コンタクトセンター(コールセンター)のコールバック予約とは、顧客が予約した時間帯にコンタクトセンター側から電話をかけるサービスです。
具体的には顧客が日時や時間を指定して、コールバック予約を行います。指定された時間にオペレーターが架電をして、通話を行う仕組みです。
顧客のタイミングに応じてコンタクトセンター側から電話をかけるため、顧客側はオペレーターにつながるまでに待ち時間が不要になります。また、コンタクトセンター側は入電集中を分散でき、あふれ呼や放棄呼の削減対策としても効果的です。
コールバック予約はコンタクトセンターの運営の最適化に向いているシステムですが、特徴や導入方法を理解したうえで検討することが大切です。
そこでこの記事では、コンタクトセンターにコールバック予約を導入するメリットや注意点、具体的な導入方法を解説していきます。実際にコールバック予約を導入した好事例にも触れているので必見です。
【この記事を読むと分かること】 ・コールバック予約の概要や活用シーン |
この記事を最後まで読めば、コンタクトセンターにコールバック予約を導入するべきか判断できるようになります。
コンタクトセンター運営を最適化するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
1.コンタクトセンター(コールセンター)のコールバック予約とは
冒頭でも触れたようにコンタクトセンター(コールセンター)のコールバック予約とは、顧客が指定した時間帯にコンタクトセンター側から電話をかけるサービスのことです。折り返し電話サービスや電話予約サービスと呼ばれることもあります。
主な流れとしてはホームページやチャットボット、IVR(詳しい導入方法は「6.コンタクトセンター(コールセンター)にコールバック予約を導入する方法」で解説しています)経由で顧客がコールバック予約をします。顧客が指定した日にち、時間にオペレーター側から電話をかけてコミュニケーションを取ります。
通常のコンタクトセンターでは顧客側が電話をかけますが、コールバック予約ではコンタクトセンター側から電話をかけるところが大きな違いです。
コールバック予約を活用することでコンタクトセンターへの入電を分散でき、あふれ呼や放棄呼を削減できます。また、顧客の都合に応じて架電をするため顧客側の負担感やストレスが少なく、顧客満足度の向上につながる点も大きなメリットです。
2.コールバック予約の活用シーン
「コールバック予約は、実際にどのようなシーンで利用するの?」と気になっている方もいるかと思います。コールバック予約はさまざまなシーンで活用されていますが、ここでは代表的な2つのシーンをご紹介します。
2-1.相談・問い合わせの予約
1つ目は、相談や問い合わせの予約です。
・保険商品や金融商品の相談 |
など、オペレーターとコミュニケーションを取り問題解決や判断を行うシーンで活用されています。とくに、保険商品や金融商品、旅行会社への相談は個別対応の必要があり、一定の時間がかかります。
コールバック予約を活用すると顧客の都合のいい時間にじっくりと話すことができ、最適な提案ができるメリットがあります。
たとえば「どの商品を購入するべきか悩んでいる」「商品の違いがよく分からない」など、保険会社に相談したい悩みを抱えていたとしましょう。
まず、コンタクトセンター(コールセンター)に電話をしたところ混み合っていたので、案内された保険会社のホームページよりコールバック予約を行いました。その後指定した時間にコンタクトセンター側から着信があり、待ち時間なく保険商品の相談ができました。
このように、コールバック予約を活用すれば機会損失を回避し、顧客の気持ちや時間にゆとりがある状態で問い合わせの受付や相談の受付を実現できます。
2-2.営業時間外の対応
2つ目は、営業時間外の対応です。
・コンタクトセンターの対応時間外の対応 |
など、営業時間外に入電があったときの対処法として活用できます。たとえば、9時から18時まで対応しているコンタクトセンターに、19時頃入電があったとします。IVR(「6-1.IVR・ビジュアルIVR」で詳しく解説しています)が自動音声ガイダンスで対応時間外であることを伝え、コールバック予約の案内をします。
翌日の9時以降に電話が欲しい旨を伝えておけば、希望時間内にコンタクトセンター側から電話があります。コールバック予約を活用すると営業時間外に入電をした顧客に次のアクションを提案でき、機会損失や顧客満足度の低下を防げます。
3.コンタクトセンター(コールセンター)がコールバック予約を活用する4つのメリット
コンタクトセンター(コールセンター)がコールバック予約を活用するメリットには、主に下記の4つがあります。
コンタクトセンターがコールバック予約を活用するメリット |
①あふれ呼や放棄呼を削減できる |
コンタクトセンターの課題解決にもつながるため、ぜひ参考にしてみてください。
3-1.あふれ呼や放棄呼を削減できる
昨今のコンタクトセンターは、人手不足や入電集中に伴うあふれ呼、放棄呼が課題となっています。
あふれ呼 | コンタクトセンターへの電話が集中してオペレーターやガイダンスに繋がらない状態のこと |
放棄呼 | オペレーターにつながる前に切断されたコールのこと |
あふれ呼や放棄呼を放置すると顧客満足度の低下や機会損失につながるため、できるだけ早い対策が求められます。
そこで、コールバック予約を活用すると、下記の2つの方法でコンタクトセンターへの入電を分散できます。
①入電が集中しているときにコールバック予約を案内する
コンタクトセンターに入電が集中しているときに、IVRの自動音声ガイダンスでコールバック予約が利用できることを案内します。
オペレーターにつながるまで待機する顧客を減らし、コールバック予約に誘導できます。
②コールバック予約ができることを周知する
コンタクトセンターを利用する顧客に、公式サイトのお問い合わせページやチャットボットなどでコールバック予約があることを周知します。
顧客が積極的にコールバック予約を利用するようになれば、コンタクトセンターに電話をする顧客数を減らせるためあふれ呼や放棄呼を削減できます。
たとえば、100件の入電のうち、50件がコールバック予約を利用すれば入電数は50件となり、その時間帯の入電集中を避け、あふれ呼を削減することができます。
コンタクトセンター運営を最適化するためにも、コールバック予約が有効活用できます。
3-2.業務効率化を実現できる
コンタクトセンター運営の業務効率化を推進するには
・オペレーターの適切な配置 |
が重要です。コールバック予約を活用すると、2つの課題にアプローチできます。
①オペレーターの適切な配置
コールバック予約では、いつどれくらいのオペレーターが必要なのか事前に把握できます。
たとえば、火曜日の9時から商品相談のコールバック予約が2件入っていた場合、この時間には確実に2名のオペレーターを配置する必要があります。
コールバック予約が主流となれば、オペレーターが確実に必要な時間を踏まえて稼働をコントロールすることが可能です。
その結果、オペレーターの過剰配置や不足を回避でき、オペレーター配置の最適化を実現できます。
②顧客一人あたりの対応時間の最適化
コールバック予約では、どのような問い合わせ内容なのか事前に把握することが可能です。
例として、コールバック予約受付ページに以下のような選択肢を記載しておけば、顧客がどのような要件で問い合わせをしているのか把握できます。
【コールバック予約ページの質問一例】 問い合わせ内容を選択してください。 ①商品の購入に関する問い合わせ(対象商品:○○) |
商品の購入や使い方に関する問い合わせであれば対象商品の資料を用意しておくことで、顧客を待たせることなく準備ができるので対応時間も短縮できます。
このように、不要な工数を減らし効率的な対応を行うことで、コンタクトセンター運営を最適化する目的でも使えます。
3-3.顧客満足度が向上する
コールバック予約はコンタクトセンター側だけでなく、顧客側にもメリットがあります。
①ライフスタイルに応じて無理なく利用できる
コールバック予約は顧客の予定やライフスタイルに応じて、予約を取ることが可能です。
とくに商品の購入や検討を目的としている場合は、オペレーターに相談したいことが多くなり時間がかかる場合があります。
休憩時間などを使って、いつ繋がるか分からないコンタクトセンターに電話をかけると、繋がったときには時間が無くなってしまうということもあるでしょう。
結果、商品の検討が進まず、再度問い合わせをしないといけない可能性もあります。
顧客のスケジュールに合わせて架電ができることで、ゆとりを持ち相談や検討ができる状態を作れます。
②待機時間を削減できる
コールバック予約はオペレーター側から電話をかけるため、基本的に顧客の待ち時間はありません。
コンタクトセンターが混み合っている際に発生する待機時間がないので、繋がらないストレスを感じることなく利用できます。
このように、コールバック予約は、顧客がストレスなく利用できる環境を構築できます。その結果、顧客満足度の向上につながります。
3-4.質の高いサービスを提供できる
コールバック予約は、応対品質の向上にも一役買ってくれます。通常のコンタクトセンターでは、問い合わせ内容をヒアリングするところからスタートします。
内容によっては担当オペレーターでの解決が難しく、専門性の高い知識を持つオペレーターに引き継ぐ、もしくはかけ直すなどの対応が必要な場合もあります。「3-2.業務効率化を実現できる」でも触れましたが、コールバック予約では、事前に顧客の知りたい情報や問い合わせ内容を把握することが可能です。
内容を踏まえて準備ができるため、より質の高いサービスを提供できます。たとえば、新商品について詳しく知りたいことが事前に分かっていれば、新商品に関して理解をしているオペレーターを配置することが可能です。
更に新商品に関する資料や情報を準備したうえでコミュニケーションが取れるので、顧客の知りたい情報や悩みにスムーズに解答できるでしょう。
また、コンタクトセンター側の運用視点でも「簡単な内容なので新人オペレーターをアサインする」や、「難しい内容なのでベテランオペレーターをアサインする」といったコントロールが可能となり、最適な要員稼働に加え、新人オペレーターの精神的不安感の軽減や学んだスキルを活用する経験を積むことができるなど多くのメリットがあります。
このように、コールバック予約はただ単に指定時間にコンタクトセンター側からかけ直すだけではなく、準備や戦略をしたうえで最善の提案ができる側面もあります。
4.コンタクトセンター(コールセンター)にコールバック予約を活用するときの注意点
コンタクトセンター(コールセンター)がコールバック予約を活用するメリットが理解できたところで、気になるのは注意したいポイントです。
コンタクトセンターがコールバック予約を活用するときには、下記の2つに注意する必要があります。
コンタクトセンターにコールバック予約を活用するときの注意点 |
①緊急性の高い問い合わせを受付できる窓口を用意する |
コールバック予約の導入で失敗しないためにも、事前に把握しておきましょう。
4-1.緊急性の高い問い合わせを受付できる窓口を用意する
すべての問い合わせをコールバック予約にしてしまうと「どうしても今すぐ問題解決が必要」「すぐに伝えたいことがある」という顧客の要望に対応できません。そのため、緊急性の高い問い合わせの対応ができる窓口は残しておくようにしましょう。
一例として、金融商品の購入相談やサービス内容の確認は、コールバック予約で対応できます。しかし、クレジットカードの紛失や不正使用など緊急性の高い問い合わせに関しては、連絡後すぐに対処しなければならないため、オペレーターが対応する必要があります。
また、商品やサービスの購入検討や使い方などの問い合わせはコールバック予約でも構いませんが、商品使用時のトラブルや事故などは、いち早く把握する必要があります。
・緊急性の高い問い合わせ内容 |
を扱っている場合は、緊急時に備えた窓口を用意しておくことが大切です。
4-2.コールバック予約のスケジュール管理を徹底する
コールバック予約は運営体制が整っていないと、顧客満足度低下や不信感につながります。
とくに懸念されるのは、コールバック予約のスケジュール管理です。
たとえば、顧客から6月1日の10時にコールバック予約が入っているとします。何らかのミスでこの予約を見落としてしまったら、顧客に大きな不信感を与えます。コールバック予約が入っていることを把握していても、オペレーターの配置ができていないトラブルも起こり得るでしょう。
コールバック予約は、指定の時間にオペレーターが架電することが大前提です。スケジュール管理を徹底してオペレーターの配置ミスが起こらないよう、運営方法を検討することが大切です。
コールバック予約のスケジュール管理では「予約管理システム」の導入がおすすめです。「6.コンタクトセンター(コールセンター)にコールバック予約を導入する方法」で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
5.コールバック予約の導入は必要!とくに向いているケース
コンタクトセンター(コールセンター)へのコールバック予約は、基本的には必要です。コールバック予約があることで、人材不足や業務効率化など多くの課題を解消できるからです。
「7.コンタクトセンター(コールセンター)でのコールバック予約事例」でも解説していますが、コールバック予約がメインになれば問い合わせ件数を減らすこともできるでしょう。
コールバック予約はどのようなコンタクトセンターにも向いていますが、とくに導入が向いているケースとしては次の4つがあります。
コールバック予約の導入がとくに向いているケース |
1.時間帯ごとのお問い合わせ繁閑差が大きい場合 |
コールバック予約を活用するべきか判断するためにも、参考にしてみてください。
5-1.時間帯ごとの問い合わせ繁閑差が大きい場合
コールバック予約は、営業時間の中で特定の時間に問い合わせが集中している時間繁閑差が大きい業務に特に向いています。
コンタクトセンターの営業時間中一定の人数のオペレーターが電話対応の為に待機していますが、当然入電数は時間帯によって変わります。繁閑差が大きい業務になると全員が電話対応をしている時間帯と、数名のみが対応している時間帯とが発生する場合もあります。
入電数に合わせて人数の増減ができればよいですが、時間帯ごととなるとオペレーターのシフトや休憩時間の調整だけではなかなか難しいのが現実です。
そこでコールバック予約を導入すると、入電が集中している時間帯の電話をコールバック対応とすることで入電数が減った時間帯にかけ直すことができます。
また、入電のすべてをコールバック予約にすると1日の時間帯ごとの対応数をある程度コントロールできるため、時間帯ごとの繫閑を均すことも可能になります。
結果、入電が集中する時間帯のあふれ呼や放棄呼を削減でき、入電が少ない時間帯の稼働を最適化することが可能となるのです。
5-2.個別対応の必要がある要件を受ける場合
コンタクトセンターで扱っている問い合わせ内容が複雑で個別対応が必要な場合は、コールバック予約の活用が向いています。
保険やローンの相談、商品購入の相談など顧客とコミュニケーションを取りながら購入促進を行う場合は、どうしても一定の時間を要します。顧客とオペレーターが充分にコミュニケーションを取れる時間を確保するには、顧客の空いている時間を使うことが得策でしょう。
また、個別対応が必要な問い合わせは、専門的な知識や商品理解が求められます。コールバック予約を活用しあらかじめ質問内容を理解しておけば、顧客の質問や要望に回答しやすくなります。
・顧客一人一人に応じた提案や説明が必要 |
という場合には、コールバック予約を検討してみてください。
5-3.時間外問い合わせの取りこぼしをなくしたい場合
コンタクトセンターの時間外対応の一環としてコールバック予約を活用することもおすすめです。
「2.コールバック予約の活用シーン」でも触れましたが、コンタクトセンターの営業時間外に入電があった場合に次につなげる案内ができないと機会損失につながります。
たとえば「本日の営業は終了しました。営業時間は10時~18時となりますので、時間内におかけ直しください」というアナウンスだけでは、再度顧客がアクションを起こさない限りオペレーターと顧客が会話する機会がうまれません。
ここで「本日の営業は終了しました。営業時間外はコールバック予約を受付しています。オペレーターから折り返しますので、ご都合のいい時間帯を入力してください」などと案内すれば、次のアクションにつながる可能性が高くなります。
・営業時間外の入電を取りこぼしたくない |
という場合は、コールバック予約を検討してみるといいでしょう。
5-4.コンタクトセンターの複数の課題をまとめて解決したい場合
コールバック予約は、コンタクトセンターが抱えている課題をまとめて解決したい場合にも向いています。「3.コンタクトセンター(コールセンター)がコールバック予約を活用する4つのメリット」でも解説しように、コンタクトセンター運営に関して下記のような効果が期待できます。
・あふれ呼や放棄呼の削減 |
前述したコンタクトセンターの課題が複数発生している場合は、コールバック予約を活用することで顧客からの問い合わせを分散できます。また、コールバック予約の活用が増えれば必要なオペレーター数が把握しやすくなります。
このように、コンタクトセンターの運営を改善したい場合は、コールバック予約を活用してみるといいでしょう。
6.コンタクトセンター(コールセンター)にコールバック予約を導入する方法
ここでは、コンタクトセンター(コールセンター)にコールバック予約を導入する具体的な方法を解説します。
コンタクトセンターにコールバック予約を導入する方法 | |
IVR・ビジュアルIVR | コールバック予約を利用する導線を構築する |
SMS | SMSでコールバック予約用のURLを送付する |
チャットボット | チャットボットのみで問題解決ができなかったときにコールバック予約を提案する |
ホームページ・お問い合わせページ | ホームページやお問い合わせページ内にコールバック予約へのリンクを設置する |
予約管理システム | 予約管理システムを導入してコールバック予約ができる環境を構築する |
コールバック予約を導入する方法はどれか単体で検討するのではなく、複数を組み合わせて相乗効果を狙うことがおすすめです。
たとえば、コンタクトセンターのあふれ呼や放棄呼対策としてIVRを活用し、コールバック予約の周知や利用拡大目的でホームページやお問い合わせページへの記載を行うなど、複数の方法を組み合わせて検討できます。それぞれどのような方法なのか詳しく解説していきます。
6-1.IVR・ビジュアルIVR
IVR(Interactive Voice Response)とは、自動音声応答システムのことです。プッシュ操作や音声認識に応じて、あらかじめ録音してある音声を自動再生する仕組みを指します。
コンタクトセンターへの架電が集中しているときにコールバック予約の受付ができるよう設定しておけば、あふれ呼や放棄呼の緩和につながります。
以下はオペレーションの一例です。
手順 | オペレーションの一例 |
①コールバック予約の案内 | 只今、コンタクトセンターが非常に混み合っております。折り返しオペレーターよりお電話いたしますので、お手数をおかけいたしますが質問に回答をお願いいたします。 |
②質問1 | オペレーターが折り返す電話番号の入力をお願い致します。 |
②質問2 | ご希望の曜日、時間帯の入力をお願い致します。 |
③質問3 | お名前をフルネームでお話ください(音声録音)。 |
④質問4 | お問い合わせ内容をお話ください(音声録音)。 |
⑤確認 | ご対応ありがとうございます。 |
まず、音声案内でコンタクトセンターが混み合っていること、そしてコールバック予約ができることを伝えます。その後に電話番号などの必須事項を質問し、コールバック予約に必要なデータを取得していきます。データを元に、指定時間にオペレーターから架電をする流れです。
またビジュアルIVRは、スマートフォンやWebの画面上で視覚的な案内を行うIVRのことです。音声案内で行う内容をWebサイトやスマートフォン経由で行います。
こちらはスマートフォンの画面の一例です。問い合わせ窓口の一覧表示の中にコールバック予約を用意しておけば、手軽に予約ができるようになります。
◆向いているケース
IVRは電話での問い合わせに対してガイダンスを流す仕組みなので、電話での問い合わせが一定数あることが前提条件です。そのため、コンタクトセンターへの入電が多く、コールバック予約に分散したいときに向いています。
一方で、ビジュアルIVRは画面上で操作を行うIVRなので、既にスマートフォン版やWeb版の問い合わせ窓口があり、その中にコールバック予約を取り入れたい場合におすすめです。
IVRやビジュアルIVRの仕組みは下記の記事で解説しているので、参考にしてみてください。
6-2.SMS
コンタクトセンター(コールセンター)に入電が集中しているときには、IVRとともにSMSの利用も検討できます。
SMS(Short Message Service)とは、電話番号を使って短文のメッセージの送受信ができるサービスのことです。
先ほど紹介したIVRと組み合わせて、SMSを利用すると既存のコールバック予約ページを案内できるので、予約後の処理や管理の一元化がしやすくなります。
また、コールバック予約をIVRで行うと一定の時間がかかりますが、テキストベースにすることで顧客が空いた時間を使い手軽に予約ができるようになります。
◆向いているケース
SMSは電話番号が分からないとメッセージ送信ができないので、IVRと組み合わせてコールバック予約を促進したい場合に向いています。
コンタクトセンターへの入電集中時はもちろん、営業時間外にコールバック予約を案内したいときにも活用できます。
6-3.チャットボット
チャットボットとは、リアルタイムで使用できる自動会話プログラムのことです。
チャットボットには事前にFAQやシナリオなどを登録しておき、顧客からの問い合わせ内容に応じた回答を提示します。顧客はチャットボットとやり取りを繰り返し、疑問の解決を図ります。
チャットボットは
・営業時間や定休日などの回答が明確な質問 |
などが得意で顧客の自己解決や、コンタクトセンターへの問い合わせ件数の削減にも有効です。
しかし問い合わせの内容によってはオペレーターが対応したほうがいいケースもあります。
オペレーターの対応に繋げたい場合、コールバック予約を取り入れるのも1つの手段です。
チャットボットからオペレーター対応への導線をスムーズにすることで、コンタクトセンター側は特定の顧客へのアプローチがしやすくなり、顧客側はかけ直しなどの手間がなくなるため顧客満足度の向上に繋がる可能性があります。
◆向いているケース
チャットボットに問い合わせした顧客の中で、商品の選択についての相談やサービス利用についての問い合わせなど売り上げにつながる可能性のある顧客はオペレーター対応に誘導したいといった目的がある場合はチャットボット経由でのコールバック予約が向いています。
チャットボットのトップ画面にコールバック予約へのリンクを設置することで、周知や利用者の増加も狙えるでしょう。
チャットボットの基本的な使い方は下記の記事で解説しているので、参考にしてみてください。
6-4.ホームページ・お問い合わせページ
自社のホームページ内やお問い合わせページに、コールバック予約ができるリンクやページを設定しているケースもあります。
たとえば、自社のホームページに「各種お問い合わせ」など問い合わせ用のページを設けている場合は、その中にコールバック予約を追加します。コールバック予約を選択するとホームページ経由で予約ができるようになります。
中には「コールバック予約はどのようなものか分からない」という顧客もいるかと思うので、ページ内に説明を追加すると安心して利用してもらえるでしょう。
◆向いているケース
ホームページやお問い合わせページのアクセス数が多い場合やホームページやお問い合わせページを見てコンタクトセンターに問い合わせをしているケースが多い場合は、コールバック予約への導線の設置がおすすめです。
また、自社の問い合わせ窓口を一覧表示している場所にコールバック予約への導線を記載することで、周知や利用者増加が期待できます。
6-5.予約管理システム
コールバック予約を導入するときには、導線と予約管理システムの導入も併せて検討しましょう。予約管理システムの機能は製品により異なりますが、一例として下記のような機能があります。
【予約管理システムの機能一例】 ・予約ページの作成 |
たとえば、ホームページやお問い合わせページにコールバック予約を記載するときに予約管理システムと連携させておけば、予約の受付や管理、オペレーターの配置を一元管理することが可能です。
コールバック予約を検討するときに手間が増えることを懸念する声もありますが、運営方法に合った予約管理システムを導入すれば多くの手間を増やすことなく運営できます。
◆向いているケース
予約管理システムは、コールバック予約を運営する負担を軽減したい場合に向いています。コールバック予約は予約の管理や確認、オペレーターの配置管理などが負担になりがちです。予約管理システムがあれば一元管理できるため、負担を軽減できます。
7.コンタクトセンター(コールセンター)でのコールバック予約事例
ここでは、コンタクトセンター(コールセンター)にコールバック予約を導入した事例をご紹介します。
データセンター運営を中心にインターネットサービス事業を行うさくらインターネット株式会社は、新型コロナウイルス感染拡大を機に2020年2月にすべての電話窓口を閉鎖しました。
その代わりにメールやチャットなどのノンボイスチャネルへと移行しました。その後、自己解決の促進と問い合わせ導線をエフォートレス化するべく、2020年9月にスマートフォン版「お問い合わせ窓口」を開設しました。
スマートフォン版「お問い合わせ窓口」はビジュアルIVRを実装しており、問い合わせ内容に応じてFAQサイトや最適なチャネルに誘導できる導線を構築しています。
また、電話対応を希望する場合は、すべてコールバック予約につなげている点が特徴です。コールバック予約の管理にはクラウド型の予約管理システムを採用しており、
・オペレーターの割り振り |
などを効率化しています。電話対応のみをしていた頃は1日800件に達することがあった問い合わせも、コールバック予約導入後には40件程度まで低減したそうです。
コールバック予約は顧客の様子を見ながら、改善を続けています。開始当初は1時間ごとの予約枠でした。13:00に予約した場合は13:00~14:00の間に架電をするのですが、顧客は13:00ぴったりに電話がかかってくると思っているため、架電時間がずれてしまうと出てもらえないことやクレームにつながることがあったそうです。
そこで、予約枠を30分単位にしたところ、コールバック予約の接続率は80%まで向上しました。
また、電話がつながったときには既に問題解決しているケースもあり、その場合は余った時間をメールやチャット業務に割り当てているそうです。
コールバック予約を導入したことで
・電話を希望している顧客の顧客満足度向上 |
などの成果を実感できているそうです。
さくらインターネット株式会社さまの事例は下記でも紹介していますので、参考にしてみてください。
8.コンタクトセンター(コールセンター)でのコールバック予約を成功させるポイント
最後に、コンタクトセンター(コールセンター)でのコールバック予約を成功させるポイントをご紹介します。
コンタクトセンターでのコールバック予約を成功させるポイント |
①コールバック予約時に必要な情報をヒアリングする |
どのような点に留意する必要があるのか理解できるので、参考にしてみてください。
8-1.コールバック予約時に必要な情報をヒアリングする
1つ目は、コールバック予約時に必要な情報をヒアリングしておくことです。顧客の氏名や電話番号、予約日に留まらず、問い合わせ内容や解決したい問題など必要最低限の情報をヒアリングできると質の高い応対ができるようになります。
たとえば、旅行代理店のコンタクトセンターの場合、行先や日程、目的などにより提案できるプランが異なります。これらの情報を事前に知っておけば、限られた時間で質の高い提案ができるでしょう。
【旅行代理店のコールバック予約の質問例】 ①検討している行先を教えてください。 |
ここで注意したいのは、質問数があまりに多いとコールバック予約をする前に離脱する可能性があることです。
コンタクトセンターの業務内容によっては質問数が多いほうが的確な提案ができるかと思いますが、顧客の負担とならないようにバランスを見ながら質問を設定してください。
8-2.オペレーターの配置や予約管理を視野に入れて運営する
2つ目は、オペレーターの配置や予約管理を視野に入れて運営することです。
コールバック予約を受けることに注力し過ぎていると、オペレーターの配置や予約管理が追いつかない可能性があります。場合によっては、予約の重複やオペレーター不足が起こることもありえます。
そのため、予約をどのように管理するのか運営方法を事前に明確にしておきましょう。
具体的な方法としては予約管理システムの導入やフローの設定、コールバック予約とオペレーターの管理表を紐づけることなどがあります。
コールバック予約が開始してからでは運営体制を整えることが難しいため、事前に自社のコンタクトセンターに合った運営方法を固めておきましょう。
8-3.コールバック予約への導線を工夫する
3つ目は、コールバック予約への導線を工夫することです。コールバック予約を開始しても、利用率が低ければ問題解決につながりません。
顧客が手軽に利用できるように、複数の導線を用意しましょう。
たとえば、IVRしか用意していない場合、問い合わせに電話を利用するユーザーにはIVRを使いコールバック予約をアピールできますが、問い合わせフォームやチャットを利用するユーザーはコールバック予約の存在を知る方法がありません。
ホームページやチャットボットなど複数の方法を使って、利用者を増やす導線を構築することが大切です。
また、コールバック予約の利用者が増えるまでは、ホームページやお問い合わせページに「コールバック予約を開始しました」など大きく表示をして、アピールすることも一つの方法です。
とくに導入時にはコールバック予約の利用者が増えるように、工夫を取り入れることが欠かせません。
トランスコスモスが提供する「予約型コンタクトセンター」 |
「予約型コンタクトセンター」は、トランスコスモスが提供する予約型コールバックを活用したコールセンターサービスです。 「予約型コンタクトセンターサービス」では顧客からのコールバック予約受付の前に、相談内容や希望折り返し時間帯をヒアリングし、自動的にオペレーターの空き状況に応じて着信や折り返し予約を受付、Webへの誘導を行います。 繁閑による影響を受けず一定の稼働が実現され、管理者は時間帯の繁閑を最小限に抑え、オペレーターの稼働効率改善を図れます。 「予約型コンタクトセンターサービス」について知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。 |
まとめ
いかがでしたか?コンタクトセンター(コールセンター)で活用できるコールバック予約とはどのようなサービスなのか理解でき、導入が検討できるようになったかと思います。最後にこの記事の内容を振り返ってみましょう。
〇コールバック予約とは顧客が指定した時間帯にコンタクトセンター側から電話をかけるサービスのこと
〇コンタクトセンターにコールバック予約を活用するメリットは下記の4つ
1)あふれ呼や放棄呼を削減できる |
〇コンタクトセンターにコールバック予約を活用するときの注意点は次の2つ
1)緊急性の高い問い合わせを受付できる窓口を用意する |
〇コンタクトセンターにコールバック予約を導入する方法は下記のとおり
コンタクトセンターにコールバック予約を導入する方法 | |
IVR・ビジュアルIVR | コールバック予約を利用する導線を構築する |
SMS | IVRを利用するときにSMSでコールバック予約用のURLを送付する |
チャットボット | チャットボットのみで問題解決ができなかったときにコールバック予約を提案する |
ホームページ・お問い合わせページ | ホームページやお問い合わせページ内にコールバック予約へのリンクを設置する |
予約管理システム | 予約管理システムを導入してコールバック予約ができる環境を構築する |
〇コンタクトセンターへのコールバック予約導入を成功させるポイントは次の3つ
1)コールバック予約時に必要な情報をヒアリングする |
コンタクトセンターにコールバック予約を導入すると、顧客側とコンタクトセンター側の双方にメリットがあります。コンタクトセンター運営を最適化するためにも、ぜひ導入を検討してみてください。