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消費者インサイトとは?見つけ方、ニーズとの違い、活用例など解説

消費者インサイトとは?その見つけ方、ニーズとの違い、活用例など解説

「消費者インサイトとはどんなもの? 消費者ニーズとはどう違う?」
「消費者インサイトを知りたいが、どうすればいい?」

企業のマーケティングに携わる方の中には、そのような疑問を持っている方も多いでしょう。

消費者インサイトとは、「消費者自身が気づいていない(あるいは意識していない)本音、感情、動機」です。

消費者インサイトとは

よく消費者ニーズと混同されがちですが、その違いは以下のように説明されます。

消費者インサイト

消費者自身はまったく自覚していない(意識していない)、深層心理に潜んでいる感情や動機

消費者顕在ニーズ

消費者自身が自覚している要望

消費者潜在ニーズ

消費者自身に自覚はないが、人に聞かれれば思い当たる要望

かつて企業は、消費者ニーズに応える商品やサービスを提供すればよかったのですが、近年では消費者のニーズはおおむね満たされているといわれています。

ニーズに応えるだけでは競合他社から抜きん出ることはできません。

そこで、ニーズよりも消費者の心の奥深くにあって表面化していない消費者インサイトをつかむことで、これまでにない、他社とはまったく異なる商品やサービスを生み出そうというトレンドが生まれたのです。

ただ、消費者インサイトは消費者自身にも自覚がないために、見つけるのが難しいものです。

そのためには、以下のような方法がとられます。

・ソーシャルメディア分析
・行動観察調査
・インタビュー調査
・MROC
・写真投影法

そこでこの記事では、消費者インサイトの定義から見つけ方まで詳しく説明していきます。

まず、消費者インサイトとは何かを正しく理解しましょう。

◎「消費者インサイト」とは?
◎「ニーズ」と「インサイト」の違い
◎なぜ消費者インサイトが重要なのか

その上で、実際に消費者インサイトを見つけて活用するにはどうすればいいかを具体的に解説します。

◎消費者インサイトの見つけ方
◎消費者インサイトを見つける際の注意点
◎消費者インサイトの活用例

この記事で、あなたの会社が消費者インサイトを活用できるよう願っています。

1.消費者インサイトとは

消費者インサイトとは

まず知っておきたいのは、消費者インサイトという概念、言葉の正確な意味です。

「ニーズ」とは似て非なるものですが、両者の違いについて詳しく説明しましょう。

1-1.消費者インサイトとは?

消費者インサイトについて、『「欲しい」の本質 人を動かす隠れた心理「インサイト」の見つけ方』(大松孝弘・波田浩之/宣伝会議)では以下のように定義しています。

インサイトは「人を動かす隠れた心理」と定義されます。
人間の心の中にあるさまざまな心理。その中で、人を動かす、言い換えればその人に変化をもたらすことに結びつく心理、を指します。

「人を動かす」なので、たとえば「ブランドAのインサイト」であれば、そのAを買ってもらうことや、Aを好きになってもらうことに関係する心理、ということになります。あくまでAに関わることであることが、インサイトの前提です。

出典:『「欲しい」の本質 人を動かす隠れた心理「インサイト」の見つけ方』
(大松孝弘・波田浩之/宣伝会議)

言い換えると、「消費者自身が気づいていない(あるいは意識していない)本音、感情、動機」です。

「インサイト=insight」とは、「洞察、洞察力、見通し、見識、直感」という意味の単語で、「消費者の本質を見抜く」ということからこう呼ばれています。

1-2.「ニーズ」と「インサイト」の違い

消費者インサイトは消費者ニーズと混同されがちですが、実際は異なるものです。

ではどのような違いがあるのでしょうか?以下の氷山ので説明します

「ニーズ」と「インサイト」の違い

ポイントは、「消費者本人が自覚しているか、していないか」にあります。

自覚があるのは顕在ニーズ、自覚はないが人から「なぜそう思うのですか?」と深く聞かれれば「……そういえば◯◯かもしれない」と思い当たるのが潜在ニーズです。

それに対して、まったく自覚(あるいは意識)していない、深層心理に潜んでいるのが消費者インサイトなのです。

例えば、消費者インサイトとニーズの違いを説明する際によく挙げられる有名な事例として、マクドナルドでの出来事があります。

2006年ごろ、日本のマクドナルドでは、消費者調査で「ヘルシーなものが食べたい」という声があがったため、「サラダマック」を発売しましたが、売り上げは伸びませんでした。

反対に、ボリュームがあってヘルシーとは言い難い「メガマック」や「クオーターパウンダー」を売り出したところ、こちらはヒット商品となりました。

つまり、消費者が意識しているニーズは「ヘルシー志向」でしたが、それよりもっと深いところでは、やはり「もっとボリュームのある肉が食べたい」という無意識の欲求があったのでしょう。

このように、消費者への表層的な調査ではわからないのが「消費者インサイト」です。

その隠された本心は、企業側が見つけ出さなければならず、時にはマクドナルドの例のように、ニーズとは真逆の結果になることもあり得るのです。

1-3.なぜ消費者インサイトが重要なのか

では、なぜこの消費者インサイトが重視されるようになったのでしょうか?

それは、現在では消費者のニーズはほぼ満たされてしまったからです。

企業側が「より便利に」「より高品質に」「より安く」といった消費者の要望に応え続けた結果、どの商品・サービスも消費者ニーズをだいたい満たすことができるようになりました。

しかし、そのかわりに競合他社から抜きん出ることや差別化が難しくなってしまいました。

商品AとBが並んでいた場合に、どちらも消費者ニーズにはひと通り叶っているために、消費者側としてはむしろどちらを選ぶべきか、どちらを選びたいかという決め手がなくなってしまったのです。

そこで、注目されたのが消費者インサイトでした。

消費者が意識しているニーズは誰でも知ることができますが、無意識の「インサイト」は表面にはあらわれてきません。

このインサイトをつかむことができれば、他社とはまったく異なる新しいヒット商品を生み出すことができるはずです。そのため、企業の注目はニーズから消費者インサイトへとシフトしたというわけです。

2.消費者インサイトの見つけ方

消費者インサイトの見つけ方

消費者インサイトが現代の企業にとって重要だとすれば、それを正確につかむ必要があるでしょう。

ただ、前述したようにインサイトは消費者自身も自覚していないため、見つけ出すのが非常に難しいものです。さまざまな手法を用いて、企業側が探り出し、的確に分析しなければなりません

そこで2章では、消費者インサイトを見つける主な方法をあげていきます

2-1.インタビュー調査

インタビュー調査は、消費者ニーズを知るために用いられることも多いですが、より深い消費者インサイトを見つけるためにも有効な手法です。

おおむね以下のいずれかの方法で行われます。

・グループインタビュー:4〜8人程度の消費者を集めて、座談会形式でインタビューする
・デプスインタビュー:消費者ひとりに対して、深く話を聞く

グループインタビューは、それぞれの消費者が他の人の意見に触れることで、それまで意識したことがなかった視点でものごとを見つめ直したり、自分の深層心理に気づいたりするため、そこから消費者インサイトを発見することができます。

一方デプスインタビューは、表層的なアンケートではわからないプライベートなことや、大きな声では言いづらい微妙な心理、負の感情なども引き出せる可能性があります。

「なぜそう思ったのか」「どうしてそのような行動をとったのか」「その結果どう感じたか」と質問をどんどん深めていくことで、消費者インサイトを引き出していきましょう。

コンタクトセンター(コールセンター)など、消費者と1対1で対話する機会がある場合にも、こういったインタビュー調査を行うことでデプスインタビューのように消費者の深い心理、消費者インサイトを引き出すこともできます。

2-2.ソーシャルメディア分析

次にソーシャルメディア分析です。この方法は、簡単に取り組めて効果的な方法です

これは、TwitterやInstagramなどのSNS、ブログ、口コミサイトなどから消費者インサイトを見つけ出すものです。

ソーシャルメディアには匿名で投稿できるため、建前ではない本音や無意識の行動が現れやすく、そこから消費者インサイトが見えてきます。

具体的には、以下のステップで行います。

1)自社の商品・サービスについて、ソーシャルメディアで検索する

Twitter、InstagramなどのSNSやブログなど、ソーシャルメディアごとに検索します。

例えば「商品A 買った」「商品A 食べた」などのキーワードで検索すれば、実際に購入した人の声を収集することができます。あるいは「商品A 欲しい」といったキーワードでは、まだ購入していないけれども興味を持っている人の書き込みが見つかるでしょう。

また、「ゼロパーティデータ」も活用したいところです。

「ゼロパーティデータ(zero party data)」とは、顧客が意図的かつ積極的に企業やブランドと共有する情報のことで、ソーシャルメディアでは収集しにくい個人情報が含まれるため、より正確な消費者情報を得ることが可能です。

ゼロパーティデータについて詳細は、別記事を参照してください。

2)投稿内容の共通点や特徴を深掘りする

投稿が集まったら、それらの中から共通点や特徴、傾向などを洗い出し、「なぜ購入したか」「どうして興味が沸いたか」といった理由や動機を探ります。

例えば、「ヘルシー」「ダイエット」というワードが多ければ、「健康にいいので買った」「ダイエットのために購入した」と考えられます。

3)顧客属性や利用状況も調べる

さらに、投稿内容を精査していけば、顧客の年齢層や性別などの属性、どのようなシチュエーションで利用しているかも見えてきます。

友人などの名前が含まれていたり、友人と一緒の写真が投稿されていたりすれば、「ひとりではなく友人と利用する」という傾向がわかりますし、利用されるタイミングなども知ることができるでしょう。

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などをご利用いただけます。
ご興味のある方、資料をご希望の方は、以下のページをご覧ください。

2-3.行動観察調査

同じく手軽で有効な手法として、行動観察調査というものもあります。

消費者の無意識の行動を観察することで、隠された消費者インサイトを探る方法です。

・新商品を開発したい場合
 ターゲット層の日常の生活や行動を観察する

・既存商品について改良改善したい場合
 店頭で実際に買い物する様子を観察する実際に利用操作している様子を観察する

このような観察を行うと、一定の傾向が浮き彫りになったり、企業側が想定していなかった行動が見られたりするでしょう。そこから「なぜそのような行動を取るのか?」を深く追求していくことで、消費者が本当に望んでいることが見えてきます。

例えば、マニュアルではAの方法で使うように記載しているのに、実際はBの方法で使う人が多かったとすると、そこに消費者インサイトがあるはずです。「なぜ」という動機を探れば、「もっと簡単に使いたい」「短時間で効果が得たい」といった無意識の願望、意図にたどり着けるでしょう。

2-4.MROC(エムロック)

「MROC(エムロック)」は、オンラインでのリサーチ手法です。
「Marketing Research Online Community」を略したもので、「コミュニティリサーチ」とも呼ばれます。

まず企業側がインターネット上にリサーチ用のコミュニティを作り、消費者に参加してもらいます
そして、1〜2ヶ月など一定期間にわたって自然に交流してもらい、そこから消費者インサイトを抽出するという方法です。

企業側から「◯◯を利用した実体験」「◯◯についての失敗談」などのテーマを提示して、それについて語り合ってもらうとよいでしょう。

グループインタビュー同様に、消費者自身がそれまで気づかなかった自分の深層心理を発見することもありますし、企業側が想定していなかった意見も得られるはずです。

また、商品を利用している様子をリアルタイムでレポートしてもらったり、写真を投稿してもらうこともできるので、ソーシャルメディア分析や行動観察調査のように利用することも可能です。

3.消費者インサイトを見つける際の注意点

消費者インサイトを見つける際の注意点

ここまでで、消費者インサイトとは何か、どうやって見つけ出せばいいのかがわかりました。

が、前章の手法をただ実施すれば、正しい消費者インサイトが見つかるとは限りません。

そこには以下のような2つの注意点があります。

3-1.消費者自身に自覚がない

第一に、消費者インサイトは消費者自身も自覚していないため、言葉で聞き出すことはできません。

インタビュー調査やMROCなどを実施しても、企業側がうまく深層心理を掘り起こす質問を用意できなければ、一般的なニーズまでしか到達できない恐れがあります。

そのため、基本的には消費者インサイトは「聞き出す」のではなく、企業側がさまざまなリサーチをもとに「分析してinsight=洞察する」ものだと心得ておいてください。

3-2.分析する人によって解釈が異なる

また、消費者インサイトはあくまで分析して見つけるものであるがために、「誰がどう分析するか」によってその解釈が異なってしまうという難点もあります。

例えば、商品Aについてソーシャルメディアで検索した際に、「母」という単語が多く含まれていたとします。その場合、「母にプレゼントしてあげたい」のか、「母と一緒に使いたい」のか、どう捉えるかによって商品の改善点やプロモーション方法は大きく異なってきます。

同じデータであっても、人によって導き出す消費者インサイトは異なりますので、複数人でディスカッションをして、できる限り客観的な解釈をしてください

4.消費者インサイトの活用例

消費者インサイトの活用例

では、このようにして見つけ出された消費者インサイトは、どのように活用すればいいのでしょうか?

その活用シーンについて、いくつか例を挙げておきましょう。

4-1.新しい商品・サービスの開発

消費者インサイトは、新商品や新サービスの開発に役立ちます。

消費者ニーズは目に見えていて掴みやすいものでした。そのため、ニーズに従って商品開発をしていると、競合他社はどこも似たようなものしか作れません。

しかし、消費者インサイトは目に見えず、企業が独自に見出すことができるものです。

これをもとにして、「消費者がまだ誰も気づいていないけれども、実は心の奥底で望んでいる商品・サービス」を生み出せば、他社製品との差別化を図ることもできますし、業界にイノベーションを起こすことも可能です。

4-2.プロモーションの立案

また、消費者インサイトをつかむことで、既存の商品・サービスに新たな魅力や利用方法などを見出すこともできます。

それを踏まえて、新たなメッセージを打ち出したり、プロモーション方法を見直すとよいでしょう。

例えば、幼児向けの栄養豊富なおやつとして開発したお菓子に対して、実は母親が朝やお昼の食事がわりにつまんでいるケースが多いことがわかったとします。ここから「子育てで忙しい中で、手軽に栄養を摂りたい」という消費者インサイトを読み取れば、「ママ向け」「手軽」「栄養豊富」を打ち出すプロモーションが考えられるでしょう。

あるいは、「産後に手軽に体型を戻したい」というインサイトがあるとなれば、「ダイエット」の視点を取り入れたパッケージの改良もできそうです。

このように、消費者インサイトにより訴えかけるプロモーションで、売り上げの向上を図ることができるのです。

5.消費者インサイトを見つけるならトランスコスモスのtra:Cii(トレイシー)

消費者インサイトを見つけるならトランスコスモスのtra:Cii(トレイシー)

トランスコスモスでは、顧客との会話からCX/DX施策の提案につながるインサイトを抽出するtra:Cii(トレイシー)をご提供しています。

tra:Ciiは Customer interview for insightの略で、コンタクトセンター(コールセンター)を活用した自社顧客へのインタビューサービスです。

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さまざまな業界のお客様企業にコンタクトセンターサービスを提供する中で蓄積したノウハウを活用し、お客様企業サービスの顧客接点を行動プロセス毎に数値・可視化いたします。

また、tra:Ciiの詳しい特徴やメリットなどについては以下ソリューションページでご紹介しています。こちらも是非ご覧ください。

トレイシー

まとめ

いかがでしたか?
消費者インサイトについて、知りたかったことがわかったのではないでしょうか。

では最後にもう一度、記事のポイントをおさえておきましょう。

◎「消費者インサイト」とは
「消費者自身が気づいていない(あるいは意識していない)本音、感情、動機」

◎「ニーズ」と「インサイト」の違い

・顕在ニーズ:消費者自身が自覚している要望
・潜在ニーズ:消費者自身に自覚はないが、人に聞かれれば思い当たる要望
・消費者インサイト:消費者自身はまったく自覚していない(意識していない)、深層心理に潜んでいる感情や動機

◎消費者インサイトの見つけ方

・ソーシャルメディア分析
・行動観察調査
・インタビュー調査
・MROC

これを踏まえて、あなたの会社が消費者インサイトをうまく活用できるよう願っています。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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