「MVVを策定したけど、なかなか社員に浸透しない…」
「MVVはあるのに、実際の行動に落とし込めていない…」
と感じていませんか?
MVVとは、企業や組織の方針を示す羅針盤のようなもので、
・Mission(ミッション) |
の頭文字を取った略語です。
MVVを策定し、組織全体に浸透させることで、以下のようなことが可能になり、社員一人ひとりが共通の目標に向かって行動できるようになります。
・自社の「存在意義」「目指す未来像」「価値観」が明確化され、社員が自社の方向性を理解できる |
こうしたMVVを社内に浸透させるためには、社員がMVVを「自分ごと化」し、どうやって行動に反映すればいいのかを言語化する必要があります。
しかし、具体的にどのような施策を行えばいいのかイメージがつかない方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、株式会社エバーライフ様より業務を委託いただいているトランスコスモスの「MVVの浸透に成功した事例」をご紹介します。
トランスコスモスでは、事業所ごとにMVVを策定し、各コンタクトセンター(コールセンター)の方向性を明確化しています。
MVVの浸透率を課題としていた現場で「どのような施策を講じ浸透率をアップさせ、どのような効果をもたらしたのか」成功までの一連の流れを解説していくため、自社での取り組みイメージも湧きやすくなるでしょう。
ぜひ最後までお読みください。
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1.MVV浸透 成功事例:株式会社エバーライフ様
株式会社エバーライフ様(以下エバーライフ様)は、健康食品・化粧品の販売を目的として、自社と複数のベンダーによるコンタクトセンター(コールセンター)を運営しています。
その中でトランスコスモスは、エバーライフ様本社と同じシステム環境をトランスコスモス内に構築し、エバーライフ様の自社コンタクトセンターと同様の業務を運営しています。
・休眠顧客または離反顧客へのアプローチ |
それでは早速、株式会社エバーライフ様より業務を委託いただいているトランスコスモス コンタクトセンターのMVV成功事例を見ていきましょう。
1-1.課題
トランスコスモスが運営するエバーライフ様のコンタクトセンターでは、社内のMVVの浸透率は63%。
つまり、MVVを日々の業務や行動に反映できていない社員が37%いる状況であり、まだまだ改善の余地が大きい状態といえます。
課題 |
コンタクトセンタースタッフ全体で、顧客コミュニケーションに対する意思統一が図れていない |
このコンタクトセンターでは、すでに以下のようなMVVを策定しており、社内のMVV浸透率を向上させることが大きな課題となっていました。
【MVV】
Vision | お客様との出会いに感謝し、コミュニケーションを通して一生涯のお付き合いをしていただけるよう努める |
Mission | お客様に寄り添い「One-to-One」で「元気&HAPPY」を届けることで、お客様の「笑顔あふれる毎日」を実現する |
Value | Trust(信頼) Contribution(貢献) Improvement(成長) People(ヒト) |
Visionに掲げている「お客様との出会いに感謝し、コミュニケーションを通して一生涯のお付き合いをしていただけるよう努める」という言葉は、エバーライフ様の企業理念ではなく、トランスコスモスが社内のMVV浸透率を向上させるために行った取り組み「エバーライフ様プロジェクト」によって、エバーライフ様の企業理念の一部を取り入れ、策定されました。
エバーライフ様の企業理念は以下の通りです。
1-2.施策
“MVV浸透率の改善”という課題を受けて、以下2つの施策を行いました。
施策 |
(1)優秀なオペレーターがMVV行動ノウハウをプレゼンし他オペレーターへ共有する |
それぞれの施策について、詳しく解説します。
(1)優秀オペレーターが自身のMVV行動ノウハウをプレゼンし他オペレーターへ共有する
まずは、オペレーターが考えるMVV行動ノウハウを他のオペレーターにプレゼンしてもらうという施策を実行しました。
MVV行動ノウハウとは、MVVを実際の業務や行動に落とし込むためのコツや方法のことです。
この施策を行った理由は、以下2つあります。
1つは、MVV行動のハードルを下げるためです。
当時、オペレーターの間では、「MVVは何か行動を起こさなければならない」もので、「MVVに従って行動する=現在の業務とは別にアクションする必要のあるもの」として捉えてしまう傾向にありました。
そのため、優秀なオペレーターがノウハウを教えることでやり方を知ってもらい、行動のハードルを下げる狙いがありました。
2つめの理由は、オペレーターにMVV行動を「自分ごと」として捉えてもらうためです。
現場では、コンタクトセンターの管理者が主体となってMVV達成に向けた行動が指示されるため、オペレーターが受け身な姿勢になってしまいます。
そこでオペレーター自身がプレゼンし、互いにディスカッションを行うことで、オペレーターに主体性を持たせ、自分ごと化してもらうことを目的としました。
実際に、優秀なオペレーターのプレゼンを聞いた新人のIさんは「先輩メンバーに困っていることを質問する時間もあってとても参考になりました」と感想を述べています。
これによって、オペレーターが主体的にMVV行動について考え、行動する流れを作り出すことができました。
また、MVV行動をアップセルの中でどのように行えばいいのかを、事業所のオペレーター全員に知ってもらうことができました。
(2)プレゼン内容を資料化して、学習コンテンツにする
次に、優秀なオペレーターがプレゼンした内容を資料化し、学習コンテンツとしてコンタクトセンター(コールセンター)内で共有するという施策を実行しました。
これには「オペレーターが顧客に商品を勧める際に、どのようにMVV行動をすればいいのか」を、各オペレーターが振り返ったり学んだりして、自分の中に落とし込んでもらう狙いがあります。
この施策を行ったことで、お客様企業のネットワーク環境下でも学習コンテンツを冊子にして回し読みできるようにしたり、壁に掲示したりして、いつでも何度でもMVV行動ノウハウを学べるようになりました。
新人のオペレーターからも「ナレッジも再度確認ができて助かります!」という声が上がっており、MVV行動を日々の業務に落とし込むための工夫が功を奏しています。
またそれだけでなく、新人が入社したときの研修資料としても活用できるほどの、育成面でも有益なナレッジとなりました。
1-3.成果
こうして施策を実行した結果、以下のような成果を得ることができました。
【MVV浸透率】 <2023年度上期> MVV浸透率 63% ▶ <2023年度下期> MVV浸透率 83.0% (前回比 +20.0%) |
このように、MVVの浸透率は施策を通して大きく向上させることができました。
またMVVの浸透率に比例して、従業員満足度も大きく向上しました。
【従業員満足度】 <2023年度上期> 従業員満足度 56% ▶ <2023年度下期> 従業員満足度 72% (前回比 +16%) |
さらにはコンタクトセンター運営をする中で、業務上の課題となっていた「アップセル率、クロスセル売上」も大きく改善することができました。
【アップセル率実績】 アップセル率とはTVCMを観てお試しで購入希望の顧客に対して、定期的な購入を提案し、実際に定期購入へつながった割合のことです。 11月:アップセル率 前月比+102.7% その後も施策開始時の10月と比較し103%以上の伸長を達成しています。 |
【クロスセル売上実績】 クロスセル売上とは、顧客が当初購入を検討していた商品やサービスに加えて、関連する別の商品やサービスをオペレーターが追加で勧め、購入してもらうことで得られる売上のことです。 11月:クロスセル売上 (前月比 151.2%) |
2.事例から分かるMVVを浸透させる4つの効果
1章で解説したエバーライフ様の事例から、MVVの浸透率を高めることは、組織や企業にとって大きな効果があることがわかります。
エバーライフ様の成功事例から分かる、MVVを浸透させる効果 | |
効果 | 成功事例から分かること |
従業員のエンゲージメントの向上 | 従業員満足度が56%から72%に大幅に向上 |
組織の一体感の醸成 | MVV行動に関するコミュニケーション(プレゼンやディスカッション)を通じて、共通の目標や価値観が共有され、組織全体の一体感が高まる |
主体性の醸成 | 優秀なオペレーターによるプレゼンを通じて、その他のオペレーターがMVV行動を自分の業務に落とし込んで、主体的に動けるようになる |
業績の向上 | ・アップセル率が最大110%伸長 |
このようにMVVを社内に浸透させることで、組織運営をしていくうえで大きな効果を生み出し、最終的には業績を向上させることにつながるといえるでしょう。
3.社員がMVVを自分事にすることで高い効果が生まれる
この記事ではMVVを社内浸透させた成功事例をご紹介しましたが、MVVは策定し、ただ運用していくだけでは意味がありません。
成功事例からも分かるように、MVVを策定したあとは、社員一人ひとりに「MVVは自分の業務に必要なものだ」と自分事として考えてもらうことが重要です。
各社員がMVVを自分ごととして捉えていれば、日々の業務における判断や行動の際、MVVを指針として行うようになります。
その結果、MVVに基づいた行動が日常的に行われるようになり、組織の目標達成や業績向上へとつなげることができるのです。
実際に、今回ご紹介したトランスコスモスが運営するエバーライフ様のコンタクトセンター(コールセンター)では、
「MVV行動を業務の中に落とし込むためのノウハウを、優秀なオペレーターがプレゼンし、みんなでディスカッションする」
という機会を設け、各オペレーターにMVVを自分ごと化させ、MVVの浸透率アップに成功しています。
このように、MVVは策定するだけでなく、運用時に社員一人ひとりがMVVを自分ごと化できるように、主体性を持って動ける施策を考えることが重要といえるでしょう。
4.MVVが浸透したコンタクトセンター(コールセンター)の運用を目指すならトランスコスモスへおまかせください
MVVが浸透し、メンバー全員が同じ方向を向いて業務を行えるようなコンタクトセンター(コールセンター)の運用は、トランスコスモスにおまかせください。
トランスコスモスでは、コンタクトセンターにおけるMVVの策定から運用までをトータルサポートしております。
2019年から事業所MVVの取り組みを開始し、500カ所以上のコンタクトセンターに導入。この豊富な経験と専門知識を活かして、効果的なMVV策定と浸透を実現できます。
事業所MVVとは、顧客が期待する顧客接点を実現するために、お客様企業のVisionを理解した上でそれを実現するためのMission・Valueまで落とし込むトランスコスモス独自の取り組みです。
トランスコスモスが提供する事業所MVVでは、
【MVVが浸透したコンタクトセンターの運用をするためにトランスコスモスができること】 ◆MVV策定プロセスにおいて、顧客企業の理念や期待を深く理解し、センター運営に反映させている ◆オペレーターを含む現場スタッフがMVV策定に参加することで、MVVの「自分ごと化」を促進し、高いモチベーションと主体性を引き出す ◆MVVをCX向上に直接結びつけ、顧客体験の質向上に貢献する |
といったことが可能です。
コンタクトセンター運用ならトランスコスモスへご相談ください |
私たちは、各事業所にMVVを策定するのはもちろん、さまざまな視点から顧客接点におけるCXを最大化させ、顧客企業の事業をサポートしています。 最先端のテクノロジーや顧客対応のベストプラクティスを活用しながら、お客様企業のMVV実現に向けて共に尽力いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。 |
まとめ
この記事では、MVVの浸透に成功させた事例としてエバーライフ様のコンタクトセンター(コールセンター)の例をご紹介しました。
ここで改めて事例や、事例から分かる効果を整理してみましょう。
◆成功事例の課題、施策、成果
【課題】 【施策】 【成果】 <2023年度上期> MVV浸透率 63% ▶ <2023年度下期> MVV浸透率 83.0% (前回比 +20.0%) |
◆事例から分かるMVV浸透させる効果
・従業員のエンゲージメントの向上 |
◆MVVを浸透させるには「自分ごと化」させなければ効果が出ない
本記事がMVVの浸透に悩むご担当者様の参考になれば幸いです。