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潜在ニーズと顕在ニーズの違いとは?具体例と見つけ方、活用法を解説

この記事で学べること

顕在ニーズは「顧客が自覚している要望」、潜在ニーズは「顧客が無自覚に抱いている欲求」です。企業は潜在ニーズを把握することで、顧客満足度の向上や新商品の開発・市場の拡大を図ることが可能になります。

  • 潜在ニーズが重要視される理由:潜在ニーズに応えていくことで、顧客が自覚していない要望を先回りして満たすことが可能。そのため、競合他社がまだ進出していない領域や市場を掘り起こしにつながる。
  • 潜在ニーズ活用の成功事例:光回線事業者・A社:トランスコスモスのインタビューサービス「tra:Cii(トレイシー)」を導入して、競合他社との差別化のポイントや潜在ニーズを把握することができた。
  • 潜在ニーズを見つける際の注意点:質問は臨機応変に行い、回答が建前や一般論でなく本音かどうか見極めることが重要。そのためには相手との対話を心がける。

「潜在ニーズと顕在ニーズの違いは何か?」
「顧客が求める商品を開発したいが、潜在ニーズをどう調べればよいのか?」

この記事を読んでいるあなたは、こうした疑問や希望を抱えているかもしれません。

顕在ニーズとは「顧客が自覚している要望」であり、潜在ニーズは「顧客が無自覚に抱く欲求や希望」です。消費者のニーズは氷山に例えられ、顕在ニーズは水面から外に見えていて、潜在ニーズは水面下に隠れています。

「顕在ニーズ」「潜在ニーズ」「インサイト」の違い

例えば、顧客が「業務を効率化したい」と考えている場合、以下のように顕在ニーズと潜在ニーズを区別できます。

・顕在ニーズ:
業務を効率化するために新しいITツールを導入したい → 自覚している要望

・潜在ニーズ:
忙しすぎるストレスから解放されたい。業務を分担してほしい → 無自覚だが、実際には求めていること

企業のマーケティング活動において重要なのは潜在ニーズの把握です。これにより、顧客満足度の向上、新商品の開発、新規市場の開拓が可能になります。潜在ニーズを把握し、活用するための流れは以下の通りです。

タスク

具体例(業務を効率化したい場合)

1

ウォンツを把握する

新しいITツールを導入したい

2

ウォンツから顕在ニーズを把握する

「なぜ新しいITツールが必要なのか?」と質問する
→「業務を効率化したい」

3

顕在ニーズから潜在ニーズを深掘りする

「なぜ業務を効率化したいのか?」と繰り返し質問する
→「人手不足だから」
→「新しい業務が増えたから」

4

潜在ニーズに応える方法を考える

・人員を補充する
・ITツールで自動化する

5

その方法をビジネス化する

・プロジェクト管理ツールの開発
・管理業務のアウトソーシングサービス

最後まで読めば、潜在ニーズと顕在ニーズについて深く理解できるでしょう。この知識を活かし、あなたの会社が顧客の潜在ニーズを正しく把握し、マーケティングに活用できることを願っています。

1.潜在ニーズ・顕在ニーズとは

企業は基本的に、顧客や一般消費者の「ニーズ」に応えることで営業利益を上げていきます。ただし、「ニーズ」には顕在ニーズと潜在ニーズの2種類があり、それぞれを正しく把握することで、顧客満足度の高い商品やサービスを提供可能になります。

まずは顕在ニーズと潜在ニーズの定義を深く理解しましょう。

1-1.顕在ニーズとは

顕在ニーズとは、「顧客や消費者が自覚している要望や要求」を指します。
単なる「モノが欲しい」という欲求ではなく、「この課題を解決するためにはこの商品が必要」「理想の状態に至るためにこのサービスを利用したい」という、必要性に基づく自覚的な状態です。

顕在ニーズの例

・痩せたいのでスポーツジムに通いたい
・古くなった車を新しい車に買い替えたい
・資格取得のために仕事を少し休みたい

これらはいずれも「何のために」「何が必要か」が明確です。

そのため、顧客は顕在ニーズを満たすために能動的に行動しやすくなります。企業にとっては、顕在ニーズに応えることが顧客満足に直結するため、マーケティングにおいて顕在ニーズの把握は非常に重要です。

1-2.潜在ニーズとは

一方、潜在ニーズとは「顧客や消費者が自覚していないが、意識下で抱いている欲求や希望」です。

顧客は自覚していないため、具体的に「これが欲しい」「こうなりたい」と考えることはありませんが、何らかの課題や不満、要望が潜んでいます。

潜在ニーズは、顧客の行動や心理に影響を与え、意思決定を左右することがあります。
企業は顧客の顕在ニーズだけでなく、潜在ニーズを把握しアプローチすることで、購買行動を促進し、自社への興味関心を引き起こすことが可能です。

潜在ニーズの例:

・顕在ニーズ:「痩せたいのでスポーツジムに通いたい」
⇒潜在ニーズ:「健康に不安があり、もっと元気でアクティブな生活を送りたい」
       「ストレスで食べ過ぎて太ったので、ストレスを取り除きたい」
       「痩せてキレイになり、恋人を作って幸せな結婚をしたい」

・顕在ニーズ:「古くなった車を新しい車に買い替えたい」
⇒潜在ニーズ:「子どもが生まれたので、家族で出かけるために大きな車が必要」
       「近所の家が新車に買い替えたので、見劣りしたくない」
       「満員電車が辛いので、車で快適に通勤したい」

顧客は顕在ニーズのみを自覚しますが、その根底を探ると異なる願望や目標が見えてくることがあります。したがって、企業のマーケティング活動において、顕在ニーズと潜在ニーズの両方を正確に分析・把握することが非常に重要です。

さらに、潜在ニーズより深い意識下に「インサイト」という概念があります。インサイトは潜在ニーズと同様に自覚されていないものですが、さらに深い深層心理に潜んでおり、感情や動機がまだ「要望」の形にまとまっていない状態を指します。

これを把握することも企業のマーケティング活動において重要です。詳細は以下の記事もご覧ください。

1-3.顕在ニーズと潜在ニーズの違いと具体例

顕在ニーズと潜在ニーズの意味は理解できたと思います。
しかし、実際に顧客のニーズに触れると、「これは顕在ニーズ? それとも潜在ニーズ?」と判断に迷うこともあるでしょう。そこで、両者の違いを明確にします。

以下の図は、顧客のニーズを氷山に例えたものです。

「顕在ニーズ」「潜在ニーズ」「インサイト」の違い

顕在ニーズは顧客や消費者の意識の中にあり、自覚的に「この理由でこれが欲しい」「この問題を解決したい」と明確に認識しています。

そのため、欲しいものや求める解決法に対して、能動的に調べたり購入したりします。企業側のマーケティング活動は、顧客が自ら動いてくれるため、それに応えることが重要です。

一方、潜在ニーズは消費者が「自分はこれを望んでいる」と意識できてないが、実際には心の奥底で抱いている無意識の要望です。氷山でいえば、水面下に隠れて見えない部分と考えてください。消費者はその潜在ニーズを自覚していないため、能動的に求めることはありません。

ただし、無意識のうちに潜在ニーズはその人の言動や感情に影響を与えています。したがって、企業は広告やキャンペーンを活用して、消費者が潜在ニーズを自覚するよう働きかける必要があります

具体例:

・顕在ニーズ:業務を効率化するために新しいITツールを導入したい

・潜在ニーズ:忙しすぎるストレスから解放されたい。
       同僚たちにも業務を覚えて分担してほしい。

ニーズは氷山と同様に、「水面から出ている部分=顕在ニーズ」よりも、「水面下の部分=潜在ニーズ」のほうがはるかに大きな割合を占めています。

つまり、マーケティング視点で考えると、顕在ニーズにアプローチするよりも、潜在ニーズにアプローチするほうが、より多くの消費者や大きな市場を獲得できる可能性があります。

1-4.「ニーズ(needs)」と「ウォンツ(wants)」の違い

ここまでで、顕在ニーズと潜在ニーズの違いについては理解できたと思います。実は、これらの「ニーズ(needs)」に対して「ウォンツ(wants)」という概念も存在します。潜在ニーズを探るうえで、ウォンツを知ることも重要です。

ウォンツとは、ニーズよりも具体的で直接的な欲求を指します。例えば、「商品Aが欲しい」「Bという行動がしたい」といったものがウォンツにあたります。

ニーズは「こういう理由でこれが欲しい」といった必要性にもとづく要望です。したがって、顕在ニーズとして「商品Aが欲しい」と思っていても、実際には潜在ニーズが満たされれば、A以外の商品やサービスでも満足できると考えることもできます。

これに対してウォンツは、欲求の対象が具体的に定まっているのが特徴です。以下の例で考えてみましょう。

・「スポーツジムに行きたい」=ウォンツ:具体的な欲求
 →別のもので満たされない

・「痩せたいので、スポーツジムに行きたい」=ニーズ:必要性にもとづく要望
 →痩せられれば、ジム以外の方法でも満たされる

多くの消費者は最初にウォンツを主張します。

言い換えれば、企業側が最も把握しやすいのはウォンツです。そのため、潜在ニーズを把握する際にも、まずウォンツをリサーチすることから始めるのが一般的です。このリサーチの流れについては、後の「2-1.潜在ニーズの掘り起こしからビジネス活用までの流れ例」で説明します。

1-5.潜在ニーズが重要視される理由

ウォンツ・顕在ニーズ・潜在ニーズの中で、近年特に重視されているのが「潜在ニーズ」です。潜在ニーズを満たすことで、企業と顧客に以下のようなメリットが得られます。

・潜在ニーズを満たすことで得られるメリット

メリット

例(スポーツジムの場合)

顧客

自分でも気づかなかった要望が満たされる

痩せるためにただ食事制限していた
→スポーツジムのダイエットコースに通ったら、「健康的にキレイになりたい」という気持ちに気づき、理想の自分になれた

課題が顕在化する前に解決される

スポーツジムに通うことで、自覚していなかったストレスも解消された

企業

新商品・新サービスの開発につながる

潜在ニーズ「痩せてキレイになりたい」に応えて、今までなかったダイエットコースや美容機器利用プランなどを設ける

顧客満足度が向上する

ダイエットコースを設けたり、美容機器を充実させたりすることで、運動だけをするよりも顧客満足度が向上する

ニーズを自覚していない新規顧客層の開拓

ダイエットコースや美容機器を用意することで、スポーツジムには縁がなかった層にもアピールできる

商品・サービスの新たな活用法を見つけ、市場開拓につながる

スポーツジムを、運動目的だけでなく美容の場として展開することができる

このように、顧客満足度の向上や新規顧客の開拓が期待できるため、潜在ニーズが重視されています。

顕在ニーズに応えるだけでは、企業は顧客の要望を後追いすることになります。そのため、ニーズを把握してから商品やサービスを提供するまでの間に、顧客のニーズが変わる恐れがあります。

潜在ニーズに応えることで、顧客が自覚していない要望を先回りして満たすことが可能です。競合他社がまだ進出していない領域や市場を掘り起こすことができるでしょう。

これらを踏まえると、企業にとって潜在ニーズの把握は今や不可欠であると言えます。

2.潜在ニーズの理解から活用までの流れ

潜在ニーズが重要であることは理解できたと思います。しかし、実際に潜在ニーズをどのように掘り起こし、事業に活かすかは具体的な手順が必要です。この章では、潜在ニーズを掘り起こし、ビジネスに活用する流れと成功例を紹介します。

2-1.潜在ニーズの掘り起こしからビジネス活用までの流れ例

潜在ニーズの掘り起こしは、まず「ウォンツ」を把握することから始まります。単に掘り起こすだけでなく、把握した潜在ニーズを最終的にビジネスに活用することが重要です。以下は、一般的な流れの例です。

タスク

具体例(業務を効率化したい場合)

1

ウォンツを把握する

新しいITツールを導入したい

2

ウォンツから顕在ニーズを把握する

「なぜ新しいITツールが必要なのか?」と質問する
→「業務を効率化したいので、新しいITツールを導入したい」
◎顕在ニーズ=「業務を効率化したい」

3

顕在ニーズから潜在ニーズを深掘りする

「なぜ業務を効率化したいのか?」など、「なぜ」を繰り返し質問することで、自覚されていない本当のニーズを掘り起こす
→「人手不足だから」→「なぜ人手不足なのか?」→「新しい業務が増えたから」→「それはどんな業務か?」→「新プロジェクトの進捗管理やデータ管理」
◎潜在ニーズ=「新たな管理業務から解放されたい」

4

潜在ニーズに応える方法を考える

管理業務から解放されるための方法を考える
・管理業務を担当するため人員を補充する
・管理業務をITツールで自働化する

5

その方法をビジネス化する

管理業務から解放される商品・サービスを開発する
・プロジェクト管理ツールの開発
・プロジェクト管理業務のアウトソーシングサービス
・プロジェクト管理ができる人材サービス

2-2.潜在ニーズ活用のポイント

この流れの中で特に重要なのが、ステップ3の「顕在ニーズから潜在ニーズを深掘りする」プロセスです。

顕在ニーズは顧客が自覚している要望ですが、潜在ニーズは自覚されていません。したがって、隠されたニーズを探るために「なぜ」と理由を突き詰める質問を繰り返す必要があります。

具体的な方法については、「4.潜在ニーズのリサーチ方法5つ」および「5.潜在ニーズを見つけるための質問例」で詳しく説明します。

潜在ニーズが見つけられたら、「それを解決するためにはどんな方法があるか」を考え、さらに「その方法を自社ではどうビジネス化できるか」を検討しましょう。

ステップ3から一足飛びにステップ5の「ビジネス化」を考えることも可能ですが、それでは自社の既存ビジネスの範囲内でのアイデアに限定させられる可能性があります。そこで、いったんステップ4で自社の業種や領域に関わらず広い視野で「何ができるか」を考えてみましょう。

例えば、IT企業であれば「どんなツールを開発すればいいか」だけを考えてしまうかもしれません。しかし、既存の視点を取り払って、「人材を補充すればいい」「社内の人材をリスキリングすればいい」「業務をアウトソーシングすればいい」など、さまざまな解決方法を検討してください。

そこから自社の業務プロセスを改善できる可能性もありますし、新たなビジネス企画が立ち上がるかもしれません。これこそが、潜在ニーズの上手な活用法と言えるでしょう。

3.潜在ニーズ活用の成功事例:光回線事業者・A社

実際に、隠れた潜在ニーズを見つけ出し、活用することでビジネスを成功に導いた例は多数あります。ここでは、トランスコスモスが手がけた「光回線事業者・A社」の事例をご紹介します。

光回線事業者・A社の事例

課題

・回線契約の解約を阻止したい
・競合他社との差別化を明確にしたい
・注力している格安モバイルの売上を拡大したい

取り組み

回線契約をした顧客に対し、コンタクトセンター(コールセンター)からフォローコールを行い、アンケート調査を実施して顧客のニーズを深掘りしました。

潜在ニーズ

・SNSの発信内容を改善してほしい
・お得なキャンペーンよりも、接続品質の高い回線を選びたい
・継続利用による割引サービスがほしい
・充実したアフターサービスを提供してほしい

成果

「新規顧客の獲得」や「認知・推奨の拡大」に向けて、10以上の施策を立案しました。

光回線事業者・A社では、「回線契約の解約をできるだけ阻止したい」という課題がありました。また、これに付随して「競合他社と比較して自社はどのように差別化できるかを明確にしたい」、「注力している格安モバイルの売上を拡大したい」という要望もありました。

そこで、トランスコスモスのインタビューサービス「tra:Cii(トレイシー)」を導入し、顧客のニーズやインサイトを深掘りすることにしました。

調査はA社のコンタクトセンターで実施し、回線契約をした顧客にフォローの電話を行い、その際にインタビューに回答してもらう形式で進められました。その結果、さまざまな顧客の声が集まりました。

以下はその結果をまとめたレポートの一部です。
(表の左端の「該当企業」がA社の評価)

インタビューの回答結果を「tra:Cii(トレイシー)」でまとめたレポートの一部

まず注目したのは、表の「No2 SNSの発信内容がよいか」と「No4 通信速度が速いか」に関する評価です(ピンク色の欄)。

SNSについては、A社も競合他社も4段階で1点台前半と評価が低く、顧客のニーズとして「もっとSNS発信を活用してほしい、SNSで有益な情報を得たい」という要望があると考えられます。SNSの発信内容を他社と差別化することで、顧客満足度の向上が期待できます。

一方、通信速度に関しては、他社より高評価でした。顧客のコメントには、「キャンペーンや加入特典よりも、通信回線の信頼度や提供エリアで選んでいる」とあり、「接続品質の高い回線を使用したい」という潜在ニーズが見えてきました。

このように、インタビュー内容を分析し潜在ニーズを抽出した結果、「新規顧客の獲得」や「認知・推奨の拡大」に効果が期待できる10以上の施策を立案することができました。

4.潜在ニーズのリサーチ方法5つ

企業にとって、顧客や一般消費者の潜在ニーズを把握することは非常に重要です。では、実際に潜在ニーズを見つけるにはどうすればよいのでしょうか?
方法はさまざまですが、特に多くの企業が行っている調査方法は以下の通りです。

・インタビュー調査
・アンケート調査
・市場調査
・行動観察調査
・WEB検索のキーワード分析

それぞれの具体的な調査方法を説明します。

4-1.インタビュー調査

インタビュー調査は、顧客に対面で質問することで、潜在ニーズを掘り起こす手法です。まず顧客の「ウォンツ」を具体的に聞き、次に「なぜそれが欲しいのですか?」「なぜそう思ったのですか?」といった「なぜ?」を繰り返していくことで、潜在ニーズにたどり着きます。

具体的な質問例は、「5.潜在ニーズを見つけるための質問例」を参照してください。

インタビュー調査は以下の形式で行うことができます。

グループインタビュー4〜8人程度の消費者を集めて座談会形式で意見を聞く
デプスインタビュー消費者1人に対して深く掘り下げて話を聞く

グループインタビューは多様な意見が集まるため、ディスカッション形式でテーマを展開しやすいのが利点です。他の人の意見を聞くことで、新たな視点が得られ、1対1の会話では得られない気づきが生まれます。

一方、デプスインタビューでは、個人のコンプレックスやプライベートな事情など、言いづらいことを掘り起こすことが可能です。潜在ニーズにはネガティブな感情が関わることが多いため、マンツーマンの方が聞き出しやすいです。

可能であれば、グループインタビューとデプスインタビューの両方を実施することで、潜在ニーズをより掴みやすくなります。難しい場合は、状況に応じてどちらかを選択してください。

グループインタビューとデプスインタビューの向いているケース

グループインタビュー
が向いている場合

・短期間で多くの顧客のニーズを知りたい
・コストを抑えたいとき

デプスインタビュー
が向いている場合

・プライベートな事情やセンシティブな感情について聞きたいとき
・顧客の意思決定プロセスやカスタマージャーニーを知りたいおき

インタビュー調査なら、トランスコスモスのインタビューサービス
「tra:Cii(トレイシー)」がおすすめです!

トランスコスモスが提供するインタビューサービス「tra:Cii(トレイシー)」は、対話を通じて顧客から本音の情報を得るレポートサービスです。

コンタクトセンターのオペレーターが顧客に電話でインタビューを実施し、その情報を整理・分析して潜在ニーズをレポートにまとめます。これをもとに具体的な施策を立案できます。

インタビューサービス「tra:Cii(トレイシー)」の機能概要

「顧客の潜在ニーズを知りたい」という場合に、ぜひご活用ください。

4-2.アンケート調査

アンケート調査は、対面せずにニーズを探る手法で、既存の顧客だけでなく、広く一般の消費者からも意見を募ることができます。アンケートの方法としては、以下のような手段があります。

・店頭でアンケート用紙に記入してもらう
・商品にアンケートはがきを添付して返送してもらう
・自社のWEBサイトにアンケートフォームを設ける
・自社の公式SNSアカウントでアンケートを実施する
・自社のコンタクトセンターで、電話やチャットの後にアンケートを実施する
・対象者に電話をかけてアンケートに回答してもらう

など

ただし、アンケートの場合、インタビューのように相手の回答を聞いたうえでさらに質問を返すことができません。そのため、ありきたりな質問では「ウォンツ」や「顕在ニーズ」は知れても、「潜在ニーズ」にまでリーチできない恐れがあります。

インタビュー調査同様に、「なぜそう感じたのか」「なぜそれが必要なのか」といった「なぜ」を問う質問項目を設けて、深層心理を掘り下げられるよう工夫しましょう。

質問項目の例は、「5.潜在ニーズを見つけるための質問例」を参照してください。

4-3.市場調査

市場調査は、自社の商品・サービスに限らず、広く市場の動向やトレンドをリサーチする手法です。消費者のライフスタイルや心理、購買行動などのデータを収集・分析することで、市場における動向や傾向を把握し、そこから潜在ニーズを見つけ出します。

市場調査の方法には、以下のようなものがあります。

・街頭で無作為に声をかけるアンケート調査
・無作為に電話をかける電話調査
・無作為にアンケートを送付する郵送調査
・WEB上に設けたアンケートに、さまざまな導線から消費者を誘導するインターネット調査

など

また、政府が実施・公開している各種統計調査も、市場調査データとして参考になります。

・国勢調査
・家計調査
・全国家計構造調査
・経済センサス

など

この手法の利点は、自社の商品やサービスを「まったく利用したことがない」「まったく知らない」という人のニーズも把握できる点です。

潜在ニーズを把握する際に客観的な意見を知りたい場合や、新商品・新サービスの開発、新たな市場開拓に活かしたい場合に有効な手法と言えるでしょう。

4-4.行動観察調査

行動観察調査(エスノグラフィー)は、調査対象者と生活や行動を共にしながらその行動を観察する手法です。もともとは文化人類学や心理学、民俗学で用いられていましたが、現在ではマーケティングにも応用されています。

企業がマーケティングのために実施する場合、具体的な方法として、実際に対象者が商品やサービスを利用するシーンに同席し、その様子を観察・記録します。

例えば、食品メーカーの場合、家庭での調理や食事の際に同席し、生活環境や日常行動、自社製品を含めてどんな商品がどのように使われているかを観察します。その中から顧客の抱える課題や不満をピックアップし、潜在ニーズを見つけ出すことができます。

また、自社製品が本来とは異なる使い方をされている場合、そこに潜在ニーズが隠れていることもあります。これをもとに商品を改良したり、新製品の開発につなげたりすることが可能です。

4-5.Web検索のキーワード分析

Web検索のキーワード分析も重要な手法です。現在どのようなキーワードが多く検索されているか、関連キーワードは何かを分析します。

ただし、検索キーワードを見るだけではウォンツや顕在ニーズしか把握できません。

関連キーワードやサジェストもリサーチし、トレンドを追うことで、「ユーザーはなぜこのキーワードで検索したのか」「本当は何を知りたいのか」「どんな課題・悩みを抱えているのか」「どんな解決を望んでいるのか」といった情報が見えてきて、潜在ニーズにたどり着くことが可能になります。

例えば、「ハワイ 航空券」と検索した人の顕在ニーズは「ハワイに行く航空券を購入したい」というものでしょうが、関連キーワードに「格安」や「安く買う方法」含まれていれば、潜在ニーズは「できるだけ安くハワイに行きたい」と考えられます。

このように、検索キーワードに加え、関連キーワードやサジェストワードを調べることで、顕在ニーズの奥にある潜在ニーズを浮き彫りにすることができるのです。

5.潜在ニーズを見つけるための質問例

潜在ニーズのリサーチ方法のうち、インタビューやアンケート、市場調査など「顧客や消費者に質問する手法」では、「どんな質問をするか」が非常に重要になります。適切でない質問では調査対象者の本音を引き出せず、潜在ニーズにたどり着けません。

そこでこの章では、潜在ニーズを掘り起こすための質問例を紹介します。
ポイントはまず「ウォンツ」を聞き出し、そこから「なぜ?」を繰り返すことです。これにより、本人も意識していなかった心の奥底に隠れた課題や要望を引き出すことができます。

潜在ニーズを見つけるための質問の流れ

1.ウォンツを聞く:例「Aが欲しい」
2.「なぜAが欲しいのか」を聞く
3.2の回答に対して「なぜ」を繰り返す
4.潜在ニーズが見えてくる
5.潜在ニーズから、その人が本当に必要としているものや課題解決の方法を導き出す

では、具体的な質問例を挙げていきます。

● 質問例1

1.ウォンツ
 いい基礎化粧品が知りたい
2.「なぜ知りたいのですか?」
 今の化粧品にあまり効果を感じない
3.「どんなところが不満ですか?」 
 肌にたるみを感じているのに改善されない
4.「肌のたるみを感じるようになったのはなぜ? きっかけはありますか?」 
 ◯歳になったころからメイクのノリが悪くなった気がする
5.「メイクのノリが気になるのはなぜですか?」
 最近新しい職場に入ったら、周りの同年代の人が若々しくキレイで、気になってきた。
 自分だけ野暮ったくて引け目を感じる

【潜在ニーズ】
年齢よりも若々しくありたい。新たな環境で周囲にうまく馴染んで認められたい。もっと自分に自信を持ちたい

【潜在ニーズを満たすには?】
メイクだけでなくファッションや言動も含めて、自分に自信が持てるようになる必要がある

●質問例2

1.ウォンツ
 いま担当している業務を効率化したい
2.「なぜ効率化したいのですか?」
 最近仕事が定時までに終わらなくなり、残業が増えている
3.「なぜ仕事が終わらないのですか?」
 昨年、退職者が数人出たのに、人員補充がされていない。


<退職者が多かったという問題について>
4-a.「なぜ退職者が多かったのですか?」
  部署内のスキルのある人に業務が集中し、不満を抱いた人たちが辞めてしまった
5-a.「なぜ業務が集中したのですか?」
  スキルのない人に対して、会社が対策をせず放置している

【潜在ニーズ】
離職率を下げて定着率を高めたい。従業員全体のスキルアップを図りたい

【潜在ニーズを満たすには?】
会社として研修や資格取得支援を設け、従業員向けの教育制度を充実させる必要がある


<人員補充がされない問題について>
4-b.「なぜ人員が補充されないのですか?」
  会社は今の人数で業務が回っているならそのままにしたいと思っているらしい
5-b.「なぜそのままにしたいのですか?」
  人件費を節約したいからだと思う

【潜在ニーズ】
できるだけコストをかけずに、現状の人数で業務量をこなしたい

【潜在ニーズを満たすには?】
業務を効率化できるツールを導入する必要がある。業務の効率化で減少した残業代を導入費用に充てることで、コスト増加を抑える

このように、相手の回答に対して「なぜ?」「どのように?」と質問を返して掘り下げていくことで、ウォンツや顕在ニーズとは異なる潜在ニーズが見えてきます。

6.潜在ニーズを見つける際の注意点

ここまで、潜在ニーズの見つけ方を説明しました。しかし、潜在ニーズをより正確に掴むためには注意が必要なポイントがあります。それは以下の2点です。

・質問は臨機応変にする
・言葉通りに受け取らない

では、これらについて詳しく説明します。

6-1.質問は臨機応変にする

1つ目の注意点は「質問は臨機応変にする」ことです。
インタビュー調査を行う際には、質問内容を事前に考えておく必要がありますが、決めた通りの質問だけでは潜在ニーズにたどり着けないことが多いです。

同じ質問をしても、回答は人によって異なるため、次の質問をその回答に合わせて調整する必要があります。

例えば、「車が欲しい」という同じウォンツを持つ人に対して、最初は「なぜ車が欲しいのですか?」という共通の質問でよいですが、その後の質問は受けた回答に基づき変えていく必要があります。

ウォンツ

質問・1

回答・1

質問・2

車が欲しい

なぜ車が欲しいのですか?

恋人ができて外出の機会が増えたから

なぜ電車ではなく車で外出したいのですか?

1回の買い物の量が多く、徒歩や自転車で持ち帰るのが大変だから

なぜそんなにたくさん買い物する必要があるのですか?

次の質問では、相手に合わせて内容を調整し、「なぜ?」だけでなく「何のために?」「どんなところが(好き、不満など)?」「いつから?」「どのように?」など、意図や感情、時期、状況を掘り下げることが重要です。

もし臨機応変に対応せず、「なぜ?」「なぜ?」と機械的に繰り返すと、相手に問い詰められていると感じさせてしまい、心を開いてもらえない恐れがあります。

大切なのは、「相手の話をよく聞き、対話すること」です。共感の言葉をはさんだり、相手の言ったことを繰り返したりすることで、心の距離を縮めることができるでしょう。

6-2.言葉どおりに受け取らない

2つ目に注意すべきは、インタビューやアンケートの回答を「言葉どおりに受け取らない」ことです。人によっては本音を明かさず、一般論的な回答や建前の受け答えをすることがあります。

例えば、「いい化粧品が欲しい」という人の本当の理由が「キレイになってもっとチヤホヤされたい」であったとしても、恥ずかしさから「自分磨きがしたい」と答えることが考えられます。

潜在ニーズが「モテたい」か「自分を磨きたい」かでは、それに応じた企業の取り組みが大きく異なります。

もし言葉通りに受け取って「自分磨き」向けの商品やサービスに注力すると、本当の潜在ニーズである「モテたい」を満たせず、顧客満足度や営業利益の向上にはつながらない可能性があります。

インタビューやアンケートでは、常に「これは本音なのか?」を見極め、「本心はどこにあるのか?」を探る姿勢が求められます。

まとめ

いかがでしたか?顕在ニーズと潜在ニーズについて、違いや調査方法、活用の仕方が理解できたのではないでしょうか。ここで、記事の内容を改めてまとめておきます。

・顕在ニーズ:顧客や一般消費者が自覚している要望や要求

・潜在ニーズ:顧客や一般消費者が自覚も意識もしていないが、実際には意識下で抱いている欲求や希望

・潜在ニーズが重要視される理由:

・新商品・新サービスの開発につながる
・顧客満足度が向上する
・新規顧客層の開拓につながる
・新たな市場開拓につながる

・潜在ニーズの理解から活用までの流れ:

1

「ウォンツ」を把握する

2

「ウォンツ」から「顕在ニーズ」を把握する

3

「顕在ニーズ」から「潜在ニーズ」を深掘りする

4

「潜在ニーズ」に応える方法を考える

5

その方法をビジネス化する

・潜在ニーズのリサーチ方法:

・インタビュー調査
・アンケート調査
・市場調査
・行動観察調査
・WEB検索のキーワード分析

・潜在ニーズを見つける際の注意点:

・質問は臨機応変にする
・言葉通りに受け取らない

以上を踏まえて、あなたの会社が顧客の潜在ニーズを正しく把握し、ビジネスに活用できることを願っています。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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