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「グッドマンの法則」から学ぶ!コールセンターにおけるクレーム対応の考え方

一般的に、顧客からの苦情やクレームはマイナスなイメージに捉えられることが多く、企業にとって厄介な悩みとなります。しかし、苦情を申し立てる顧客に適切な対応を行うことで、逆に顧客の信頼を勝ち取り、ロイヤルティを高めることに成功する可能性もあります。

今回の記事では、クレーム対応と再購入率の相関性を表した「グッドマンの法則」について詳しく解説していきます。

その中でカスタマーエクスペリエンスの重要性や、消費者の苦情に関する新事実など、今後のコンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)運営に必要な考え方を紹介します。顧客との接点を持つためにも、コンタクトセンターにおけるクレーム対応について考えてみましょう。

1.「グッドマンの法則」とは

 「グッドマンの法則」とは、顧客からの苦情に対するクレーム対応と再購入決定率に関係性があることを示した法則です。

1975年から1979年、1982年の2回にわたり「アメリカにおける消費者苦情処理」調査が行われ、ジョン・グッドマン氏が代表を務めるTARP社が膨大な調査データを集めました。その集めたデータの中から、後に顧客ロイヤルティ協会を立ち上げた佐藤知恭氏が法則性を見つけ出し、まとめたものとなっています。

日本国内でもマーケティング施策に重要な法則として知られており、顧客満足度の向上を課題としているコンタクトセンター(コールセンター)にとって、グッドマンの法則で説かれている考え方は参考にできる点も多いでしょう。コンタクトセンターにおける顧客の声(VOC)をマーケティングに活かすためにも、グッドマンの法則をしっかりと理解することが重要です。

ここでは、グッドマンの3つの法則を紹介します。

1-1.グッドマンの第一法則

第一法則によると、企業に苦情を申し立てる顧客のうち、対応に満足した顧客の再購入決定率は、苦情を申し立てなかった顧客に比べて高くなります。第一法則が意味するのは、顧客からの苦情の件数が問題となっているのではなく、クレーム対応の質が重要であるということです。

米合衆国消費者問題局が行った調査によると、苦情を申し立てた顧客の不満を迅速に解決できた場合、苦情を申し立てなかった人と比較して、再購入率は9倍にも及ぶというデータがあります。1970〜80年代に検証されたデータではあるものの、現在でもグッドマンの第一法則にもとづいて、コンタクトセンター(コールセンター)での顧客対応力の向上に活用されています。

1-2.グッドマンの第二法則

グッドマンの第二法則は、カスタマーサービスからの対応に不満を感じた顧客の非好意的な口コミは、対応に満足した顧客の好意的な口コミよりも2倍近くの影響を与えるというものです。

米合衆国消費者問題局が行った調査によると、非好意的な口コミを20人以上に伝える人の割合は全体の12%に及ぶとされています。とくに現代では、インターネット掲示板やレビューサイト、さらにTwitter・FacebookといったSNSの普及に伴い、口コミの拡散力が以前と比較して高まっています。

自社の評判を落とさないようにするためにも、コンタクトセンター(コールセンター)でのクレーム対応を慎重に行う必要があると言えるでしょう。

1-3.グッドマンの第三法則

グッドマンの第三法則は、適切な情報を提供することで企業に対する好意的な口コミが波及されるだけでなく、顧客の商品購入の意思が高まり、市場拡大に貢献するという内容です。ここで言う「適切な情報」というのは、企業が一方的に発信するものではなく、あくまでも顧客が求めている情報になります。

たとえば、書店やコーヒーショップなどのポップ広告は、顧客が商品の特徴を知る上で適切な情報と言えます。また、商品価格の上昇や商品の売り切れといった、企業が不利になるような情報を公開することも顧客にとっては必要な情報です。

自社にとって多少不利益となる情報であっても、顧客にとって必要な情報であれば積極的に伝えていった方が最終的には顧客満足度の向上につながります。

2.カスタマーエクスペリエンスの進化

カスタマーエクスペリエンスの重要性が説かれるようになった1970年代から現在に至るまでに、カスタマーエクスペリエンスの考え方は大きく進化しています。カスタマーエクスペリエンスとは「顧客と企業やブランドが接触するあらゆる接点での顧客の体験のこと」を指すと言われています。

顧客体験で重要なのは、顧客の心の動きです。顧客が抱く感情や心境の変化などの心理的な体験も含んだ概念が顧客体験となります。

そして、その顧客が抱く感情や信教の変化などをVOC(Voice of Customer)として捉え、重視されるようになった1970年代をCX1.0とすると、CRMが誕生した1990年代をCX2.0、そして現在は収益に直接貢献するマネジメントモデルであるCX3.0の時代になっていると、グッドマンは著書の中で提唱しています。
参考:ジョン・グッドマン (著), 畑中 伸介 (翻訳)「顧客体験の教科書―収益を生み出すロイヤルカスタマーの作り方 」

それぞれどのような背景から現在のグッドマンが提唱するCX3.0へと進化していったのかを見ていきましょう。

2-1.CX1.0

カスタマーエクスペリエンスの重要性が説かれたのは1970年代だと言われています。

それまで企業は自分たちの目線のみで製品・サービスを開発していました。しかし、顧客の声を製品・サービスの品質向上に活かすべきというV O C経営の考えが広まり、顧客満足度の向上を目標とするようになりました。顧客の声が重視されるにつれて、顧客管理を目的としたテクノロジーも進化していきました。

2-2.CX2.0

1990年代になると、テクノロジーはさらに進化していき、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)が誕生しました。

このCRMシステムが誕生したことにより、企業は顧客の情報を効率的に管理できるようになり、顧客の苦情を予防・回避してロイヤルティを高めていくことが可能になりました。カスタマーサポートをコンタクトセンターに集約する流れが生まれたのもこの年代です。

2-3.CX3.0

2010年代から取り入れるようになったCX3.0は、ジョン・グッドマン氏が提唱した新しいカスタマーエクスペリエンスの考え方です。

従来では、不満やトラブルが発生してから受動的に対応するのが一般的でしたが、現代において企業は能動的に顧客の声を聞き、苦情につながる原因をあらかじめ処理することが求められます。

そこでCX3.0を実現するためにも、以下の「能動的なサービス」「予防的なサービス」「カスタマーエンゲージメントの重視」が必要となります。

・能動的なサービス
能動的なサービスは、あらかじめ顧客の問い合わせを予測し、企業から先に顧客に対してコミュニケーションを図るサービスのことです。これまでの顧客体験から蓄積した膨大な情報をもとにすることで、顧客の問い合わせ内容を予測できます。

・予防的なサービス
予防的なサービスは、顧客からのクレームや苦情になりうるトラブルを開示し、ネガティブな情報が拡散されることを回避するサービスです。企業にとって、トラブル内容を開示することは抵抗感があるものの、積極的に顧客へ発信することでロイヤルカスタマーの獲得につながります。

・カスタマーエンゲージメントの重視
カスタマーエンゲージメントの重視は顧客全体として見るのではなく、顧客一人ひとりに適したサポートを提供することです。CRMを活用し、顧客情報や顧客が期待していることを事前に把握した上で対応を行うことが求められます。

3.カスタマーエクスペリエンスの重要性

市場において優位性を確保するためには、カスタマーエクスペリエンスを向上させる必要があります。どのような背景によって、カスタマーエクスペリエンスの重要性が高まっているのかを解説します。

3-1.物的価値だけでは競争できない

カスタマーエクスペリエンスの重要性が高まっている理由に、消費行動の多様化が進んでいることが挙げられます。市場が発達したことで顧客側が製品・サービスを簡単に比較できるようになった現代では、物的価値だけでは競争が難しくなりました。

そこで重要視されているのが、顧客の心理的な感情です。自社の評判を高め、再購入率を高めるためにも、顧客の心理状況を読み取ることがカスタマーエクスペリエンスに欠かせない要素であると言えます。

3-2.ブランド力の向上につながる

カスタマーエクスペリエンスを高めることは、自社ブランド力の向上にもつながります。商品・サービスに満足してもらうことで、インターネットのレビューやSNS上での口コミなどで拡散されるようになり、自社のイメージアップを期待できます。

ただし顧客が持つ不満も、同時に拡散されてしまう点に気をつけなければなりません。グッドマンの第三法則にあるとおり、顧客にとって必要な情報の提供や価値のある製品・サービスを届けることがブランド力の向上に必要です。

4.消費者の苦情に関する新事実

クレーム対応において気をつけなければならないのは、消費者の苦情に関して、自社の認識にズレが生じている可能性があることです。カスタマーエクスペリエンスを向上させるためにも、消費者の苦情に関する新事実を踏まえ、顧客の苦情に対する考え方を見直す必要があります。

ここでは、CX3.0時代で新常識とされているクレーム対応への考え方について紹介します。

4-1.苦情の件数が少ない ≠ 現場対応がうまくいっている

顧客からの苦情の件数が少ないのは、必ずしも現場の対応がうまくいっているからというわけではありません。製品やサービスに不満を抱えている顧客のうち、企業に苦情を報告する人の割合は全体の25%ほどと言われています。

このように、苦情が報告されにくいのはクレーマーとして扱われてしまったり、将来的にサポートを受けづらくなったりしてしまうという懸念があるためです。クレームが少ないことで、現場対応がうまくいっていると勘違いしやすいのですが、実際にはほとんどの苦情が表面化されていないだけの可能性があります。

4-2.苦情対応にかけるコストには消極的になってはいけない

苦情対応にかけるコスト削減は、カスタマーエクスペリエンスを低下させる原因になる可能性があります。企業にとって、顧客からの苦情はマイナスの要素に思われがちです。

しかし苦情を積極的に受け入れることで、顧客が不満に感じている問題点を解決し、ロイヤルカスタマーへの成長につなげやすくなります。コンタクトセンター(コールセンター)の強化にはもちろん多額なコストが必要になりますが、顧客を獲得するための投資として考えることも大切です。

4-3.苦情対応が減ったのは必ずしもサービスの改善によるものとは限らない

クレーム対応を続けていると、苦情件数が一時的に減少することがあります。しかし苦情の件数が少なくなったことは、必ずしもサービスの改善によるものとは限りません。

たとえば、苦情に対して全社で取り組んだ結果、苦情件数が少なくなったのであれば十分な成果といえますが、もし必要な対応をしていないのであれば、顧客側が苦情を報告するのを諦めているだけであることも考えられます。後者に当てはまる場合、顧客離れや将来的な売上の減少につながる可能性もあることから、十分に気をつけなければなりません。

4-4.顧客ロイヤルティ向上のためのキャンペーンは危険

顧客ロイヤリティを高めるために、安易なキャンペーンを実施することは危険であるとされています。

一般的に、新規顧客の獲得に必要なコストは、既存顧客を維持するコストの5倍以上かかると言われています。十分な資金があるのであれば問題ありませんが、顧客ロイヤリティを向上させるために製品の値引きや費用対効果の低いキャンペーンを実施すると、経営的に苦しくなる可能性があります。

また、企業や製品の価値を下げるようなキャンペーンを実施することは、高いロイヤリティの顧客を離反させることとなり、逆効果になることも考えられます。

5.クレーム対応次第ではロイヤルカスタマーになる可能性もある

ジョン・グッドマン氏が提唱するCX3.0による収益貢献モデルでは、企業による能動的なサービスの提供によって顧客の苦情を未然に回避し、顧客のロイヤルティを高めていくのが理想とされています。

つまり、元々は製品・サービスに不満を持っていた顧客でも、適切な対応を取ることにより顧客の信頼を勝ち取り、ロイヤルカスタマーへと育成していくことが可能です。コンタクトセンター(コールセンター)のオペレーターからすると、クレームを出してくる顧客は厄介な存在に思うかもしれませんが、実はこういった顧客の声が企業の成長にとって必要であると言えます。

そのため、企業にはクレーム対応に力を入れ、カスタマーサポートの質を高めていくことが求められています。

まとめ

企業の悩みの原因でもある顧客からのクレームは、グッドマンの法則でも解説したとおり、対応方法次第ではロイヤルカスタマーを増やすきっかけにもなります。

そこで重要となるのが、カスタマーエクスペリエンスを向上させることであり、製品・サービス購入前の段階から一貫してサポートを提供していくことが大切です。

また、ロイヤルカスタマーを維持するためにも、顧客が問い合わせをしやすい環境を用意するほか、コンタクトセンター(コールセンター)に勤務するオペレーターへの教育を徹底し、顧客満足度の高いカスタマーサポートを行える体制を整えることが重要です。

なお、弊社トランスコスモスではこれまで1700社を超える運営実績から培った知見やノウハウを活かして運営改善を推進しています。オペレーターへの教育を徹底し、顧客満足度の高いカスタマーサポートを、アウトソーシング活用により検討されているお客様は以下よりご連絡ください。