
労働人口の減少に伴い、「人手不足」がますます深刻化する昨今。店舗や施設などの現場では従業員の負担が大きく限界を迎えつつあり、そのしわ寄せは、サービスの質や顧客満足度にも影響を及ぼし始めています。
こうした社会情勢を受け、トランスコスモスでは多拠点展開している企業に向けて「受電集約サービス」を提供しています。今回は、その取り組みや成功事例をご紹介したセミナーの詳細についてレポートします。
【登壇者】
トランスコスモス株式会社
トランスコスモス株式会社
トランスコスモス株式会社 ※登壇者の所属および役職は、2025年9月時点のものです。 |
1.労働人口の減少と賃金上昇の二重苦

日本では人口減少と高齢化が同時に進行し、2025年には65歳以上が総人口の約3割を占めるまでになりました。それにともない労働人口も縮小を続け、労働者の確保は年々難易度を増しています。
さらに、賃金は直近2年連続で5%以上の上昇を記録。企業にとって人件費の負担は確実に重くなり、労働力に依存する「労働集約型ビジネス」は大きな転換点を迎えています。
なかでも、多拠点展開を行う店舗や施設では、この課題がより切実な経営問題として顕在化しているといえるでしょう。
2.従業員の負担の深刻化

人口減少や人手不足は、統計や数値の話にとどまらず、すでに店舗・施設などの現場でも日々実感される課題となっています。
多くの店舗では、労働力に依存したオペレーションが行われており、現場の従業員は接客に加えて、品出し、電話対応、さらには新人教育まで、日常的に多くの業務を同時にこなしています。
事業の多角化が進むにつれて業務内容はますます複雑化し、一人あたりの業務範囲が拡大を続けた結果、従業員が定着しにくく、新たな人材も確保できないという悪循環に陥っている店舗は少なくありません。
こうした状況に対応するため外国人労働者の雇用や、配膳ロボット・QRコードでの注文・セルフレジなどの「自動化施策」も進められていますが、必ずしも現場の従業員の負担軽減にはつながっているとはいえず、新たな課題も発生しているのが現状です。
さらに店舗が抱える課題は、従業員の負担だけにとどまりません。顧客の視点では「忙しそうで声をかけづらい」「電話がつながらない」といった不満が生まれ、本部の視点でも人件費や運用コストの増加、商品の管理負荷など、解決すべきテーマは山積しています。
こうした複合的な課題に対し、トランスコスモスではまず「受電の集約」という切り口から、現場と本部、そして顧客をつなぐ新たな支援の形をご提案できないかと考えています。
3.人手不足にメスを入れるトランスコスモスの「受電集約サービス」

3-1.受電集約サービスとは
受電集約サービスとは、店舗や施設にかかってくる顧客からの電話を、トランスコスモスの集約センターで一元的に引き受ける仕組みです。
現場に直接かかっていた問い合わせや予約、各種確認の電話を集約することで、店舗・施設の従業員は本来注力すべき業務に集中できるようになります。また、集約センターでは顧客対応を行うだけでなく、必要に応じて該当する拠点と連携し、スムーズな情報共有を図ります。
トランスコスモスのツールを通じて記録・可視化された対応内容をVOC(Voice of Customer=顧客の声)として本部へフィードバックし、現場で拾いきれなかった顧客の声を、商品やサービスの改善につなげることも可能です。
一方で、受電集約サービスの導入にあたっては、事前に検討すべきポイントもいくつか存在します。
たとえば、拠点ごとに異なる電話番号を維持するのか、新たな番号に集約するのかといった設計や、集約センターでどこまでの判断・対応を行うのかといった運用ルールの整理が欠かせません。
これらを十分に設計せずに導入すると、かえって現場や顧客に混乱を招く可能性もあるためトランスコスモスでは、企業ごとの業務フローや課題を踏まえながら、最適な受電集約の形を設計・支援しています。
3-2.現状を可視化することの重要性

受電集約サービスを効果的に導入するにあたり、まず欠かせないのは「現状把握」です。トランスコスモスでは、専門の調査部隊による現地調査サービスを提供しています。
実際に各店舗へ赴き、店長やスタッフへのヒアリングを行うほか、日々どのような電話がかかってきているのか、内容や頻度、対応の難易度などを調査。業務量や対応負荷を、定量・定性の両面から分析・可視化していきます。
こうした「現場の可視化」を行うことによって、企業ははじめて、どの拠点にどのような支援が必要なのかを客観的に把握できるようになります。
また、受電を集約した場合に、現場の負担がどの程度軽減されるのか、どの業務を切り離せるのかといった効果を具体的にイメージすることも可能になります。
現状を正しく理解することは、受電集約を成功させるための第一歩であり、最適な運用設計につながる重要なプロセスといえるでしょう。
3-3.受電集約サービスのメリット

受電集約サービスは、現場の従業員にとっても本部にとっても大きなメリットがあります。まず現場にとっての大きなメリットは、電話対応から解放されることで接客や売り場づくりといった本来の業務に集中できる点です。
頻繁に鳴る電話に対応するストレスが軽減され、精神的・時間的な余裕が生まれることで従業員満足度の向上や離職防止につながるほか、電話対応に苦手意識を持ちやすい若年層スタッフにとっては、心理的負担を大きく減らす効果が期待できるでしょう。
また、顧客の視点でも、受電集約は利便性向上につながります。
これまでは「電話がなかなかつながらない」「忙しそうで十分な対応をしてもらえない」といった不満を感じていたケースでも、集約センターで安定した対応を受けられるようになることで、顧客満足度や顧客体験の質が向上します。
一方、本部にとっては、各店舗に寄せられる問い合わせ内容や要望をVOCとして一元的に収集・分析できる点が大きな強みです。
個々の店舗では見えにくかった共通課題や改善ポイントが可視化され、全社的なサービス品質の底上げや、売上・ブランド価値の向上につながる施策を検討しやすくなります。
さらに、リコールや臨時休業といったイレギュラーな事態が発生した際にも、迅速かつ統一した情報発信が可能になります。
このように、受電集約によって業務の土台を整えることで、企業はデジタル活用への移行もスムーズに進められるようになります。
たとえば、アプリや遠隔接客といった仕組みを組み合わせることで、店舗運営の効率化と顧客体験の向上を同時に実現することが可能です。結果として、顧客はより便利でストレスのないサービスを享受できるようになります。
4.AI×人の協業が顧客体験を変える

4-1.電話対応におけるAIの活用状況
近年、チャットボットやボイスボット、アバター接客など、AIを活用した顧客対応が広がっており、集約受電センターでもボイスボットの導入が進んでいます。
AIは通話内容をリアルタイムでテキスト化し、顧客の意図を理解して適切に応答します。その認識精度はすでに90%を超えており、現在では、「FAQ対応」や「氏名・電話番号を確認する一次受付対応」、「コールバック予約の自動受付」など、幅広い業務に対応が可能です。

4-2.AIと人との役割分担で顧客満足度をアップ
AIによる顧客対応が進化する一方で、人の役割も依然として欠かせません。AIは多くの業務を効率化できますが、複雑な問い合わせや微妙なニュアンスを伴う対応では、AIだけでは完結出来ず、人間のオペレーターによる対応が必要となる場面も多くあります。
こうした場合には、AIが適切なタイミングでオペレーターへ引き継ぐことが、顧客の不安やストレスの軽減につながります。AIと人の役割を最適に分担することで、業務効率化と顧客満足度の向上を両立でき、結果としてコスト削減とサービス品質の向上を実現することができます。
4-3.オンライン接客で新たな付加価値を

AIを使った顧客対応は電話にとどまらず、近年では「アバター接客」とよばれるオンライン接客にも徐々に広がりを見せています。
店舗に設置したデジタルサイネージやタブレット端末を通じ、オペレーターが遠隔で対応する仕組みで、手元を映すカメラを併用すれば、書類記入やアプリ操作のサポートもリアルタイムに行うことができます。
すでに銀行や小売店舗では導入が進んでおり、対面と遜色ないサービスの提供が可能です。オンライン接客の大きな利点は、既存のコンタクトセンター(コールセンター)人材を活用できる点にあります。
電話対応と統合すればVOCを一元管理でき、顧客理解の深化とサービス品質の向上、オペレーターの生産性向上が同時に実現できます。
5.AI接客の事例集
5-1.顧客が目的の電話窓口につながるまでの時間を60%削減

とある大手小売企業様では、AIを活用した受電システムの導入により、ユーザーが目的の窓口に到達するまでの時間を60%削減しました。
従来は人が一次受付を行い、要件を聞いたうえで窓口へ転送していましたが、このプロセスをAIが担うことで、要件把握から担当オペレーターへの共有までを迅速化しています。
その結果、オペレーターは要件を聞き返すことなく本題から対応できるようになり、顧客対応の効率が大きく向上しました。
5-2.オペレーターへの入電率を前年比 44 %削減

また、その他にもボイスボット導入によりオペレーターへの入電率を44%削減した事例もございます。全国に複数拠点を持つ同社は、特定エリアから段階的に導入を拡大し、最終的に大きな効果を創出しています。
段階的な導入を進める中で、日々対応していた100件の電話のうちの44件がAIで対応可能であり、実際に対応を代替させることで、業務効率化が進み、オペレーターの負担軽減と顧客対応の迅速化を実現しました。
このように、AIの活用は現場の従業員の負担を軽減すると同時に、顧客満足度の向上にも寄与します。
まずは各店舗・拠点の運用ルールを整理し、安定した土台を構築することが重要です。そのうえで「人」と「AI」が役割を分担し、協業する体制を整えることで、これまでにない顧客体験や新たな付加価値が生まれていくでしょう。
今回ご紹介したトランスコスモスの受電集約サービスにご関心をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。貴社の課題や状況に応じた活用方法をご提案いたします。



