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【図解】ソーシャルリスニングとは?できることやメリットを徹底解説

この記事で学べること

ソーシャルリスニングとは、SNSやブログなどでユーザーが発信している情報を収集・分析し、マーケティングや商品開発、リスク管理に活用する手法です。市場やユーザーの声に耳を傾けるためソーシャルリスニングを実施することで、マーケティング戦略や商品開発に活用することができます。

  • BtoC企業に特におすすめ:SNSやブログなどを通じて個人的な意見を手軽に投稿でき、意見や口コミを求めているBtoC企業にとって非常に有効な施策です。
  • ソーシャルリスニングの活用法:自社のブランドイメージや潜在的なニーズなどの顧客の声の収集、競合他社との比較、広告やキャンペーンなどの施策の反響分析に活用できます。
  • ソーシャルリスニング導入のための4ステップ:目的の明確化、メディア・キーワードの選定、ツールの活用、分析結果に基づいたマーケティング戦略や商品開発への活用の順に進めていきましょう。
  • ソーシャルリスニング成功のポイント:ネガティブな情報に過剰反応せず、一定の技術を習得し、AIを活用することが重要です。

ソーシャルリスニングの概要

ソーシャルリスニングを効果的に実施するためには、適切な手順を理解し、注意点を押さえることが重要です。

この記事では、ソーシャルリスニングの概要、活用メリット、成功のポイントを詳しく解説します。

ソーシャルリスニングの手法を理解し、マーケティングや商品開発に活用できる知識を得られます。ユーザーの声を逃さず反映させるための参考にしてください。

1.ソーシャルリスニングとは

ソーシャルリスニングとは

まずは、ソーシャルリスニングの基礎知識を解説します。

1-1.ソーシャルリスニングの定義

ソーシャルリスニングとは、SNSやブログなどでユーザーが発信している情報を収集・分析し、マーケティングや商品開発、リスク管理に活用する手法です。
このプロセスでは、テキストデータを追跡し、必要な情報を抽出・分析します。

たとえば、自社商品名が「商品A」の場合、X(旧Twitter)でソーシャルリスニングを行う一連の流れは以下の通りです。

【X(旧Twitter)でのソーシャルリスニングの流れ】

Xでのソーシャルリスニングの流れ

(1)検索ワードを決めて検索
ソーシャルリスニングでは、まず検索ワードを選定し、そのワードを含むテキストデータを収集します。ここでは「商品A」を検索ワードに設定し、主に以下のメディアから情報を収集します。

【ソーシャルリスニングで活用するメディア一覧】

メディア

概要

SNS

ユーザー同士がつながるサービス(X、Instagram、Facebookなど)

個人ブログ

自分の意見や日常を発信するWebサイト

動画サイト

動画投稿や共有ができるサービス(YouTubeなど)

掲示板

意見や情報を投稿・閲覧できるWebサイト

口コミサイト

商品やサービスの口コミを投稿・閲覧できるWebサイト

Q&Aサイト

ユーザーが質問を投稿し、回答を募るWebサイト

(2)情報収集
「商品A」の情報を収集すると、以下のような意見が多く見受けられました。

・「商品A」を使ったら○○になって感動!リピートします!
・「商品A」を1回試したらいい感じなので、続けてみます。

(3)分析・活用
収集した情報を分析すると、「商品A」はポジティブな意見が多く、好評であることが分かります。
このように、ソーシャルリスニングを活用することでリアルなユーザーの声に耳を傾けることが可能です。

3.ソーシャルリスニングによってできること5つ」で詳しく解説しますが、以下のように自社の現状把握や今後の予測、競合他社との比較など、さまざまな目的で活用できます。

【ソーシャルリスニング活用の目的一覧】

目的

現状把握

未来予測

自社理解

・自社の評判
・自社の商品・サービスの評価
・プロモーションや広告の反響

・今後の商品・サービス開発に活用
・今後のプロモーションや広告を検討

市場理解

・競合他社との比較
・市場ニーズの把握

・市場の動向を予測

1-2.ソーシャルリスニングとアンケートの違い

ユーザーの声や市場のニーズを把握する方法として、ソーシャルリスニングの他にアンケートがあります。アンケートは、紙面やインターネット、対面などで企業が用意した質問に回答する手法です。

通常、氏名や年齢、職業などの属性情報を提供した上で回答するため、属性に基づいたデータを収集できます。

しかし、質問への回答が基本となるため、ユーザーが自由に意見を述べることが難しい点がデメリットです。また、属性情報を伝えるため、ネガティブな意見や本音を言いにくい人も増えており、真意に迫るのが難しいケースもあります。

【ソーシャルリスニングとアンケートの違い一覧】

項目

アンケート

ソーシャルリスニング

質問事項

企業側が用意する

ユーザーが投稿したリアルな声を収集する

データの性質

質問に対する回答

自発的な意見・感想

回答の偏り

偏りが生じやすく、望ましい回答が多くなる傾向

偏りが少なく、無意識に自発的に発信される

対象者の範囲

特定の属性を持つ回答者に限定されることが多い

インターネット上の一般ユーザー、幅広い層にアクセスできる

メリット

・知りたい情報に応じて問いを設定できる
・属性情報を収集しやすい

バイアスのかかっていないリアルな声を収集できる

デメリット

・自由な意見を収集しにくい
・ネガティブ意見を言いにくい

匿名での発言が多く、属性情報を収集しにくい

向いているケース

属性情報を収集したい場合

ユーザーのリアルな声を収集したい場合

ソーシャルリスニングは、ユーザーが自由に発信するSNSやブログから情報を収集するため、ユーザーの本音に迫りやすいという大きな強みがあります。アンケートでは見えてこないユーザーの本心を探ることができるため、よりリアルなインサイトを得ることが可能です。

2.ソーシャルリスニングはBtoC企業にとくにおすすめ

ソーシャルリスニングはBtoC企業にとくにおすすめ

ソーシャルリスニングは、特にBtoC企業におすすめの手法です。

SNSやブログは、ユーザーが手軽に情報を発信したり共有したりできるため、BtoCビジネスを展開している企業にとって効率的に情報収集するのに適しています。

【ソーシャルリスニングに向いている業界一覧】

向いている業界

向いている理由

飲食店

・ユーザーがメニューについて頻繁に感想を発信している
・自社の評判や流行を把握しやすい

小売店

・商品の口コミや意見がSNSに多く投稿される
・人気商品やトレンドの把握がしやすい

メディア・
エンターテイメント業界

・ニュースやエンタメに対する意見が多く発信される
・視聴者の関心や反応をリアルタイムで収集できる

旅行・観光業界

・観光地や宿泊施設の口コミがSNSに多く投稿される
・旅行計画や人気スポットのトレンドを把握しやすい

美容・化粧品業界

・商品の使用感や効果に関するリアルな意見が多く投稿される
・商品改善やマーケティングに役立つ

アパレル・
ファッション業界

・トレンドやユーザーのスタイルの変化を追いやすい
・商品開発やプロモーションに活用できる

IT・通信業界

・新サービスやガジェットの評判、不具合や要望を把握できる
・商品改善に役立てられる

家電業界

・商品の不具合や改善要望をすぐに把握できる
・顧客サービスの向上につなげられる

自動車業界

・商品の使用感や要望に関する詳しい顧客の意見を聞ける
・商品開発の参考にできる

このように、ソーシャルリスニングはSNSやブログなどを通じて個人的な意見を手軽に投稿でき、意見や口コミを求めているBtoC企業にとって非常に有効な施策です。

3.ソーシャルリスニングによってできること5つ

ソーシャルリスニングによってできること5つ

ソーシャルリスニングには、以下の5つの活用方法があります。
これを参考に、具体的なイメージを持っていただければと思います。

3-1.ユーザーの本音を探る

ソーシャルリスニングでは、顧客の本音を探ることが可能です。

SNSやブログに投稿された忖度のない個人的な意見を収集することで、ユーザーの真意を知ることができます。

事例①食品メーカーの商品改良
食品メーカーが新しい調味料を発売した場合、SNSでのユーザーの感想を収集すると「もう少し小さなボトルのほうが使いやすい」という意見が見つかるかもしれません。
この意見を受けて調味料ボトルを小さく改良すれば、顧客のニーズに応えることができるでしょう。

事例②メーカーのトラブル回避
「商品がすぐに故障した」「私も購入後2、3回しか使えなかった」といったトラブルの声があれば、早期に対処することで大きな問題を回避することも可能です。

事例③飲食店のエンゲージメント向上
あるラーメン屋がソーシャルリスニングを行い、「辛すぎる」「量が少ない」との意見が多いことに気が付いた場合、メニューを改善することで顧客のニーズを満たすことができます。こうした取り組みを通じて、顧客は自分の意見が反映されたことに満足し、信頼感が増し、リピーターになる可能性が高まります。

このように、ソーシャルリスニングを活用することで、顧客の素直な気持ちや考えを知ることができ、以下のようなメリットを得ることができます。

・顧客満足度の向上
・エンゲージメントの向上

このように、ソーシャルリスニングは顧客の本音を探り、ニーズに応じた商品・サービスの改善を促進することで、顧客満足度の向上やエンゲージメントに寄与するのです。

【参考】
SNSやブログなどで収集できるリアルな顧客の声を「VOC(Voice of Customer)」と呼びます。VOCについては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

3-2.客観的な自社のブランドイメージを把握する

社内にいると、自社への客観的なイメージを把握することが難しく、意見が偏ることがあります。

例えば、社内では「30代に最も認知度がある」と考えてマーケティング施策を進めていても、実際には40〜50代が最も興味を持っていることもあり得ます。このズレが生じると、機会損失につながる可能性があります。

ソーシャルリスニングを活用すれば、SNSやブログにおける意見を、ブランド名や商品名などのキーワードで絞り込むことが可能です。これにより、自社やブランドへの認知度や評価を効率的に収集し、客観的なイメージを把握できます。

また、伝統工芸品を製造・販売する老舗メーカーがソーシャルリスニングを行い、「伝統工芸品は保守的なイメージ」との顧客の意見を把握した場合、以下のようなブランドイメージ向上施策を打ち出せます。

・若い世代向けのデザインを取り入れる
・インフルエンサーとコラボレーションし、ブランドの革新性を強調する

このように、自社の客観的なブランドイメージを把握することで、効果的な施策を展開できるのがソーシャルリスニングの大きな魅力です。

3-3.市場の潜在的なニーズを探る

ソーシャルリスニングは、市場の潜在的なニーズを探る上で非常に有効です。その理由は主に2つあります。

1つ目は、ユーザーの声を迅速に捉えられる点です。SNSやブログには、以下のような潜在的な願望が含まれています。

・「○○のような商品やサービスがあったらいいな」
・「○○を改良した商品やサービスを使ってみたい」

これらの声を収集することで、迅速に市場ニーズを把握し、商品やサービスに反映させることができます。その結果、競合他社との差別化やニーズに応じた商品提供が実現できます。

2つ目は、SNSの利用率が高く、利用時間が長いため、流行が生まれやすい点です。

ユーザーが共感する情報を迅速に把握し、時代の流れを捉えることで、自社の商品やサービスの開発に役立てることができます。 SNSを通じて潜在ニーズを迅速に把握し、「こんな商品・サービスがほしい!」という要望に応えることで、顧客満足度を向上させることが可能です。

顧客に「いつもニーズに沿った商品・サービスを手に入れられる」という印象を与えることで、エンゲージメントを高め、リピーターの獲得につながります。

市場の流れが早いからこそ、ソーシャルリスニングを実施し、勘や経験値に頼るだけでなく、ユーザーの潜在的な声に耳を傾けることが重要です。

3-4.競合他社と比較する

ソーシャルリスニングを実施する際、多くの企業は専用ツールを活用しています。
これらのツールには、競合他社の商品やサービス、SNSを比較できる機能が備わっていることがあります。

収集できる情報には以下のようなものがあります。

・競合他社の商品やサービスに関する意見
・競合他社のSNSの傾向
・競合他社のキャンペーン効果

これらの情報を自社の商品やサービス、SNSの傾向と比較することで、強みや改善点を明確にすることができます。

例えば、競合他社の商品に対する意見と自社の商品に対する意見を比較した結果、自社商品には「使いやすい」という意見が多いことが分かったとします。

その中には「競合他社の商品が使いにくく、自社商品に移行した」という声もありました。この「使いやすさ」は大きな強みとして認識できます。

この強みを活かしてマーケティングや広告制作を行うことで、競合他社に対する優位性をアピールし、訴求効果を高めることが可能です。

ソーシャルリスニングは、自社の情報収集だけでなく、比較対象を設定して情報を分析することで、競合他社よりも優位な施策を打ち出す手助けをします。

このように、ソーシャルリスニングを通じて競合他社と比較し、競争優位性を確保できる点は大きなメリットと言えるでしょう。

3-5.広告やキャンペーンなどの施策の反響を分析する

ソーシャルリスニングを活用することで、広告や各種プロモーション、キャンペーンの反響を分析できます。たとえば、テレビCMを開始した際には、以下のような反応を細かく分析することが可能です。

・テレビCMを見て抱いた感想
・テレビCMを見て購入したという声
・反応が多かった時間帯や曜日
・反応が強かったSNSプラットフォーム

反応が強い時間帯が明確になれば、その時間帯を狙ってSNSで情報を発信し、拡散を図ることができます。また、複数のプロモーションや広告を比較し、反応が良かった施策に絞り込むことも可能です。

このように広告やキャンペーン、プロモーションの質を高めることで、新規顧客にも「この会社の商品・サービスは良さそう」と感じてもらいやすくなります。

広告やプロモーション、キャンペーンには費用がかかるため、費用対効果を最大限したいところです。ソーシャルリスニングを活用することで、ユーザーの反応を確認しつつ、迅速な判断が可能になります。

4.まずはソーシャルリスニングを小さく試してみる

まずはソーシャルリスニングを小さく試してみる

ここまでソーシャルリスニングの基礎知識をお伝えしましたが、実施に興味が湧いたら、まずは小規模にトライしてみるのも良いでしょう。

「小さくトライ」とは、以下のようなアクションを指します。

・X(旧Twitter)、Instagram、FacebookなどのSNSを使用して
・「自社商品・サービス名」「自社の企業名」「ブランド名」を検索し
・複数のユーザーの声を収集して、傾向を考察する

このように小規模にトライすることで、自社や自社の商品・サービスに対する顧客の考えやニーズの傾向が見えてきます。

新たに顧客の意見やニーズを把握することで、的を射た商品やサービス、プロモーション施策を考えることができるため、「新規顧客獲得」「顧客満足度の向上」「エンゲージメントの向上」といった成果も得られやすくなります。

もし小さくトライしてみた結果、顧客の意見や声が以下のように有益であると感じた場合は、少しずつ取り入れていくことをおすすめします。

・「商品・サービス改良のヒントになりそう」
・「広告やプロモーション改善に役立ちそう」

本格的なソーシャルリスニングを実施する魅力を感じた場合は、次章の「5.ソーシャルリスニングを本格的にやる場合の流れ4ステップ」を参考にして始めてみましょう。

5.ソーシャルリスニングを本格的にやる場合の流れ4ステップ

ソーシャルリスニングを本格的にやる場合の流れ4ステップ

ここでは、実際にソーシャルリスニングを行う際の手順をご紹介します。この流れを参考にして取り組み方理解してください。

5-1.目的を明確にする

まずは、ソーシャルリスニングを行う目的を明確にしましょう。「3.ソーシャルリスニングによってできること5つ」でも触れたように、ソーシャルリスニングには多様な目的があります。

・自社やブランドに対する客観的な評価を知りたい
・競合他社と比較したい
・自社の商品やブランドを改良したい
・ユーザーのニーズを把握したい
・キャンペーンやプロモーションの反響を知りたい
・リスクのある投稿やネガティブな意見を収集し対策を取りたい

たとえば、自社商品に対する評価を知りたい場合は、その情報を収集・分析します。
一方で、競合他社との比較を行いたい場合は、自社商品だけでなく競合の情報も集める必要があります。

目的によって必要なデータが異なるため、事前に目的を設定しておくことが重要です。

・ソーシャルリスニングを行う目的は何か
・収集したデータをどのように活用するか

これらを決めたら次のステップへ進みます。

5-2.分析対象のメディア・キーワードを決める

次に、分析対象となるメディアとキーワードを決定します。
ターゲットやメディアを決めずにソーシャルリスニングを行うと、データが膨大になり、分析が難しくなります。

①メディアの選定
ソーシャルリスニングでは、以下のようなメディアを対象とし、目的に応じて選定する必要があります。

メディア

概要

選定するポイント

SNS

ユーザー同士がつながるサービス
(Twitter・Instagram・Facebookなど)

利用率の高い年齢層をターゲットに広く情報を収集できる

個人ブログ

自分の意見や日々の出来事を発信するWebサイト

SNSや動画サイトよりも個人的な意見や感想を収集できる

動画サイト

YouTubeなどの動画投稿や共有ができるサービス

プロモーションや自社動画に関する情報を収集したいときに向いている

掲示板

意見や情報を投稿・閲覧できるWebサイト

潜在的なニーズやネガティブな意見を収集しやすい

口コミサイト

商品やサービスの口コミを投稿・閲覧できるWebサイト

自社商品やサービスの評価を収集しやすい

Q&Aサイト

ユーザーが質問を投稿し、回答を募るWebサイト

潜在的なニーズやターゲット層の悩みを収集しやすい

たとえば、若い世代をターゲットとした自社ブランドの客観的な評価を知りたい場合は、若い世代が利用するSNSを選ぶと効率的に情報を収集できます。

また、潜在的な意見を知りたい場合は、SNSだけでなくブログや掲示板など、より個人的な意見が発信されやすいメディアを選択する方が有益な情報を得られる可能性があります。

このように、メディアによって特色が異なるため、目的に応じて選定することが重要です。

②キーワードの選定
ソーシャルリスニングでは、さまざまなメディアのテキストデータを追いかけ、必要な情報を収集・分析するのが基本的な流れです。この際に重要となるのがキーワードの選定です。

たとえば、「ソーシャルリスニング」をキーワードとして選定した場合、このキーワードを含む情報を収集するメディアからデータを取得します。同様に、自社ブランド名をキーワードに選定すれば、そのブランド名を含む情報を収集できます。

キーワードの選定を誤ると情報の質が低下し、精度の高いソーシャルリスニングが難しくなります。

ツールによって選定できるキーワード数は異なりますが、慎重にキーワードを検討することが重要です。

5-3.ツールを使い情報を収集する

ソーシャルリスニングを実施する際は、専用のソーシャルリスニングツールを導入するのが一般的です。これらのツールには、ユーザーのニーズや傾向を把握するための以下のような機能があります。

【ソーシャルリスニングツールの機能一覧】

機能

概要

データ収集

選定したキーワードを基にデータを収集する

口コミ分析

口コミの件数を把握し、内容を分析する

ユーザー分析

SNSのフォロワーの属性や傾向を分析する

発言分析

ユーザーの発言をネガティブ・ポジティブに分ける

関連語分析

キーワードと関連性のある語句を分析する

リスク検知

ネガティブな発言や炎上リスクにつながりそうな発言を検出し、アラート通知を行う

トレンド分析

SNSやブログ内のトレンドを分析する

興味関心分析

ユーザーの興味や関心の傾向を分析する

キャンペーン分析

キャンペーンや広告などの反響を分析する

レポート作成

分析結果をレポートにまとめる

ツールの「データ収集」機能を利用することで、指定したキーワードを基に情報を集めることができます。

また、「発言分析」を活用することで、キーワードに対するネガティブな意見とポジティブな意見の割合を把握できます。さらに、「リスク検知」機能を使うことで、炎上リスクがある発言を発見した際にアラート通知を受け取ることが可能です。

このように、ソーシャルリスニングツールに搭載されている機能を活用し、目的に応じた分析を実施します。

5-4.分析を行いマーケティングや業務に活用する

ソーシャルリスニングツールを使って情報収集ができたら、次に目的に応じた分析を行います。

競合他社との比較を目的とする場合、他社の情報と自社の情報を以下のような点で比較し、分析します。

・自社に優位性がある点
・競合他社が優れている点

分析が完了したら、その結果をマーケティング戦略や商品開発に活用することが重要です。

今回ご紹介した手順は一例ですが、目的に応じたソーシャルリスニングを行うことで、自社の課題解決や強みの発見につながります。このプロセスを通じて、より効果的な戦略を構築することが可能となります。

6.ソーシャルリスニングを成功させる3つのポイント

ソーシャルリスニングを成功させる3つのポイント

ここからは、ソーシャルリスニングを成功させるための3つのポイントをご紹介します。

ソーシャルリスニングを成功させる3つのポイント

1.ネガティブな情報に過剰反応しない
2.一定の技術が必要
3.AIを活用する

これらのポイントを理解することで、ソーシャルリスニングをより有効に活用できるようになります。
ぜひ参考にしてください。

6-1.ネガティブな情報に過剰反応しない

1つ目のポイントは、ネガティブな情報に過剰反応しないことです。

ソーシャルリスニングでは、ポジティブな声と同様にネガティブな声も収集されますが、ネガティブな意見は目につきやすく、感情的になりやすいです。そのため、感情に振り回されないように注意が必要です。

6-2.一定の技術が必要

2つ目のポイントは、ソーシャルリスニングを行うには一定の技術が必要であるということです。

自分でSNSやブログから情報を収集し分析することも可能ですが、収集できる量や範囲には限りがあります。偏った情報に基づいた分析は、正確な結果からかけ離れてしまう可能性があります。
情報収集の際には、必要な情報を絞り込む能力やマーケティングに関する知識が不可欠です。

また、多くのツールによっては情報収集だけでなく、レポート作成や分析も可能です。収集したデータを適切に読み解き、マーケティングや商品開発に活用するためのスキルが必要となります。

6-3.AIを活用する

3つ目のポイントは、AIを活用することです。
AIを利用する理由は、効率的に質の高い情報や分析結果を得られるからです。

SNSには日々、膨大な量の投稿が行われています。AIを活用しない場合、すべての投稿を確認・分類し、重要度を決定するのは非常に手間がかかり、何をテーマに自社に活かすべきか迷ってしまうこともあります。

そのような状況でAIを活用し、クラスタリング(※)を行うことで、無限のSNSデータを有限の「話題」に集約できます。クラスタリングされた投稿には「何かしらの共通点」があり、その共通点を読み解くことで、商品やサービス改善に役立つ情報を導き出すことができるのです。

【AIを活用した飲食チェーンのソーシャルリスニングの例】
1.データのクラスタリング

AIがSNSの投稿からクラスタリングを行い、以下のような話題を集約します。
・味やメニューに関する評価
 例:「味が濃すぎる」「新メニューのカレーが美味しい」
・接客に関する意見
 例:「スタッフの態度が良かった」「対応が遅い」
・店舗の清潔さや環境
 例:「店内が清潔」「照明が暗すぎる」
・利便性や混雑
 例:「ランチ時に混んでいる」「駐車場が少ない」

2.クラスタリングの結果からの分析

例えば「味やメニューに関する評価」のクラスターを分析した結果、以下共通点が見えてきました。
・多くのユーザーが「スパイシーな味」を好んでいる
・健康志向が高まっており、「野菜メニューをもっと増やしてほしい」という声が多い
・季節限定メニュー「スパイシーチキンサンド」が人気で、「定番化してほしい」という意見が多い

3.商品改善への活用

以上の分析結果を基に、企業は以下のような商品・サービス改善を検討できます。
・スパイシー好みの層に向けた新メニューや期間限定メニューを開発し、メニューラインナップを強化する
・野菜メニューの追加や健康志向メニューの開発を進め、健康ニーズに応える
・季節限定だった「スパイシーチキンサンド」を定番メニュー化し、エンゲージメントを向上させる

このように、膨大なSNSデータを効率よく理解・分析できるようになります。そのため、ソーシャルリスニングを実施する際には、AI搭載のソーシャルリスニングツールを活用することをおすすめします。

※クラスタリング:データ間の類似度に基づいてデータをグループ分けする手法

7.トランスコスモスのソーシャルリスニングサービス

トランスコスモスのソーシャルリスニングサービス

トランスコスモスでは、企業を取り巻くソーシャルメディアの声を把握し、カスタマーサポートや商品開発などのさまざまな企業活動に活用できる「ソーシャルリスニングサービス」を提供しています。

このサービスでは、ツールを用いてユーザーの声を収集・把握・分析し、以下のような用途に活用できます。

トランスコスモスの「ソーシャルリスニングサービス」の活用例

リスクモニタリング

・炎上リスクのある投稿や、自社サービス・商品に対するネガティブな投稿を検知します。
・自社商品から競合商品への乗り換えや離脱理由を分析します。

マーケティング活用

・競合他社と自社を比較し、ポジションを明確化します。
・自社商品のファンユーザーを特定し、アンバサダー化を図ります。

ソーシャルリスニングに関するご要望や目的に応じて柔軟に対応いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

いかがでしたか?この記事を通じて、ソーシャルリスニングの手法や実践方法について理解が深まったことでしょう。
最後に、内容を振り返ってみましょう。

〇ソーシャルリスニングとは:
SNSやブログなどで発言されたユーザーの声を収集・分析し、マーケティングや商品開発、リスク管理に活用する手法です。

〇ソーシャルリスニングでできること:

・顧客の本音を探る
・客観的な自社のブランドイメージを把握する
・市場の潜在的なニーズを探る
・競合他社との比較を行う
・広告やキャンペーンなどの施策の反響を分析する

〇ソーシャルリスニングを本格的に実施する流れ(4ステップ):

・目的を明確にする
・分析対象のメディア・キーワードを決める
・ツールを使い情報を収集する
・分析を行いマーケティングや業務に活用する

〇ソーシャルリスニングを成功させるポイント:

・ネガティブな情報に過剰反応しない
・一定の技術が必要
・AIを活用する

ソーシャルリスニングは、ユーザーのリアルな声を収集し、マーケティングや商品開発に活用するための強力な手法です。導入や運用にお悩みの際は、トランスコスモスにお気軽にご相談ください。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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