
「医療DXはいま、どこまで進んでいるのだろう」
「自院では、医療DXにどのように取り組むのが最適なのだろうか」
医療DXが政府主導で推進される中、取り組みの必要性を感じつつも、何から始めるべきか迷っている医療機関は少なくないでしょう。
医療DXとは、IT活用によって医療の質と業務効率を高める取り組みです。その推進には、超高齢社会においても国民の健康を守り、将来にわたって安定した医療提供体制を維持しようという目的があります。
【医療DXの主な施策】
多くの医療機関で進んでいる施策 | ・オンライン資格確認 |
一部の医療機関で行われている施策 | ・オンライン診療 |
主に大規模病院が導入する施策 | ・AI画像診断 |
かつてはITシステムの導入推進から始まりましたが、2026年現在は診療報酬上もシステムの「導入」ではなく「活用」が評価されるようになり、医療DXは「導入すること」から「活用して成果につなげること」を重視するフェーズへと移行しつつあります。
しかし医療DXの推進には、コストや運用安定までの現場負荷がつきものです。その点を理解したうえで、自院の課題解決に最も効果的な施策を選定しなければ、かえって医療の質や業務効率の低下を招く可能性もあります。

そこで本記事では、本記事では、医療DXの基礎知識から具体的な施策や事例、自院に適した進め方までを体系的に解説します。
本記事を読むことで、医療DXに対する迷いが晴れ、推進に向けて一歩踏み出せるでしょう。
医療DXに取り組むうえでの全体像を把握したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
1.医療DXとは

まず、医療DXとは何かを確認しましょう。本章では、医療DXを理解するための基礎知識として、以下の内容を解説します。
・医療DXという言葉の意味 |
1-1.医療DXはIT活用によって医療の質と業務効率を高める取り組み
医療DXとは、IT活用によって医療の質と業務効率を高める取り組みです。単にIT技術を活用することではなく、それによって医療のあり方を変革していく動きを指します。
以下の図は、厚生労働省が医療DXのイメージを描いたものです。患者情報を複数の医療機関で共有したり、本人確認や受付業務を自動化したりすることによって、患者さんと医療機関双方の利便性向上を目指します。

つまり医療DXとは、すべての人がより質の高い医療を受けられるようにしながら、その医療を支える現場の負担を可能な限り抑えていこうとする流れだといえるでしょう。
1-2.超高齢社会において医療DXが求められる理由
医療DXが推進される理由は、従来のやり方で安定した医療体制を維持することが難しくなりつつあるためです。
日本の高齢化は進行し続けており、それに伴って医療ニーズも増加の一途を辿っています。高齢者は複数の疾患を抱えるケースも多く、医療機関にはより高度かつ継続的な対応が求められるようになりました。
一方で、医師・看護師をはじめとする医療従事者不足は改善されていません。そのため、限られた人員で多くの患者さんに良質な医療を提供しなければならず、医療現場の運営は逼迫しています。
従来の医療現場は、他の業種に比べてDXの推進が難しいといわれてきました。個人情報を扱うため慎重な運用が欠かせないうえ、業務の複雑性やエラーによるリスクの高さなどが障壁になるからです。
そのため、現場の努力に依存する形で医療体制を維持してきましたが、その運用には限界が見え始めています。だからこそ、医療の質を維持しながら業務効率化を図る医療DXの必要性が高まっているのです。
1-3.政府が掲げる医療DXの柱と目的
医療DXは、政府主導で推進されている取り組みです。今後、医療機関にはDXへの対応がさらに求められていくでしょう。
政府が掲げる医療DXの柱は、次の3つです。
1)全国医療情報プラットフォームの創設 |
これらはいずれも、医療情報やシステム対応の「共有」「標準化」を進めるものです。
医療機関同士で必要な情報を共有できるようにしたり、電子カルテ情報の形式を統一したりすることで、より円滑な連携を目指しています。また、診療報酬改定時のシステム対応を共通化・効率化することで、医療機関やベンダーの負担軽減も図ろうとしています。
政府はこうした施策により、次の5つの目的を達成したいと考えています。
1)国民の更なる健康増進 |
つまり政府は、医療DXの推進によって、国民の健康を守り、将来にわたって安定した医療提供体制を維持しようとしているのです。
2.医療DXの現状と今後の進展

次に、医療DXはどの程度進んでいるのかを見てみましょう。医療DXに取り組む医療機関は増えており、導入から活用のフェーズへと移行しつつあるのが現状です。
2-1.医療DXに取り組む医療機関は増えている
近年は、医療DXに取り組む医療機関が増えています。
【再喝:医療DXの主な施策】
多くの医療機関で進んでいる施策 | ・オンライン資格確認 |
一部の医療機関で行われている施策 | ・オンライン診療 |
主に大規模病院が導入する施策 | ・AI画像診断 |
たとえば、マイナンバーカードを利用したオンライン資格確認は、2024年12月時点で病院98.8%、クリニック92.0%が導入済み(厚生労働省)となっており、全国的に普及しています。
また、電子カルテについても、2025年時点で病院77.7%、診療所71.0%(厚生労働省)で導入されています。
医療を受ける側から見ても、WEB予約システムやオンライン診療を利用したり、ロボット手術という言葉を耳にしたりする機会は少なくないのではないでしょうか。
こうした状況から、医療DXは一部の先進的な医療機関だけのものではなく、多くの医療機関で進んでいることが分かります。
2-2.医療DXは「導入」から「活用」へとフェーズが移行している
いま医療DXは、システムインフラを導入するフェーズから、構築されたインフラを実際に活用するフェーズへと移行しています。
従来の診療報酬で医療DXの評価軸となっていたのは、「医療情報取得加算」および「医療DX推進体制整備加算」でした。これらは、オンライン資格確認システムの導入やマイナ保険証を利用できる環境の整備といった、主にインフラ基盤の構築度合いを測る項目です。
しかし、2026年の診療報酬改定で、「医療情報取得加算」「医療DX推進体制整備加算」は廃止となり、「電子的診療情報連携体制整備加算」へと統合・再編されています。
「電子的診療情報連携体制整備加算」では、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスに対応していたり、医療DXを推進している旨をWEBサイトに掲載していたりする医療機関を、より高く評価する内容に変わります。
これは、「システムを導入していること」を評価する段階から、「実際に情報連携やデータ活用ができていること」を重視する段階へ移行したことを意味します。
3.医療DXを推進した3つの参考事例

多くの医療機関で進む医療DXですが、実際にはどのような施策が講じられ、どんな変化が生まれているのでしょうか。
本章では、いくつかの医療DX事例をご紹介します。自院で推進する際のヒントになるはずです。
・オンライン診療で利便性を高めた事例 |
3-1.オンライン診療で遠方に転居した患者もフォロー(九段下駅前ココクリニック)
九段下駅前ココクリニックは、東京都千代田区に所在する内科診療所です。
課題 | 患者から「対面診療は時間的制約が大きい」という声が上がっていた |
施策 | オンライン診療を開始した |
成果 | 患者の負担を軽減し、受診が集中する時間帯を分散できた |
都心部の地下鉄駅近傍の医療機関であるため、通勤途中の会社員が受診するケースが多いそうです。こうした就労世代の場合、対面診療は時間的制約が大きいという声があり、患者ニーズに対応するためにオンライン診療を実施しています。
オンライン診療は、定期処方のようなリスクが低く継続した診察が必要な患者さんに活用することが多い状況です。
導入効果として、患者さんの時間的制約を軽減させ、受診が集中する時間帯を分散できるようになりました。また、遠方に転居した患者さんに対しても、定期的な診療を継続することができるようになっています。
出典:厚生労働省「オンライン診療その他の遠隔医療に関する事例集」
3-2.電子予診で受診終了までの時間を短縮・看護師の負担軽減(独立行政法人国立病院機構甲府病院)
独立行政法人国立病院機構甲府病院は、山梨県甲府市に所在する270床(2026年5月現在)の総合病院です。
課題 | 問診表の記載・電子カルテへの転記に時間がかかり、情報共有に遅れが生じていた |
施策 | 患者にタブレット端末を渡して問診表を入力してもらう「電子予診」を導入した |
成果 | ・初診患者の受付から会計終了までの時間が平均11.4分短縮した |
初診外来の際に患者さんに記載してもらう問診表について、時間がかかったり複数科で重複したりという点で効率が悪くなっていました。
また、問診表の内容を看護師が電子カルテに転記する負担や、入力漏れによる情報共有の遅れなどが課題となっていました。
そこで、患者さんにタブレット端末を渡して必要事項を入力してもらい、その内容が電子カルテに同期される電子予診を導入したところ、初診患者さんの受付から会計終了までの時間が平均11.4分短縮しました。
加えて、看護師が問診表の記載方法を説明したり、入力漏れをチェックしたりする必要がなくなり、その時間を他の業務に充てられるようになったそうです。
3-3.情報共有システムで在宅医療における多職種連携を実現(医療法人社団高村内科医院)
医療法人社団高村内科医院は、北海道小樽市に所在する内科診療所で、在宅緩和医療に力を入れています。
課題 | 多職種間での情報共有や質疑応答がスムーズでなく、負担を感じていた |
施策 | 多職種が共通して投稿・閲覧できる情報共有システムを導入した |
成果 | ・「訪問診療先ですぐに」「多くの関係者で同時に」情報を共有することができるようになった |
従来は、薬局薬剤師やケアマネジャーなど多職種との連携において、それぞれとのやり取りが必要になることでの負担や、多職種から医師に質問しづらい場合があるなどの課題を抱えていました。
そこで、多職種が共通して投稿・閲覧できる情報共有システムを導入したところ、情報共有や質疑応答が容易になり、医療提供体制に活かしやすくなったそうです。
患者さん・家族も情報共有に参加できるため、安心感が得られるという効果も生まれています。
出典:厚生労働省「在宅医療におけるデジタル化やICT活用の事例集」
4.医療DXを推進する4つのメリット

このようにして医療DXを推進すると、さまざまなメリットが期待できます。自院で取り組んだ際の効果を見積もるためにも、具体的な内容を確認していきましょう。

4-1.業務を効率化できる
医療DXを推進すると、さまざまな業務を効率化できます。人手で行っていた作業を自動化に近づけることができるためです。
たとえば、問診票をデジタル化し、患者さんが入力した内容をそのまま電子カルテに反映するとしましょう。入力漏れがあれば、端末上で記載を促すことができます。
そうすることで、記載内容のチェックや電子カルテへの転記という業務が不要になります。入力ミスに対応したり、タイムリーな入力のために他の業務を中断したりすることもなくなるため、業務全体の効率が上がるでしょう。
また、自動精算機を導入すれば、金銭のやり取りや領収書の発行といった工数が削減できます。締め作業が不要になることで、残業の必要がなくなるケースも少なくありません。
このように医療DXは、手作業にかかる負担を軽減し、人員が限られていても業務を円滑に進めることに大きく寄与します。
4-2.必要な情報をスムーズに参照・活用できる
医療DXを推進することで、必要な情報をスムーズに参照・活用できるようになります。医療情報がデジタル化され、一元管理・共有できるようになるためです。
たとえば、電子カルテを導入すると、紙カルテを保管場所から探し出し、記載内容を遡る必要がありません。数回のクリックで、参照したい情報にアクセスできます。
また、医療情報を多職種や複数機関で共有できるシステムを活用すれば、関係者全員が患者さんの状況や対応方針を把握しやすくなります。
こうして、知りたいことを探すのに時間をかける状況が改善されるとともに、個々の患者さんに適した医療を判断・実践するスピードと精度が向上するのです。
4-3.医療および患者体験の質が向上する
医療DXの推進に伴って、医療の質や患者体験の質が向上します。適切な医療の提供がスムーズに進むためです。
医療情報の整理や参照が容易になれば、患者さんの状況を迅速かつ正確に把握できるようになります。それにより、安全で効果的な医療を提供しやすくなるでしょう。
また、定型業務が効率化されると、医療従事者が本来業務に注力する余裕が生まれます。患者さんとのコミュニケーションやアセスメントが深まり、一人ひとりに適した医療のあり方を見極めやすくなることが期待できます。
このように医療DXは、患者さんが自分に合った医療を受け、満足感を得られる環境づくりを可能にするのです。
4-4.受診の機会損失を防ぎやすくなる
医療DXの推進は、受診の機会損失を防ぎやすくなることにもつながります。患者さんがより簡便に医療サービスへアクセスできるようになるためです。
たとえば、WEB予約システムを導入すれば、患者さんがいつでも簡単に予約を取れるようになります。受付時間内に電話ができなかったり、やり取りが面倒だったりという理由で受診を見送るケースが減るはずです。
また、オンライン診療を活用することで、通院が難しい患者さんでも診療を受けやすくなります。移動時間や待ち時間の負担が軽減されるため、継続的な受診につながることも期待できるでしょう。
こうして医療DXは、患者さんの受診に対するハードルを下げ、医療サービスの利用を後押しするのです。
5.医療DXを推進するうえで解決が必要な4つの課題

医療DXは社会的な流れであり、多くのメリットもありますが、その推進にあたっては障壁となりやすい課題も存在します。円滑な運営とトラブル防止のために、把握しておきましょう。

5-1.システム利用に要するコストの確保
医療DXを推進するためには、ITシステムを利用することになります。新たに導入する場合、それらに要するコストの確保が必要です。
たとえば、電子カルテは数十万円~数百万円、自動精算機は数百万円程度の導入費用が発生します。加えて、クラウド利用料やメンテナンス代などのランニングコストも考慮しなければなりません。
そのため、「単に導入できるか」ではなく、「継続的に運用できるか」という視点でコストを試算することが重要です。
医療DXのシステム導入に利用できる補助金 2026年5月時点で医療DXのシステム導入に利用できる補助金は、以下のとおりです。 また、都道府県独自の補助制度が設けられている場合もあります。たとえば東京都では、2025年度に「診療所診療情報デジタル推進事業」を募集していました。 利用できる制度は地域や時期によって異なるため、最新情報を確認しながら、自院が該当するものを探してみましょう。 |
5-2.スタッフ・患者が無理なく活用できる運用体制の整備
医療DXを推進するうえでは、スタッフ・患者さんが無理なく活用できる運用体制を整備することが重要です。
システムを導入しても、現場での使い勝手が悪ければ、余計に業務負担が大きくなったり、活用されなくなったりする可能性があるためです。
たとえば、電子予診や動画説明システムを導入しても、必要な項目が不足していて操作も複雑だったとしたら、手作業の方が都合がよいということになるかもしれません。
また、WEB予約やオンライン診療についての説明を十分に行わなければ、手続きに困った患者さんからの問い合わせが殺到する、期待する内容とは違うと考えて受診を見送る、といったケースが出てくることもあるでしょう。
そのため、システム導入をゴールにせず、スタッフ・患者さん双方にとって「使いやすい」と感じられる運用体制を目指すことが、医療DXを定着させるポイントになります。
5-3.個人情報漏洩リスクへの対応
医療DXの推進において、情報漏洩リスクへの対応は不可欠です。
多くの医療情報をデジタル形式で扱うことから、ネットワーク経由での流出リスクがどうしても発生してしまうためです。
たとえば、情報の入力ミスや共有設定の不備があった場合、本来参照できないはずの相手がその情報にアクセスできてしまう可能性があります。
また、電子カルテやオンライン診療システムなどが不正アクセスを受けた場合、氏名や病歴などの重要な個人情報が漏洩するかもしれません。
そのため、システムのセキュリティ対策はもちろんのこと、情報共有ルールやスタッフ教育なども含めて、安全に運用できる体制を整える必要があります。
5-4.DX人材の不足
医療DXが進まない要因として、「DXを推進・運用できる人材が不足している」点も挙げられます。
たとえば、電子カルテや各種システムを導入しても、
・運用設計ができない |
といった理由で、十分に活用しきれていないケースは少なくありません。
とくに中小規模の医療機関では、IT専任人材を確保する余裕がなく、現場スタッフが本来業務と兼務で対応していることも多いのが実情です。
その結果、「導入はしたが活用できない」「かえって負担が増える」といった問題が発生し、医療DXの効果を実感できない要因となっています。
このような背景から、近年ではDXの一部業務を外部の専門パートナーに委託し、自院の負担を抑えながらDXを推進する動きも広がりつつあります。
6.【判断フロー】医療DXはまず何から始めるべきか

前述したように、医療DXの施策は多岐に渡ります。一度にすべてを取り入れるのは、コストや現場負担の観点から現実的ではありません。また、自院の課題に見合った施策を選定しなければ、期待する効果が得られない可能性が高まります。
そこで本章では、自院に取り入れるDX施策を検討する際の流れについて解説します。

6-1.自院の「医療の質と業務効率」におけるボトルネックはどこか見極める
医療DXとは、「医療の質と業務効率の向上」を実現するための取り組みです。そのため、まずは自院の医療の質と業務効率を考えたとき、どこに課題があるかを見極めましょう。
たとえば、待ち時間が長い、情報収集や記録の負担が大きいなどの状況がある場合、それらを解決するための施策を優先的に検討する必要があります。
課題が不明確なままITシステムを導入しても、現場業務と合わず十分に活用されなかったり、かえって業務負担が増えたりする可能性もゼロではありません。
そのため、まずは「患者さんやスタッフがどのような場面で不便を感じているのか」「どの業務に時間や手間が集中しているのか」を整理することが重要です。
6-2.課題に対応する医療DX施策を選定する
医療DXにおける自院の課題を整理したら、その解決につながる施策を選定しましょう。
前述したように、医療DX施策には自動精算機や問診・説明のデジタル化といった業務の一部を自動化するものから、遠隔モニタリングシステムやAI画像診断のような診療補助まで、さまざまな種類があります。
それぞれに解決しやすい課題が異なるため、十分な効果を得るには自院の状況に適した施策を選ぶことが欠かせません。
たとえば、待ち時間の長さを解消するには、WEB予約システムや自動受付・自動精算機の導入が効果的です。情報収集や記録の負担が大きいのであれば、電子カルテや問診のデジタル化によって、データ入力・共有の効率化を図るのがよいでしょう。
また、診療の負荷や精度が課題となっている場合は、AI画像診断支援システムのように診療そのものを支援する施策も選択肢になります。
このように、「自院の現状を変革できる可能性が高い施策」を選定することが重要です。
なお、すべての施策を自院内で完結させる必要はありません。
とくに医療事務やバックオフィス領域においては、専門性が高く運用負担も大きいため、外部の専門サービスを活用することで効率的にDXを進める方法も有効です。
自院で担うべき業務と外部に任せるべき業務を切り分けることで、限られた人材でも無理なくDXの成果につなげることができます。
6-3.導入のしやすさと効果の大きさで優先順位を決める
課題に対応する医療DX施策を選定したら、「それらのうち何から導入するか」の優先順位を決めましょう。この際には、導入のしやすさと効果の大きさが判断のポイントになります。
とくに小規模な医療施設では、コストや運用負荷への耐性に限りがあることも多いため、スモールスタートで段階的に進める方法が適しているといえるでしょう。
たとえば、まずは比較的低コストなWEB予約システムを導入し、受付業務や電話対応の効率化につなげる進め方があります。また、電子的診療情報連携体制加算への対応を見据えるのであれば、電子カルテの導入を検討する方向性が有力です。
こうして、導入にかかる負担と期待できる効果を天秤にかけながら、自院にとってバランスがよい施策を見極めることが重要です。
政府は2026年度中の完成を目指して標準型電子カルテの開発を進めている 政府は、全国医療情報プラットフォームに対応した標準形式の電子カルテを開発中であり、2026年度中の完成を目指しています。 紙カルテ運用を続けたまま電子カルテ情報共有サービスへの登録・閲覧ができることや、直感的なクリック操作を中心としたシンプルな設計など、導入ハードルを下げるための工夫が盛り込まれています。 価格に関する詳細は、まだ公表されていません。しかし、低コストなクラウドベースであることや、普及促進を目的としていることを踏まえると、比較的導入しやすい価格帯になるのではないかと考えられます。 現在電子カルテの導入を迷っている医療機関にとっては、有力な選択肢のひとつになる可能性があるため、今後の政府動向を注視しておくとよいでしょう。 |
医療事務領域でのDXをご検討の方は、トランスコスモスにご相談ください |
DX人材の不足や運用負担の課題を背景に、医療事務領域のDXを外部に委託する動きが広がっています。 トランスコスモスでは、遠隔医療事務サービス「どこでも医事」をご提供しております。
「どこでも医事」は、AI技術とIT活用による業務標準化を行ったうえで、専門スタッフが遠隔で医療事務業務をサポートする革新的サービスです。 具体的には、医療事務における以下の業務を専門スタッフが遠隔でサポートします。 ・診療費計算 診療報酬改定に自動対応し、複雑な算定ルールも正確に判定、AIと経験豊富な専門スタッフが確認するため、自院の人的負担を増やすことなく請求漏れを予防できます。 また、サービス提供を行うセンターは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格を取得しているほか、監視カメラや内部監査などの情報漏洩対策も講じているため、安心してお任せいただけます。 人員不足や算定業務に課題を感じている方は、まずは資料をご覧ください。 |
まとめ
本記事では、医療DXに関する基礎知識を網羅的に解説しました。以下に要点をまとめます。
医療DXとは、IT活用によって医療の質と業務効率を高める取り組みです。超高齢社会において国民の健康と医療体制を守っていくために、政府主導で推進されています。
医療DXの具体的な施策には以下のようなものがあり、現在はITシステムを導入するフェーズからそれらを活用するフェーズへと、一歩進んだ流れになってきています。
【医療DXの主な施策】
多くの医療機関で進んでいる施策 | ・オンライン資格確認 |
一部の医療機関で行われている施策 | ・オンライン診療 |
主に大規模病院が導入する施策 | ・AI画像診断 |
医療DXを推進すると、次のメリットが得られます。
・業務を効率化できる |
自院がどの施策から手掛けるべきかは、医療の質と業務効率における課題を明確にし、それに対応する、かつ無理なく導入できるものを検討することで見えてきます。
自院の状況に適した施策を通じて医療DXを進め、医療の質と業務効率の向上につなげていきましょう。


