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コールセンターのアップセルとは?メリットと注意点を解説

「コンタクトセンター(コールセンター)のアップセルって何?」と疑問に感じていませんか?

結論からいうとコンタクトセンターにおけるアップセルとは、より上位の商品やサービスを購入してもらうためのトークを実行することです。コンタクトセンターに導入することで、顧客単価を上げ、売上の拡大を狙う事が目的です。

ただし、アップセルにはメリットもあれば注意点もあります。

アップセルをコンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)に導入するだけでは、効果が出なかったり、押し売りと受け取られてブランドが傷つけられたりしてしまうリスクがあります。

そのため、アップセルの導入にはそのメリットと注意点を正確に知り、成果を出すためのコツを理解した上で、導入を検討する必要があります。そこで本記事では以下の内容を解説していきます。

▼本記事の内容

・コンタクトセンターの「アップセル」とは?
・コンタクトセンターにアップセルを導入する2つのメリット
・コンタクトセンターのアップセルを導入する場合の注意点
・【アップセルを導入する場合】成果を出すためのコツ

この記事を読むことで、コンタクトセンターのアップセルを理解できるだけでなく、そのメリットと注意点を知ってどのように導入するべきかを判断できるようになると思います。ぜひ最後までお読みください。

1.コンタクトセンター(コールセンター)の「アップセル」とは?

 冒頭でもお伝えしたとおり、アップセルとは顧客単価を向上させるための営業手法のひとつで、より上位の商品やサービスを購入してもらうことを意味します。アップセルを行うことによって、顧客単価やサービスによってはLTVが向上し、売上の拡大へとつながるため、有効な手法なのです。

なお、一般的な営業手法としては、いくつか種類がありますが、「アップセル」をより理解する上で、コンタクトセンターで使われる営業手法の種類「アップセル」「ダウンセル」「クロスセル」について、まず説明していきます。

1-1.コンタクトセンター(コールセンター)で使われる営業手法の種類

アップセルとは

「アップセル」とは、「顧客により高い商品を買ってもらう」という意味の営業手法です。顧客が希望した商品よりも、グレードも価格も高い商品を勧めて販売することにより、客単価や売上を上げようとする手法を言います。

例えば顧客が3万円の服を買おうとしている時に、店員がより高品質な5万円の服を勧め、買ってもらうことが「アップセル」にあたります。「アップセリング」などとも呼ばれます。

「アップセル」は購買意欲の高い顧客に対しては、かなり有効な手法です。その一方で、顧客のニーズに合わないものを勧めると不信感を抱かせる可能性もあるため、顧客のニーズに合わせることが重要です。

ダウンセルとは

「ダウンセル」の意味は、顧客によりグレードの低い商品を提案するというものです。

顧客が予算の都合や利用目的の不一致により、クオリティが高すぎるなどの理由で商品の購入を見送ろうとする時、当初考えていたものより低いグレードの商品を紹介し、購買につなげようとする営業手法を言います。上位の商品を勧める「アップセル」と違い、機会損失を防ぐのが目的になります。コンタクトセンターでは従来から「解約防止」施策でよく使われてきました。

「ダウンセル」は、一見消極的に見えますが、場合によっては非常に有効な手法です。売り上げがゼロになるリスクを回避でき、かつ値引きによる損失も防ぐことができます。

また、サブスクリプションサービスを商材としている場合は、LTVを重視するビジネスモデルのため解約・離反は大きな損失となります。そこで、プランのダウンが発生しても契約期間を延長することで離反を防ぎ、業績への影響を最小限に抑えることは、非常に重要な戦略となる場合があります。

クロスセルとは

「クロスセル」とは、「ある商品に関連した商品を顧客へ勧めること」という意味の言葉です。顧客がある商品を買おうとしている時、それに関連する商品の追加購入を勧めるという営業手法になります。

「クロスセル」の代表的な例としては、ハンバーガーショップで「ご一緒にポテトはいかがでしょうか?」というトークです。ハンバーガー単体に加えて、ポテトを購入してもらうことにより、客単価を上げることができます。また、ネットショップの「商品購入後のおすすめ」を紹介したメルマガなども「クロスセル」に含まれます。

3つの種類を紹介しましたが、共通して「顧客のニーズに対して商品を提案することで購入可否をご選択いただく手法」であるところは変わりません。そしてベースとなるフローはアップセルが基本フローとなり、ダウンセルやクロスセルはその応用として用いられることが多いです。

それでは、アップセルとは実際にどのような提案をしていくのでしょうか。次に方法について説明します。

1-2.アップセルの方法

それでは、具体的にアップセルの方法を確認していきましょう。

アップセルには3つの方法があります。世の中の取引は、概ね「単価」×「数量」もしくは「単価」×「数量」×「期間」で計算されるため、それに対応した方法がそれぞれあります。

単価のアップセル-上位モデルや高級品への切り替え提案

1回の購入金額を上げることでアップセルを達成する。例えば、化粧品をご購入いただこうとしているお客様の用途を伺い、ニーズにあわせてより上級の化粧品へ買い替えをご提案する、など。

数量のアップセル-まとめ買い提案

同時に購入する量を多くしてもらうことで、アップセルを達成する。例えば、過去に健康食品の単品購入をした顧客に対して、セット購入やまとめ買いの提案をする。

期間のアップセル-定期コース案内

トライアルからより上位の定期コースを契約してもらうことで、アップセルを達成する。また、定期的に安定した売上およびLTVの向上が見込める。例えば、サプリメントのトライアルを購入した顧客に対して、定期コースを案内する。

他にも、サンプル希望者に対して利用した感想やご意見を伺いつつ、適切な商品をご紹介する「コンサル提案」や、故障に対して修理費と比較して上位モデルや新モデルをご提案する「買い替え提案」などがあります。

2.コンタクトセンター(コールセンター)にアップセルを導入する2つのメリット

ここまで、アップセルについての理解を深める内容でしたが、ここからはコンタクトセンター(コールセンター)にアップセルを導入しようか迷っている方に向けて、「メリット」をお伝えします。

アップセルの「メリット」と次章の「注意点」の両面を知ることで、自社に導入するかどうかを判断がしやすくなると思います。まずはアップセルのメリットをお伝えしていきます。

▼コンタクトセンターのアップセルを導入する2つのメリット

・効率的な顧客単価の向上ができる
・顧客満足度を高められる可能性がある

2-1.効率的な顧客単価の向上ができる

アップセルのメリットとして、効率的な顧客単価の向上ができる点が挙げられます。

そもそも売上を伸ばすためには、「新規顧客を獲得する」「既存顧客を維持する」の2つの方法があり、フレデリック・F・ライクヘルド氏によって、「新規顧客獲得のためのコストは既存顧客維持コストのおよそ5倍かかる」(※)という法則が提唱されています。

実際に新規顧客を獲得するためには、広告制作、テレアポ、飛び込み営業、展示会やセミナーの開催、新規購入の特典をつけるなど、多大なコストをかけて新規顧客獲得に臨む必要があります。

※出典:フレデリック・F・ライクヘルド著「ロイヤルティ戦略論」,ダイヤモンド社,2002/8

一方で、既存顧客の維持は、すでに商品を購入したことがある顧客に対して販促活動を行うので、少ない投資で再購入や利用継続してもらえる可能性が高く、効率的に売上を維持・向上できます。つまり、既存顧客を維持拡大するほうが圧倒的にコストをかけず、売上を維持・向上させられるのです。

さらに、既存顧客に対して有効なアップセルを行えば、コストをかけずに顧客単価を向上させられるので、効率が良いといえます。例えば、クラウドストレージを提供している企業の場合、標準プランを利用している既存顧客に対してアップセルが成功すれば、少ないコストで顧客単価を向上できるので、非常に効率が良いのです。

2-2.顧客満足度を高める可能性がある

アップセルのもう一つのメリットとして、顧客満足度を高める可能性がある点が挙げられます。

アップセルによって、顧客のニーズに真正面からフィットするような商品やサービスを提案できれば、期待値を超えた満足を経験してもらうことができます。それによって顧客は企業への信頼が厚くなり、今後も商品やサービスを購入しつづけてくれるロイヤルティの高い顧客が醸成できるのです。

例えば、エアコンを販売しているメーカーの窓口に修理を検討している顧客から問い合わせをしてきたときに、受付するだけでなく、お客様の利用状況伺いながら、お客様のメリットがある場合に修理ではなく新商品の買い替えを提案したりすることで購入に繋がるケースも多くなるでしょう。そして、「求めていたもの以上の対応をしてもらえた」という満足度も高まります。

重要なポイントは、押し付けがましい提案ではなく、親身になって考えてくれている提案だと感じ、企業に対する信頼感を向上させることです。したがってアップセルは、ニーズをしっかり把握したうえで行えば、顧客の満足度を高められる手法なのです。

3.コンタクトセンター(コールセンター)のアップセルを導入する場合の注意点

次にコンタクトセンター(コールセンター)のアップセルを導入する場合の注意点を解説します。

3-1.顧客のニーズにあわせる

アップセル導入の注意点は「強引な営業によって不買・顧客流出が発生するリスクがある」という点です。

アップセルを導入すると、現場では「とにかくどのような顧客に対しても、上位の商品・サービスをおすすめする」という意識でアップセルを行ってしまうことがあります。そのような場合、顧客側からは「より高い商品・サービスを買ってほしいだけなのだな」と思われてしまい、顧客の信頼を失いかねません。

さらには、「高額商品を買わせたいだけの企業」「自社の利益しか考えていない企業」だと思われてしまうと、企業のブランド価値自体を下げてしまう可能性もあります

例えば「家で調べ物をする際に使うノートPCがほしい」という顧客に対して、「最近ではPCで映画を見たり、動画編集をしたりする方も多いので、より多機能な上位モデルのPCにしてみてはいかがですか?」というアップセルを行った場合を考えてみましょう。

これでは顧客の「PCで調べ物をしたい」というニーズを一切汲まずに、売上の為に上位モデルのPCをおすすめしているので、顧客によっては印象が悪く、「高いものを買わせたいだけなのでは?」と感じてしまうでしょう。

顧客のニーズを組まないアップセルは、押し売りと受け取られやすいので注意が必要です。

3-2.アップセルルールを事前に決める

アナウンスしない事で顧客へのサービス低下と受け取られるケースがあります。

アップセルトークの中には「お得になる情報」や、コンタクトセンターでしか実施していないサンプル提供などが付随するケースがあります。そこでどうしても「案内されたお客様」と、「案内されなかったお客様」というケースが発生します。

当然、案内されなかった人は自分に対して十分なサービスを提供されていないと思いますので、離反や解約に繋がると言われています。今はSNS等で顧客同士の情報発信が多いのでこちらも注意する必要があるでしょう。

例えば、案内の要否を事前に確認し、顧客と合意(パーミッション)が取れた場合のみ案内するルールを設定してスクリプトにいれます。そうすると、機会を平等に与えるルールになるため、顧客の不満が発生しにくくなります。

4.アップセルで成果を出すためのコツ

4章では、アップセルを導入し、成果を出すコツをご紹介します。

▼【アップセルを導入する場合】成果を出すためのコツ

・コンタクトセンター(コールセンター)にアップセルの方針を浸透させる
・効果的なアップセルを行えるツールを導入する

4-1.コンタクトセンター(コールセンター)にアップセルの方針を浸透させる

アップセル導入のコツ1つめは、「コンタクトセンター(コールセンター)にアップセルの方針を浸透させる」ということです。

「アップセルをする」という施策はやはり売り込みのイメージが強く、コンタクトセンターの現場で浸透させないと、なかなか効果が発揮されないことがよくあるからです。

それではどのように浸透させればいいのでしょうか?具体的な方法を以下に解説します。

▼コンタクトセンターにアップセルの方針を浸透させる方法

◆アップセルをなぜ行うのか、オペレーターに理解してもらう
「アップセルがなぜ必要なのか」「アップセルを行うことでどのようなメリットがあるのか」をはじめに伝えることで、オペレーターのやる気をアップすることができます。新たな施策を導入すると「不必要なのでは?」「手間がかかるだけなのでは?」「数字に結びつかないのでは?」と、導入に対して否定的になってしまいやすいです。そのため、アップセルが成果に結びつく、顧客満足度をあげることができることを理解してもらい、納得感を持ってアップセルに取り組むことが重要です。

◆成功率が高くなるまで、繰り返し練習する
アップセルはセールストークを上手にいえないと、失敗しやすい施策です。上手にいえないオペレーターにとって苦手意識が生まれやすいといえます。アップセルを上手に行うように練習することで成功率を高めます。成功率が高まるとオペレーターもアップセルを行うべきこととして認識・行動してくれるようになります。

◆改善点、成功事例を収集して共有する
実際にアップセルを導入してみて、顧客の反応がどうだったのか、現場の声を聞くとよいでしょう。そうすることで、アップセルのやり方を改善していくことができ、より顧客にとってよいトークができるようになります。例えば、「アップセルを行ったら成功した」という事例も実際に収集し、社内に発信することで、「自社の有効なアップセルの方法」をオペレーターに浸透させることができます。成績上位者の音声を共有することは良く使われる手法です。

4-2.効果的なアップセルを行えるツールを導入する

アップセル導入のコツ2つめは、「効果的なアップセルを行えるツールを導入する」ということです。

いきなりアップセルを導入しようとしても、最初からスムーズに導入は難しいでしょう。アップセルを取り入れて、顧客からの信頼を失ってしまい、退会等が発生してしまったら、元も子もありません。そこで、オペレーターのアナウンスを支援するために、具体的にはアップセルトークをサポートしてくれるツールを紹介します。

・transpeech
音声aiを活用し、“会話内容から注意すべきキーワードをリアルタイムで検知し、オペレーターのパソコン画面にスクリプト(トークの台本)を表示させ、オペレーターの応対支援をする機能を備えています。オペレーターが自然にアップセルをトーク中に取り入れられるように、利用されています。

効果的なアップセルを行えるツールを導入する

また感情解析機能も有しております。AIが顧客の感情を読み取り、特定感情をオペレーターの画面に表示できます(全感情を出すことも可能ですが、特定の感情のみ出すことでオペレーターの混乱を防ぎます)。また特定感情でも特に、重要となる感情に関しては管理者へ通知させ、オペレーターの対応確認・支援が可能になります。

感情解析機能

この感情解析の仕組みを活用し、アップセルを促進し、売上を上げるという活用方法に発展させることも可能です。

例えば、顧客の「嬉しい感情」を感情解析で読み取った場合には、 ポジティブな感情に応じたトークスクリプトが画面にポップアップ表示され、タイミングよく、スムーズに顧客への商品・サービスのおすすめができるようになっています。感情解析はまだ発展途上の部分がありますが、今後の動向には目が離せないものがあるでしょう。

その他、アップセルを実施の上で、成功トークと失敗トークを分析し、成約率を上げていくセールストーク解析機能等も実装しております。ご興味のある方は以下より資料をご確認ください。

・Contactrack
電話をかけてくる前に見ていたWEBサイトの直前情報を連携し、アップセルのヒントをオペレーターに共有する仕組みです。顧客のWEB上の直近の行動履歴を把握して案内やニーズの深堀ができるため、アップセルトークにむすびつけやすくなります。

アップセルのヒントをオペレーターに共有する仕組み顧客の問い合わせチャネルがスマートフォンからの問い合わせの場合に限った内容となりますが、ご興味のある方は以下より資料をご確認ください。

まとめ

この記事ではアップセルの基礎知識、メリットと注意点、成果を出すためのコツを解説しました。

ここで改めて本記事のおさらいをしましょう。

◆コンタクトセンター(コールセンター)の「アップセル」とは?
アップセルとは、顧客単価を向上させるための営業手法のひとつで、より上位の商品やサービスを購入してもらうこと

◆コンタクトセンター(コールセンター)にアップセルを導入する2つのメリット

・効率的な顧客単価の向上ができる
・顧客満足度を高められる可能性がある

◆コンタクトセンター(コールセンター)のアップセルを導入する場合の注意点
強引な営業によって不買・顧客流出が発生するリスクがある

◆【アップセルを導入する場合】成果を出すためのコツ

・コンタクトセンターにアップセルの方針を浸透させる
・効果的なアップセルを行えるツールを導入する

以上、皆様のコンタクトセンターで本記事が参考になれば幸いです。

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