
ウェルビーイング(Well-being)とは?
ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に良好な状態が継続している状態を指します。企業では従業員エンゲージメント向上、生産性向上、離職率低下につながる考え方として注目されています。
近年は人的資本経営や健康経営の重要指標として、多くの企業がウェルビーイング向上に取り組んでいます。

昨今は下記のような理由から、ウェルビーイングの実現に向けた取り組みをする企業や団体が増えています。内閣府もウェルビーイングの推進を掲げており、ウェルビーイングとはどのような考え方なのか理解し、企業として取り組めることはないか検討することが大切です。
企業がウェルビーイングに注目する理由 |
1)労働者のメンタルヘルスが悪化している |
そこでこの記事では、ウェルビーイングの定義や注目されている理由、考え方などの基礎知識をまとめて解説していきます。後半では、企業ができる具体的な取り組み方法にも触れているので必見です。
◎ウェルビーイング(Well-being)とは |
この記事を最後まで読めばウェルビーイングとはどのような概念なのか分かり、企業として取り組むべき施策を検討できるようになります。ウェルビーイングは社員の幸福度を高めるために欠かせない概念なので、ぜひ参考にしてみてください。
1.ウェルビーイング(Well-being)とは

「ウェルビーイング」と言われても、その意味を明確に説明できない、という人も多いでしょう。
そこでまず、「ウェルビーイングとは何なのか」をわかりやすく説明します。
1-1.ウェルビーイングとは
「ウェルビーイング」とは、「well=よい」と「being=状態」とを組み合わせた言葉です。
ひと言でいえば、「心もからだも満たされたいい調子で、幸せに生きている状態」を指します。
もう少し具体的に説明すると、ウェルビーイングであるためには、以下の3つがすべていい状態である必要があります。
・からだの健康 |

ただ、「ウェルビーイングが高い・低い」に、一定の基準はありません。
というのも、何を幸せと感じるか、どの程度なら満足できるかは、人によって異なるからです。
たとえば、「仕事が何よりも生きがいで、プライベートの時間は犠牲にしてもいい」という人もいれば、「仕事で出世するより、趣味を好きに楽しめるほうが幸せ」という人もいます。
また、「お金がなくても、家族や友だちと仲良くいられれば人生が充実する」という考えがある一方で、「お金が十分にあってはじめて、いろいろなことができる」という視点もあるでしょう。
そのため、一人ひとりの異なった考えや状況を踏まえたうえで、それぞれの「からだ・心・社会とのつながり」がいい状態を目指していくことが大切だと言えるのです。
ちなみに、ウェルビーイングは、世界保健機関(WHO)の「世界保健機関憲章前文」で下記のように記述されたことで広まったと言われています。世界保健機関憲章前文では、健康とは病気の有無だけではなく、身体的・精神的・社会的に満たされた状態であると記述されています。
【世界保健機関(WHO)の世界保健機関憲章前文】 Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. |
出典:公益社団法人日本WHO協会「世界保健機関(WHO)憲章とは」
また、厚生労働省ではウェルビーイングを下記のように定義しています。
【厚生労働省の定義】 「ウェル・ビーイング」とは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念。 |
出典:厚生労働省「人口減少・社会構造の変化の中で、ウェル・ビーイングの向上と生産性向上の好循環、多様な活躍に向けて」
1-2.ウェルビーイングとhappinessの違い
ウェルビーイングの意味を知ってみると、「それは『幸せ』ということではないの?」と疑問に思う人もいるでしょう。
実は、厳密にいえば「ウェルビーイング」と「幸せ=happiness」とは意味が異なります。
「ウェルビーイング」は、前述したように「からだの健康・心の健康・社会的なつながりが良好」という3つがそろっていることが必要です。
さらに、その状態が一時的ではなく、長く持続していてはじめて「ウェルビーイングが実現している」と言えます。
一方で「幸せ=happiness」は、主に「心の健康」を指します。
「うれしい」「楽しい」といったプラスの感情があって、心が満たされている状態です。
ただ、それが持続するかどうかは関係なく、一時的に心が満足していれば「幸せ」と言えます。
つまり、元気で悩みごとや苦しいことなどもなく、家庭や職場、友人関係もうまくいき、趣味や生きがいもある生活を長く送れることが「ウェルビーイング」です。
それに対して「幸せ=happiness」は、「おいしいものを食べた」「人に褒められた」「仕事で成果をあげた」「ほしかったものをプレゼントされた」など、生活の中のときどきに感じる心の満足、感情的な高揚を指すととらえればいいでしょう。
ウェルビーイング | 幸せ=happiness | |
範囲 | からだ・心・社会的なつながり | 主に心 |
持続性 | いい状態が長期的に持続していてはじめて「ウェルビーイングが高い」と言える | いい状態は一瞬や短時間であっても「幸せ」と言える |
具体例 | 元気で悩みや苦しみもなく、家庭や友人、仕事にも恵まれていて、趣味や生きがいもある充実した人生を送っている | ・おいしいものを食べた |
1-3.ウェルビーイングが注目される理由
さて、近年ウェルビーイングが注目を集めるようになったのはなぜでしょうか?
そこには、現代ならではの以下のような理由があります。
・経済的な豊かさだけでなく、QOL=Quality of Life などより幅広い充足が求められるようになった |
以前は、人が幸福な生活を送れているかどうかは、主に経済的な豊かさを基準に判断されていました。
たとえば、お金をたくさんもっている人が幸せであり、GDPが高い国の国民は幸福度が高い、という考え方があったのです。
ところが、経済が成熟していくにつれ、さまざまな商品やサービスが生まれ、膨大な情報が社会にあふれるようになり、人々の価値観も多様化していきました。
経済的に満たされていても、それだけでは満足できない、もっと別の幸せを求める人が増えてきたのです。
実際に、1970年代ごろからは徐々に「QOL=Quality of Life(生活の質)」を重視する考え方が広まってきました。
近年では、2015年に国連で採択された「SDGs=持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の17の目標のうち、3番目には「すべての人に健康と福祉を」としてウェルビーイングの実現が掲げられています。
このような、社会の変化や価値観の多様化、世界的な動きを反映して、ウェルビーイングへの注目度が高まっているというわけです。
最近は、企業や自治体、教育機関などでもウェルビーイングの実現に積極的に取り組むところが出てきています。
企業においては、ウェルビーイング向上が従業員エンゲージメントや生産性向上、離職率低下につながることから、人的資本経営や健康経営の重要テーマとして位置付けられています。
2.ウェルビーイングが高い人・低い人の違い

ウェルビーイングが注目される理由はわかりましたが、では実際にウェルビーイングが高い人と低い人とでは、どんな違いが生じるのでしょうか?
さまざまな統計やアンケート結果から、以下のような傾向があることがわかっています。
※「(比較)」:ウェルビーイングが高い人と低い人とを比較した場合の統計結果や傾向分析結果
ウェルビーイングが高い人 | ウェルビーイングが低い人 |
1)いろんなことに幸せを感じられる | 1)幸せを感じる軸が少ない |
参考:株式会社Hakuhodo DY Matrix・株式会社SIGNING『ザ・ウェルビーイングレポートvol.1』
株式会社日立ソリューションズ『幸福学の前野教授に教わる いまこそ知りたいウェルビーイング』
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社『会社員のウェルビーイングとエンゲージメントに関する2 万人調査結果』
内閣府『満足度・生活の質に関する調査報告書 2024 ~我が国の Well-being の動向~』
1)の「いろんなことに幸せを感じられるかどうか」というのは、言い換えれば「幸せを感じるシーンが多いか少ないか」の違いです。
人が幸せを感じる場面は、家庭生活、仕事、友人関係、お金、趣味などさまざまです。
それらの中で幅広く幸せを感じられる人、日常のちょっとしたことでも幸せを感じられる人は、ウェルビーイングが高い傾向があります。
反対に、「仕事がつまらない」「趣味もない」「家族や友だちも少ない」といった人は、幸せを感じるシーンが狭まってしまいます。
また、小さなことでは満足できず、大きな幸せだけを求めてしまう人も、ウェルビーイングが低くなってしまう恐れがあるでしょう。
さらに、さまざまな研究や統計で、ウェルビーイングが高い人ほど創造性や生産性、世帯年収が高い傾向が出ています。
寿命も、ウェルビーイングが高い人のほうが低い人より7~10年も長いという統計結果です。
このように、ウェルビーイングが高い人は、低い人に比べて自分の人生が充実するのはもちろん、社会や企業に対する貢献度も高くなるといえるでしょう。
3.ウェルビーイングの取り組み事例

近年のウェルビーイング重視の流れを受けて、多くの企業や自治体などの団体では、さまざまな取り組みが実施されています。
そこで、ウェルビーイングをより具体的に理解するためにも、取り組み事例をいくつか紹介しておきましょう。
3-1.横浜市
神奈川県の横浜市では、ウェルビーイング実現を目指して、「よこはま共創コンソーシアム」が結成されました。
市民はもちろん、市職員なども含めた横浜市にかかわるすべての人のウェルビーイングのために、公民連携してさまざまな取り組みを実施しています。
たとえば以下のようなものです。
住民向けの | ・防災対策強化:約11万戸に感震ブレーカーと家具転倒防止器具の設置費用を全額補助 ・防犯対策:パトロールや備品購入に対する補助 ・がん対策:65歳のがん検査無料、70歳以上のがん精密検査無料 ・子育て支援:政令市としてはじめて出産費用に独自助成を実施 |
市職員向けの | ・フレックスタイム制やテレワークの導入 |
2040年には、「暮らしやすく誰もがWELL-BEINGを実現できるまち」という目標を含めた「めざす都市像」を具現化するため、ウェルビーイングの体験イベントなども実施、市民の啓蒙にも努めています。
3-2.トヨタ自動車
トヨタ自動車では、「幸せの量産」をミッションに掲げ、従業員を中心としたウェルビーイング実現に向けた取り組みを推進しています。
具体的には、以下のようなものがあります。
・ウェルビーイングの研究会を開催、専門家や研究者とともにウェルビーイングについて議論の場をもつ など |
日本有数の大企業として、本体の従業員数7万人超、グループ連結で39万人超の従業員を擁するトヨタの取り組みは、日本企業のウェルビーイングを考えるうえで、ひとつのロールモデルといえるでしょう。
3-3.トランスコスモス
トランスコスモスでも、ウェルビーイングへの取り組みをさまざまに推進しています。
具体的には以下のようなことを実施中です。
・働きやすい環境づくり:柔軟な働き方を導入、男性の育休取得推進など |
これについては、のちほど「6.トランスコスモスはウェルビーイング社会の実現に向けた取り組みを行っています」でくわしく説明しますので、ウェルビーイングをより具体的に理解するためにも、そちらもぜひ読んでみてください。
4.ウェルビーイング(Well-being)の3つの考え方

ウェルビーイングを実現するための考え方としては、現在下記の3つのモデルが主流となっています。どのような考え方・行動をすると、ウェルビーイングの実現に近づけるのか分かるので参考にしてみてください。
ウェルビーイングを実現するための3つの考え方 | |
PERMAモデル | マーティン・セリグマン氏が提唱した指標 |
幸せの4つの因子 | 幸福学研究の第一人者である前野隆司教授が唱えるモデル |
ギャラップ社の5つの定義 | 「世界幸福度レポート2023」調査を行っている米ギャラップ社が見つけた定義 |
4-1.「PERMA(パーマ)」モデル
「PERMA(パーマ)」モデルは、マーティン・セリグマン氏が提唱した指標です。真の幸福を満たす要素を5つに分類し、すべての要素を満たしている人が幸福度が高いと考えます。

PERMAモデルの5つの要素 | |
ポジティブな感情 | 嬉しい・楽しい・おもしろい・感謝・希望などポジティブな感情を抱くことができる |
没頭・熱中 | 時間を忘れて熱中・没頭できることがある |
良好な人間関係 | 他者とのつながりを持ち良好な人間関係を築くことができる(パワハラやいじめなどがない) |
生きる意味 | 自分の強みや良さを理解し、仕事や趣味に取り組みながら生きがいややりがいを感じられる |
達成感 | 仕事・プライベートで達成感を味わえる |
例えば、仕事に励むときにポジティブな感情を抱き熱中して取り組める人は、仕事に後ろ向きな人よりも幸福度が高いと考えられます。PERMAモデルの中で欠けている要素がある場合はウェルビーイングを実現しにくくなるので、欠けている要素の原因を探ることが大切です。
4-2.幸せの4つの因子
「幸せの4つの因子」とは、幸福学研究の第一人者である前野隆司教授が唱えるモデルです。幸福度を高めるには、4つの因子を伸ばすことが大切だと考えています。

幸せの4つの因子 | |
第1因子 | 「楽しい」「おもしろい」と感じることに自信を持ち積極的に取り組める |
第2因子 | 多様なつながりを持ち他人に貢献したいという気持ちを持てる |
第3因子 | 失敗を恐れずに何とかなるの精神で積極的に行動ができる |
第4因子 | 自分らしさを大切にして好きなことや得意なことを追求できる |
例えば、第1因子の「やってみよう」は、周囲と比較することなく積極的に挑戦する姿を指します。また、他者との関わりを持ち貢献したい気持ちがある人のほうが、幸福度が高いと言われています。第2因子では、ありがとうと感謝を伝え合える関係を築けることを指しています。
幸せの4つの因子を伸ばすには、日常生活や仕事の中で主体性を持ち取り組むことが大切です。「誰かにやらされている」と感じると幸福度が下がってしまうため、前向きに取り組めることを見つけて幸せの4つの因子を伸ばすように意識してみるといいでしょう。
4-3.ギャラップ社の5つの定義
「世界幸福度レポート2023」調査を行っている米ギャラップ社では、世界規模の調査を重ねることでウェルビーイングに必要な要素を絞り込むことができました。米ギャラップ社では下記の5つの要素を高めることが大切だと定義しています。

米ギャラップ社のウェルビーイングの5つの定義 | |
キャリア | 人生の中で大半の時間を占めていること(仕事や育児、ボランティア、趣味など)に熱心に取り組める |
人間関係 | 信頼関係と愛情でつながる良好な人間関係を築けている |
経済 | 経済的に安定しており、資産の管理や活用ができている |
心身の健康 | 心身ともに健康で活動に使えるエネルギーがある |
地域社会 | 地域社会に貢献している |
この5つの要素はどれか1つが突出していても、他の要素が不安定な状態では幸福度が低いと考えられています。例えば、心身の健康や経済的な安定はあっても、仕事に不安や悩みがある場合は幸福度が下がってしまうのです。
米ギャラップ社の5つ定義では5つの要素すべてにおいて良好な状態になるように、行動することが大切だと言われています。
5.ウェルビーイング(Well-being)の具体的な取り組み方法

ここまで読み、ウェルビーイングの重要性や要素が理解できたかと思います。特に人材確保や離職防止が課題となるコンタクトセンター業界では、ウェルビーイング向上施策が組織運営の重要なテーマとなっています。
では、企業ではウェルビーイングを高めるために、どのような取り組みをするべきなのでしょうか?ここでは、ウェルビーイングを実現するための具体的な取り組み方法をご紹介します。
課題となっている部分から取り組むことで社員のウェルビーイングを高めることにつながります。具体的にはどのような取り組みができるのか、参考にしてみてください。
ウェルビーイングの具体的な取り組み方法 | |
多様な働き方への対応 | 時短勤務や在宅勤務などを取り入れて働く場所や時間を自由に選択できるようにする |
社員が自ら学ぶ機会の提供 | 社員が主体性を持ってチャレンジができスキルを磨ける環境を作るために研修やリスキリングなどの学ぶ機会を提供する |
健康促進の実施 | ストレスチェックや相談窓口の設置など心身の健康を維持するための取り組みを実施する |
労働環境の見直し | ウェルビーイングを実現できそうかに着目し労働時間や評価制度などの労働環境を見直す |
コミュニケーション機会の創出 | 社内で良好な人間関係を構築するためにコミュニケーションを取る機会を創出する |
5-1.多様な働き方への対応
ウェルビーイングを実現するには、多様な働き方に対応することが大切です。「1.ウェルビーイング(Well-being)とは」でも触れたように、幸福度の指標は一人ひとり異なります。
家族の時間を重視したい人もいれば、仕事にやりがいを感じている人もいます。それぞれが自分らしい価値観を大切にしながら前向きに仕事に取り組むには、企業側も働く場所や時間を自由に選択できるように柔軟に対応する必要があります。
多様な働き方の一例 | |
働く時間の自由 | ・フレックスタイム(一定のルール下で社員が始業・終業時間を決めて働く) |
働く場所の自由 | ・在宅勤務(自宅で仕事に取り組む) |
その他の取り組み | 副業の許可 |
例えば、在宅勤務を選択できるようになれば、介護や育児との両立がしやすくなりワーク・ライフ・バランスが保ちやすくなる可能性があります。また、地域限定勤務が選択できれば転勤の不安から解消されて、働きやすくなる社員もいるでしょう。
働く時間と場所の選択肢を用意することで、ウェルビーイングの実現に貢献できます。トランスコスモスでは柔軟な働き方への取り組みを実施しており、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方ができる環境整備をしています。
5-2.社員が自ら学ぶ機会の提供
「4.ウェルビーイング(Well-being)の3つの考え方」でも触れたように、幸福度を高めるには主体性を持ってチャレンジができスキルを磨ける環境が必要です。企業側では日々の業務を遂行するだけでなく、社員が自らキャリアを形成できる支援が必要でしょう。
【ウェルビーイングを実現するキャリア支援の一例】 ・リスキリングの実施 |
例えば、市場の変化に対応するためにデジタル技術やAI技術を学べる機会を提供できれば、興味のある社員は主体性を持ち学べます。没頭できることを見つけるきっかけにもなり、社員によっては配置転換などにつながるかもしれません。
主体性を持ち学べる環境整備ができれば、一人ひとりが強みや向いている仕事を見つけやすくなります。その結果、仕事にもやりがいを持ち前向きに取り組めるようになり、ウェルビーイングの実現に近づきます。
5-3.健康促進の実施
繰り返しになりますがウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的すべてが満たされた状態のことです。ウェルビーイングの軸となる心身の健康を疎かにしないように、社員の健康促進に取り組みましょう。
具体的には定期的な健康診断に加えて、下記のような取り組みを検討できるといいでしょう。
【ウェルビーイングを実現するために検討できる健康促進の一例】 ・人間ドックやがん検診の促進 |
厚生労働省が実施している「令和4年労働安全衛生調査」を見ると、心のストレスを可視化し対策を検討するためのストレスチェックを実施している企業は72.2%と過半数を超えています。
また、自社の社員の健康状況に応じて食生活の改善や運動機会の創出など工夫を凝らしているケースも見受けられます。
トランスコスモスは「健康経営優良法人2023」(大規模法人部門)に認定された企業として、ウェルビーイングを実現するためにも積極的に健康促進の取り組みを行っています。
【トランスコスモスの健康促進の取り組みの一例】 ・生活習慣病対策 詳しくは「6-2.従業員の健康への取り組み」で解説しています |
5-4.労働環境の見直し
ウェルビーイングを実現するためには、現在の労働環境の見直しも欠かせません。もしかしたら、一定の社員に業務が集中し心身ともに負担をかけているかもしれません。また、複数の部署が同じスペースで仕事をしている場合は、仕事に集中しにくくなっている可能性があります。
「社員一人ひとりが身体的・精神的・社会的に良好な状態を維持できそうか」というウェルビーイングの視点で、下記のような労働環境を見直してみると改善点が見つかる可能性があります。
ウェルビーイングを実現するために労働環境を見直すときのポイント | |
労働時間 | 残業時間が多く長時間労働が当たり前になっていないか |
給与体系 | 働き方によって給与に差が生じていないか |
評価制度 | 社員が納得のいく方法で人事評価ができているか |
有給取得 | 有給休暇が取得しやすい風土になっているか |
労災 | リスクとなり得る部分は適切に把握し対策ができているか |
環境整備 | オフィスの環境がよく仕事に集中できる状態になっているか |
例えば、社員の残業時間が長い場合は、業務効率化できる方法を模索して残業時間が短縮できるように取り組む必要があるでしょう。また、有給休暇などの福利厚生を活用しにくい風土がある場合は、啓蒙活動などを行いワーク・ライフ・バランスが取れる環境を整えていくことも大切です。
トランスコスモスでは生産性の向上につながるプラクティスツールなどを導入し、時間外労働の削減に取り組んでいます。また、有給休暇取得を促進する取り組みも行っており、誰もが有給休暇を取得しやすい環境づくりを行っています。
5-5.コミュニケーション機会の創出
「4.ウェルビーイング(Well-being)の3つの考え方」でも触れたように、人は他者とつながりを持ち良好な人間関係を築くことで幸福感を得ます。見方を変えると社内の人間関係やコミュニケーションに問題がある場合は、ウェルビーイングの実現が難しいです。
【社内のコミュニケーションに問題がある場合の一例】 ・部下と上司の意思疎通が取れていない |
そこで、社内で良好なコミュニケーションが取れるように、積極的にコミュニケーションを取る機会を創出するといいでしょう。
【ウェルビーイングを実現するために社内のコミュニケーションを活性化する方法】 ・1on1ミーティングの実施 |
例えば、上司と部下間のコミュニケーションが不足している場合は、定期的に1on1ミーティングを実施して進捗状況や意見を交換すると信頼関係が築きやすくなります。
社内全体のコミュニケーションを活性化したい場合は、コミュニケーションツールや社内向けのバーチャル空間を用意することも一つの方法です。
自由に出入りできるバーチャル空間があれば、部署の垣根を超えて自由に交流ができます。社内で横のつながりを持ちやすくなり、良好な人間関係を築くきっかけになるでしょう。
6.トランスコスモスはウェルビーイング社会の実現に向けた取り組みを行っています

トランスコスモスはサステナビリティ基本方針に基づいた長期ロードマップを策定し、ウェルビーイング社会の実現に向けた取り組みを行っています。
社員の満足がない状態でお客様の満足はない、お客様の満足がない状態で社会のウェルビーイング向上はあり得ないと考え、ウェルビーイングを最大化するKPIを設定して取り組んでいます。
ここでは、トランスコスモスが実施しているウェルビーイングを実現するための取り組みをご紹介します。
6-1.働きやすい環境づくり
トランスコスモスでは、社員が活躍し続けられる職場環境と仕組みづくりを推進するために下記のような取り組みを行っています。
働きやすい環境づくりへの取り組み | |
生産性向上に向けた時間外労働の削減 | ・各事業所から生産性向上につながるベストプラクティスツール・事例を集約して優秀な事例を表彰し全社展開している |
柔軟な働き方に向けての取り組み | ・多様で柔軟なシフト勤務体制やフレックスタイム制・在宅勤務制度・副業制度など時間や場所にとらわれない柔軟な働き方ができる環境整備に取り組んでいる |
有給休暇取得促進 | ・夏季は5日間連続の有給休暇の取得を推奨 |
両立支援の取り組み | ・ライフイベントに左右されず活躍し続けるために全社員が仕事と生活を両立しながら最大限に能力が発揮できる環境を目指している |
男性の育児取得推進 | ・男性の育児休業の取得を勧奨し2023年度までに男性の育児休業と配偶者出産休暇の合計取得率を40%以上にすることを目指している |
復職支援プログラム | ・産休・育休からのスムーズな復職をサポートしキャリア形成しやすい環境づくりをしている |
この他にも、働きやすい職場環境の整備やワークライフバランス促進イベントの実施なども行い、社員が自分の生活を大切にしながら高い満足度で働けるように努めています。
6-2.従業員の健康への取り組み
トランスコスモスは経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人認定制度」で「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に認定されました。
人事部門や統括産業医など専門的な産業保健スタッフ、健康保険組合などが連携し、従業員の健康増進活動を促進しています。2022年度からSDGs委員会を設置し、下記のようなさらに踏み込んだ健康増進活動の取り組みを進めています。
健康への取り組みの一例 | |
生活習慣病対策 | ・健康診断結果に基づいた個別の保健指導 |
こころとからだの健康サポート | ・トランスコスモス健康保険組合と連携し24時間・年中無休対応できる健康相談窓口を設置(女性専用の窓口も用意している) |
多様な働き方の導入 | ・多様かつ柔軟なシフト体制の導入 |
健康診断 | ・法定健診以外に生活習慣病・婦人科・がん対策を受診できる環境が整っている |
予防接種 | ・職場でのインフルエンザ予防接種の実施など予防接種を受ける機会の提供 |
傷病休職者への支援 | ・復職支援プログラムをもとに傷病休職者と人事や職場、医療スタッフが連携体制を取りながら円滑な職場復帰をサポート |
運動支援 | ・リモートワーク従業員を対象に健康への意識改善やウォーキングイベントなどの実施 |
6-3.その他のウェルビーイングを実現するための取り組み
トランスコスモスでは今まで紹介してきた取り組み以外にも、ウェルビーイングを実現するために下記のような取り組みを行っています。
トランスコスモスのウェルビーイング社会を実現するための取り組み一例 | |
障がいのある社員への研修 | 障がいがある社員に対してビジネスマナーや基礎研修、専門的な研修を行い働きやすい環境を整えている |
サステナブルな社会の推進 | 2022年4月に静岡県駿東郡小山町と「デジタル・トランスフォーメーションに関する連携協定」を締結し、住民サービス向上によるウェルビーイングの実現を推進する |
建設業界の業務効率化に貢献 | トランスコスモスとグループ企業の技術が建設業界の課題となっている業務効率化を推進。長時間労働の抑制や働き方改革に貢献しウェルビーイングの実現を目指す |
社員育成制度の充実 | 400以上の資格を資格奨励制度の対象にして社員の成長につながる支援を行っている |
このように、トランスコスモスでは「お客様の満足の大きさが我々の存在価値の大きさ」という経営の基本理念のもと、共創しながらウェルビーイング社会の実現を目指しています。
7.ウェルビーイングに関するよくある質問
健康経営はウェルビーイングを実現するための施策の一つと考えることができ、健康促進に加えて働きがいや人間関係、自己成長なども含めて従業員の幸福度向上を目指す点が特徴です。
従業員が心身ともに良好な状態で働けるようになることで、仕事への意欲が高まり、組織への愛着も生まれやすくなります。また、多様な人材が活躍しやすい職場環境づくりにもつながるため、人材確保や人材定着の面でも効果が期待できます。
従業員満足度調査やエンゲージメントサーベイ、ストレスチェックなどを活用して、自社の課題を可視化しましょう。
そのうえで、長時間労働の是正や柔軟な働き方の導入、コミュニケーション活性化など、自社に必要な施策から段階的に進めることがおすすめです。
例えば、柔軟なシフト制度の導入、在宅勤務の活用、メンタルヘルス相談窓口の設置、キャリア形成支援、1on1ミーティングの実施などが有効です。
また、AIやデジタルツールを活用して業務負荷を軽減することも、従業員のウェルビーイング向上につながります。
まとめ
いかがでしたか?ウェルビーイングとはどのような概念なのか理解して、企業での取り組み方法を検討できるようになったかと思います。最後にこの記事の内容を簡単にまとめてみましょう。
〇ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に良好な状態が継続していることを指す概念
〇ウェルビーイングが高い人は、低い人よりも、
1)いろんなことに幸せを感じられる |
〇ウェルビーイングを実現するための考え方は次の3つ
ウェルビーイングを実現するための3つの考え方 | |
PERMAモデル | マーティン・セリグマン氏が提唱した指標 |
幸せの4つの因子 | 幸福学研究の第一人者である前野隆司教授が唱えるモデル |
ギャラップ社の5つの定義 | 「世界幸福度レポート2023」調査を行っている米ギャラップ社が見つけた定義 |
〇企業がウェルビーイングを実現するための具体的な取り組み方法は次のとおり
1)多様な働き方への対応:時短勤務や在宅勤務などを取り入れて働く場所や時間を自由に選択できるようにする |
トランスコスモスでは長期ロードマップを策定し、ウェルビーイング社会の実現に向けた取り組みを行っています。「お客様の満足の大きさが我々の存在価値の大きさ」という経営の基本理念のもと、共創しながらウェルビーイング社会の実現を目指していきます。

