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「民間企業の成功事例から学ぶ|DX推進と生成AI活用による自治体フロントヤード改革の可能性」オンラインセミナーレポート

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「自治体フロントヤード改革を推進したいけれど、何から始めればいいのか分からない」
「住民満足度を高めるには、どのようなアプローチが必要なのか悩んでいる」

改革を推進しなければならないとは分かっているものの職員の働き方改革や住民満足度の向上など課題が多く、何から始めればいいのか悩んでいる担当者は多いのではないでしょうか。

自治体フロントヤード改革は住民の声や国の動向をしっかりと理解しつつ、具体的な取り組みについて予算も含め検討していくことが重要です。

2024年8月に実施したオンラインセミナーでは、民間企業のDX化ノウハウを持つトランスコスモスが、住民の体験向上と職員工数削減の両方を叶える新たな解決策を提案しました。

具体的な手法や成功事例を紹介しつつ、自治体フロントヤード改革の実現を後押しするセミナーになりました。

今回は「民間企業の成功事例から学ぶ DX推進と生成AI活用による自治体フロントヤード改革の可能性」と題したオンラインセミナーの内容をご紹介します。

この記事を読むと分かること

・自治体DXの推進状況
・自治体におけるDXのあり方
・導入予算の組み立て方
・来庁者へのアンケート調査から分かる現状と課題
・自治体でのDX推進テクノロジー活用例

この記事を最後まで読めば自治体フロントヤード改革の現状や取り組み方が理解でき、まずはどのようなことを実践するべきか検討できます。

住民の満足度向上や職員の業務効率化を実現するためにも、参考にしてみてください。

【登壇者紹介】
トランスコスモス株式会社 事業開発総括 公共政策本部  清水 久仁彦

トランスコスモス株式会社 CX事業統括
デジタルカスタマーコミュニケーション総括 サービス開発本部
マーケティング開発部 部長 森 紗介

1.自治体DXの推進状況

まずは、自治体DXの推進状況をご紹介します。
自治体DXは推進しているとは言うものの、現在はどのような状況になるのか参考にしてみてください。

自治体DXの進捗状況

1.自治体におけるDXの状況
2.自治体におけるデジタル技術の活用
3.自治体フロントヤード改革が目指すもの
4.自治体フロントヤード改革の今後

1-1.自治体におけるDXの状況

自治体DXは2020年に策定された「自治体DX推進計画」から4年が経過し、確実に進捗している状況です。

総務省のダッシュボードを見ると、約半数の自治体がDX全体方針策定を実施しています。
中でも、職員の育成は82.9%と多くの自治体が取り組んでいる状況です。

総務省のダッシュボードによる市区町村毎のDX進捗業況概要出典:総務省 自治体DXの取組に関するダッシュボード

自治体業務のDXの進捗状況では、セキュリティ基本方針の策定が98.9%と進んでいます。

一方で、AI導入やテレワークの導入はまだまだ伸びしろがあり、自治体業務の最適化はこれからの着手だと考えられます。

自治体の住民サービスのDX化は子育てや介護の26手続きで65.1%と進んでいますが、実際のオンライン申請の利用状況は0.7%と非常に低迷している状況です。

国の方針として、行政手続きの原則オンライン化は引き続き変わらないと考えられますので、住民の利用を推進する取り組みを進めていく必要があるでしょう。

デジタル実装に取り組む地方公共団体数出典:内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局
デジタル田園都市国家構想実現会議(第16回)議事次第

また、デジタル田園都市国家構想(デジタル技術で地方の課題解決と魅力向上を目指す取り組み)は、2024年に予定していたKPI1,000団体を超える1,754団体が取り組んでいます。

これは自治体総数の98.1%を占めており、デジタル実装の取り組みを進化させていくことが非常に重要だと分かってきています。

1-2.自治体におけるデジタル技術の活用

地方自治体に実装されているデジタル技術を活用したサービス出典:内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局
デジタル田園都市国家構想実現会議(第16回)議事次第

自治体に導入されているデジタル技術を活用したサービスを見てみると、コンビニ交付やオンライン申請、母子保健ツールが多いです。

とくに、コンビニ交付に関しては、約4分の3の自治体が導入している状況です。

一方、今話題になっている窓口入力支援システム、言わゆる“書かない窓口”は約4分の1の自治体が導入しており、今後伸びていく領域になると考えられます。

1-3.自治体フロントヤード改革が目指すもの

出典:総務省 自治体DX全体手順書

自治体DX推進計画は2020年に立案された段階から大きく変わり、現在は第3.0版に改定されています。

重点取り組み事項の一丁目一番地には、フロントヤード改革の推進があがっています。
また新しい項目として、公金収納のeLTAXの利用が含まれるようになりました。

なお推進体制としては都道府県の市区町村支援を重点的に実施する、併せて取り組むべき事項としてはデジタル原則を踏まえた規制の点検、見直しが追加されています。

自治体フロントヤード改革が目指すイメージ出典:総務省行政経営支援室 自治体フロントヤード改革が目指す将来像

フロントヤード改革は「マイナンバーカードの活用」「データ対応の徹底」「庁舎空間の活用」がコンセプトになっています。

昨今は、住民ニーズや生活環境が多様化しています。
マイナンバーカードの活用やオンライン手続きを導入し、行政サービスに関してもオムニチャネル化を図っています。

オムニチャネル化が図られた住民接点では、紙ではなくデータで対応することで、業務効率化やペーパーレス化などが推進できると考えられるでしょう。

また、庁舎空間の見直し、役所を多様な共同の場にしていくことも重要視されています。
たとえば、集約したワンストップ窓口を用意したり、住民ニーズに応じた個別対応ができるスペースを設けるなど、これ今までとは異なる活用方法を目指しています。

▼フロントヤード改革の概要や具体的な事例は下記の記事で詳しく解説しています

1-4.自治体フロントヤード改革の今後

フロントヤード改革は、今後も推進されると考えられます。

改革を進めるための規制の見直しなどを行う規制改革実施計画では、窓口業務の官民連携による集約化・効率化が提示されていました。

今後は高齢化と人口減少が課題となる2040年問題も控えており、職員の人手不足が深刻化すると予測されるでしょう。

実際に職員のなり手も不足している中で、不足多様な住民ニーズを実現するために民間連携して進めていくことが重要です。

たとえば、窓口業務の集約化や効率化は民間委託をして、センター化を図ることも有効な手段の1つです。

フロントヤード改革の総合モデルと取組の横展開出典:内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局
デジタル田園都市国家構想実現会議(第16回)議事次第

静岡県裾野市のフロントヤード改革は計画の段階からトランスコスモスがご支援していますが、このように事業そのものの横展開を図ることも期待されています。

都道府県の市町村が連携した地域DX推進体制出典:内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局
デジタル田園都市国家構想実現会議(第16回)議事次第

また、地域DXの推進体制は各市区町村間で差が生まれないように、都道府県と市区町村との連携が望まれています。

2.自治体におけるDXのあり方

自治体におけるDXのあり方

そもそもDXとは、デジタル技術やデータを活用して利用者目線に立ち、新たな価値を創出することです。

住民と職員の双方の視点に立ち新しい価値を創出することが目的で、デジタル技術、データの活用はあくまでも手段です。

自治体DXを推進するうえで大事なことは「どうすれば変えられるか」

自治体DXでは、デジタル技術を活用し、自治体業務のあり方ややり方を変えていくことが重要です。
一方で、自治体DXの推進ができない理由として、条例や規則があるとよく耳にします。

実際は条例や規則を自治体で改定することが可能です。
要項・要領も説得次第で緩和できるため、時間は要するかもしれませんが価値のある取り組みかどうかという視点で進めることが欠かせません。

住民目線のサービスデザインと業務改革の視点から自治体DXの価値があるのか考える

住民目線のサービスデザインと業務改革の視点から、自治体DXの価値があるのか考えるようにしましょう。

3.導入予算の組み立て方

自治体DXを推進するときには、導入予算を組み計画的に進めなければなりません。
ここでは、自治体業務DXの導入予算の組み立て方をご紹介します。

予算の調整や議論に課題を感じている場合は、参考にしてみてください。

自治体フロントヤード改革の導入予算の組み立て方

1.自治体フロントヤード改革に対する国の予算状況
2.予算を議論するときのポイント
3.費用便益分析での試算方法

3-1.自治体フロントヤード改革に対する国の予算状況

自治体フロントヤード改革に対する国の予算状況

引用:総務省令和7年度総務省所管予算 概算要求

総務省が公表している「令和7年度総務省所管予算 概算要求」によると、フロントヤード改革の推進・横展開費用として9.4億円の予算が計上されています。
2024年度とほぼ同等の金額が、新規計上されていることになります。

現時点でデジタル田園都市国家構想の予算は不明ですが、2024年度と同等規模だと予測されています。
自治体業務DXの予算は、国の予算を踏まえたうえで考えていきます。

自治体の予算編成は、企画部門・財政部門・行革部門が連携して進めることが理想だと言われています。査定を受けるうえで3部門をいかに説得できるかが非常に重要なポイントになるでしょう。

3-2.予算を議論するときのポイント

自治体業務DXの予算化を議論するときは、下記の9つがポイントになります。

自治体業務DXの予算化を議論する際のポイント1から5つ目

自治体業務DXの予算化を議論する際のポイント6から9つ目

とくにゴール設定や成果目標が適切か、客観的なデータに基づいて実態把握ができているのか、誰の仕事なのか、DXにより何を改善できるのかなどをしっかりと整理し、説得できる材料を用意することが大切です。

3-3.費用便益分析での試算方法

自治体DXの予算を確保するときの客観的なデータとして非常に重要な考え方となるのが、費用対効果分析と費用便益分析です。

費用便益分析は、実施する事業に必要な費用に対して、事業から得られる便益はどの程度なのか可視化する計算です。原単位×対象数(主体数)×発生確率で算出できます。

ある手続きをオンライン化したときの1年間の便益の算出例

たとえば、ある手続きをオンライン化したときの1年間の便益を算出するとしましょう。

役所に移動して手続きを完了するまでの時間コストを1,400円と仮定し、年間3,000人利用する割合が60%だとすると、1,400円×3,000円×60%で、252万円の年間便益が出ると算出できます。

4.来庁者へのアンケート調査から分かる現状と課題

ここからは、トランスコスモスが実施した「自治体フロントヤードに関する調査2024」から分かるフロントヤード改革の現状と課題を解説していきます。

この調査は、過去1年以内に都道府県や市区町村などの役所で手続きをしたり、役所が提供するホームページなどから手続きをしたりした全国10代~60代の男女2,326名を対象とした調査結果です。

調査結果からは役所の窓口手続きの現状や課題が分かるので、フロントヤード改革を推進するときの参考にしてみてください。

来庁者へのアンケートから分かる現状と課題

1.来庁時の傾向
2.若年層の傾向
3.電話での問い合わせ傾向
4.手続き時間短縮の傾向
5.オンライン手続きの傾向

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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