3.133.108.241

顧客体験(CX)とは|CX向上が必要な3つの理由とは?

「顧客体験ってなんだろう?」
「顧客体験を向上させるにはどうしたらいいのかな?」

このようにお考えではないですか?

顧客体験(カスタマーエクスペリエンス、CX)とは、顧客と企業やブランドが接触するあらゆる接点での顧客の体験のことです。

顧客体験についての解説

顧客体験が指す範囲は、商品・サービスの利用時だけではありません。購入前から購入後に至るまで、すべての体験を含んで「顧客体験」といいます。

顧客体験で重要なのは、顧客の心の動きです。顧客が抱く感情や心境の変化などの心理的な体験も含んだ概念が顧客体験となります。

顧客体験の具体的な例を解説した図

このように、顧客が商品やサービスを購入、利用するための全ての接点が顧客体験となるのです。

商品以外の価値に顧客が満足すれば、それは競合他社に対する差別化となります。顧客が商品のコストパフォーマンスとは別に、「この企業の商品やサービスを使いたい」と感じてくれれば離脱せず、ロイヤルカスタマーへと育ってくれるでしょう。これは企業にとって、LTV(顧客生涯価値)の増大であり、安定収益につながります。

しかしながら、顧客体験とは何なのか、いまひとつスッキリ理解できていないという声をよく聞きます。

そこで本記事では、現代のマーケティングのカギを握るといっても過言ではない「顧客体験」について、初心者にもわかりやすく解説します。

▼  本記事のポイント

・顧客体験の基礎知識が身につく
顧客体験を向上させるために何をすれば良いかわかる
・コンタクトセンター(コールセンター)の評価手法も解説

「顧客体験とは何か知りたい」
「顧客体験を活用して成果をあげたい」

…という方におすすめの内容となっています。

この解説を最後までお読みいただければ、「顧客体験とは何か?」はもちろん、具体的な高め方や指標まで理解できるようになります。

結果として、顧客体験を重視したマーケティング活動を実現できるはずです。では、さっそく解説を始めましょう。

1.顧客体験(CX)とは?

まずは顧客体験の基礎知識から見ていきましょう。

1-1.顧客体験(CX)とは「あらゆる接点」における顧客の体験のこと

顧客体験についての解説

顧客体験(カスタマーエクスペリエンス、CX)とは、商品・サービスの購入前から購入後に至るまで、顧客と企業・ブランドが接触するあらゆる接点での顧客の体験のことです。

顧客体験の概念では、商品・サービスの直接的な利用体験だけでなく、商品・サービスを初めて知った時点から購入して利用し続けるまで、企業やブランドと顧客とのあらゆる接点における体験をすべて含んでいる点がポイントとなります。

例えば、ある顧客が空気清浄機の購入を検討しているとします。

顧客が空気清浄機を購入すると決め、ブランドを選んで購入する一連の流れにおける「顧客体験」とは、例えば以下のようなものになります。

STEP1

CMで空気清浄機の重要性を宣伝しており、購入を検討し始める

STEP2

空気清浄機をネットで調べて性能やブランドを検討する

STEP3

家電量販店に行き、実物を確認する

STEP4

家電量販店で接客を受け、購入

STEP5

自宅に持ち帰り、使用を開始する(満足!)

STEP6

約一年の使用後、不具合がみられたのでメーカーに問い合わせる

STEP7

フィルターの交換で対応

STEP8

対応に納得し、引き続き使用を続ける

顧客体験とはこのように、購入を決める段階からアフターサポートまですべてにおける顧客の経験のことを指すのです。

例えば以下のような接点は、すべて顧客体験と深くかかわります。

・SNSやYouTubeで商品に興味を持つ
・サービスや商品の利用
・ネットショッピングサイトを利用する(選ぶ・買い物かごに入れる・購入する)
・販売員のアドバイスを受ける
・口コミや価格・性能を確認する
・アフターフォローを受ける
・商品やサービスについて問合せを行う

これらすべてが「顧客体験」なのです。顧客と企業を結ぶ全ての接点を「顧客体験」といい、顧客体験を向上させることで顧客満足度などは向上します。

1-2.顧客体験で重要な5つの「心理的価値」

顧客体験において企業が重要視するべく指標として、5つの「心理的価値」があります。「心理的価値」とは、顧客体験によって顧客がどのような価値を感じられたか、ということです。

顧客体験の概念の提唱ともいわれるバーンド・H.シュミットは、顧客体験によって得られる心理的価値の種類を以下の5つに分類しています。

▼ 5つの心理的価値

SENSE
(感覚的経験価値)

視覚、聴覚、触感、味覚、嗅覚を通じて感覚に訴える価値

FEEL
(情緒的経験価値)

顧客の内面にあるフィーリングや感情へ訴求し、ポジティブな気分から喜びや誇りといった強い感情を生み出す価値

THINK
(創造的・認知的経験価値)

顧客の知性や驚き・好奇心・挑発といった感覚を利用して顧客に思考させるようアプローチする価値

ACT
(肉体的経験価値とライフスタイル全般)

身体的な経験、ライフスタイル、他の人との相互作用に訴えて行動変容をもたらす価値

RELATE
(準拠集団や文化との関連づけ)

自分の理想像の実現や、特定の文化・集団に所属しているという感覚を持ってもらう価値

あらゆる商品やサービスは、充実した顧客体験を得るためにこれら5つのどれかにひとつかそれ以上にあてはまる必要があります。もちろん、当てはまる数が増えるほどに高い顧客体験を得ることが可能です。

それぞれについて、見ていきましょう。

SENSE(感覚的経験価値)

SENSE
(感覚的経験価値)

視覚、聴覚、触感、味覚、嗅覚を通じて感覚に訴える価値

顧客体験の心理的価値における「SENSE」とは、文字通り視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の五感に訴える経験価値のことです。

すなわち、顧客体験においては以下のような感覚を指します。

・きれいな花
・楽しい音楽
気持ちのいい手触りの寝具
おいしいデザート
・いい香り など

          FEEL(情緒的経験価値)

          FEEL
          (情緒的経験価値)

          顧客の内面にあるフィーリングや感情へ訴求し、ポジティブな気分から喜びや誇りといった強い感情を生み出す価値

          顧客体験の心理的価値における「FEEL」とは、体験によってどのような感情を抱いたのかを表します。例えば、以下のようなものです。

          ・感動的な映画
          ・安心できる保険
          ・嬉しい誕生日特典 など

          THINK(創造的・認知的経験価値)

          THINK
          (創造的・認知的経験価値)

          顧客の知性や驚き・好奇心・挑発といった感覚を利用して顧客に思考させるようアプローチする価値

          顧客体験の心理的価値における「THINK」とは、知性的な驚きや好奇心に訴えるモノです。例えば、以下がその一例です。

          ・「なるほど!」と感じる動画
          ・ドキドキハラハラするアトラクション
          ・知的好奇心が触発される書籍
          ・自分自身を高められる情報 など

          ACT(肉体的経験価値とライフスタイル全般)

          ACT
          (肉体的経験価値とライフスタイル全般)

          身体的な経験、ライフスタイル、他の人との相互作用に訴えて行動変容をもたらす価値

          顧客体験の心理的価値における「ACT」とは、身体的な経験やライフスタイルに大きくかかわるものです。例えば、以下がその一例です。

          ・QOLが向上するグッズ
          ・健康的になれる習慣
          ・スキルを獲得できる通信講座
          ・作業の効率化ができるガジェット など

          RELATE(準拠集団や文化との関連づけ)

          RELATE
          (準拠集団や文化との関連づけ)

          自分の理想像の実現や、特定の文化・集団に所属しているという感覚を持ってもらう価値

          顧客体験の心理価値における「RELATE」は、特定の集団に所属することで得られる価値のことです。たとえば、以下のようなものです。

          ・名門ゴルフ場の会員権
          ・好きなサッカーチームのファンクラブ
          ・高級車の所有
          ・家を持つ地域 など

                【補足】顧客体験=カスタマーエクスペリエンス=CXは同じ意味

                なお、顧客体験は「カスタマーエクスペリエンス(CX:Customer Experience)」の日本語訳です。以下はすべて同じ意味となります。

                ・顧客体験
                ・カスタマーエクスペリエンス
                ・CX

                この記事では「顧客体験」という言葉に統一して表記しています。

                2.顧客体験の向上が必要な3つの理由

                それではここからは、顧客体験の向上が必要な3つの理由を解説していきます。具体的には以下の3つが理由で顧客体験の向上は重要です。

                顧客体験の向上が必要な3つの理由の解説

                それぞれについて詳しく解説していきます。

                2-1.顧客維持率向上・解約率低下に直結する

                顧客維持率の解説

                顧客体験の向上が重要な最も大きな理由として、顧客体験が顧客維持率(CRR:Customer Retention Rate)に直結するという点が挙げられます。顧客維持率とは、商品・サービスを継続的に利用している既存顧客の割合を示す指標です。

                顧客維持率が高まれば、LTV(ライフタイムバリュー、顧客生涯価値)が高まり、中長期的に安定した収益性が確保されます。

                米国のコンサルティング会社ベインアンドカンパニーとハーバードビジネススクールの合同研究チームによると、顧客維持率が5%上昇すると利益はなんと25~95%も上昇するという研究結果が出ているほどです。顧客維持率の上昇による営業利益のグラフ同様に、顧客体験の向上がもたらす効果として、解約率の低下があります。

                企業のへの信頼が高ければ、たとえ競合他社がキャンペーンなどを行っても、安易に他社に移るユーザーが減ります。特にサブスクリプション型サービスでは、顧客の意思で契約を継続してもらう最も望ましい状態に繋げることもできます。

                複数年契約の割引などに比べても解約率を下げて顧客を維持するには確実性が高いと言えます。

                実例として、とある国内最大手のガス会社では、顧客体験を向上するための施策として一般家庭向けポータルサイトをリニューアルしました。会員属性ごとに最適化されたキャンペーンやコンテンツを実施した結果、会員数が約6倍に拡大しました。     

                このように近年のビジネスシーンでは、顧客を維持することが何よりも重要です。そして顧客体験を向上させることは、顧客の維持につながるのです。

                2-2.リピート率が向上する

                顧客体験を向上させることで、リピート率の向上も期待できます。

                顧客体験の向上は顧客に、商品やサービスを通じて価値の高い体験をしてもらうこと。うまく顧客体験を向上できれば、顧客ロイヤルティが高まり、ブランドへの信頼が厚くなるためリピート率が向上します。

                例えば、あるアメリカ発祥のコーヒーチェーン店では、1990年ころから顧客体験を重視した施策を取り込みました。コーヒーの味だけでなく、店内の雰囲気や接客サービスの質の向上を図ったり、無料Wi-Fiの提供を行ったりしました。

                その結果、お店に愛着や信頼感をもったリピーターが増加し、今では誰もが知っている世界的なコーヒーチェーン店にまで発展しました。     

                このように、顧客体験の向上を追求することで他社との差別化を図ることができます。その結果、ブランド自体への信頼度を向上させ、価格競争を避けながらリピーターを増やすことも可能となるのです。

                2-3.悪質な顧客体験は口コミで広がりやすい

                顧客体験を向上させる必要性としては、質の低い顧客体験を提供してしまうと、悪い口コミとして広がりやすいという点が挙げられます。実は顧客がサービスや商品にネガティブな印象を持つと、良い口コミよりもはるかに多く伝わってしまうということが分かっています。

                「グッドマンの法則」の著者であるジョン・グッドマン氏によると、「良い口コミ」よりも「悪い口コミ」の方がおよそ3倍も周りに伝わるといいます。以下をご覧ください。

                悪質な顧客体験によりネガティブな口コミが広がる図1万人の顧客にサービスを利用してもらい、満足した顧客が7割だった場合。客観的にみると満足した顧客の方が圧倒的に多いので問題ないように見えますが、実は不満足だった口コミの方が約3倍も多く周りに広がってしまいます。

                その結果、ネガティブな口コミの方が結果的には多くなってしまうというのです。

                もしも顧客体験の向上を意識せずに7割の顧客満足度で良しとしてしまうと、知らず知らずのうちに企業のイメージは下がってしまう危険性があるのです。

                そのため、顧客体験を常に向上させることが重要となるのです。

                3.顧客体験を向上させる4ステップ

                では具体的に、どのようにして顧客体験を向上させれば良いのでしょうか。4つのステップでご紹介しましょう。

                顧客体験を向上させる4ステップの流れ

                3-1.ステップ1:現在の顧客行動を把握する

                まず一つ目は、現在の顧客行動を把握するところから始めましょう。。顧客が何を考えてどのように行動しようとしているのかを把握しない限り、顧客体験を向上させることが難しいためです。

                顧客行動を把握するためのおすすめの方法として、「現状のカスタマージャーニーマップを作成する」という方法を紹介します。

                カスタマージャーニーマップとは、顧客体験を「旅」になぞらえて、時系列で視覚化するツールです。まずはカスタマージャーニーマップを使って、顧客の現状を把握していきます。

                以下は、ある商品をネットショッピングで購入する時の「顧客行動」「タッチポイント」「感情変化」をカスタマージャーニーマップに表したものです。

                ▼ カスタマージャーニーマップのイメージ

                カスタマージャーニーマップのイメージ

                カスタマージャーニーマップを作成する際には、以下のようなステップで行ってみましょう。

                ▼ カスタマージャーニーマップを作る流れ

                (1)ペルソナ(自社の商品・サービスを最も利用してほしい象徴的な顧客像)を設定する
                (2)ペルソナの視点で顧客の行動を洗い出す
                (3)洗い出した行動からタッチポイントを明確にする
                (4)タッチポイントごとの顧客の感情を想像する

                一連の流れを行う事で、顧客はペルソナがどのようなタイミングでどういった感情を持つのかをリアルに想像する事が可能となります。

                3-2.ステップ2:改善施策を検討する

                2つめのステップは「改善施策を検討する」です。カスタマージャーニーマップが完成したら、タッチポイントごとに、どんな改善施策を実施したら良いか検討していきましょう。

                特に、顧客の感情がネガティブになるタッチポイントは、早急に対策が必要です。先ほど作成したカスタマージャーニーマップで見てみましょう。

                カスタマージャーニーマップにおけるネガティブなタッチポイントのイメージ

                このカスタマージャーニーマップにおけるネガティブなタッチポイントは、商品のレビューを読んだ際の「本当にいいのかな?」と不安な気持ちと、会員登録時の「面倒くさい」という気持ちです。

                では、それらにどんな施策を打てば、顧客の感情をポジティブに変換できるでしょうか。ここでは「リスティング広告を出稿する」「会員登録手続を簡略化する」という施策を提示しています。

                このように、改善策を考える時にはできるだけ具体的なアクションプランに落とし込んでいきましょう。

                3-3.ステップ3:改善施策を実行する

                3つめのステップは「改善施策を実行する」です。ステップ2で検討した改善施策をスピーディに実現していくことで、顧客体験の向上が実現します。

                改善施策の実行を行う際に作成したカスタマージャーニーマップを社内に共有することが大切です。なぜなら、タッチポイントごとに対応する部署が異なることが多いためです。

                例えば今回の場合では、「リスティング広告を出稿」はマーケティングに関わる部署が担当する事が一般的です。「会員登録の簡略化」は自社ホームページの設計を行っている部署が担当する事となるでしょう。

                カスタマージャーニーマップという共通言語を持っていれば、全社員が顧客体験の向上という同じ目的地に向かって行動できるようになります。

                3-4.検証と改善を繰り返す

                実際に改善施策を実行したら、どのように改善されたか、または効果がどの程度あったのか(なかったのか)を検証し、継続的に改善を行いましょう

                一度改善施策を実行すれば、それですべて終わりではありません。一度施策を実行しただけでは効果が出ない場合もあり得ます。その場合は何が悪かったのかを検証する必要があります。

                検証と改善の繰り返しでは、PDCAを実行することがおすすめです。PDCAは「計画」「実行」「評価」「改善」の4つのフェーズを繰り返すことで、業務改善を行うためにシステム化されたフレームワークです。

                顧客体験の向上には、正確な検証と継続的な実行が必要不可欠です。まだPDCAを取り入れていないということであれば、ぜひ取り入れて業務改善を目指すことをおすすめします。

                4.【実例】顧客体験を測る2つの方法

                それではここからは、顧客体験を評価する方法を実例を交えながら解説します。

                ここまでの解説で顧客体験の重要性はご理解いただけたかと思います。しかし、「じゃあ、実際に顧客体験がどのくらい向上したのかはどうやって調べればいいの?」と疑問を持った方も多いのではないでしょうか。

                実際にどの程度顧客体験が向上したのかを評価する方法はいくつかありますが、ここでは代表的な2つの方法を紹介します。

                顧客体験を測る2つの指標の解説

                それぞれについて見ていきましょう。

                4-1.NPS(ネットプロモータースコア)

                NPS(ネットプロモータースコア)の解説

                NPSとは、ネットプロモータースコア(Net Promoter Score)の略で、顧客の商品やサービス、ブランドへの「愛着度」を示す指標のことです。算出するためには、顧客に「あなたは、この商品(サービス)を友人に勧めたいと思いますか?」と質問してスコアを測ります。

                サービスを利用していて、以下のようなアンケートを受けた経験がある方は多いのではないでしょうか?

                「NPS」を測るためのアンケートの例

                実は、これは顧客の愛着度を測る「NPS」を測るためのアンケートです。

                NPSは、ロイヤルティマーケティング研究の第一人者であるフレッド・ライクヘルドが提唱した概念で、顧客ロイヤルティ(顧客が企業やブランドに対して持つ信頼や愛着)の指標として多く採用されています。

                顧客ロイヤルティは、優れた顧客体験の成果物として醸成されるものですから、NPSを通じて顧客ロイヤルティを測ることは、すなわち顧客体験を評価することにつながります。

                NPSのスコアは、9〜10点と回答した顧客(=推奨者)の割合から、0〜6点と回答した顧客(=批判者)の割合を差し引いて計算します。

                ▼ 計算例

                ・9〜10点と回答した顧客の割合:50%
                ・0〜6点と回答した顧客の割合:20%
                の場合、NPS:50−20=【30】

                NPSは「-100~+100」までの間で算出されます。数値が高いほど評価が高いということになりますが、一般的にはスコアが「+」に触れることは稀で、ほとんどがマイナスに振れます。

                NPSの平均的な数値は業界によっても大きく異なります。例として、カフェ業界で最も高いNPSがー16%、家電量販店の最も高い数値が-26%と業界によって振れ幅が多いのが特徴です。

                4-2.CES(カスタマーエフォートスコア)

                CES(カスタマーエフォートスコア)の解説

                CESはカスタマーエフォートスコア(Customer Effort Score)の略で「顧客努力指標」と訳されます。

                CESにおけるエフォート(Effort、努力)とは、顧客が自身の目的を達成するために要した労力・手間・不便・ストレスなどを指しています。

                以下のようなアンケートに答えて貰うことで、CESを測ることができます。

                CES(カスタマーエフォートスコア)を測るアンケートの例

                CESのスコアは、6〜7点と回答した顧客の割合から、1〜3点と回答した顧客の割合を差し引いて計算します。

                ▼ 計算例

                ・6〜7点と回答した顧客の割合:40%
                ・1〜3点と回答した顧客の割合:30%
                の場合、CES:40-30=【10】

                CESもNPSと同様、数値はマイナスに振れることが一般的です。

                CESは、例えばコンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)で良く取り入れられています。

                ある商品やサービスについて顧客が問い合わせる場合。当然ですが、顧客が感じる労力や手間は少なければ少ないほど良いとされています。そのため、コンタクトセンターでの対応にたいし顧客がどのように感じたのかを測るために、CESの計測は重要視されています。

                5.顧客体験を向上させるために注意すべき2つのこと

                最後に、顧客体験を向上させるために注意すべき点を紹介します。

                5-1.顧客の失望体験をゼロに近づける

                顧客体験の向上を狙うために、顧客の失望体験を限りなくゼロに近づけることを意識しましょう。

                顧客体験の向上というと、どうしても顧客を「感動させる」方向に意識が向きがちです。もちろんそれはとても重要なことですが、顧客が失望するような体験をなくしていくことも重要です。「2-3.悪質な顧客体験は口コミで広がりやすい」でも解説した通り、良い口コミよりもネガティブな口コミの方が周りに広まりやすい為です。

                失望体験があるとその顧客のリピート意向が下がり、結果として顧客維持率(CRR)の低下を招きます。そればかりか周りにネガティブな口コミが広がり、まだ商品を購入していない人に対してもネガティブな印象が広がってしまうのです。

                そのようなことが無いように、失望体験を抱きやすい理由を検証しながら解決を目指して見てください。

                例えば、コンタクトセンターにおいてよく寄せられる失望体験である「うんざりした」をなくすためには、顧客の問題解決に至るまでの導線を整備することが重要です。

                必要な情報が手間なく手軽に手に入ることで、顧客は商品やサービスを繰り返し使いたいという感情を抱きやすくなります。顧客はなるべくスムーズに問題解決を行いたいのです。

                そのために、顧客に合わせた自己解決型デジタルチャネルを準備したり、複雑な問題は電話などの対話を通じて確実に解決する導線を設置したりといった、問い合わせのプロセス全体でエフォートレスな顧客体験を提供するという視点が重要となります。

                このように、業界ごとに顧客が持ちやすい「失望体験」をゼロに近づけるように施策を練っていきましょう。

                5-2.社内全体で取り組む

                顧客体験を向上させるためには、社内全体で取り組む必要があります。顧客体験向上のために必要な施策は部署をまたがることが多く、一部が取り組むようでは失敗する可能性が高くなってしまうためです。

                顧客体験を実測する方法は第4章でも紹介しましたが、実測すればそれで終わりというわけではありません。実測したあと、カスタマージャーニーの活用などで検証を行い、継続的に施策を実行する必要があります。

                実際に顧客体験を実行するためには、様々な部署への協力は必要不可欠です。顧客体験の向上は、社内全体でその必要性を理解し、行動していくことが何よりも重要です。

                6.トランスコスモスの「顧客接点のあり方 診断サービス」

                「顧客接点のあり方 診断サービス」は、DX推進の重要要素のひとつである「タッチポイント(顧客接点)」にフォーカスし、公式WEBサイト、SNS、コンタクトセンターといったタッチポイントごとに顧客体験価値(CX)向上における課題を抽出し、改善に向けた最適なアプローチを提示する診断サービスです。

                「顧客接点のあり方 診断サービス」について詳しい情報はこちらからご確認ください。

                まとめ

                顧客体験とは、企業やブランドと顧客が接触するあらゆるタッチポイントにおける顧客の体験を指す言葉です。

                顧客体験は、その体験を通じた感情や心理的な変化なども含むのが重要なポイントで、“どんな心理的価値を提供するか”が、顧客との良い関係性を構築するためのカギとなります。

                顧客体験の向上は顧客維持率(CRR)に直結するため、あらゆる企業において不可欠といえます。

                顧客体験向上の必要性が増している3つの理由は以下のとおりです。

                ・顧客維持率向上・解約率低下に直結する
                ・リピート率が向上する
                ・悪質な顧客体験は口コミで広がりやすい

                顧客体験を向上させる方法を4ステップでご紹介しました。

                ステップ1:現在の顧客行動を把握する
                ステップ2:改善施策を検討する
                ステップ3:改善施策を実行する
                ステップ4:検証と改善を繰り返す

                  顧客体験を評価する手法としては、NPS(ネットプロモータースコア)やCES(カスタマーエフォートスコア)があります。

                  顧客体験のさらなる向上を目指すために注意すべき点はこちらです。

                  ・顧客の失敗体験をゼロに近づける
                  ・社内全体で取り組む

                  顧客にとって価値のある顧客体験を提供することは、顧客ロイヤルティを醸成し、企業の収益を生みます。顧客体験の向上に取り組んでいきましょう。

                   

                  【 CX推進のためのデータ分析&活用GUIDE 】
                  ~ CXを改善することで継続意向や推奨意向を高め、企業収益を向上に導く ~
                  CXを推進させるためのロードマップやデータ分析の必要性をPDCA事例を交えながらご紹介します
                  【 CX推進のためのデータ分析&活用GUIDE 】
                  ~ CXを改善することで継続意向や推奨意向を高め、企業収益を向上に導く ~
                  CXを推進させるためのロードマップやデータ分析の必要性をPDCA事例を交えながらご紹介します