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One to Oneマーケティングとは?コールセンターが顧客ロイヤルティを高める方法について解説

「One to Oneマーケティングとは?」
「One to Oneマーケティングはどのように実施すればいいの?」

昨今、注目を集めている「One to Oneマーケティング」。聞いたことはあっても、どのようなマーケティング手法なのか分からない方は多いのではないでしょうか。

One to Oneマーケティングとは、簡単に言うと顧客一人ひとりに合わせて最適なマーケティングを行うことです。すべての顧客に対し同じマーケティングを行うのではなく、下記の図のように顧客一人ひとりに応じた情報提供や商品提案を行うところが特徴です。

One to Oneマーケティングの概要

One to Oneマーケティングは顧客と良好な関係を築きやすく、顧客ロイヤルティやブランドイメージの向上など様々なメリットがあります。

One to Oneマーケティングのメリット

・顧客ロイヤルティの向上
・成約率の向上
・ブランドイメージが良くなる
・ロイヤルカスタマーの育成につながる

成熟した市場で他社との差別化を図る効果的なマーケティングを実施するには、One to Oneマーケティングのメリットや手法を理解し、取り組んでみることが大切です。

そこでこの記事では、One to Oneマーケティングの概要や導入メリット、具体的な手順などOをまとめて解説していきます。特に、One to Oneマーケティングの手法は分かりやすくまとめているので必見です。

【この記事を読むと分かること】

●One to Oneマーケティングとは
●One to Oneマーケティングが注目される背景
●One to Oneマーケティングの5つの手法
●One to Oneマーケティングのメリット
●One to Oneマーケティングの成功事例
●One to Oneマーケティングを実施するまでの流れ
●One to Oneマーケティングを実施する上でのポイント

この記事を最後まで読めばOne to Oneマーケティングの実施方法が理解でき、マーケティングに活かせるようになります。効果的なマーケティングを行うためにも、ぜひ参考にしてください。

目次 [非表示]

1.One to Oneマーケティングとは

One to Oneマーケティングとは、顧客一人ひとりに合わせて最適なマーケティングを行うことです。個別マーケティングやパーソナライズド・マーケティングと呼ばれることもあります。

従来はテレビやラジオ、街頭広告のようにさまざまな顧客を集団と見なして行う「マスマーケティング」が主流でした。例えば、セールをするときにメールマガジンで「50%オフ」と一斉送信したとしましょう。このメールを開封した人には「50%オフ」という同じ情報が届きます。

マスマーケティングの例

顧客の誰もがセールに興味があればこの情報を拡散すればいいのですが、ニーズが多様化した現在は顧客一人ひとりが興味関心の持てる情報が異なります。セール情報に興味がある人もいれば、新商品情報が欲しい人もいます。中には、欲しかった商品の再入荷商品の情報を待っている人もいるでしょう。

このように、一人ひとりのニーズに応じて適切なマーケティングを行うことが「One to Oneマーケティング」です。

One to Oneマーケティングの例

一人ひとりの興味関心に合うマーケティングを実施することで「顧客との接点を維持できる」「ブランドや企業のファンを創出する」など、さまざまなメリットがあります。

One to Oneマーケティングを行うには顧客情報を収集、分析することがネックになっていましたが、昨今はデジタルツールを活用しながら比較的簡単に下記のようなOne to Oneマーケティングができるようになりました。

【One to Oneマーケティングの手法】

手法

概要

テレマーケティング

企業と接点を持つ既存顧客や見込み客に対しフォローを行う

DM・メルマガ

商品やサービスの情報をメール・郵便物で届ける

レコメンデーション

顧客におすすめの商品やサービスを提案する

マルチチャネルの活用

アプリやメール、チャットなど複数のチャネルを活用する

リターゲティング広告

過去にWebサイトを訪問した顧客に絞って広告を表示する

1-1.マスマーケティングとの違い

マスマーケティングとは、さまざまな顧客を1つの集団と見なし、その集団全体に対して特定のマーケティングを実施することです。特定のペルソナに基づき多数に向けてマーケティングを行うという点で、個々に合わせたマーケティングを行うOne to Oneマーケティングとは異なります。

One to Oneマーケティングとマスマーケティングの違い

マスマーケティングのメリットとしては、「手間やコストがかからないこと」や「企業のブランド化が容易に行えること」などが挙げられます。

一方でデメリットとして、「個々の顧客への対応力が弱い」「数で勝負するため、成約率が低い」「場合によってはブランドイメージがダウンする」などがあります。

1-2.ダイレクトマーケティングとの違い

One to Oneマーケティングとよく似た使われ方で、ダイレクトマーケティングという言葉があります。ダイレクトマーケティングとは、商品・サービスをテレビや新聞広告などのメディアを介さずに、直接消費者に訴求するマーケティング手法です。

ダイレクトマーケティングの大きなメリットは、顧客データを基に商品・サービスを直接販売できるため、コストを下げられるかつ費用対効果が図りやすい点です。

一方で誰に何を実施するのかの施策立案や実施した施策に対する分析・効果検証等の工数がかかりやすく、専門の人材を確保しておく必要があります。

昨今では企業がSNSやWebサイトを利用し、消費者に直接アピールできるようになっているため、多くの企業がダイレクトマーケティングを戦略に組み込んでいます。

先にお伝えしたとおり、ダイレクトマーケティングとOne to Oneマーケティングは、どちらもパーソナル情報を元に個人に対してマーケティングを行うため、よく似たマーケティング手法として認識されています。

しかし、ダイレクトマーケティングは新規顧客の獲得に焦点が当てられているのに対し、One to Oneマーケティングは顧客との関係維持や顧客ニーズの把握にも大きな割合が割かれている点で異なります

また手法においても、ダイレクトマーケティングはメールや広告などの手法がとられやすいですが、One to One マーケティングは人手による販売員や、コンタクトセンター(コールセンター)で実施されます。

2.One to Oneマーケティングが注目される背景

One to Oneマーケティングが注目されるようになった背景には、2つの理由があります。

One to Oneマーケティングが注目されるようになった背景

①市場が成熟し付加価値が求められるようになった
②デジタルツールが増えてOne to Oneマーケティングがしやすくなった

2-1.市場が成熟し付加価値が求められるようになった

1つ目は、市場が成熟し付加価値が求められるようになったことです。

日本の市場は成熟期を迎え、商品やサービスの機能や価格だけでは差別化が難しくなっています。例えば、食器を購入しようとしたときに、似たデザインの商品や似た価格帯の商品は数多くあります。この中で選ばれるには、購入したいと思わせる付加価値を提供しなければなりません。

One to Oneマーケティングは一人ひとりの興味関心や購買傾向に応じてマーケティングをするので、新たな購買体験を提供できます。

【One to Oneマーケティングが提供できる購買体験の例】

・購入履歴から顧客に合う商品、サービスを提案できる
・購入履歴から同じ価格帯、同じ商品を購入した人が興味を持つ商品を提案できる
・購入履歴から関連性がある商品を提案できる

顧客の購入履歴に応じて「この商品を購入している人は〇〇も一緒に購入する傾向があります」「以前購入した商品のグレードアップ版が発売されました」など顧客に合う提案が積極的にできるので、新しい購買体験につながります。

2-2.デジタルツールが増えOne to Oneマーケティングがしやすくなった

2つ目は、デジタルツールが増え、One to Oneマーケティングがしやすくなったことです。デジタルツールがなかった時代は顧客情報を収集し分析することが難しく、One to Oneマーケティングのハードルが非常に高い側面がありました。

顧客が購入した商品情報を蓄積し類似商品を提案するだけでも、膨大なデータが必要です。アナログでは時間と労力がかかり、パーソナライズされた提案がなかなかできない状況でした。現在は下記のようなデジタルツールが登場しており、顧客情報の管理や分析がしやすくなりました。

【One to Oneマーケティングに活用できるデジタルツールの一例】

・MAツール:
 見込み顧客の獲得から育成までのマーケティング活動を自動化・効率化できるツール
・顧客管理ツール(CRM):
 顧客情報を一元管理できるツール
・レコメンドツール:
 FCサイトなどで顧客に応じた商品を提案するツール

このように、One to Oneマーケティングが実施しやすい環境が整ったことでマーケティングに取り入れやすくなった背景があります。

3.One to Oneマーケティングの5つの手法

ここでは、One to Oneマーケティングを実施する具体的な手法とポイントをまとめてご紹介します。One to Oneマーケティングを実施するときには、下記の5つの手法を使うことが多いです。

【One to Oneマーケティングの手法】

手法

概要

テレマーケティング

企業と接点を持つ既存顧客や見込み客に対しフォローを行う

DM・メルマガ

商品やサービスの情報をメール・郵便物で届ける

レコメンデーション

顧客におすすめの商品やサービスを提案する

オムニチャネルの活用

オンライン・オフライン問わず顧客とのすべての接点でサービスを提案する

リターゲティング広告

過去にWebサイトを訪問した顧客に絞って広告を表示する

3-1.顧客の関心に合わせたテレマーケティング

テレマーケティングとは、企業と接点を持つ既存顧客や見込み客に対しフォローを行うダイレクトマーケティングの手法です。テレマーケティングは、アウトバウンドとインバウンドで目的が異なります。

手法

概要

目的

アウトバウンド

企業側から情報提供を行い、能動的に営業活動をする手法

・購入促進やリピーターの獲得
・顧客のニーズの収集

インバウンド

顧客からの問い合わせ内容に応じて個別対応する手法

・受注やリピーターの獲得
・顧客満足度の向上

アウトバウンドのコンタクトセンター(コールセンター)では顧客管理ツール(CRM)を活用して、顧客の背景を掴んだうえで一人ひとりに合わせた営業活動を行います。

過去に購入履歴がある顧客には「以前お使いいただいた商品はどうでしたか?」など商品の感想を聞きながら、顧客のニーズを掴み提案することが可能です。

また、Webサイトに登録をしたものの購入したことがない顧客には「初めての購入で使えるクーポンを配布しています」など、初回購入を促す営業活動ができるでしょう。

インバウンドのコンタクトセンターでは顧客の電話番号や会員情報から購入履歴や問い合わせ履歴などの情報を照会して、顧客が求める問題解決を図ります。

例えば「自分に合う商品が分からない」という顧客に闇雲に商品を紹介するのではなく、顧客の要望や購入傾向に応じた個別提案をすることがOne to Oneマーケティングに該当します。

このように、統一されたトークスクリプトを話すのではなく、顧客の状況やニーズに応じて柔軟に対応することがOne to Oneマーケティングのポイントです。

トランスコスモスではCRM情報や売上のデータから購買確立をAIで分析・予測してスコア化するツールDataRobotを提供しています。ご興味のある方は以下より資料DLください。

3-2.DM・メルマガ

DM(ダイレクトメール)やメルマガ(メールマガジン)は、One to Oneマーケティングを実施しやすい手法です。

DM

商品やサービスの情報を郵便物(はがきや封書)で届ける手法

メルマガ

商品やサービスの情報を、メールを使い送信する手法

DMは商品やサービスの情報を郵便物で届ける方法ですが「先日はご購入ありがとうございした」「新商品情報をお届けします」など、どの顧客にも同じ文書を送付しがちです。

One to Oneマーケティングでは顧客が購入した商品や興味を持ちそうなサービスなどを把握したうえで、下記のように一人ひとりに合わせた訴求を行います。

通常のDMの文書

One to Oneマーケティング

先日は体験講座を受講いただきありがとうございました。

先日は「〇〇講座」を受講いただきありがとうございました。〇〇様のご要望や年齢を踏まえると〇〇コースがおすすめです。〇〇コースは〇〇様と同じような悩みを持つ学生が受講しており、苦手科目を克服しています。

先日はご購入ありがとうございました。

先日は「〇〇」のご購入ありがとうございました。使い心地はいかがでしょうか?今回〇〇様がご購入された商品と同じシリーズの〇〇が入荷します。併せて使うとより効果を実感いただけるかと思います。

体験講座を受講した顧客にはお礼の言葉を述べるだけではなく、体験講座時に取得したアンケート内容を踏まえておすすめのコースを紹介します。顧客のニーズに応じた提案をすることで、興味を持ってもらえる確率が高くなるでしょう。

メルマガも同じ内容のメールを一斉送信するのではなく、下記のような工夫をしてOne to Oneマーケティングを実施します。

【メルマガでOne to Oneマーケティングをする方法】

・件名に氏名や会員ランクなどを差し込み個人宛てのメールだと認識させる
・購入履歴や年齢、ニーズなどに応じてセグメントをして送信する内容を変更する

メルマガを送信するときには件名に「〇〇様にお知らせです」「〇〇様先日はご購入ありがとうございました」など氏名を入れると、個人宛てのメールだと認識してもらえます、

また、年齢層や住まいの地域、購入履歴などの情報を基にセグメントして、メルマガの内容を分けるといいでしょう。

【セグメントの一例】

・購入回数1回の顧客:再購入時に使えるクーポンを配信
・購入頻度が高い顧客:購入回数が多いお礼としてサンクスクーポンを配信
・1回目の購入から期間が空いている購入:お帰りなさいクーポンを配信

このように、DMやメルマガは顧客の購入頻度やニーズ、属性を踏まえたOne to Oneマーケティングが実現できます。

3-3.レコメンデーション

レコメンデーションとは、顧客におすすめの商品やサービスを提案する機能のことです。主に、ECサイトやWeb広告で活用されています。レコメンデーションはレコメンドエンジンやレコメンドサービスなどのツールを使用して行うことが一般的です。

例えば、ECサイトで食器を購入した場合に、お皿やカトラリーなど関連性がある商品を表示して購入を促します。

すべての顧客に同じ商品を勧めるのではなく、一人ひとりの購入した商品や購入履歴、検索結果などを基に提案できるところが特徴です。

【レコメンデーションの一例】

・顧客が検索した商品や購入した商品と関連性のある商品を提案する
・顧客が購入した商品を購入した人が興味を持っている商品を提案する
・顧客が購入した商品と同価格の商品を提案する
・顧客が購入した商品と関連性がある新しい商品を提案する

レコメンデーションを使いOne to Oneマーケティングをすることで、顧客が興味関連を持つ可能性が高い商品を積極的に提案できます。その結果、収益の拡大やリピーター獲得につながるでしょう。

3-4.オムニチャネルの活用

昨今はメルマガやアプリ等単体のオンラインマーケティングだけではなく、店舗でのクーポンの発行やポイント付与に寄与するような複数のチャネルの行き来するマーケティングが主流です。

オムニチャネルを活用して顧客の行動に応じた体験を提案する、One to One マーケティングが広がっています。

【オムニチャネルの活用例】

・アプリで顧客の閲覧履歴や購入履歴に応じた情報をECや店舗で共有する
・メルマガやメッセージアプリで一人ひとりに応じた情報を提供し、ECや店舗で活用する
・チャットや電話、対面等で顧客情報をシームレスに共有し、必要に応じた購入支援を行う

例えば、アプリで顧客の閲覧履歴や購入履歴に応じた情報を共有します。アプリを見て興味を持った顧客には、メルマガでクーポンを送付します。そして、店舗やECサイトで商品を購入します。

このように、シームレスにマルチチャネルが連携し顧客に応じた情報提供をすることで、具体的な行動を促します。

3-5.リターゲティング広告

リターゲティング広告は、過去にWebサイトを訪問したことのある顧客に絞って広告を表示する手法です。例えば、自社のECサイトで鞄のページを見ていた顧客がいるとしましょう。顧客は鞄を購入しないで、ECサイトから離脱しました。

そこで、リターゲティング広告を活用しECサイトの鞄を広告表示させることで「やっぱりこのECサイトで鞄を購入しよう」と再度購入を検討するきっかけを与えます。

リターゲティング広告は自らの意志でECサイト訪問をしたことがある顧客が対象なので関心が強い可能性が高く、購入につながりやすいです。また、何もしなければ離れていってしまう顧客を強く引き留める役割も果たします。

ただし、Googleが2024年後半から段階的にサードパーティCookieを廃止すると発表しているなど、Cookieの規制は強化されている傾向にあります。

サードパーティCookieが規制されるとリターゲティング広告に必要なデータが取得しにくくなるので、今後は活用しにくい手法になるかもしれません。

4.One to Oneマーケティングのメリット

One to Oneマーケティングには、マスマーケティングでは実現できない数々のメリットがあります。

One to Oneマーケティングを導入することで得られるメリットについて見ていきましょう。

One to Oneマーケティングのメリット

4-1.顧客ロイヤルティの向上

One to Oneマーケティングは顧客の興味・関心により近い商品やサービスについて紹介するため、顧客の関心レベルが高いのが特徴です。

最初からある程度の興味を持ってもらえている状態であれば無理やりな提案をする必要がなく、商材の特徴を丁寧に説明することで興味を持つ顧客が増えます。

また、興味を持つ商材に関するやりとりは顧客にとっても楽しいものです。丁寧な対応に加え、優れた商材を紹介することで、顧客ロイヤルティの向上につながります。

4-2.成約率の向上

One to Oneマーケティングは、成約率を高められる点もメリットです。個々の顧客に対して、それぞれの顧客が欲する情報をもとにアプローチするため、成約率が格段に上がります

WebサイトやECサイトに訪問する顧客の購買意欲を促進し、顧客画面で購入を検討している商品・サービスのダイレクト表示や、クーポン・セールの情報を提供することで購入までのステップを後押しできます。

また、Web接客ツールの導入によってBtoCだけでなく、BtoBのビジネスにも効果的なセールスが可能となります。チャットシステムを用いて顧客の課題や悩みを把握し、担当者から折り返し連絡することで、営業の効率化にも役立ちます。

4-3.ブランドイメージが良くなる

顧客は自分のことを理解してくれている企業に対し愛着を持ちます。

One to Oneマーケティングは、顧客の実態をもとにマーケティング手法を考案するため、顧客にとっては自分のための個別提案であるかのように感じ、企業に対し肯定的な感情を抱くようになります。結果、ブランドに対するイメージが良くなり、ファンを獲得しやすくなります

4-4.ロイヤルカスタマーの育成

One to Oneマーケティングは、新規顧客を獲得するダイレクトマーケティングとは異なり、企業の長期的なファンを増やすといった中・長期にわたる見込み顧客獲得に適したマーケティング手法です。

過去に購入した商材がなくなるタイミングを見計らってアプローチしたり、顧客とのやりとりを通して悩みを聞いたりすることで顧客と良好な関係を築き上げ、長期にわたり商材を購入してもらうことが可能となります。

新規顧客を獲得するだけでなく、ロイヤルカスタマーを増やすことも企業にとって重要な施策です。

なお、ロイヤルカスタマーについてもっと詳しく知りたい方は以下から記事をご確認ください。

5.One to Oneマーケティングの成功事例

One to Oneマーケティングを実施したことで、企業の業績を大きく伸ばした事例も多く存在します。ここでは、異なる3つの業界の成功事例を紹介します。

会社

取り組み内容

成果

化粧品会社

美容に関する専門知識を有するオペレーターが顧客の肌の状況・購入履歴に応じた商品を提案する

通常受注窓口よりも1.2倍の販売単価を達成

飲食店

独自アプリを導入に顧客に応じたクーポンを配布する

・売上高:2.9%アップ
・広告宣伝費:20%以上削減

ブランド通販サイト

顧客の興味や属性、購入履歴に応じてセグメントしたメールを配信する

コンバージョン率が10%アップ

5-1.販売単価を1.2倍に伸ばした化粧品会社

化粧品を販売する会社A社は、One to Oneマーケティングを重要視しており、顧客にとってパーソナルな提案をコンタクトセンター(コールセンター)で実施することで信頼を高め、長く使っていただくことをミッションとしていました。

具体的には購入目的で電話いただいた顧客に対し、「肌のお悩み」を伺うトークスクリプトを作成。購入目的や肌の悩みを聞き出し、年齢等から顧客の購買履歴からベストな商品を提案するコールセンターに変更しました。

その結果、商品のアップセル率が高まり、販売単価を1.2倍に増やすことに成功しています。

5-2.クーポン配布により売上を伸ばした飲食店

さまざまな飲食店を展開するB社は、個人に合わせたクーポンの配布により売上を伸ばした企業です。多くの飲食店はチラシ広告やメルマガなどを利用し、一斉にクーポンの配布を行うなか、B社は他社と差別化する方法を探っていました。

そこでB社は独自のアプリを開発し、顧客一人ひとりに合ったクーポンを配布できる仕組みを構築。POSデータと呼ばれる情報を追跡できるアプリにより、顧客の年齢や属性、住んでいる地域などを分析し、顧客が興味を持つと想定される情報に限定してクーポンを発行するようにしました。

精選されたクーポンが表示されることで多くの顧客が興味を持ち始め、売上高は2.9%アップするとともに、広告宣伝費は10%以上削減できたといいます。情報を闇雲に提供するのではなく、本当に必要な情報のみを提供することで成功を収めた事例といえます。 

5-3.メール送信でコンバージョン率を10倍に高めたブランド通販ショップ

通販を中心にブランド品の販売を行うC社は、メール配信システムを極めた企業として有名です。顧客の興味・関心や属性、これまでの購入履歴などを参考に、130種類以上ものメールを配信しています。

例えば、高級な靴を購入した顧客に対しては、靴のメンテナンス用商品に関連するメールを送るなど、継続してショップを利用してもらう仕組みを構築しました。

顧客に送る各メールに関しては、顧客の反応を見ながら精選を繰り返し、本当に必要な情報のみが届くように管理。顧客情報を徹底的に活用した戦略をとることで、コンバージョン率が10倍にまで高まったといわれています。

6.One to Oneマーケティングを実施するまでの流れ

One to Oneマーケティングを実施する上では、「なんのためにOne to Oneマーケティングを取り入れるか」という目的から考えることが重要です。目的を明確にした後に戦略を練り、顧客情報の収集・分析に必要なツールを導入する必要があります。

One to Oneマーケティングを実施するまでの流れを理解した上で、自社での導入を検討してみるとよいでしょう。

One to Oneマーケティングを実施するまでの流れ

6-1.STEP1 目的を決める

まずは、One to Oneマーケティングで何を達成したいのかを考えます。「成約率を伸ばしたい」「顧客満足度を高めたい」など、目的を明確にすることで、とるべき戦略や導入するツールが見えてきます

6-2.STEP2 戦略を練る

目的を決めた後は、その目的に合わせた戦略を練っていきます。「どのように進めるのか」「誰が指揮を執るのか」「どのようなツールを導入するのか」といったことを決めていきます。

ただし、ここで注意したいのは、One to Oneマーケティングに関する知識や経験がないメンバーだと適切な戦略を練ることが難しいという点です。

One to Oneマーケティングは、戦略立案から適切なツールの選定、情報の収集・分析など、専門的な知識と経験が必要です

そのため、もし初めて取り組むのであれば、専門家に助言を依頼したり、One to Oneマーケティングを実施した経験を持つ人材を採用したりすることをおすすめします。

6-3.STEP3 最適なツール(CRMツールなど)を導入する

次に、戦略を実行するための適切なツールを導入します。One to Oneマーケティングには、CRM(顧客関係管理)やMA(マーケティングオートメーション)ツールが適しているといわれています

それぞれ似たような意味を持つツールですが、用途や目的が異なるため、自社の目的や戦術に合わせて適切なツールを導入するとよいでしょう。

6-4.STEP4 顧客データを収集する

導入したツールを利用し、顧客データの収集を開始します。ツールによっては導入後のデータしか収集できないものもあるため、余裕をもってツールの導入を実施するとよいでしょう。

6-5.STEP5 個々の顧客に合わせた提案を実施もしくは設定する

集めた顧客情報を活用し、個々の顧客に適したマーケティングを実施していきます。

作成されたリストの情報をもとにテレマーケティングを進めたり、ツールに自動メール送信機能を組み込んだりすることで、顧客へのアプローチを進めていきます。

7.One to Oneマーケティングを実施する上でのポイント

ツールを導入し、情報を集められるようになったからといって必ずしもOne to Oneマーケティングの導入が成功するとは限りません。むしろ、顧客にとって本当に必要な情報を提供できるように試行錯誤を行うプロセスこそが重要です。

最後に、One to Oneマーケティングを実施する上でのポイントについて紹介します。

One to Oneマーケティングを実施する上でのポイント

7-1.顧客データを正しく分析する

One to Oneマーケティングでは、顧客データの収集が非常に重要ですが、それと同じぐらい顧客データの分析が大切です。

例えば、Webサイトを訪問した顧客が複数のページを行き来していたとします。この場合、商品に興味があって何度も訪問していた可能性もあれば、目的の商品にたどり着けずに行き来していた可能性もあります。

データの意味は多様に解釈することができるため、この解釈を間違えてしまうと顧客目線でのマーケティングができなくなってしまいます。そのため、顧客データは収集するだけでなく、正しく分析し、正しく解釈する必要があります

7-2.短期的な成功を求めすぎない

新しい取り組みを始めるとすぐに成果を求めてしまいがちですが、One to Oneマーケティングはある程度の時間を見て、じっくりと進めていくことが重要です。

個々の顧客に対して最適なアプローチをとることで早期に成果が現れる場合もありますが、One to Oneマーケティングには顧客の育成という側面もあります。

顧客満足度を高めることで、長期にわたって自社のファンになってもらえる顧客を育て上げるのもOne to Oneマーケティングの魅力でもあるため、短期で成果を求めすぎるのではなく、中・長期的な目線で考えることも重要です。

7-3.目的に合ったツールを導入する

One to Oneマーケティングの成功のためには、最新のシステムやツールの活用が重要です。しかし、複雑な機能のツールを導入してしまい、結局は使いこなせなかったという声もよく聞きます。

初めてMAやCRMツールを導入する場合は、必要最低限の機能が備わっており、使いやすさにこだわったツールを導入するとよいでしょう。

7-4.顧客へのアプローチを試行錯誤する

One to Oneマーケティングは、企業が顧客との適切な関わり方を模索しながら成功事例を作り上げ、より良い方法を考えていくマーケティングともいえます。

そのため、一度失敗したから終わりではなく、うまくいかなかった理由を考え、次に活かすことが重要です。失敗は成功のためのプロセスと考え、失敗から学ぶ習慣をつけておくとよいでしょう。

まとめ

顧客満足度の向上を掲げているコンタクトセンター(コールセンター)にとって、One to Oneマーケティングは非常に有効なマーケティング手法です。

しかし、One to Oneマーケティングを成功させるためには、正しいノウハウと経験が必要になります。

トランスコスモスでは、顧客情報の収集・分析に適したコンタクトセンター向けのツールや、アウトバウンドコールのノウハウなど、One to Oneマーケティングに適したサービスを提供しています。

もしこれからOne to Oneマーケティングの導入を検討しており、知見やノウハウを求めている場合はぜひお気軽にお問い合わせください。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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