モニター調査とは、自社の商品やサービスに対する意見を求める調査です。商品やサービスの使い心地や改善点、要望などリアルな声を聞いて、商品やサービスの改善、自社のブランディングへと活用します。
モニター調査の具体的な方法・種類は、下記の7つがあります。
モニター調査の7つの種類 |
1. インターネット調査 |
さまざまな調査方法があり、調査目的にあわせ取り組みやすい方法を選び実施できます。
そこでこの記事では、モニター調査を成功させるための秘訣や失敗してしまう原因について解説しています。
◎モニター調査とは
◎モニター調査の種類
◎モニター調査の実施手順
◎モニター調査を成功させるための3つのポイント
◎モニター調査で失敗してしまう3つの原因
この記事を最後まで読めば目的に応じた適切な調査を実施でき、よりよい商品やサービスを提供する糸口が見つかるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
1.モニター調査とは
モニター調査とは、自社の商品やサービスに対する意見を求める調査です。
「モニター」は意見を求める対象者を指しており、目的に応じて条件を絞り込みます。
たとえば、自社の商品が女性を対象としている場合は、女性をモニターとして設定します。モニターの属性は細かく設定でき、年代別や収入などと指定することで当てはまらない対象者を除外でき効率的な調査が可能です。
対象者のリアルな声や意見を収集できるため、商品やサービスの改善や顧客満足度の向上など幅広いマーケティングに活用できます。
モニター調査の概要や顧客のリアルな声をマーケティングに活用する方法にについては、別途詳しく解説していますのでそちらを参考にしてください。
2.モニター調査の種類
モニター調査には、主に下記の7種類があります。
モニター調査の種類 | 概要 |
インターネット調査 | インターネット経由で行うモニター調査 |
電話調査 | 電話を活用して実施するモニター調査 |
郵送調査 | 対象者にアンケートを郵送で送付し回答してもらう |
サンプル調査 | 商品やサービスを無料で提供し、使用感や感想を回答してもらう |
街頭調査 | 調査員が街角に立ちターゲットと一致しそうな人に質問をする |
インタビュー調査 | モデレーターと対象者との対話もしくは参加者との座談会形式で回答してもらう |
会場調査 | 対象者を会場に集めて調査をする |
目的に応じて適切な調査方法を選択するために7つの調査について解説します。
2-1.インターネット調査
インターネット調査とは、インターネット経由で行うモニター調査です。Web調査やオンライン調査と呼ばれることもあります。
総務省が公表している「令和4年情報通信白書」を見ると、個人のインターネット利用率は82.9%と高水準です。そのため、多くの意見を手軽に集められるところが特徴です。
また、インターネット調査向けのツールを活用すると、ターゲットの絞り込みからアンケートの実施、集計までをほぼ自動で行えます。モニター調査の手間を最小限にできるため、手軽に取り組めるところも大きな魅力です。
インターネット調査 | |
概要 | パソコンやスマートフォンを利用してインターネット経由で行う調査 |
メリット | ・短期間で多くのデータを集めやすい |
デメリット | ・回答の正確性や信頼性に欠ける場合がある |
2-2.電話調査
電話調査とは、電話を活用したモニター調査です。コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)のオペレーターが質問をして、対象者の意見や考えを調査します。
1対1で会話をしながら調査をするため回答の質が高く、回答に応じて深掘りができるところが特徴です。また、質問内容や調査趣旨を直接説明できるため、質問の意図を間違えて回答する可能性は極めて低いです。
電話調査 | |
概要 | 対象者に電話をかけて行う調査 |
メリット | ・対象者に応じて臨機応変な質問ができる |
デメリット | ・オペレーターが1対1で対応をするため時間と労力がかかる |
電話調査の種類・導入が向いている企業については、こちらの記事もご参考ください。
2-3.郵送調査
郵送調査とは、対象者にアンケートを郵送で送付し回答してもらう調査方法です。対象者と企業が良好な関係を築けていれば、親身に対応してくれる可能性が高く精度の高いデータを取得できます。
街頭調査や会場調査などのように定められたエリアではなく、広範囲や対象となる複数のエリアを一度に調査を開始できるところが特徴です。国や自治体などの調査にも活用されています。
郵送調査 | |
概要 | 対象者にアンケートを郵送で送付し回答してもらう調査 |
メリット | ・質問量が多くても対応できる |
デメリット | ・対象者の負担が大きい |
2-4.サンプル調査
サンプル調査とは商品やサービスを無料で提供し、使用感や感想を回答してもらう調査方法です。
店頭での手渡しや郵送で、サンプルとなる商品がサービスの場合は施設などの優待券を渡します。対象者は無料で商品やサービスを試せるため、対象者側にもお得感があるところが特徴です。
発売前の商品やサービスの感想の収集や既存の商品やサービスの改善点の収集に活用することが多いです。
サンプル調査 | |
概要 | 商品やサービスを無料で提供し、使用感や感想を回答してもらう調査 |
メリット | ・サンプルの使用過程のリアルな声を把握できる |
デメリット | ・サンプルの用意や郵送など調査にかかるコストと手間が大きい |
2-5.街頭調査
街頭調査とは、調査員が街角に立ちターゲットと一致しそうな人にモニター調査を実施する方法です。テレビや雑誌の調査方法としても使用されています。
事前にアポイントを取得することなく質問をするため、リアルな声を拾いやすいところが特徴です。また、特定地域の特色や傾向も収集しやすく、特定エリアでの自社商品やサービスの知名度や利用者の声を収集したい場合にも向いています。
街頭調査 | |
概要 | 調査員が街角に立ちターゲットと一致しそうな人にアンケートを取る調査 |
メリット | ・リアルな声を収集できる |
デメリット | ・質問数が限られているので簡単な質問しかできない |
2-6.インタビュー調査
インタビュー調査はアポイントを取った対象者に質問をして、その場で回答してもらう方法です。
1対1で実施するデプスインタビューと、数人同時に質問をするグループインタビューの2つがあります。
デプスインタビュー | 質問者と対象者が一対一でインタビューをする方法 個別対応がしやすく深層心理や隠れたニーズを拾いやすい |
グループインタビュー | 数人で1つのグループを作り、質問内容に対して回答してもらう方法 座談会のように自由に発言してもらうパターンや1人ずつ順番に回答をしていくパターンがある |
インタビュー調査は互いの属性を把握し顔が見える状態で実施するため、回答の質が高いところが魅力です。個別対応がしやすく質問を柔軟に変えることで意見や本音を聞き出すことができ、商品やサービスの改善などに役立てられます。
インタビュー調査 | ||
概要 | 事前にアポイントを取った対象者に質問をし、その場で回答してもらう調査 | |
メリット | デプスインタビュー | ・より深い意見や感想を聞き出せる |
グループインタビュー | ・多様な意見を一度に収集できる | |
デメリット | デプスインタビュー | ・対象者一人に対して手間と費用がかかる |
グループインタビュー | ・他者の意見に流されて本音が言えない可能性がある |
インタビュー調査は消費者インサイトをつかむ手法としても有効です。消費者インサイトについては、こちらの記事もご参考ください。
2-7.会場調査
会場調査は、対象者を会場に集めて調査をする方法です。新商品の試食の感想や新CMの内容への意見など、会場に足を運ばないとできない調査を実施します。
サンプル調査のように対象者に渡すことができない商品や機密情報を守りたい場合にも、活用することが多いです。会場内で調査を終えられるので、1日で一定量の回答を集められるところが特徴です。
会場調査 | |
概要 | 対象者を会場に集めて実施する調査 |
メリット | ・一度に多くの回答を収集できる |
デメリット | ・会場費や対象者に提供する試食費などコストと手間がかかる |
3.モニター調査の実施手順
つぎに、自社でモニター調査を実施するための基本的な手順をご紹介します。
どのような流れに沿って実践するべきか、あらかじめチェックしてみましょう。
3-1.モニター調査の目的と対象者を明確にする
まずは、事前準備としてモニター調査の目的と対象者を明確にしましょう。「1.モニター調査とは」で解説したように、モニター調査は新商品の使い心地の調査やサービスの改善点を把握するための調査、市場での認知度を図る調査など多彩な方法で使用できます。
どのような目的でモニター調査を行うのか、決めておきましょう。目的に応じて、モニター調査の対象者を年代や性別などを条件に選定します。データがあれば年収や家族構成、住居地域、購入頻度など対象者をより細かく絞りこむことも可能です。
3-2.モニター調査の方法を選択する
モニター調査の目的と対象者が決まったら「2.モニター調査の種類」を参考に、モニター調査の方法を選定します。モニター調査の方法を選ぶときには、下記のポイントを確認するといいでしょう。
モニター調査の方法を選ぶときのポイント | |
期間 | モニター調査にかかる期間を算出する |
調査の規模 | 対象者の人数を把握して調査の規模を確認する |
コスト(準備・実施・集計にかかる全コスト) | モニター調査にかかるコストの目安を算出する |
対象者の利便性 | 対象者が利用しやすい方法、対象者を集めやすい方法であるか確認する |
必要な道具・ツール | モニター調査をするために必要なツールを確認する |
目的との相性 | 目的に合う調査方法かどうか確認する |
調査をする側の負担感 | 調査を実施するためにどれくらい負担がかかるか |
期間やコストは、モニター調査の規模に応じて変化するため注意が必要です。たとえば、郵送調査は対象者が少ないと低コストですが、アンケートを送付する対象者が増えるとコストがかかります。
また、調査をする側の負担感も考慮しておくといいでしょう。個人インタビューや電話調査は人数が多いと長期に渡り取り組むことになり、負担が大きいです。
総合的に判断をして、問題なく実施できそうな方法を選定したら、実施をできるように準備を進めます。実施までの手順は各調査方法によって大きく異なるため、以下記事を参考にしてください。
参考記事:モニター調査とは?7つの手法を紹介
3-3.モニター調査を実施する
選択したモニター調査の方法に従って、調査を実施します。インターネット調査や電話調査、郵送調査は、調査を実施する側が調査期間中にとくに行うことはありません。
一方で、会場調査やインタビュー調査、街頭調査は調査をする側が主体となり進める必要があります。
3-4.モニター調査の結果を集計・分析をする
モニター調査が終了したら、結果を集計して分析をします。モニター調査の集計方法は、調査方法により異なります。パソコンのツールで自動的に集計できる場合や手動で集計をする場合、録音データを基に意見を書き出す場合など、さまざまな方法で集計をします。
集計が完了したら、データを基に分析を行いましょう。分析をする際は、目的と紐づけて考察をするといいでしょう。
たとえば、商品の改善点を把握したいという目的で、商品が扱いにくいという分析結果が出たとします。
目的の「改善」を前提として、どのような点が扱いにくくどのように改善ができるのか詳しく分析していきます。
分析を行うことで、モニター調査を自社の商品やサービスに反映させることが可能です。
分析の手順やポイントについては、こちらの記事もご参考ください。
トランスコスモスでは、顧客ニーズを把握するために、モニター調査を活用したご提案活動を実施しています。 企業のDX化を進めるためには、顧客ニーズを明らかにしたうえで改善をしていくことが重要になります。 その際トランスコスモスに相談くだされば、顧客ニーズ調査を実施した上で自社にあったコミュニケーションプランを提案・運用しますので、ご興味のある方は以下よりお問い合わせください。 |
4.モニター調査を成功させるための3つのポイント
ここでは、モニター調査を成功させるための3つのポイントをご紹介します。
モニター調査を成功させるポイント |
①事前にスクリーニング調査を実施する |
モニター調査を成功させるためにも、ぜひポイントを押さえて実施してみましょう。
4-1.事前にスクリーニング調査を実施する
スクリーニング調査とは、モニター調査に先駆けて実施する対象者を選別するための調査です。より細かく対象者を絞り込み、精度の高い回答を得ることを目的に実施します。
たとえば、自社の手持ちのリストでは、30代の男性までしか絞り込みができないとしましょう。モニター調査では年収300万円以上の車持ちの30代の男性まで限定したいので、スクリーニング調査をします。
スクリーニング調査では「あなたの年収を教えてください」「普段の移動手段を教えてください」などの選択式項目を設けて、対象者を選別できるようにします。(主にインターネット調査で実施します)
その結果、年収300万円以上の車持ちの30代の男性を選別でき、選別した対象者に向けたモニター調査が可能です。
・インタビュー調査や会場調査の対象者をできるだけ細かく選別したい
・自社の所有しているリストだけでは顧客の選別が難しい
という場合は、モニター調査の前にスクリーニング調査を実施してみるといいでしょう。
4-2.調査項目を精査する
モニター調査の回答の質は、調査項目に左右されます。調査項目を精査するときには、目的に応じた仮説を立ててみましょう。「ドリンクの品質を向上したい」という目的だった場合、どうすれば商品の品質を向上できるのか仮説を立てます。
仮説の一例 |
この仮説に沿って、調査項目を考えていきます。「サイズを変更する」の場合は「今のサイズは最適だと思いますか?」と質問して、5段階で回答してもらいます。このように仮説から項目を作成すると、目的から大きく外れる質問項目を避けることが可能です。
4-3.対象者にノベルティや謝礼を用意する
モニター調査の方法によっては、対象者に負担がかかります。無償で協力をしてもらうと回答の質の低下や企業やブランドの印象の悪化につながるため、ノベルティや謝礼を用意しましょう。
たとえば、会場調査の場合は、対象者全員にノベルティや金券を配布するのも一つの方法です。電話調査や郵送調査など対象者が多くなる場合は、抽選でノベルティをプレゼントする方法も考えられます。
謝礼やノベルティもモニター調査のコストとなるため、全体のコストと照らし合わせながら無理のない範囲で対応するといいでしょう。
5.モニター調査が失敗してしまう3つの原因
ここでは、実際にモニター調査をしたときに陥りやすい失敗をご紹介します。
モニター調査が失敗してしまう原因 |
①質問項目と目的が一致していない |
あらかじめ失敗の原因を把握していると対処ができるため、ぜひ参考にしてみてください。
5-1.質問項目と目的が一致していない
1つ目は、質問項目と目的が一致していないケースです。インターネット調査やサンプル調査、郵送調査など対象者に調査内容や質問項目を直接説明できない場合、対象者は質問項目のみを見て回答を行います。
そのため、質問項目と目的がずれていると思ったような回答を得ることができません。たとえば、商品の改善点を把握することが目的なのに「商品を使ってみた感想を教えてください」など抽象的な項目では、的確な回答を得にくいです。
その結果、有効なモニター調査にならず失敗に終わってしまいます。改善方法は「4-2.調査項目を精査する」で解説しているので参考にしてみてください。
5-2.思ったよりも時間とコストがかかった
2つ目は事前に具体的な計画ができておらず、モニター調査にコストと時間がかかってしまうケースです。モニター調査は調査の規模や調査方法によって、要する時間やコストが大きく異なります。
10人を対象にインタビューを行うことも1万人を対象に郵送調査をすることも、広義ではモニター調査に含まれます。
そのため「モニター調査は低コストで簡単にできた」という助言のみを信じて準備や計画をしていないと、後に大変なことになるのです。「3.モニター調査の実施手順」で解説した手順に従って、コストや規模、期間などを事前に明確にしておくと、大きな失敗を回避できます。
5-3.対象者へのフォローができていなかった
3つ目は、モニター調査の対象者へのフォローができていなかったケースです。モニター調査は内容によって、対象者への負担が異なります。中でも、電話調査やインタビュー調査、会場調査などは対象者を一定時間拘束しなければなりません。
その上で自社のために有益な回答や体験をしてもらうので、適切なフォローができていないと気分を害することになります。場合によっては、企業やブランドの顧客満足度や信頼感の低下につながりかねません。
改善策としては「4-3.対象者にノベルティや謝礼を用意する」で解説しているので、参考にしてください。
まとめ
いかがでしたか?最後まで読み、モニター調査の概要や種類、具体的な実施方法が把握できたかと思います。最後にこの記事の内容をまとめてみると
◎モニター調査とは自社の商品やサービスに対する意見を求める調査のこと
◎モニターの種類は下記のとおり
モニター調査の種類 | 概要 |
インターネット調査 | インターネット経由で行うモニター調査 |
電話調査 | 電話を活用して実施するモニター調査 |
郵送調査 | 対象者にアンケートを郵送で送付し回答してもらう |
サンプル調査 | 商品やサービスを無料で提供し、使用感や感想を回答してもらう |
街頭調査 | 調査員が街角に立ちターゲットと一致しそうな人に質問をする |
インタビュー調査 | モデレーターと対象者との対話もしくは参加者との座談会形式で回答してもらう |
会場調査 | 対象者を会場に集めて調査をする |
◎モニター調査の手順は下記のとおり
1)モニター調査を実施する目的と対象者の基準を明確にする
2)モニター調査の方法を選択する
3)モニター調査を実施する
4)モニター調査の結果を集計、分析する
◎モニター調査を成功させるためのポイントは次の3つ
1)事前にスクリーニング調査を実施して対象者を絞り込む
2)調査項目を精査する
3)対象者の負担に応じてノベルティや謝礼を用意する
◎モニター調査が失敗する原因は次の3つ
1)失敗項目と目的が一致しておらず有効な回答を収集できない
2)事前に計画できておらず時間とコストがかかった
3)対象者へのフォロー不足で不満が出てしまった
この記事を参考に目的に応じたモニター調査が実施でき、結果をマーケティングやブランディングに活用できることを願っています。