
「カスタマーサクセスと営業は、何が違うのだろう」
「現状、営業が顧客のアフターフォローをしているけれど、新たにカスタマーサクセスも導入した方がいいのだろうか」
カスタマーサクセスと営業は、どちらも顧客対応を担う職種であるため、その違いが明確に説明できないという方は少なくないでしょう。そのため、営業だけで十分なのか、それともカスタマーサクセスの導入が必要なのか、判断に迷うのも無理はありません。
カスタマーサクセスと営業には、5つの違いがあります。

カスタマーサクセスと営業は、こうした違いを持つ別個の職種ですが、売上拡大に貢献するという点は共通しているため、連携して活動することで成果を最大化できます。
ただし、それぞれの特性を十分に理解し、適切な体制によって一貫した顧客体験を提供できなければ、期待した効果は得られません。
そこで本記事では、カスタマーサクセスと営業の違いについて、具体的な内容を分かりやすく解説します。また、両者が連携するメリットやポイント、カスタマーサクセスの導入が成果につながりやすい企業の特徴もお伝えします。
本記事を読むことで、営業のアフターフォローとカスタマーサクセスの何が違うのか、自社にカスタマーサクセスを導入すべきかについて、よりクリアに判断できるようになります。
あなたのビジネスをさらに成長させるための戦略設計に役立ちますので、ぜひ最後までお読みください。
1.カスタマーサクセスと営業「5つの違い」

カスタマーサクセスと営業には、5つの違いがあります。まずは、概要を確認しましょう。
最初の違いは、目的です。営業が存在・活動する目的は「契約の獲得」であり、カスタマーサクセスの目的は「商品・サービスの活用支援と継続利用」になります。
そのため、営業は主に契約前に関わり、カスタマーサクセスは契約後に介入するという、担当フェーズの違いが生まれるのです。
目的と担当フェーズが異なることで、業務内容も変わってきます。営業が見込み客へのアプローチや商談を担うのに対して、成約後の活用支援や利用拡張提案を行うのがカスタマーサクセスです。
業務内容が違えば、当然KPIも異なります。営業は契約数や商談化率といった短期成果を追い、カスタマーサクセスは継続率やLTV(顧客生涯価値)などの中長期成果を重要指標とするのが一般的です。
そして、営業とカスタマーサクセスでは、求められるスキルにも違いがあります。営業では、提案力や交渉力といった、相手が契約に踏み切れるよう後押しするスキルが重要です。一方、カスタマーサクセスでは、分析力や問題解決力など、顧客が成果を得られるよう支援するためのスキルが重視されます。
次の章からは、5つの違いそれぞれについて、より具体的な内容を見ていきましょう。
カスタマーサクセスとは何かを再確認したい方は、以下の記事をご覧ください。
2.カスタマーサクセスと営業の違い1:目的

カスタマーサクセスと営業の1つめの違いは、何のために存在し、何を目指して活動するのかという「目的」です。
営業の目的は「契約の獲得」であり、カスタマーサクセスの目的は「商品・サービスの活用支援と継続利用」になります。
同じ企業に属している以上、最終的に目指す「売上の最大化」というゴールは共通しています。しかし、そのゴールに至るまでに担う役割や注力点が異なるため、職種としての目的も変わってくるのです。
そのため、同じ相手に対しても、営業は判断材料を揃えて意思決定を促す働きかけを行うのに対して、カスタマーサクセスは商品・サービスを使いこなせる状態を整えて成果につなげる支援を行います。
つまり、営業は新規契約で売上を創出し、カスタマーサクセスは継続利用促進によって売上を維持・拡大するのです。
3.カスタマーサクセスと営業の違い2:担当フェーズ

カスタマーサクセスと営業の2つめの違いは、カスタマージャーニーのどこに介入するかという「担当フェーズ」です。
営業は「契約まで」、カスタマーサクセスは「契約後」のプロセスを中心に担当します。
営業は、問い合わせ対応や商談といった「見込み客が契約に至るまでのフェーズ」に介入します。カスタマーサクセスは、「顧客が商品・サービスを実際に活用するフェーズ」において、運用のフォローや必要に応じた利用拡張の提案を行います。
営業がアフターフォローを行うこともありますが、契約前と同等の関与レベルで契約後まで対応し続けるケースは多くないでしょう。
そのため、契約後のフォローをカスタマーサクセスに引き継ぐことで、営業は新規案件に集中でき、顧客は継続的で質の高いサポートを受けられるようになるのです。
4.カスタマーサクセスと営業の違い3:業務内容

カスタマーサクセスと営業の3つめの違いは、業務内容です。
ここまでに解説したように、営業は契約獲得に向けて見込み客を前進させる活動を担い、カスタマーサクセスは契約後の顧客を定着させる活動を担います。
そのため、具体的な業務内容に、以下のような違いが生まれます。
営業の業務内容 | カスタマーサクセスの業務内容 |
・ターゲット選定とアプローチ | ・導入サポート(オンボーディング) |
たとえば営業は、見込み客にアポイントを取り、課題をヒアリングしたうえで商品・サービスの価値を伝え、条件を整えて契約手続きを進めます。
一方のカスタマーサクセスは、顧客の利用開始をサポートし、適宜状況を確認しながら、効果的な運用に向けて必要なアドバイスを行います。
このように、営業とカスタマーサクセスでは、日常的に向き合う業務が大きく異なります。そもそも両者は、目指す成果も関与するフェーズも違うため、それぞれに即した業務が自然と分岐するからです。
その観点から考えると、営業によるアフターフォローだけではカスタマーサクセスが担う専門的かつ継続的な支援までカバーするのは難しい、という事実も理解しやすくなります。
顧客の成果創出に伴走し、利用拡大につなげたいのであれば、営業の兼務ではなく、カスタマーサクセスが専任で対応する体制が必要になるケースも多いのです。
5.カスタマーサクセスと営業の違い4:KPI

カスタマーサクセスと営業の4つめの違いは、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)です。
営業の目的は契約の獲得なので、短期的な売上貢献を測る指標が中心になります。一方のカスタマーサクセスでは、継続利用が目的であるため、中長期的な価値を測る指標が重視されます。
営業のKPI例 | カスタマーサクセスのKPI例 |
・新規顧客獲得数 | ・継続率・解約率 |
このように、営業は「どれだけ契約を増やしたか」を示す指標を追い、カスタマーサクセスは「どれだけ顧客に選ばれ続けているか」を示す指標を追うという違いがあるのです。
6.カスタマーサクセスと営業の違い5:求められるスキル

カスタマーサクセスと営業の5つめの違いは、業務を遂行し成果を出すうえで求められるスキルです。必要なスキル自体には共通しているものが多いのですが、とくに重視されるポイントが異なります。
たとえば、コミュニケーションや分析・課題発見、プロダクト理解といったスキルは、営業・カスタマーサクセスのいずれにも求められます。
ただし、営業ではこれらを「相手に寄り添いながら意思決定を促す」ために発揮します。
そのため、相手の思いを汲み取る力や、商品・サービスの魅力を分かりやすく伝える力、条件を整理して納得感のある提案をする力などが、とくに重要になります。
一方のカスタマーサクセスでは、「相手の状況を見極めて改善する」ためにスキルを発揮します。
利用状況やトラブルの詳細を正確に把握する力、原因を切り分けて適切な対応策を導く力、そして成果が出るまで継続的に関係を維持する力が、より重視されるのです。
つまり、営業では“推進力”が、カスタマーサクセスでは“伴走力”が、それぞれのスキルセットの核になるのです。
7.カスタマーサクセスと営業は連携して顧客支援を進めると効果的

ここまで見てきたように、カスタマーサクセスと営業にはいくつもの違いがあり、別個の職種だといえます。
しかし、ビジネスの発展や企業の成長に寄与するという点は共通しており、どちらか一方ではなく連携して顧客支援を進めることで成果を最大化できます。
なぜなら、両者が連携することで以下のような相乗効果が生まれ、売上の安定と拡大が同時に進むためです。
・契約後の“期待ギャップ”がなくなり、顧客満足度が安定する |
たとえば、営業もアフターフォローの中でアップセル・クロスセルを提案することがありますが、単独で行うよりもカスタマーサクセスと協働した方が、成約率が向上します。
営業が把握しているニーズをもとに、日常的に成果創出を支援しているカスタマーサクセスから提案することで、顧客はその必要性に納得しやすくなります。
また、営業から提案する場合でも、「追加の売り込み」ではなく「成果をさらに伸ばすための選択肢」としてポジティブに受け止められるようになるでしょう。
このように、カスタマーサクセスと営業が連携することで、契約前後で情報やサポート品質が断絶しにくくなり、顧客は安心して利用を続けることができます。その結果、長期的な関係が構築され、企業の収益基盤も安定していくのです。
8.カスタマーサクセスの導入が成果につながりやすい企業の特徴

営業との連携が効果的だとしても、「自社でカスタマーサクセスを新たに導入するほどの必要性があるのか」と迷う企業も少なくないでしょう。
そこで、カスタマーサクセスの導入が成果につながりやすい企業の特徴を整理しました。自社に当てはまるようであれば、カスタマーサクセスの導入を前向きに検討する価値があるといえます。

それぞれの内容について、解説していきます。
8-1.サブスクリプション型のサービスを提供している
サブスクリプション型のサービスを提供している企業では、カスタマーサクセスの導入効果が極めて高くなります。
なぜなら、サブスクリプション型のビジネスは、新規契約よりも「継続利用」に売上の大半が依存するモデルであり、カスタマーサクセスがその継続を力強く支える役割を担うためです。
たとえばSaaSでは、顧客が初回ログイン後に必要な設定を完了できず、そのまま利用が止まってしまうケースがあります。こうした“初期段階でのつまずき”は、解約に直結します。
そこでカスタマーサクセスが利用状況を確認し、「この設定がまだのようです。5分ほどで完了できますので、ご一緒しましょう」と能動的に声をかければ、利用開始率は大きく向上します。
このようにサブスクリプション型のサービスでは、カスタマーサクセスが利用定着を促すことで、収益の安定と成長に大きく貢献するのです。
8-2.利用継続率が低下している
利用継続率が低下している企業でも、カスタマーサクセス導入の効果が大きく表れます。
解約の理由にはさまざまありますが、「商品・サービスの価値を実感できないこと」に起因するケースが少なくありません。カスタマーサクセスが有効活用をサポートすることで、顧客が成果を出せるようになれば、継続利用を後押しできます。
たとえば、業務用機器のレンタルサービスを提供している企業を考えてみましょう。カスタマーサクセスが稼働率や問い合わせ履歴を確認し、特定の顧客で機器の使用頻度が落ちていることに気づいたとします。
そこでヒアリングを行い、「機能が複雑で使いこなせない」という課題を把握、必要な機能を厳選した設定と具体的な操作方法をレクチャーすれば、再び利用されるようになり、継続率が改善されるはずです。
このように、カスタマーサクセスが商品・サービスの価値を最大化することで、解約を未然に防ぐことが可能になります。
8-3.顧客満足度・LTVを向上させたい
顧客満足度やLTV(顧客生涯価値)を向上させたい企業にとって、カスタマーサクセスは非常に有効です。
カスタマーサクセスによって顧客が「成果を出し続けている状態」がつくられるほど、満足度は高まり、結果として長期利用や契約拡大につながるからです。
たとえば、顧客に「データ管理をもっと効率化したい」というニーズがある場合、カスタマーサクセスは「実はこの機能を活用すると、作業時間を半分にできます」と実践的な活用方法を提案します。
そうして顧客が成果を出し、その体験が積み重なることで、サービスへの信頼感が強化され、継続利用やアップセルが実現します。
つまり、顧客満足度とLTVを高めるうえでは、顧客の成功体験を継続的に支えるカスタマーサクセスが重要な役割を担うのです。
8-4.既存顧客対応の負担が大きい
既存顧客対応の負担が大きく、営業やサポート部門が圧迫されている企業でも、カスタマーサクセスの導入効果は高くなります。
カスタマーサクセスが“契約後の高度な問い合わせ専門窓口”として機能することで、顧客の活用支援を一貫して担い、営業・サポートの負荷を軽減できるためです。
たとえば、顧客が導入後の運営に困っているにもかかわらず、営業は商談に追われて十分にフォローできず、サポートは基本的な操作説明以上には踏み込めないとしましょう。
こうした場面で、カスタマーサクセスが「御社の業務フローであれば、この設定が最適です」と具体的に提案すれば、顧客の課題はスムーズに解決できます。
このようにカスタマーサクセスは、既存顧客対応の中核を担うことで、顧客体験に加えて組織の生産性を引き上げることに寄与します。
8-5.商品・サービス改善に役立つデータを収集したい
商品・サービスの改善に必要なデータを収集したい企業にとっても、カスタマーサクセスの導入は実効的な戦略です。
なぜなら、カスタマーサクセスは顧客の利用状況を把握し、顧客がつまずきやすい操作ポイント、成果につながる使い方の傾向など、改善に直結する情報を豊富に収集できるためです。
たとえば、複数の顧客から「レポート出力が使いにくい」という声が寄せられたとします。
カスタマーサクセスが詳細をヒアリングし、操作画面のどこで迷いやエラーが起きているのかを確認したうえで、開発チームに改善提案として共有すれば、UIの見直しにつながります。
このようにカスタマーサクセスは、顧客から得られるリアルなデータを社内に循環させ、商品・サービスの継続的な進化を後押しする存在なのです。
9.成果を最大化するための「カスタマーサクセスと営業」連携ポイント

カスタマーサクセスの導入に前向きな気持ちが湧いてきた方へ向けて、成果の最大化につながる「営業との連携」においては、どのような点に注力すればよいかをお伝えしておきます。

それぞれの内容について、解説していきます。
9-1.共通の数値目標を持つ
カスタマーサクセスと営業が連携するうえで重要なのは、両者が共通の数値目標を持つことです。
カスタマーサクセスと営業は、担当フェーズや業務内容が違うため、共通の目標がない状態ではそれぞれが別の方向に最適化されてしまう場合があるからです。
たとえば、営業が新規契約数だけを追求すると、契約時の期待値が過度に高くなり、導入後に“期待ギャップ”が生じて継続率が下がってしまう可能性があります。
一方で、カスタマーサクセスが継続率だけを重視すると、「確実に使いこなせそうな顧客だけに絞ろう」という動きが生まれ、営業活動の対象が不自然に限定されてしまうかもしれません。
こうしたずれを防ぎ、両者が同じ方向を見て動けるようにするために、初期解約率やオンボーディング成功率といった、“契約前後を横断する”数値目標を共有しましょう。
9-2.相互で定期的に情報共有を行う
カスタマーサクセスと営業が、相互で定期的に顧客や商品・サービスに関する情報を共有することも不可欠です。
それぞれが持つ情報が結びつくことで、支援品質と提案精度を大きく高められるからです。
たとえば、営業が導入背景や成功指標をカスタマーサクセスに知らせることで、個々の顧客に最適化された支援設計が可能になります。
また、カスタマーサクセスの現場に営業が同席することで、顧客の利用実態が理解でき、現実に即した説得力のある提案ができるようになることもあるでしょう。
そのため、定例ミーティングや共有ドキュメントなどの仕組みを設けて両者が持つ情報を一元管理し、滞りなく循環させることが重要です。
カスタマーサクセスの導入をお考えの方は、トランスコスモスにお問い合わせください |
トランスコスモスでは、カスタマーサクセスの新規導入や、カスタマーサポートのカスタマーサクセスへの変化をご支援するために、各社個別のご相談をお受けしています。 ご興味のある方は、以下よりお気軽にご連絡ください。 |
まとめ
本記事では、カスタマーサクセスと営業の違いについて解説しました。以下に要点をまとめます。
カスタマーサクセスと営業には、5つの違いがあります。
1.目的 | 営業は「契約の獲得」 |
2.担当フェーズ | 営業は「契約まで」 |
3.業務内容 | 営業は「契約獲得に向けて見込み客を前進させる業務」 |
4.KPI | 営業は「短期的な売上貢献を測る指標」 |
5.求められるスキル | 営業は「相手に寄り添いながら意思決定を促すスキル」 |
カスタマーサクセスの導入が成果につながりやすいのは、以下のような特徴を持つ企業です。
・サブスクリプション型のサービスを提供している |
カスタマーサクセスと営業は、どちらか一方ではなく、連携して顧客支援を進めるのが効果的です。その際には、成果を最大化するために、以下のポイントを押さえましょう。
・共通の数値目標を持つ |
カスタマーサクセスと営業は、さまざまな違いをもつ職種ですが、どちらも事業の成長と企業の発展に寄与する重要な存在です。
自社の課題や成長フェーズを踏まえ、いま必要な戦略を見極めながら、両者のベストな活用方法を検討してみてください。
