「チャットサポートは何ができる?」
「チャットサポートの導入を検討しているけれど、どんなものを選べばいい?」
コンタクトセンター(コールセンター)に勤務していて、そのような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?
チャットサポートとは、カスタマーサポートの手法のひとつで、顧客からの問い合わせをチャット形式で受け、チャット形式で回答するカスタマーサポートです。
チャットサポートには以下の4種があります。
チャットサポートの種類 | 概要 | |
---|---|---|
自動応答型 | シナリオ型 | AIを搭載していないボットによる自動応答システム。 |
AI搭載型 | AIを搭載したチャットボットによる自動応答システム。 | |
有人対応型 | オペレーターによる有人チャット。 | |
ハイブリッド型 | チャットボットと有人チャットの組み合わせ。 |
近年、このチャットサポートを導入するコンタクトセンターが増えていますが、それは以下のようなメリットがあるためです。
【チャットサポート|ユーザー側のメリット】 |
・待ち時間が短い |
【チャットサポート|企業側のメリット】 |
・人件費を減らせる |
そこでこの記事では、チャットサポートについて詳しく説明していきます。
◎チャットサポートとは |
この記事で、あなたのコンタクトセンターがチャットサポートを適切に導入できるよう願っています。
1.チャットサポートとは
まず1章では、チャットサポートの基本から説明していきます。
1-1.チャットサポートとは?
チャットサポートとは、カスタマーサポートの手法のひとつで、ユーザーからの問い合わせをチャット形式で受け、チャット形式で回答するものです。
チャットシステムを導入することで、Webサイト上にチャット画面を表示させ、ユーザーが質問を入力したり選択したりすると、オペレーターやチャットボットがテキスト形式で回答します。
従来のコンタクトセンター(コールセンター)での電話対応では、顧客は営業時間内にしか問い合わせができず、電話が繋がるまで待たされるなどの不便がありましたが、チャットサポートは24時間いつでもすぐに問い合わせできるため、導入する企業が増えています。
1-2.チャットサポートと電話サポートとの違い
前述したように、コンタクトセンターでは近年チャットサポートを導入するところが増えています。
では、従来の電話でのカスタマーサポートとチャットサポートにはどのような違いがあるのでしょうか?
その比較を表にまとめましたので、以下を見てください。
チャットサポート | 電話サポート | |
---|---|---|
対応手段 | ボット又はオペレーターが対応 | オペレーターが対応 |
同時対応件数 | 同時に複数件対応可能 | オペレーター1人につき一度に1件 |
情報伝達の手段 | テキスト入力による回答に加えて、チャットに画像や動画、URLを添付することも可能 | 言葉による説明 |
ひとつずつ説明しましょう。
対応手段:チャットボット活用により自動化できる
まず最大の違いは、電話サポートではオペレーターが応対するところを、チャットサポートではチャットボットを活用することにより自動応答できるという点です。
電話の場合、必ずオペレーターが対応する必要があるため、コンタクトセンターの営業時間内でしか対応はできません。また、電話がつながらなければ対応することができないため、入電が集中してしまうと「待機呼(顧客がオペレーターの対応を待っている状態)」が発生してしまうという問題があります。
一方チャットサポートの場合、チャットボットによる自動応答型のものであればオペレーターの対応がありません。これにより、ユーザーは24時間365日好きなタイミングで問い合わせることが可能です。
ただ、複雑な内容や特殊な質問に対しては、チャットボットの自動応答ではユーザーの求める回答ができない場合もあり、その点ではオペレーターによる臨機応変な対応が必要になるでしょう。
同時対応件数:複数の問い合わせ対応が可能
もうひとつ大きな違いは、同時に対応できる件数です。
電話の場合はオペレーターと顧客1対1の対応になりますが、チャットサポートの自動応答型であれば、チャットボットは一度に何人もの顧客からの問い合わせを同時に受けることが可能です。
また、有人対応型の場合も、対応は直接会話する必要がなくテキスト入力となるため、同時に2〜3人の問い合わせに対応が可能となります。
情報伝達手段:画像やリンクなども用いることができる
電話対応では、相手に情報を伝達する手段は基本的には「言葉による説明」のみです。
パソコンなどの遠隔サポートの場合は、言葉での説明に加えて「相手の端末を遠隔操作する」こともできますが、遠隔サポートできない製品やサービスも多いでしょう。
一方チャットサポートは、チャットで画像や動画、URLを送信し、ユーザーに見せることが可能です。
そのため、視覚的な要素を交えてよりわかりやすく情報を伝えることができるというのも特徴です。
1-3.チャットサポートの機能
チャットサポートは、前述のようにチャットシステムを利用して実施するものです。
では、このチャットサポートシステムでは何ができるのでしょうか?
その機能はシステムによって異なりますが、主に以下のようなことが可能です。
機能 | 概要 |
---|---|
チャット機能 | チャットでユーザーから問い合わせがあると、ボットが自動で応対する機能。 |
定型メッセージ | 特定の状況になると、あらかじめ設定した定型のメッセージで自動的に応答する。名前を呼びかけて挨拶する、よくある質問に回答するなどが可能。 |
ユーザー分析 | 問い合わせをしてきたユーザーのIPアドレス、端末やブラウザの種類などを分析する。 |
PC画面との同期 | 問い合わせをしてきたユーザーの情報をモニター画面に表示、それを見ながら応対できる。 |
履歴管理 | チャットの内容を保存、検索できる。 |
1-4.チャットサポートの種類
また、チャットサポートには以下のような4つの種類があります。
チャットサポートの種類 | 概要 | 向いているケース | |
---|---|---|---|
自 | シナリオ型 | AIを搭載していないボットによる自動応答システム。 | ・事前に想定するQ&Aが少ない場合 |
AI搭載型 | AIを搭載したボットによる自動応答システム。 | ・事前に想定するQ&Aが多い場合 | |
有人対応型 | オペレーターによるチャット。 | ・対応の質にこだわりたい場合 | |
ハイブリッド型 | チャットボットと有人チャットの組み合わせ。 | ・対応の質を重視しつつ、ある程度人員削減もしたい場合 |
このように、4種それぞれに特徴が異なりますので、自社の業務に合ったものを選んで導入することが重要です。
2.チャットサポートのメリット
1章でお伝えしたように、チャットサポートは従来の電話のみのコンタクトセンター(コールセンター)のあり方を大きく変えるものです。そこで、チャットサポートを導入するとコンタクトセンターがどのように変わるのか、そのメリットを挙げてみましょう。
【チャットサポート|ユーザー側のメリット】 |
・待ち時間が短い |
【チャットサポート|企業側のメリット】 |
・人件費を減らせる |
それぞれ説明していきます。
2-1.ユーザー側のメリット
まず、チャットサポートを利用するユーザーにはどのようなメリットがあるでしょうか?
それは以下の3点です。
【チャットサポート|ユーザー側のメリット】 |
・待ち時間が短い |
待ち時間が短い
チャットサポートの最大のメリットは、ユーザーの待ち時間が短いことです。
自動応答型であれば、ユーザーが問い合わせを入力するとすぐにボットが返信します。
有人対応型の場合も、前述のようにオペレーターは一度に2〜3人のユーザーに対応することができますし、よくある質問にはあらかじめ定型の回答を用意しておけば、ユーザーが長く待たされることなく欲しい情報を得られるでしょう。
そもそも従来の電話対応中心のコンタクトセンターに対して、顧客が最も不満に感じているのがこの待ち時間の問題でした。
Cotra編集部にて実施した【カスタマーサポートに対するカスタマーニーズ調査2022】では、電話で問い合わせた際に「どのような状況でストレスを感じたか」を質問したところ、最も多いのは、「電話がつながりにくい」という回答でした。また次いで多かったのが「音声ガイダンスの選択が長い」という回答です。
チャットサポートは、これらの課題を解決できる有効な手段です。
ユーザーを待たせることなく、必要な情報を迅速に提供できるのは、大きなメリットと言えるでしょう。
問い合わせしやすい
また、ユーザーの中には「電話が苦手、面倒」という人も多く、そのような人にとってチャットサポートは気軽に問い合わせしやすい便利なチャネルになり得ます。
実際に、「電話対応に苦手意識を感じる」「電話恐怖症である」という人を調査した統計がいくつかありますが、それらによると4割から多いもので5割以上の人が電話を苦手としているそうです。
そういった人たちは、カスタマーサポートを利用したいと思っても、チャネルが電話しかなければなかなか問い合わせに踏み出せずに問題を放置してしまう恐れがあります。
そんなときに、人と直接対話しなくていいチャットサポートが用意されていれば、不安や恐怖心なく問い合わせることができるでしょう。より多くのユーザーが求めるサポートを気軽に受けることができるようにするには、チャットサポートがうってつけなのです。
24時間いつでも問い合わせできる
もうひとつ重要なメリットとして、24時間好きなタイミングで問い合わせできるということが挙げられるでしょう。
コンタクトセンターは、営業時間が決まっています。
「平日9時〜17時」といったセンターであれば、平日が仕事の人にとっては、問い合わせできるタイミングは昼休みなどわずかな時間に限られてしまいます。そのため、「問い合わせしたくても時間が合わずにいつまでもできない」というケースもあるでしょう。
その点チャットサポートは、24時間いつでもチャットボットが対応するので、夜中でも早朝でもユーザーの都合がいいタイミングで利用できます。また、電話ができない場所、たとえば移動中の電車やバスの中などでもチャットであれば会話できるため、隙間時間をうまく活用できるのもユーザーにとってはうれしい利点でしょう。
2-2.企業側のメリット
一方で、チャットサポートを導入する企業側にも、以下のようなさまざまなメリットがあります。
【チャットサポート|企業側のメリット】 |
・人件費を減らせる |
人件費を減らせる
第一のメリットは、オペレーターの人件費を削減することができることです。
よくある問い合わせに対しては、事前にチャットボットに回答を入力しておくことで対応できますので、オペレーターが対応する件数を大幅に減らすことが可能です。
また、有人チャットでオペレーターが対応する場合でも、前述したようにひとりのオペレーターが同時に2〜3人のユーザーに対応できるため、オペレーターの人員配置に余裕ができます。
つまり、オペレーターの人数を減らしても、顧客満足度を低下させることなく十分な対応を実現できるというわけです。
業務の効率が上がる
また、チャットサポートには以下のような特徴があるため、導入によって業務効率が大幅にアップします。
・同時に複数の顧客対応ができる |
これにより、少ない工数で多くの問い合わせ件数に対応することが可能になり、浮いた時間をオペレーター教育や対応履歴の分析など他の業務に振り分ける余裕も生まれるでしょう。
伝達ミスを減らせる
チャットサポートは、問い合わせ内容などの必要な情報をユーザー自身が入力します。
そのため、名前、住所や商品名などの重要な情報について、伝達ミスが発生するリスクを減らすこともできます。
電話サポートでは、顔の見えない相手の言葉を耳で聞き取るため、オペレーターも顧客も相手の言葉を聞き間違えることがあります。聞き間違いを防ぐために、オペレーターは重要な情報を復唱して確認しますが、それでもミスをゼロにはできません。
また、正確に聞き取っていても、オペレーターが情報を入力する際に間違える可能性もありますし、相手の言っていることを誤って解釈してしまうこともあるでしょう。
そういった電話対応の特徴に対してチャットサポートは、顧客自身がテキストで情報を入力してくれるため、聞き間違いは起こりませんし、入力ミスのリスクも少なく抑えることができるというわけです。
データを蓄積して業務改善に活かせる
さらに、チャットサポートはデータの蓄積、分析にも適しています。
そもそもコンタクトセンターに寄せられる問い合わせや意見は、貴重なVOC(顧客の声)として企業の商品やサービスの改善のために活用することができるものです。
ただ、電話でのVOCはそのままではデータ化しにくく、オペレーターがテキストデータとして入力しなければなりません。
それは大きな工数が必要な作業ですし、長い対話の中のどの部分を、どの言葉を用いて要約するかは個人によって異なるため、統一されたデータとして扱うことが難しいというデメリットもあります。
一方で、チャットサポートではVOCはユーザー自身が入力したテキストデータとして集まってきます。
オペレーターによるテキスト化が必要ないため、データの蓄積や分析が容易で、業務改善に活用しやすいというのも大きなメリットでしょう。
3.チャットサポートのデメリット
ただ、もちろんメリットだけではありません。チャットサポートにもデメリットもあります。
それは主に以下のような点が挙げられるでしょう。
【チャットサポート|ユーザー側のデメリット】 |
・問い合わせ方法がわかりにくい |
【チャットサポート|企業側のデメリット】 |
・シナリオ設計が難しい |
3-1.ユーザー側のデメリット
まず、チャットサポートを利用するユーザー側のデメリットは以下です。
【チャットサポート|ユーザー側のデメリット】 |
・問い合わせ方法がわかりにくい |
問い合わせ方法がわかりにくい
チャットサポートを利用するユーザーの中で多く挙がる不満のひとつに、「問い合わせ方法がわかりにくい」という声があります。どこから問い合わせればいいのか、チャットの入り口がわかりにくい、該当ページが探せない、というのです。
そもそもチャットサポートは、企業のWebサイトの中でユーザーがチャットを立ち上げて利用するものです。その入り口は、Webページの端のほうに常時表示されているケースや、チャットサポート専用ページ、またLINE公式アカウントからサポートを受けられるケースなど、企業・Webサイトごとに異なります。
ユーザーの中にはこの入り口が見つけられず、「どうやって問い合わせればいいのかわからない」と途方に暮れる人も多いのです。特に、チャットの利用に慣れていない場合は、使い方にも戸惑うかもしれません。
そのようなことのないよう、企業側はチャットサポートを導入する際には、誰にでもわかりやすいような導線を用意する必要があるでしょう。
3-2.企業側のデメリット
ユーザー側のデメリットに対して、チャットサポートを導入する企業側のデメリットは、以下の3点です。
【チャットサポート|企業側のデメリット】 |
・シナリオ設計が難しい |
シナリオ設計が難しい
自動応答型のチャットサポートでは、チャットボットにあらかじめどのような対応をするかを登録する必要があります。ユーザーからの想定される質問に対して回答を用意し、定型文としてテキスト化しチャットシステムに登録するのです。
この応対の内容をシナリオと呼び、チャットサポートの品質を高めるためにはシナリオ設計が重要なのですが、これがなかなか手間と時間のかかる難しい作業です。
というのも、ユーザーからの問い合わせや意見は多種多様なため、まずそれらを想定して洗い出す必要があります。この想定が適切でないと、ユーザーがチャットボットに質問をしても、該当するFAQがなく問題解決が出来ない恐れがあります。
また、回答はわかりやすいものでなければなりません。
ときには図を示したり、別のページに誘導したりといった工夫も必要でしょう。
一度だけのやりとりではなく、ユーザーの返答にあわせて「YESと返信された場合どう答えるか/NOと返信された場合どう答えるか」など分岐するやりとりを用意したり、チャットボットでは答えられない複雑な質問に対しては有人チャットに切り替えるように設定したりと、細かいシナリオ設計も求められます。
さらに、シナリオは一度設計、登録すればそれで終わりではありません。
実際に導入してみた結果を踏まえて、より精度が高く顧客が満足できる回答になるよう、定期的にブラッシュアップするものです。
これらの工数が非常に大きいため、「チャットサポートの導入はハードルが高い」と感じる企業もあるでしょう。
オペレーターのスキルアップが必要
前項で説明したように、チャットボットでは回答できないような問い合わせがあるものです。
そのため、多くのコンタクトセンター(コールセンター)ではチャットボットと有人チャットを併用しています。最初はチャットボットが応対し、チャットボットでは答えられない場合、有人チャットに誘導するのです。
そのため、オペレーターにはチャット対応のための教育が必要になるでしょう。
テキストで応対するチャットでは、電話対応よりも短く簡潔な文章で情報を伝えなければならないため、言葉選びや表現もおのずと電話とは異なってきます。
また、相手の質問も短文なので、その中から真意やニーズを汲み取るスキルも培わなければなりません。
このオペレーター教育のための時間や手間、研修費用などが必要になることも、ひとつのデメリットといえるでしょう。
どのツールを選ぶかによって効果が異なる
チャットサポートは、チャットシステムやチャットツールを利用して実施します。
多くの企業がさまざまなツールを提供していますが、それぞれ機能やコストなどが異なるためどれを選ぶか選択が難しいのも難点です。
もし自社に適さないものを選んでしまうと、十分な効果が得られない恐れがあります。
これについては、「7.チャットサポートツール選びのポイント」で選び方のポイントを解説しますので、そちらを参照してください。
4.チャットサポートが向いているケース
チャットサポートには、メリットとデメリットいずれもあることがわかりました。
といっても、「これだけでは、自社のコンタクトセンター(コールセンター)にチャットサポートを導入したほうがいいのかわからない」という方も多いでしょう。
そこで、一般的にチャットサポートが向いているのはどんなケースか、いくつか例を挙げておきましょう。
向いているケース | 理由 |
---|---|
オペレーターの負担や人件費を減らしたい | チャットボットが、簡易的かつよくある問い合わせに対し自動応対することで、オペレーターの対応件数を減らすことができる |
顧客満足度を向上させたい | 自動応答の場合は電話サポートのように長時間待たされることがなく、いつでも問い合わせができるためカスタマーサポートに対する不満の解消につながる |
VOCを改善に活かしたい | 顧客とのやりとりがテキストデータとして蓄積されるので、分析しやすい |
24時間対応したい | 24時間オペレーターを配置しなくても、チャットボットが自動応答することができる |
以上のような希望を持っている企業は、チャットサポートの導入をぜひ検討してみてください。
5.チャットサポートの導入事例
ところで、「実際に導入した企業の事例が知りたい」という感じる方もいるかと思います。
そこで、チャットサポートの導入事例をいくつか紹介しておきましょう。
5-1.株式会社協和様:電話中心の問い合わせから40%をデジタルチャネルへ移行
エイジングケア美容液ブランド「fracora(フラコラ)」を展開する株式会社協和様は従来、テレビCMを中心に顧客獲得を図っていましたが、テレビ広告で獲得できるユーザー層の年代がどんどん高くなり、60代以上の女性がメインになっていました。
しかし会社としてメインターゲットを40〜60代に若返らせたいという思いと、世の中のデジタル化の流れを汲んで、2019年からDX化を推し進めることとなりました。
そこで、顧客対応窓口=コンタクトセンター(コールセンター)も、それまでの電話中心の対応からデジタル化、オンライン化を目指して、トランスコスモスとともにプロジェクトを発足したのです。
取り組んだ施策は以下の3点でした。
1.問い合わせの導線整備とチャネル拡充 2.デジタルチャネルでの誘導施策 3.VOC活用、チューニングの実施 |
その結果、当初はメールが中心で6%だったデジタルチャネル利用率が、チャット・チャットボットの導入などマルチチャネル化したことで20%を超えました。
さらに、シナリオの見直し、チャット対応範囲の拡大、チャットウィンドウのデザイン変更などを実施したことで、開始から2年間で当初の約7倍となる40%まで拡大しています。
それと反比例して、電話チャネルの利用が減り、コストの最適化も実現しました。
5-2.ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社様:チャットで生産性が2倍に
「NURO」などのIT・通信サービスで知られるソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社(So-net)様は、2020年にカスタマーサポートのノンボイス化に着手しましたが、中でも注力したことのひとつが「AIチャットボット+チャット」の導入と体制確立でした。
そこで、So-net様のキャラクターのAIチャットボット=「AIモモ」がまず一次対応し、「AIモモ」が対応できない質問には、有人チャットやサポートページへシームレスに誘導するというシステムを構築しました。
その結果、約1年半後にはチャットでプロジェクト開始時比約2倍の生産性を達成することができました。
5-3.日産自動車株式会社様:チャット経由での店舗への送客数が数百名超に
日産自動車様では2021年、販売会社のWEBサイト上で、チャットボットとチャットを併用したオンライン接客サービスの提供を開始しました。
従来の自動車販売では対面接客が基本でしたが、顧客側のオンラインニーズが高まったことなどから、接客にも多様性が求められるようになり、「非対面での顧客接点の構築」と「多様化した接点のシームレスな連携」が課題になっていたのです。
そこで、顧客がわざわざ店舗に出向かなくても、PCやスマホから誰でも気軽に質問や相談ができるチャネルとして、チャットボットの導入に踏み切りました。
Webサイトに問い合わせが入るとまずチャットボットが自動応対し、チャットボットでは対応できない場面になると、チャットに切り替わってオペレーターが直接対応する、というサービスです。
これにより、簡単な問い合わせはチャットボットでスピーディに解決し、成約の可能性が高い見込み客は有人チャットから実店舗へと送客するというスキームが構築できました。
1年足らずの間に、数百名をチャット経由で店舗に送客することに成功、幅広い年代からの成約につなげることができました。
6.チャットサポートの導入方法
このように、チャットサポートの導入はコンタクトセンター(コールセンター)の改善に実際に有効であることがわかったかと思います。
では、実際に導入を考えている方向けに、チャットサポートの導入方法をお伝えしておきましょう。
導入方法は大きく分けて2つです。
・自社で開発する |
6-1.自社で開発する
まず、チャットサポートのシステムを自社で開発する方法があります。
自社開発は、自社に必要な機能を備えたシステムを構築できる上に、自社のプログラマーが開発すればコストを抑えることも可能です。
ただ、時間も人的リソースも膨大にかかるのが難点です。
また、顧客情報などを扱うのでセキュリティを強化する必要があり、導入後の保守運用も自社で行わなければならないため、開発部門が充実している企業以外にはハードルが高い方法だと言えそうです。
6-2.チャットツールを利用する
自社開発よりもハードルが低い方法として、既存のチャットツールを利用している企業も多くあります。
社内に開発部門がない場合や、早期に導入したい場合、専門知識のある人材がいない場合でも比較的簡単に導入できるのが利点です。
チャットツールは多くの企業から提供されていますので、機能や費用などが自社に適したものを選ぶといいでしょう。ツールの選び方に関しては、「7.チャットサポートツール選びのポイント」で詳しく解説しますので、そちらもぜひ読んでください。
7.チャットサポートツール選びのポイント
チャットサポートツールの種類は多種多様で、専門知識がないとどれを選べばいいのか迷ってしまいます。
そこで最後に、チャットサポートツールを選ぶ際に注目すべきポイントを4つ挙げておきましょう。
・導入目的は何か |
7-1.導入目的は何か
チャットツールを導入する際にまず明確にさせるべきことは、導入目的は何かということです。
ひと口にチャットツールといっても、その機能や特徴はまちまちですので、自社の導入目的に適したものを選ぶ必要があります。
例えば、「顧客からの問い合わせの多くは似たような内容なので、対応を自動化したい」というのであれば、複雑な質問に対応する必要はあまりないでしょう。となると、AIを搭載していないシンプルなシナリオ型で十分かもしれません。
このように、目的を明確化した上で、それを軸にしてツールを選ぶようにしましょう。
7-2.導入までの工数はどの程度か
次に、導入までの工数も重要です。
チャットサポートの導入には、前述したようにシナリオ設計やAI学習などの準備が必要です。
また、カスタマイズが必要であれば、そのための作業も発生するでしょう。
これらの工数が多ければ多いほど、チャットサポートの運用開始まで時間がかかることになります。
「なるべく早期に導入したい」という場合は、事前の準備工数が少ないものを選ぶ必要があるでしょう。
7-3.管理画面のUIは使いやすいか
管理画面の使いやすさも確認する必要があります。
特に、シナリオを柔軟に変更できるかどうかは、応対品質を左右するポイントです。
また、チャット画面のデザインを管理画面から簡単に変更できるものなどもありますので、実際にデモ操作してみて使いやすいものを選ぶといいでしょう。
7-4.既存システムと連携できるか
最後に、現在利用中のシステムと連携できるかどうかも重要なポイントです。
FAQシステムを導入している場合は、それとチャットツールが連携できれば、よくある質問と回答のシナリオ作成の工数を減らすことができるでしょう。
また、CRM(顧客関係管理)との連携は、業務改善に非常に有効です。
チャットによる顧客対応のテキストデータをCRMの顧客情報と連携させることで、より具体的な顧客ニーズを把握することができますし、CRMの顧客情報をチャット画面と同時に表示させれば、顧客のくわしい情報を踏まえた有人チャット対応が可能になります。
企業側は顧客ニーズに沿ったサービスを提供できるようになり、顧客満足度も上がるでしょう。
チャットサポートを導入するなら コンタクトセンターにチャットサポートを導入したいのであれば、トランスコスモスが提供するチャットサポートソリューション「DEC Support」をおすすめします。 DEC Supportは、複数のプラットフォームに対応し、3タイプのチャットボットと有人チャットをシームレスに提供可能な自社開発のチャットサポートソリューションです。 チャットボットでは、事前に登録したシナリオ(ルール)に沿って回答や各種アクションへ誘導する「シナリオ型」、キーワードを元に複数のQAを提示可能な「FAQ型」、自然言語での対話に対応した「NLP型」の3タイプを組み合わせることができ、どのタイプのチャットボットからも有人チャットに接続できます。 また、個人情報フォームやアンケートフォームを活用することで、各種受付業務の自動化や効果的なメッセージ配信(LINE)、有人チャットサポート時のヒアリング工数削減も可能です。有人チャットにおいても、日本語校正機能や定型文機能を有しており、正確で効率的なオペレーションが実現できます。 詳しいサービス内容については、こちらからサービス紹介資料をご確認ください。 |
まとめ
いかがでしたか?
チャットサポートについて、知りたかったことがわかったかと思います。
ではあらためて、記事のポイントをおさえておきましょう。
◎チャットサポートとは
カスタマーサポートの手法のひとつで、顧客からの問い合わせをチャット形式で受け、チャット形式で回答するカスタマーサポート |
◎チャットサポートのメリット
【チャットサポート|ユーザー側のメリット】 【チャットサポート|企業側のメリット】 |
◎チャットサポートのデメリット
【チャットサポート|ユーザー側のデメリット】 【チャットサポート|企業側のデメリット】 |
◎チャットサポートが向いているケース
・オペレーターの負担や人件費を減らしたい場合 |
◎チャットサポートの導入方法
・自社で開発する |
◎チャットサポートツール選びのポイント
・導入目的は何か |
これを踏まえて、あなたのコンタクトセンターがチャットサポートを適切に導入し、業務を効率化できるよう願っています。