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要約とは?定義、要約のしかたからコンタクトセンターの後処理改善活用まで解説

「論文を要約しなければいけないけれど、どこをどうまとめればいいのかわからない」
「コンタクトセンターで『応対内容を要約するように』と言われるけれど、うまく要約できずに長くなってしまう」

「要約」に関して、そんな悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。

「要約」とは、元となる文章について、それを書いた人が言いたいこと、テーマをくみ取って、簡潔にまとめることです。

ポイントは、

・文章の言いたいこと、テーマをくみ取る
・簡潔にまとめる

の2点です。

その手順は、

1)文章のおおまかな内容を把握
2)文章を「意味段落」に分割
3)段落ごとの要点・キーワードを抜き出し
4)自分の言葉でまとめる

の4ステップで簡単に行えます。

が、文章の順番を入れ替えない、自分の意見や解釈を付け加えないなど、いくつかの注意点やポイントはおさえておかなければなりません。

そこでこの記事では、要約について知っておくべきことをまとめました。

まず前半では、一般的な「要約」について解説します。

◎「要約」の定義
◎要約の手順・4ステップ
◎要約のポイント
◎要約の注意点

そして後半では、コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)において「要約」を活用するためのノウハウを挙げていきます。

◎コンタクトセンター(コールセンター)における「要約」の必要性
◎顧客対応における「要約」の3つの効果
◎顧客対応における要約のコツ

最後まで読めば、「要約」について知りたいことがわかるでしょう。

この記事で、あなたが上手な要約をできるようになるよう願っています。

1.要約とは

まず「要約」とは何か、その意味、定義を明確にしておきましょう。

1-1.「要約」の定義

「要約」を広辞苑で調べると、以下のように説明されています。

【要約(よう-やく)】

①文章などの要点をとりまとめて、短く表現すること。また、そのとりまとめた言葉や文。
②契約をすること。約束。

引用:「広辞苑」(岩波書店)WEB版

また、「要約 : その性質と実践」(村越 行雄/2016年)という論文では、「要約」の定義や性質を、論文やレポートの書き方に関する9冊の書籍をもとに明らかにしようと試みていて、以下のように結論付けています。

「要約」は、「発信者がテーマを簡潔に述べて(記述する、陳述する)自分の思考を伝え、受信者はその意図を理解あるいは解釈し、自分の言葉で表現する」ことであると言うことができる。
<中略>
上記の説明が細かすぎると思うのであれば、単純化して、「要約」は、一般的に「要を約める」と定義されているが、要約の性質を知るには、むしろ「テーマを簡潔に述べる」とする方がより明確になる、と言うだけでいいであろう。

※太字はcotra編集部による

出典:「要約 : その性質と実践」(村越 行雄/「コミュニケーション文化 = Communication in culture」跡見学園女子大学文学部コミュニケーション文化学科 編/p.73-84/2016年)

つまり、「要約」とは、元の文章を書いた人が言いたいこと、テーマをくみ取って、簡潔にまとめること、と言えるでしょう。

ポイントは、

・文章の言いたいこと、テーマをくみ取る
・簡潔にまとめる

の2点です。

1-2.「要約」と「要旨」の違い

「要約」の意味が「文章のテーマを簡潔にまとめること、まとめたもの」であることはわかりました。

が、その意味であれば、似たような言葉が他にもありますよね。

前出の「要約 : その性質と実践」(村越 行雄/「コミュニケーション文化 = Communication in culture」跡見学園女子大学文学部コミュニケーション文化学科 編/p.73-84/2016年)でも、「要約という語以外にも、要点、論点、重要点、縮約、要旨、摘要、概略、概要、大要、梗概、大略、論旨、縮尺、概説、あらまし、あらすじ、サマリー、エッセンス、アプストラクト、レジュメ、ダイジェスト、リードなどの語もあり、少し調べただけでも23の語が見つかった。これらの語が言い換え可能で、同等の意味として使用されている。」と、多くの同義語、類語があることに言及されています。

中でも特に混乱されやすいのは「要旨」という言葉です。

そこで、「要約」と「要旨」の意味を、広辞苑で比べてみましょう。

【要約(よう-やく)】
①文章などの要点をとりまとめて、短く表現すること。また、そのとりまとめた言葉や文。

【要旨(よう-し)】
肝要な趣旨。大体の内容。

引用:「広辞苑」(岩波書店)WEB版

一見似たような意味ですが、あえて違いを挙げるなら以下のように考えられます。

◎要約:元の文章の要点を、元の文章構成・論理構造を生かして短くまとめる
 →文章の順番を入れ替えない
  要点をまとめる際に、元の文章量に比例するようにまとめる
  (長い段落は比較的ボリューム多めに、短い段落は短くまとめる)

◎要旨:元の文章で筆者が言いたいことだけをまとめる
 →文章の順番を入れ替えたり、段落ごと削ってしまってもよい

となると、多くの場合は「要約」より「要旨」のほうが、文章が短くなります。

極端にいえば、「要旨」は「筆者の言いたいこと」一文のみでも箇条書きでも構いません。

一方で「要約」は、「文章全体の論旨」がわかるようにまとめるため、ある程度の長さが必要だといえるでしょう。

2.要約の手順・4ステップ

では、文章の「要約」はどのようにすればいいのでしょうか?

それには決まったルールはありません。

が、「うまく要約できない」という人は、以下のような4ステップの手順で行なえば上手にまとめることができるでしょう。

2-1.文章のおおまかな内容を把握する

まずは、文章全体を通して読み、何が書かれているのかおおまかに把握しましょう。

細かい部分を読み込むというより、文章の全体像をざっくり頭に入れるイメージです。

その際に、特に以下の点に着目して読んでください。

◎タイトル:著者がその文章で主張したいことがひと言でまとめられています


◎目次、見出し:
段落ごと、章ごとの主張や内容
がわかると同時に、目次や見出しの流れを見ることで、文章全体の流れ、論理構成がわかります
(問題提起→仮説→事例→検証→反論→反論への反論→結論 といった流れ)

◎序論、前書き、プロローグなど:
著者の主張や文章全体の要約
が書かれていることも多くあります

◎結論、あとがき、エピローグなど:
同じく、著者の主張や文章全体の結論が書かれていることが多いです

また、上記以外の部分からも、このようなポイントを読み取っておきましょう。

・著者が主張したいこと、テーマに対して、どんな根拠や理由を挙げているか
・具体的な事例、理論や説、データなどが挙げられている箇所はどこか

もし文章が長くて覚えておくことが難しければ、傍線や付箋をつけたりメモに抜き書きするなど、自分でやりやすい方法で把握しておいてください。

2-2.文章を「意味段落」に分ける

次に、長い文章を「意味段落」ごとに分けます

「意味段落」とは、同じ趣旨のことが書かれている一連の文章のまとまりです。

それに対して、改行して文頭を1文字下げて書かれた段落を「形式段落」と言い、いくつかの形式段落をその内容ごとにまとめて意味段落とする場合が多いでしょう。

例えば、以下のようなケースです。

 コンタクトセンターには、「アウトバウンド型」と「インバウンド型」があります。この両者の違いは、電話を「発信」する業務が多いか、「受信」する業務が多いかの違いです。(①)

 アウトバウンド型コンタクトセンターは、オペレーター側から顧客に電話を発信します。そのため、顧客からの電話を受信することはありません。商品・サービスの紹介やお知らせなどを顧客に伝える「営業」として電話をかけるので、基本的に発信がメインです。(②)

 たとえば「ウイルス対策ソフトの導入は検討していますか?弊社では近年のハッキングやPCへのウイルス感染を研究し、非常に強力なウイルス対策ソフトが発売となりましたので、ぜひ一度ご検討ください。」と顧客に対して発信の上で商品の紹介、お知らせをする場合はアウトバウンド業務です。(③)

 一方でインバウンド型コンタクトセンターは、顧客からの受電がメインです。そのためオペレーターから顧客に電話をかけるケースはあまり多くありません。商品・サービスの申し込みやお困りごとの解決がメイン業務です。(④)

 たとえばパソコンやスマホを開発・販売している企業に対して、「使い方がわからない」と顧客から企業に電話する場合はインバウンド業務になります。(⑤)

引用:「コールセンターのアウトバウンドとは?インバウンドとの違いを徹底解説」

※(①~⑤)はこの記事のために加筆

上記の場合、①~⑤はそれぞれ個別の形式段落です。

が、意味段落で分けると、

・①:コンタクトセンターに2種あることとその違いを概説
・②~③:アウトバウンド型についてくわしく説明し、それを補強する実例を挙げる
・④~⑤:インバウンド型についてくわしく説明し、それを補強する実例を挙げる

という3段落になるのです。

要約する際には、このように「何が書かれているか」の意味のまとまりごとに、文章を区切っていきましょう。

実際には、元の文章が長文であれば、ひとつの意味段落はもっと長くなるはずです。

特に、以下のような接続詞に注目すると段落分けしやすくなります。

・「しかし」「だが」「ところが」など逆説の接続詞:文章の趣旨が逆の内容に変わる
・「一方」「逆に」「そのかわり」など対比の接続詞:前後の文章が対比、比較されている
・「さて」「ところで」など転換の接続詞:文章の話題が別のものに変わる

2-3.段落ごとの要点とキーワードを抜き出す

意味段落ごとに分けたら、今度はそれぞれの段落から要点とキーワードを抜き出します。

抜き出しが難しければ、以下の手順で行ってみてください。

1)その段落で書かれているのは、著者の「主張したいこと」なのか、その「主張の根拠、理由」なのか「主張の具体例」なのか、あるいは「主張に対する反論」なのかを読み取る
2)読み取った主旨に沿ったキーワード、重要な文章(キーセンテンス)を抜き出す(アンダーラインを引くなど)
3)段落ごとに抜き出したキーワードやキーセンテンスを、順番に並べて読んでみる
4)不要なものはなるべく削る

これで、文章全体を要約するための骨組みができました。

抜き出されたキーワードとキーセンテンスは元の文章の論旨、それを順番に並べたものは元の文章の論理構成に沿っているはずです。

ここでもし、「論旨がスムーズに通っていない」と感じた場合は、キーワード、キーセンテンスの抜き出しが間違っている可能性がありますので、もう一度段落ごとの意味をくみ取りなおしましょう。

2-4.自分の言葉でまとめる

ここまでできれば、あとは文章にするだけです。

抜き出したキーワード、キーセンテンスに肉付けしていきましょう。

ただし、前項で抜き出したキーワードや文章を、ただつなぎ合わせたものは「要約」とは言えません。

「自分の言葉で」咀嚼して書き直す必要があります。

たとえば、

・難解な語句や表現は、わかりやすく言い換える
・はじめて読む人でもわかるように、不足している説明を補う
・主語と述語のつながりが不自然であれば、意味が通るように書き直す
・同じ内容や表現があれば、必要ないものを削除する

といった作業が必要です。

書き直してまとめたら、最後に通して読んでみてください。

元の文章で筆者が言いたかったことを、元の文章構成に従って、誰にでもわかりやすく簡潔にまとめることができていれば、要約文の完成です。

3.要約のポイント

さて、前章の手順を踏めば、長い文章でも簡潔に要約することができますが、さらにうまくまとめるには抑えるべきポイントがいくつかあります。

それは、以下の3点です。

3-1.必要な3要素をおさえる

まず、文章には以下の3つの要素が必須です。

キーワードやキーセンテンスを抜き出したら、どれがこの3つに該当するのかを見極めて、これらを要約文の軸にするといいでしょう。

①主張・結論
②その主張・結論を説明するための理由・根拠
③それらに説得力を持たせる事実・具体例

それぞれもう少しくわしく説明します。

3-1-1.主張・結論

まず、意味段落ごとの主張、テーマを抜き出した中から、もっとも言いたいであろうことを、文章全体の主張や結論を記載しましょう。

もしくは、「したがって」「よって」「そのため」「このように」といった接続詞のあとに結論が続くパターンも多いので、接続詞を活用すると他の人が見た際に分かりやすい文章になるでしょう。

3-1-2.理由・根拠

もっとも重要な主張・結論がまとめられたら、それを主張する理由、根拠となっている部分を記載します。

なぜこの主張に至ったのか、どうしてこのように考えたかということをこれはひとつとは限りません。

ひとつの主張・結論に対していくつかの理由・根拠が挙げられている場合も多くありますので、漏らさずピックアップしましょう。

3-1-3.事実・具体例

さらに、多くの文章では上記の理由・根拠を補強するための事実や具体例が書かれていますので、それも抽出します。

たとえば、数値などのデータ、客観的な事象、実際に起きた事例などです。

3-2.不要な文章はそぎ落とす

要約に必要な3要素をおさえたら、それ以外の不要な部分はできる限り削り落としていきましょう。

特に削除したいのは以下の2つの要素です。

◎同じ内容が重複している部分や、言い換えになっている部分

長い文章では、筆者が主張したいことを繰り返し述べたり、一度説明したことをさらにわかりやすい言葉や別の表現で言い換えたりするケースがよくあります。

その場合、中でももっとも筆者が言いたいことが強く表現されている部分、または全体の論旨の流れの中で欠かせない部分のみを残し、それ以外は極力削除してください。

◎例を挙げている部分

3-1-3.事実・具体例では、「理由・根拠」に説得力をもたせる論拠となる「例」について説明しました。

これは要約する際にも削ることができない重要な要素ですが、それ以外の例は削除してかまいません。

たとえば、ある事柄をよりわかりやすくイメージさせるために具体例を挙げているケースなどです。

特に、「たとえば」「いわば」「具体的には」など、例示の接続詞が文頭におかれている場合は、削除できる「例」の可能性がありますので、注目しましょう。

3-3.キーワードは必ず入れる

キーワードとキーセンテンスをつなげるだけでは要約にならない、ということは前述しました。

が、筆者が特に主張したいテーマや論旨に関わるキーワードは、削除や言い換えをせずにそのまま残しましょう

特に、何度か繰り返し使われるキーワードや、「」(カギかっこ)などで強調されている言葉は、筆者の主張にとって重要なものである可能性が高いので、それらはかならず要約文に入れてください。

4.要約の注意点

ここまでは、要約の際に「すべきこと」を挙げましたが、反対に「してはいけないこと」ももちろんあります。

この章では、そんな注意点を3つ挙げておきましょう。

4-1.文章の順番は入れ替えない

まず、何度か前述したように、文章の順番を入れ替えてはいけません

「AはBである。なぜならCという事例があるからだ」という構成の文章を要約する場合、「CがあるからAはBだといえる」というように構成を組み替えるのはNGです。

あくまで、「A=B、その理由はC」という順番に沿って要約します。

これは、「要約」が文章の内容をまとめるだけでなく、論理構成も含めて伝える必要があるためです。

ちなみに、「要旨」であれば「C→A→B」や「A→C→B」など、順番を入れ替えても結構です。

4-2.元の文章を切り貼りしない

また、元の文章から抜き出した言葉や文章を、そのまま切り貼りするのも避けましょう

最初に元の文章を読んだときに、重要だと思った部分にアンダーラインを引いていくと、それらを接続詞でつないで少し整えるだけでも文章として成立する場合があります。

が、これは「要約」とは言えません。

要約は、そもそもの前提として、「要約した人が、元の文章をよく理解していること」が必要だからです。

ただの文章の切り貼り、コピー&ペーストなら、なんとなく重要そうな部分を抜き出せばいいので、文章を深く理解していなくてもできてしまいます。

そうではなく、元の文章の著者が言いたいことを理解し、咀嚼した上で、自分なりの言葉、表現でわかりやすく言いなおしてまとめることが重要なのです。

4-3.自分の意見や解釈は入れない

とはいえ、「要約」はあくまで「元の文章のまとめ」です。

自分の言葉に言い換えることはしても、「著者の主張にはない、自分の意見や解釈を付け加える」ことは絶対にしてはいけません

「AはBである。なぜならCという事例があるからだ」という論旨に対して、「ということは、おそらくB=Dということも言えるだろう」とか「C以外にもEという事例もある」などと考えて、元の文章にはない「D」や「E」についても書くと、それは「要約」ではなく「曲解」もしくは「改ざん・改変」になってしまいます。

あくまでも、元の文章に書かれている事柄・言葉の範囲内で言い換え、まとめるようにしてください。

5.コンタクトセンター(コールセンター)における「要約」の必要性

ここまで、一般的な「要約」について説明してきましたが、要約はコンタクトセンター(コールセンター)においても必要で重要な作業です。

そこで、この章からはコンタクトセンターにおける要約について考えていきましょう。

まずは、「コンタクトセンターではどんな局面で要約が必要になるのか」について説明します。

5-1.後処理で応対内容を「要約」して記録に残す

コンタクトセンター、特に電話応対が中心のセンターにおいては、顧客対応後にその応対内容を記録に残す必要があります。

記録の方法はセンターによって異なりますが、オペレーター自身が内容を簡単にまとめて、データベースに入力する、というところも多いでしょう。

その際には、長い会話の内容を「要約」して記録に残す必要があります。

というのも、会話の内容すべてを記録すると、本題とは関係ない部分も多いためです。

それでは、あとで「前回はどんな内容で応対したかな?」とか「今までに同じ問い合わせがあった際には、どんな対応だった?」といった確認をする必要が生じた際に、必要な部分を見つけるのに大変な手間がかかるでしょう。

後々に内容を参照したり確認するためには、なるべく簡潔に要約しておかなければならないのです。

後処理における要約については、次章でくわしく説明しますので、そちらも参照してください。

5-2.相手の話を「要約」して伝えることで理解を示す

コンタクトセンターでは、基本的なポイントのひとつに、「相手の話を要約して理解を示す」というものがあります。

相手の会話をよく聴いた上で、「つまり、〇〇ということでしょうか?」「それは△△ということですね?」と、要点をまとめて自分の言葉に言い換えて自分が理解していることを伝えるのです。

その効果は、主に以下の3つが挙げられます。

◎「傾聴」の姿勢を示すことができる
◎会話に齟齬が生まれるのを防ぐ
◎応対時間を短縮できる

これについては7章でくわしく説明しますが、とにかく「要約」は、コンタクトセンターでの顧客対応において欠かせないスキルなのです。

6.後処理で効率的に「要約」する方法

前述したように、コンタクトセンター(コールセンター)で電話応対した際には、応対後にその内容を要約して記録に残す必要があります。

が、オペレーターが話をうまく「要約」できないために、ACW(=平均後処理時間)が長くなってしまい、センターの業務効率が上がらないというケースもよくあるようです。

では、応対内容の要約を効率的に行うには、どうすればいいのでしょうか?

その方法は、主に以下の2つです。

◎プルダウン式やテンプレートを活用する
◎音声認識ツールや自動要約ツールを利用する

それぞれくわしく説明しましょう。

6-1.プルダウン式やテンプレートを活用する

まず、あらかじめよくある応対内容の要約文を作成しておき、コンタクトセンターシステムの後処理画面上で、プルダウン式で選択するようにしたり、テンプレートにしてコピー&ペーストできるようにする方法があります。

たとえば通信販売のインバウンドであれば、まず応対内容を「申し込み」「キャンセル」「返品」「商品未着」など大きくカテゴリー分けし、さらに「商品が思っていたものとは違ったため返品したい」「サイズが合わないので返品したい」「不具合があるので返品したい」など、想定される内容を短くまとめた文章にします。

それをプルダウンで選択、もしくはテンプレートからコピーして、あとは細かい情報(日時、くわしい状況など)を書き込むようにすれば、要約の手間は大幅に省けます。

実際に、このような機能を持ったコンタクトセンターシステムもさまざまありますので、利用するといいでしょう。

6-2.音声認識ツールや自動要約ツールを利用する

また近年は、音声をそのままテキスト化する「音声認識ツール」や、さらにそれを自動的に要約してくれる「自動要約ツール」なども広まってきました。

これらを利用すれば、応対内容を人力で逐一メモする必要もありませんし、要約もAIが適切に行ってくれます。

つまり、オペレーターが後処理にかける時間を最小限まで短縮することが可能なのです。

ちなみに、トランスコスモスでは、コンタクトセンターなど電話応対業務を行う企業・部署向けの音声認識ソリューション「transpeech」(トランスピーチ)を提供しています。

「transpeech」は、音声認識率90%超という高精度を誇り、会話内容を忠実にテキスト化するシステムです。

さらに、音声認識した会話テキストを要約する「対話要約」通話中の顧客の感情をパラメータ表示できる「感情解析」などの機能も充実し、顧客とのやりとりをより正確に記録・要約することが可能です。

トランスコスモスでは、この「transpeech」を音声認識環境の導入から運用までをワンストップで提供します。

くわしいサービス内容については、こちらから資料をご確認ください。

7.顧客対応で有効な「要約」の使い方

さて、コンタクトセンター(コールセンター)において重要なもうひとつの「要約」=「顧客対応における要約」についても説明しておきましょう。

7-1.顧客対応における「要約」の3つの効果

5-2.相手の話を「要約」して伝えることで理解を示す」で触れたように、「要約」を用いることによって、以下の3つの効果があります。

◎「傾聴」の姿勢を示すことができる
◎会話に齟齬が生まれるのを防ぐ
◎応対時間を短縮できる

要約のコツを知る前に、「要約が顧客対応においてどのように有効なのか」を理解しておきましょう。

7-1-1.「傾聴」の姿勢を示すことができる

相手の話を要約して返すことで、「あなたの話をよく聴いています」「理解しています」という、いわゆる「傾聴」の姿勢をアピールすることができます

これにより相手は、「この人は、自分の言いたいことをわかってくれている」と感じるのです。

コンタクトセンターに電話をする顧客は、疑問解決や悩み事の相談など自身が抱いている問題を解決することを目的に電話をしています。

そのため、話の切れ目ごとに、「それは〇〇ということでよろしいでしょうか?」「つまり△△ということですね?」と適宜要約を挟んでいけば、相手は「ああ、自分の疑問・悩みを受け止めてくれている、理解してくれている」と感じ、心の距離が縮まっていきます。

これをじっくり繰り返していけば、最終的には顧客に安心感、信頼感を抱かせることができるというわけです。

7-1-2.会話に齟齬が生まれるのを防ぐ

コンタクトセンターで注意しなければいけないことのひとつに、「お互いの認識が食い違わないよう一致させる」ことがあります。

話を聞き違えたり、間違った解釈をしたり、思い込みがあったりすると、後々「言った・言わない」のトラブルや聞きたいことと違う回答であったと不信感を頂かせてしまう恐れがあるためです。

そのリスクを未然に防ぐためにも、「要約」は有効です。

相手の話を、こちらの言葉で言い換えて「それは〇〇ということですね?」と確認することで、「はい、その通りです」「いいえ、そうではなくて△△です」というフィードバックが得られます。

これにより、お互いの認識をすり合わせながら話を進めることができ、会話の齟齬を避けられるのです。

7-1-3.応対時間を短縮できる

さらに、相手の話を要約することで、問題の本質が明確になるため、問題解決までのスピードが速まり、結果として応対時間の短縮にもつながります。

話をただ聞いているだけでは、顧客が伝えたいことが伝わりづらかったり、オペレーターが間違った解釈をしている可能性があるまま、対応を進めることになります。

その結果、顧客の問題がなかなか解決できず対応が長引いてしまうのです。

話の随所に要約を挟むことでコンタクトセンターに問い合わせをした問題の本質を確認しながら対応することができ、問題解決までスムーズに案内ができるようになります。その結果、よりスピーディーに終話することができるというわけです。

7-2.顧客対応における要約のコツ

このように、「要約」は顧客対応に対して非常に有効です。

では、実際にどのように要約すればいいのでしょうか?

そのコツを紹介しておきましょう。

7-2-1.最初はよく聴き、徐々に「要約」を増やす

顧客対応で第一に大切なのは、相手の話をよく聴くことです。

要約を挟むにしても、最初からちょこちょこ口をはさんでしまうと、相手は「まだ話が終わっていないのに、途中で遮られた」と不快に感じてしまいます。

そこで、最初のうちは相手の話を聴くことに徹し、口を挟むのは相槌や短い確認程度にとどめましょう。

そして、ある程度話が進んで来たら「要約」を始め少しずつこちらの話す分量を増やしていきます

終盤では、こちらが要約や問題解決法の確認などについて話す分量のほうが、相手の話す分量よりも多くなるようにもっていくのが理想的です。

7-2-2.「下位語」は「上位語」に言い換える

まず注目したいのは、「上位語」と「下位語」の関係です。

同じカテゴリーの語句のうち、より抽象的・一般的・総称的なものを「上位語」、より具体的なものを「下位語」といいます。

たとえば、「動物」「哺乳類」「犬」「柴犬」という言葉では、「動物」は「哺乳類」の上位語、「柴犬」は「犬」の下位語ということになります。

上位語 ←←← →→→ 下位語
動物 > 哺乳類 > 犬 > 柴犬

顧客対応では、相手の言った「下位語」は「上位語」に言い換えることもテクニックの一つであり、

特にクレーム対応では有効です。

相手は、具体的に自分が被った不便や不利益、理不尽と感じた出来事などを細かく話すでしょう。

それを要約する際には、具体的な部分=下位語を上位語に言い換えるのです。

たとえば、「店員に『〇〇〇(=具体的な言葉)』と言われた」というクレームであれば、その具体的な「〇〇〇」という言葉=下位語を、「失礼な言い方」「不愛想な態度」「お約束と違う対応」などの上位語に変えて、「失礼なことを申し上げて、ご気分を害されたのですね?」といった要約をします。

これにより、相手も事態の些末な枝葉から本質に目を向けることができ、話が前に進みやすくなります。

7-2-3.「上位語」は「下位語」に言い換える

逆に、相手が「上位語」で話をした場合は、「下位語」に言い換えるのも有効です。

たとえば、「店員の態度が失礼だった」というクレームであれば、「それは、〇〇〇されたといったことでしょうか? あるいは△△△でしたか?」と具体的な例を挙げます。

それに対して相手は、「そうそう、〇〇〇でした」とか「いえ、そうではなくて✖✖✖だったんです」といったように、自分が言いたいことをより明確化することができるでしょう。

この「要約」のフィードバックを繰り返すことによって、相手は「話をよく聴いてもらえている、理解してくれている」と信頼感を高めるはずです。

7-2-4.情報の削りすぎや思い込みを避ける

相手の話を要約する際には、不要な部分はできるだけ削る必要があります。

が、削りすぎて必要な要素を無視したり、自分の思い込みで話を進めてしまっては、相手の問題は解決しません

「事前に〇〇の予約をしていたのに、店員から『〇〇はもうない、取り寄せると△日かかる』と言われた」という相談に対して、「店員は『〇〇はない』と言ったのですね」と要約してしまうと、「事前に予約していた」「取り寄せることができるが△日かかる」という重要な情報が抜けてしまいます。

これでは、責任の所在や解決法が見えなくなってしまうでしょう。

また、「店員は『〇〇はもうない』と言った」という情報に対して、「きっと上から目線で失礼な態度だったに違いない」といった勝手な思い込みも禁物です。

実際は、ていねいに謝罪しながら、代替案も出していたかもしれません。

そこは思い込みを捨てて、じっくり相手の話を聴きだし、事実にもとづいた適切な要約をしましょう。

まとめ

いかがでしたか?

では最後にもう一度、要点をまとめておきましょう。

◎「要約」とは、元となる文章について、それを書いた人が言いたいこと、テーマをくみ取って、簡潔にまとめること

◎要約の手順は以下の4ステップ
 1)文章のおおまかな内容を把握する
 2)文章を「意味段落」に分ける
 3)段落ごとの要点とキーワードを抜き出す
 4)自分の言葉でまとめる

◎要約のポイント
 ・必要な3要素をおさえる
 ・不要な文章はそぎ落とす
 ・キーワードは必ず入れる

◎要約の注意点は以下の3つ
 ・文章の順番は入れ替えない
 ・元の文章を切り貼りしない
 ・自分の意見や解釈は入れない

◎コンタクトセンターにおける要約が必要なのは
 ・後処理で応対内容を「要約」して記録に残す
 ・相手の話を「要約」して伝え理解していることを示す

◎顧客対応における要約の効果は以下の3つ
 ・「傾聴」の姿勢を示すことができる
 ・会話に齟齬が生まれるのを防ぐ
 ・応対時間を短縮できる

以上を踏まえて、あなたが上手に要約を活用できるよう願っています。

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