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インサイドセールスのKPIとは?代表的な指標と適切に設定する方法

インサイドセールスにおける代表的なKPI(重要業績評価指標)には、「メール開封率(数)」「架電数」「商談化率(数)」「受注率(数)」「受注額」などがあります。

インサイドセールスにおける代表的なKPI

・メール開封率(数)
・架電数
・商談化率(数)
・受注率(数)
・受注額

インサイドセールスで成果を上げていくためには、これらのKPIの中から自社に合った適切な項目を選んで設定していくことが何よりも大切です。

しかし、インサイドセールスの役割は多岐に渡っており、さらに会社によって目的やゴールも異なるため、予備知識がないと適切なKPIを設定するのは困難です。

自社の目的に合っていないKPIを設定してしまうと、施策の有効性を正しく判断することができず「いつまで経っても成果がうまく上がらない」「課題がどこにあるのかわからず改善の打ち手が見つからない」という問題を抱えることになってしまうでしょう。

そんな事態を避けるためこの記事では、以下の内容をお伝えしていきます。

この記事でわかること

・インサイドセールスにおける代表的なKPI
・インサイドセールスのKPIを適切に設定する方法
・インサイドセールスのKPI設定を行う際のポイント

さらにKPI設定後の定期的な効果測定に役立つツールも具体的に紹介します。

そのためこの記事を最後までお読みいただけると、インサイドセールスにおけるKPIの適切な設定方法を詳しく知った上で、日々きちんと効果測定を行うための管理方法まで理解することができますよ。

インサイドセールスで成果を出していくため、自社に合ったKPIの設定方法を学んでいきましょう。

1.インサイドセールスの種類

インサイドセールスのKPIについて細かく解説する前にまず知っておいていただきたいのが「インサイドセールスの種類によって適切なKPIは異なる」ということです。

なぜかというと、これを知らずに具体的な指標の話に進んでも「自社の場合はどの指標が適しているのか?」を正しく判断することができないままになってしまうためです。

そのためこの章では、インサイドセールスの種類として「アウトバウンド型」と「インバウンド型」の2つがあるということを簡単に紹介します。

基礎知識を理解した上で具体的なKPIの項目を見ていくと、より理解がスムーズに進みます。早速見ていきましょう。

1-1.アウトバウンド型インサイドセールス

「攻め」のインサイドセールスを実現したい場合に採用されるのが「アウトバウンド型」です。

BDR(Business Development Representative)とも呼ばれ、新規開拓型のインサイドセールスを実施していきます。

アウトバウンド型インサイドセールスとは

企業が、自社の戦略をもとにアプローチしたいターゲットのリストを作成し、電話やメールなどでコンタクトをとり見込み客を作り出す方法。自社の方針に合ったターゲットだけが対象となるため、戦略的な新規開拓を実現できる。特に積極的に事業拡大したい場合に特に有効な施策となる。

「自社が狙いたいターゲット像が決まっている」「積極的に新規顧客を開拓していきたい」という場合は、アウトバウンド型を取り入れるのが向いています。

1-2.インバウンド型インサイドセールス

一方、アウトバウンド型と対になるのが「待ち」の手法となる「インバウンド型」です。

SDR(Sales Development Representative)とも呼ばれ、反響型で顧客獲得を実施していきます。

インバウンド型インサイドセールスとは

自社のHPやホワイトペーパー、SNS、セミナーなどからアプローチしてくれた企業に対して返信する形でコンタクトをとる方法。アプローチ先を自社で選ぶわけではないため、自社の戦略や方針に合っていない業種や規模の顧客しか獲得できないこともある。

「既に多くの顧客からの問い合わせを獲得できている」「積極的に顧客を開拓する余裕がない」という場合はインバウンド型を選ぶケースが多くなるでしょう。

2.インサイドセールスにおける代表的なKPI

インサイドセールスのKPIについて学んでいく前に、まずはインサイドセールスの種類として「アウトバウンド型」と「インバウンド型」の2つがあるということをお伝えしました。

前提知識を得られたところで、早速具体的なKPIの例について見ていきましょう。

インサイドセールスにおける代表的なKPIには、冒頭でもお伝えした通り下記5つの種類があります。

インサイドセールスにおける代表的なKPI

・メール開封率(数)
・架電数
・商談化率(数)
・受注率(数)
・受注額

2.インサイドセールスにおける代表的なKPI

以下のように、アウトバウンド型インサイドセールスでは主に「架電数」「商談化率(数)」「受注率(数)」「受注額」が、インバウンド型インサイドセールスでは「メール開封率(数)」「商談化率(数)」「受注率(数)」「受注額」が重視されるケースが多くなります。

重視されるKPIの例

・アウトバウンド型インサイドセールスの場合
 架電数
 商談化率(数)
 受注率(数)
 受注額

・インバウンド型インサイドセールスの場合
 メール開封率(数)
 商談化率(数)
 受注率(数)
 受注額

それぞれの項目については以下で解説していきます。

2-1.メール開封率(数)

インサイドセールスで顧客育成を行う際に有効な手法の一つが「メール」です。

そのため、メルマガで顧客へ定期的な情報提供を行っているような場合は、その開封率や開封数をKPIとすると良いでしょう。

ただし「開封数」は母数が多いときと少ないときで成果にバラつきが出やすいため、「開封率」を測定することが一般的です。

メール開封率の平均値はターゲットや内容によっても異なるため一概にはいえませんが、ある程度その企業に興味を持っているグループに対して送る場合なら、以下のように15%〜25%程度が目安となります。

インサイドセールスにおけるKPI「メール開封率(数)」

・メール開封率(数)とは
送信したメールがどのくらいの割合(数)開封されたかを示す指標

・平均値の目安
その企業に関心がある顧客へ送る場合:15%〜25%
その企業への関心度が低い顧客へ送る場合:5~10%

メール開封率には、以下のような要素が影響します。

メール開封率に影響を与える要素

・タイトル(紹介商材)が魅力的かどうか
・送付先(ターゲット)の興味関心度合い
・配信する曜日
・配信する時間帯

メルマガ施策を行う際には、これらの要素を意識してメール配信を行うことでメール開封率の向上につなげることができます。

そのため「顧客に対して有効なアプローチができているかどうか」を知るための指標として、メール開封率は役立つのです。

また、メールによるアプローチの成果を測る際には、他にも以下のような指標を参考にすることができます。

メールによるアプローチを評価するための指標例

・メール内のリンクのクリック率
・メールから自社HPへの流入率
・メール内の購入リンクからのコンバージョン率
・メール経由で上がった売上の金額(通販企業など)

ただし、全ての項目をKPIに設定しても指標が多すぎて管理が煩雑になってしまいますので、まずはこれらの結果につなげるために最も重要な最初の入り口である「開封率」に着目するのが良いでしょう。

2-2.架電数

メールと並ぶ重要なアプローチ手法が「電話」です。

特にアウトバウンド型インサイドセールスでは、新規見込み客獲得のために企業へ電話をかけてコンタクトをとったり、育成の結果しっかりとニーズが高まっているかどうか確認をしたりすることがあります。

そこで、そういった行動を適切にとれているかどうかを知りたいという場合は、架電数を一つの目安とすると良いでしょう。

インサイドセールスにおけるKPI「架電数」

・架電数とは
 顧客へ電話をかけた数

ただしインサイドセールスでは、テレアポ(テレフォンアポインター)のように短期的な商談獲得を目的としていないため、「短時間でたくさん架電できるほど良い」ということにはなりません。

単純に「1日200件架電すること」などハードな数値をKPIにしてしまうと、無理な架電により顧客の信頼を損ねたり、不正なカウントをする人があらわれることで組織全体のモチベーションダウンを招いたりしてしまいます。

そのため架電数は、あくまでも「適切な顧客育成の結果、架電のフェーズへ進むことができたかどうか」の進捗を図る指標の一つだと捉えるようにしてみて下さい。

インサイドセールスとテレアポの違いについて知りたい方は、こちらの記事もご覧下さい。

2-3.商談化率(数)

インサイドセールスのKPIとして最も重要といってもいいのがこの「商談化率(数)」です。

インサイドセールスの目標は顧客との良好な関係を構築していくことですが、その先にある最終的なゴールはあくまでも「売上を増やすこと」です。

そのため「良好な関係構築を行った結果、売上獲得につながる重要な場である商談をどのくらい設定できたか」を知ることができる「商談化率(数)」は、多くの企業でインサイドセールスのKPIとして採用されています。

インサイドセールスにおけるKPI「商談化率(数)」

・商談化率(数)とは
 商談の機会を獲得できた割合(数)

インサイドセールスを導入している場合、ターゲットとは既にある程度の信頼関係を構築できていることが前提となるため、一般的なテレアポ(面識のない企業に架電してアポ取得を目指す)と比べると平均値は高くなるでしょう。

また会社や商材によって、何を商談化とするかなど異なるため、どういった状態が商談となるのかを定めたうえで目標を設定していくのが良いでしょう。

2-4.受注率(数)

「受注率(数)」も、インサイドセールスのKPIとして使用されることがあります。

受注業務自体はフィールドセールスが担当しているという企業も多いと思いますが、インサイドセールスのコンタクトによって顧客の「購入したい」という気持ちを事前に高めておけばおくほど、受注の成功率は高くなります。

そのため受注率(数)も、効果的なインサイドセールスを実施できているかどうかを測る指標として有効なのです。

インサイドセールスにおけるKPI「受注率(数)」

・受注率(数)とは
 商談の結果受注を獲得できた割合(数)

導入当初から「自社の場合どのくらいの数値が妥当なのか」がわかるケースは少ないと思いますので、まずは1か月運用する中での平均を算出し、それを基準としてより精度の高い目標値に修正していくようにしましょう。

2-5.受注額

受注率(数)だけでなく、「受注金額の大きさ」もインサイドセールスにおけるKPIの一つとなります。

商材や申し込みコースが複数ある場合、同じ労力をかけるならより金額の大きな商材の受注を獲得できたほうが、当たり前のことではありますが営業効率が良くなります。

そのため、インサイドセールスのコンタクトによって顧客がより単価の高い商材を選んでくれる可能性がある場合は、「受注額」をKPIにするのも有効です。

インサイドセールスにおけるKPI「受注額」

・受注額とは
 受注した金額

商材や単価によって平均金額は異なりますので、これもまずは1か月自社で運用をしてみて、妥当な数値を見極めていくようにしましょう。

3.インサイドセールスのKPIを適切に設定する方法

インサイドセールスのKPIについて、具体的な項目を5つ紹介してきました。ここで次に気になるのは「自分の場合はどのKPIを選べばいいのだろう」という点ではないでしょうか。

インサイドセールスのKPIは、事業フェーズや組織の成熟度合い、業種、目的などに応じて、重視するべき優先順位が異なってきます。

つまり、前の章で解説した指標を全てKPI設定すればいいということではなく、自社に合うKPIを正しく選んで設定しないと、成果には結びつきにくくなってしまうということです。

そのためこの章では「インサイドセールスのKPIを適切に設定する方法」を以下の3つのステップに分けて解説していきます。

インサイドセールスのKPIを適切に設定する方法

・自社の目標を明確にする
・目標に合うKPIを選ぶ
・状況に応じて適宜見直す

早速見ていきましょう。

3-1.自社の目標を明確にする

最初に明らかにしておくべきなのが「自社の目標は何か?」という点です。

インサイドセールスで達成したい目標は、企業の方針や事業フェーズによって異なります。

よくある目標の例としては以下のようなものがあります。

インサイドセールスによって達成したい目標の例

・まずは見込み客との良好な関係を維持し、毎月の無料セミナーやイベントへの参加者を増やしたい
・自社サービスへの理解を深めてもらい、ニーズが発生した際には自社を選んでもらえるようにしたい
・充分な数の問い合わせがあるため、効率よくさばいて確度の高い顧客だけをフィールドセールスにつなげたい
・積極的にアプローチをして売上をとにかく増やしたい

このように、現在抱えている課題や目的によって、インサイドセールスに期待される役割は変わってきます。

そのため、まずは自社の現状を把握し、最終的な目標はどこにあるのかという点を再確認するようにしましょう。

3-2.目標に合うKPIを選ぶ

自社の目標を再確認できたら、その目標を達成するために有効な施策をピックアップし、その施策が滞りなく進んでいるかどうかを測定できる指標をKPIとして設定します。

例えば、先ほどの目標であれば以下のような流れで検討を行います。

目標に合うKPIを検討する流れ

・見込み客との良好な関係の構築を優先する場合
自社に好感を持ってもらうために、顧客の役に立つ情報をメルマガで送る施策を行う → 「メール開封率」をKPIとする

・自社サービスへの理解を深めたい場合
自社サービスの情報をメルマガで送りながら、関心度が高まってきたタイミングで電話をかけてニーズの高さを確認する → 「メール開封率」や「架電数」をKPIとする

・確度の高い顧客をフィールドセールスにつなげたい場合
見込み客の温度感を正しくランク付けし、商談を獲得する → 「商談化率(数)」や「受注率(数)」をKPIとする

・売上金額を増やすことを優先したい場合
確度の高い商談機会を多く獲得し、高単価の商材の受注を目指す → 「商談化率(数)」や「受注率(数)」「受注額」をKPIとする

目標に応じて着目すべきKPIも異なるということがおわかりいただけるのではないでしょうか。

このような方法で、自社の目的に合うKPIを選ぶことができたら最後のステップに進みます。

3-3.状況に応じて適宜見直す

KPIは「設定できたら終わり」というものではありません。自社の達成状況に応じて柔軟に見直していくことが大切です。

例えば以下のようなタイミングで見直すと良いでしょう。

KPIの見直しを検討すべきタイミングの例

・目標値を設定する際の精度が甘く実態とかけ離れすぎていた
・強力な競合が新規参入したことで、想定していた進捗を達成できる見込みが大きく下がった
・順調に施策が進んでおり、次のフェーズへ移行したい
(例:温度感の高い見込み客をある程度増やすことができたため、次は商談数を増やしていきたい など)

特に、ビジネスの現場では日々環境が変化するのは当然のことです。

そのためKPIを設定する際は、定期的に見直すこともあらかじめスケジュールに入れておくと良いでしょう。

4.インサイドセールスのKPI設定を行う際のポイント

インサイドセールスのKPIを適切に設定する方法として、具体的に3つの手順を解説してきました。

自社の場合はどのような流れでKPIの項目を選べば良いのか、具体的なイメージが沸いてきたのではないでしょうか。

そこで次は、インサイドセールスのKPI設定を行う際に必ずおさえておくべきポイントを5つ解説していきます。

インサイドセールスのKPI設定を行う際のポイント

・他部門との整合性を持たせる
・現実的に達成可能な数値とする
・項目数は3~5つを目安とする
・結果を数値で測定できる項目を選ぶ
・短期的な数値目標に落とし込む

KPI設定に慣れていない人でもこの項目に沿って進めれば、正しい効果測定や目標達成に役立つKPIを設定することができるはずです。

早速詳しく見ていきましょう。

4-1.他部門との整合性を持たせる

インサイドセールスのKPIを設定する際にまず意識するべきなのは「他部門との整合性がとれた目標にする」ということです。

インサイドセールスの業務は以下のように、見込み客(リード)をマーケティング部門から受け取り、その顧客を育成した上でフィールドセールスに渡して商談をしてもらい受注の獲得を目指す、という流れをたどるため、他部門との連携が必要不可欠です。

例えばインサイドセールス部門で「500件の見込み客の育成」を想定してKPIを設定したとしても、マーケティング部門の目標が「100件の見込み客を渡すこと」では、インサイドセールス部門での最終的な目標達成は難しくなってしまうでしょう。

4-1.他部門との整合性を持たせる

そのため、必ず全社の目標をもとに他部署との目標のすり合わせを行い、各部門の目標に整合性がとれている状態を目指すようにしましょう。

なお、トランスコスモスではマーケティング部門で対応しているリード増加施策含めたインサイドセールスを支援することが可能です。

トランスコスモスではマーケティング部門で対応しているリード増加施策含めたインサイドセールスを支援することが可能です。

詳しくは以下のリンクからお問い合わせください。

4-2.現実的に達成可能な数値とする

KPI設定を行うときの目標は「現実的に達成可能な数値にすること」も大切です。

特にインサイドセールスでは「顧客の育成」という「達成までにじっくりと時間をかける必要があること」を目標としています。

それなのに「顧客1人に対して週に10件のメールと週に3回の電話でコンタクトをとる」「商談を月に100件獲得する」というような非現実的な数値目標を立てると、数値を達成するための行動自体が目的化してしまいます。

そうすると、顧客の温度感を考慮せずに強引にアプローチをすることになるため「また迷惑な営業電話か…」と嫌がられてしまい、良好な関係を築くことは難しくなるでしょう。

また、まだ顧客の温度感が低いのにも関わらず「商談を獲得する」という行動を優先してしまうので、「まずは情報交換だけでも」「一度サービスのご紹介だけでも」と無理やりアポイントをとることになります。

そうすると、その後フィールドセールスが訪問しても先方が乗り気でないため、受注率も低下していきます。

その後フィールドセールスが訪問しても先方が乗り気でないため、受注率も低下していきます。

こんな事態に陥ってしまうと、インサイドセールスを導入している意味がなくなってしまうということがお分かりいただけるのではないかと思います。

ただし、あまりにも簡単すぎる目標を設定するのも適切ではありません。余裕で達成できるようなことを目標にしてしまうと、担当者のモチベーションが上がりにくくなったり、事業の成長が遅くなってしまいます。

「少し頑張れば達成できる」というくらいの難易度が丁度良いレベルです。

ただし、最初からベストなレベルの目標値を立てることは難しいと思います。そのため、まずは最初の1か月の結果を計測し「あと少し頑張ればこのくらい達成できる」という範囲で少しずつ目標を上げていくのが良いでしょう。

4-3.項目数は3~5つを目安とする

KPIの設定項目は、多ければ多いほど良いというものではありません。

項目があまりにも多すぎると、管理の手間が増えたり、チームとしてどれを優先的に達成すればいいのかわからなくなり結局どれも達成できないというような事態を招いたりすることがあるためです。

適切な項目数としては「3〜5つ程度」を目安として考え、多くても10項目以内にすると良いでしょう。

KPIの「K」は「Key(とても重要な)」という意味です。本当に重要な項目だけを絞り込んで設定することで成果を出すための行動が明確になり、現場が迷わず業務を進めていくことができます。

そのため、この記事でも具体的なKPIは5つに絞り込んで紹介しています。この中から自社に合った優先順位でKPIを選ぶようにすると良いでしょう。

4-4.結果を数値で測定できる項目を選ぶ

KPIを設定するときに重要なポイントとして「結果を数値で測定できる項目を選ぶ」というものもあります。

これは当然のことではありますが、数値で測定できない目標を立ててしまうとその達成度が客観的にわからなくなります。

つまり「顧客の育成は問題なく進捗しているのか」「関心度の高い顧客をフィールドセールスにパスできているのかどうか」などを正しく判断できないのです。

そうすると「今のまま進めれば良いのか」「改善のために何か手を打ったほうが良いのか」と悩んでいるうちに、「結局成果が出なかった…」という残念な結果を招いてしまうことでしょう。

また、もし測定できる指標をKPIにしたとしても、分析できるだけの数を集められない指標だと扱いにくくなります。

例えば、インサイドセールスの施策を始めたばかりでリードが10件しかないのに、KPIを「商談化率」にすると、1件獲得できたかどうかで結果は10%も変わってきてしまいます。

そうすると成果を達成できるかどうかの誤差が大きくなり再現性が担保できなくなりますので、母数がある程度確保できる項目をKPIにするほうが管理しやすいでしょう。

また、その数値を計測するために多大な労力を必要とするようなものも避けるのがおすすめです。

毎日手作業で実績を拾ってエクセルで集計をしなければならないというのでは、顧客に対して費やせる時間が減ってしまい結果的に成果が出せない…という本末転倒な事態を引き起こしてしまいます。

そんなときに役立つのが、自動で実績を集計してグラフなどで可視化されるITツールです。インサイドセールスを導入している企業のほとんどはこうしたITツールを活用しています。

具体的には、この後の5.インサイドセールスのKPI効果測定に役立つツールの章で解説します。

4-5.短期的な数値目標に落とし込む

KPIを設定するときは「いつまでにどの数字を達成するのか」を最初に明確にすると思いますが、その際、年間や半年ごとの数値目標を立てるだけでは進捗を追いにくくなります。

そのため、どの指標も長期だけでなく短期的な数値目標に落とし込むようにしていきましょう。

メール開封率や架電数などは1日単位でも振り返ることができますし、商談化率(数)や受注率(数)、受注額も、毎週・毎月という単位で推移をチェックすることが可能です。

例えば年間商談化数を500件とした場合、月単位・週単位の目標が明らかでないと「今月・今週はどのくらい獲得できていれば妥当なのか」を正しく把握することができません。

そうすると「今の進捗のままでいいのか」「人員を追加してでも数を増やすべきなのか」という判断がつかないため、期限ギリギリになってから「達成できなさそうだから即効性のある施策を打たなくては」と焦ってしまうことになるでしょう。

短期的な目標に落とし込むことで日々適切に進捗確認を行える状況を作り、成果を出しやすい組織を作っていきましょう。

インサイドセールスのKPIを設定する際には、この章で述べてきたポイントを意識することで効果を最大化させていくことができます。

5.インサイドセールスのKPI効果測定に役立つツール

さて、どんなに素晴らしいKPIを設定できたとしても、その効果を測定できなければ意味がありません。そこでこの章では、インサイドセールスのKPI効果を測定するために役立つツールを紹介します。

具体的には以下の3種類があり、それぞれ測定できる項目が少しずつ異なります。

インサイドセールスのKPI効果測定に役立つツールと測定できるKPI

・MA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)
メール開封率、メール内URLのクリック率、顧客の見込み度合い

・SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)
商談数、受注率、受注金額、購買意欲の度合い

・CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)
顧客数、リピート率や離脱率、購入単価、購入頻度、架電数、メール配信数、問い合わせ数

このようなツールを用いると、KPIに限らずインサイドセールスの活動の全てを数値化することができるため、日々の業務改善もスムーズに行うことができます。

詳しくは下記の通りです。

5-1.MA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)

MAとは、顧客獲得や育成のためのマーケティング活動を可視化したり自動化したりするのに役立つ多機能なツールです。

具体的には以下のような数値を測定することができます。

MA(マーケティングオートメーション)で効果測定できる数値

・メールを受け取った見込み客のメール開封率
・メール内URLのクリック率
・顧客の見込み度合い(スコアリング)

上記のようにメールの開封率やURLのクリック率などをもとに、その顧客の見込み度合いもスコアリングしていくことができるため、「温度感の低い顧客には最新ニュースをもとにした情報提供を」「温度感が高まってきている顧客には具体的なサービスの導入事例を」というようにメルマガの内容も改善していくことができます。

インサイドセールスによるナーチャリング効果を測定するためには必須のツールだといえるでしょう。

5-2.SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)

SFAとは、コンタクト履歴やアプローチ状況などを可視化することで営業活動をサポートしてくれるツールです。

具体的には以下のような数値を測定することができます。

SFA(セールスフォースオートメーション)で効果測定できる数値

・顧客との商談数
・受注率
・受注金額
・顧客の購買意欲の評価(スコアリング)

上記のように「何件の商談を行った結果、何件の受注を獲得することができたのか」を計測することができるため、インサイドセールスによる最終的な成果を一目で把握するのに役立ちます。

また「フィールドセールスが商談を行った結果、顧客の購買意欲はどのくらいだったのか」などもスコアリングできるため、確度の高い商談を獲得できているかどうかを評価するのにも有効です。

5-3.CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)

CRMは、顧客を起点として自社との関係性を管理するツールです。

具体的には以下のような数値を測定することができます。

CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)で効果測定できる数値

・顧客数
・リピート率や離脱率
・購入単価
・購入頻度
・架電数
・メール配信数
・問い合わせ数

基本となる顧客の母数だけでなく、定期的な購入が発生するようなビジネスモデルの会社であればリピート率なども確認できますし、インサイドセールスを導入した結果「購入単価」や「購入頻度」にどのような影響を及ぼしているのか、という点も数値で把握することができます。

もちろん架電数やメール配信数などもわかるため、インサイドセールスの行動量が充分かどうかを測定するのにも役立ちます。

トランスコスモスでは、こういったITツールを用いた効率的なインサイドセールスの導入を支援しています。

豊富なノウハウと事例・実績を基にサポートいたしますので、気になる方は以下のリンクよりお問い合わせください。

まとめ

インサイドセールスにおけるKPIについて基礎知識を解説してきました。

具体的には、まずは代表的なKPIとして以下の5つを紹介しました。

インサイドセールスにおける代表的なKPI

・メール開封率(数)
・架電数
・商談化率(数)
・受注率(数)
・受注額

そして、そんなKPIを適切に設定するための方法を以下の3つのステップに分けてお伝えしました。

インサイドセールスのKPIを適切に設定する方法

・自社の目標を明確にする
・目標に合うKPIを選ぶ
・状況に応じて適宜見直す

さらに、実際に設定する際に注意しておくべき点として、以下の5つを解説しました。

インサイドセールスのKPI設定を行う際のポイント

・他部門との整合性を持たせる
・現実的に達成可能な数値とする
・項目数は3~5つを目安とする
・結果を数値で測定できる項目を選ぶ
・短期的な数値目標に落とし込む

また、設定したKPIの効果測定に役立つツールとして下記3つを紹介しました。

インサイドセールスのKPI効果測定に役立つツールと測定できるKPI

・MA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)
メール開封率、メール内URLのクリック率、顧客の見込み度合い

・SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)
商談数、受注率、受注金額、購買意欲の度合い

・CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)
顧客数、リピート率や離脱率、平均購入単価、購入頻度、架電数、メール配信数、問い合わせ数

ここまでお読みいただいたことで、インサイドセールスにおけるKPIの考え方を一通り理解することができて、具体的な運用方法までイメージすることができたのではないでしょうか。

自社のインサイドセールスの目的に合う適切なKPIを設定することで、効率よく成果を上げていきましょう。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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