます。
他にも、リモート接客では、通信トラブルが発生する可能性が少なからずあります。突然画面が固まったり接続が切れたりした場合に慌てなくてもいいように、マニュアルや対処法を決めておきましょう。
たとえば、リモート接客が切断された場合はチャットで顧客に案内をして、再接続を行うなど流れが決まっていると安心です。
6-3.効果測定と改善を繰り返す
リモート接客は、顧客の状態を収集しやすい手法です。「2-4.データの活用ができる」でも触れたようにツール自体に情報収集ができる機能が備わっていることがあります。
また、チャットボットやチャットの利用者、SNS利用者を対象にアンケート調査の依頼がしやすく、リモート接客の満足度や不満点を測定しやすいです。チャットを例に挙げると、チャットでのやり取り終了後にアンケート調査の協力を依頼する文章とアンケートフォームを提示します。
アンケートに回答してもらうことで、顧客のリアルな声を収集できます。ツールやアンケートで収集した結果は分析をして、リモート接客の改善へと活かしましょう。
操作方法が分かりにくいという声があれば、顧客向けの操作手順を作成し提示すると改善できる可能性があります。また、説明の内容に不満がある場合は、マニュアルを見直しトークを改善することもできます。
このように、リモート接客を受けた顧客の情報を参考しながら改善を行うことで、顧客満足度の高いリモート接客の実現につながります。
7.トランスコスモスはリモートツールと優れた応対品質でリモート接客をサポート
トランスコスモスでは、高い接客品質のアウトソースとリモート接客ツールを使いリモート接客をサポートするサービスを提供しています。
「5.トランスコスモスのリモート接客の事例」でも触れましたが、現状の課題に応じてリモート接客ツールの導入やシナリオの設計、運用まで一貫したサポートが可能です。
時代の変化とともに対面での接客体験だけでなく、非対面でも満足度の高い接客体験が求められています。リモート接客の導入を検討している場合やリモート接客の運用方法に悩んでいる場合は、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
いかがでしたか?リモート接客とはどのような手法か把握でき、導入を検討できたかと思います。最後にこの記事の内容をまとめてみると
◎リモート接客とは店舗やWebサイトなどの接客を、インターネットを介して遠隔で行うこと
◎リモート接客は商品やサービスの購入時に顧客が相談をしたいと感じる業種や商品やサービスの検討時期が長い業種に向いている
◎リモート接客のメリットは次の6つ
1)非接触・非対面で接客ができる |
◎リモート接客のデメリット
1)ツールの浸透やマニュアル作成など導入に手間がかかる |
◎リモート接客の方法は次の4つ
方法 | 概要 |
チャット | Webブラウザやスマートフォンの画面上でコミュニケーションを取る方法 |
ビデオ通話 | モニターを介してリアルタイムで接客を行う方法 |
ライブコマース | 動画でライブ配信を行い販売促進を行う方法 |
SNS | DMや返信、ライブコマースでフォロワーとコミュニケーションを取る |
◎リモート接客を成功させるためのポイントは次の3つ
1)顧客の負担を最小限にする導線やツールを工夫する |
時代の変化とともに、リモート接客の需要は増えています。新たな顧客体験の提供により、他社との差別化や顧客満足度の向上が見込めるでしょう。トランスコスモスではリモート接客をサポートするサービスを提供していますので、お気軽にお問い合わせください。