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音声マイニングとは?活用シーンやメリット・デメリットを解説

音声マイニングとは、音声データをAIが認識してテキスト化する「音声認識」と、テキストデータを整理・体系化して知識化する「テキストマイニング」を組み合せた技術のことです。

コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)において導入されることが多く、顧客とオペレーターの通話音声データを音声マイニングすることで、AIが音声をテキスト化し、テキストデータからコンタクトセンター側が把握したい情報(顧客ニーズや不満など)を抽出してくれます。

このように、音声マイニングはコンタクトセンターの業務効率化に貢献する魅力的なツールです。

音声マイニングがどのような技術なのかを理解するだけでなく、具体的な活用シーンやメリット・デメリットを知っておくことで、「自社にとって本当に取り入れる価値があるのかどうか」判断できるようになります。

そこでこの記事では以下の内容をお伝えします。

▼本記事の内容
音声マイニングとは
・コンタクトセンターにおける音声マイニングの活用シーン
・音声マイニングの5つのメリット
・音声マイニングのデメリット
・音声マイニングツールの3つの比較ポイント

この記事を読むことで、音声マイニングとは何かわかり、自社に導入するべきか判断ができるようになります。また、導入すると決めた場合に、優れた音声マイニングツールを選ぶための比較ポイントもわかるので、自社にとって最適なツールを選び出すことができるようになるでしょう。

ぜひ最後までお読みください。

1.音声マイニングとは

1-1.音声マイングとは「音声認識技術」と「テキストマイニング技術」を組み合わせたもの

音声マイニングとは、音声データをAIが認識してテキスト化する「音声認識」と、テキストデータを整理・体系化して知識化する「テキストマイニング」を組み合せた技術のことです。

コンタクトセンター(コールセンター)で「音声マイニングツール」を導入して利用されることが多い傾向にあります。

顧客とオペレーターのやり取りを音声マイニングすることによって、AIが音声をテキスト化し、テキストデータからコンタクトセンター側が把握したい情報を抽出してくれます。

たとえば、コンタクトセンターでは日々交わされる顧客・オペレーターの通話音声データは膨大な量になっており、その音声データを聴いて顧客の不満やニーズを読み取ったり、オペレーターの応対品質を確認したりすることはできますが、データがあまりにも膨大すぎるため、すべての音声データを確認するために工数がかかりすぎてしまい業務効率が下がってしまいます。

そこで音声マイニングを利用すれば、通話音声データからそのまま「顧客の不満やニーズ」「オペレーターの応対」を抽出してくれるため、工数が削減でき、業務を効率化できます。

音声マイニングは、コンタクトセンターの業務効率化に貢献する魅力的なツールなのです。

1-2.音声マイニングの仕組み

音声マイニングは、以下のような仕組みでコンタクトセンター(コールセンター)にとって有益な情報を抽出します。

▼音声マイニングの仕組み
①通話音声をAIが認識してテキスト化する
②テキストデータを自然言語処理によって、単語ごとに分割する(過去形の単語は現在形に戻す)
③「テキストデータ内に同じ言葉がどのくらい使われているのか」「共通して使われている単語は何か」を調査し、単語の重要度や関連度を調べる
④人間が見やすいようにグラフを作り、可視化する

たとえば、自社商品である枕について顧客から、「私は枕Aの使い心地に満足しています。とてもふわふわで寝心地が良いです。」と褒めてもらえた場合を考えてみましょう。

自然言語処理によって「私/は/枕A/の/使い心地/に/満足して/います。/とても/ふわふわで/寝心地/が/良い/です。」というように単語に区切ります。

そして分解した単語から、出現頻度や出現傾向、使用タイミングなどを分析して、「顧客の不満やニーズ」を抽出します。

こうして顧客との通話を音声マイニングで分析することで、たとえば「枕Aの寝心地に満足している人は全体の◯%」などの情報を得ることが可能です。

音声マイニングは人間が介在しなくても、音声データを知識データへ変換してくれる技術なのです。

2.コンタクトセンター(コールセンター)における音声マイニングの活用シーン

コンタクトセンター(コールセンター)において、音声マイニングは以下のシーンで活用されることが多い傾向にあります。

▼コンタクトセンターにおける音声マイニングの活用シーン
・VOC分析
・応対品質評価
・応対記録の書き出し

それぞれ詳しく見てみましょう。

2-1.VOC分析

音声マイニングは「VOC分析」で活用されています。

そもそもVOC分析とは、顧客の声を収集・分析し、商品・サービスの課題点を発見し、それを解決するためにどのような施策が必要なのかを考えることです。

VOC分析において音声マイニングが活用されるのは、人間のかわりに「客観的に」VOCを抽出してくれるからです。

コンタクトセンター(コールセンター)では、通話内容を要約した応対履歴をオペレーターが残しているため、そこからVOCを抽出することも可能ですが、どうしても主観が入ってしまうため、客観的なVOCを抽出しにくくなっています。

そこで音声マイニングを利用することで、

  • 顧客がどのような点に満足しているのか
  • 不満をもっているのか
  • 苦情があるのか
  • 疑問を持ちやすいのか

などのVOCを抽出してくれるため、顧客のニーズが把握しやすくなり、自社の商品・サービスの課題点が見え、施策が考えやすくなるのです。

そのため、音声マイニングによってテキスト化されたデータからVOCを抽出すれば、より正確なVOCを参考にして分析を行うことができます。

2-2.応対品質評価

コンタクトセンター(コールセンター)の「応対品質評価」においても、音声マイニングは活用されています。

音声マイニングを利用すれば、全オペレーターのすべての応対の音源データから

・NGワード
・顧客満足を向上させるような表現・言い回し
・プラスワントーク(相手を気遣う表現)

    などを抽出でき、各オペレーターの応対品質を「簡単に」確認することができるのです。

    たとえば、顧客に呼びかける際に「もしもし」と言っていないかどうか、顧客に対し「できない」旨を伝える際に「それはできません」と真っ向から拒絶するような言葉を使っていないかなど、NGワードを音声マイニングで抽出すれば容易に確認することができます。

    一方で、人が介在して応対品質評価を行う場合、決められた基準に沿って、全オペレーターの応対品質をモニタリングチェックしたり、録音データを聞き取ったりして採点し、評価するのは、あまりにも工数がかかりすぎてしまいます。

    また工数がかかりすぎる関係で、すべてのオペレーターの通話音声データを確認することは難しく、応対品質評価に取りこぼしが発生してしまいます。

    したがって音声マイニングは、各オペレーターが発した言葉から「NGワード」「顧客満足を向上させるような言い回し」「プラスワントーク」を自動的に抽出でき、工数をかけずに採点・評価を行うことができるため、応対品質評価で活用されているのです。

    2-3.応対記録の書き出し

    「応対記録の書き出し」として、音声マイニングを活用するコンタクトセンター(コールセンター)も多い傾向にあります。

    オペレーターは、通話履歴を「応対記録」として書き起こす作業が必須となりますが、負担がかかり、時間がかかってしまうため、業務の効率化を阻みます。

    そこで音声マイニングを利用すれば、通話履歴を自動的に書き起こしてくれるので、オペレーターによる書き起こし作業が不要になり、業務を効率化できるのです。

    また、オペレーターの主観で応対記録を書き出すのではなく、通話内容からテキスト化された正確な応対記録を残せるというのも魅力です。

    したがって、音声マイニングは応対記録の書き出しにおいて、有効なツールとして活用されているのです。

    3.音声マイニングの3つのメリット

    音声マイニングには以下3つのメリットがあります。

    ◆音声マイニングの3つのメリット

    ・応対品質が向上する
    ・業務の効率化ができる
    ・手間なくVOCのデータ抽出ができる

    それぞれ詳しく見ていきましょう。

    3-1.応対品質が向上する

    1つめのメリットは「応対品質が向上する」ことです。

    音声マイニングを利用することで全オペレーターのすべての通話音声データから

    • NGワード
    • 顧客満足を向上させるような表現・言い回し
    • プラスワントーク

    を自動的に抽出するため、個々のオペレーターの課題発見につながります。

    そして各オペレーターに合う改善策を提案して実行してもらうことができるため、コンタクトセンター(コールセンター)全体の応対品質の向上ができるのです。

    さらに、応対成績の良いオペレーターの通話音声を音声マイニングで分析することで、それぞれのオペレーターの課題に対する改善策を考えやすくなるという点も、全体の応対品質向上に貢献するでしょう。

    たとえば音声マイニングによって、「基本的なNGワード」を発することが多い傾向にあるオペレーターに対しては、「基本的なNGワードをもう一度覚え直して、応対中に発しないようにする」などの改善策を考えられます。

    また、目立った問題点は無いものの、「顧客を満足させるような言い回しや表現」が全く応対中に出ていないオペレーターに対しては、応対成績の良いオペレーターの通話音声データから、音声マイニングを使って抽出した「使うべき表現や言い回し」を覚えてもらい、応対中に使えるようにするなどの改善策を提案することもできるでしょう。

    このようにして、音声マイニングを利用することで、オペレーターの応対品質の向上に活かしていくことができるのです。

    3-2.業務の効率化ができる

    2つめのメリットは「業務の効率化ができる」という点です。

    コンタクトセンター(コールセンター)では応対終了後に、顧客との通話内容を残すために、応対履歴を手入力で登録する必要があります。こうした作業を応対終了後に都度行っていると、顧客とのやり取りを思い出したり、録音音声を聞き直したりしながら、通話内容を書き出すのは時間がかかり、手間もかかってしまいます。

    そこで音声認識ソリューションとテキストマイニングツールを活用し、リアルタイムで応対内容をテキスト化できるため、応対終了後に応対履歴の手入力をしなくても、音声のテキストデータを要約し、保存することができます。

    参考事例を以下で紹介していますので、興味のある方はこちらからご確認ください。

    3-3.手間なくVOCのデータ抽出ができる

    3つめのメリットは「手間なくVOC分析に必要なデータが抽出できる」という点です。

    もともとコンタクトセンター(コールセンター)は、顧客と直接コミュニケーションできる場であり、VOCを収集しやすい部門です。マーケティング部門や商品開発部門では気づけない問題点や、顧客の興味・関心のあること、トレンドなどを分析できるため、新商品や新サービスの開発であったり、販売戦略を考える際に有効活用できます。

    ただし、コンタクトセンターでの音声データから顧客のVOCを拾い上げるためには、「膨大な量の応対記録音声を聴く」「手入力によるVOCの書き起こし」など、時間や手間がかかりすぎるのが大きな課題でした。

    そこで音声マイニングを導入することによって、顧客の通話内容から、

    • 顧客がどのような点に満足しているのか
    • 不満をもっているのか
    • 苦情があるのか
    • 疑問を持ちやすいのか

    などのVOCを、単語の出現頻度などから「自動的に」抽出できるようになります。

    人が介在しなくても、VOCから顧客の不満や満足、苦情、疑問、要望を音声マイニングによって抽出できるので、時間や手間をかける必要がなくなるのです。

    そのため、手間なくVOCのデータを抽出できるという点は、音声マイニングのメリットといえるでしょう。

    4.音声マイニングのデメリット

    4.音声マイニングのデメリット

    音声マイニングのデメリットは「利用する製品によっては音声マイニングの分析精度が高くない可能性がある」という点です。

    というのも、音声マイニング製品を提供する企業の技術力によって、音声マイニングの分析精度が異なるために、製品によって分析精度に差が生じてしまうのです。

    音声マイニングの音声認識の精度を100%に保つのは、今の技術では不可能ですが、「どの程度正しく音声を認識できるか」は、提供企業の技術力が物を言います。

    また「言葉」は数値化が難しい非定性データであり、とくに「話し言葉」はきれいな文章ではないため、ノイズも多く、AIが苦手としている分野ですが、「どの程度正しい意味で言葉を拾えるのか」といったテキストマイニングの技術力は、提供企業の技術力次第であるのが、実際のところです。

    たとえば、音声データをテキスト化する段階で、「正確に人が発した言葉を認識できない」ことが多かったり、同じ意味である「腹筋をする」と「お腹の筋力トレーニングをする」の2つの言葉を、同じ意味として認識できなかったりする事態が頻繁に発生したりする場合は、音声マイニングの分析精度は高いとは言えないでしょう。

    そのため、分析精度の高い音声マイニングの製品を選んで導入する必要があります。

    精度の高い音声マイニングかどうかを見分けるためのポイントは5章の「5-1.分析精度の高さを確認する」で詳しく解説しているため、そちらをお読みください。

    5.音声マイニングを活用する際の3つのポイント

    音声マイニングの基礎知識やメリット・デメリットを知ったうえで、これから音声マイニングの導入を検討している人には、知っておくべきポイントが3つあります。

    それではくわしく見ていきましょう。

    5-1.音声認識精度の高さを確認する

    1つめのポイントは「音声認識精度の高さを確認する」ということです。

    先にも述べましたが、認識精度は製品によって大きく異なり、精度が悪ければ誤認識や認識漏れなどが発生し、分析がしにくくなります。

    たとえば、認識精度が低いと以下のようなご認識や認識漏れなどが発生してしまいます。

    ・通話音声データの音声認識がうまくいかず、「私」が「歳」と認識されてしまう
    ・通話の内容が一部聞き取れておらず認識漏れが発生する
    ・「頭痛」と「頭が痛い」という言葉を同じ意味として認識できない

    そのため、できるだけ認識精度の高い音声ツールを選ぶ必要があります。

    5-2.分析のポイントを押さえる

    2つめのポイントは分析のポイントを押さえることです。

    音声マイニングは、音声をテキスト化して分析をするのですが、このテキストを分析することをテキストマイニングと呼びます。

    このテキストマイニングを行うときには以下の5つのポイントがあります。

    • テキストマイニングの目的を明確にする
    • テキストマイニングの知識を習得する
    • 辞書を定期的に更新する
    • 結果は他部署へ展開して共有する
    • PDCAサイクルを回す

    特に顧客の声は、時間の経過によって変わっていくものです。ある特定の時期に集めた顧客の声をテキストマイニングしてその結果を施策に反映しても、顧客満足度を維持できません。

    上記のポイントを意識して分析することで、音声マイニングの分析結果を有効活用できるようになります。

    なお、テキストマイニングについて興味のある方は以下記事をご覧ください。

    5-3.運用継続できそうかを確認する

    3つめのポイントは「運用継続できそうかを確認する」ことです。

    これはツールの使いやすさと体制面の2つを検討する必要があります。

    ツール面でいけば、機能は多いけれど、操作性が複雑なものを選んでしまうと、利用を続けるのが負担になり、結局運用改善がしにくくなるでしょう。特に音声マイニングはより精度の高い分析を行えるよう、定期的に入力データやパラメータを調整するなどの「チューニング作業」が必要になるため、操作性は重要になります。

    運用しやすい製品かどうかは「デモの実施」「トライアル期間」などを利用して、自社で現実的に運用できそうかどうか、試しに利用してみると良いでしょう。

    体制面でいけば、音声マイニングのような分析をしていくには、オペレーション側でどのようなことが行われているのか、日々の運用変更等も把握しながら、内容に合わせてチューニングしていくことが求められます。運用で行われていることを把握しておかないと想定していた分析結果がでないこともあるでしょう。

    但し、コンタクトセンターの運営も把握しながらチューニング、分析も実施するとなると、なかなか大変なことですので、継続的に運営できる体制を整えたうえで進めるのが良いでしょう。

    また分析の基となるマイニングデータは自社で欲しているが、その他の運用等はリソースの問題もあり、自社以外で検討する場合は、アウトソーシングを活用してみるのが良いでしょう。

    音声マイニングしていきたい要件を取り決めたうえで、それに基づいてコンタクトセンターの運営をアウトソーシングすることで分析やデータ分析結果を基にした企画に集中することが可能になります。

    なお、トランスコスモスでも音声マイニングを実現できるソリューションを保有しております。

    コンタクトセンターの運営に関しても単純なコンタクトセンターの運営だけでなく、お客様企業のありたい姿を理解し、コンタクトセンターが果たすべき役割・存在意義を認識したうえで、Vision実現に向けて具体的な行動指針まで落とし、戦略的なコンタクトセンターを運営するための事業所MVVという施策を展開しております。

    音声マイニングで最終的に実現したいことを理解した上で、運営設計・状況に合わせた変更をしていくことで効果を最大化させていきますので、興味がある方は、以下よりお問い合わせください。

    まとめ

    この記事では音声マイニングについて、基礎知識やメリット・デメリット、比較ポイントなどをお伝えしてきました。

    ここで改めて、本記事のおさらいをしましょう。

    ◆音声マイニングとは

    音声データをAIが認識してテキスト化する「音声認識」と、テキストデータを整理・体系化して知識化する「テキストマイニング」を組み合せた技術のこと

    ◆音声マイニングの仕組み

    ①通話音声をAIが認識してテキスト化する
    ②テキストデータを自然言語処理によって、単語ごとに分割する(過去形の単語は現在形に戻す)
    ③「テキストデータ内に同じ言葉がどのくらい使われているのか」「共通して使われている単語は何か」を調査し、単語の重要度や関連度を調べる
    ④人間が見やすいようにグラフを作り、可視化する

    ◆コンタクトセンター(コールセンター)における音声マイニングの活用シーン

    VOC分析
    ・応対品質評価
    ・応対記録の書き出し

    ◆音声マイニングの3つのメリット

    ・応対品質が向上する
    ・業務の効率化ができる
    ・手間なくVOCのデータを抽出できる

    ◆音声マイニングのデメリット

    利用する製品によっては音声マイニングの分析精度が高くない可能性がある

    ◆音声マイニングを活用する際の3つのポイント

    ・音声認識精度の高さを確認する
    ・分析のポイントを抑える
    ・運用継続できそうかを確認する

    この記事が参考になれば幸いです。

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