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CES(カスタマーエフォートスコア)とは?重要な理由と実践方法

CES(カスタマーエフォートスコア)とは、自社の商品・サービスを購入・利用するまでに顧客がかけた手間や労力の度合いを示す指標です。

CES(カスタマーエフォートスコア)とは、自社の商品・サービスを購入・利用するまでに顧客がかけた手間や労力の度合いを示す指標です。

たとえばカスタマーセンターに問い合わせを行う際に、

• そもそも電話番号がどこに掲載されているのかわからない
• 担当者につながるまでに時間がかかる
• 最初の問合せ先で解決できない、たらい回しにされる

などが発生した場合、顧客の手間や労力の度合いは高まりますが、こうした顧客に対する負荷を測定できるのがCESなのです。

ただしCESがどのようなものなのかを知っただけで実行できるものではありません。

有効活用するためのポイントを知っておかなければ、CESの調査を行っても、自社の商品やサービスを購入・利用する一連の流れのうち、どこに顧客に労力をかけさせてしまっているのかを特定できず、ただCES調査を行うためにコストや時間、手間をかけるだけになってしまいます。

そこでこの記事では、CESについての基本知識を解説するだけでなく、効果的なCES(カスタマーエフォートスコア)調査を行うためのポイントについても解説していきます。

▼本記事の内容
・ CES(カスタマーエフォートスコア)とは
・CES(カスタマーエフォートスコア)が重要な理由
・ CES(カスタマーエフォートスコア)の測定方法
・CES(カスタマーエフォートスコア)の実施事例
・効果的なCES(カスタマーエフォートスコア)調査を行うための2つのポイント
・CES(カスタマーエフォートスコア)を改善する3つの方法

この記事を読むことで、CESとは何かがわかるだけでなく、効果的な調査を行うためのポイントや、実際にCESを改善するための方法がわかり、すぐにCES調査を実施するための計画をはじめられるでしょう。

ぜひ最後までお読みください。

1.CES(カスタマーエフォートスコア)とは

CES(カスタマーエフォート)とはどのようなものなのでしょうか。 本章ではその概要と、混同される指標「C-SAT」「NPS」と比較をして解説します。

CES(カスタマーエフォート)とはどのようなものなのでしょうか。
本章ではその概要と、混同される指標「C-SAT」「NPS」と比較をして解説します。

1-1.CES(カスタマーエフォートスコア)とは「商品・サービスの購入・利用時の顧客の労力」を測る指標のこと

CES(カスタマーエフォートスコア)とは、直訳で「顧客努力指標」といい、商品やサービスを購入・利用するまでに、顧客がどのくらい手間や労力をかけたのかを表した指標です。

たとえば、企業のWEBサイト上のサービス利用をするにあたってログインができない、という状況に陥った場合を考えてみましょう。

① 「サービス利用の際に必要なログインができない」ことについてカスタマーセンターへ電話をかけて聞く
・企業のWEBサイトにログインができない際の解決方法が掲載されていないか確認する
・解決方法がWEBサイトに記載されていないので、カスタマーセンターに直接質問することを決め、電話番号を探す
・カスタマーセンターへログインができないこと伝えて解決策を尋ねる
・回答してもらった方法でログインを実行したが、うまくいかず再度電話する
・提示してもらった別の方法でログインを試みたら、ログインに成功した

②「サービス利用の際に必要なログインができない」ことについて「よくある質問」としてFAQがWEBサイトに掲載されていて自己解決する
・企業のWEBサイトにログインができない際の解決方法が掲載されていないか確認する
・解決方法がWEBサイトに複数記載されていたので、それらを実行してみたらログインに成功した

という2つの状況で、顧客の手間・労力がより多くかかるのは①であり、CESのスコアは「②>①」となります。

CESのスコアが低い場合、顧客は商品やサービスを購入・利用するまでに手間がかかってストレスを感じ、顧客のロイヤルティは下がる傾向にあります。

その一方、CESのスコアが高い場合は手間や労力がかからず、ストレスフリーでサービス利用できており、顧客のロイヤルティは向上します。

このようにCES(カスタマーエフォートスコア)は、自社の商品やサービスを購入・利用してもらうまでに、どのくらい手間や労力が発生しているのかを数値化して客観的に判断できる指標なのです。

1-2.CES(カスタマーエフォートスコア)とC-SAT・NPSとの違い

CES(カスタマーエフォートスコア)は、顧客からの商品・サービスへの評価を測る指標である「C-SAT」や「NPS」と混同されることがよくあります。

そこで「CES」と「C-SAT」「NPS」の違いを解説します。
これらの違いが明確になれば、CESをより深く理解することができるでしょう。

1-2-1.C-SATとCES(カスタマーエフォートスコア)の違い

CESが「顧客の手間や労力」を示す指標であるのに対して、C-SATは「顧客の満足度」を示す指標です。

そもそもC-SATとは、顧客が自社の商品・サービスに対してどのくらい満足しているかを測る指標です。C-SATでは商品・サービスの購入直後や購入から一定期間経過後、もしくはサポートへの問い合わせ終了直後など、その時点における短期的な顧客満足度がわかります。

たとえば顧客が商品を購入したあとに、アンケートで「商品はいかがでしたか?」と質問し、満足度を回答してもらう方法はC-SATの一つです。

一方でCESは先にも述べたとおり、商品・サービスを利用するまでにどのくらいの手間・労力がかかったのかを測る指標であるため、顧客が商品やサービスに対して「満足したのか」「喜んでくれたのか」を明らかにするものではありません。

CESは「商品・サービス利用時の具体的な体験」を通じて感じる手間・労力やストレスなど、ネガティブな側面の大きさを把握するのに適しているのです。

1-2-2.CES(カスタマーエフォートスコア)とNPSの違い

CESが「顧客の手間や労力」を示す指標であるのに対して、NPSは「愛着・ロイヤルティ」を示す指標です。

そもそもNPSとは「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略で、企業・ブランドに対する信頼・愛着や、顧客ロイヤルティの度合いを測るために使われる指標です。

NPSでは顧客に対して「あなたはこの企業(商品・サービス・ブランド)を友人や同僚にすすめる可能性はどのくらいありますか?」と質問し、0~10の11段階で評価してもらいます。

そして、回答者を

● 0~6点と評価した人「批判者」
● 7~8点と評価した人「中立者」
● 9~10と評価した人「推奨者」

の3つに分類し、「(推奨者の割合)ー(批判者の割合)」でNPSスコア出し、スコアが高ければ企業やブランドに対するロイヤルティが高くなり、スコアが低ければロイヤルティが低いということになります。

このようにしてNPSを測ることで、顧客がどの程度自社に対してロイヤルティ・愛着を持ってくれているのかがわかります。

一方でCESは先にも述べたとおり、顧客が商品・サービス利用までにかかった手間や労力を測るもので、「企業(商品・サービス・ブランド)に対する愛着」「ロイヤルティ」の度合いを示すものではありません。
CESは顧客の労力や手間を測定することで、「顧客のストレスや不満」を明確化させるものなのです。

したがって、CESが「顧客の手間や労力」を示す指標、NPSは「愛着・ロイヤルティ」を示す指標であることを覚えておきましょう。

2.CES(カスタマーエフォートスコア)が重要な理由

マーケティングにおいて、顧客を理解するためにさまざまな指標が用いられますが、そのなかでCESが重要視されている理由は、改善することで顧客ロイヤルティを向上できるからです。

マーケティングにおいて、顧客を理解するためにさまざまな指標が用いられますが、そのなかでCESが重要視されている理由は、改善することで顧客ロイヤルティを向上できるからです。

CESの測定によって、顧客が商品やサービスを購入・利用する一連の流れのうち、どのフェーズで「手間・労力」といったストレスを感じたのかを明確にできます。

そして特定したストレス要因から、顧客の労力や手間をなくすための方法を考えて実行すれば、顧客は自社の商品に対して「手間がかからず、楽に使える」「ストレスなく、使いやすい」と評価するようになり、その結果、顧客のロイヤルティが向上できるのです。

たとえば顧客が商品を購入するまで、以下のように行動する場合を考えてみましょう。

▼【例】顧客の商品購入・利用時の一覧の流れ

①WEBサイト上の商品ページで情報収集
②ECサイトにて商品を購入
③商品を購入後、使い方でわからないことがあったのでカスタマーセンターへ問い合わせ

上記のような場合、CESを測定すれば、

ECサイトで商品購入入力項目が多すぎてストレスを感じた
使い方がわからないときに、説明書がわかりづらくて商品を使用するまでに時間がかかってしまった

など、どのフェーズで手間や労力がかかり、ストレスを感じたのか明確化できます。

そしてCESの結果から、

・「ECサイトでの商品購入の際には、顧客が最低限の情報を入力するだけですむように、GoogleアカウントやTwitterアカウントなど、すでに顧客が持っているアカウントと連携したり、電子決済サービスと連携したりする」
・「初心者でもわかりやすく、見やすい説明書をつくる」

など、顧客に手間や労力を使わせない、有効な施策を考えて実行できるため、顧客はその企業に対して「ストレスなくスムーズに利用できる」と感じ、顧客ロイヤルティが向上するのです。

そうすれば、今後も利用や購入をし続けてくれ、ひいては売上の安定・向上にもつながります。

こうして、顧客のストレスの原因を突き止め、適切な施策を実行して顧客ロイヤルティを向上できるため、CESはマーケティングにおいて重要視されているのです。

3.CES(カスタマーエフォートスコア)の測定方法

CESではどのようにそのスコアを測定するのか、その測定方法を解説します。

CESではどのようにそのスコアを測定するのか、その測定方法を解説します。

CESはC-SATやNPSと同様に「アンケート」を利用してそのスコアを測ります。
これは顧客が商品やサービスを購入・利用する上で感じた手間や労力、ストレスを7段階程度の選択方式で回答してもらう、というものです。

たとえば、以下のように顧客にアンケートをとります。

【1】「ECサイトで商品を購入するまでのステップで、どの程度ストレスがありましたか?」
①「まったくストレスを感じなかった」
②「ストレスを感じなかった」
③「あまりストレスを感じなかった」
④「どちらとも言えない」
⑤「ややストレスを感じた」
⑥「ストレスを感じた」
⑦「非常にストレスを感じた」
7段階で回答

【2】具体的にどのようなステップでストレスを感じましたか?
①カートに入れる
②配送先の入力
③支払い情報の入力
④支払い

これらを集計して、回答分布を確認します。

【1】に関しては、「まったくストレスを感じなかった」「ストレスを感じなかった」顧客の割合から、「ややストレスを感じた」「ストレスを感じた」「非常にストレスを感じた」顧客の割合を引き算することで、カスタマーエフォートスコアが算出されます。
カスタマーエフォートスコアが低ければ低いほど、ECサイトでの商品購入までのステップに手間がかかってしまうということになります。

また、【2】について例えば「③において労力がかかった」という回答者が多い場合は、支払い情報を入力しなくても決済ができるように、すでにある電子決済サービスと連携するなど、具体的な改善施策を考えることができます。

このようにアンケートを使ってCESを測定することで、顧客の労力や手間、ストレスを数値化でき、客観的な視点で改善策を考えられます。

4.CES(カスタマーエフォートスコア)の実施事例

ここまでCESの基礎知識について解説しましたが、どのように実施され、どのようなことがわかるのか、についてイメージできるよう、実際に日経リサーチが実施した「金融機関顧客評価調査『金融METER®』(2018)」の事例をご紹介します。

ここまでCESの基礎知識について解説しましたが、どのように実施され、どのようなことがわかるのか、についてイメージできるよう、実際に日経リサーチが実施した「金融機関顧客評価調査『金融METER®』(2018)」※の事例をご紹介します。

※本調査内容は株式会社日経リサーチにて実施された内容となり、4章記載部分に関してはCotra編集部で日経リサーチ社に確認の上で掲載しております。

4-1.CES調査を行った機関

金融機関顧客評価調査『金融METER®』(2018)」では、株式会社日経リサーチが全国の一般消費者16万人が自分の利用する金融機関を満足度やNPS、CESなどで評価しています。

今回はその調査のなかでも、CES(カスタマーエフォートスコア)の箇所をピックアップしてお伝えしていきます。

4-2.CES調査の目的

この調査の目的は、金融機関がより良いサービスを顧客に提供できるようにするために、ロイヤルティを下げるような、顧客の負担になっている原因を知って、改善施策を考えることです。

金融機関のような顧客と長期的な関係を築く必要のある業態において、顧客に利用し続けてもらうために、「手間や労力がかかる、ストレスを感じる」というようなことをなるべく減らしてロイヤルティを向上させて、より良いサービスを提供できるようにこの調査を行っています。

4-3.CES調査の内容

金融機関顧客評価調査『金融METER®』(2018)」では以下のように、顧客の労力や手間、ストレスのことを「負担感」という言葉を使ってCESを測定しました。

以下のように負担感を感じた度合いを7段階で回答してもらいます。
「まったく負担感はない」「負担感はない」という顧客の割合から、「やや負担感がある」「負担感がある」「非常に負担感がある」という顧客数を引いた数値がCESのスコアとなります。

Q.あなたがご利用の金融機関では、金融商品の取引・手続き等の全般について、負担なくできていますか。

まったく負担感はない

負担感はない

あまり負担感はない

どちらともいえない

やや負担感がある

負担感がある

非常に負担感がある

1234567

また負担を感じた人には、負担を感じた理由を自由回答で聴取しました。

4-4.CES調査結果

その結果、金融機関ごとに以下のようにCESのスコアが算出されました。

金融機関

スコア

都市銀行A

21.5

都市銀行B

22.7

都市銀行C

23.6

都市銀行D

23.7

証券会社A

21.2

証券会社B

19.5

証券会社C

19.3

証券会社D

16.3

証券会社E

15.5

生命保険会社A

16.3

生命保険会社B

14.2

生命保険会社C

14.8

生命保険会社D

17.7

また負担を感じた人に、負担を感じた理由を自由回答で聴取し、特徴的なキーワードを抽出しました。そして年代別で整理すると、以下の結果となりました。

Q.あなたは金融機関での取引・手続等において、どのようなときに負担感がありますか。
(順位はそれぞれのキーワードがその年代でどの程度特徴的であるかを数値化した特徴量の多い順位)

件数順位

20代

30代

40代

50代

60代

70代

1

かかる

かかる

時間

本人

商品

預金

2

手数料

手数料

手数料

振込

顧客

勧誘

3

時間

ATM

ログイン

担当

解約

掛け金

4

お金

窓口

パスワード

確認

投資

5

ATM

平日

ATM

入金

信託

うるさい

6

土日

時間

営業

振込

金利

しつこい

7

コンビニ

仕事

行く

保険

金融

投資

8

使える

待ち時間

窓口

掛け金

質問

対応

9

めんどくさい

土日

取る

不足

しつこい

薦める

10

限る

長い

平日

しつこい

用語

商品

※自由回答で聴取し、特徴的なキーワードを抽出しているため、上記のようなキーワードでの表記になっています。

このうち20〜30代の「時間」というキーワードの自由回答を見ると、以下のように、時間がかかったり、時間帯に制限があったり、利用の際に時間を調べる必要があるという点に負担感を抱いていることがわかります。

▼20〜30代の自由回答例(若年層)
・待ち時間も手続きも時間がかかる
・何か困った時に問い合わせする時間が限られている
・窓口が平日で、短い時間しかあいていない
・手数料がかかる時間帯を調べたり、ATMの場所を調べたりしないといけない

また40代~50代では「ネット」というキーワードが上位に登場しますが、年代が上がるにつれて金融機関での保有している商品や利用するサービスが増える中、インターネットでの手続き・やり取りする機会が増え、その分負担を感じている場面が多いことがうかがえます。

また、「不足」というキーワードが上位にあり、金融機関の担当者の知識や説明不足が負担感につながったり、顧客の知識不足で理解できないことが不安を生じさせ、負担感につながったりするケースもありました。

▼40代~50代の自由回答例(中年層)
・各種手続きがネットで完結できず、店舗への訪問や書類の提出が必要になった
・ネットで出来ない事、わからない事について情報を得たい時の連絡方法が分からない/手間がかかる
・ネット利用の申し込みの仕方が面倒、住所変更・マイナンバー登録などが面倒、説明が文字ベースでわかりにくい
・担当者の知識不足
・説明不足で手続きの仕方が良くわからない
・自分の知識不足、理解力不足が元々の原因と思うが、しっかり理解できないまま金銭手続きをするときに、不安がつきまとう

60代以上で特徴的なのは「しつこい」というキーワードであり、しつこい強引な勧誘が負担になっていることがわかります。

また「薦める」というキーワードがあり、仕組みがわかりにくい商品を勧められ、理解が追いつかないということが負担になっているようです。

▼60代自由回答例(高齢層)
・営業担当者が自分の都合だけで顧客の利益にならない(フィーが高い、保険料が割高など)商品をしつこく勧めてくる
・高額な金融商品や意に反する金融商品を強く勧められる。特に外貨預金等で多い
・金融商品の勧め方に強引さがある
・仕組みのわかり難い商品を勧められる

4-5.CES調査結果からわかること

これらの結果から、年代によって負担の感じ方に違いが生じていることがわかりました。

ここから、年代別に、以下のような施策を考えることができるでしょう。

20代〜30代

手続や取引に「時間がかかること」が負担になっているため、
・「時間を短縮すること」に注力して施策を行う

40代~50代

・ネット利用でできる取引や手続を増やす
・どのような手続・取引がネット取引でできるのかわかりやすく示す
・できるだけ知識が豊富な人を担当につける
・商品について理解してもらうために、わかりやすく解説したパンフレットなどをつくるなどをする

60代以上

しつこくて強引な勧誘や、仕組みがわかりにくい商品を勧められて理解が追いつかないことがあるため、
・社内の営業方法として強引な勧誘は禁止する
・仕組みが分かりにくい商品を理解してもらうための、わかりやすい解説が掲載されたパンフレットを配布する

このようにCES調査を行うことで、顧客が商品やサービスを購入・利用する際に感じている手間や労力を可視化できるため、顧客が感じるストレスの原因を突き止めることができます。

そしてCESの結果から、具体的で効果的な改善施策を考え出すことができるため、顧客と長期的な関係を築いていくためにCESを有効に活用する価値はあるでしょう。

5.効果的なCES(カスタマーエフォートスコア)調査を行うための2つのポイント

実際にCESを活用したい場合には、どのようなポイントに気をつけて実行すれば、効果的な改善施策につながる調査を実施できるのでしょうか。

実際にCESを活用したい場合には、どのようなポイントに気をつけて実行すれば、効果的な改善施策につながる調査を実施できるのでしょうか。

効果的なCES調査を行うためのポイントは、以下の2つです。

▼効果的なCES調査を行うための2つのポイント

・CES調査のタイミングはサービス利用やトライアル後に行う
・CESは分析までできるサービスを利用する

それではくわしく見ていきましょう。

5-1.CES調査のタイミングは商品・サービスの利用後や購入後に行う

CES調査は、商品・サービスの利用後や購入後に行うようにしましょう。

その理由は、商品やサービスの購入・利用後のほうが、顧客は過程で発生した手間や労力を鮮明に覚えているため、正確なフィードバックをもらえるからです。

たとえば、

・商品を使用してから1週間後にCES調査のアンケートを送る場合
・商品を使用した直後にCES調査のアンケートを送る場合

では、どちらが正確で具体的な「顧客の手間・労力・ストレス」を把握できるか考えてみると、後者であることがわかるでしょう。

したがって「自社のWEBサイトのサポート情報を読み終えた後」や、「商品を使用した直後、もしくは使用中」、「カスタマーセンターへの問い合わせ直後」など、CESの調査は商品・サービスの利用後や購入後に行うようにしましょう。

5-2.CES調査では分析までできるサービスを利用する

CES調査においては、分析までできるサービスを利用するようにしましょう。

調査から分析まで行えるサービスを利用すれば、自社のマーケティング担当者はCES調査に時間や手間を取られず、ほかの業務に集中できるからです。

CES調査では、サービスの利用後や商品の購入後など、タイムリーな調査が求められます。
しかし、顧客が商品やサービスを購入・利用してから、間を置かずにすべての顧客にアンケート調査を依頼し、顧客に与えてしまった手間や労力に対する評価や、それらを加味した総合的な評価を常時測定し、その結果を分析するというのは、簡単ではありません。

マーケティング担当者は、ほかの業務と同時並行してCES調査を行わなければならないため、CES調査だけに注力することは難しいでしょう。

そこでCESのアンケート調査から分析まで行えるサービスを利用することで、CES調査に時間や手間を取られることなく、担当者は業務に集中できるのです。

トランスコスモスでは顧客のニーズにあわせてアンケート調査・分析ができるサービスをご提供しています。興味のある方は以下よりご相談ください。

6.CES(カスタマーエフォートスコア)を改善する3つの方法

実際にCESを測定する場合、その結果からCESを改善する施策を考えて実行します。

実際にCESを測定する場合、その結果からCESを改善する施策を考えて実行します。
改善施策はさまざまですが、どの企業も取り入れられる、効果のある改善方法があります。

それは以下の3つの方法です。

▼CESを改善する3つの方法

・顧客が行うべき操作を減らす
・顧客の身に起こることが予想される問題を先回り対応する
・顧客からの問い合わせは24時間受付でいつでも対応できるようにする

上記3つの方法は、CES調査を行う場合に効果のある改善方法ばかりなので、あらかじめ知っておきましょう。

6-1.顧客が行うべき操作を減らす

1つめの方法は「顧客が行うべき操作を減らす」という方法です。

顧客が行う操作が多いということは、それだけ労力を使わせてしまっているという状況です。そのため、顧客側が行う操作を減らすだけで、顧客の労力を減らすことができます。

たとえば、顧客が「ECサイトで商品を探してカートに入れ、購入する」までの操作が多ければ多いほど、顧客は労力を使います。
カートに入れた商品を購入するために、顧客が何ページにもわたって顧客情報や決済情報を入力する必要があれば、顧客は「多くの情報を入力する」という労力がかかります。

一方で、カートに入れた商品を購入する際に、手続きや必要事項の入力が1ページで完了するのであれば、顧客の労力は少なくなり、顧客はスムーズにネットショッピングができます。
そしてECサイトのロイヤルティは向上し、利用し続けてもらいやすくなるでしょう。

顧客が行うべき操作を減らすためにはCES調査を実施し、どの操作に労力がかかっているのかを明確化したうえで、操作の量をなるべく減らすようにしましょう。

ECサイトの例でいうと、顧客がカートに商品を入れて購入が完了するまでの操作を減らすために、顧客が最低限の情報を入力するだけですむように、GoogleアカウントやTwitterアカウントなど、すでに顧客が持っているアカウントと連携したり、電子決済サービスと連携したりするなど、です。

顧客が行うべき操作を減らせれば、顧客の労力は減り、CESは改善するでしょう。

6-2.顧客の身に起こることが予想される問題を先回り対応する

2つめの方法は「顧客の身に起こることが予想される問題を先回り対応する」ということです。

顧客が抱える問題は類似していることが多い傾向にあります。
よく発生する顧客の問題を整理して把握しておくことで、初回のお問い合わせの際に、次回発生しそうな問題を予想して事前に対策を伝えておいたり、Webサイト上のチャットで次に行うべきステップをレコメンドできたりするので、問題が発生するのを先回りして防ぐことができます。

そして、顧客は未来に起こる可能性のあった問題を未然に防げ、スムーズにサービスや商品を購入・利用できるため、CESを改善できるのです。

たとえば、あるホテルに対して「部屋食にできますか?」という問い合わせがあったとします。
「できる」と回答した場合に、次に顧客が抱える問題として

・「部屋食のメニューだとどのようなものがあるのかわからない」
・「部屋にどのように食事が運ばれてセッティングされるのかわからない」

などの質問が多い場合、すべてまとめて顧客に伝えておけば、顧客はスムーズに部屋食を選択することができ、調べたり考えたりする労力を減らせます。

一方で先回り対応できなければ、次に発生しがちな問題を防げず、結局、顧客に手間や労力をかけさせてしまう事態になってしまいます。

顧客に起こることが予想される問題を先回り対応するためには、普段から問い合わせのある問題やその次に発生しがちなことをストックしておき、マニュアル化しておきましょう。

そうすれば顧客から問い合わせがあった際には、次に発生しがちな問題まで網羅した対応を取ることができ、顧客のCESを改善できます。

6-3.顧客からの問い合わせは24時間受付可能にし、いつでも対応できるようにする

3つめは「顧客からの問い合わせは24時間受付可能にし、いつでも対応できるようにする」ということです。

顧客は疑問や問題が発生したタイミングで解決したいと考えています。
そのため、24時間いつでも問い合わせ可能にしておくことで「カスタマーセンターの運営時間にならないと問い合わせできない」「企業の営業時間でないと問い合わせても返信が来ない」というような負荷を減らすことができます。

そこで顧客からの問い合わせを24時間受付可能にするために、まずはよくある質問をストックし、WEBサイト上でFAQを整えましょう。
そうすることで、顧客自身で問題解決できるようになり、企業に問い合わせる手間や、回答を待つというような負荷をなくすことができます。

また自社のお問い合わせにチャットを導入することで、24時間いつでも顧客からの問い合わせに対応することができます。

トランスコスモスでは、チャットボットである「DEC Support」をご提供しています。
「DEC Support」では、LINEやWEBチャット、Facebook Messengerなど、複数のチャネルに対応しており、用途に応じて以下3つのなかからチャットボットのパターンを選択していただけます。

◆シナリオ型
顧客に分岐型の質問を投げかけ、選択式で回答してもらう

◆FAQ型
顧客の質問を受け、適合度が高そうな回答を返す一問一答式

◆NLP型
顧客の発言に対し、回答リストから選ばないで自由度の高い返答を行う

トランスコスモスの「DEC Support」を導入すれば、24時間いつでも顧客に対応できるので、顧客の負荷を減らすことができます。

顧客から質問されがちな内容はこのチャットボットに読み込ませておくことで、24時間いつでも、顧客がチャットで質問をすると回答します。

ぜひ「DEC Support」の導入をご検討ください。

まとめ

この記事ではCES(カスタマーエフォートスコア)について基礎知識や有効活用するためのポイント、改善方法などをお伝えしました。

ここで改めて本記事の内容をおさらいしましょう。

◆CES(カスタマーエフォートスコア)とは「商品・サービスの購入・利用時の顧客の労力」を測る指標のこと

◆CES(カスタマーエフォートスコア)が重要な理由は、顧客が商品やサービスを購入・利用する際のストレス要因を明確にできるから

◆CES(カスタマーエフォートスコア)の測定方法

顧客が商品やサービスを購入・利用する上で感じた手間や労力、ストレスを7段階程度の選択方式で回答してもらう

◆効果的なCES(カスタマーエフォートスコア)調査を行うための2つのポイント

・CES調査のタイミングはサービス利用やトライアル後に行う
・CESは分析までできるサービスを利用する

◆CES(カスタマーエフォートスコア)を改善する3つの方法

・顧客が行うべき操作を減らす
・顧客の身に起こることが予想される問題を先回り対応する
・顧客からの問い合わせは24時間受付でいつでも対応できるようにする

この記事がお役に立てれば幸いです。

注:本記事内におけるネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標又はサービスマークです。

【 CX推進のためのデータ分析&活用GUIDE 】
~ CXを改善することで継続意向や推奨意向を高め、企業収益を向上に導く ~
CXを推進させるためのロードマップやデータ分析の必要性をPDCA事例を交えながらご紹介します
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