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「生成AIが注目されているけれど、コンタクトセンターでも活用できるの?具体的な活用方法が知りたい」
「生成AIをコンタクトセンターで活用するメリットはあるの?実際の活用事例を見てみたい」
日々のニュースで耳にする機会が増えた生成AI。
ビジネスへの活用が期待されているものの、コンタクトセンター(コールセンター)ではどのように活用できるのか気になっている担当者は多いのではないでしょうか。
トランスコスモスではコンタクトセンター業務に生成AIを活用し、業務効率化やコスト削減につながる取り組みを始めています。
2024年5月にトランスコスモスとNTTコミュニケーションズ株式会社様で共催したセミナーでは、生成AIの市場動向やコンタクトセンターでの活用事例、NTTコミュニケーションズ株式会社様が提供を開始した軽量かつ世界トップレベルの日本語処理性能を持つ大規模言語モデル「tsuzumi」(つづみ)の特徴などをご紹介しました。
今回はセミナーの内容をいち早くレポートとしてお伝えします。
◎生成AIを取り巻く市場の動向 |
この記事を最後まで読めば、生成AIの現状やCX向上につながるコンタクトセンターでの活用方法が理解できます。
今後ますます注目される生成AIについて理解を深めるためにも、参考にしてみてください。
【登壇者紹介】 トランスコスモス株式会社 |
1.生成AIを取り巻く市場の動向
まずは、生成AIを取り巻く市場の動向をご紹介します。
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTTコミュニケーションズ)に寄せられたお問い合わせデータも踏まえて解説していくので、参考にしてみてください。
生成AIを取り巻く市場の動向 |
(1)現在の生成AIの動向 |
1-1.現在の生成AIの動向
昨今は言語モデルに関するニュースが増えています。
多くのニュースでは言語モデルが大規模化競争時代に突入し、大きい言語モデル(学習範囲が広く汎用的でデータ量が多い言語モデル)が次々に市場に出てきていることを伝えています。直近ではGPT-4oの登場も大きな話題となりました。
ただ、大きい言語モデルと小さい言語モデル(学習範囲を限定したデータ量の少ない言語モデル)の二極化も進んでいます。大きい言語モデルがどんどん広がっていく一方で、小さい言語モデルをうまく組み上げていく動きもあります。
最近では「SLM」と呼ばれる小規模な言語モデルの活用も注目されています。
1-2.生成AIの使い分けパターン
大きい言語モデル | 汎用AIの世界 |
小さい言語モデル | 集合知の世界 |
今後、大きい言語モデルと小さい言語モデルは、使い分けや組み合わせて利用する世界になります。
まずは、AGI=汎用AIの世界です。
大きい言語モデルは、人の代わりとなる活用領域を増やすべく進化を遂げています。
一方で、小さい言語モデルは、どちらかというと特化型の用途で使われています。
例えば、医療や製造などの業界で、特定の業務に特化し利用されます。
複数のLLM(大規模言語モデル)を組み合わせて使い分けるアプリケーション構築し、最終的には様々な専門家の知識を持ち寄って、最適解を見出す集合知の世界が作り出すことができるでしょう。
ただ、この大きい言語モデルと小さい言語モデルは別に扱っていくのか言うとそうではなく、両者の長所や短所を踏まえ、組み合わせながらどのように顧客の価値につなげていくのかがポイントになると考えています。
1-3.生成AIに期待する利用用途
NTTコミュニケーションズに寄せられている生成AIに関するお問い合わせは、2023年11月に「tsuzumi」を発表してから、右肩上がりの状況です。
2024年5月時点では、以下のように多種多様な業界から370件を超えるお問い合わせをいただいています。
利用用途は「CX・顧客対応改善」と「EX・社内業務改善」の2つに偏っている傾向がありますが、ITの運用部分やソフトウェア開発の効率化など、生成AIが強いと言われている部分のお問い合わせもいただいています。
また、NTTコミュニケーションズでは、毎年VOC(お客さまの声)を収集しています。
2023年度はビジネス変革を目的としたデジタルマーケティングや生成AI活用によるCX向上や業務効率化など、VOCの内容にも変化がありました。
従来の業務効率化はRPA(事務作業を自動化するソフトウェア・ロボット技術)が進んでいましたが、生成AIの活用した取り組みが追いついてきたと実感しています。
他にも、コンタクトセンター(コールセンター)の業務効率化は、これまでも多数のお声をいただいてきた領域ですが、生成AIという技術の活用という点でも引き続きお声としていただくことが多い領域です。
CXやEXの領域は、生成AIの登場で形が変わってきていると感じています。
2.大規模言語モデル「tsuzumi」の4つの特徴
ここでは、NTTグループが開発した大規模言語モデル「tsuzumi」の特徴をご紹介します。
「tsuzumi」にはどのような特徴があるのか、ぜひ参考にしてみてください。
大規模言語モデル「tsuzumi」の特徴 |
(1)秘匿性の高いデータを扱うことができる |
2-1.秘匿性の高いデータを扱える
「tsuzumi」は、小さい言語モデルであることがキーになるかと思います。
「tsuzumi」はサイズが0.6Bの超軽量版7Bの軽量版の2種類があります。
「GPT-3」と比較すると、0.6Bは300分の1サイズ、7Bは25分の1サイズで、学習やチューニングにかかるコストを抑えられます。
大きい言語モデルになればなるほど動作させるにはマシンパワーが必要となります。個別の環境を用意したり、利用する環境と近い場所で動かすことが難しくなりますが、「tsuzumi」ならゲーミングPC上で動かすことも可能です。
2-2.日本ドメインに強い
「tsuzumi」は、日本語のドメインに強いという部分にはこだわりを持っています。
日本には特有の風土や文化、そして言語表現が多数あり、学習させるデータの質も重要になってきます。海外産のLLMは学習データに(Web上から集めたノイズのあるデータ)に、日本語が0.1%しか含まれていないという例もあります。
NTTでは長きにわたり日本語における自然言語処理の研究を行ってきており、そのデータやノウハウを最大限に活用してtsuzumiを開発しています。
2-3.小型で省電力
「tsuzumi」は小さい言語モデルなので、比較的速いレスポンスを返せます。
一概には言えませんが、大きい言語モデルのほうがレスポンスは遅い傾向にはあります。
また、大きい言語モデルは動作するためにはかなりのGPUリソースが必要となってきます。個別に環境を用意する場合、設置する場所も含めて考える必要があり電力も課題となってきます。その点、「tsuzumi」なら省電力な使い方ができる点はポイントだといえるでしょう。
パブリッククラウドやハイパースケールなどのクラウドでは、言語モデルのサイズ問わず使用できます。
異なるのは、プライベートクラウドやオンプレミス環境での使用です。このような環境下でも利用できるのは、1つの特徴といえいます。
2-4.カスタマイズ・拡張性がある
「tsuzumi」はカスタマイズ・拡張性があり、下記の3つのチューニング方法を提供しています。
小型なLLMであることから「チューニング」しやすく、業務や業界に特化したものが作りやすいです。
お風呂のお湯の中にインクを1滴垂らしても全然色が変わりませんが、コップの中の水にインクを1滴垂らすと色が大きく変化するのとイメージとしてはわかりやすいかもしれません。
また、チューニングはコストがかかるため、比較的早く短期間で行うことが重要になります。
全体的なチューニングだけでなく、足りない部分だけを付け足すチューニング手法も取り入れています。
具体的には業界に特化した情報や、短い間隔で最新情報を入れるチューニングや、企業に特化した情報、タスクに特化した情報などに的を絞ってチューニングできるところがポイントです。
3.生成AIの活用が期待できるソリューション領域
NTTコミュニケーションズでは、3つの領域で生成AIの活用に取り組んでいます。
実際の取り組み事例や今後の展望を踏まえて解説していくので、ぜひご覧ください。
3-1.CXソリューション
CXソリューションでは、コンタクトセンター(コールセンター)の3つのシーンに着目して、オペレーター支援ができる取り組みを進めています。
【生成AIによるコンタクトセンターのオペレーター支援の領域】 (1)リアルタイムオペレーター支援:顧客対応中のオペレーター支援を行い顧客満足度向上や対応時間削減を目指す |
これらの支援は社内のコンタクトセンターやお客様企業と取り組みを進めている最中です。
ここではいくつかの取り組み事例をご紹介します。
※続きは限定公開です。すべての内容を閲覧するには、フォームにご記入ください。
4.CXを高めるためのオペレーション課題と生成AIを活用した解決策
ここでは、コンタクトセンター(コールセンター)でCXを高めるためのオペレーション課題と生成AIを活用した解決策をご紹介します。
トランスコスモスの経験や取り組みをもとに生成AIはどのような貢献ができるのかまとめていますので、参考にしてみてください。
CXを高めるためのオペレーション課題と生成AIを活用した解決策 |
(1)顧客満足度とコスト削減の両立が難しい |
4-1.顧客満足度とコスト削減の両立が難しい
昨今のコンタクトセンター(コールセンター)運用での課題は、顧客満足度とコスト削減の両立です。
顧客満足度を上げようとするとコストがかかる二律背反の構造になってしまうため、両者の関係を最適化させることが必要だと思っています。
そこでトランスコスモスでは、顧客満足度アップとコスト削減を同時に解決できないか考えて取り組んでいます。
これまでは顧客体験をアップさせようとするとコストが上がる状況でした。
これから先はお客様企業と顧客体験を上げてコストが下がる取り組みを進めていきたいと思っています。
4-2.コンタクトセンター(コールセンター)の総合運用で自己解決を最大化する
トランスコスモスでは生命保険業界を対象に「保険の手続きに困った場合にどのような手段で解決しましたか」というアンケート実施しました。
手続きに困ったことがないとの回答が約5割と半数を占めていますが、下記のような自己解決を目指す行動が一定数ありました。
・検索サイトやアプリから自己解決を図る |
以前は自分で調べず最初から電話をして解決する割合が多かったのですが、今の顧客は自分で検索をして自己解決する行動をします。
下記のように、顧客が自己解決できる仕組みを強化することで顧客の満足度が向上し、コンタクトセンター(コールセンター)のコスト削減につながると考えています。
そこで、顧客が自己解決できる仕組みのなかでも、オペレーションを効率化する部分に生成AIを活用していけないかという取り組みを始めています。
4-3.生成AIがサポートできる領域
コンタクトセンター(コールセンター)での生成AIの活用方法は、下記の3つに分かれます。
(1)ユーザー支援 |
ユーザー支援では社内問い合わせの自動化や一部の顧客対応の自動化など、業務効率化や品質向上につながる生成AI活用を目指します。
コンタクトセンター管理者支援ではスーパーバイザーやリーダーの負担を軽減できるように、ナレッジやFAQの生成などを行います。
そしてオペレーター支援では新人オペレーターの教育支援や、オペレーターが自走できるフォローなど業務効率化につながる生成AI活用を目指しています。
4-4.顧客体験の向上とコスト削減を実現する生成AIを活用したオペレーションフロー
実際に今取り組んでいる顧客対応プロセスの改善例をご紹介します。上記の図の上段が、通常の顧客対応プロセスです。
困りごとが発生すると、Web検索をしてコンテンツFAQを確認します。
困りごとの解決策がなければコンタクトセンター(コールセンター)に問い合わせをします。
オープニングではオペレーターが「お電話ありがとうございます」と挨拶をして、その後に要件を確認します。
ご本人の確認、解決策の検討、解決策のアナウンス、クローズと進みます。
多くのコンタクトセンターでは顧客対応記録システムにカテゴリー、ログを残して1件の対応が終わります。
このプロセスに生成AIを活用しているのが、上記の図の下段の流れです。応対接客後処理のフェーズでコンタクトセンターのスクリプトの最適化やナレッジの検索、記録作成などに生成AIを活用しています。
コンタクトセンターのスクリプトは長いケースがありますが、生成AIを活用してチェックをしてもらうことで、内容を最適化することもできます。
今高い効果が出ているのが記録作成の部分です。顧客の対応記録を残す業務に生成AIを導入することで、後処理時間の短縮を実現しています。
また、VOC(顧客の声)やQ&Aの抽出にも、生成AIを活用しています。要約とともにVOCを抽出して、AIやチャットボットで解決するFAQコンテンツを作成するなど、循環できるサービスを構築していく取り組みを進めています。
5.コンタクトセンター(コールセンター)での生成AI活用事例
ここでは、実際にトランスコスモスが取り組んだコンタクトセンター(コールセンター)での生成AI活用事例をご紹介します。
コンタクトセンターでは生成AIをどのように活用できるのかイメージが持てるかと思いますので、参考にしてみてください。
※続きは限定公開です。すべての内容を閲覧するには、フォームにご記入ください。
6.コンタクトセンター(コールセンター)での生成AI活用で見えてきたこと
最後に、トランスコスモスがコンタクトセンター(コールセンター)の生成AI活用で分かってきたことをご紹介します。
コンタクトセンターでの生成AI活用ではどのようなメリットと課題があるのかわかるため、参考にしてみてください。
コンタクトセンターのAI活用で見えてきたこと |
・特定のタスク処理では生産性向上に大きく貢献している |
6-1.特定のタスク処理では生産性向上に大きく貢献している
生成AIは要約などの特定タスクの処理や人とハイブリッドで利用する観点では、生産性向上に大きく貢献できると実感しています。
たとえば、AIと管理者を組み合わせた新人教育では、管理者の負担軽減と新人オペレーターの練習機会の創出につながっています。
一方で、現時点で全てをAIに任せることは難しく、人とどこで融合させてオペレーションを組むのかが大事です。
6-2.AIが活用するデータの整備が重要になる
AIで成果を出すためには、企業のQ&Aデータの整備がどの程度進んでいるのかが非常に重要です。そのためQ&Aデータの蓄積は早めに着手することが大切です。
トランスコスモスでは、商品購入からサービス問い合わせ対応までのデジタルフロント領域の不便さを生成AIと人によって解消していきたいと思います。
トライアル中の部分もありますが、サービスを進化させてお客様企業と取り組んでいきたいと考えています。
生成AI自動回答サポート「DEC Support」 |
トランスコスモスが提供している生成AI自動回答サポート「DEC Support」は、生成AIが複数のFAQを要約して回答をすることで自己解決率と満足度を向上した顧客対応ができます。 シームレスな有人チャットへの切り替えも可能で、迅速な問題解決に導きます。 「DEC Support」については下記で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。 |
まとめ
社会に大きなインパクトをもたらす生成AIは生産性やCX向上が期待できる側面、自社の課題に応じた使い方や導入方法が課題になります。
今回ご紹介したようにトランスコスモスでは、生成AIを活用したコンタクトセンター(コールセンター)のCX向上や管理者、オペレーターの負担軽減に取り組んでいます。
将来的には商品購入からサービス問い合わせ対応までのデジタルフロント領域の中で顧客が不便に感じていることを、生成AIと人によって解消していきたいと考えています。
コンタクトセンターでの生成AI活用でお悩みの場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。