「音声マイニングとはどのようなもの?」
「音声マイニングを活用すると、どんな変化が得られる?」
音声マイニングについて、このような疑問をお持ちではありませんか?
音声マイニングとは、音声データから有益な情報を見出す技術のことです。AIが音声データを認識してテキスト化する「音声認識」と、テキストデータを整理・体系化する「テキストマイニング」を組み合わせた言葉です。
例えばコンタクトセンター(コールセンター)では、オペレーターと顧客の会話データをテキスト化し、その内容から顧客の感情を分析して、商品や対応へのニーズを把握するなどの使い方ができます。
このように、音声マイニングを活用すると顧客ニーズが把握しやすくなるほか、応対品質の向上や業務の効率化といったメリットも得られます。
コンタクトセンターの効果的な運営に大きく寄与する音声マイニングですが、その特徴や活用方法についてよくわからないまま導入すると、充分な効果を得られないかもしれません。
うまく使いこなすことができずに成果を上げられないばかりか、いつのまにか使われなくなって投じたリソースが無駄になる可能性もあります。
そこでこの記事では、音声マイニングの基礎知識を網羅的かつわかりやすく解説します。
この記事を読むことで、音声マイニングに関する知識が一通り得られ、活用方法を具体的にイメージできるため、自社に導入すべきかどうかの判断がしやすくなるはずです。
この記事を読むとわかること |
▼音声マイニングという言葉の意味とその仕組み |
自社の顧客対応品質を向上させ、選ばれる企業になるためのツールを手に入れることに役立ちますので、ぜひ最後までお読みください。
1.音声マイニングとは
最初に、音声マイニングとは何かということを確認しましょう。この章では、音声マイニングを理解するために必要な以下の内容について解説します。
・音声マイニングという言葉の意味 |
1-1.音声データから有益な情報を見出す技術
「音声マイニング」とは、音声データから有益な情報を見出す技術のことです。AI(人工知能)が音声データを認識してテキスト化する「音声認識」と、テキストデータを整理・体系化する「テキストマイニング」を組み合わせた言葉です。
音声マイニングは、主にコンタクトセンター(コールセンター)で活用されています。
コンタクトセンターには、オペレーターと顧客の会話データが日々蓄積されています。その量は膨大なため、一つひとつを聞いて内容を把握することは難しいですが、音声認識によってテキスト化すれば扱いやすくなります。
さらに、テキストマイニングによってそれらのデータを整理・体系化すれば、顧客のニーズやオペレーターの対応の傾向といった有益な情報を抽出できます。
このように音声マイニングは、コンタクトセンターの業務効率化や応対品質向上に寄与する技術なのです。
1-2.音声マイニングの仕組み
音声マイニングは、以下の仕組みによって音声データから有益な情報を発掘します。
まずはAIが音声データを認識し、テキストに変換します。そのテキストを自然言語処理によって分割し、単語を抽出します。
次に、抽出した単語について、出現頻度や関連性などを調べます。最後に、単語同士の関連によって見出された「よくある問い合わせ内容」「顧客感情の傾向」などの情報をわかりやすい形式で表示するのです。
例えば自社商品の枕について、顧客から「私は枕Aの使い心地に満足しています。とてもふわふわで寝心地がよいです」という意見をもらった場合を考えてみましょう。
テキスト化したデータを、自然言語処理によって「私/は/枕A/の/使い心地/に/満足して/います。/とても/ふわふわで/寝心地/が/よい/です」というように単語に区切ります。
このように分割した単語から、出現頻度や出現傾向・使用タイミングなどを分析して、「顧客の満足度やニーズ」を抽出します。その分析結果を蓄積すれば、「枕Aの寝心地に満足している人は全体の◯%」などの有益な情報を得ることが可能なのです。
音声マイニングの分析方法についてもっと詳しく知りたい方は、テキストマイニングの仕組みもチェックしてみましょう。こちらで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
2.コンタクトセンター(コールセンター)における音声マイニングの活用方法
音声マイニングとは何かがわかったところで、実際にはどのように活用するのかということを見てみましょう。
音声マイニングのコンタクトセンター(コールセンター)における活用方法には、主に以下の3つがあります。
それぞれの内容について、解説していきます。
2-1.VOC分析
コンタクトセンター(コールセンター)における音声マイニングの1つめの活用方法は、VOC(顧客の声)分析です。
VOC分析とは、顧客の声を収集してその内容を分析し、商品や対応の課題を発見して、それを解決するためにはどのような施策が必要なのかを考えることで、コンタクトセンターの効果的な運営には欠かせない活動です。
音声マイニングを活用すると、オペレーターと顧客の会話内容からVOCを簡単に拾い上げ、客観的に分析することができます。
例えば、FAQの利用率を上げるために、よくある質問のバリエーションを増やしたいとしましょう。顧客対応の音声データから、疑問を表す表現を抽出し、その内容や頻度・関係性を明らかにすることで、FAQに不足している項目やわかりにくい表現を特定して改善することが可能です。
この作業を人の手で行う場合には「膨大な音声データを聞く」「該当する内容を書き起こす」「分析して結果をまとめる」ことに時間や手間がかかりすぎてしまいます。また、データ収集や分析に作業する人の主観が入り、正確なVOC分析の妨げになることもあります。
そこで音声マイニングを活用すれば、AIによる効率的・機械的なデータ収集と分析が可能になるため、より迅速に信頼性の高いVOC分析を行うことができるのです。
音声マイニングの導入によってできること(VOC分析) ・通話記録から欲しい情報を抽出する |
2-2.応対品質評価
コンタクトセンター(コールセンター)における音声マイニングの2つめの活用方法は、応対品質評価です。
音声マイニングを活用すると、オペレーター全員・全ての会話データを効率的にチェックし、その傾向を客観的に評価することができます。
例えば、センター全体の応対品質を底上げしたいとしましょう。NGワードやプラスワントーク(相手を気遣う発言)などを会話中から抽出することで、スキル不足の懸念があるオペレーターをピックアップしたり、模範となるトークを共有したりできます。
その結果、オペレーターへの効果的なフィードバックが可能になり、応対の改善やブラッシュアップが加速するのです。
またVOC分析と同様に、人が介在して応対品質評価を行う場合にはモニタリングやチェックにかかる工数が多く、評価者による主観が入ってしまうリスクもありますが、音声マイニングではその心配がありません。
応対品質評価による改善は顧客満足度を向上させるため、継続的な取り組みが必要ですが、音声マイニングはその取り組みを負担なく適切に行うことに役立ちます。
音声マイニングの導入によってできること(応対品質評価) ・オペレーターの応対をテキスト化してチェックする |
2-3.応対記録の書き出し
コンタクトセンター(コールセンター)における音声マイニングの3つめの活用方法は、応対記録の書き出しです。
音声マイニングを活用すると、応対記録の書き起こしと要約が自動化できます。
コンタクトセンター(コールセンター)で必須の業務として、顧客との通話内容をテキストで残す「応対記録」があります。従来はオペレーターが応対後に会話内容を思い出し、要点をまとめて手動で入力するという方法がとられていました。
一方の音声マイニングでは、オペレーターと顧客の会話内容がリアルタイムで自動的にテキスト化されるとともに、重要なキーワードやトピックを抽出して適切な要約文を作成できるのです。
このように音声マイニングは、応対記録の書き出しにおけるオペレーターの負担を大幅に軽減し、正確な記録を残すことに役立ちます。
音声マイニングの導入によってできること(応対記録の書き出し) ・通話記録をリアルタイムでテキスト化する |
3.音声マイニングを活用する3つのメリット
音声マイニングが便利なツールだということはわかったけれど、導入することで具体的にどのようなメリットが得られるのかイメージできないという方もいるかもしれません。
そこでこの章では、音声マイニングを活用する3つのメリットをご紹介します。
それぞれの内容について、解説していきます。
3-1.顧客のニーズが把握できる
音声マイニングを活用する1つめのメリットは、顧客のニーズが把握できることです。
音声マイニングによって、通話記録から以下のような顧客の認識を抽出できるからです。
・商品・サービスに対する満足度や不満 |
このようなデータは、顧客のニーズやその変化を捉える上で非常に有益な材料になります。
例えば、よくある購入のタイミングを把握できれば、顧客の購入意欲の度合いを見極めて効果的なセールストークを展開することが可能になるでしょう。
このように音声マイニングは、顧客のニーズを把握して商品や応対方法を最適化していくことに役立つのです。
3-2.応対品質が向上する
音声マイニングを活用する2つめのメリットは、応対品質が向上することです。
音声マイニングによって、オペレーターの通話内容をチェックして課題を発見し、効果的な改善策を講じることが可能になるからです。
例えば、基本的なNGワードを発することが多い傾向にあるオペレーターに対しては、「基本的なNGワードをもう一度覚え直してもらう」などの改善策を考えられます。
また目立った問題点はないものの、顧客を満足させるような言い回しや表現が出ていないオペレーターに対しては、「応対成績のよいオペレーターの音声データから抽出したプラスワントークを覚えてもらう」などの改善策を提案することもできるでしょう。
このように音声マイニングは、それぞれのオペレーターに最適なフィードバックをすることにつながり、センター全体の応対品質向上に寄与します。
3-3.業務の効率化ができる
音声マイニングを活用する3つめのメリットは、業務の効率化ができることです。
音声マイニングによって、以下のような業務にかかる時間と手間が軽減するからです。
・応対記録 |
実際に、トランスコスモスのツールを導入した「三井住友トラストTAソリューション株式会社様」では、応対記録の自動化をはじめとする施策によって従業員の総労働時間を年間で約9,200時間(約1割)削減することに成功しました。
このように音声マイニングは、従業員の業務負担を軽減し、生産性や満足度を向上させることにつながります。
4.音声マイニングの有効活用には「適切なツール選定」が重要
コンタクトセンター(コールセンター)にとって非常に有益な音声マイニングですが、成果を上げるためには適切なツールを選定することが必要だという点には注意が必要です。
音声マイニングは、利用する製品によっては精度が異なるからです。
音声マイニングで「どの程度正しく音声を認識できるか」は、提供する企業の技術力によって異なるのが現状です。「言葉」は数値化が難しいデータであり、特に「話し言葉」はバリエーションやノイズが多く、AIが苦手としていた分野なので、企業の努力が試されるのです。
例えば、音声データをテキスト化する段階で「人が発した言葉を正確に認識できない」ことが多かったり、「腹筋をする」と「お腹の筋力トレーニングをする」という2つの言葉を、同じ意味として認識できない事象が頻発したりする場合は、音声マイニングの精度が高いとはいえないでしょう。
音声認識の質が低ければ、得られるデータの信頼性も当然低下します。せっかく導入したにもかかわらず業務に活かすことができないという事態に陥らないために、適切なツールを選定することが欠かせないのです。
そこで次章では、「音声マイニングツールを選ぶときに注目すべきポイント」について解説します。
5.音声マイニングツールを選ぶときに注目すべきポイント
音声マイニングをうまく活用するためには、適切なツールを選ぶことが重要だとお伝えしました。この章では、音声マイニングツールはどのように選ぶべきかを確認しましょう。
音声マイニングツールを選ぶときには、以下のポイントに注目してください。
それぞれの内容について、解説していきます。
5-1.音声認識の精度は高いか
まずは、音声認識の精度が高いかどうかをチェックしましょう。
前述したように、音声認識の精度は製品によって異なり、精度が低ければ誤認識や認識漏れなどが発生して、正確な分析ができなくなるからです。
言葉が誤って認識されたり、通話の内容が一部聞き取れていなかったり、ということになれば、本来抽出すべき単語の数が減ってしまいます。
音声認識の精度は分析に使用するデータの質に大きく影響するため、できるだけ認識精度の高い音声ツールを選ぶ必要があります。
いくつかのツールを比較し、デモなどで事前に音声認識の精度を確認することをおすすめします。
5-2.分析の質は適切か
分析の質は適切か、ということにも注目すべきです。
正確で深い洞察を得られることが、音声マイニングの活用が生み出す価値を最大化するからです。
音声マイニングによって「商品に不満を抱えている顧客がいる」ということがわかっても、その割合や理由などが分析できなければ、対策を講じるのが難しいでしょう。
分析結果を実際の施策につなげるためには、分析方法やその深さが知りたいことに適している必要があります。
事前にベンダーとやりとりし、自社における活用方法や導入済の企業の事例などについて説明してもらうと安心です。
5-3.必要な機能が揃っているか
必要な機能が揃っているかどうかも重要です。
本来必要な機能がついていないツールを選んでしまうと、音声マイニングによって実現したいことが叶わない可能性があるからです。
音声マイニングには、音声データのテキスト化や要約・分析機能に加えて、発言されたキーワードから必要な関連資料を見つけ出し、オペレーターにポップアップ表示させるなどの機能をもつツールもあります。
自社に音声マイニングを導入する目的を明確にし、それを実現するために必要な機能が揃っているかどうかという視点でもツールを選ぶとよいでしょう。
5-4.サポート体制は十分か
音声マイニングの活用にあたっては、ツールのサポート体制は十分かという点を確認することも欠かせません。
音声マイニングをスムーズに導入し、最短距離で成果を上げるためには、専門知識をもつベンダーに協力してもらうのが効果的だからです。
音声マイニングでは、より精度の高い分析を行えるよう、定期的に入力データやパラメーターを調整するなどの「チューニング作業」が必要になります。また、フローやルールの整備といった体制面での取り組みも求められます。
これらの作業を、通常のセンター運営業務と並行して適切に進めるのは、ノウハウをもたない企業にとっては難しいことがあります。
手厚いサポート体制があるツールを選べば、自社のみではリソースが足りないという場合でも、効果的な運用が実現できるでしょう。
音声マイニングの活用ならトランスコスモスにお問い合わせください |
音声マイニングを活用してみたいとお考えの方は、ぜひトランスコスモスにご相談ください。 トランスコスモスでは「transpeech」というツールをご提供しています。 transpeechは、6つの機能でコンタクトセンター(コールセンター)の課題を解決します。 ・音声認識 音声を文字に起こし豊富なソリューションで課題解決を促進 もちろんツールのご提供だけではなく、数多くの企業様をサポートしてきた実績とノウハウを活かして、音声マイニングの導入・運営を全面的にお手伝いいたします。 導入の検討段階からご相談に応じられますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。 |
まとめ
この記事では、音声マイニングの基礎知識について詳しく解説しました。以下に要点をまとめます。
音声マイニングとは、音声データから有益な情報を見出す技術のことです。
AI(人工知能)が音声データを認識してテキスト化する「音声認識」と、テキストデータを整理・体系化する「テキストマイニング」を組み合わせた言葉です。
音声マイニングはコンタクトセンター(コールセンター)で活用されることが多く、主な活用方法には以下のようなものがあります。
・VOC分析 |
音声マイニングを活用すると、以下3つのメリットが得られます。
・顧客のニーズが把握できる |
音声マイニングをうまく活用するためには、適切なツールを選定することが重要です。以下のポイントに注目して選びましょう。
・音声認識の精度は高いか |
音声マイニングは、コンタクトセンター運営の効率化・品質向上に役立つ魅力的なツールです。この記事の内容を参考に、自社への導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。