
「論文を要約しなければいけないけれど、どこをどうまとめればいいのかわからない」
「コンタクトセンター(コールセンター)で『応対内容を要約するように』と言われるけれど、うまく要約できずに長くなってしまう」
「要約」に関して、そんな悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。
「要約」とは、要点(本質的な部分・重要な部分)を抜き出して、短くまとめる手法です。
その手順は、
【ステップ1】文章全体をさらっと読んで全体像を把握する |
の4ステップで簡単に行えます。
しかし、文章の順番を入れ替えない、自分の意見や解釈を付け加えないなど、いくつかの注意点やポイントを押さえておく必要があります。
そこでこの記事では、要約について知っておくべきことをまとめました。
まず前半では、一般的な「要約」について解説します。
◎「要約」の定義 |
そして後半では、コンタクトセンター(コールセンター)において「要約」を活用するためのノウハウを挙げていきます。
◎コンタクトセンターにおける「要約」の必要性 |
最後まで読めば、「要約」について知りたいことが分かるでしょう。
この記事が、あなたが上手な要約ができるようになるための一助となれば幸いです。
1.要約とは

まず「要約」とは何か、その意味や定義を明確にしておきましょう。
1-1.「要約」の定義
要約とは、文章や情報の内容から要点(本質的な部分・重要な部分)を抜き出して、短くまとめる手法のことです。

どれだけ膨大な情報や長文であっても、要約を活用することで、読み手が短時間で要点を把握できるようになります。
要約は、勉強やビジネスシーンで活用されることが多く、たとえば、
・長いレポート |
などで要約が行われるケースが多い傾向にあります。
要約の例として、以下はデジタル庁の「第9回デジタル社会構想会議」の議事録(34,101文字)を要約したものです。
【要約文(285文字)】 第9回「デジタル社会構想会議」では、デジタル庁の重点計画の進捗が報告され、マイナンバーカードの普及、自治体のDX推進、データ連携基盤の整備などが進んでいることが示された。一方で、国民のデジタル化への不安、自治体の人材不足、費用負担の課題が指摘され、さらなる支援の必要性が強調された。 また、個人情報保護法の改正に関し、規制と利活用のバランスを取る必要性が議論された。AIの活用やデータ流通の国際協力も重要視され、とくに特に地方のデジタル化と持続可能な社会構築への貢献が求められた。最後に、デジタル庁の人材不足が課題として挙げられ、専門人材の確保・育成が急務であることが確認された。 |
参考:デジタル庁「第9回デジタル社会構想会議」
34,101文字の会議内容がこれだけコンパクトになれば、この会議の要点がすぐに分かることを実感できるでしょう。
このように、重要な箇所を抜き出して短く簡潔にまとめることで、全体像をすぐに把握できるのが「要約」なのです。
1-2.「要約」と「要旨」の違い
要約についてより深く理解するために、似た言葉である「要旨」との違いを明らかにしましょう。
「要約」と「要旨」の違いは、文章全体を短くまとめるのか、それとも核心部分のみを抜き出すのかという点にあります。
具体的には、以下のポイントに違いがあります。
要約と要旨の違い | ||
要約 | 要旨 | |
目的 | 文章や情報全体を短く整理する | 文章や情報の核心部分のみを抜き出す |
長さ | 比較的長めで、詳細を含むこともある | より短く、要点のみを提示する |
たとえば、先ほど例に挙げた「第9回デジタル社会構想会議」の議事録の「要約」と「要旨」を比較してみましょう。
【要約】 第9回「デジタル社会構想会議」では、デジタル庁の重点計画の進捗が報告され、マイナンバーカードの普及、自治体のDX推進、データ連携基盤の整備などが進んでいることが示された。一方で、国民のデジタル化への不安、自治体の人材不足、費用負担の課題が指摘され、さらなる支援の必要性が強調された。 また、個人情報保護法の改正に関し、規制と利活用のバランスを取る必要性が議論された。AIの活用やデータ流通の国際協力も重要視され、とくに特に地方のデジタル化と持続可能な社会構築への貢献が求められた。最後に、デジタル庁の人材不足が課題として挙げられ、専門人材の確保・育成が急務であることが確認された。 |
参考:デジタル庁「第9回デジタル社会構想会議」
【要旨】 会議では、デジタル化の進展と課題が議論され、とくに特にマイナンバーカードの普及、人材不足、データ活用が焦点となった。デジタル庁の人材強化と自治体支援が求められた。 |
参考:デジタル庁「第9回デジタル社会構想会議」
このように、要約と要旨では、元の文章・情報から抜き出す量や深さが異なるため、結果として出力される文章は要旨のほうが短く、要約のほうが長くなります。
2.要約の具体例3つ

要約の概要について理解したところで、要約のイメージをより具体的につかめるよう、以下3つの要約例をご紹介します。
・論文の要約 |
それぞれの要約例を見ながら、要約への理解を深めていきましょう。
2-1.論文の要約|20,000字→225字
1つ目は論文の要約です。
アロマテラピー学雑誌に掲載された以下の論文「澤井久子、水上勝義:テレワーク就業者の心身に対する精油の香りの影響(2025)」をもとに要約文を作成しました。

出典:アロマテラピー学雑誌Vol.26「澤井久子、水上勝義:テレワーク就業者の心身に対する精油の香りの影響(2025)」
およそ20,000字ある上記の論文を、以下のように要約しました。
【要約文(225文字)】 この研究は、テレワーク就業者の心身の健康と仕事のパフォーマンスに対する精油の香りの影響を調査しました。 30名の参加者が4週間にわたり、日中はローズマリー・シネオールまたはスイートオレンジ、夜間は真正ラベンダーまたはベルガモットの精油を使用しました。 結果、精油を使用したグループは仕事のパフォーマンスが向上し、気分の活性度、安定度、快適度が有意に改善されました。 これにより、精油の香りがテレワーク就業者のセルフケアとして有用である可能性が示唆されました。 |
参考:アロマテラピー学雑誌Vol.26「澤井久子、水上勝義:テレワーク就業者の心身に対する精油の香りの影響(2025)」
この要約文は、
・どのようなテーマで |
が分かる構成となっており、研究の概要を把握することができます。
2-2.記事の要約|約12,000字→362字
2つ目は記事の要約です。
トランスコスモスが運営する情報サイトCotraに掲載されている記事「アウトバウンド型コンタクトセンターとは?業務内容・導入メリット・活用例をわかりやすく解説」をもとに、要約文を作成しました。

出典:トランスコスモスCotra「アウトバウンド型コンタクトセンターとは?業務内容・導入メリット・活用例をわかりやすく解説」
【要約文(362字)】 この記事では、アウトバウンド型コンタクトセンター(コールセンター)について解説しています。アウトバウンドとは、企業が顧客に対して電話やメールなどで積極的に連絡を取り、営業活動や市場調査を行う業務形態を指します。これに対し、インバウンドは顧客からの問い合わせや注文を受け付ける受動的な業務です。 アウトバウンド型コンタクトセンターの主な業務には、テレフォンアポイントメント(新規顧客への営業)、テレリサーチ(電話による市場調査)、テレマーケティング(電話を通じたマーケティング活動)、テレセールス(電話による直接販売)などがあります。 これらの業務を通じて、企業は能動的に顧客と接点を持ち、売上拡大や市場情報の収集を図ることができます。ただし、質の高い顧客リストの作成や、顧客情報管理システムの導入など、適切な運用が求められます。 |
参考:トランスコスモスCotra「アウトバウンド型コンタクトセンターとは?業務内容・導入メリット・活用例をわかりやすく解説」
このように、要約文を読むことで記事の全体像を把握でき、本文を読む前に必要な情報が書かれているかどうかを判断できます。
2-3.会議の議事録|21,154字→518字
3つ目は会議の議事録の要約です。
東京都教育委員会における「令和6年東京都教育委員会第16回定例会」の議事録(21,154字)をもとに、要約文を作成しました。

出典:「令和6年東京都教育委員会第16回定例会」議事録
【要約文(518字)】 令和6年第16回定例会が開会し、新任の坂本教育長が就任の挨拶を行った。 「東京都特別支援教育推進計画(第三次実施計画)」が報告され、特別支援学校の整備やインクルーシブ教育の推進が示された。委員からは、国連勧告や発達障害の子供への配慮を求める意見が出された。 「(仮称)子供・若者体験活動施設 事業構想(案)」では、ユース・プラザ事業を改編し、多様な子供・若者への支援を強化。委員からは、地域連携の重要性が指摘された。 「高校生いじめ防止協議会」では、いじめ防止に関するアンケート結果をもとに、相談体制強化や仲間意識の向上が議論された。より多くの高校生の声を反映すべきとの意見も出た。 「都立高校チャレンジサポートプラン」が報告され、不登校生徒の支援強化、相談体制の拡充、新たな学校の開設が計画された。夜間定時制課程の一部募集停止に関する請願は、適切な学習環境の確保を前提として、計画通り進めることが決定。 令和7年度の都立高校等の募集人員についても報告され、募集人員の減少、チャレンジスクール「立川緑高校」の新設、夜間定時制7校の募集停止が決定。委員からは、地域ニーズへの適合や情報周知の徹底を求める意見が出た。 次回の教育委員会は11月14日に開催予定。 |
参考:「令和6年東京都教育委員会第16回定例会」議事録
このように、会議の議事録を要約することで、
・会議の議題は何か |
といった点が、全文を読まなくても理解でき、「会議で何が議論されたのか」という全体像を把握することができます。
3.【例文付き】要約の手順・4ステップ

では、文章の「要約」はどのようにすればよいのでしょうか。
要約の意味は分かっていても、「上手く要約する自信がない…」と感じている人も多いでしょう。
そこで3章では、誰でも簡単に要約ができるように、その手順を以下4ステップにまとめました。
要約の手順4ステップ |
【ステップ1】文章全体をさらっと読んで全体像を把握する |
なお、各ステップでは例文を用いてやり方を示すため、要約の進め方のイメージが湧きやすくなっています。
それでは、各ステップを見ていきましょう。
3-1.【ステップ1】文章全体をさらっと読んで全体像を把握する
ステップ1は、「文章全体をさらっと読んで全体像を把握する」ことです。
いきなり細かい部分を読み込むと、重要な点を見落としたり、要点を誤って理解したりする可能性があります。
そこで最初に文章全体をさらっと読むことで、「何について書かれているのか」「大まかな流れはどうなっているのか」をつかむことができます。
以下のポイントを押さえながら、まずは文章全体をさらっと読んでみましょう。
文章全体をさらっと読む際のポイント |
◆文章のテーマを把握する ◆構成を確認する |
それでは、例文をもとに全体像を把握してみましょう。
◆元の文章 近年、リモートワークの普及が進み、企業や個人の働き方が大きく変化している。これまでのオフィス勤務では、従業員は決められた時間に出社し、対面でのコミュニケーションを通じて業務を進めていた。しかし、リモートワークの導入により、通勤の負担がなくなり、柔軟な働き方が可能になった。これにより、ワークライフバランスの向上や生産性の向上が期待されている。 一方で、リモートワークには課題も多い。まず、自宅の作業環境が整っていない場合、集中力が低下し、業務の効率が落ちる可能性がある。また、対面でのコミュニケーションが減ることで、チームの一体感が損なわれたり、情報共有がスムーズにいかなくなったりする懸念もある。とくに特に、新入社員や若手社員にとっては、先輩からの指導を受ける機会が減り、成長の機会を逃すことにつながりかねない。 企業側も対応を迫られている。リモートワークを円滑に進めるために、オンライン会議システムやチャットツールの導入を進めているが、社員間のコミュニケーションをどう活性化させるかが課題となっている。また、従業員のメンタルヘルスのケアも重要であり、適切なフォロー体制の整備が求められる。さらに、成果主義の評価制度への移行を検討する企業も増えており、従業員のモチベーションを維持しながら、生産性を高める仕組み作りが必要となっている。 リモートワークのメリットとデメリットを踏まえると、今後はオフィス勤務とリモートワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」が主流になる可能性が高い。これにより、業務の効率を維持しながら、従業員の働きやすさを確保することが期待される。企業は、どのような働き方が最も適しているのかを見極め、柔軟な制度を設計することが求められている。 |
この場合、以下のように全体像を把握できます。
◆文章のテーマ ◆文章の構成(流れ) |
3-2.【ステップ2】文章を意味のかたまりに分ける
ステップ2は、「文章の意味のかたまりに分ける」ことです。
文章全体をそのまま短縮しようとすると、どのパートがどのような役割を果たしているのかが分かりにくくなってしまいます。
そこで、文章を意味のかたまりに整理していくことで、重要な部分とそうでない部分が明確になります。
以下のポイントを押さえながら、文章を意味のかたまりごとに分けていきましょう。
文章を意味のかたまりに分ける際のポイント |
◆「見出し」「改行」「つまり・したがって・しかし」などの接続詞のあとに続く文に注目する |
例文をもとに、意味のかたまりに分けてみましょう。
◆意味のかたまり 導入: リモートワークの普及で働き方が変化 |
3-3.【ステップ3】要点を書き出す
ステップ3は、「要点を書き出す」ことです。
文章を短くまとめるためには、不要な部分を削り、本当に伝えたいポイントだけを残すことが重要です。
ステップ2で明らかにした「意味のかたまり」を確認し、それぞれのかたまりの要点を書き出しましょう。
長文を要約する場合は、繰り返し出てくるキーワードや、結論につながる情報に注目するのがおすすめです。
例文をもとに、意味のかたまりごとに要点を書きだすと、以下のようになります。
◆要点の書き出し |
3-4.【ステップ4】要点をつなげて要約文にまとめる
ステップ4は、「要点をつなげて要約文にまとめる」ことです。
ステップ3までの準備ができていれば、あとは文章にまとめるだけです。
書き出した要点をつなげつつ、必要に応じて前後関係が分かるよう整えながら、文章の形にしていきます。
要約文にまとめる際のポイントは、以下のとおりです。
要約文にまとめる際のポイント |
◆一文を短くするように意識する 詳しい解説は、「4.要約の3つのポイント」で説明しています。 |
例文をもとに、要約文を作成すると以下のようになります。
◆要約文 リモートワークの普及により、働き方が大きく変化した。通勤時間の削減や柔軟な働き方が可能になる一方で、生産性の低下やコミュニケーション不足、若手の成長機会の減少が課題となっている。企業はオンラインツールの導入やメンタルケア、評価制度の見直しを進めており、今後はオフィス勤務とリモートワークを組み合わせた『ハイブリッドワーク』の導入が重要視されている。 |
このように4つのステップに沿って進めていけば、難しく感じていた要約も、無理なく取り組めるようになるでしょう。
4.要約の3つのポイント

前章の手順を踏めば、長い文章でも簡潔に要約することはできますが、さらに精度の高い要約にするためには、押さえておくべきポイントがあります。
それが、以下の3点です。
4-1.必要な3要素をおさえる
まず、文章には以下の3つの要素が必ず含まれています。
キーワードやキーセンテンスを抜き出したら、どれがこの3つに該当するのかを見極め、要約文の軸として整理しましょう。
①主張・結論 |
それぞれについて、もう少し詳しく説明します。
主張・結論
まず、意味段落ごとに抜き出した主張やテーマの中から、筆者がもっとも伝えたいであろう内容を見極め、文章全体の主張や結論としてまとめます。
また、「したがって」「よって」「そのため」「このように」といった接続詞のあとに結論が続くパターンも多いため、これらの表現に注目すると、他の人が読んだ際にも分かりやすい要約文になります。
理由・根拠
もっとも重要な主張・結論を整理したら、次に、その主張に至った理由や根拠となる部分を抜き出します。
なぜその結論に至ったのか、どうしてそのように考えられるのかといった理由は、必ずしも1つとは限りません。
1つの主張・結論に対して複数の理由・根拠が示されている場合も多いため、漏れのないようにピックアップしましょう。
事実・具体例
さらに、多くの文章では、上記の理由・根拠を補強するための事実や具体例が示されています。そのため、必要に応じてこれらも抽出します。
たとえば、数値データ、客観的な事象、実際に起きた事例などが該当します。
4-2.不要な文章はそぎ落とす
要約に必要な3要素を押さえたら、それ以外の不要な部分は、できる限り削っていきましょう。
とくに削除したい要素は、以下の2つです。
◎同じ内容が重複している部分、言い換え表現
長い文章では、筆者が主張したい内容を繰り返し述べたり、一度説明したことを別の言葉で言い換えたりすることがよくあります。
その場合は、もっとも筆者の意図が強く表れている部分、または全体の論旨の流れの中で欠かせない部分のみを残し、それ以外は極力削除しましょう。
◎例を挙げている部分
「事実・具体例」では、「理由・根拠」に説得力を持たせるための事実や具体例は重要であると説明しました。
一方で、それ以外の補足的な例については、要約時に削除しても問題ありません。
たとえば、内容をイメージしやすくする目的で挙げられている具体例などが該当します。
とくに、「たとえば」「いわば」「具体的には」などの例示を示す接続詞が文頭に置かれている場合は、削除できる可能性が高いため、チェックポイントとして意識するとよいでしょう。
4-3.キーワードは必ず入れる
前述のとおり、キーワードやキーセンテンスを単純につなげるだけでは、要約になりません。
しかし、筆者がとくに重視しているテーマや論旨に関わるキーワードについては、削除や言い換えをせず、そのまま残すことが重要です。
とくに、文中で繰り返し使われている言葉や、「」(カギかっこ)で強調されている表現は、筆者の主張中核となるキーワードである可能性が高いため、必ず要約文に含めるようにしましょう。
5.要約の3つの注意点

ここまでは、要約の際に「すべきこと」を挙げてきましたが、反対に「してはいけないこと」もあります。
この章では、その注意点を3つ挙げておきましょう。
5-1.文章の順番は入れ替えない
まず、これまでにも触れてきたとおり、文章の順番を入れ替えてはいけません。
「AはBである。なぜならCという事例があるからだ」という構成の文章を要約する場合、「CがあるからAはBだといえる」というように構成を組み替えるのはNGです。
あくまで、「A=B、その理由はC」という順番に沿って要約します。
これは、「要約」が文章の内容をまとめるだけでなく、論理構成も含めて正しく伝える必要があるためです。
なお、「要旨」であれば「C→A→B」や「A→C→B」など、順番を入れ替えても問題ありません。
5-2.元の文章を切り貼りしない
また、元の文章から抜き出した言葉や文章を、そのまま切り貼りするのも避けましょう。
最初に元の文章を読んだ際、重要だと思った部分にアンダーラインを引いていくと、それらを接続詞でつなぎ、少し整えるだけで文章として成立する場合があります。
しかし、これは「要約」とは言えません。
要約では、「要約する人が、元の文章を正しく理解していること」が前提となります。
単なる文章の切り貼りやコピー&ペーストであれば、重要そうな部分を抜き出すだけで成り立ってしまい、文章を深く理解していなくてもできてしまいます。
そうではなく、元の文章の著者が言いたいことを理解し、咀嚼したうえで、自分なりの言葉や表現を用いて分かりやすくまとめることが重要です。
5-3.自分の意見や解釈は入れない
ただし、「要約」はあくまで「元の文章のまとめ」です。
自分の言葉に言い換えることは必要ですが、「著者の主張にはない、自分の意見や解釈を付け加える」ことは絶対にしてはいけません。
たとえば、「AはBである。なぜならCという事例があるからだ」という論旨に対して、「ということは、おそらくB=Dということもいえるだろう」「C以外にもEという事例がある」といった考えを加え、元の文章にはない「D」や「E」について書いてしまうと、それは「要約」ではなく「曲解」もしくは「改ざん・改変」になってしまいます。
あくまでも、元の文章に記載されている事柄・表現の範囲内で言い換え、まとめるようにしてください。
6.コンタクトセンター(コールセンター)における「要約」の必要性

ここまで、一般的な「要約」について説明してきましたが、要約はコンタクトセンター(コールセンター)においても必要かつ重要な作業です。
そこで、この章からは、コンタクトセンターにおける要約について考えていきましょう。
まずは、「コンタクトセンターでは、どのような場面で要約が必要になるのか」について説明します。
6-1.後処理で応対内容を「要約」して記録に残す
コンタクトセンター、とくに電話応対が中心のセンターでは、顧客対応後にその応対内容を記録に残す必要があります。
記録の方法はセンターによって異なりますが、オペレーター自身が対応内容を簡単にまとめてデータベースに入力する、というケースも多いでしょう。
その際には、長い会話の内容を「要約」して記録に残す必要があります。
というのも、会話の内容すべてを記録すると、本題とは関係のない話題も多く含まれてしまうためです。
その状態では、あとから「前回はどのような内容で応対したのか」「これまで同じ問い合わせがあった際には、どのような対応をしたのか」といった確認をする際に、必要な情報を探すのに多くの時間がかかってしまいます。
後々の参照や確認を想定すると、内容はできるだけ簡潔に要約して記録しておく必要があります。
後処理における要約については、次章で詳しく説明しますので、あわせて参照してください。
6-2.相手の話を「要約」して伝えることで理解を示す
コンタクトセンターでの対応における基本的なポイントの1つに、「相手の話を要約して理解を示す」という考えがあります。
顧客の話を丁寧に聴いたうえで、「つまり、〇〇ということでしょうか?」「それは△△という理解でよろしいでしょうか」といった形で要点をまとめ、自分の言葉で言い換えて伝えることで、自身が内容を正しく理解していることを示します。
この対応によって、主に以下の3つの効果が期待できます。
◎「傾聴」の姿勢を示すことができる |
これらについては7章で詳しく説明しますが、このように「要約」は、コンタクトセンターにおける顧客対応に欠かせないスキルであるといえるでしょう。
7.後処理で効率的に「要約」する方法2つ

前述したように、コンタクトセンター(コールセンター)で電話応対を行った際には、応対後にその内容を要約して記録に残す必要があります。
しかし、オペレーターが応対内容をうまく「要約」できないために、ACW(=平均後処理時間)が長くなり、センター全体の業務効率が上がらないケースも少なくありません。
では、応対内容の要約を効率的に行うには、どうすればよいのでしょうか?
その方法は、主に以下の2つです。
◎プルダウン式やテンプレートを活用する |
それぞれ詳しく説明しましょう。
7-1.プルダウン式やテンプレートを活用する
まず、あらかじめよくある応対内容の要約文を作成しておき、コンタクトセンターシステムの後処理画面上でプルダウン式で選択できるようにしたり、テンプレートとしてコピー&ペーストできるようにする方法があります。
たとえば通信販売のインバウンド業務であれば、応対内容を「申し込み」「キャンセル」「返品」「商品未着」などの大きなカテゴリに分け、さらに「商品が思っていたものと違ったため返品したい」「サイズが合わないため返品したい」「不具合があるため返品したい」といった想定される内容を、短い文章としてあらかじめ整理しておきます。
それらをプルダウンで選択、もしくはテンプレートからコピーし、必要に応じて細かい情報(日時、詳細な状況など)を追記することで、要約にかかる手間を大幅に削減できます。
実際に、このような機能を備えたコンタクトセンターシステムは数多く存在するため、活用を検討するとよいでしょう。
7-2.音声認識ツールや自動要約ツールを利用する
近年では、通話音声をリアルタイムでテキスト化する「音声認識ツール」や、さらにその内容を自動で要約する「自動要約ツール」も広く利用されるようになっています。
これらを活用すれば、オペレーターが応対内容を逐一手作業でメモする必要がなくなり、要約作業もAIが補助・自動化してくれます。
その結果、オペレーターが後処理にかける時間を最小限に抑えることが可能になります。
なお、トランスコスモスでは、コンタクトセンターなどの電話応対業務を行う企業・部署向けに、音声認識ソリューション「transpeech(トランスピーチ)」を提供しています。
「transpeech」は、音声認識率90%超という高い精度を誇り、会話内容を忠実にテキスト化するシステムです。
さらに、音声認識した会話テキストを要約する「対話要約」や、通話中の顧客の感情をパラメータとして可視化する「感情解析」などの機能も備えており、顧客とのやり取りをより正確に記録・要約することが可能です。
トランスコスモスでは、この「transpeech」について、音声認識環境の導入から運用までをワンストップで提供しています。
くわしいサービス内容については、こちらから資料をご確認ください。
8.顧客対応で有効な「要約」の使い方

さて、コンタクトセンター(コールセンター)において重要な、もう1つの「要約」、すなわち「顧客対応における要約」についても説明しておきましょう。
8-1.顧客対応における「要約」の3つの効果
5-2でも触れたように、「要約」を用いることによって、以下の3つの効果が得られます。
◎「傾聴」の姿勢を示すことができる |
要約のコツを知る前に、「要約が顧客対応においてどのように有効なのか」を理解しておきましょう。
「傾聴」の姿勢を示すことができる
相手の話を要約して返すことで、「あなたの話をよく聴いています」「理解しています」という、いわゆる「傾聴」の姿勢を示すことができます。
これにより相手は、「この人は自分の言いたいことを分かってくれている」と感じます。
コンタクトセンターに電話をかけてくる顧客は、疑問の解消や悩みごとの相談など、自身が抱えている問題を解決することを目的としています。
そのため、話の区切りごとに、「それは〇〇ということでよろしいでしょうか?」「つまり△△ということですね?」と適宜要約を挟んでいくことで、相手は「自分の疑問や悩みをきちんと受け止め、理解してくれている」と感じ、心理的な距離が縮まっていきます。
これを丁寧に繰り返すことで、最終的には顧客に安心感や信頼感を持ってもらうことができるのです。
会話に齟齬が生まれるのを防ぐ
コンタクトセンターで注意すべき点の1つに、「お互いの認識を一致させること」があります。
話の聞き違いや、誤った解釈、思い込みがあると、後々「言った・言わない」といったトラブルが発生したり、質問の意図とは異なる回答をしてしまい、不信感を抱かせたりするおそれがあります。
こうしたリスクを未然に防ぐためにも、「要約」は有効です。
相手の話をこちらの言葉で言い換えて「それは〇〇ということですね?」と確認することで、「はい、その通りです」「いいえ、そうではなくて△△です」というフィードバックを得ることができます。
このやり取りを通じて認識をすり合わせながら対応を進めることで、会話の齟齬を防ぐことができます。
応対時間を短縮できる
さらに、相手の話を要約することで問題の本質が明確になり、解決までのスピードが速まるため、結果として応対時間の短縮にもつながります。
ただ話を聞いているだけでは、顧客が伝えたいことが把握できなかったり、オペレーター側が誤った解釈をしたまま対応を進めてしまったりする可能性があります。
その結果、問題解決までに時間がかかり、対応が長引いてしまうことがあります。
話の随所に要約を挟みながら、問い合わせ内容の本質を確認していくことで、スムーズに解決策を案内できるようになります。その結果、より短時間で終話することが可能になるのです。
8-2.顧客対応における要約のコツ
このように、「要約」は顧客対応において非常に有効です。
では、実際にはどのように要約すればよいのでしょうか。ここでは、そのコツを紹介します。
最初はよく聴き、徐々に「要約」を増やす
顧客対応でまず大切なのは、相手の話を丁寧に聴くことです。
要約を挟む場合でも、最初から頻繁に口をはさんでしまうと、相手は「話が終わっていないのに遮られた」と不快に感じてしまいます。
そのため、序盤は相手の話を聴くことに集中し、相槌や簡単な確認にとどめるようにしましょう。
そして、話の全体像が見えてきた段階で要約を取り入れ、徐々にオペレーター側の発話量を増やしていきます。
終盤では、要約や解決策の確認など、こちらが話す割合のほうが多くなる状態を目指すのが理想的です。
「下位語」は「上位語」に言い換える
まず注目したいのが、「上位語」と「下位語」の関係です。
同じカテゴリーに属する言葉のうち、より抽象的・一般的・総称的なものを「上位語」、より具体的なものを「下位語」といいます。
たとえば、「動物」「哺乳類」「犬」「柴犬」という語の関係では、「動物」は「哺乳類」の上位語、「柴犬」は「犬」の下位語にあたります。
上位語 ←←← →→→ 下位語 |
顧客対応では、相手が使った「下位語」は「上位語」に言い換えることも有効なテクニックの1つで、とくに苦情対応の場面で効果を発揮します。
顧客は、自身が被った不便、不利益、理不尽だと感じた出来事を、具体的な言葉で詳細に話すことが多くあります。
それを要約する際には、具体的な内容=下位語を、より抽象度の高い上位語に言い換えます。
たとえば、「店員に『〇〇〇』と言われた」という苦情の場合、その具体的な言葉を、「失礼な言い方」「配慮に欠けた対応」「お約束と異なる対応」などの上位語に置き換え、「失礼な対応をされて、ご不快な思いをされたのですね」といった形で要約します。
これにより、顧客自身も些末な事象から問題の本質に目を向けやすくなり、話を前に進めやすくなります。
「上位語」は「下位語」に言い換える
一方で、相手が「上位語」で話している場合には、「下位語」に言い換える方法も有効です。
たとえば、「店員の態度が失礼だった」という申し出に対して、「それは〇〇をされたということでしょうか。あるいは△△でしたか?」と、具体的な行動例を挙げて確認します。
それに対して顧客は、「そうそう、〇〇でした」「いいえ、✖✖✖だったんです」と、自身の意図をより明確に伝えられるようになります。
このように要約による確認を繰り返すことで、「話をよく聴いてもらえている」「きちんと理解してもらえている」という信頼感を高めることができます。
情報の削りすぎや思い込みを避ける
相手の話を要約する際には、不要な情報をできる限り削ることが求められます。
しかし、削りすぎて重要な要素を落としたり、自分の思い込みで話を進めたりしてしまうと、問題の本質を見誤ることになります。
たとえば、「事前に〇〇を予約していたのに、店員から『〇〇はもうない。取り寄せると△日かかる』と言われた」という相談に対し、「店員は『〇〇はない』と言ったのですね」と要約してしまうと、「事前に予約していた」「取り寄せるが可能で△日かかる」という重要な情報が抜け落ちてしまいます。
これでは、責任の所在や適切な解決策が見えにくくなってしまいます。
また、「店員は『〇〇はもうない』と言った」という情報から、「きっと高圧的で失礼な態度だったに違いない」といった思い込みをするのも避けるべきです。
実際には、丁寧に謝罪しながら代替案を提示していた可能性もあります。
思い込みを排し、事実にもとづいて相手の話を丁寧に聴き続け、適切な要約を行うことが重要です。
まとめ
いかがでしたか?
では最後にもう一度、要点をまとめておきましょう。
◎「要約」とは、文章や情報の内容から要点(本質的な部分・重要な部分)を抜き出して、短くまとめる手法のこと
◎要約の手順は以下の4ステップ
【ステップ1】文章全体をさらっと読んで全体像を把握する |
◎要約の3つのポイント
・必要な3要素をおさえる |
◎要約の注意点は以下の3つ
・文章の順番は入れ替えない |
◎コンタクトセンター(コールセンター)における要約が必要なのは
・後処理で応対内容を「要約」して記録に残す |
◎顧客対応における要約の効果は以下の3つ
・「傾聴」の姿勢を示すことができる |
以上を踏まえて、あなたが上手に要約を活用できるよう願っています。
