
インサイドセールスとは、電話・メール・Web会議ツールなどを活用し、非対面で見込み顧客にアプローチする営業手法です。訪問型フィールドセールスとは異なり、効率的かつ継続的なコミュニケーションを通じて、顧客のニーズを顕在化させることを目的としています。
- インサイドセールスとテレアポ・テレマーケティングの違い:テレアポはアポイント獲得、テレマーケティングは受注や調査が目的。インサイドセールスは見込み顧客との関係構築と育成を重視し、継続的な情報提供やヒアリングで購買意欲を高める。
- インサイドセールスのメリット:インサイドセールスは、訪問にかかる時間やコストを削減し、より多くの顧客に効率的にアプローチできる。成約確度の高いリードに集中できる点も強みで、営業成果の最大化に貢献する。
- インサイドセールスを導入する方法:自社で専任チームを構築する方法と、外部委託による導入方法がある。営業戦略やリソースに応じて最適な手法を選ぶことが重要。
- インサイドセールスに必要なツール:MA、SFA、CRMなどのツールを活用することで、顧客情報の管理や営業活動の効率化が可能となり、成果の最大化につながる。
「インサイドセールスってわかりやすく言うとどういうこと?」
「インサイドセールスってどのようなメリットがあるの?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
インサイドセールスは、BtoBビジネスにおいて重要なマーケティング方法である「リードナーチャリング」(ニーズが顕在化していない見込み顧客を育てて売上につなげる方法)に役立つ営業方法として、近年注目を集めています。
特に2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大を受け、従来型の訪問型営業が減少したこともあり、インサイドセールスは企業活動に欠かせないものとなっています。
この記事を最後までお読みいただけると、インサイドセールスの特徴を知ることができ、効率的な売上アップのために具体的にどのような方法をとれば良いのか理解することができます。
1.インサイドセールスとは
インサイドセールスを導入して売上を上げるために、まずはインサイドセールスについて詳しく知ることが重要です。そこでこの章では、インサイドセールスとは何かを詳しく理解するために、以下のことをお伝えします。
・インサイドセールスとは見込み客に対して非対面で営業活動する方法 |
また、同じようなものだと誤解されやすいテレアポ・テレマーケティングとの違いを正しく理解することで、インサイドセールスの本質を捉え、自社のビジネスに有効活用することができます。
1-1.インサイドセールスとは見込み客に対して非対面で営業活動すること
インサイドセールスとは、自社の見込み客に対して電話やメールなど非対面の方法でアプローチすることで、成約や顧客の購入意欲の向上などを目指す営業手法のことを指します。
一方、インサイドセールスと対になる営業手法として、「フィールドセールス」があります。
フィールドセールスとは「顧客のもとへ直接訪問して商談を進め、成約につなげる営業手法」です。
「インサイドセールス」「フィールドセールス」の役割を分担する際は、以下のように業務範囲が異なります。
インサイドセールスは、電話やメールなどでアプローチを行い、見込み顧客へヒアリングしてニーズを顕在化させていくことに注力します。
それに対して、フィールドセールスは、見込み顧客に直接会ってアプローチすることで、成約率を高めていくのです。ただし、企業によっては、すべての営業プロセスをインサイドセールスが担当するケース(統合型)もあります。
【インサイドセールスとフィールドセールスの違い】
インサイドセールス | フィールドセールス | |
特徴 | 内勤型営業 | 訪問型営業 |
業務範囲 | 【分業型】 【統合型】 | 【従来型】 【分業型】 |
メリット | ・効率的に営業活動できる | ・顧客と顔を合わせて商談するので訴求力が高い |
デメリット | ・顧客との信頼関係構築が難しいケースがある | ・移動に時間やコストがかかる |
これらの特徴を踏まえ、以下2点がインサイドセールスの大きな特徴といえるでしょう。
・見込み客と非対面でやり取りをして効率的に営業活動を進められる |
1-2.インサイドセールスとテレアポの違い
見込み客に対して電話でアプローチをする方法としては「テレアポ(テレフォンアポイントメント)」がよく知られています。インサイドセールスとテレアポの最大の違いは、その目的にあります。それぞれの目的は以下のとおりです。
【インサイドセールスとテレアポ】目的の違い | |
インサイドセールス | テレアポ |
ターゲット顧客と継続的にコンタクトをとり、顧客の見込み度合いを上げていくこと | ターゲット顧客に電話をかけてアポイントの約束をとりつけること |
このようにテレアポの目的が「アポイントの獲得」であるのに対して、インサイドセールスの目的は「見込み客の育成」です。
「アポイントをたくさんとることができれば良い」というわけではなく、多少時間がかかったとしても見込み顧客との良好な関係性を構築し、その顧客の興味·関心·購買意欲を高めていくことが重要になります。
そのため必然的に、実際に行う業務内容にも以下のような違いが生じます。
【インサイドセールスとテレアポ】業務内容の違い | |
インサイドセールス | テレアポ |
商品説明やアポイントの獲得だけではなく、先方の状況や課題などをヒアリングし、必要に応じて継続的にメールや電話などで情報提供·状況確認を行い、良好な関係を構築していく | ターゲット顧客に電話をかけて簡単な商品説明とアポイントの獲得を行う |
一般的なテレアポでは、アポイントを獲得することが目的であるため、電話をする時点でのニーズの高さや温度感は考慮されないこともあります。
そのため「あまり関心がないけどなんとなく面会を了承してしまった…」というような見込み客の場合は、その後営業担当者が訪問しても契約に結び付かない可能性が高くなってしまいます。
しかし、インサイドセールスでは、訪問時にそのようなことがないよう、顧客が自発的に「購入したい」という意欲を持つようにコンタクトをとり続け、充分にニーズが高まったところでフィールドセールスに引き渡します。
1-3.インサイドセールスとテレマーケティングの違い
もうひとつインサイドセールスに似ている手法として「テレマーケティング」があります。
テレマーケティングとは、電話を利用して直接商品を顧客に販売したり、アンケート調査などを行ったりする方法のことを指します。
インサイドセールスとテレマーケティングの目的の違いは以下のとおりです。
【インサイドセールスとテレマーケティング】目的の違い | |
インサイドセールス | テレマーケティング |
ターゲット顧客と継続的にコンタクトをとり、顧客の見込み度合いを上げていくこと | ターゲット顧客に電話をかけて受注の獲得やアンケート調査の依頼などをすること |
テレマーケティングでは、「受注」や「調査」など何かの目的がその電話の中で達成されるというのが大きな特徴になります。
一方、インサイドセールスは、1本の電話の中で何かを完結させるものではありません。見込み客の状態に応じて、提供する情報やコンタクト方法を変えて継続的にアプローチし、育成していきます。
このように、電話で商品案内やアンケート依頼などを行うことが目的なのではなく、あくまでも「コンタクトし続けて見込み客を育成することで自社の売上に繋げる」という点が、インサイドセールスとテレマーケティングの違いです。
2.インサイドセールスが注目されている理由
アメリカでは1980年ごろから行われてきた営業手法であるインサイドセールスですが、長い間日本ではあまり注目されてきませんでした。しかし、近年日本でもインサイドセールスが大変注目されています。一体どのような理由からインサイドセールスの注目が高まっているのでしょうか。
主な理由として、以下の3つがあげられます。
・企業の人材不足や働き方改革によって営業人材の確保が難しいため |
それぞれについて詳しくみていきましょう。
2-1.企業の人材不足や働き方改革によって営業人材の確保が難しいため
近年、企業の人材不足や働き方改革の進展により、従来型の営業スタイルでは人材の確保と成果の両立が難しくなっています。
日本企業において主流だった訪問型営業は、営業担当者が一社一社を直接訪問する必要があり、人的リソースを多く消費します。
人材不足が深刻化する中、このような営業手法では十分な成果を上げることが困難になってきました。さらに、働き方改革の影響により、従来のように長時間労働を前提とした営業活動が制限されるようになり、営業職に求められる生産性や効率性が一層高まっています。
こうした背景から、限られた人員・時間で成果を最大化できる営業手法として「インサイドセールス」への注目が高まっています。
電話やメール、オンライン商談ツールなどを活用することで、物理的な移動を伴わずに効率的な営業活動が可能となり、外部委託や分業体制の構築も視野にいれた柔軟な運用が実現します。
インサイドセールスは、営業組織の生産性向上とリソース最適化を図る上で、今後ますます重要な役割を担うと考えられます。
2-2.顧客の購買行動に合わせたリード獲得が必要であるから
インサイドセールスが普及した2つ目の理由として、顧客の購買行動が大きく変化していることにあります。
かつては、商品やサービスに関する情報は営業担当者から直接提供されるのが一般的でした。しかし現在ではインターネットやSNSの普及により、顧客自信が自ら情報を収集し比較・検討を行うことが当たり前になっています。
このような「情報主導型」の購買行動においては、顧客が営業担当者と接触する前に、すでに購買の意思決定プロセスの大半を終えているケースも少なくありません。
こうした背景から、企業には顧客の検討段階に応じたタイミングで適切な情報を提供し、リードを育成する体制が求められています。
インサイドセールスは、まさにこのニーズに応える手法として有効です。マーケティング部門と連携しながら、見込み顧客の関心度や行動履歴に応じてアプローチを最適化することで、効率的かつ継続的なリード獲得とナーチャリングが可能になります。
顧客の購買行動が「営業主導」から「顧客主導」へとシフトする中で、インサイドセールスはBtoB営業の新たなスタンダードとして、今後ますます重要性を増していくでしょう。
2-3.新型コロナの感染拡大によって非対面型コミュニケーションが重要視されるようになったため
新型コロナウイルスの感染拡大は、企業の営業活動に大きな変化をもたらしました。
対面での商談や訪問営業が制限される中、非対面型コミュニケーションの重要性が一気に高まり、インサイドセールスの導入が加速しました。
これまで日本では、「直接会って話すことが礼儀」とされる商習慣が根強く、オンラインでの営業活動には一定の抵抗感がありました。
しかし、感染対策の必要性から非接触型のコミュニケーションが急速に浸透し、ZoomやGoogle Meetなどのオンライン商談ツールが広く普及。現在では、これらのツールを活用した営業活動が一般化しています。
この環境変化により、企業は物理的な移動を伴わずに商談を進められる営業体制の構築を迫られるようになりました。インサイドセールスは、こうしたニーズに応える形で注目され、営業効率の向上やリード獲得の強化を目的に導入する企業が増加しています。
今後も、非対面型の営業スタイルは「一時的な代替手段」ではなく、持続可能な営業戦略の一部として定着していくと考えられます。インサイドセールスは、ニューノーマル時代の営業活動において、不可欠な手法となりつつあります。
3.インサイドセールスのメリット
インサイドセールスは、従来型の訪問型営業に比べて、営業効率や成功率の向上に寄与する営業手法が注文くされています。ここでは、企業がインサイドセールスを導入することで得られる代表的なメリットを3つ紹介します。
インサイドセールスの主なメリット |
・訪問にかかる時間·費用の削減 |
これらのメリットを正しく理解することで、インサイドセールスが自社の営業活動にどのような価値をもたらすのかを明確に把握できます。それでは詳しく見ていきましょう。
3-1.訪問にかかる時間·費用の削減
インサイドセールスの最大のメリットの1つは、営業活動における移動時間や交通費などの非本質的なコストを大幅に削減することができる点です。
従来の訪問型営業では、見込み度合が不明な場段階でも営業担当者が物理的に訪問し、商談の機会を創出する必要がありました。しかしこの方法では、以下のような課題が生じがちです。
・商材案内のためだけの訪問に時間がかかる |
インサイドセールスでは、電話・メール・オンライン商談ツールなどを活用し、初期接触からのニーズの顕在化まで非対面で効率的に進めることが可能です。
これにより、営業担当者は成約確度の高いリードにしぼって訪問を行うことができ、営業リソースの最適化とコスト削減を同時に実現できます。
特に新規開拓においては、「見込み度合いの低い顧客への訪問が徒労に終わる」といった非効率を回避できる点が、インサイドセールスの大きな強みです。
3-2.アプローチできる顧客数の拡大
インサイドセールスのもう一つの大きなメリットは、限られた営業リソースでより多くの顧客にアプローチできる点です。
従来の訪問型営業では、1日に対応できる顧客数には物理的な制約があり、営業担当者の1人当たりの生産性には限界がありました。
例えば、1日で訪問できる企業数は平均して5社程度が限界とされており、アポイントの調整や移動時間を考慮すると、実際にはそれ以下になるケースも少なくありません。
一方、インサイドセールスでは、電話やメール、オンライン商談ツールを活用することで、1日に対応可能な顧客数を飛躍的に増やすことが可能です。
【1日に対応できる顧客数の比較】
営業手法 | 1日あたりの対応件数(目安) |
訪問型営業 | 約5社 |
電話によるインサイドセールス | 約16社(1社30分換算) |
メールによるインサイドセールス | 数百〜数千社(同報送信) |
このように、非対面型の営業手法を活用することで、アプローチの「量」を確保しながら、効率的な営業活動が実現できます。
特に、リードの初期接触や情報提供フェーズでは、訪問を伴わないコミュニケーションの方がスピード感を持って対応できるため、営業プロセス全体の最適化にもつながります。
また、アプローチ数が増えることで、より多くの見込み顧客を母集団として確保できるため、成約率の向上や営業パイプラインの安定化にも寄与します。
3-3.成約確度が高いリードへの集中アプローチ
インサイドセールスのもう一つの大きなメリットは、成約見込みが高い顧客に対して、タイミングを見極めた効率的なアプローチが可能になる点です。
従来の新規営業では、初回訪問で即座に成約に至るケースは稀であり、営業担当者は見込み度の不明な顧客にも等しく時間と労力をかける必要がありました。その結果、営業リソースが分散し、成約に至らない案件に多くの時間を費やしてしまうという非効率が生じがちです。
一方、インサイドセールスでは、見込み顧客との継続的なコミュニケーションを通じて、ニーズの顕在化を促しながら関係性を構築することができます。
例え初期段階では関心が薄かったとしても、定期的な情報提供や課題ヒアリングを通じて、顧客の購買意欲を徐々に高めていくことが可能です。
そして、顧客の関心が高まり、課題と自社サービスの接点が明確になったタイミングで、フィールドセールス(訪問営業)へとスムーズに引き継ぐことで、成約確度の高い商談を効率的に創出できます。
このように、インサイドセールスは「量」だけでなく「質」の高い営業活動を実現するための重要な仕組みであり、営業プロセス全体の最適化と成果の最大化に貢献します。
4.インサイドセールス導入の課題は経験値・ノウハウの蓄積が不可欠
インサイドセールスは多くのメリットを持つ営業手法ですが、導入にあたっては一定の経験値と専門的なノウハウが必要である点に注意が必要です。
非対面型の営業活動は、単に電話やメール、Web会議ツールを活用すれば良いというものではありません。
インサイドセールスの本質は、顧客の潜在的なニーズを引き出し、信頼関係を構築しながら購買意欲を高めていくことにあります。そのためには、顧客の感情や課題に寄り添うコミュニケーション力や、的確なヒアリング・提案スキルが求められます。
こうしたスキルは、従来の営業事務やアシスタント業務とは異なるため、社内の既存人材だけで対応しようとすると、成果が出にくい・施策が定着しないといったリスクが生じます。
【よくある導入時の課題】 |
インサイドセールスを成功させるためには、専任チームの立ち上げや、体系的な教育プログラムの整備、適正人材の採用・配置が不可欠です。また、外部パートナーとの連携や、ツール・データの活用による業務支援も、導入初期のハードルを下げる有効な手段となります。
このように、インサイドセールスは「導入すればすぐに成果が出る」ものではなく、戦略的な設計と継続的な運用改善が求められる営業モデルであることを理解しておく必要があります。
5.インサイドセールスを導入する2つの方法
インサイドセールスを導入して、営業活動を効率化するには、具体的にどのようにすればいいのでしょうか。
企業がインサイドセールスを導入する際の主な方法は以下の2つです。
インサイドセールスを導入する方法 |
・自社で行う方法 |
それぞれにメリット・デメリットがあり、自社の営業戦略やリソース状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。以下に、両者の特徴を比較してみましょう。
【自社運用と外部委託の比較表】
自社で行う方法 | 外部委託する方法 | |
メリット | ・ノウハウが社内に蓄積される | ・採用・教育の手間が不要 |
デメリット | ・立ち上げに時間とコストがかかる | ・営業活動の詳細が見えにくい |
向いている企業 | ・中長期的にインサイドセールスを内製化したい企業 | ・短期間で成果を出したい企業 |
ここでは、自社でインサイドセールスを導入する方法、外部委託する方法について詳しく解説します。
5-1.自社でインサイドセールスを導入する方法
自社でインサイドセールスを成功させるためには、単に営業手法を変えるだけでなく、見込み顧客の獲得から育成、商談化までを一貫して設計・運用する体制づくりが重要です。
ここでは、インサイドセールスを導入・運用するための基本的な3ステップをご紹介します。
STEP1:アプローチ先を決める
インサイドセールスの第一歩は、アプローチすべき見込み顧客の選定とリスト化です。
ターゲットの選定方法は大きく分けて以下の2つに分類されます。
リードの獲得方法 | |
アウトバウンド型 | 自社でターゲットリストを作成し、電話やメールで能動的にアプローチする手法 |
インバウンド型 | 自社サイト、ホワイトペーパー、セミナー、SNSなどを通じて顧客からの問い合わせを獲得する手法 |
例えば、特定業界をターゲットとする場合は、業界団体の会員企業情報などをもとにリストを作成することが有効です。リスト作成後は、各企業のニーズや課題の有無を把握し、アプローチの優先順位をつけていきます。
STEP2:見込み客の状況の把握
ターゲットが明確になったら、次は初回コンタクトを通じて顧客の現状やニーズを把握します。
この段階では、以下のようなポイントを意識することが重要です。
状況把握の際に重要なポイント |
・事前に企業情報や業界動向を調査し、仮説を立てたうえでアプローチする |
ニーズが顕在化している場合は、営業判断の指標として「BANT情報(予算・決裁権・必要性・導入時期)」を確認することで、商談化の可能性を見極めることができます。
「BANT」とは以下の頭文字からきている言葉です。
・Budget(予算) |
STEP3:見込み客の状況に合わせた継続的な情報提供
ヒアリングによって見込み顧客の状況や課題を把握することができたら、次のステップは購買意欲を高めるための継続的な情報提供=リードナーチャリングです。
リードナーチャリングとは、見込み顧客に対して段階的に有益な情報を提供しながら、関心度を高め、最終的な購買につなげるプロセスを指します。このプロセスでは、顧客の業種・課題・検討フェーズに応じて、適切なコンテンツや接点を設計することが重要です。
【よく活用される情報提供により見込み客をナーチャリングする方法】
手法 | 目的・効果 |
業界関連の法改正やトレンド情報のメール配信 | 顧客の業務に役立つ情報を提供し、信頼感を醸成 |
類似企業の導入事例紹介 | 顧客の課題に近い成功事例を提示し、関心度を高める |
セミナー・ウェビナーの案内 | 自社の専門性を伝え、理解促進と関係構築を図る |
メルマガ内リンクのクリック履歴をもとに電話フォロー | 顧客の興味を可視化し、タイムリーな提案につなげる |
例えばECサイト向けの新しい決済サービスを提供する企業の場合、見込み客であるEC事業者に対して、他社の導入事例を紹介するメールマガジンを送ることで、「自社でも導入すべきかもしれない」いった関心を引き出すことができます。
さらに、翌週のメールでサービス紹介ページのURLをクリックした履歴が確認できた場合は、すぐに電話でフォローアップを行い、顧客の課題に対して自社サービスがどのように貢献できるかを具体的に提案します。
このように、顧客の行動データをもとにしたタイミングの良い情報提供とフォローは、購買意欲の醸成に非常に効果的です。
継続的な情報提供は、単なる営業活動ではなく、顧客との信頼関係を築き、長期的な関係性を育てるマーケティング活動の一環です。インサイドセールスにおいては、このナーチャリングの質とタイミングが、成約率を左右する重要な要素となります。
5-2.インサイドセールスを外部委託する方法と選定ポイント
インサイドセールスの導入にあたっては、自社で専任チームを構築する「内製型」のほかに、外部の専門業者に委託するアウトソーシング型という選択肢もあります。
特に、営業リソースが限られている企業や、短期間で成果を求める企業にとっては、外部委託によるインサイドセールスの導入は非常に有効な手段です。
ただし、委託先の選定を誤ると、期待した成果が得られないばかりか、ブランドイメージや顧客対応品質に悪影響を及ぼす可能性もあるため、業者選びは慎重に行う必要があります。
インサイドセールスアウトソーシング先を選ぶ5つのポイント | |
委託形態の選定 | 法人(代行会社)かフリーランスかを選択。業務規模や管理体制に応じて判断 |
サービス内容の適合性 | 自社の課題や営業プロセスに合ったサービスかどうかを確認 |
料金体系の柔軟性 | 月額固定・成果報酬など、予算に合った料金体系を選べるか |
商材との親和性・実績 | 自社の業界や商材に対する理解・対応実績があるか |
セキュリティ対策の有無 | 顧客情報を扱うため、情報管理体制やセキュリティポリシーの確認が必須 |
インサイドセールスの外部委託には、スピーディーな立ち上げ・営業人材の確保・成果の最大化といったメリットがある一方で、社内にノウハウが蓄積されにくい・活動の可視化が難しいといったデメリットも存在します。
導入目的や期間、社内体制を踏まえたうえで、自社にとって最適な委託形態とパートナーを選定することが成功の鍵となります。インサイドセールス代行を利用した場合、自社にどのようなメリットやデメリットがあるのか別の記事にて詳しく解説しています。こちらもあわせてお読みください。
6.インサイドセールスに必要なツール
インサイドセールスを効率的かつ戦略的に運用するためには、適切なツールの導入が不可欠です。
特に、膨大な顧客情報を管理し、タイムリーかつパーソナライズされたアプローチを実現するには、以下の3つのツールが重要な役割を果たします。
インサイドセールスに必要なツール |
・MA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション) |
使用するフェーズとしては以下のようになります。
それぞれのツールは、営業プロセスの異なるフェーズで活用され、リード獲得から育成、成約、関係維持までを一貫して支援します。
6-1.MA(マーケティングオートメーション)
MA(マーケティングオートメーション)ツールは、見込み顧客の獲得・育成を自動化・可視化するマーケティング支援ツールです。Webサイトの訪問履歴、メールの開封・クリック状況などを追跡し、顧客の関心度や行動を把握することができます。
MAツールを活用すると、インサイドセールスを行う際に必要な業務のうち以下を実施することができます。
MA(マーケティングオートメーション)でできること |
・サイト訪問者の企業名・行動履歴の取得 |
例えば、ある商材に関するメールを開封しなかった顧客が、別の商材に関するメールではリンクをクリックして詳細ページまで閲覧していた場合、その顧客の関心領域を特定し、より精度の高い提案が可能になります。
MAツールは、インサイドセールスの初期接触からナーチャリングまでを効率化し、成約確度の高いリードを抽出するための基盤となります。
6-2.SFA(営業支援システム)
SFA(営業支援システム)は、営業活動に関する情報を一元管理し、営業プロセスの可視化とチーム間の情報共有を支援するツールです。
SFA(営業支援システム)でできること |
・顧客との通話内容やアプローチ履歴の記録 |
属人化しがちな営業活動をデータベース化することで、チーム全体での連携や改善が可能になります。
例えば、顧客への電話対応内容を記録しておけば、次回のメールや別担当者によるフォローアップにも活用でき、一貫性のある顧客対応が実現します。
6-3.CRM(顧客関係管理システム)
CRM(顧客関係管理システム)は、顧客との接点や属性情報を一元管理し、長期的な関係構築を支援するツールです。SFAが「営業活動」を軸にしているのに対し、CRMは「顧客との関係性」を軸に情報を管理します。
CRM(顧客関係管理システム)でできること |
・顧客の属性・履歴・接点情報の統合管理 |
CRMを活用することで、顧客との過去のやり取りを正確に把握し、信頼関係を損なわない対応が可能になります。特に、数百〜数千件のリードを同時に管理するインサイドセールスでは、CRMは必須のインフラと言えるでしょう。
まとめ
インサイドセールスとは、自社の見込み客に対して電話やメールなどで適切にアプローチすることで、成約率を高めたり購入意欲を育てたりするための内勤型営業活動のことです。
インサイドセールスとよく混同されがちな「テレアポ」「テレマーケティング」との違いは、下記のとおりでした。
「テレアポ」「テレマーケティング」との違い |
●インサイドセールスとテレアポの違い ●インサイドセールスとテレマーケティングの違い |
自社に合う方法で、ぜひインサイドセールスを活用し、ビジネスの成功を目指していきましょう。