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「コールセンターの運営に携わっているが、顧客やオペレーターが高齢化してきて、センターのDX化・オムニチャネル化に対応できていない。」
「よりよいセンター運営のために、業務のアウトソーシングやツールの導入は有効なのか?」
コンタクトセンター(コールセンター)のマネジメントをするうえで、そのような悩みや疑問をもつ人も多いでしょう。
実際に、現在のコンタクトセンターでは高齢者からの問い合わせ割合が増えています。
企業がDXを進めるほど、センターでは「スマホアプリの使い方がわからない」などDXに対応できない高齢者からの入電が増えて、有人対応業務が増えるというジレンマが生じているのです。また顧客だけではなく、コンタクトセンターではオペレーターや管理者の高齢化という問題にも直面しています。
これらの問題を解決するには、以下の3点を行う必要があります。
・業務棚卸しをし、適切な領域・レベルで外部委託 |
そこでトランスコスモスでは、去る2024年9月6日にコンタクトセンター改善の専門コンサルティング会社であるプロシード様との共催で、この問題についてのセミナー「カスタマーサポート新時代|コンタクトセンターの高齢化とDXのジレンマを解決する方法とは?」を開催しました。
この記事では、そのセミナーの内容をお届けします。
◎【講座 1 】委託先選定の全容とVMOのアップデートポイント |
最後まで読めば、高齢化の中でDX化を実現する方法がわかるでしょう。
あなたのコンタクトセンターを、時代の流れにあわせて運営するため、この記事をぜひ活用してください。
1.【講座 1 】委託先選定の全容とVMOのアップデートポイント
まずセミナーに登壇したのは、コンタクトセンター改善の専門コンサルティング会社である株式会社プロシード 取締役会長 根本 直樹様です。
「委託先選定の全容とVMOのアップデートポイント」と題し、コンタクトセンター(コールセンター)の業務をアウトソーシングする必要性やその進め方について、知見を提供していただきました。
【登壇者】 株式会社プロシード 取締役会長 根本 直樹(ねもと なおき) 石油系企業の情報システム部でヘルプデスクの立ち上げ、PC標準化などを担当したのち、通信系企業に入社、コールセンター運営、企画に携わる。 |
1-1.コンタクトセンター(コールセンター)がおかれている環境
日本は少子高齢化が加速していて、総務省によれば2023年には総人口に占める65歳以上の人の割合が29.1%に達し、日本に暮らす3人に1人が65歳となる時代に突入してきています。
そのような背景は、私たちが携わっているカスタマーサポート、コンタクトセンターの領域も例外ではありません。
中でも金融業界は、高齢者からの問い合わせが多く、それを受けるコンタクトセンターのオペレーターも比較的年齢層が高いベテランが多い傾向にあります。
そのような背景のなか、2024年1月に金融業界を対象に調査を行いました。
まず調査したものは、①自己解決できないときに利用しているチャネル、②電話をかける前に自己解決を試みたか(①で電話と回答した方が対象)、③課題解決のために電話チャネルを選択した理由(年代別)の3点です。
この調査からわかったことは、約8割の顧客が電話をかける前に自己解決を試み、自己解決が出来ないときの利用チャネルは電話が最も多いということです。
なかでも高齢者が電話を選択した理由は「電話が一番早いと考えたから」「担当者に確認しないと不安だと考えたから」といった感情的なものが若い層よりも目立っているという傾向がありました。
高齢化が進んでいるのはコンタクトセンターのスタッフも同様です。
2023年に国内のいろいろなセンターにアンケートをとったところ、金融業界ではオペレーターの年齢構成は以下のようになっていました。
40〜60代が過半数を占めています。
また、勤続10年以上のベテランも非常に多くなっていました。
このような中で、サービスのデジタル化がどんどん進んでいくとどうなるでしょうか?
たとえばある金融機関では、企業の施策としてデジタルシフトに取り組み、スマホのアプリを推奨しています。
その結果、アプリの利用ユーザー数はたしかに増えました。
しかし、コンタクトセンターでは問い合わせの約50%がそのアプリの操作方法に関してのもの、かつ高齢者層が中心になっていました。企業がデジタル化を推進すると、逆にそれが問い合わせを誘引してしまう面もあるのです。さらにそれに対応するオペレーターも60代といった状況も生じています。
つまり、企業としてはコンタクトセンターのデジタル化やオムニチャネル対応を進めたくても、顧客もオペレーターも高齢化している現状では限界があるといえるでしょう。
言い換えれば、内製で問い合わせ対応をするのは厳しい時代に突入したとも考えられます。
そこで今回は、業務をアウトソーシングする委託先や、VMO(ベンダー・マネジメント・オフィス=外部ベンダーの管理を一括して行う社内組織)についてお話ししていきましょう。
1-2.アウトソースする領域を見極める
では、コンタクトセンター業務をアウトソースするなら、どの領域をどの程度委託すればいいのでしょうか?
その範囲はさまざまです。
コンタクトセンターのアウトソーシングでは、いわゆる請負契約の準委任契約で、成果物責任はないけれども、業務仕様などは明確にしてしっかり対価を払います、というケースが多いでしょう。
では、そのような委託をする背景とは何でしょうか?
COPC社の調査によると、企業がアウトソーシングを行う理由の1位は「コスト削減」、2位は「柔軟な業務量の増減への対応」です。
一般的に、アウトソーシングでのコンタクトセンター内の体制は「ヒューマンアシステッドチャネル」と呼ばれる「人による対応サービス」が考えられるでしょう。
顧客にサービスを提供するのが「オペレーションの体制」、それを管理するのが「マネジメントの体制」です。
現在、DXやオムニチャネル化が進む中でマネジメント業務の幅は広がり、それと同時に委託コストにも変化が生じています。
たとえばある企業では、オペレーター管理などの直接管理コストが運営コスト全体の40〜50%を占めますが、上図の「マネジメント体制」の「VOC分析」や「チャネル設計」、「ナレッジ整備」などはまた別にコストがかかります。
顧客接点のチャネル、VOC管理、品質管理が高度化・複雑化していく中で、それを内部の社員だけで回していくことができるでしょうか?
かといって、それらを丸ごと外部の専門家に委託すれば、驚くほどコストがかかるでしょう。
そのため、これからは企業それぞれが置かれた状況を踏まえたうえで、「何をどのレベルまでアウトソーシングするか」を見極めることが非常に大切になってくるのです。
1-3.アウトソーシングをどのように進めるか
そこで、必要になってくるのが、「外部調達に関して、発想を根本的に転換すること」です。
「内製化に限界がある」となった場合、これまでは「コスト削減」や「変動可能な体制づくり=固定費化しない」ということを考えていたと思います。
しかし、これからは、前掲の図にあった「マネジメント体制」についてももっと注目すべきでしょう。
具体的には、「どの機能・価値を外部調達するのか」や「社員が異動しても業務内容をレベルアップしていける継続的な体制づくり」などです。
その上で、アウトソーサーを探してください。
その際にはまず、業務の棚卸しが必要です。
そこでおすすめなのが、COPC基準(ガイドライン)を活用したマネジメント業務の棚卸しです。
このCOPCには、CX型コンタクトセンターがすべき活動が網羅されています。
外部委託についてゼロから考えるのは大変なので、この活動項目を一つひとつ検証していくといいでしょう。
2.【講座 2 】高齢化&センターDXの課題を解決するために必要なポイント
次の登壇者は、トランスコスモス株式会社 コンタクトセンター エグゼクティブコンサルタントの矢野 研二です。
コンタクトセンター(コールセンター)運営のプロフェッショナルとして、次世代のコンタクトセンターのあるべき姿から、そのためのツール導入やセンター自体の再設計の必要性などについて、データや事例をまじえて具体的に解説しました。
以下にまとめましたので、ぜひ読んでください。
【登壇者】 トランスコスモス株式会社 矢野 研二(やの けんじ) 放送サービス系のコンタクトセンター会社を経て、2013年にトランスコスモス社入社。 |
2-1.データから見るコンタクトセンターの現状
「1-1.コンタクトセンター(コールセンター)がおかれている環境」でも説明したように、日本の少子高齢化の影響を受けて、コンタクトセンター業界における管理者の属性も変化してきています。
10年ほど前までは、内製センター、アウトソースセンター問わず、コンタクトセンターで働く管理者は20代30代の若手社員が担っていることもしばしば見受けられました。
しかし現在は弊社のセンターでも40代以上、とりわけ勤続10年以上のベテラン層が管理者業務を担っている傾向があると感じています。
本来、管理者にはDXを意識した運用戦略やKPI分析、VOC活用などに注力してもらいたいところですが、実際はオペレーターのフォローや指導、二次対応など目の前にあるタスクにほとんどの時間を費やさなければならない現状があります。
こうした中、コンタクトセンターを利用する顧客の意向はどうでしょうか?
以下は、トランスコスモスが毎年実施しているコミュニケーション実態調査のデータです。
電話および新型チャネルの利用経験と利用意向を比較してみると、電話以外のテキストコミュニケーションやビデオ通話などの利用意向が高まっていることが分かります。
このようなDX化やマルチチャネル化の気運は、今後もさらに高まり続け後戻りすることはないでしょう。
その他にも「顧客の声(VOC)の重要性」に関する意識調査では、消費者の約7割が「『顧客の声』を商品改良や接客改善に活用している企業を優先的に選ぶ」という結果が出ています。
近年は、SNSなどを通じて企業の情報は加速度的に広まっていきますし、顧客の声をどのように活用するかはどの企業にとってもこの先の重要な課題だといえるのではないでしょうか。
ただ、先ほども少し触れたとおりコンタクトセンターのスーパーバイザーや管理者は日々の業務で手一杯です。
オペレーターのフォローや指導・教育、エスカレーションや苦情対応に業務時間のほとんどを使わざるを得ず、センターのDX化向けた取り組みに割ける時間も少ない中、顧客に求められるコミュニケーション機能を実現していくためにはどのようにすれば良いのでしょうか?
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