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ASA(平均応答時間)とは?意味やKPIの達成方法を詳しく解説

「ASAってどんな意味?」
「ASAをもっと短くするにはどうすればいい?」

コンタクトセンター(コールセンター)に関わる仕事をしていて、そんな疑問や要望を持っている方も多いのではないでしょうか。

「ASA」とは「Average Speed of Answer(応答の平均速度)」の略で、コンタクトセンターにおいて「顧客から入電があってからオペレが応答するまでの平均時間を指す指標」のことです。

もっとわかりやすくいえば、コンタクトセンターの「つながりやすさ」を示す数値で、日本語では「平均応答速度」あるいは「平均応答時間」とも呼ばれています。

ASAが長いとそのセンターは「なかなか電話がつながらない」と顧客が不満を抱くリスクが高く、逆に短いと「電話がつながりやすい」という評価が期待できます。

つまり、ASAは顧客満足度を左右する重要な指標のひとつといえます。そのため、ASAをKPIとして設定し電話がつながりやすいコンタクトセンターを目指している企業も多いでしょう

もし、「我が社のコンタクトセンターはASAが長くて困っている」という場合は、その理由として以下のようなことが考えられます。

・入電数に対してオペレの人員が不足している
・オペレの応対スキルが低い
・AHT(平均処理時間)が長い

これを短縮するためには、以下のような施策が有効でしょう。

・オペレの人員配置を最適化する
・オペレ教育を強化する
・ノンボイス化を推進する
・マニュアルを改訂し、オペレーションを見直す

そこでこの記事では、ASAとは何か、どうすれば短くできるかをわかりやすくまとめました。

◎「ASA(平均応答時間)」とは?
◎ASAの計算式
◎なぜASAが重視されるのか
◎「SL(サービスレベル)」との違い
◎ASAが長くなってしまう原因
◎ASA(平均応答時間)を短縮するための施策例
◎ASA(平均応答時間)改善の際の注意点

この記事で、コンタクトセンターのASAがより短縮できるきっかけになるよう願っています。

1.ASA(平均応答時間)とは


この記事んでいるは、「ASAってのことかまったくわからない」というから「ざっくりとはっているとう」というまで理解度はさまざまでしょう

そこでまず、「ASA」=「平均応答時間(あるいは平均応答速度)」とは何なのか、コンタクトセンター(コールセンター)に関わる人が知っておくべきことをわかりやすく説明していきましょう。

1-1.「ASA(平均応答時間)」とは?

「ASA」とは「Average Speed of Answer(応答の平均速度)」の略で、コンタクトセンターにおいて顧客から入電があってからオペレが応答するまでの平均時間を指す指標です。

端的に言えば、コンタクトセンターの「つながりやすさ」を示す数値で、日本語では「平均応答速度」あるいは「平均応答時間」と呼ばれます。

ASA(平均応答時間)について解説した図

入電が少ないときには、オペレは呼び出し音1回で電話に出ることができますが、入電数が多くてオペレが対応しきれない場合は、数分間待たせてしまうかもしれません。

このように、1回ごとに応答速度(=応答時間)はまちまちであっても、すべての入電に対する応答速度を平均してASAを算出します。

ASAが短ければ短いほど、そのセンターは顧客を待たせないということになるので、コンタクトセンター業界では「応対品質」をはかるKPIとしてASAを設定、計測しているケースが多くあります。

1-2.ASAの計算式

では、ASAはどのようにして算出すればいいでしょうか?

その計算式は以下です。

ASA = 着信からオペレが応答するまでの時間の総計 ÷ 総入電数

たとえば、以下のような3件の入電について、ASAを計算してみましょう。

・入電①:着信から応答まで3秒
・入電②:着信から応答まで15秒
・入電③:着信から応答まで30秒

この3件の応答までの時間の合計は、「3 + 15 + 30 = 48秒」です。

これを、総入電数「3件」で割ると、「48秒 ÷ 3件 = 16秒」となります。

つまり、この場合のASAは「16秒」というわけです。

ただ、実際のコンタクトセンターでは、何千何万と入電がありますので、これを手動で計測、計算するのは難しいでしょう。そのため多くのセンターでは、コンタクトセンター業務を自動化するシステムを導入し、そのシステム上でASAを算出しています。

1-3.なぜASA(平均応答時間)が重視されるのか

前述したように、多くのコンタクトセンターではASAをKPIとして設定し、目標とする時間以内に応答できるように努めています。

では、なぜASAはそのように重視されているのでしょうか?

それは、ASAがコンタクトセンターに対する顧客の満足度を大きく左右するからです。

コンタクトセンターに関するさまざまな統計をまとめたデータブック「コールセンター白書2021」(株式会社リックテレコム)に、こんな統計があります。

「直近でコールセンターに電話をかけた際、センターに対して不満を感じた理由(複数回答あり)」という質問に対して、もっとも多かった回答は、「電話はつながったが、オペレが出るまでの待ち時間が長い」というもので、これを不満に思っている人は26.8%、つまり顧客の4分の1以上を占めていたのです。

【直近でコールセンターに電話をかけた際、センターに対して不満を感じた理由(複数回答あり)】

「コールセンター白書2021」株式会社リックテレコムによるコンタクトセンターに対して不満を感じた理由の統計グラフ

出典:「コールセンター白書2021」株式会社リックテレコム

これはまさに、ASAに関わる問題です。

ASAを短縮し、なるべく顧客を待たせずに応対できるようになれば、この4分の1の不満は解消され、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。

このように、ASAは顧客満足にダイレクトにつながるものであるため、多くのコンタクトセンターではその短縮に努めているというわけです。

1-4.一般的なASAの目安は「20秒」前後

ここまで説明したように、ASAはコンタクトセンターにおける重要なKPIのひとつです。

となると、「KPIとしては、ASAは何秒くらいに設定すればいいの?」「ASAがどの程度なら、顧客満足度が低下しない?」という点が気になるでしょう。

ただ、実際は、「ASAはそのセンターによって異なる」というのが本当のところです。

センターの規模によっても異なりますし、業種、扱う商品・サービスの種類、顧客層などさまざまな要因によっても違いが生じます。

そこで、ひとつの目安として、前項でも紹介した「コールセンター白書2021」(株式会社リックテレコム)のデータを挙げます。

各コンタクトセンターに「平均応答時間」を訊ねたところ、回答を寄せた76社の結果は以下でした。

「コールセンター白書2021」株式会社リックテレコムによる「平均応答時間」のデータグラフ

出典:「コールセンター白書2021」株式会社リックテレコム

これを見ると、全体の半数は平均10秒以内に応答しています。

つまり、業種やセンターの規模などを考慮せずコンタクトセンター全体を基準に考えた場合、ASAが「短い」と感じていただくには、少なくとも10秒以内に応答できるようにしなければならないといえそうです。

1-5.「SL(サービスレベル)」との違い

さて、1-1.「ASA(平均応答時間)」とは?でASAは「応対品質」を示すKPIであると説明しましたが、応対品質に関わるKPIとしてはもうひとつ「SL(=サービスレベル)」がよく知られています。

このふたつはどのように異なるのでしょうか?

簡単にまとめると、以下の通りです。

KPI

概要

算出方法

ASA
(平均応答時間)

顧客が電話をかけてからオペレが電話に出るまでの平均時間

オペレが応答するまでの時間の総計 ÷ 総入電数

SL
(サービスレベル)

目標時間内に電話に出られた件数の割合

設定時間内に受電した数 ÷ 総入電数 × 100

ASAは「待ち時間の平均(単位は「秒」など)」であるのに対して、SLは「時間内に応答できた割合(単位は「%」)」です。

一般的にSLは、「◯秒以内に◎%の電話に応答する」ことを「◎/◯」と表記します。

「20秒以内に80%以上の電話に応答する」という目標を立てた場合は「80/20」実際には70%しか応答できなかった場合は「70/20」となります。

たとえば、待ち時間の目標を「20秒以内」と設定し、実際のASAも20秒である以下の3つのセンターがあったと仮定しましょう。

センター

待ち時間

ASA

SL

センター A

・入電:待ち時間20秒
・入電:待ち時間20秒
・入電:待ち時間20秒

(20+20+20)÷ 3 = 20秒

100/20
(20秒以内に応答できた割合= 100%→①②③すべて達成)

センター B

・入電:待ち時間10秒
・入電:待ち時間20秒
・入電:待ち時間30秒

(10+20+30)÷ 3 = 20秒

66/20
(20秒以内に応答できた割合= 約66%→④⑤は達成、⑥は未達)

センター C

・入電:待ち時間5秒
・入電:待ち時間25秒
・入電:待ち時間30秒

(5+25+30)÷ 3 = 20秒

33/20
(20秒以内に応答できた割合= 約33%→⑦は達成、⑧⑨は未達)

このように、ASAは同じく20秒だったとしても、実際には入電ごとに待ち時間が大きく異なります。

呼び出し音が鳴った瞬間に応対した=待ち時間ほぼゼロの入電もあれば、混雑時で数分間待たせてしまった入電もあるでしょう。

そのため、センターBやCのように、「ASAは目標を達成している(=20秒)のに、個別の入電を見ると20秒以上待たされた顧客が多かった」というケースも生じてしまうのです。

となれば、センターAに比べてBやCの顧客満足度は低くなる恐れがあるでしょう。

そこで、応対品質を向上させたい場合は、ASAを短縮させるだけでなく、SLの向上も目指していく必要があるのです。

2.ASA(平均応答時間)が長くなってしまう原因

このように、顧客満足を考えるとASAはなるべく短縮したいものですが、一方で「どうしても長くなってしまう、短くできない」という課題を抱えているコンタクトセンター(コールセンター)も多くあります。

それはなぜでしょうか?

主な原因としては、以下の3点が考えられます。

・入電数に対してオペレの人員が不足している
・オペレの応対スキルが低い
・AHT(平均処理時間)が長い

あなたのセンターはどれに該当するか、それぞれくわしく考えていきましょう。

2-1.入電数に対してオペレの人員が不足している

第一に考えられる原因は、「入電数に対してオペレの人員が不足している」ことです。

コンタクトセンター(コールセンター)を顧客満足度高く運営するためには、オペレの人員を適切に配置することは最重要事項のひとつです。

入電の多いコンタクトセンターにもかかわらず、少人数で対応しようとすれば、おのずと顧客を待たせることが増え、ASAも長くなってしまうでしょう。

あるいは、時間帯や時期によって入電数が大きく増減するセンターの場合は、入電が多くなる時間帯・時期にはそれに対応できるようオペレを増員する必要がありますが、それを適切に予測して人員配置できなければ、やはり人手不足でASAの悪化につながります。

このように、入電数を的確に予測してオペレを配置することを、「ワークフォースマネジメント(=WFM)」と呼んでいます。

非常に複雑で難しい施策ですが、これを自動で行ってくれるシステムやツールもありますので、利用してみるといいでしょう。

ただし、「そもそも恒常的にオペレの人数自体が不足していて、必要な人員を十分に配置できない」というセンターの場合は、また別の施策が必要です。

それについては、次章「3.ASA(平均応答時間)を短縮するための施策例」で説明しますので、そちらも読んでください。

2-2.オペレの応対スキルが低い

次に、「オペレの応対スキルが低い」ことも考えられます。

応対スキルが低いと、1件あたりの通話時間が長引いてしまい、他の顧客を待たせることにつながるのです。

そもそも電話での応対品質は、オペレのスキルと経験によって大きく左右されます

応対スキルが高く経験豊富なオペレであれば、複雑な問い合わせやクレームなどにも的確に対応し、やりとりを長引かせることなく顧客を満足させて終話することも可能です。

反対に、スキルが低いオペレや経験の浅い新人であれば、聞かれたことにすぐ答えられず、「少々お待ちください」と調べたり、SVに確認したりして応対が長引くこともあるでしょう。

1件の応対にかかる時間が長くなれば、その間に対応できずに呼び出し中の入電がたまっていきます。

つまり、ASAが長くなってしまうわけです。

特に新人が多いセンターなどでは、これが原因でASAがなかなか短縮できないというケースも多そうです。

これについての改善策は、「3-2.オペレ教育を強化する」などを参照してください。

2-3.AHT(平均処理時間)が長い

コンタクトセンターで重要なKPIのひとつに、「AHT(平均処理時間)」がありますが、これが長くなってしまうのもまたASAを短縮できない原因になります。

「AHT」とは「Average Handling Time」の略で、顧客との通話開始から後処理終了までに要した時間の平均値を指します。

これが長くなれば、やはり他の顧客を待たせる時間が長くなり、ASAの悪化を招きます。

AHTが長くなる原因はさまざまです。たとえば、以下のような原因が考えられるでしょう。

・顧客の問い合わせ内容が難しく、既存のトークスクリプトやマニュアルでは回答できないため調べるのに時間がかかる
・本来は「商品購入の申し込み受付」の窓口だが、使い方の問い合わせや修理依頼、不具合に関する苦情など担当外の入電が多く、説明と転送に時間を取られる
・オペレ用のマニュアルやFAQが使いにくく、問い合わせごとに適した回答を探すのに手間取る
・後処理で記入する事柄が複雑で多く、「通話内容」を要約してまとめるなどに時間がかかる

これを解消する方法は、「3-3.ノンボイス化を推進する」「3-4.マニュアルを改訂し、オペレーションを見直す」などで解説しますので、後ほどそちらも読んでください。

3.ASA(平均応答時間)を短縮するための施策例

2章でコンタクトセンター(コールセンター)のASAがなぜ長くなってしまうのか、その原因がわかったかと思います。では、その課題をどのように解決すればいいのでしょうか?

ここでは代表的な施策例を4つ挙げておきましょう。

・オペレの人員配置を最適化する
・オペレ教育を強化する
・ノンボイス化を推進する
・マニュアルを改訂し、オペレーションを見直す

ひとつずつ説明します。

3-1.オペレの人員配置を最適化する

第一に実行すべきなのは、「オペレの人員配置を最適化する」ことです。

「2-1.入電数に対してオペレーターの人員が不足している」が原因である場合はもちろんですが、突き詰めればこれは全てのコンタクトセンターに必須の施策と言えるでしょう。

入電に対してオペレが不足していれば、ASAをはじめ顧客満足につながるKPIの多くが悪化しますし、逆にオペレが多すぎると、手待ち時間(=業務時間中に仕事がなく手が空いてしまう待機時間)の長いオペレが増えて、人件費が必要以上にかかってしまいます。

そこで重要なのが、前述した「ワークフォースマネジメント」です。

あらためて説明します。

「ワークフォースマネジメント(=WFM)」とは、人的リソースを最適に活用するマネジメント手法です。

コンタクトセンターにおいては、時間や曜日、季節などの要因によって入電数が細かく増減するため、その時々に応じて適切な人員配置を行うことを指します。

これを行うには、以下のような手順が必要です。

1)過去のデータから日ごと、時間ごとの入電数を予測する
2)平均処理時間(AHT)を算出する
3)「1)× 2)=全体の業務量」を算出する
4)稼働率、占有率を加味しながら必要な人員を割り出す
5)シフトを作成する

これについては、別記事コールセンターの待ち時間はいかに短縮するか?設定すべきKPIとは?」の「4-1.ワークフォースマネジメントを実行するを参照してください。

ただ、入電数にはさまざまな要素が影響するため、正確に予測するのは非常に難しいでしょう。

そこで、多くのコンタクトセンターではWFMの機能を備えたシステムやツールを導入しています。

人員配置が最適化できないセンターであれば、これらの導入を検討してみるとよいでしょう。

3-2.オペレ教育を強化する

次に重要なのが、「オペレ教育の強化」です。

オペレのスキルを上げることで、1件あたりの対応に要する時間を短縮することができる=より多くの入電に対応できるようになるため、結果としてASAの短縮が期待できます。

具体的には、以下のような研修、トレーニングを行うとよいでしょう。

・マニュアル、トークスクリプトの順守徹底
・応対スキルの向上
・クレーム対応のトレーニング
・入力スピードのアップ       など

その上で、SVによるロールプレイングや、定期的なモニタリングと改善点のフィードバックなども重ねて、オペレ全体のスキルの底上げを図りましょう。

コンタクトセンターのオペレーター教育については、別の記事でも解説していますので参考にしてください。

3-3.ノンボイス化を推進する

近年、「ノンボイス化」を推進しているコンタクトセンターも多いですが、これもまたASA短縮につながります。

「ノンボイス化」とは、電話以外のチャネルで顧客対応できるようにセンターを改革することを指し、たとえばメールやチャット、SMSなどの導入がそれにあたります。

顧客からの問い合わせを、電話以外にメールや問い合わせフォームで受け付けている企業も多いでしょう。

また、IVRやAIチャットボットであれば、よくある問い合わせには自動応答してくれますので、オペレはそこで答えきれなかった質問にだけ応対すればよくなります。

つまり、電話以外の問い合わせチャネルを増やすことで、入電数を減らすことができ、入電数が減れば電話もつながりやすくなるでしょう。

その結果、ASAを短縮できるというわけです。

ノンボイスの種類(=チャネル)としては、主に以下のようなものがあります。

・Eメール:問い合わせメールなど
・問い合わせフォーム:企業の公式サイト内で質問を受け付けるフォーム
・チャット:担当オペレがチャットで対応する「有人チャット」や、ボットが自動で対応するチャットボット
・SMS:ショートメッセージによる情報提供など
・SNS:FacebookやTwitterなど

また、公式サイトに「よくある質問」とその回答を記載した「FAQページ」を作ることで、顧客が知りたいことや問題を自己解決できるようになります。

これも入電数を減らせる有効な施策ですので、ぜひ検討してみてください。

ノンボイス化に関しては、下記の記事でさらにくわしく説明していますので、そちらもぜひ読んでください。

3-4.マニュアルを改訂し、オペレーションを見直す

4つめの施策は、「マニュアルの改訂」「オペレーションの見直し」です。

これは特に、「2-2.オペレの応対スキルが低い」「 2-3.AHT(平均処理時間)が長い」場合に有効でしょう。

まず、オペレのスキルを上げるには、使いやすく内容の充実したマニュアルが必須です。

研修も実務も、そのマニュアルに沿って行うため、質の高いものであれば、オペレのスキルアップにつながるはずです。

具体的には、以下のような点に留意して改訂しましょう。

・知りたいことがすぐ調べられるよう、検索性を高める
・よくある問い合わせをパターン分けし、それぞれに最適な対応例を記載する
・図や画像をまじえて視認性を高める     など

最近では、紙ベースのマニュアルではなく、PCモニター上で検索できたり、応対内容に合わせて適切な情報が自動で表示されたりするシステムも登場していますので、活用するとよいでしょう。

また、マニュアル改訂と同時にオペレーションの見直しも必要です。

ムダな作業があればAHT(平均処理時間)が長くなり、それに比例してASAも長くなってしまうからです。

顧客それぞれの問い合わせ内容に応じて、マニュアルやトークスクリプトを瞬時に調べられるようにしておく必要があるでしょう。

さらに、後処理をなるべく短時間で終えられるようにすることも重要です。

たとえば、問い合わせ内容を手動で要約、入力するのは非常に時間がかかります。

これを、テンプレート化してコピー&ペーストですむようにしたり、音声認識機能のあるツールを用いて自動的に入力されるようにしたりすれば、AHTが短縮できるはずです。

マニュアルの改訂とオペレーションの見直しを並行して行うことで、応対業務を効率化していきましょう。

4.ASA(平均応答時間)改善の際の注意点

ここまで、ASAとは何か、どのように改善するのかを解説してきました。

ただ、前章の施策はあくまでASAを改善するためのものであって、それだけで問題が解決するわけではありません。というのも、ASAの改善はそれ自体が目的ではなく、本当に目指すべきなのは「コンタクトセンター(コールセンター)を適切に運営し、顧客満足に貢献すること」だからです。

そのためには、注意しなければならないことがあります。それは以下の2点です。

・オペレに過度な負荷をかけない
・顧客満足度が低下しないよう注意する

それぞれ説明します。

4-1.オペレに過度な負荷をかけない

ASAを短縮しようとするなら、もっとも簡単な方法は1件あたりの応対時間を短くすることです。

ただ、この点に固執しすぎるあまり、オペレに無理な目標値やノルマを課すことがないようにしましょう。

例えば、本来は最低でも5分程度かかる対応であるのに、「4分で終話するように」と厳しい制限を設けたり、「1時間で10件以上は対応すること」という目標提示したりすると、オペレの応対品質が低下したりオペレーターへの負荷が上がり離職に繋がってしまうかもしれません。

そうなれば、ASAは短縮できてもミスが生じる率は上がる可能性が高くなり、顧客の不満を招くこともあるでしょう。そのようなことのないよう、オペレには負荷をかけすぎないことをがけてください。

4-2.顧客満足度が低下しないよう注意する

また、ASAを短縮させるためには、業務の効率化が欠かせません。

そのためにワークフォースマネジメントの取り組み、ノンボイス化の推進、オペレーションの見直しなどを行うわけですが、効率化ばかり重視していると、それに反比例して顧客満足度が低下する恐れがありますので注意してください。

顧客は、「オペレとすぐに話せること」を求めると同時に、「自分の抱える疑問や問題をオペレが十分に理解し、最後まで解決してくれること」も期待しています

ASAが短縮できれば前者は叶えられますが、後者に応えることも忘れてはいけません。

ASAだけを重視して顧客の課題に十分に寄り添えなければ、「ASAは短くなったのに、顧客満足度が下がってしまった」という残念な結果も起こり得るでしょう。

要は、ASAと顧客満足度とのバランスが重要なのです。

効率化できるところは可能な限り効率化しつつ、顧客対応の質は決して落とさない、その両立を忘れずに取り組んでください。

まとめ

いかがでしたか?

ASAについて知りたかったことがわかったのではないでしょうか。

では最後にあらためて、この記事のポイントをまとめておきましょう。

◎「ASA(平均応答時間)」とはコンタクトセンターにおいて「顧客から入電があってからオペレが応答するまでの平均時間を指す指標」

◎ASAの計算式は、「ASA = 着信からオペレが応答するまでの時間の総計 ÷ 総入電数」

◎ASAが長くなってしまう原因は、

・入電数に対してオペレの人員が不足している
・オペレの応対スキルが低い
・AHT(平均処理時間)が長い

◎ASA(平均応答時間)を短縮するための施策例は、

・オペレの人員配置を最適化する
・オペレ教育を強化する
・ノンボイス化を推進する
・マニュアルを改訂し、オペレーションを見直す

◎ASA(平均応答時間)改善の際の注意点は、

・オペレに過度な負担をかけない
・顧客満足度が低下しないよう注意する

以上を踏まえて、あなたのコンタクトセンターが今よりもASAを短縮し、顧客満足度を向上させられるよう願っています。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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