
1on1ミーティングとは、簡単に言うと上司と部下が1対1で行う定期的なコミュニケーションのことです。
コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)のPDCAサイクルに合わせて定期的に実施することで、オペレーターの成長や目標達成をサポートします。
但し、1対1でコミュニケーションを取れば、1on1ミーティングになるわけではありません。管理者が一方的に話しをするのではなく、オペレーターの意見や考えに耳を傾ける姿勢が必要です。つまり、適切なステップで1on1ミーティングを実施しないと充分な効果が得られないのです。
そこでこの記事では、コンタクトセンターで1on1ミーティングを実施するためのステップや注意点、ポイントをまとめて解説していきます。
◎1on1ミーティングとは
◎コンタクトセンターで1on1ミーティングをする3つのメリット
◎効果的な1on1ミーティングの7ステップ
◎コンタクトセンターで1on1ミーティングをするときの注意点
◎コンタクトセンターでよりよい1on1ミーティングをするための3つのポイント
この記事を最後まで読めば1on1ミーティングとはどのようなものか把握でき、コンタクトセンターで実践できるようになるはずです。円滑なコンタクトセンター運営をするためにも、ぜひチェックしてみてください。
目次
1.1on1ミーティングとは
冒頭でも述べたように1on1ミーティングとは、簡単に言うと上司と部下が1対1で行う定期的なコミュニケーションのことです。部下の行動の振り返りを、上司と部下がペアで行いお互いの成長に繋げます。
「3.効果的な1on1ミーティングの7ステップ」でも詳しく解説しますが、部下が自分の意見や考えを述べて上司がサポートをするのが1on1ミーティングの基本です。上司の一方的な指示や指導ではなく、部下が主体的に考え自分の力で目標達成を目指します。
そもそも1on1ミーティングはビジネスを推進するためのリーダーシップ論としてシリコンバレーで生まれました。日本では2012年にヤフー株式会社が導入して、注目を集めました。ヤフー株式会社では1on1
ミーティングを「部下のための時間」と定義付けています。
日常業務やプライベートでは、上司と部下が本音を話す時間が作れないことが多いです。積極的に部下の考えや思いを聞くことで、良好な関係の構築や的を射たサポートができるようになります。
1on1ミーティングに、心理学やカウンセリングのテクニックは必要ありません。上司と部下が頻繫にコミュニケーションを取ること、部下の話に耳を傾けることが最も重要だと考えられています。
実施頻度は毎月1回や週に1回が好ましいですが、コンタクトセンター(コールセンター)では業務が集中する時間帯もありますので、繁忙時期・時間帯を避け、継続できるようPDCAサイクルに合わせて1on1ミーティングを実施していきましょう。
2.コンタクトセンター(コールセンター)で1on1ミーティングを実施する3つのメリット
コンタクトセンター(コールセンター)で1on1ミーティングをするメリットとして
・オペレーターとの信頼関係が築ける
・目標や課題を意識して主体的に業務に取り組める
・離職率を低下できる
という3つがあります。どのような部分がメリットとなるのか、チェックしてみましょう。
2-1.オペレーターとの信頼関係が築ける
1つ目のメリットは、管理者とオペレーターとの信頼関係が築けるところです。多忙なコンタクトセンター(コールセンター)では管理者とオペレーターが業務連絡をすることはあっても、じっくりと話す機会がない場合があります。
中には不満や問題を抱えていても、なかなか言い出せないオペレーターもいるでしょう。希薄な関係を継続すると意思疎通がしにくくなり、離職率の増加や業務の質の低下を招く可能性があります。
1on1ミーティングをしていれば、定期的に1対1で向き合うコミュニケーションが取れます。オペレーター一人一人の意見に耳を傾けられるため、管理者とオペレーターとの繋がりが強くなります。
また、オペレーターの課題や目標を共有すると「管理者が見てくれている」「サポートしてくれた」など、管理者のサポートを身近に感じられるようになります。その結果、信頼関係が築けるようになり円滑なコンタクトセンター運営が実現します。
2-2.目標や課題を意識して主体的に業務に取り組める
2つ目は、1on1ミーティングをするとオペレーターが課題を意識しながら主体的に取り組めるようになることです。そのポイントは、2つあります。
①管理者は傾聴に徹する
1on1ミーティングでは、管理者は積極的傾聴を行いサポートします。積極的傾聴とは、相手が話していることを相手の立場に立ち理解するあり方のことです。オペレーターの立場で課題や悩みを捉え、解決できるようにサポートします。
1on1ミーティングを繰り返し実施することで、自然と自分で考え行動する主体性が身につきます。
管理者の傾聴方法やスキルについて詳しく知りたい場合は、下記の記事も参考にしてみてください。
②繰り返し実施する
1on1ミーティングは、1度実施したら終わりではありません。コンタクトセンター(コールセンター)のPDCAサイクルに合わせて定期的に実施します。
1on1ミーティングの度に目標や課題の達成度や現状を確認するため、次回までに自分で決めた目標や課題を達成しなければならないという意識が生まれます。
管理者が指示をしなくても、オペレーター一人一人が自分の課題や問題に前向きに取り組めるようになります。
オペレーターのスキルや課題は、一人一人異なります。1on1ミーティングをすると現在の自分の課題や問題が明確となり、自主的に取り組む姿勢が身につきます。その結果、オペレーターとしての成長やスキルアップにつながるのです。
2-3.離職率を低下できる
3つ目のメリットは、離職率を低下できるところです。昨今のコンタクトセンター(コールセンター)は、人材不足や離職率の高さが問題となっています。
1on1ミーティングをすると、オペレーターの不安や悩みに耳を傾けることができ適宜解消できます。例えば、「即座に回答が出てこず、対応に戸惑っている」と悩んでいるオペレーターがいるとしましょう。
自分の悩みは周囲や管理者に相談しにくいものです。解決法が分からず苦手意識を持ったまま業務に取り組むと充実感ややりがいがなく、離職につながるかもしれません。
1on1ミーティングをして「即座に回答が出てこず、対応に戸惑っている」という課題を共有していれば、その場で解決法を模索できます。オペレーターが自分自身で決めた解決法を実施し課題がクリアできると、やりがいや充実感へとつながります。
このように、1on1ミーティングをしてオペレーターの悩みや気持ちに気付けば離職率を低下させられるでしょう。1on1ミーティングの概要やメリットが把握できたところで、具体的な進め方を見てみましょう。
3.効果的な1on1ミーティングの7ステップ
1on1ミーティングは、下記のステップで進めていきます。
効果的な1on1ミーティングではそれぞれのステップで行うことを把握しておく必要があるので、ぜひチェックしてみてください。
3-1.アイスブレイク
目的:日頃の仕事を労い、信頼関係を築く |
急に1on1ミーティングをしようとしてもオペレーターが緊張しており、率直な意見や思いが話せないことがあります。これでは、効果的な1on1ミーティングができません。
そこでまずは、アイスブレイクから始めます。アイスブレイクには、オペレーターの緊張をほぐして1on1ミーティングができる状態を作る効果があります。
具体的には、オペレーターの日頃の仕事を承認することが大切です。承認とは、相手のことを認めることを指します。現状をありのまま受け入れることなので、他人との比較や評価を含みません。ただ認められることが安心感につながり、緊張がほぐれていきます。
例えば、「応対が嬉しかったとお客様からお礼のメールが届きました」「先月の目標を達成できましたね」など、オペレーターの日頃の行動を受け入れて認めます。
ここで注意したいのは、承認は褒めるとは違うことです。「応対が嬉しかったとお客様からお礼のメールが届きました。他のオペレーターにはなかったので、素晴らしいですね」と評価する言葉を加えると、褒めることになります。
アイスブレイクで取ってつけたように褒めると、警戒心が生まれ1on1ミーティングの効果が半減してしまいます。アイスブレイクでは、褒めるのではなく承認をすることを意識してみましょう。
【会話例】 「昨日の応対が嬉しかったとお客様からお礼のメールが届きました。ミッションを理解されている行動ですね。」 |
3-2.目的確認
目的:1on1ミーティングの目的とゴールを明確にする |
オペレーターの緊張がほぐれたところで、1on1ミーティングの目的とゴールを明確にします。ミーティング時に目的を話すことは多いですが、ゴールの設定を忘れがちです。
1on1ミーティングは一人当たりの時間が短いため、具体的な話に入る前にゴール設定をしておくことが欠かせません。あらかじめゴールが決まっていると、どこに向かって話し合えばいいのか道筋が立てやすくなります。
また、目的確認のときには、オペレーターの同意を得て進めることが大切です。一方的に目的やゴールを説明し進めると、オペレーターは黙って聞くしかありません。これでは、オペレーターを置き去りにすることになります。必ずオペレーターに同意を得て、目的やゴールを共通認識とするようにしましょう。
【会話例】 「事業ミッション達成のための個人目標の確認と、具体的にどのようなことをすればいいのか明確にしていきましょう。」 |
3-3.現状把握
目的:現状がどうなっているのか明確にする |
目的とゴールを共有できたら、次に現状を把握します。例えば、現状どの程度目標の達成ができているのか明確にします。
このときに、管理者が一方的に現状を説明するのはよくありません。「〇〇さんの目標は1ヶ月に5つのアポイント取得でしたが、現状は3つですね」「〇〇さんの勤務状態を見てみると、今月は遅刻が3回あります」など、管理者の情報を話すのでは説教になってしまいます。
オペレーター本人が自分の口で現状を語ることが大切です。コンタクトセンター(コールセンター)はデータの宝庫なので、自分の現状をデータで確認することはあっても本人が自分の現状を語ることは少ないです。
現状を話すことで自分事と捉え、今の状態がしっかりと認識できます。また、目標や課題と現状とのギャップが認識しやすくなり、新たな気付きや今後の課題が発見しやすくなります。
【会話例】 「課題と比べると、現状はどうなっていますか?」 |
3-4.課題特定
目的:課題や目標と現状のギャップを把握する |
現状を把握したときに、課題や目標とギャップがあることが多いです。どうしてギャップが生まれるのか明確にすると、新たな課題や問題が見つかります。
このときに、課題と現状の間にギャップがあるオペレーターを責めるような口調で質問をしていませんか?例えば、今月3回遅刻をしてしまった場合に「なぜ遅刻をしたのですか?」「遅刻をしなければならない持病があるのですか?」など、遅刻をした現状を掘り下げないようにしましょう。
オペレーターは責められる印象を受けてしまい本音を話せないのはもちろんのこと、消極的な気持ちになります。1on1ミーティングは部下の行動の振り返りを、成長に繋げ信頼関係を構築するものです。
オペレーターの現状を承認し、今の課題を発見できるサポートをしましょう。「なぜ」を「何」に変えて「何をすれば良かったですか?」「何があれば課題が達成できますか?」など、ポジティブに捉えられる質問を心がけてみてください。
【会話例】 「何が問題だと感じましたか?」 |
3-5.改善策の立案
目的:課題や目標と達成のためにやるべきことを明確にする |
課題が見えてきたら、改善策を行動レベルで明確にします。せっかく課題が把握できても、改善できる行動に移せなければ、1on1ミーティングの意味がありません。現状を変える行動につなげるために、できる限り細かな改善案を見つけましょう。
改善策を明確にするときに必ず守りたいのは、改善案はオペレーター自身が提案し決めることです。管理者側から「こうしたほうがいい」「このようなことはできますか?」と話すのは、指示になります。オペレーターに主体性がないため、前向きに取り組むことが難しいでしょう。
「この1週間で試せることはありますか?」「どのような行動をすると良くなりますか?」など前向きに考えられる質問をして、オペレーター自身が改善案を決められるようにサポートしてみてください。
【会話例】 「どのように行動を変えると良くなりますか?」 |
3-6.目標設定
目的:具体的な行動計画を設定して、目標達成プロセスをより明確にする |
改善策の立案で明確になった改善策を確実に実行できるように、具体的な行動計画を決めていきます。このときも、管理者側から提案をするのではなく、オペレーターに考えてもらうことを意識しましょう。
「〇日までに達成しましょう」「今週中に〇回は実践できるようにしましょう」など、管理者側が設定をすると自発的な行動につながりません。
オペレーター自身が決めることが大切なので「具体的な計画を教えてもらえますか?」などと質問をして、改善策達成がオペレーターの自分事として捉えられるようにしましょう。
【会話例】 「具体的な計画を教えてもらえますか?」 |
3-7.振り返り
目的:目的達成ができたか1on1ミーティングを振り返る |
最後に、1on1ミーティングを始めるときに共有したゴールや目的が達成できたか確認をします。フィードバックをもらうことで、次回の1on1ミーティングに活かすことができます。率直な感想を聞くことで、1on1ミーティングが有意義な時間となっているかチェックすることが可能です。
また、1on1ミーティングは継続して実施することが大切です。終了前に次の日程を決める、継続したサポートをすることを伝えるなどして次につながるようにするといいでしょう。
【会話例】 「この時間を通じてどのような成果がありましたか?」 |
今回ご紹介したステップは、あくまでも1on1ミーティングの一例です。1on1ミーティングには定められているルールや規則はないので、コンタクトセンター(コールセンター)ごとにやりやすい方法で取り組んでみてください。
4.コンタクトセンター(コールセンター)で1on1ミーティングをするときの注意点
コンタクトセンター(コールセンター)で1on1ミーティングをするときには
・管理者は無い無い症候群にならないこと
・ミーティング内容を説教にしないこと
・管理者が一方的に話さないこと
・効果がすぐに実感できるわけではない
という4つのポイントに注意することが大切です。効果的な1on1ミーティングをするためにも、なぜ気を付ける必要があるのかチェックしてみてください。
4-1.管理者は無い無い症候群にならないこと
コンタクトセンター(コールセンター)の管理者は業務が多岐に渡り、ついついオペレーターとのコミュニケーションを後回しにしがちです。とくに1on1ミーティングは、オペレーターと1対1で対話をする時間を確保しなければなりません。
・オペレーターを育成する時間がない
・オペレーターを育成できる環境が整っていない
・オペレーターを育成する方法がわからない
と、さまざまな理由を見つけて1on1ミーティングを避ける「無い無い症候群」に陥っていることがあります。オペレーターとのコミュニケーションや人材育成は大切だと分かっていても、行動に移せずやらない理由を探してしまうのです。
そのうちにオペレーターと意思疎通ができなくなったりコンタクトセンター自体の質が低下したりと、問題が見え始めます。問題が表面化してからでは、人材育成やオペレーターとの関係構築に時間がかかります。
「時間がない」「スキルがない」と1on1ミーティングができない理由を探すのではなく、どうしたら実践できるのか前向きに考えてみましょう。
4-2.ミーティング内容を詰問にしないこと
1on1ミーティングは、オペレーターと管理者が対話をすることで課題の解決を図るのが基本です。しかし、気が付くと管理者が一方的に話をして、オペレーターが聞いている説教のようなスタイルになっていることがあります。
例えば、目標達成ができなかったオペレーターに「どうして達成できなかったのですか?」「理由があったのですか?」などの質問をして一方的に問い詰めるのは詰問です。オペレーターは否定されている気持ちになり、前向きに取り組むことができません。
「3.効果的な1on1ミーティングの7ステップ」でも述べたように、基本的にはオペレーターの気持ちや行動を承認し、前向きに課題に取り組めるようサポートすることが大切です。
・管理者が2、オペレーターが8の割合で話すことを心がける
・否定的な意見や一方的な意見は言わない
というポイントを注意して、管理者が説教や指示をする1on1ミーティングとならないようにしましょう。
4-3.管理者が一方的に話さないこと
1on1ミーティングは、オペレーターが意見や考えを述べ改善策について主体的に考える場です。言わば、主役はオペレーターです。管理者が一方的に話をすると、人材育成や課題の解決につながりません。
とくに注意したいのは、オペレーターへの改善案を管理者が一方的に話してしまうことです。例えば、遅刻が多いオペレーターに対して「明日からは〇時〇分に起きられますか?」「まずは1ヶ月の遅刻を1回にしてみましょう」など決めつけてしまうと、指示となります。
オペレーターに主体性はなく、管理者に言われた指示通り動くしかありません。これでは、オペレーターの成長ややりがいにつながりません。
1on1ミーティングではオペレーター自身に課題や改善案を話してもらい、自分の行動を自分で決めることが重要となります。1on1ミーティングは指示や指摘ではなく双方向の対話であることを、念頭に置いておきましょう。
4-4.効果がすぐに実感できるわけではない
1on1ミーティングは、すぐに目に見える結果が出るものではありません。オペレーターによって、課題や改善点は異なります。すぐに行動に移せる場合もあれば、頭では理解していても改善までに時間を要する場合もあります。
個人差があることは承知のうえで、結果や成果が出るまで粘り強く継続するのが1on1ミーティングなのです。そのため、コンタクトセンター(コールセンター)の規模によっては、目に見える変化が出るまで1年以上かかることもあるでしょう。
また多くのコンタクトセンターでは、稼働率を高めに設計して運営しているところもあり、なかなか時間が取れずに途中で諦めてしまいそうになりますが、粘り強く継続していくことでオペレーターとの信頼関係を築くことができ、離職率低下にも繋がるので、センター設計を見直していくことも重要です。
5.コンタクトセンター(コールセンター)でよりよい1on1ミーティングをするための3つのポイント
最後に、コンタクトセンター(コールセンター)でより良い1on1ミーティングをするためのポイントを3つご紹介します。
このポイントを押さえるだけで1on1ミーティングが導入しやすくなるので、ぜひ参考にしてみてください。
5-1.1on1ミーティングの頻度を決めておく
1on1ミーティングはオペレーター一人一人への個別対応が欠かせないため、スタッフが多ければ多いほど実施に時間がかかります。
そのため、コンタクトセンター(コールセンター)のPDCAサイクルに合わせて、毎月1回は実施するなど継続して実施できる仕組みを作るようにしましょう。
まずは、1on1ミーティングの頻度を決めて忙しい管理者のスケジュールを押さえます。その後に、オペレーターの出勤日に合わせて日程を組んでいくとスムーズに実施できるでしょう。
1on1ミーティングを実施するサイクルさえ作れば、意外と無理なく回せるようになります。定例会議や社内イベントと同様に、なくてはならないものとなるよう工夫してみましょう。
5-2.一度の1on1ミーティングですべてを解決しようとしない
1on1ミーティングは、15分~30分が基本です。短い時間で問題や課題を解決することは無理がありますし、1on1ミーティングは課題の解決に重きを置いていません。
オペレーターの声に耳を傾けてオペレーター自身が意見や考え、改善案を言葉にすることが大切なのです。そのため、一度の1on1ミーティングで明確なゴールが見えなくても問題ありません。
1on1ミーティングの目的やゴールが共有できており、どこまで進められたのか確認できていれば次回に続きから始められます。継続をしていく中で
・オペレーター自身が成長するきっかけが掴めた
・管理者とオペレーターが良好な関係を築けるようになった
・オペレーターが主体的に行動できるようになった
と少しずつ変化していけば1on1ミーティングをする価値はあるでしょう。「4-4.効果がすぐに実感できるわけではない」でも解説したように、1on1ミーティングは成果を急ぐものではありません。長い目で見ながら焦らず取り組むことが重要です。
5-3.1on1ミーティングの内容は記録する
1on1ミーティングは、一度対話をして終わりではありません。継続して行い成長や自主性を促すものなので、記録を残して見返せるようにすることが大切です。
1on1ミーティング中は管理者がメモを取るようにして、対話した内容を忘れないようにしましょう。とくに、1on1ミーティングごとの目的やゴール、改善案は分かりやすくまとめておくと、オペレーターの成長確認や振り返りがしやすくなります。
ただし、1on1ミーティングで話すことはオペレーターのプライバシーに関わることが多いため、情報の扱いに注意が必要です。オペレーターごとに別のシートで管理し、オペレーターと管理者以外の目には触れないようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
1on1ミーティングの概要やメリット、導入方法が把握でき、コンタクトセンター(コールセンター)でも実践するコツがわかるようになったかと思います。
コンタクトセンターは、昨今のコロナウイルスの影響もあり、重要な顧客接点の担い手になってきており、これまでの顧客サポートという位置づけから顧客コミュニケーションを図れる機会として機能拡充されています。
その中で顧客に相対するオペレーターに求められているスキルは増えてきているので、コンタクトセンターの在り方を見直し、育成環境を整えていくことが今後重要になります。
最後にこの記事の内容をまとめてみると
〇1on1ミーティングとは上司と部下が1対1で行う定期的な対話のこと
〇コンタクトセンターで1on1ミーティングを実施するメリットは次の3つ
1)定期的にミーティングすることでオペレーターとの信頼関係が築ける
2)オペレーターが目標や課題を意識して主体的に業務に取り組める
3)コンタクトセンターの離職率を低下できる
〇コンタクトセンターで効果的な1on1ミーティングをするステップは次のとおり
1)アイスブレイク:日頃の仕事を労い、信頼関係を築く
2)目的確認:1on1ミーティングの目的とゴールを明確にする
3)現状把握:現状がどうなっているのか明確にする
4)課題特定:課題や目標と現状のギャップを把握する
5)改善策の立案:課題や目標達成のためにやるべきことを明確にする
6)目標設定:具体的な行動計画を設定して、目標達成プロセスをより明確にする
7)振り返り:目的達成ができたか1on1ミーティングを振り返る
〇コンタクトセンターで1on1ミーティングをするときの注意点は次の4つ
1)管理者は時間がない、スキルがないなど無い無い症候群にならないようにする
2)詰問にならないようにオペレーターへの話し方に注意する
3)管理者が一方的に話さないこと
4)1on1ミーティングは継続して行うものなので効果がすぐに実感できるわけではない
〇コンタクトセンターでよりよい1on1ミーティングをするためのポイントは次の3つ
1)PDCAサイクルに合わせて1on1ミーティングを実施する頻度を決める
2)一度の1on1ミーティングでさまざまな課題を解決しようとしない
3)1on1ミーティングの内容は管理者が記録しておく
この記事をもとに、コンタクトセンターで1on1ミーティングが実施できるようになることを願っています。