
「プロフィットセンターって何だろう?」
企業経営などの話でよく聞かれる「プロフィットセンター」という言葉。
プロフィットセンターとは、企業において利益や収益を生み出す部門のことを指します。
例えば、プロフィットセンターの最も代表的な例として営業部門が挙げられます。
一方、プロフィットセンターと対になる言葉として必ず登場するのが「コストセンター」という言葉。コストセンターは企業において「コストとなる部門」のことを指します。
コストセンターの例として挙げられやすいのは、人事部や経理部など売上に直接関わらない部門のことです。
実は近年では、プロフィットセンターとコストセンターの捉え方が多様化しつつあります。
これまでコストセンターと位置づけられてきた部門をプロフィットセンターとして分類することで、利益率の向上を目指す企業が増加しつつあるのです。
しかし、実際にはコストセンターをプロフィットセンター化するにはどうすればいいのか分からないまま事業を進める企業も多いでしょう。
そこでこの記事では、プロフィットセンターの基本的な知識や、コストセンターをプロフィットセンター化する方法など以下の内容について詳しく解説していきます。
この記事を読めばわかること |
・プロフィットセンターとは |
この記事を読んでいただくことで、コストセンターをプロフィットセンター化する重要性や具体的な実例をお分かりいただけるかと思います。
ぜひ、この記事を自社の経営戦略に活かしていただければ幸いです。
1.プロフィットセンターとは
それではまずは「プロフィットセンター」とは何なのか。具体的に見ていきましょう。
1-1.プロフィットセンターは企業において利益を生み出す部門のこと
冒頭でも解説した通り、プロフィットセンターとは企業において利益や収益を生み出す部門のことを指します。
プロフィットセンターの「プロフィット(profit)」とは日本語で「利益」のこと。「プロフィットセンター」をそのまま和訳すると、「利益の中心」ということとなります。
企業においてプロフィットセンターと分類されることの多い部門としては、以下が挙げられます。
プロフィットセンターとして分類されることの多い部門 |
・営業部門 |
プロフィットセンターの目標は、収益全体から費用を差し引いた「利益」を最大化する事です。
1-2.よく比較されるコストセンターとの違い
プロフィットセンターとよく比較される言葉として「コストセンター」が挙げられます。
プロフィットセンターが「利益や収益を生み出す部門」であるのに対し、コストセンターは企業において、利益を直接は生まない「コスト」となる部門のことです。
コストセンターの「コスト(cost)」は日本語で「費用、経費」等に該当します。「コストセンター」をそのまま和訳すると、「費用の中心」ということになります。
企業においてコストセンターと分類されることの多い部門としては、以下が挙げられます。
コストセンターとして分類されることの多い部門 |
・総務部 |
プロフィットセンターが「利益を最大化する事」を目標にしていたのに対し、コストセンターの目標は費用を最小限に抑える事。
コストセンターは単体では収益を上げることができないため、部門にかかるコストを下げることで利益をなるべく下げない工夫が求められます。
1-3.分類方法に正解はない
以上が大まかなプロフィットセンターとコストセンターの分類になりますが、実はその分類方法は明確に決まりや基準があるわけではありません。
企業の考え方や経営戦略によって、どの部門がプロフィットセンターになるのか、またはコストセンターになるのかは違ってくるのです。
例えば、近年ではコンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)をプロフィットセンターとして分類する企業が増えてきています。
コンタクトセンターはもともと顧客からの問い合わせやクレームに対応する目的で設置されるためコストセンターと分類されてきました。
しかし、コンタクトセンターの応対がスムーズで顧客満足度が上がれば、結果としてその企業の商品やサービスを購入したりリピートするきっかけになることも多いのです。
このように、もともとはコストセンターとしての認識が強い部門であっても、捉え方や戦略によってはプロフィットセンターに分類することも可能となるのです。
2.プロフィットセンター化する利点
コストセンターをプロフィットセンター化する利点としては、各部門の働きによって得られる価値を認識することで利益を最大化することが可能となるためです。
コストセンターとして分類されている部門が利益を増やしたい場合、これまでは「コスト削減」として人件費などの費用を削減したり、効率化によって時間を削減するしかありませんでした。
コスト削減ももちろん、企業の利益を増やすうえではとても重要です。
しかし、部門が直接利益に直結する働く方法があるのであれば、そうした方法を取ることで企業としての利益を最大化できる可能性があります。
例えば、「1-3.分類方法に正解はない」でも解説したコンタクトセンターの例のように、もともとコストとしての認識しかなかった部門による「価値」に着目することで、利益を最大化する事が可能となります。
このように、捉え方や経営戦略によってこれまでコストセンターとして認識されていた部門をプロフィットセンター化する動きが強まってきているのです。
3.コストセンターをプロフィットセンター化する方法
それではここからは、具体的にコストセンターをプロフィットセンター化する方法を解説していきます。
コストセンターをプロフィットセンター化するには企業規模や状況によってさまざまな方法があります。
ここでは、具体的な方法というよりは以下の3つの「考え方」を中心に解説していきます。
それぞれ見ていきましょう。
3-1.事業戦略を周知する
コストセンターをプロフィットセンター化する場合に最も重要なことは、企業の事業戦略を各部署(特に該当部署)に周知することです。
ここまでも解説してきた通り、コストセンターやプロフィットセンターの分類は特に取り決めがあるわけではなく、企業の捉え方や戦略によってなされています。
つまり、コストセンターをプロフィットセンター化するのに最も重要なことは、企業全体の該当部門に対する「捉え方」を変える必要があるのです。
コストセンターをプロフィットセンター化するには、まずは働いている人の認識を変えます。
すなわち、これまでコストセンターとして認識されていた部門において、新たな取り組みにより利益貢献することでプロフィットセンターにするという認識を事業戦略として社員に周知することが先決なのです。
「こういう理由で、こういったことをやっていく必要があるため、○○部門をプロフィットセンター化します」といった事業戦略の共有がまずは最も重要なステップです。
3-2.他の部門と連携する
コストセンターが単体でプロフィットセンターになることは難しいため他部門との連携が必要です。
そのため事業戦略を共有した後には、他の部門との連携をスムーズにできるようにします。
例えば、先ほどのコンタクトセンターを例に出してみましょう。
顧客からの問い合わせやクレーム応対を目的としたコストセンターとして機能していた時には、コンタクトセンターは目の前の問い合わせに答えていくだけで充分でした。
しかし、コンタクトセンターをプロフィットセンター化する場合には手段が異なります。
例えば受けた問い合わせや意見・要望・クレームなど顧客の声をデータ化し、商品開発部門に共有したり営業部門に共有するなどの方法で会社全体の利益を上げるように連携する必要があります。
場合によっては、コンタクトセンターへの問い合わせから直接営業部門につなげることも不可能ではありません。
このように、コストセンターをプロフィットセンター化するためには、その部門が社内の各部門と連携することで収益の最大化を目指すことが最も重要となるのです。
3-3.情報の共有をスムーズに行う
基本的な連携以外にも、社内での情報をスムーズに共有できる仕組みを作るようにしましょう。
例えば先ほどのコンタクトセンターの例では、問い合わせ内容や意見・要望といった顧客からの情報を定期的に他部署に連携できるようにしておく必要があります。
どのような情報が必要で、どうやって連携するのか、などを事前に取り決めておくことでスムーズな情報の共有がおこなえます。
コストセンターをプロフィットセンター化するためには、できる限り会社内の風通しを良くし、情報を共有する社内全体の取り組みが近道となるのです。
4.コストセンターをプロフィットセンター化した具体例
それではここでは、コンタクトセンターを例としてもともとコストセンターとされていたにも関わらずプロフィットセンター化できたのか、事例をみていきましょう。
4-1.コンタクトセンター
ここまでも何度も解説してきた通り、コンタクトセンターもコストセンターからの脱却が目覚ましい部門の代表例です。
顧客からの問い合わせやクレーム等さまざまな声を拾い上げて収集するシステムを構築することで、データを活用して利益を生み出す仕組みを作ることが可能です。
コンタクトセンターはかつて問い合わせ対応のためのコストセンターとして認識されてきました。問い合わせを応対するためだけの部門であり、コンタクトセンターから何かの利益を生み出すことはできないとされていたのです。
しかし近年はインターネットの普及により、さまざまな商品やサービスを対面でなくネット上で完結できるようになってきました。それに伴い、顧客の声を直接聞くことができるコンタクトセンターの価値が見直されてきたのです。
顧客からの生の声を集めて情報を分析し売上につなげたり、問い合わせから直接販売につなげるといった仕組みを取り入れることでコンタクトセンターはコストセンターからの脱却を実現したのです。
また、プロフィットセンターで定義される「利益」とは何もそのまま売上に直結するだけのことではありません。
近年ではCX(顧客体験価値)向上が企業収益を改善するといわれている通り、コンタクトセンターでの一連の問い合わせ体験から、顧客に良い体験をしたということを感じてもらうことで、顧客をリピーター化し、更にその中の一部の顧客が体験を広めることにより企業価値が向上していくのです。
コンタクトセンターはこうしたさまざまな方向からの利益に敏感に対応し、プロフィットセンター化できた成功例の一つと言えます。
顧客体験価値を向上させるための対応に関しては、こちらの記事も参照ください。
5.経営戦略を考えながら役割分担を行おう
コストセンターをプロフィットセンター化する場合に注意すべき点としては、きちんと経営戦略を見ながら役割分担を行うことです。
企業全体の利益率を上げるためにコストセンターをプロフィットセンター化することが進められていることは常に認識する必要があります。
重要なのは、各部門にどれだけの利益を生み出す余地があるのかを理解する事。
部門によっては、利益を生み出す余地が残されていなかったり、そもそも利益を生み出しようがないといった部門もあります。
企業におけるそれぞれの部門の役割をしっかりと理解し、利益を出せる余地がある部門に関してはプロフィットセンター化します。同時に、利益を出せる余地のない部門に関しては無理にプロフィットセンター化する必要はありません。
その役割を把握せずにプロフィットセンター化ばかりに重きを置くと、かえって企業の利益を損なうこともあるのです。
部門ごとの役割や価値を最大限に発揮できるのはプロフィットセンターとしてなのか、これまで通りのコストセンターとしてなのか。
どうすれば部門にとってより価値を発揮できるのかを判断基準に考えていきましょう。
6.コンタクトセンターのプロフィットセンター化ならプロに相談しよう
ここまで解説してきた通り、コンタクトセンターをプロフィットセンター化することで、企業全体の利益の向上を目指すことが可能です。
コンタクトセンターは直接顧客とコミュニケーションを取れるチャネルとして近年注目を集めつつあります。
トランスコスモスは、顧客との対話をになうコンタクトセンターの利点を最大限に生かした戦略的コンタクトセンター構築などのサービスを提供しています。
コンタクトセンターを最大限に生かすことでプロフィットセンターとして機能させ、利益を生み出す部門に転換させることが可能となるのです。
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まとめ
以上、この記事ではプロフィットセンターの基本的な知識や、コストセンターをプロフィットセンター化する方法など詳しく解説してきました。
この記事を読めばわかること |
・プロフィットセンターとは |
コストセンターを上手くプロフィットセンター化することで、企業全体の利益向上の近道となります。
ぜひ、この記事を経営戦略に活かしてみてください。