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1on1ミーティングとは?7つの実施ステップやメリットを解説

1on1ミーティングとは、簡単に言うと上司と部下が1対1で行う定期的なコミュニケーションのことです。

1on1ミーティングの説明

週に1回~月に1回程度、定期的に実施することで、部下の成長や目標達成をサポートします。

ただし1対1でコミュニケーションを取れば、1on1ミーティングになるわけではありません。上司が一方的に話をするのではなく、部下の意見や考えに耳を傾ける姿勢が必要です。つまり、適切なステップで1on1ミーティングを実施しないと充分な効果が得られないのです。

そこでこの記事では、1on1ミーティングの基礎知識を解説するだけでなく、実施するためのステップや注意点、ポイントをまとめて解説していきます。

◎1on1ミーティングとは
◎1on1ミーティングをする3つのメリット
◎効果的な1on1ミーティングの7ステップ
◎1on1ミーティングをするときの注意点
◎よりよい1on1ミーティングをするための4つのポイント

この記事を最後まで読めば1on1ミーティングとはどのようなものか把握でき、実践できるようになるはずです。円滑なマネジメントをするためにも、ぜひチェックしてみてください。

1.1on1ミーティングとは

冒頭でも述べたように1on1ミーティングとは、簡単に言うと上司と部下が1対1で行う定期的なコミュニケーションのことです。

1on1ミーティングの説明

週に1回~月に1回ほど実施し、1回あたり30分〜60分の時間を使って面談を行います。「普段の業務で悩んでいること」「キャリアを実現するための課題」といった現状の課題について振り返りを行い、解決できるようにアドバイスをしたり、フォローを行います。

部下が自分の意見や考えを述べて上司がサポートをするのが1on1ミーティングの基本です。上司が一方的に指示や指導をするのではなく、部下が主体的に考え自分の力で目標達成することを目指します。

1-1.1on1ミーティングと評価面談との違い

1on1ミーティングは「上司と部下が1対1でコミュニケーションを行う」といった構図であるため、評価面談と混同しやすくなっています。

しかし、1on1ミーティングと評価面談には、実施する目的に大きな違いがあります。また、目的の違いに伴い、実施頻度や話す内容も異なっています。

具体的に、1on1ミーティングと評価面談には以下のような違いがあります。

【1on1ミーティングと評価面談との違い】

1on1ミーティング

評価面談

目的

部下の成長・意欲を促進すること
上司と部下の信頼関係を築くこと

部下を管理・評価すること

内容

・キャリアを実現するための課題
・業務における悩み
・プライベートに関する話
などの振り返りを行う
そして本人が自己解決できるように上司がアドバイスを行う

・部下が設定した目標を上司に共有する
・目標に対する進捗状況を振り返る
・上司が部下に人事評価結果を伝える

上司に求められること

傾聴姿勢が基本、部下を評価しない

評価や組織にとって必要なことを伝える

実施頻度

週1回~月に1回程度

四半期に1回~年に1回程度

このように上司と部下が1対1でコミュニケーションを取る面談とはいえ、1on1ミーティングと評価面談にはさまざまな違いがあるのです。

2章では、1on1ミーティングの目的について、具体的に掘り下げて解説します。

2.1on1ミーティングの目的



先にもお伝えした通り、1on1ミーティングの目的には以下2つあります。

・部下の成長を促進する
・上司と部下が相互理解を深めて信頼関係を築く

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1.部下の成長を促進する

1つめは「部下の成長を促進する」ことです。

1on1ミーティングにおいて、部下は業務・キャリアといったさまざまな視点で、自身の失敗体験・成功体験を振り返ります。部下はその過程で自身を客観視できるため、「何が課題なのか」「次にどんな行動をするべきなのか」を見つけられるようになるのです。

上司:「最近業務で気になっていることはありますか?」
部下:「●●をしてしまったことを気にしています…」
上司:「なぜ●●が起こってしまったのでしょうか?」
部下:「~~をしていなかったからだと思います」
上司:「△△の視点で見てみると、ほかにも原因になりそうなことはないですか?」
部下:「それだったら●△も原因かもしれません」
上司:「今後失敗せず、成功するためにはどうすればよいと思いますか?」
部下:「事前に■■をして、さらに■×をすると成功できると思います」

といったやり取りを行った場合、部下は上司に導かれながら行動を振り返り、自分の課題や次にするべきことが明らかになっています。

このように1on1ミーティングでは、上司が相談に乗りながら部下に経験の振り返りと教訓化を促せます。こうした振り返りサイクルを何度も回していくことで、部下の成長を後押しできるのです。

2-2.相互理解を深めて信頼関係を築く

2つめは「相互理解を深めて信頼関係を築く」ことです。

上司にとって1on1ミーティングは、部下がどのようなことを考えたり、悩んだりしているのかを知り、部下の現状を把握できる機会です。

「仕事で悩んでいることはない?」「体調どう?」といった会話をすることで、業務連絡だけではないコミュニケーションが生まれ、上司は部下との距離を縮めることができます。

また部下にとっては、上司の受け答えから人柄や考え方、仕事の進め方を深く知ることができるでしょう。

こうして上司と部下のコミュニケーションが増えることで相互理解が深まり、距離が縮まることで信頼関係を築くことができるのです。

上司と部下が信頼関係を築いていれば、円滑にコミュニケーションが取れるため、スピーディーに業務を進められます。そのため上司と部下の信頼関係構築を目的に、多くの企業で1on1ミーティングが取り入れられています。

3.1on1ミーティングが注目される背景

1on1ミーティングは多くの企業で導入されるようになりました。

株式会社リクルートマネジメントソリューションズによって2022年1月に全国主要都市圏に存在する企業を対象に実施された「1on1ミーティング導入の実態調査」によると、1on1ミーティングの導入率は約7割であることが分かっています。

さらに1on1ミーティングを導入している企業のうち、約6割が3年以内に導入していると回答しました。

1on1施策をいつから導入しているかの割合グラフ

出典:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「1on1ミーティング導入の実態調査

近年、これほどまでに「1on1ミーティング」という手法が注目されるようになったのには、以下2つの背景があります。

・社会の変化が激しく先を読むことが難しいため、自走できる人材を育成する必要がある
・少子高齢化によって人手不足が進み、離職を防ぐ必要がある

それでは、詳しく見ていきましょう。

3-1.社会の変化が激しく先を読むことが難しいため、自走できる人材を育成する必要がある

1つめは「社会の変化が激しく先を読むことが難しいため、自走できる人材を育成する必要がある」からです。

現代では技術革新が進み、情報伝達が高速化する中で、市場ニーズはどんどん変化しています。「VUCAの時代(Volatility変動的・Uncertainty不確実性・Complexity複雑性・Ambiguity曖昧さの頭文字を組み合わせたもの」ともいわれており、未来予測が難しくなってきている状況です。

こうした中1on1ミーティングを導入することで、社員一人ひとりが自身を振り返り、次に活かすというサイクルを繰り返すようになり、自分で考える力がつきます。

それぞれの社員が時代の変化を敏感に察知して、上司の指示を待つことなく自走できるようになり、スピーディーに変化する環境へ対応できるようになるのです。

ある企業の上司と部下が1on1ミーティングを実施し「ここ半年間、売上が減少してしまった商品を売れるようにするには?」という課題の解決策を考えたり、行動した結果を振り返って別の解決策を挙げたりしていたとします。

こうした1on1ミーティングを週に1回実施し、定期的に部下主体の振り返りを行うと、部下の課題解決力が向上していきそうだとイメージできるのではないでしょうか。

株式会社リクルートマネジメントソリューションズによる「1on1ミーティング導入の実態調査」では、1on1ミーティングを導入している企業に対して導入目的を尋ねたところ、1位は「社員の主体性・自律性の向上」で52.5%、2位は「自律的キャリア形成の支援」で41.5%という結果が出ています。

つまり多くの企業では「社員一人ひとりが自律して課題設定と業務遂行ができるようになってほしい」「主体的に業務を捉えなおし、自律的にキャリアを設計してほしい」といった期待感を持って1on1ミーティングを導入していることがわかります。

社会の変化が激しく、先を読むことが難しいVUCAの時代だからこそ、多くの企業では「今解決するべき課題」へスピーディーに対応することを現場に求めるようになっているのです。

3-2.少子高齢化によって人手不足が進行しているため、離職を防ぐ必要がある

2つめは「少子高齢化によって人手不足が進行しているため、離職を防ぐ必要がある」からです。

最近では終身雇用が崩壊し、転職や再就職が当たり前になりました。また少子高齢化によって人材の母数が減少してしまい、人手不足に悩む企業が多くなっています。

こうした状況下では、社員一人あたりの役割は自然と大きくなっていき、特に優秀な社員が離職すると企業にとっては大きな損失となってしまいます。

そこで1on1ミーティングを導入することで部下と上司のコミュニケーションが増え、部下は「自分のことをしっかり見てくれている」と感じられるようになり、会社への愛着を高められます。その結果、会社への定着率を向上させ人手不足の進行を防ぐことが期待できるのです。

このように会社への定着率の向上ができるという理由から、1on1ミーティングを導入する企業もあります。

4.1on1ミーティングを実施する3つのメリット

1on1ミーティングをするメリットとして

・目標や課題を意識して主体的に業務に取り組める
・離職率を低下できる
・業務効率化につながる

という3つがあります。どのような部分がメリットとなるのか、チェックしてみましょう。

4-1.目標や課題を意識して主体的に業務に取り組める

1つ目は、1on1ミーティングをすると課題を意識しながら主体的に取り組めるようになることです。そのポイントは、2つあります。

①上司は傾聴に徹する
1on1ミーティングでは、上司は積極的傾聴を行いサポートします。積極的傾聴とは、相手が話していることを相手の立場に立ち理解する聴き方のことです。部下の立場で課題や悩みを捉え、解決できるようにサポートします。

1on1ミーティングを繰り返し実施することで、自然と自分で考え行動する主体性が身につきます。

上司の傾聴方法やスキルについて詳しく知りたい場合は、下記の記事も参考にしてみてください。

②繰り返し実施する

1on1ミーティングは、1度実施したら終わりではありません。設定したPDCAサイクルに合わせて定期的に実施します。

1on1ミーティングの度に目標や課題の達成度や現状を確認するため、次回までに自分で決めた目標や課題を達成しなければならないという意識が生まれます。

上司が指示をしなくても自身で自分の課題や問題に前向きに取り組めるようになります。

スキルや課題は、一人ひとり異なります。1on1ミーティングをすると現在の自分の課題や問題が明確となり、自主的に取り組む姿勢が身につきます。その結果、成長やスキルアップにつながるのです。

4-2.離職率を低下できる

2つ目のメリットは、離職率を低下できるところです。先にもお伝えした通り、近年、人材不足や離職率の高さが問題となっています。

1on1ミーティングをすると、部下の不安や悩みに耳を傾けることで解消できるチャンスが増えます。
例えば、営業の部署で、「顧客のニーズに合わせて商品をPRできない」と悩んでいる部下がいるとしましょう。

自分の悩みは周囲や上司に相談しにくいものです。解決法が分からず苦手意識を持ったまま業務に取り組むと充実感ややりがいがなく、離職につながるかもしれません。

1on1ミーティングをして「顧客のニーズに合わせて商品をPRできない」という課題を共有していれば、その場で解決法を模索できます。部下が自身で決めた解決法を実施し課題がクリアできると、やりがいや充実感へとつながります。

このように、1on1ミーティングをして上司が部下の悩みや気持ちに気づくことができれば離職率を低下させられるでしょう。

4-3.業務効率化につながる

3つ目は業務効率化につながることです。

1on1ミーティングを通じて、それぞれの部下の得意・不得意や、スキルのレベル、仕事に対するスタンスなどを深く知ることができ、「誰に何を任せると、効率良く、質の高い業務を遂行できるのか」がわかるようになります。

その結果、適切な業務の割り振りができ、業務の効率化につながるのです。

5.効果的な1on1ミーティングの7ステップ

1on1ミーティングは、下記のステップで進めていきます。

1on1ミーティングをするときの手順

効果的な1on1ミーティングではそれぞれのステップで行うことを把握しておく必要があるので、ぜひチェックしてみてください。

5-1.アイスブレイク

1on1ミーティングをするときの手順 STEP1 アイスブレイク

目的:日頃の仕事を労い、信頼関係を築く
効果:緊張をほぐして、1on1ミーティングがしやすい環境を作る

急に1on1ミーティングをしようとしても部下が緊張しており、率直な意見や思いが話せないことがあります。これでは、効果的な1on1ミーティングができません。

そこでまずは、アイスブレイクから始めます。アイスブレイクには、部下の緊張をほぐして1on1ミーティングができる状態を作る効果があります。

具体的には、部下の日頃の仕事を承認することが大切です。承認とは、相手のことを認めることを指します。現状をありのまま受け入れることなので、他人との比較や評価を含みません。ただ認められることが安心感につながり、緊張がほぐれていきます。

例えば、「提案内容が素晴らしかったとお客様からお礼のメールが届きました」「先月の目標を達成できましたね」など、部下の日頃の行動を受け入れて認めます。

ここで注意したいのは、承認は褒めるとは違うことです。「提案内容が素晴らしかったとお客様からお礼のメールが届きました。他の社員にはなかったので、素晴らしいですね」と評価する言葉を加えると、褒めることになります。

アイスブレイクで取ってつけたように褒めると、警戒心が生まれ1on1ミーティングの効果が半減してしまいます。アイスブレイクでは、褒めるではなく承認をすることを意識してみましょう。

【会話例】

「提案内容が素晴らしかったとお客様からお礼のメールが届きました。ミッションを理解されている行動ですね。」
「先月の目標を達成できましたね。」

5-2.目的確認

目的:1on1ミーティングの目的とゴールを明確にする
効果:共通認識を持ち1on1ミーティングに向かうスイッチを入れる

次に1on1ミーティングの目的とゴールを明確にします。ミーティング時に目的を話すことは多いですが、ゴールの設定を忘れがちです。

1on1ミーティングは一人当たりの時間が短いため、具体的な話に入る前にゴール設定をしておくことが欠かせません。あらかじめゴールが決まっていると、どこに向かって話し合えばいいのか道筋が立てやすくなります。

また、目的確認のときには、部下の同意を得て進めることが大切です。一方的に目的やゴールを説明し進めると、部下は黙って聞くしかありません。これでは、部下を置き去りにすることになります。必ず部下に同意を得て、目的やゴールを共通認識とするようにしましょう。

【会話例】

「事業ミッション達成のための個人目標の確認と、具体的にどのようなことをすればいいのか明確にしていきましょう。」
「10分後には何が整理され、どのようなことが明確になっていたらいいですか?」

5-3.現状把握

目的:現状がどうなっているのか明確にする
効果:目標やゴールとのギャップを把握する

目的とゴールを共有できたら、次に現状を把握します。例えば、現状どの程度目標の達成ができているのか明確にします。

このときに、上司が一方的に現状を説明するのはよくありません。「〇〇さんの目標は1ヶ月に5つのアポイント取得でしたが、現状は3つですね」など、上司の情報を話すのでは説教になってしまいます。

部下本人が自分の口で現状を語ることが大切です。
現状を話すことで自分事と捉え、今の状態がしっかりと認識できます。また、目標や課題と現状とのギャップが認識しやすくなり、新たな気付きや今後の課題が発見しやすくなります。

【会話例】

「課題と比べると、現状はどうなっていますか?」
「現在の出勤状態は、100点中どれくらいですか?」

5-4.課題特定

目的:課題や目標と現状のギャップを把握する
効果:ギャップが生まれた原因や背景を考えて特定する

現状を把握したときに、課題や目標とギャップがあることが多いです。うしてギャップが生まれるのか明確にすると、新たな課題や問題が見つかります。

このときに、課題と現状の間にギャップがある部下を責めるような口調で質問をしてはいけません。
例えば、今月3回遅刻をしてしまった場合に「なぜ遅刻をしたのですか?」「遅刻をしなければならない持病があるのですか?」など、遅刻をした現状を掘り下げないようにしましょう。

部下は責められる印象を受けてしまい本音を話せないのはもちろんのこと、消極的な気持ちになります。1on1ミーティングは部下の行動の振り返りを、成長に繋げ信頼関係を構築するものです。

部下の現状を承認し、今の課題を発見できるサポートをしましょう。「なぜ」を「何」に変えて「何をすれば良かったですか?」「何があれば課題が達成できますか?」など、ポジティブに捉えられる質問を心がけてみてください。

【会話例】

・「何が問題だと感じましたか?」
・「何があると課題を解決できますか?」

5-5.改善策の立案

目的:課題や目標と達成のためにやるべきことを明確にする
効果:行動を具体的にすることですぐに実行できる

課題が見えてきたら、改善策を行動レベルで明確にします。せっかく課題が把握できても、改善できる行動に移せなければ、1on1ミーティングの意味がありません。現状を変える行動につなげるために、できる限り細かな改善案を見つけましょう。

改善策を明確にするときに必ず守りたいのは、改善案は部下自身が提案し決めることです。上司側から「こうしたほうがいい」「このようなことはできますか?」と話すのは、指示になります。部下に主体性がないため、前向きに取り組むことが難しいでしょう。

「この1週間で試せることはありますか?」「どのような行動をすると良くなりますか?」など前向きに考えられる質問をして、部下自身が改善案を決められるようにサポートしてみてください。

【会話例】

・「どのように行動を変えると良くなりますか?」
・「この1週間で試せることはありますか?」

5-6.目標設定

1on1ミーティングをするときの手順 STEP6 目標設定

目的:具体的な行動計画を設定して、目標達成プロセスをより明確にする
効果:実践すべき行動がより具体化され目標達成をイメージできる

改善策の立案で明確になった改善策を確実に実行できるように、具体的な行動計画を決めていきます。このときも、上司側から提案をするのではなく、部下に考えてもらうことを意識しましょう。

「〇日までに達成しましょう」「今週中に〇回は実践できるようにしましょう」など、上司側が設定をすると自発的な行動につながりません。

部下自身が決めることが大切なので「具体的な計画を教えてもらえますか?」などと質問をして、改善策達成が部下の自分事として捉えられるようにしましょう。

【会話例】

・「具体的な計画を教えてもらえますか?」
・「目標を設定して、一緒に確認していきましょう。」

5-7.振り返り

目的:目的達成ができたか1on1ミーティングを振り返る
効果:信頼関係を構築する(継続的なサポートも約束する)

最後に、1on1ミーティングを始めるときに共有したゴールや目的が達成できたか確認をします。フィードバックをもらうことで、次回の1on1ミーティングに活かすことができます。率直な感想を聞くことで、1on1ミーティングが有意義な時間となっているかチェックすることが可能です。

また、1on1ミーティングは継続して実施することが大切です。終了前に次の日程を決める、継続したサポートをすることを伝えるなどして次につながるようにするといいでしょう。

【会話例】

・「この時間を通じてどのような成果がありましたか?」
・「本日の1on1ミーティングの目的は解決しましたか ?」

今回ご紹介したステップは、あくまでも1on1ミーティングの一例です。1on1ミーティングには定められているルールや規則はないので、やりやすい方法で取り組んでみてください。

【上司向け 1on1ミーティングで使えるミーティング項目テンプレート】

1on1ミーティングを実施する際には、話したいテーマや実際に話したことを記入できるシートを用意しておくと、聞き漏らしを防ぐことができ、スムーズに1on1ミーティングを進めることができます。

1on1ミーティング用シートのテンプレートをご用意しました。ぜひご活用ください。

上司向け 1on1ミーティングで使えるミーティング項目テンプレート

6.1on1ミーティングをするときの注意点

1on1ミーティングをするときには

・上司は無い無い症候群にならないこと
・ミーティング内容を詰問にしないでメンターとしての姿勢を心掛けること
・効果がすぐに実感できるわけではない

という3つのポイントに注意することが大切です。効果的な1on1ミーティングをするためにも、なぜ気を付ける必要があるのかチェックしてみてください。

6-1.上司は無い無い症候群にならないこと

上司は業務が多岐に渡り、ついつい部下とのコミュニケーションを後回しにしがちです。特に1on1ミーティングは、部下と1対1で対話をする時間を確保しなければなりません。

・部下を育成する時間がない
・部下を育成できる環境が整っていない
・部下を育成する方法がわからない

と、さまざまな理由を見つけて1on1ミーティングを避ける「無い無い症候群」に陥っていることがあります。部下とのコミュニケーションや人材育成は大切だと分かっていても、行動に移せずやらない理由を探してしまうのです。

そのうちに部下と意思疎通ができなくなるなど問題が見え始めます。問題が表面化してからでは、人材育成や部下との関係構築に時間がかかります。

「時間がない」「スキルがない」と1on1ミーティングができない理由を探すのではなく、どうしたら実践できるのか前向きに考えてみましょう。

6-2.ミーティング内容を詰問にしないでメンターとしての姿勢を心掛ける

1on1ミーティングでは、部下を一方的に問い詰めるのではなく、メンターとしての姿勢を心掛けましょう。

1on1ミーティングにおけるメンターとは、相手(部下)の話を聴いて、課題の解決や、成功を支援する役割のこと。傾聴を基本的なスタンスとしています。

1on1ミーティングにおいて「メンターとしての姿勢」が上司に必要である理由は、1on1の目的が「経験学習によって部下の成長を促進すること」であるからです。

上司が一方的に話をして、部下が聞いている説教のようなスタイルになってしまうと、部下は自分の経験を振り返りながら、自分の課題を考えたり、取るべき行動を考えたりする機会を奪われてしまいます。また、成長のために行動する意欲を失ってしまう場合もあるでしょう。

目標達成ができなかった部下に「どうして達成できなかったのですか?」などの質問をして一方的に問い詰めると、部下は自身を振り返る時間がなくなってしまいます。否定されている気持ちになり、前向きに取り組むことができなくなってしまう可能性があります。

一方で、上司がメンターとしての姿勢を心掛けると、部下は1on1ミーティングを通して「上司に最近の経験を話して振り返り、次に活かす」という経験学習を行うことができます。

その中で上司は話を聞いたり、質問したり、行動を促すアドバイスをしたりして、部下をサポートしていくことができるため、結果として部下の成長を促進できるのです。

そのため上司は1on1ミーティングの中で、メンターとしての姿勢を心掛けましょう。

メンターが取るべき行動は以下のとおりです。

【メンターが取るべき行動】

◆7割以上は部下に話してもらう
1on1ミーティングの主役は部下です。上司は聞き役に徹するようにしましょう。
目安は、部下の話が7割、上司が質問したり促したりするのは3割程度にすると良いでしょう。

◆途中でさえぎらず、傾聴を心掛ける
部下の話にひたすら耳を傾ける「傾聴」を心掛けましょう。

具体的な傾聴の仕方は、以下を参考にしましょう。

①相手の話を相手の立場に立って、相手の気持ちを理解しようとする。共感をする。
②相手の話を「善悪」「好き嫌い」で評価しないで聴く。相手を否定せず肯定的な関心を持ち、「なぜそのように考えるようになったのか」を質問する。
③話が分かりにくい場合は、素直に分からないことを伝え、相手の真意を確認する。分かったふりはしない。

◆アドバイスするのではなく、部下に考えさせる
上司は部下よりも経験値が高いため「こうすれば簡単に解決するよ」とアドバイスしてしまいがちですが、それでは部下が考える機会を奪ってしまいます。

簡単に解決策を提示したり、結論を出すのではなく、部下に自主的に考えさせることで、自分で考えられる人材へと成長させることができます。

◆部下自身で「次にやるべきこと」「結論」を導き出せるように促す
1on1の最後では、部下の振り返りや考えをまとめて具体的に「やるべきこと」に落とし込む必要があります。ここで上司はサポート役に徹し、部下がやるべきことや結論を導き出せるようにしましょう。

・「どうしたらいいと思う?」
・「それをするとどうなるだろうか?」

といった問いかけを繰り返し、部下が自分なりの結論を導き出せるように促しましょう。

6-3.効果がすぐに実感できるわけではない

1on1ミーティングは、すぐに目に見える結果が出るものではありません。部下によって、課題や改善点は異なります。すぐに行動に移せる場合もあれば、頭では理解していても改善までに時間を要する場合もあります。

個人差があることは承知のうえで、結果や成果が出るまで粘り強く継続するのが1on1ミーティングなのです。そのため、目に見える変化が出るまで1年以上かかることもあるでしょう。

上司も部下もなかなか時間が取れずに途中で諦めてしまいそうになりますが、粘り強く継続していくことで部下との信頼関係を築くことができ、離職率低下や業務の効率化にも繋がっていくでしょう。

7.よりよい1on1ミーティングをするための4つのポイント

最後により良い1on1ミーティングをするためのポイントを4つご紹介します。

このポイントを押さえるだけで1on1ミーティングが導入しやすくなるので、ぜひ参考にしてみてください。

7-1.1on1ミーティングの頻度を決めておく

1on1ミーティングは部下一人ひとりへの個別対応が欠かせないため、実施に時間がかかります。
そのため、PDCAサイクルに合わせて、毎月1回は実施するなど継続して実施できる仕組みを作るようにしましょう。

まずは、1on1ミーティングの頻度を決めて忙しい上司のスケジュールを押さえます。その後に、部下の出勤日に合わせて日程を組んでいくとスムーズに実施できるでしょう。

1on1ミーティングを実施するサイクルさえ作れば、意外と無理なく回せるようになります。定例会議や社内イベントと同様に、なくてはならないものとなるよう工夫してみましょう。

7-2.一度の1on1ミーティングですべてを解決しようとしない

1on1ミーティングは、15分~30分が基本です。短い時間で問題や課題を解決することは無理がありますし、1on1ミーティングは課題の解決に重きを置いていません。

部下の声に耳を傾けて部下自身が意見や考え、改善案を言葉にすることが大切なのです。そのため、一度の1on1ミーティングで明確なゴールが見えなくても問題ありません。

1on1ミーティングの目的やゴールが共有できており、どこまで進められたのか確認できていれば次回に続きから始められます。継続をしていく中で

・部下自身が成長するきっかけが掴めた
・上司と部下が良好な関係を築けるようになった
・部下が主体的に行動できるようになった

と少しずつ変化していけば1on1ミーティングをする価値はあるでしょう。「6-3.効果がすぐに実感できるわけではない」でも解説したように、1on1ミーティングは成果を急ぐものではありません。長い目で見ながら焦らず取り組むことが重要です。

7-3.1on1ミーティングの内容は記録する

1on1ミーティングは、一度対話をして終わりではありません。継続して行い成長や自主性を促すものなので、記録を残して見返せるようにすることが大切です。

1on1ミーティング中は上司がメモを取るようにして、対話した内容を忘れないようにしましょう。特に、1on1ミーティングごとの目的やゴール、改善案は分かりやすくまとめておくと、部下の成長確認や振り返りがしやすくなります。

ただし、1on1ミーティングで話すことは部下のプライバシーに関わることが多いため、情報の扱いに注意が必要です。部下ごとに別のシートで管理し、部下と上司以外の目には触れないようにしましょう。

7-4.1on1ミーティングで話すテーマや質問項目を考える

1on1ミーティングを実施する前は、話すテーマや質問項目を考えておきましょう。

行き当たりばったりで1on1ミーティングを進めてしまうと、雑談をして終わってしまったり、部下から内省を促すような話を引き出せなかったりすることがあるのです。

部下の成長をサポートするためにも1on1ミーティングのテーマを事前に用意しておくと、探り探りではなく、はじめから焦点を絞って話を進めていくことができます。

具体的に、1on1ミーティングで話すテーマや質問項目は、以下を参考にしましょう。

【1on1ミーティングで話すテーマや質問項目】

・今困っていること、悩みは?
・業務で感じるストレスはあるか?
・業務で自信がない点はあるか?
・業務上、不安や不満に思うことはあるか?
・モチベーションが下がる瞬間はどんなとき?
・モチベーションが上がる瞬間はどんなとき?
・最近の気づきや学びはあるか?
・実行して良かったことはあるか?
・次にチャレンジしたいことはあるか?
・最近成功したと思える仕事はあるか?
・仕事で面白いと感じる点はあるか?
・(上司に対して)要望や疑問点はあるか?
・人間関係に関する課題はあるか?
・職場でトラブルはないか?
・中長期的にどんなキャリアを思い描いているのか?

まとめ

いかがでしたか?1on1ミーティングの概要やメリット、導入方法が把握でき、実践するコツがわかるようになったかと思います。最後にこの記事の内容をまとめてみると

〇1on1ミーティングとは上司と部下が1対1で行う定期的な対話のこと

〇1on1ミーティングの目的

・部下の成長を促進する
・上司と部下が相互理解を深めて信頼関係を築く

〇1on1ミーティングが注目される背景

・時代の変化が激しく先を読むことが難しい
・少子高齢化によって人手不足が進んでいる

〇1on1ミーティングを実施するメリットは次の3つ

・目標や課題を意識して主体的に業務に取り組める
・離職率を低下できる
・業務効率化につながる

〇効果的な1on1ミーティングをするステップは次のとおり

1)アイスブレイク:日頃の仕事を労い、信頼関係を築く
2)目的確認:1on1ミーティングの目的とゴールを明確にする
3)現状把握:現状がどうなっているのか明確にする
4)課題特定:課題や目標と現状のギャップを把握する
5)改善策の立案:課題や目標達成のためにやるべきことを明確にする
6)目標設定:具体的な行動計画を設定して、目標達成プロセスをより明確にする 
7)振り返り:目的達成ができたか1on1ミーティングを振り返る

〇1on1ミーティングをするときの注意点は次の3つ

1) 上司は無い無い症候群にならないこと
2) ミーティング内容を詰問にしないでメンターとしての姿勢を心掛ける
3)効果がすぐに実感できるわけではない

〇よりよい1on1ミーティングをするためのポイントは次の4つ

1)1on1ミーティングの頻度を決めておく
2)一度の1on1ミーティングですべてを解決しようとしない
3)1on1ミーティングの内容は記録する
4)1on1ミーティングで話すテーマや質問項目を考える

この記事をもとに、1on1ミーティングが実施できるようになることを願っています。

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