
音声感情分析とは、AIが人間の発する声から感情を読み取る技術のことです。
話し手がどのような感情で言葉を発しているのか、音声の周波数を分析して、感情を判断します。
発する言葉だけではわからない、話し手の感情を可視化できるため、コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。
以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)において通話中の顧客の感情を読み取って応対に活かす企業も多い傾向にあります。
ただし、音声感情分析を導入するためには、メリット・デメリットをしっかりと理解して、活用イメージを持って導入しなければ効果を最大限に発揮することは出来ません。
そこでこの記事では、
・感情分析のメリット・デメリット
・音声感情分析の活用イメージ
・音声感情分析の導入に向いている企業
を解説します。
また、この記事の内容は以下のとおりです。
▼本記事の内容 |
「音声感情分析を検討していて、詳しく内容について知りたい。」
「音声感情分析でコンタクトセンターの課題を解決したい。」
と考えている人にピッタリの内容です。
この記事を読むことで、音声感情分析とはどのようなものか理解できるだけでなく、自社にとって音声感情分析の導入をするべきかどうか判断できるようになります。
ぜひ最後までお読みください。
目次
1.音声感情分析とは
まずは音声感情分析の基礎知識について以下の内容を解説していきます。
▼音声感情分析とは |
1-1.音声感情分析とは、人の話し声から感情を読み取る技術のこと
音声感情分析とは、AIが人間の発する声から感情を読み取る技術のことです。
AIが音声の周波数を解析し、「満足」「楽しさ」「喜び」「怒り」「悲しみ」「不満」「平常」などの感情を分析します。
人間の感情表現は、言葉だけでは判定しづらく、非言語コミュニケーションによって表現される部分が大きい傾向にあります。
そこで音声の周波数を解析することで、より話し手の感情を理解することができるのです。
そのため、顧客との電話によるコミュニケーションが活発な「コンタクトセンター(コールセンター)」で活用されることが多い傾向にあります。
このように音声感情分析は、人の声から感情を分析でき、コンタクトセンターなどの顧客とのコミュニケーションが行われる場で活用できる技術なのです。
1-2.音声感情分析の仕組み
音声感情分析は、音声の周波数を分析することです。
そもそも感情を分析するには、
・音声の周波数成分をスペクトル解析
・音声特徴を抽出
・抽出した結果を各感情へと分類
することによって基準を作ることができるのです。
音声の特徴を分析することで、性別や年齢に関係ない分類が可能となります。
そうすることで、実際に会話をする場面において、話し手がどのような感情で話しているのか、発するテキストと組み合わせることでより話し手の感情を判定できるようになります。
2.コンタクトセンター(コールセンター)において音声感情分析が役立つシーン
先にも述べたとおり、音声感情分析はコンタクトセンター(コールセンター)において活用が進んでいますが、具体的に、コンタクトセンターにおいて音声感情分析はどのようなシーンで役立つのでしょうか。
そこで2章では、コンタクトセンターにおいて音声感情分析が役立つシーンをご紹介します。
具体的な活用シーンを知ることで、より音声感情分析のイメージが具体的になるでしょう。
それではそれぞれ見ていきましょう。
2-1.顧客との通話場面
1つめは「顧客との通話場面」です。
通話中に顧客の音声感情分析を行うことで、スーパーバイザーによるフォローが必要な応対を発見するために活用ができます。
たとえば、オペレーターとの会話中に、顧客の感情が高ぶっていると音声感情分析によって判定された場合には、スーパーバイザーの管理画面にアラートを表示できるものがあります。
トラブルが発生する前に顧客のネガティブ感情を検知できるため、大きな苦情に発展する前にオペレーターを支援でき、未然に大きなトラブルを防ぐことができるのです。
したがってオペレーターが顧客と通話するシーンにおいて、感情分析は役立つのです。
2-2.VOCを収集する場面
2つめは「VOCを収集する場面」です。
コンタクトセンター(コールセンター)では、録音した過去の会話内容をチェックし、VOCを収集することがあります。
そうした場面で音声感情分析を活用することにより、顧客の通話時の感情をよりリアルに知ることができ、深いレベルでのVOCの収集が可能になるのです。
たとえば「契約外のサービスに関するセールスのDMが多すぎる」という顧客のVOCがあった場合、そこに「怒り」の感情があれば、「セールスのDMが多すぎる」だけでなく、顧客がセールスのDMが多すぎることでストレスを感じていることがわかります。
つまり、テキストだけの「セールスのDMが多すぎる」というVOCよりも、「セールスのDMが多すぎる」「怒り」という、「事実」と「感情」を両方理解することで、深いレベルで顧客のVOCを理解することができるのです。
こうしたことから、コンタクトセンターで過去の会話内容をチェックしVOCを収集する際に、音声感情分析の活用が有効です。
2-3.応対ノウハウを収集する場面
3つめは「応対ノウハウを収集する場面」です。
過去の会話内容を音声感情分析することで、「顧客の感情をポジティブにできる応対スキル」のあるオペレーターを見つけることができます。
そして、そのオペレーターがどのような会話をしているのかを解析することで、顧客に好印象を与える応対のポイントを明らかにできるのです。
たとえば、過去の応対履歴を音声感情分析した結果、「オペレーターのAさんが応対した際に、顧客の感情が『喜び』『楽しい』など、ポジティブになるケースが多い」ということが分かったとしましょう。
そうした場合、Aさんが普段、どのような会話をしているのか解析することで、「顧客感情を良好にする応対方法」を明らかにでき、ほかのオペレーターにも活かせるようにマニュアル化することが可能です。
そのため、応対ノウハウを収集する場面で音声感情分析は活用が可能です。
3.コンタクトセンター(コールセンター)における音声感情分析の3つのメリット
コンタクトセンターにおける音声感情分析のメリットは以下の3つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.成約率の向上
1つめは「成約率の向上」です。
というのも、感情分析を行うことで、オペレーターが通話中に顧客の感情を理解しながらセールスをかけることができます。
また、スーパーバイザーにも感情分析結果を表示することで、クロージングに向けて的確な指示をオペレーターに向けて送ることもできるのです。
たとえば、通話中に音声感情分析を行うアウトバウンドコンタクトセンター(コールセンター)のオペレーターAさんが、顧客に対してセールスを行っている場面を考えてみましょう。
音声感情分析によって、顧客の感情が「興味」「期待」というようなポジティブな結果を示した際には、Aさんは積極的に商品の良い点を伝えて、セールスをかけます。
スーパーバイザーがAさんに対して、「クロージングに向けて〇〇をしてください」とアドバイスすることもできます。
一方で、音声感情分析の結果が「怒り」「不安」などのネガティブなものを示す場合には、Aさんは積極的なセールスを控えるようにします。
そうすることで、企業イメージが下がるのを避けたり、次回以降のセールスのチャンスを失わないようにしたりでき、別の機会でのセールスのチャンスを逃さないようにできます。
このように、通話中にリアルタイムで音声感情分析を行い顧客の感情に合わせて臨機応変に対応をすることで、成約率の向上に貢献することが可能なのです。
3-2.顧客満足度の維持・向上
2つめのメリットは「顧客満足度の向上」です。
先にも述べたとおり、通話中の感情分析を行うことで、顧客のネガティブな感情をその場で検知して、スーパーバイザーにアラート表示をしてくれるため、顧客の不満が大きくなる前に対処ができるため、顧客満足度を下げることなく、維持することができます。
たとえば、オペレーターと顧客の通話中に感情分析を行っているコンタクトセンター(コールセンター)で、顧客の「怒り80%」「悲しみ20%」という感情を検知した場合を考えてみましょう。
そうしたネガティブな感情を検知したタイミングで、スーパーバイザーにアラートを表示し、スーパーバイザーが担当オペレーターに具体的な応対の指示を出したり、オペレーターに替わって応対をしたりすることができます。
顧客がネガティブな感情を感じたあと迅速にフォローを入れることができるため、顧客満足度を下げず、維持することが可能になるのです。
また先述のとおり、過去の応対履歴を音声感情分析すれば、「顧客の感情をポジティブなものにする応対スキル」を持ったオペレーターを見つけることができます。
そして、そのオペレーターの応対スキルをマニュアル化でき、ほかのオペレーターの応対に活かせるため、オペレーター全体の応対品質の向上が期待でき、結果的に顧客満足度の向上へとつなげることが可能です。
このようにして、コンタクトセンターにおいて音声感情分析を利用すると、顧客満足度を維持・向上することが可能になります。
3-3.オペレーターのストレス軽減
3つめは「オペレーターのストレス軽減」ができるという点です。
通話中に各オペレーターに対して音声感情分析を行うことで、スーパーバイザーがリアルタイムでオペレーターの精神状態を把握し、ネガティブな感情が強い場合はフォローをするなど、オペレーターに負担がかかりすぎないように支援を行うことが可能になります。
たとえば、オペレーターが通話中に音声感情分析で「不安」「悲しみ」などの感情が強いと分析された場合は、スーパーバイザーが応対を交代したり、応対終了後にメンタルケアを行うなどのフォローを行うことができます。
そうすることで、オペレーターが一人で抱え込み、ストレスを溜めてしまうことを避けられます。そして、ひいては生産性の低下や離職を防げる可能性もあります。
したがって、安定した生産性を維持したり、オペレーターにとって働きやすい環境を作りたいと考えている場合にも、音声感情分析を導入するのはおすすめです。
4.コンタクトセンター(コールセンター)における音声感情分析のデメリット(課題)
コンタクトセンター(コールセンター)における音声感情分析のデメリット(課題)は、「100%正確な感情を読み取れるわけではない」という点です。
音声感情分析では「音声の周波数成分毎の変化を検出・分析」しています。
しかし、人間の声による感情表現は多種多様あり、100%正確に読み取ることは難しいでしょう。
そのため、音声感情分析で話し手の感情を解析しつつ、感情の判断が音声感情分析で難しそうな場合は、人間による感情分析が必要になるシーンもあるといえるでしょう。
5.音声感情分析の導入に向いている企業
音声感情分析の導入に向いている企業は以下の3つの特徴があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
5-1.スーパーバイザーによるオペレーターへの支援の負担を軽くしたい企業
1つめは「スーパーバイザーによるオペレーターへの支援の負担を軽くしたい企業」です。
音声感情分析を行うことで、通話中にネガティブな感情を抱いている顧客をアラート表示によって発見できるため、スーパーバイザーが各オペレーターの応対を常にモニタリングし続ける必要がなくなるのです。
音声感情分析を利用しないで、スーパーバイザーがオペレーターのトラブルになりそうな応対を発見するためには、
・各オペレーターの応対を常に、リアルタイムで聞く
・オペレーターと顧客の会話がリアルタイムで文字起こしされたテキストを読み取る
といった行動が必要になります。
しかし上記のような行動をしていては、スーパーバイザーへの負担が重たくなってしまいます。
そこで音声感情分析を利用すれば、顧客が通話中にネガティブな感情を持っていることを、スーパーバイザーの管理画面にアラート表示できるため、スーパーバイザーが少ない人数でも、オペレーターのフォローができ、負担を軽くすることができるのです。
したがって、スーパーバイザーによる、オペレーターへの支援の負担を軽くしたいと考えている場合は、音声感情分析を導入することをおすすめします。
5-2.VOC分析に力を入れたいと考えている企業
音声感情分析の導入に向いている企業2つめの特徴は「VOC分析に力を入れたいと考えている企業」です。
音声感情分析を取り入れることで、顧客の感情までわかり、深いレベルで顧客理解ができるのです。
たとえば、「購入した商品の使い方が分かりづらい」という顧客のVOCがあった場合、そこに「怒り」の感情があれば、その商品は「使い方が分かりづらい」だけでなく、商品が使いづらいことで大きなストレスを与えてしまっているということがわかります。
そして「使い方が分かりづらい」ことが、いかに致命的で、改善を優先すべき項目であるかがわかるのです。
テキストだけの「使い方が分かりづらい」というVOCよりも、「使い方が分かりづらい」「怒り」という「事実」と「感情」を両方理解できれば、深いレベルで顧客のVOCを理解することができます。
したがって、VOC分析に力を入れて、応対品質や商品改善に取り組みたいと感じている企業は、導入を検討すると良いでしょう。
5-3.オペレーターのストレス軽減に力を入れて取り組みたい企業
音声感情分析の導入に向いている企業の3つめの特徴は「オペレーターのストレス軽減に取り組みたい企業」です。
通話中のオペレーターに対して音声感情分析を行えば、オペレーターがネガティブな精神状態の際には、スーパーバイザーなどの管理者がフォローを行うことができ、オペレーターに精神的な負荷がかかりすぎないようにできます。
そのため、オペレーターのストレス軽減に取り組みたいコンタクトセンター(コールセンター)に向いているのです。
たとえばオペレーターが通話中に、音声感情分析によって「怒り」「不安」「悲しみ」「不満」などのネガティブな感情が強いと示された場合には、
・スーパーバイザーが応対を交代する
・応対終了後にスーパーバイザーがメンタルケアを行う
などのフォローを行うことができます。
このように音声感情分析を導入すれば、手厚くオペレーターへのフォローを入れていくことができ、オペレーターのストレスが軽減して働きやすい環境へと改善することができるでしょう。
6.音声感情分析はトランスコスモスにおまかせください
音声感情分析をコンタクトセンター(コールセンター)に導入する場合は、トランスコスモスにおまかせください。
トランスコスモスでは、コンタクトセンター向けに音声感情分析ができる「transpeech2.0」をご提供しております。
「transpeech2.0」では、無意識に起こる音声の特徴の変化を検出、解析することで顧客がどのような感情にあるのか、オペレーターにポップアップ表示で知らせます。
さらには、スーパーバイザーなどの管理者がオペレーターを長時間監視しなくても、常にリアルタイムで音声感情分析を行い、必要なタイミングでアラート通知を受け取ることができます。
たとえば、「◯秒以上怒っている」「◯回以上怒りの感情が出た」など、設定に該当する顧客の怒りを察知した場合は、管理者にアラートを表示するのです。
顧客の感情を瞬時に察知しすぐにフォローをすることで、トラブル防止や応対品質の向上へとつながります。
また、限られた監理者で手厚いフォロー体制を実現可能で、ブラウザ上で音声確認ができ、すぐにフォローに回れるので利便性が向上します。
さらには、初心者のオペレーターの場合、監理者がすぐにフォローしてくれるので安心です。
ぜひトランスコスモスの音声感情分析ができる「transpeech2.0」の導入をご検討ください。
まとめ
この記事では音声感情分析とはどのようなものなのか、そしてそのメリット・デメリット・向いている企業についてお伝えしました。
ここで改めてこの記事の内容をおさらいしましょう・
◆音声感情分析とは
・AIが人間の発する声から感情を読み取る技術のこと |
◆コンタクトセンター(コールセンター)において音声感情分析が役立つシーン
・顧客との通話場面 |
◆コンタクトセンター(コールセンター)における音声感情分析の3つのメリット
・成約率の向上 |
◆コンタクトセンター(コールセンター)における音声感情分析のデメリット(課題)
・100%正確な感情を読み取れるわけではない |
◆音声感情分析の導入に向いている企業
・スーパーバイザーによるオペレーターへの支援を強化したい企業 |