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HDIとは?企業が三つ星を獲得するメリットや評価基準・評価項目について解説

コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)には、顧客からの要望・質問に対して迅速かつ的確に対応し、顧客満足度の向上に貢献するという役割があります。

企業の売上にも関わるこの重要な役割を果たすためには、コンタクトセンターの対応品質を高める必要があります。「いかに対応品質を向上させるか」は、コンタクトセンターを持つ企業が挑戦し続けている永遠のテーマです。

対応品質を高めるためにも、企業は独自の評価方法を用いて自社コンタクトセンターのレベルを測っています。しかし、真に顧客に満足感を与えられるようなカスタマーサポート体制を構築するには自社目線による評価だけでなく、客観的な評価も必要になります。

そこで必要となるのが、「HDI」のような顧客目線でコンタクトセンターの評価を行ってくれる団体からのアセスメントですHDIは、サポートサービス業界における世界最大のメンバーシップ団体であり、「格付けベンチマーク」や「サポートセンター国際認定」など総合的にコンタクトセンターの評価を行っています。

HDIの活動内容や提供サービス

本記事では、HDIの活動内容や提供サービスを紹介するとともに、コンタクトセンターが受けることができるHDIの調査・評価サービスについて説明します。コンタクトセンターを運用している企業はぜひ参考にしてみてください。

1.HDIとは

出典:http://www.HDI-Japan.com

HDIは、ITサポートサービス業界における世界最大のメンバーシップ団体です。「卓越したカスタマーエクスペリエンスでビジネスを成功させる」ことをビジョンとして掲げており、アメリカの経済専門誌「フォーチュン」に掲載されている世界的企業が多数加盟しているほか、世界中で50,000を超える会員を有しています。

1-1.HDIの歴史

HDIは、1989年にアメリカ・コロラド州のコロラドスプリング市で設立されました。コロラド州には、北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)や空軍士官学校が設置されていたことから多くのIT企業が集まり、システム導入後のサポートを行っていました。

しかし、サポートには高度な知識やスキルが必要とされるにもかかわらず、担当者は不遇な扱いを受けていました。この状況を問題視したロン・マンズ氏がリーダーとなり、HDIを立ち上げたのが始まりです。

設立からわずか10年ほどでHDIは世界最大のメンバーシップ団体にまで成長しました。HDIの最初の拠点となったコロラドスプリング市は「ヘルプデスク発祥の地」とも呼ばれるようになりました。

そして2000年には、イギリスのCSM(Customer Service Management)と合併し、世界初のサポートスペシャリスト国際認定や、サポートセンター国際認定の提供を発表。現在は世界にわたって活躍の場を広げており、多くのコンタクトセンター(コールセンター)を支援しています。

1-2.HDI-Japanについて

2001年に山下辰巳氏が川崎市に「HDI-Japan」を設立し、日本国内でも活動を開始しました。山下氏は、アメリカ大手製薬会社で営業やマーケティング職を歴任したのちに、HDIコロラドにてインターンシップした経験を持ちます。

HDI-Japanはアメリカ同様にシンクサービス株式会社が運営しています。2006年には、HDI問合せ窓口格付けのサービス提供を開始。同サービスは現在もアジア最大級の格付けベンチマーク・データベースとして活用されています。

近年では世界最大のコンタクトセンター(コールセンター)BPO地区となったフィリピンでも活動しており、世界にわたってサポート業界への貢献を続けています。

2.HDIが提供している主なサービス

HDIでは、大きく分けて「サポートスタッフ向け」と「サポートセンター向け」の2つのサービスを提供しています。それぞれに対してどのようなサービスを提供しているかについて紹介します。

2-1.サポートスタッフ向けのサービス

サポートスタッフ向けには主に以下のようなサービスを提供しています。

サポートスタッフ向けのサービス

HDIオフィシャルトレーニングは、サポートスタッフ向けのトレーニングプログラムです。顧客サポートの方法や、チームパフォーマンスを向上させるために必要なリーダースキルの習得、コンタクトセンターの財務管理など日常業務のトレーニングを提供します。

HDIサポートスタッフ国際認定は、サポートスタッフのための国際認定資格です。どのコンタクトセンター(コールセンター)においても必要とされるソフトスキルに特化した資格となっており、コンタクトセンターに勤務するスタッフが知るべき幅広い知識を得ることができます。

2-2.サポートセンター向けのサービス

サポートセンター向けには主に以下のようなサービスを提供しています。

サポートセンター向けのサービス

HDIサポートセンター国際認定は、ピープル・プロセス・テクノロジーの3つの主要要素の基準を満たしたコンタクトセンター(コールセンター)に与えられる国際認定です。取得することで、優秀なセンターであることの証明になり、競合他社と差別化することが可能になります。また、評価からコンタクトセンター運営の改善点も見出すことができます。コンタクトセンターを運営する企業には、認定を推奨したいプログラムです。

また、HDI格付けベンチマークもおすすめのサービスです。「Webサポート格付け」「問合せ窓口格付け」といった購入前・購入時のサポートの評価や、「対応記録/クオリティ格付け(センター評価)」「対応記録/クオリティ格付け(個人評価)」では主にアフターサービスの評価を行ってくれますベンチマークにより、コンタクトセンターは自社の現状を理解し、さらなる改善を図ることができます

次は、サポートセンター向けのサービスである「HDI格付けベンチマーク」と「HDIサポートセンター国際認定プログラム」についてさらに詳しく解説します。

3.HDI格付けベンチマークとは

前述した通り、HDIの格付けベンチマークとは、コンタクトセンター(コールセンター)の対応品質を総合的に評価する制度です。一般消費者からボランティアを募り、顧客視点でコンタクトセンターの総合的なオペレーションについて調査を実施します。

格付けベンチマークの評価は「星なしから三つ星」までの4段階で、最高評価である三つ星の評価を受けたコンタクトセンターは、三つ星マークを使用することができます。企業の評価は格付けとして公開されるため、業界内における自社のポジションが分かるとともに、競合との比較も可能です。

3-1.HDI格付けベンチマークの種類

HDI-Japanが提供する格付けベンチマークには「Webサポート格付け」「問合せ窓口格付け」「対応記録/クオリティ格付け(センター評価)」「対応記録/クオリティ格付け(個人評価)」の4種類があります。それぞれの格付けベンチマークにどのような特徴があるのかを解説します。

HDI格付けベンチマークの種類

Webサポート格付け

Webサポート格付けとは、ホームページ上における顧客サポートを評価したものです。スマートフォンやタブレットといったデジタルデバイスを使用するユーザーが増加しているなかで、Webサポートの重要性が高まっています。

HDI-Japanでは、2009年からWebサポート格付けベンチマークを始め、約1,830社分のデータを保有しています。Webサポートの調査員の派遣や調査活動を実施し、最終的な報告までの期間はおおよそ3ヶ月です。

問合せ窓口格付け

問合せ窓口格付けは、電話対応、チャットサポート、メールサポートなどマルチチャネルにおけるサポート対応がモニタリング対象となります。

最終的な調査結果は、2,770社分のHDI格付けベンチマークデータと比較し、業界全体における自社カスタマーサポートの順位や、他社との違いなどを把握するのに役立ちます。Webサポート格付け同様に、全体の調査期間は約3ヶ月です。

対応記録/クオリティ格付け(センター評価)

対応記録/クオリティ格付け(センター評価)は、電話対応のほか、チャットサポート、Eメールサポート、マルチチャネルサポートについて、クオリティの5項目で評価します。評価視点は、顧客がどう感じているかを重視し、特に既存顧客向けのアフターサービスのセンターに向いています。

対応記録/クオリティ格付け(個人評価)

1個人あたり3~5件の対応記録を、個人毎にクオリティの5項目で評価します。顧客の視点から各個人の改善ポイントを明らかにし、優秀者は個人三つ星認定が受けられます。

調査期間は、Webサポート格付けや問合せ窓口格付けと同じく約3ヶ月です。「サービス体制」「コミュニケーション」「対応スキル」「プロセス/対応処理手順」「困難な対応」からなる全5つの評価項目で調査が行われます。上記の4つは全ての種類で依頼に基づいての調査も実施しています。

3-2.HDI格付けベンチマークのメリット

ここでは、コンタクトセンター(コールセンター)が格付けベンチマークを実施するメリットをいくつか紹介します。

カスタマーサポートのサービス品質向上

第三者機関による調査の実施によって、自社コンタクトセンター(コールセンター)のサービスを客観的に評価してもらうことが可能です。顧客視点で評価してもらえるため、オペレーターによる対応品質の向上など、コンタクトセンター全体の課題改善につなげられます。

自社と競合他社の位置把握

格付けベンチマークは、コンタクトセンター(コールセンター)業界内における自社および他社の位置を把握するのに役立ちます。自社と競合他社の評価を比較しながら、どの程度の差が生じているのかを調べることができます。

サポートサービス業界全体における発展

格付けベンチマークの利用は、コンタクトセンター(コールセンター)業界全体の発展にもつながります。それぞれの企業が格付けを意識することで、サービス向上のために努力しやすい環境が生まれます。

経営層によるコンタクトセンター(コールセンター)の重要性の理解

格付けベンチマークはオペレーターだけでなく、経営層がコンタクトセンター(コールセンター)の重要性を理解するきっかけにもなります。経営層がコンタクトセンターの重要性に対する理解度を深めることで、より顧客対応に力を入れていくという判断につながる可能性があります。

3-3.HDI格付けベンチマークの評価基準

HDIの格付けベンチマークは、国際スタンダードを用いた評価基準に従い、1〜4点での評価を行っています。また、後述する各評価項目の平均点が3.5点以上の場合は三つ星、2.5以上で2つ星、1.5以上で1つ星、1.5未満だと星なしとなります。

HDI格付けベンチマークの評価基準

3-4.HDI格付けベンチマークの評価項目

HDI格付けベンチマークの「Webサポート格付け」「問合せ窓口格付け」「対応記録/クオリティ格付け」には、それぞれ評価項目が設けられています。前述した通り、評価対象となる5項目の平均点がコンタクトセンター(コールセンター)の総合的な評価となります。

評価項目ごとに、消費者から募ったボランティアの一般審査員と、カスタマーサポート業界における専門審査員の得点を加重平均し、最終的な得点を算出します。なお、問合せ窓口のみ、クオリティ面とパフォーマンス面の2種類を評価した上で、両方とも3.5点以上の場合に三つ星が与えられます。

Webサポート格付け

Webサポート格付けでは、以下の5つの評価項目が調査対象となります。Webページとしての完成度を問われるだけでなく、顧客の立場を考えた構成に仕上がっているかが高い評価を受けるための重要なポイントです。

Webサポート格付け

問合せ窓口格付け

問合せ窓口格付けは、大きく分けて「クオリティ評価」と「パフォーマンス評価」の2つの点を調査します。三つ星を獲得するためには、両方の評価がともに3.5以上であることが必須です。

クオリティ評価
クオリティ評価では、コンタクトセンター(コールセンター)の組織体制やオペレーターの応対品質が問われます。コミュニケーションに加え、顧客が抱える問題を解決するためのプロセスや難しい対応を求められた際の処理能力がポイントとなります。

クオリティ評価

パフォーマンス評価
パフォーマンス評価は、応答までの時間や顧客によるサポート放棄の発生具合などを評価するものです。対応のスピード感や顧客に手間をかけさせない体制が整っているかなどが評価に影響します。

パフォーマンス評価

対応記録/クオリティ格付け

対応記録/クオリティ格付けでは、基本的に窓口問合せ格付けと同じように、クオリティ評価に基づいて調査を行っています。ただし、対応記録/クオリティ格付けは、購入前や購入時の問い合わせではなく、アフターサービスを提供しているセンターの評価も可能です

また、電話対応だけでなく、チャットサポート、メールサポートといったマルチチャネルのサポートについても、クオリティ評価での格付けに対応しています。

4.HDIサポートセンター国際認定プログラムとは

HDI-Japanでは、サポートセンター国際認定プログラム(SCC)の提供も実施しています。サポートセンター国際認定プログラムとは、カスタマーサポート業界で唯一の国際スタンダードに基づく認定プログラムで、8要素から80のスタンダードについて、完成度を4段階で評価します。ISO9000と同様に、コンタクトセンター(コールセンター)の品質管理プロセスや品質管理手順を設定したものになります。

4-1.HDIサポートセンター国際認定を取得するメリット

格付けベンチマーク同様に、サポートセンター国際認定を取得することでさまざまなメリットを享受できます。

国際スタンダードに基づくセンターの改善

自社コンタクトセンター(コールセンター)のサービス内容やオペレーターによる対応品質を客観的に分析できます。改善するべきポイントが可視化され、コンタクトセンターの品質向上につなげることができます。

従業員モラルと定着率の向上

国際認定を取得するために、現場で働くオペレーターが一丸となって取り組むようになります。同じ目標を持って働けるようになることから、従業員のモラルや定着率の向上を期待できます。

国際レベルの評価を得ているアピール

顧客やクライアントに対して、自社のサポートサービスが国際レベルの評価を得ていることをアピールできます。

競合他社との優位性の証明

サポートセンター国際認定プログラムは、競合他社との差別化にも役立ちます。他社にはない高品質なサポート体制を構築することは、顧客満足度の向上にもつながります。

4-2.HDIサポートセンター国際認定プログラムの評価基準

HDIサポートセンター国際認定プログラムは、8つの評価基準を設けています。以下8つの要素は各4点満点となっており、各要素で2.3点以上の得点、平均2.5点以上の獲得が必要です。基準の項目を以下に列挙します。

HDIサポートセンター国際認定プログラムの評価基準

4-3.HDIサポートセンター国際認定を取得するためのステップ

サポートセンター国際認定を取得するためには、3つのステップを踏む必要があります。それぞれのステップで必要となる対応について確認しておきましょう。

HDIサポートセンター国際認定を取得するためのステップ

STEP1 事前準備

サポートセンター国際認定を取得するにあたり、スタンダードの理解や資料提出、事前質問票の作成が必要になります。HDIの国際認定オーディタとの打ち合わせ、コンタクトセンター(コールセンター)でのインタビュースケジュールなどを決めていきます。

STEP2 現地監査

事前打ち合わせが完了した後は、現地調査を実施します。現地調査では、コンタクトセンター(コールセンター)へのインタビューや運営状況を監査し、認定申請書を提出します。

STEP3 センター認定

最後に、HDIによる結果及び監査を確認し、アメリカ本国から国際認定認証を受け取ります。なお、国際認定を取得するにはオーディタの総合評価が2.5点以上かつ各8要素の得点が2.3点以上である必要があります。2年ごとに更新を行い、その時点での最新スタンダードによって現地調査を実施します。

5.HDI公認コンサルティングパートナーのトランスコスモス

トランスコスモスは、HDI公認のコンサルティングパートナーに認定されています。コンタクトセンター(コールセンター)の品質向上に向けて、公開格付けの審査、依頼格付けの支援を実施しております。

5-1.公開格付け審査

公開格付け審査では、HDI-Japanが選定した業界や企業に対して、ミステリーコールを毎月実施します。ミステリーコールとは、カスタマーサポートの電話対応やチャットサービスの品質を評価する手法です。

第三者が顧客を装って抜き打ちで問い合わせを行う手法で、センターの実態を把握するために活用されています。なお、ミステリーコールのスコア票はHDI-Japanの評価基準に基づいており、コンタクトセンター(コールセンター)の正確な評価が可能です。

5-2.依頼格付けの支援

依頼格付けの審査とは、HDI-Japanが選定していない業界や企業からの「三つ星を取得したい」という依頼に対して、取得をサポートするサービスです。支援内容については、各企業のコンタクトセンター(コールセンター)の状況に応じて研修を行ったり、ミステリーコールを実施したりなど多種多様です。トランスコスモスでは、年間数十社以上の三つ星獲得を目指す企業の支援を続けています。

まとめ

コンタクトセンター(コールセンター)の品質向上には、HDI格付けベンチマークを採用するのが効果的です。国際スタンダードに基づいて、自社サポートセンターやオペレーターのクオリティを評価することで、競合との優位性を確立したり、改善点を素早く対処したりできるなどのメリットを得られます。

トランスコスモスは、HDI-Japanのパートナーとして、応対品質向上、三つ星を取得したい企業向けにコンサルティングを提供しています。国際基準のカスタマーサポート体制を構築するためにも、この機会にぜひお問い合わせをご検討ください。

その他品質向上に向けた認証規格として、COPCも参考になりますので、併せてご覧ください。