
プロフィットセンターとは、企業において利益を生み出す部門を指し、コストセンターとは対照的です。コストセンターをプロフィットセンター化することで、全社的に利益を追求できる組織へと進化することが可能です。
- コストセンターをプロフィットセンター化した具体例:コンタクトセンター(コールセンター)と製造工場を例にプロフィットセンター化について解説。
- コストセンターをプロフィットセンター化するメリット:部門の価値を認識し、利益を最大化する。コスト削減だけでなく、部門が直接利益を生む方法を活用できる。
- コストセンターをプロフィットセンター化する方法:事業戦略を周知し、他部門と連携し、情報のスムーズな共有を行う。
「プロフィットセンターって何だろう?」
企業経営においてよく耳にする「プロフィットセンター」とは、企業において利益や収益を生み出す部門を指します。
プロフィットセンターとは対照的に「コストセンター」という言葉も重要です。
コストセンターは、利益を生まない部門を指し、人事部や経理部などがこれに該当します。
近年、コストセンターをプロフィットセンターとして改革する動きが高まっています。企業は、コストセンターの役割を見直すことで売上に貢献する余地があります。
この記事を通じて、コストセンターをプロフィットセンター化する重要性や具体例を理解し、自社の経営戦略に活かしていただければ幸いです。
1.プロフィットセンターとは?
まず「プロフィットセンター」とは何かを具体的に見ていきましょう。
1-1.プロフィットセンターの定義
プロフィットセンターとは、企業において利益や収益を生み出す部門を指します。
「プロフィット(profit)」とは日本語で「利益」を意味します。
一般的に、プロフィットセンターに分類される部門には以下が挙げられます。
・営業部 |
これらの部門は、契約の獲得や製品の製造を通じて、直接的に利益を生み出す役割を担っています。
プロフィットセンターの目標は、収益から費用を差し引いた「利益」を最大化することです。
1-2.プロフィットセンターとコストセンターの違い
プロフィットセンターとよく比較されるのが「コストセンター」です。
コストセンターは、利益を生まない部門でありますが、企業には欠かせない部門が多く含まれています。
コストセンターの「コスト(cost)」は「費用、経費」を指します。
具体的な例としては、以下のような部門が挙げられます。
・総務部 |
プロフィットセンターが利益を最大化するのに対し、コストセンターの目標は費用を最小限に抑えることです。コストセンター自体で収益を上げることはできないため、コスト削減が求められます。
1-3.プロフィットセンターとコストセンターの具体例
企業内での部門の分類は以下の通りです。
プロフィットセンターの例 | コストセンターの例 |
営業部 | 総務部 |
営業部や販売部は、売上に直結するためプロフィットセンターに分類されます。一方、バックオフィス系の部門は、営業や製造を直接サポートするため、コストセンターに分類されます。
1-4.分類方法に正解はない
プロフィットセンターとコストセンターの分類は大まかに示しましたが、実際には明確な基準や決まりは存在しません。企業の方針や経営戦略によって、どの部門がプロフィットセンターまたはコストセンターに該当するかは異なります。
例えば、IT関連部門は製造業や小売業では社内システムの管理・運営を行うため、コストセンターと見なされます。しかし、システムベンダーではシステム開発や運用がコア業務となるため、プロフィットセンターとして機能します。
近年では、コンタクトセンター(コールセンター)をプロフィットセンターとして位置づける企業も増加しています。
従来、コンタクトセンターは顧客からの問い合わせやクレーム対応を目的とし、コストセンターに分類されていました。しかし、スムーズな応対が顧客満足度を向上させ、企業の商品やサービスの購入やリピートにつながる可能性があるためです。
このように、もともとコストセンターとされていた部門も、戦略次第ではプロフィットセンターに変わる可能性があります。
1-5.コストセンターをプロフィットセンター化する動きの加速
実際、コンタクトセンター(コールセンター)の例のように、コストセンターとされていた部署をプロフィットセンターに転換する動きが多くの企業で広がっています。従来、コストセンターの目的は「コスト削減」でしたが、企業の最終目標は利益の最大化です。
コストセンターは直接的には利益を生まないため、コスト削減を行うしかありませんでした。しかし、削減できるコストには限界があり、過度なコスト削減は業務効率や製品やサービスの品質を低下させ、従業員のモチベーションにも悪影響を及ぼす可能性があります。
そこで、視点を変えて「コストセンターの業務も利益に繋げよう」という取り組みが生まれました。
コストセンターをプロフィットセンターに転換することで、企業は「利益を生み出す部門」と「費用を支出する部門」に分かれた組織から「全社的に利益を追求できる組織」へと進化することができます。
2.コストセンターをプロフィットセンター化した具体例
では、コストセンターをプロフィットセンターに転換する具体的な方法を見ていきましょう。
2-1.コンタクトセンター(コールセンター)
コストセンターからプロフィットセンターに転換しやすい代表例がコンタクトセンター(コールセンター)です。
コンタクトセンターでは、顧客からの問い合わせやクレームが電話、メール、チャットなど様々なチャネルから集まります。
これらの問い合わせに個別対応するだけではコストがかかるばかりですが、「VOC(顧客の声)」としてデータを体系的に収集・分析すれば、利益に繋げることが可能です。
これまで価値がないと考えられていた顧客からの問い合わせを、「VOC」という価値に変えることで、コストをプロフィットに転換できます。
具体的な施策例としては、以下が考えられます。
【コンタクトセンターから利益を生み出す施策例】 |
これに関しては、「5.コンタクトセンター(コールセンター)のプロフィットセンター化ならプロに相談しよう」でさらに詳しく触れていますので、ぜひご覧ください。
2-2.製造工場
「1-3.プロフィットセンターとコストセンターの具体例」で、製造部は一般的にプロフィットセンターに分類されると説明しました。しかし、企業によっては製造工場をコストセンターと捉え、製造コストの削減にのみ注力している場合があります。
そのような工場もプロフィットセンター化することは可能です。シンプルな方法は、工場の権限や裁量を拡大することです。商品開発部や営業部からの指示に従うだけでなく、工場自身が自立して製造業務を進めることで、独自に利益を追求できます。
具体的な施策例としては、以下が考えられます。
【製造工場から利益を生み出す施策例】 |
製造工場は形がある「モノ」だけでなく、形のない「技術」や「権利」も生み出します。
これらは企業にとって非常に価値のある財産であり、収益化することでコストセンターからプロフィットセンターへと変わることができます。
3.コストセンターをプロフィットセンター化するメリット
コストセンターをプロフィットセンター化するメリットは、各部門の働きによって得られる価値を認識し、利益を最大化できる点にあります。
従来、コストセンターに分類される部門が利益を増やすためには、人件費やその他の費用の削減による「コスト削減」、または業務効率化による時間の削減が主な手段でした。
コスト削減は企業利益を増加させる上で重要ですが、部門が直接利益を生む方法があるのであれば、それを活用することでさらなる利益の最大化が期待できます。
例えば、前述のコンタクトセンター(コールセンター)の事例のように、コストとして認識されていた部門が「価値」に着目することで、利益を最大化することが可能になります。
このように、捉え方や経営戦略を見直すことで、従来コストセンターとして扱われてきた部門をプロフィットセンター化する動きが強まっています。
4.コストセンターをプロフィットセンター化する方法
ここでは、コストセンターをプロフィットセンターに転換する具体的な方法について解説します。企業規模や状況によって様々なアプローチが考えられますが、以下の3つの「考え方」を中心に説明します。
4-1.事業戦略を周知する
コストセンターをプロフィットセンター化する際に最も重要なのは、企業の事業戦略を各部署(特に該当部門)に周知することです。コストセンターやプロフィットセンターの分類は、特に取り決めがあるわけではなく、企業の考え方や戦略によって異なります。
したがって、コストセンターをプロフィットセンター化するには、まず働いている人々の認識を変える必要があります。具体的には、これまでコストセンターとされていた部門が新たな取り組みによって利益に貢献することを事業戦略として社員に周知することが先決です。
「こういった理由で、こうした取り組みを行うため、○○部門をプロフィットセンター化します」といった形で、事業戦略を共有することが最初のステップです。
4-2.他の部門と連携する
コストセンターが単独でプロフィットセンターになることは難しいため、他部門との連携が不可欠です。事業戦略を共有した後は、他の部門との連携をスムーズに行えるようにします。
例えば、コンタクトセンター(コールセンター)の場合、顧客からの問い合わせやクレーム応対を目的としていた時には、単に問い合わせに応じることが求められていました。
しかし、プロフィットセンター化するためには、顧客の声をデータ化し、商品開発部門や営業部門に共有するなど、会社全体の利益を上げるための連携が必要です。
場合によっては、コンタクトセンターへの問い合わせを直接営業部門につなげることも可能です。このように、コストセンターをプロフィットセンター化するためには、その部門が社内の各部門と連携し、収益の最大化を目指すことが重要です。
4-3.情報の共有をスムーズに行う
基本的な連携のほかに、社内での情報をスムーズに共有できる仕組みを構築することも必要です。例えば、コンタクトセンター(コールセンター)では、問い合わせ内容や顧客の意見・要望を定期的に他部署に連携できる体制を整えておく必要があります。
どのような情報が必要で、どうやって連携するのかを事前に取り決めることで、スムーズな情報共有が実現します。コストセンターをプロフィットセンター化するためには、社内の風通しを良くし、情報を共有する全社的な取り組みが近道となります。
5.コンタクトセンター(コールセンター)のプロフィットセンター化ならプロに相談しよう
ここまで解説してきた通り、コンタクトセンター(コールセンター)をプロフィットセンター化することで、企業全体の利益を向上させることが可能です。コンタクトセンターは直接顧客とコミュニケーションを取る重要なチャネルとして、近年注目を集めています。
トランスコスモスでは、顧客との対話を担うコンタクトセンターの利点を最大限に活かした戦略的なコンタクトセンター構築サービスを提供しています。これにより、コンタクトセンターがプロフィットセンターとして機能し、利益を生み出す部門へと転換することができます。
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トランスコスモスでは、コンタクトセンター運営に関わる多様なサービスを提供しています。近年、顧客の心理や行動が多様化しているため、コンタクトセンターの役割はますます重要性を増しています。 当社では、多様なコミュニケーションを通じて顧客との対話を促進し、戦略的なコンタクトセンターの構築・運営を実現します。 トランスコスモスのコンタクトセンターは、顧客のビジネス成長を支援するため、次のような強みを持っています。 ・オムニチャネル対応 電話、メール、チャット、SNSなど、多様なチャネルを通じて顧客と接点を持ち、シームレスなコミュニケーションを提供します。 ・専門的なサポート 業種に特化した専門チームが配置されており、高度な知識とスキルを活かした質の高いサービスを実現しています。 ・AI・デジタル技術の活用 最新のAI技術を取り入れた自動応答やデータ分析・ロールプレイング等により、効率的なオペレーションを実現し、迅速な問題解決を可能にします。 ・カスタマイズされたサービス お客様企業のニーズに応じた柔軟なプランを提供し、個別のビジネスモデルに最適なソリューションを実現します。 トランスコスモスのコンタクトセンターを利用することで、顧客サービスの質を向上させ、ビジネスの成長を加速させることが可能です。詳細な情報については、お問い合わせください。 |
まとめ
この記事では、プロフィットセンターの基本的な知識や、コストセンターをプロフィットセンター化する方法について詳しく解説しました。最後に、記事の要点を以下にまとめます。
・プロフィットセンター:企業において利益や収益を生み出す部門
・コストセンター:企業において利益を生まない部門
・プロフィットセンターとコストセンターの分類は企業や業種によって異なりますが、一般的な例としては以下のように分けられます。
プロフィットセンターの例 | コストセンターの例 |
営業部 | 総務部 |
・コストセンターをプロフィットセンター化する動きが加速している:そのメリットは、企業の利益を最大化できる点にあります。
・コストセンターをプロフィットセンター化する方法:事業戦略の周知、他部門との連携、情報のスムーズな共有が重要です。
コストセンターをプロフィットセンター化することで、企業全体の利益向上が期待できます。ぜひ、この記事を経営戦略に活かしてみてください。