
「AIで従業員満足度は向上する?」
「AIを導入することで、従業員満足度を向上させるにはどうしたらいい?」
この記事を読んでいる方は、そのような疑問をもっていることでしょう。
AIを導入することで、従業員満足度=ESを向上させることは大いに可能です。
AIでES(従業員満足度)を向上させる主な方法は、ルーティン業務の自動化、顧客対応の効率化、人材育成の高度化、従業員の状態把握の支援などです。
以下のようなシーンでAIを活用すれば、従業員の業務負荷やストレスが軽減されたり、成長につながったりするため、満足を感じるようになります。
・ルーティン業務を自動化する |
AI導入がESに与えるメリット、プラスの効果は、具体的には以下のようなものです。
・効率化で業務負荷が軽減する |
ただ、次のようなデメリットもあるので、対策が必要になります。
デメリット | 対策 |
最新テクノロジーにスキルが追いつかない人もいる | ・事前に十分な研修を行う・導入後もスキルアップ研修などのプログラムを設ける |
導入にともなう業務環境の変化にストレスを感じる | ・AI導入に際して、従業員からも意見を募って当事者意識をもたせる |
業務を奪われる不安が生じる | ・AIを導入する目的や業務範囲を、あらかじめ十分に従業員に説明する |
そこでこの記事では、ESを向上させるAI活用術について、わかりやすく説明します。
◎AI導入でES(従業員満足度)を向上させることができる |
読んでいただければ、AI導入の不安がなくなり、ES向上の効果を上げる具体的な方法が分かるはずです。
この記事で、あなたの会社が適切にAIを活用し、従業員のみなさんにとって働きやすい職場環境を醸成できることを願っています。
1.AI導入でES(従業員満足度)を向上させることができる

結論から言えば、AIを職場に導入することで、従業員満足度=ES(Employee Satisfaction)を向上させることが期待できます。
AIは、人の代わりに業務を自動化し、効率化することで、ヒューマンエラーを削減して業務精度を高めるなど、企業の生産性や信頼性の向上に役立ちます。
一方で従業員にとっては、AI導入で「業務負荷の軽減」「業務ストレスの軽減」「スキルアップなどの自己成長」を実現できます。
そうなるとESや従業員エンゲージメント、EX(Employee Experience)が向上し、モチベーション向上につながります。
その結果、業務の質自体が向上し、顧客満足度=CSの向上も期待できるのです。
言い換えれば、AIを適切に導入した企業では、「AIによる業務効率化⇒ES向上⇒CS向上⇒企業の利益・ブランド力向上」というプラスのスパイラルが生まれます。
AI活用に関する各種調査では、「AIによって日々の業務が楽になった」と感じている人は約50%、「AI導入後、仕事への満足度が高まった」という人が40%近くにのぼるというデータもあります。
つまり、企業にとってはAI導入でESを向上させることが非常に重要なのです。
実際に、トランスコスモスがAI導入を支援した企業では、以下のようなES向上に繋がる効果が得られています。
導入企業 | 導入施策 | ES向上の成果 |
大手通信業・A社 | 生成AIでメール返信案作成(トライアル) | ・SVの工数10時間/月削減 |
AIによる顧客応対ロールプレイング | ・パフォーマンスの低いオペレーターにおいて、成約数 +40件/月を達成 |
この事例については、「3.AI導入でESが向上した成功事例」で詳しくお伝えしますので、そちらもぜひ読んでください。
2.ESを向上させるAI活用施策8つ

では、ESを向上させるためには、AIをどのように活用すればいいでしょうか?
ES向上につながる代表的な施策として、以下の8つがあります。
・ルーティン業務を自動化する |
具体的に説明します。
2-1.ルーティン業務を自動化する
AIツールによって日々のルーティン業務を自動化することで、ESの向上が期待できます。
データ入力やレポート提出など、毎日行わなければならない単純作業は、意外に時間と手間がかかるものです。
「これがなければ、もっとコア業務に集中できるのに」
「ルーティンワークのせいで、毎日少しずつ残業しなければならない」
といったストレスを感じている従業員は多いでしょう。
そのような、時間や工数を圧迫する作業をAIに任せることで、従業員はより重要な業務、創造力や判断力が求められる業務に注力できるようになり、ストレスも軽減されます。
AIを適切に活用できれば、残業も減らすことができ、ワークライフバランスも改善するはずです。
AIは、多種多様なルーティン業務を得意としています。
たとえば、以下のような業務を自動化することができるでしょう。
・データ入力、分析 |
2-2.顧客対応を自動化する
従業員にとって時間とストレスのかかる業務の1つに、顧客対応があります。
これもAIで自動化することができますので、導入すればES向上につながるでしょう。
特に、カスタマーサポートを専門に行う部署やコンタクトセンター(コールセンター)をもっている企業では、オペレーターの人手不足や離職率の高さが課題になっているところが多くあります。
そこでAIチャットボットやFAQシステムなどを導入すれば、オペレーターの負荷は大幅に軽減します。
具体的には、以下のような業務をAIに任せることが可能です。
・顧客からの問い合わせなどの一次対応 |
特に、顧客対応でESを左右するのは、難しい問い合わせやクレームへの対応です。
AIを導入することで、複雑な問い合わせがあった際には、AIが問い合わせ内容を分析し、オペレーターのモニター画面上に回答候補やトークスクリプトを提示できる場合があります。
また、AIを活用した感情分析ツールでは、顧客の発する言葉や声のトーンなどから感情傾向を分析することも可能です。
「怒りの感情が高まってきている」といった状況を察知し、アラートを出してくれるので、スーパーバイザーがサポートに入るなど、事態が悪化する前に迅速な対応ができるでしょう。
これにより、オペレーターは過度なストレスにさらされることが少なくなり、ES向上につながるはずです。
2-3.テレワークやフレックスタイムなど多様な働き方ができる環境を整備する
AI導入は、テレワークやフレックスタイムなど、多様で自由な働き方ができる環境もつくりだします。
従業員同士のコミュニケーションを円滑にし、社内の文書や情報へアクセスしやすい環境づくりを支援します。
コロナ禍で広まったテレワークですが、最近では「やはり出社したほうが業務効率が上がる」という判断から在宅勤務を廃止して、出社回帰する企業も増えています。
ただ、一度テレワークに慣れてしまった従業員が、出社にストレスを感じてESが下がってしまうケースもあるようです。
これを改善するのがAIです。
以下のような機能を活用することで、出社時に近い業務効率や生産性の維持が期待できるでしょう。
・AIアシスタントによる業務サポート:文書作成、スケジュール管理、ナレッジや情報の共有など |
同様に、フレックスタイムについても、勤怠の管理をAIで自動化することができます。
働き方の自由度が高まることで、ESの向上も期待できるでしょう。
2-4.KPI管理や人事評価業務を支援する
AIを活用したツールでは、従業員一人ひとりの業務パフォーマンスの可視化や分析を支援できます。
リアルタイムのパフォーマンスを追跡したり、KPIをどの程度達成できているのかを分析したりして、そのデータを管理者へ共有し、管理者が適切なサポートや指導を行うことで、目標達成に近づくでしょう。
また、人事評価にもAIが役立ちます。
上記のような業務パフォーマンスのデータや成果、勤怠状況などさまざまなデータを分析したうえで、客観的な評価の参考情報として活用できる可能性があります。
そのため、従業員が「自分はちゃんと仕事をしているのに評価が低い」と感じた場合にも、客観的なデータで評価の根拠を示すことができるようになり、納得度が高まるでしょう。
「正当に評価されない」という不満によって、ESが下がるリスクを減らせるはずです。
ちなみに、採用の際にもAIは活用できます。
経歴や業績、資格などを客観的に順位付けしたり、過去の経験や学習状況などを踏まえて、配属先や担当業務を検討する際の参考情報を提示できる場合があります。
2-5.スキルアップやキャリア形成をサポートする
従業員教育にも、AIが活用できます。
研修のプログラムや学習内容を、従業員一人ひとりのスキルや経験に併せてパーソナライズしてくれるので、従業員は効率的かつ効果的にスキルアップできるでしょう。
業務へのモチベーションもアップし、ES向上が期待できます。
また、研修の成果がどの程度上がったかを客観的に評価したり、これまでのキャリアやスキル、経験などを併せて分析したりすることも可能で、それらをもとに最適なキャリアパスを設計、提案してくれます。
従業員としては、キャリア形成の道筋が明確に可視化されるわけで、日頃の業務や今後のスキルアップへのモチベーションが高まり、ES向上につながるでしょう。
2-6.感情分析技術を活用して従業員の状態把握を支援する
前述したように、AIは人の感情を分析することもできます。
この機能を活用することで、従業員のストレスや心理状態の変化を把握するための参考情報として活用できる場合があります。
AIを活用した感情分析技術では、人の表情や声、バイタルサインなどから感情傾向を推定できる場合があります。
たとえば、コンタクトセンターに顧客が問い合わせしてきた場合、電話ならその声から、メールなら文章から、その人がいま喜怒哀楽のどの感情をどの程度感じているのかを分析します。
また、テレワークをしている従業員ならカメラに映る表情から、ウェアラブルデバイスをつけている人ならそのバイタルから、リアルタイムの感情の変化や、ストレスに関連する兆候を推定できる場合があります。
これを従業員に活用する方法としては、以下のようなものが考えられます。
・テレワーク中の表情や音声から感情傾向を把握する |
業務中のストレスや不安に関する兆候が確認された場合、必要に応じて上司や産業医によるフォローの参考情報として活用できる場合があります。
ストレスなくメンタルが良好な状態で働ける環境づくりは、ES向上に不可欠といえるでしょう。
2-7.新たなアイデアの創出をサポートする
生成AIは、ビジネスにおけるアイデアのたたき台をつくったり、人間が考えたアイデアの壁打ち相手になったりすることもできます。
うまく活用することで、これまでにない独創的な企画やビジネスモデルを生み出すことにもつながり、従業員のモチベーション向上につながるでしょう。
具体的には、以下のような活用方法が考えられます。
・新規事業の企画出し |
これらの業務は、従業員によって得意・不得意が分かれる領域です。
苦手な人にとっては、時間がかかる上に成果につながらないものとして、大きな業務負荷になっているでしょう。
それが、生成AIのアイデアをたたき台にすることで、ストレスなく質の高いアイデアが出せるようになるわけです。
従業員のモチベーションも上がり、エンゲージメントが高まるでしょう。
ちなみに生成AIから有用性の高いアイデアを得るためには、プロンプト=指示文の出し方が重要です。
以下のポイントを押さえて、細かいコンテキストも含めた指示を出すようにしましょう。
・「あなたは事業開発の専門家です」など、ペルソナを設定する |
2-8.ESを測定・分析する
もっと直接的なAI活用としては、ESに関するデータを分析し、傾向を把握することが可能です。
従業員向けにESアンケートを実施して分析するAIツールがありますので、それを導入するのがもっとも手軽でしょう。
中には、他社のデータと比較できたり、分析結果をもとに、育成施策や配置検討の参考情報を提供するツールもあります。
従来の分析方法にくらべて、AIならより幅広いデータをさまざまな切り口で短時間に分析することができるのが特徴です。
そのため、従業員一人ひとりのESの傾向を把握し、満足度を向上させるために最適な打ち手を考えることができるようになるでしょう。
3.AI導入でESが向上した成功事例

このように、さまざまな方法でES向上をはかることができるAIですが、実際には企業はどのように活用しているのでしょうか?
ここでは、トランスコスモスが携わった事例をご紹介しましょう。
大手通信業・A社 コンタクトセンター(コールセンター) | ||
課題 | メールの返信時間を短縮し、内容をバラつきなく均質化したい | アウトバウンド業務で顧客に切電されるケースが多い |
施策 | 生成AIでメール返信案を作成する | AIによる顧客応対ロールプレイングを実施 |
成果 | ・月間92時間(0.6人月)の削減効果を期待 | ・パフォーマンスの低いオペレーターにおいて、成約数 +40件/月を達成 |
3-1.メール返信案を生成AIが作成し、オペレーターの工数とストレスを削減
大手通信業A社のコンタクトセンターでは、顧客対応にいくつかの課題を抱えていました。
1つは、顧客からのメールに対して、返信に時間がかかるオペレーターがいて、内容も人によって質にバラつきがあったのです。
これでは業務効率や顧客満足度が下がってしまう恐れがありますし、オペレーター自身もメール返信がストレスになって、離職につながるリスクがありました。
そこで、生成AIを導入、メール返信案を作成させるトライアルを始めました。
初めに、AIを相手にメール返信のロールプレイングを行い、そのあとでAIによる返信案作成と、人間が作成した文面の添削を実装した、という流れです。
短期間のトライアルでしたが、その結果、平均メール作成時間が5分32秒から3分55秒へと、1分37秒も短縮されました。
また、オペレーターを管理、サポートするスーパーバイザーの工数も、1か月あたり10時間削減という成果も上がりました。
最終的には、月間で92時間=0.6人月分の工数削減ができるのでは、と期待されています。
このような効率化の結果、現場のオペレーターやスーパーバイザーの満足度も高く、以下のような声が上がりました。
【オペレーターの声】 ・AIを一度通すことで、回答方針を再編成できるので便利 |
【スーパーバイザーの声】 ・不要な言い回しを添削できてよい |
3-2.顧客対応でAIロープレを実施、9割以上のオペレーターから高評価
また、アウトバウンド業務を担当しているセンターでも、課題がありました。
キャンペーンのお知らせで架電をしても、顧客が「忙しいので」と電話を切られてしまうケースが多かったのです。
その場合、かけ直しのアポを取ることになっていますが、その再架電設定率が、特に新人オペレーターの間で低迷しているのも問題でした。
そこでとった施策が、AIによる顧客対応のロールプレイングでした。
特にパフォーマンスが低かったオペレーター12名に対して1か月間のロールプレイングを実施したのです。
その結果、再架電設定率は4.7%向上し、月間の成約数が40件増加しました。
成果報酬型なので、売上アップにも貢献し、オペレーターの自信とモチベーションにもつながっています。
このAIロープレを体験した別のセンターのオペレーターからは、以下のような声が集まりました。
【オペレーターの声】 ・自分の悪いところやクセが分析されて、とてもよかった |
このように、AIによって自分の課題や改善点が明確になり、モチベーションや楽しさを感じられるようになったそうです。
最終的には、実に9割以上がAI導入に対して高評価をしています。
4.AIの導入がESに与える7つのメリット

AI導入で、実際にESが向上することが事例からわかりました。
ではあらためて、AIを導入することでESにはどのようなメリットがあるのか、整理しておきましょう。
主に以下の7点が挙げられます。
・業務効率化によって業務負荷が軽減する |
順番に説明しましょう。
4-1.効率化で業務負荷が軽減する
AI導入のもっとも大きく直接的なメリットは、効率化による業務負荷の軽減です。
「2-1.ルーティン業務を自動化する」などで説明したように、ルーティンワークをはじめとしてさまざまな業務や作業をAIで自動化することができます。
ルーティンワークの負担は、意外にESに影響するものです。
単純作業ならではのミスに注意しなければなりませんし、工数がかかるわりには成果が目に見えにくいものも多くあり、モチベーション低下につながりかねません。
また、バックオフィスのルーティンワークだけでなく、企画立案や顧客対応、人材教育、人事採用などの領域でも、AIに業務を任せることで効率化を実現できます。
業務負担が軽減されれば、ESの向上につながるでしょう。
4-2.コア業務に集中できモチベーションが向上する
前項で説明したように、AIによって業務が効率化すれば、従業員それぞれのリソースに余裕ができます。
その結果、コア業務に集中できるようになるため、従業員のモチベーションが向上、ESも高まるでしょう。
たとえば、営業部門であれば、営業先リストの抽出、顧客からのメールによる問い合わせ対応、見積の作成、営業資料の作成、日報の作成などをAIで自動化できます。
これにより、顧客へのアプローチや提案・交渉、アフターフォローなどに時間をかけられるようになるわけです。
また、マーケティング部門なら、市場や顧客のニーズ分析、データ収集、マーケティング戦略のたたき台立案、広告やキャンペーンの効果測定などをAIに任せることが可能です。
従業員は、いままでそれらの業務に割いていた時間を、施策の練り上げやブラッシュアップにあてられるようになるでしょう。
コア業務に集中できれば、成果の向上も期待できますので、従業員のモチベーションは大きくアップするはずです。
4-3.顧客対応のストレスが軽減される
また、AIは人の相手をすることもできるため、顧客対応をAIに任せることで、従業員のストレスが軽減され、ES低下のリスクを抑えることができます。
「2-2.顧客対応を自動化する」で触れましたが、顧客対応はストレスが大きな業務です。
最近では、「電話に出たくない、出るのが怖い」という若者世代が増え、ある調査では7~8割に達しているというデータもあり、ES低下の大きな要因になっていると思われます。
特に、顧客対応を専門に行うカスタマーサポート部門やコンタクトセンター(コールセンター)では、1日に何十件もの顧客対応が発生しますし、その中でクレームやカスタマーハラスメントにも対応しなければならず、ストレスから離職するオペレーターもあとを絶ちません。
この対応をAIに任せれば、オペレーターのストレスは軽減し、ES向上や離職率改善が期待できるというわけです。
たとえば、AIチャットボットを導入して、定型的な対応はボットがするようにすれば、オペレーターは難しい問い合わせに集中できるようになります。
また、AIの感情分析機能を活用することで、顧客の声から怒りの感情を早期に察知することができるので、スーパーバイザーのアドバイスをあおぐなどしてクレームが深刻化するのを未然に防ぐこともできるでしょう。
ほかにも、応対中にわからないことがあればAIが即座に教えてくれるなど、さまざまな角度からオペレーターをサポートしてくれます。
4-4.ナレッジや研修プログラムが共有され情報にアクセスしやすくなる
AIシステムを導入することで、社内のナレッジや情報にアクセスしやすくなるのもメリットです。
わからないことが即時解決できるため、社内の担当部署へ問い合わせる手間がなくなります。
たとえば、業務中にわからないことがあった場合、通常は部内の同僚や上司に質問したり、ヘルプデスクに問い合わせたりするでしょう。
また、福利厚生などの手続きや各種申請などは、担当部署を調べて問い合わせしなければなりません。
そうなると、問い合わせする方もされる方も、たびたび業務を中断することになり、「もっとわかりやすく、簡単にしてほしい」という不満が生じるでしょう。
その点、AIシステムに社内のナレッジ、例えば業務マニュアルや各種資料、議事録や商品カタログ、申請フローなどを学習させておけば、幅広い質問に対してAIが回答候補を提示できるようになります。
作業を中断されることなく、スムーズに業務を遂行できるようになり、従業員の満足度も向上するはずです。
4-5.テレワークなど働き方の自由度が向上する
AIは、働き方改革にも貢献します。
「2-3.テレワークやフレックスタイムなど多様な働き方ができる環境を整備する」で触れたように、テレワークやフレックスタイム制は、ときに業務上の不便や不備を引き起こすことがあります。
たとえば、場所と時間がまちまちに勤務している従業員同士で、スムーズにコミュニケーションをとるにはどうすればいいか、在宅勤務でサボったり効率が下がったりする人をどう管理するか、などは大きな課題でしょう。
これらは、前述したようにAIを活用することで改善できる可能性があります。
AIシステムを導入することで、顔認証機能で本人確認やセキュリティ対策を効率化できますし、AIアシスタントが文書作成やスケジュール管理、情報共有などを自動化してくれます。
いつでもどこでも、社内にいるのと近い就業環境を確保できるようになるので、ワークライフバランスも改善され、ES向上につながるはずです。
4-6.人事評価の支援に活用できる
人事にAIを導入することで、評価データの可視化や判断基準が揃うため、従業員の不公平感を低減することもできます。
人事評価というのは、多くの従業員にとって不満の原因になり得ます。
「自分は与えられた仕事をちゃんとこなしているのに、評価が低い」
「自分よりも能力がないと思われる人のほうが、高く評価されている」
という不満は、会社全体のES低下につながりかねません。
その点、AIは従業員それぞれのパフォーマンスや業務成果、勤怠状況、スキルや資格などの情報を整理・分析し、評価判断の参考情報として活用できる場合があります。
属人的な評価とは異なり、根拠が可視化されるので、従業員は不公正感をおぼえにくくなり、納得度が高まるでしょう。
4-7.社内コミュニケーションが活性化する
AIで、社内コミュニケーションも活性化します。
社内でチャットツールを活用している企業は多いですが、メッセージが多すぎて見逃してしまったり、返信に工数をとられてしまったりして、「直接話したほうが早い」と不満を感じている従業員もいるでしょう。
そこでAIを導入すれば、膨大なチャットの中から重要なものを抽出したり、長い内容を要約したりして、見逃しや対応忘れを防ぐことができます。
また、オンラインミーティングや対面の会議の内容を音声認識技術でテキスト化、要約することも可能です。
そのうえで、決定した事項や、誰がどのようなタスクを実行すべきかなどを自動で整理、リストやスケジュールにしてくれるので、プロジェクトの進行もよりスムーズになるでしょう。
5.AIの導入がESに与える3つのデメリットとその対策

このように、AIはES向上の面からも導入メリットが大きく、基本的にはどのような企業も導入を進めるといいでしょう。
ただ一方で、AIを導入することで、ESが下がってしまうリスク、デメリットもないとはいえません。
たとえば以下のようなケースです。
それぞれどのように対策すればいいのかも併せて説明しましょう。
デメリット | 対策 |
最新テクノロジーにスキルが追いつかない人もいる | ・事前に十分な研修を行う |
導入にともなう業務環境の変化にストレスを感じる | ・AI導入に際して、従業員からも意見を募って当事者意識をもたせる |
業務を奪われる不安が生じる | ・AIを導入する目的や業務範囲を、あらかじめ十分に従業員に説明する |
5-1.最新技術にスキルが追いつかない人もいる
AI技術は日進月歩で進化しています。
そのため、最新のAIを導入しても、スキルや知識が追いつけず、活用できない人が出てくる恐れがあるでしょう。
そうなると、逆に「仕事がしにくくなった」と感じて、ESが下がってしまいます。
また、同じ業務を担当していても、AIを使いこなせる人と使いこなせない人との間で、業務内容や人事評価に差が生じてしまうため、不公平感も生じるかもしれません。
これを防ぐには、以下のような対策が必要でしょう。
・事前に十分な研修をする |
5-2.導入にともなう業務の変化にストレスを感じる
AI導入は、業務プロセスや業務フローの大きな変革をともないがちです。
そこで、変化に対してストレスを感じ、なかなか慣れない人もいるでしょう。
「前のほうがやりやすかった」
「覚えることが多すぎて、仕事にならない」
など、不満をつのらせてESが下がってしまうケースです。
この場合は、以下のような対策が有効です。
・AI導入に際して、従業員からも意見を募って当事者意識をもたせる |
5-3.業務を奪われる不安が生じる
AIに注目が集った際に、「人の仕事がAIに奪われる」というリスクが話題になりました。
実際に導入する際にも、「自分の仕事はAIにとってかわられるのではないか、自分のスキルはもう不要になるのではないか」という不安にさいなまれる人もいるはずです。
たしかに、AIが人間に代わって行える業務は、日に日にその範囲を広げています。
ただ、AIは万能ではありません。
まず、間違った回答や存在しない情報を生成してしまう「ハルシネーション」という現象が避けられないので、AIの回答や生成コンテンツには、人間によるチェックのプロセスが必要不可欠です。
また、AIはゼロから新しいアイデアを生み出すことはできませんし、倫理観や道徳観がないので最終的な意思決定は任せられません。
つまり、人にしかできない業務は多く残されていますし、間違いのチェックや重要な判断などはあくまで人の仕事なのです。
そのため、業務を奪われる不安に対処するには、以下のようなことを行うとよいでしょう。
・AIを導入する目的や業務範囲を、あらかじめ十分に従業員に説明する |
6.ES向上のAI導入を成功させる3つのポイント

このように、ES向上の視点からみると、大きなメリットと少々の注意点の両面があるAI導入ですが、成果を上げるにはいくつかのポイントがあります。
以下の3点に留意して、導入を進めてください。
・業務効率化により浮いたリソースの活用法を考える |
順番に説明します。
6-1.業務効率化により浮いたリソースの活用法を考える
前述したように、AIを導入することで業務が効率化され、従業員の時間などのリソースに大幅な余裕が生まれます。
そこで、そのリソースをどのように活用するか、事前に十分な計画を立てておいてください。
基本的には、AIにできることをさせるのに対して、人間は人間にしかできない業務をする、というすみ分けをするといいでしょう。
ルーティンワークは自動化し、人はAIにはできない「ゼロからイチのアイデアを生み出すこと」や、「倫理的な判断が必要な意思決定」などを行うわけです。
この業務プロセスを綿密に組んでおけば、従業員もモチベーション高く業務に取り組むことができるでしょう。
反対に、人的リソースをうまく活用できなければ、すべき仕事がなくなってしまう従業員が出たり、「AIに仕事を奪われた」と不満をおぼえたりして、ES低下につながる恐れがありますので注意してください。
6-2.ワークライフバランスを改善する
2つめのポイントは、AIを導入する際に、従業員のワークライフバランス改善を目的の1つに組み込むことです。
昔は企業の従業員といえば、どれだけ働くか、どれだけ企業に貢献できるかを誇っていました。
一方で現代は、もちろん仕事へのモチベーションは重要ではありますが、企業側からの一方的な「やりがい搾取」は悪とされ、福利厚生を十分に活用しながら、最適なワークライフバランスで働くことが高いESにつながります。
そのため、AI導入によって業務効率が上がったからといって、「ではもっともっと業務量を増やしても大丈夫だろう」と仕事を増やすのはおすすめできません。
「AIで仕事が楽になるかと思ったのに、逆に仕事が増えた」とか、「残業時間は変わらない」といった結果になれば、従業員の不満は募ってしまうでしょう。
そうならないように、残業を極力減らしたり有休利用をうながしたり、テレワークやフレックスタイム制を選択できるようにしたりといった取り組みも、同時に進める必要があるのです。
6-3.AIに業務を任せきりにせず、必ず人が関与する
「5-3.業務を奪われる不安が生じる」でも触れましたが、AIにはまだまだできないことがありますし、ミスもします。
そのため、業務を完全にAIに任せきらずに、必ずどこかで人間が関与するようにしましょう。
たとえば、ルーティン業務であっても、AIが入力したデータや出力した回答を、担当者がチェックすることが必須です。
また、アイデア出しでは、そのアイデアが既存のものに似ていないか、著作権や特許権など知的財産権を侵害していないかを精査しなければなりません。
AIは学習したデータをもとにコンテンツを生成するため、参照した元データに似てしまうことがあるためです。
メールや書類の自動作成も、送信前に内容に誤りがないか、失礼な表記がないかなどをチェックする必要があります。
このように、AIの業務プロセスや学習プロセスに人が介入することを、「ヒューマンインザループ」と呼び、現在は積極的に取り入れる企業が増えているようです。
ESが向上するAI導入をお考えなら、トランスコスモスにご相談ください |
トランスコスモスでは、多くの企業様のAI導入を支援してきました。 ・顧客対応を多彩な機能で効率化する音声認識ソリューション「transpeech」 など、さまざまなソリューション、サービスで、あなたの会社のAI活用をサポートします。 課題に応じた機能のカスタマイズ、AIの導入効果を最大化する業務プロセス設計、カスタマーサービスのアウトソーシングなど、幅広くご相談いただけます。 「AI導入で業務の効率化とES向上のどちらも成功させたい」とお考えの方は、ぜひ一度お問い合わせください。 |
まとめ
いかがでしたか?
AIとES向上の関係性について、よくわかったかと思います。
ではあらためて、要点をまとめましょう。
◎AI導入でES(従業員満足度)を向上させることができる
◎ESを向上させるAI活用施策8つとは、
・ルーティン業務を自動化する |
◎AIの導入がESに与えるメリットは、
・業務効率化によって業務負荷が軽減する |
◎AIの導入がESに与えるデメリットとその対策は、
デメリット | 対策 |
最新技術にスキルが追いつかない人もいる | ・事前に十分な研修をする |
導入にともなう業務の変化にストレスを感じる | ・AI導入に際して、従業員からも意見を募って当事者意識をもたせる |
業務を奪われる不安が生じる | ・AIを導入する目的や業務範囲を、あらかじめ十分に従業員に説明する |
◎ESを向上させるAI導入のポイントは、
・業務効率化により浮いたリソースの活用法を考える |
この記事の内容を踏まえて、あなたの会社がAI導入で成果を上げながら、ES向上も実現できることを願っています。

