「トラブルシューティングって、何をすることだろう?」
トラブルシューティングとは、起きているトラブルの原因を想定し、ロジカルに解決することです。
想定される原因から「解決できる確率の高い対処法」を優先的に案内し、体系的に対処法を一つひとつ検証することで、スピーディな解決を目指すのが、最大のポイントです。
「トラブルシューティング」というと、ただ単に「問題解決すること」だと理解し、自己流でトラブルシューティングを行う人がいます。
しかし、自己流でトラブルシューティングを行うと、問題解決に「多くの時間」を費やしたり、顧客のトラブルを解決できずに終わる場合もあるため、注意が必要です。
トラブルシューティングには、押さえるべきポイントがあります。しっかりとポイントを押さえれば、CS(顧客満足度)の向上にもつながります。
トラブルシューティングは、本記事で紹介するポイントを押さえて取り組んでみてください。
本記事でわかること |
・トラブルシューティングとは? |
それでは早速、みていきましょう。
1.トラブルシューティングとは?
冒頭でご説明した通り、トラブルシューティングの定義は以下の通りです。
トラブルシューティングの定義 |
顧客が抱えるトラブルの原因を想定し、ロジカルに解決すること。「解決できる確率の高い対処法」を優先的に案内し、体系的に対処法を一つひとつ検証することで、スピーディに解決すること |
具体例を用いて、噛み砕いて説明しましょう。
たとえば、ゲームアプリ会社の場合。ユーザーから「アプリを起動できない」といった問い合わせを受けることがあります。
このとき、ユーザーは「アプリにバグがあるのだろう。ゲーム会社側の問題だ」と思い込んでいる可能性が高いです。
しかし、ゲームアプリが起動できないのは、「メモリ不足」「キャッシュの過多」「アップデートの未対応」など、ユーザー側の「スマホの使い方」に原因がある場合が多いです。
そのため、ユーザーの主張をそのまま受け取り、「アプリにバグが発生しているのかもしれない。システムエンジニアに原因究明を依頼して、改修してもらおう」と考えるのは、好ましい対処法ではありません。
これは原因が特定できてない状態で対処を捉えているので以下2点の問題が発生します。
- ユーザーの抱えるトラブル解決まで、多大なる時間がかかってしまいます。
- システムエンジニアは、優先度の高いコア業務に従事できなくなります。
そのため、コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)のオペレーターは、想定される原因より「ユーザーの抱えているトラブルを解決できる可能性の高い対処法」を優先的にユーザーに提示し、まずはそれらを試すよう促すことが大切です。
たとえば、以下の通りです。
「ゲームアプリを起動できない場合」に行うべきアナウンス例 |
●アプリの「キャッシュ」を消去してみてください ●アプリやスマホ端末の「アップデート」をしてみてください ●スマホ端末を「再起動」してみてください |
上記のように、スマホ端末の「再起動」や「キャッシュの消去」「アップデート」などのアプローチによって、解決できることが多いです。
これは、ゲームアプリに限りません。ソフトウェアやパソコン周りのトラブルの場合、そのほとんどは、ユーザー側の対処で解決できます。
まずは、想定される原因より解決できる確率の高い対処法を「優先的に」案内しましょう。それが「トラブルシューティングにおける基本的な考え方」です。
2.トラブルシューティングで押さえたいポイント3つ
トラブルシューティングの「基本的な考え方」については、ご理解いただけたのではないかと思います。
加えて、トラブルシューティングを行う上で「押さえておきたいポイント」も解説します。
ポイントは3つあります。
・「いつ・どこで・どのような問題が生じるのか」を明らかにする
・「暫定措置」と「恒久措置」の2段階で取り組む
・「トラブルシューティングマニュアル」を作成する
1つずつ、解説しましょう。
2-1.「いつ・どこで・どのような問題が生じるのか」を明らかにする
トラブルシューティングを行う際には、顧客の契約情報や商品スペックなどに加えて「いつ・どこで・どのような問題が生じるのか」の3点を、顧客に確認しましょう。
そのトラブルが発生するシチュエーションに「法則性があるのか」「どんな環境下でトラブルが起こりうるのか」が、明らかになり、トラブルの発生原因を突き止めやすくなるからです。
たとえば、パソコンメーカーの場合。顧客から「パソコン画面に異常がある」という問い合わせがあったとします。
この場合には、パソコンの基本スペック(OSのバージョン、メーカー、型番)を最初に確認します。加えて、“異常の中身”を、より詳しくヒアリングします。なぜならば「パソコン画面の異常」と一口にいっても、さまざまなシチュエーションが考えられるからです。
「パソコン画面に異常がある」という問い合わせから、「いつ・どこで・どのような問題が生じるのか」の3点を、聞き出すことによって、問題解決の糸口をつかむことができます。
たとえば、以下の通りです。
「パソコン画面に異常がある」という場合に想定される |
●パソコン画面が映らない いつ:昨日から →「電源が入らない」か「モニターが映らない」可能性が高い 【案内する一次対処 原因を電源かモニターか切り分ける】 ●パソコン画面が暗い いつ:3日前から →3日前に誤って、なんらかの操作をした可能性がある 【案内する一次対処】 ●パソコンの電源は入るが、画面に線が入ってしまう いつ:1ヵ月ほど前から不定期に →ハードの問題の可能性が高い 【案内する一次対処】 |
このように、「いつ・どこで・どのような問題が生じるのか」を明らかにすることで、原因を特定しやすくなり適切な対処法をアナウンスできるようになります。
トラブルシューティングを行う際には、この点をぜひ押さえてください。
2-2.「暫定措置」と「恒久措置」の2段階で取り組む
2つ目のポイントが「『暫定措置』と『恒久措置』の2段階で取り組む」です。
「暫定措置」とは、一時的な対処です。
「恒久措置」とは、同じトラブルが発生しないための対策をすることです。
たとえば、デジタルカメラメーカーの場合。顧客から「撮影したデータを消去できない」という問い合わせがあったとします。
通常、デジタルカメラには、撮影データを消去できる機能があるため、問い合わせを受けたオペレーターが、撮影データの画像を消去する方法を伝えれば、問題解決となります。ここまでが「暫定措置」です。
しかし、あまりにも同じような問い合わせが重なる場合は「暫定措置」だけでなく「恒久措置」にも取り組むことが大切です。
「撮影データを消去できない」という問い合わせが多数寄せられた場合、削除の仕方がわかりづらいことが原因と考えられるため「恒久措置」としては、以下が想定されます。
「撮影データを消去できない」という問い合わせが |
・「消去ボタン」をカメラ本体に加える |
顧客からの「問い合わせ」の内容・理由のログをストックし、
・暫定措置だけでOKか
・恒久措置まで踏み込むべきなのか
判断し、商品やサービスの品質向上に役立てましょう。そうした積み重ねが、トラブルシューティングの精度や「CS(顧客満足度)」を向上させます。
2-3.「トラブルシューティングマニュアル」を作成する
トラブルシューティングで、基本中の基本となるのが「マニュアルの作成」です。
「このトラブルは原因が〇〇なので、あの対処法で90%以上解決できる」といったログに基づいて、オペレーターの経験年数にかかわらず、誰でもトラブルシューティングが行えるマニュアルを作成することが大切です。
そうすれば、専門知識をもつ人間が不在であっても、トラブルシューティングが可能になります。
起きている事象に対して想定される原因を並べパターン分岐にて原因特定できるようにすることで、トラブル解決の精度を高め、CS(顧客満足度)を向上させることができます。
ぜひマニュアル作りに取り組んでみてください。
トラブルシューティングのマニュアルを作る際のポイントは以下の通りです。
トラブルシューティングのマニュアルを作る際のポイント8つ |
①問い合わせやクレームと、その原因と解決策のログを「電話・チャット・メール」などから集める |
上記のポイントを押さえて、新人・ベテランにかかわらず、どんなオペレーターでもトラブルシューティングができる環境を構築しましょう。
トラブルシューティングを行う上で「押さえておきたいポイント」を今一度、整理します。
トラブルシューティングを行う上で「押さえておきたいポイント」 |
・「いつ・どこで・どのような問題が生じるのか」を明らかにする |
上記のポイントを押さえて、トラブルシューティングを行ってください。
3.トラブルシューティングのメリット2つ
続きまして、トラブルシューティングを行うメリットを解説します。
・顧客の抱える悩みをスピーディに解決する
・オペレータ-の「問題解決力」を平準化できる
1つずつ、みていきましょう。
3-1.顧客の抱える悩みをスピーディに解決する
「1.トラブルシューティングとは?」でお伝えした通り、トラブルシューティングは、想定される原因より「顧客の抱えているトラブルを解決できる可能性の高い対処法」を優先的に提示するため、スピーディな問題解決が可能です。
この点が、トラブルシューティングの最大のメリットです。
3-2.オペレーターの「問題解決力」を平準化できる
2つ目のメリットが「顧客応対品質の平準化」です。
トラブルシューティングにおいては、オペレーターの直感で、トラブルの対処法を提示するわけではありません。
想定される原因より「解決できる可能性の高い対処法」を優先的に案内し、体系的に解決に導くことが、テクニカルサポートの一般的なルールです。
このルールに従うための教育やマニュアルの準備をすることで、オペレーターの「経験・スキル」に依ることなく「問題解決力」を平準化できます。
トラブルシューティングの考えが、しっかりと浸透しているコンタクトセンター(コールセンター)では、新人オペレーターも、顧客の問題を「確実・スピーディ」に解決できます。
トラブルシューティングのメリットを今一度、整理します。
トラブルシューティングのメリット2つ |
・顧客の抱える悩みをスピーディに解決する |
上記のポイントにメリットを感じた方は、トラブルシューティングの考えを、自社に導入してみてはいかがでしょうか。
4.トラブルシューティングをコールセンター専門の会社にアウトソーシングする
ここまでの記事を通じて、「トラブルシューティングの基本的な考え方」や「トラブルシューティングで押さえるべきポイント」が、理解できたのではないでしょうか。
しかし、ここで一つの疑問が生まれた方もいるのではないでしょうか。
「自社でトラブルシューティングを行いたいが、情報の整理や体系化ができない」
「トラブルシューティングの魅力はわかったが、自社に導入できる自信がない」
そのような場合には、トラブルシューティングの応対を実施する、コンタクトセンター(コールセンター)をアウトソーシングしましょう。
コンタクトセンターでは、顧客からの問い合わせにおいて、「トラブルシューティング」の体系化した応対も行っています。
トランスコスモスでも、企業からの依頼により、トラブルシューティング(テクニカルサポート)のアウトソーシングを承っています。
「トラブル解決を平準化したい」
「顧客対応の生産性を向上したい」
「CS(顧客満足度)を向上させたい」
このような想いがある方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたか。
「トラブルシューティングとは何か」について、理解が深まったのではないでしょうか。
ここで本記事のまとめを入れます。
- トラブルシューティングとは?
顧客が抱えるトラブルの原因を想定し、ロジカルに解決すること。「解決できる確率の高い対処法」を優先的に案内し、体系的に対処法を一つひとつ検証することで、スピーディな解決を目指す
- トラブルシューティングで押さえたいポイント3つ
・「いつ・どこで・どのような問題が生じるのか」を明らかにする
・「暫定措置」と「恒久措置」の2段階で取り組む
・「トラブルシューティングマニュアル」を作成する
- トラブルシューティングのメリット2つ
・顧客の抱える悩みをスピーディに解決する
・オペレーターの「問題解決力」を平準化できる
本記事が、トラブルシューティングについて知りたい方のお力になれましたら幸いです。