「最近流行りのサブスクリプションってどんなもの?」
「自社でもサブスクリプションビジネスを始めてみたいが、どうすればいい?」
この記事を読んでいるのは、そんな疑問や希望を持っている方ではないでしょうか。
サブスクリプションとは、「定期的に一定額を支払うことで商品やサービスを利用できる仕組み」のことです。
「毎月〇〇円の定額で好きな映画やドラマが見放題の動画配信サービス」などが代表的で、他にも「月額△△円で3着の洋服がレンタルできるファッションレンタルサービス」や、「月額◆万円でステーキを何回でも食べられるチケット」といったものが人気を集めています。
同じ商品を購入する場合と比べると、利用者側は費用が安く抑えられ、企業側は定期的に収益を上げることができるなど双方にメリットがあるため、ここ数年でさまざまなサービスが展開されるようになりました。
サブスクリプション市場は右肩上がりに拡大中です。
そのためビジネスチャンスが期待できるといえますが、その分競争も激しいことから、サブスクリプションの特徴やノウハウを理解せずに取り組んでは、逆に損失を被る可能性もゼロではありません。
そこでこの記事では、以下の内容について詳しく解説します。
▼サブスクリプションとは |
この記事を読むことで、サブスクリプションとは何かということが理解でき、ビジネスとして成立させるための方法も詳しく解説しているため、自社が今後どのようにサービスを展開するべきかが見えてくるでしょう。
サブスクリプションビジネス拡大の波に乗り遅れず、好機を掴むための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。
1.サブスクリプションとは
「サブスクリプション」またはその略語である「サブスク」という言葉は、ここ数年ですっかり定着しました。
しかし、改めて「サブスクリプションとは何か?」と問われると、明確に説明できない方も多いのではないでしょうか。
そこで最初に、「サブスクリプション」の意味や仕組みについて、正しく理解しておきましょう。
1-1.サブスクリプションの意味とサービスの仕組み
「サブスクリプション(subscription)」という言葉の元々の意味は、「(新聞や雑誌などの)予約購読・定期購読」です。
その後テクノロジーの進化に伴って意味の範囲が拡大し、現在では「定期的に一定額を支払うことで商品やサービスを利用できる仕組み」そのものを示すようになりました。
以下は、消費者庁が示すサブスクリプションサービスの全体像です。
例えば「毎月1,000円で好きな曲が聴き放題の音楽配信サービス」や、「毎月5,000円で3着の洋服がレンタルでき、途中で別の服に交換もできるファッションレンタルサービス」、「月額1万円で、系列チェーン店のステーキを何回でも食べられるチケット」といったサービスがあります。
近年はさまざまな分野でサブスクリプションサービスが広がっており、2019年にはサブスクリプションの略語である「サブスク」が、流行語大賞にノミネートされました。
1-2.サブスクリプションと定額制の違い
サブスクリプションの意味を理解できた方の中には、「定額制」と何が違うのかまず疑問に感じる方も少なくないのではないでしょうか。
サブスクリプションと定額制には、「定期的に一定額を支払う」という共通点がありますが、一方で以下のような違いがあります。
【サブスクリプションと定額制の違い】
サブスクリプション | 定額制 | |
---|---|---|
利用方法 | 所有せず利用するだけ | 所有する場合もある |
商品やサービスの | 利用中にアップデートされる | アップデートされない |
ゴール | 顧客を満足させること | 商品やサービスを提供すること |
サブスクリプションと定額制は、消費者の視点ではほぼ同義(商品・サービスの利用方法や質に問題がない限り)ですが、企業側にとって品質改善や顧客満足度の追求といった点での取り組み方が異なってくるといえます。
2.サブスクリプション型のビジネスモデルとは
サブスクリプションとは何かイメージできるようになったところで、企業側から見たときにはどのようなビジネスモデルになるのかを理解しましょう。
下図は、消費者庁が示すサブスクリプションサービスの構造です。
流れを解説していくと、まずは、消費者とサブスクリプションサービスを提供する企業が契約を結びます。
契約後、企業は消費者に対して契約期間内・一定範囲内利用できる商品やサービスを提供します。
継続的な取引の中で、消費者の利用履歴や商品・サービスに対する評価などのデータに基づき、企業側から追加サービスのレコメンデーションを行う場合もあります。
このようにサブスクリプションは、企業側は契約期間中継続的に利用料を受け取り、消費者側はそれに見合った商品やサービスを一定の範囲内で自由に利用するというビジネスモデルになります。
3.サブスクリプションサービスの市場規模
サブスクリプションビジネスに関心をもったときに気になるのは、「継続的に収益化できるのか」という今後の展望ではないでしょうか。
この章ではまず、サブスクリプションビジネスの展望として、その市場規模について解説します。
結論から言うと、サブスクリプションサービスの市場規模は右肩上がりに拡大しており、今後もその流れは続くと予測されています。
下図は、サブスクリプションサービスの利用経験を表したグラフです。
「サブスクリプションサービスを利用したことがある」「今後利用したい」と答えた人を合わせると、前年代の8割以上に上っています。
これらのことから、サブスクリプションサービスに対する消費者のニーズは大きく、今後も引き続き市場の活発化が続くため、これからビジネス参入して業績につなげられる可能性は十分にあるといえます。
4.サブスクリプションのメリット
ここからは、サブスクリプションビジネスに取り組むためにはどうすべきか、具体的な方法について考えていきましょう。
まずは、サブスクリプションのメリット・デメリットについて解説します。
企業側・顧客側、双方にとってのメリット・デメリットを把握することで、サブスクリプションビジネスに参入すべきかどうか、自社のリソースで可能なのか、という判断に役立ちます。
4-1.提供企業側のメリット
まずはサブスクリプションを提供する企業側のメリットですが、以下の4点が挙げられます。
それぞれについて、詳しく解説します。
継続的・長期的な収益が期待できる
サブスクリプションの第一のメリットは、継続的・長期的に収益を得られることです。
サブスクリプションは従来の「プロダクトビジネス(=モノを売ることがゴールになる売り切り型のビジネスモデル)」とは異なり、一定期間にわたって利用してもらうことで定期的に「利用料」を徴収することができるからです。
サブスクリプションでは、一度契約してもらえれば解約されない限りは「利用料✕契約者数」の売り上げが毎月入ってきます。
そのため、売り切り型よりも売り上げの変動幅が小さく、収益の予測が立てやすいのも利点といえるでしょう。
顧客を獲得しやすい
第二に、顧客を獲得しやすいというメリットもあります。
前述したように、サブスクリプションの市場は急成長中で、消費者の間にも「買うよりもサブスクを利用した方がお得」「気軽に利用できる」という意識が広がっているからです。
実際、サブスクリプションサービスは一般的に、同じ商品やサービスを購入する際の購入額よりもはるかに安い利用料が設定されています。
購入すれば数千円、数万円のものでも、月額数百円で利用できるわけです。
また、Web上で簡単な利用登録をすれば、即時に利用を開始できるサービスも多くあります。
そのようなケースでは、解約手続きもWEB上でいつでもすぐできるようになっています。
この「低価格」「簡単手続き」という特徴が契約に対するハードルを下げているため、消費者を気軽に契約に踏み切らせることができるのです。
中には「最初の〇か月間は利用料無料」といったトライアル期間を設けているケースも多く、顧客獲得に有効な施策となっています。
顧客リストや利用データを収集できる
顧客リストや利用データを収集できるというメリットもあります。
サブスクリプションでは顧客が長期間利用を継続するため、定期的に顧客の利用状況やニーズの変化などのデータを入手することができるからです。
特に、Webを通じて契約・解約の手続きや商品選択、支払手続きなどを行う場合は、データを自動的に蓄積できるため、顧客ニーズの的確な分析につながります。
顧客ニーズを正確に把握できれば、それに応じてサービスを改善することが可能になるため、サブスクリプションビジネスのゴールである「顧客満足度の向上」が実現しやすくなるでしょう。
さまざまな商材に適用できる
最後のメリットは、サブスクリプションサービスの汎用性の高さです。
一般的には動画や音楽、ゲームなどのデジタルコンテンツの配信サービスというイメージが強いかもしれませんが、ここ数年でさまざまな分野にサブスクリプションが適用されるようになってきました。
例えば洋服やバッグなどのファッションレンタル、飲食店の利用、クリーニングなどの生活サービスの提供など、有形無形の商材がサブスクリプションの対象となっています。
そのため、新たなサブスクリプションサービスを考案することができるだけでなく、すでに自社で持っている既存の商品やサービスにサブスクリプションを適用することも可能です。
ビジネスとして展開できる領域が幅広いというのは、新たに参入しようとする企業にとっては大きな利点といえるでしょう。
4-2.顧客側のメリット
サブスクリプションを利用する顧客側のメリットには、以下の3点があります。
それぞれについて、詳しく解説します。
コストパフォーマンスがよい
顧客にとって、サブスクリプションの最大のメリットはコストパフォーマンスでしょう。
前述しましたが、同じ商品やサービスを購入する費用よりも、サブスクリプションの月額利用料のほうがはるかに低価格になっています。
例えばAmazonの音楽配信サービス「Prime Music」は、月額500円のAmazon Prime会員であれば無料で利用でき、200万曲が聴き放題です。
そのうち0.1%の2,000曲を聴くとしても、もしCDで購入しようとすれば数十万円、レンタルでも最低数万円はかかるため、いかにサブスクリプションがお得なサービスかがよくわかります。
逆にいえば、サービスを提供する企業は、コストパフォーマンスの高さをアピールすることが求められるでしょう。
初期費用が少なくて済む
初期費用が少なくて済むというのも、顧客にとって魅力的な点だといえます。
サブスクリプションサービスの中には、入会金や利用料前払いなど初期費用が必要なものもありますが、特に利用者が多い動画配信・音楽配信などのサービスでは、月額利用料のみで契約後すぐにフルサービスが利用できるものが一般的です。
「初月利用料無料」
「〇日間無料トライアル」
「最初の〇点のみレンタル無料」
といったトライアル期間を設けているものもあるため、顧客は初期費用が少なく始められるというメリットを得られます。
「毎月300円の利用料しかかからないなら、学生の自分でも負担なく始められる」
「好きなマンガを全巻そろえると数万円かかってしまうけれど、月額1,000円以下で読破できる」
など、多額のお金が手元になくても契約・利用ができるため、10代~20代の学生にも普及しています。
初期費用が必要ないということは、自由になるお金が少ない若い世代や年金暮らしのシルバー世代まで幅広い消費者層をターゲットにできるということですので、ビジネスチャンスは大きいといえるでしょう。
登録・解約が簡単
利用登録や解約がWebなどで簡単にできるというメリットもあります。
多くのサービスは、ホームページに個人情報とクレジットカード情報などを入力するだけで登録が完了しますので、利用まで数分しかかかりません。
また解約も、同じホームページで24時間いつでも手続きできるケースが多いでしょう。
ただし解約については、「ホームページを見てもどこから解約できるかわからない」「解約はメールや電話でしかできず、なかなか返信がない(または電話がつながらない)」といった事象もあるようです。
サービスを提供する企業としては、登録や契約の手続きを簡便化して新規顧客が流入しやすくするとともに、解約手続きもわかりやすく提示することで、顧客の安心感、信頼度を高める努力が必要だといえそうです。
【サブスクリプションサービス事業者には、解約手続きに必要な情報提供の努力義務があります】 一般的には解約が簡単なサブスクリプションサービスですが、中には「契約はWEBで簡単にできたのに、解約のしかたがわかりにくい、あるいは解約手続き自体がしにくい」としてトラブルになっているものもあります。 国民生活センターには以下のような事例が寄せられています。
これらのトラブルを受け、2022年3月に政府はサブスクリプションサービスの事業者に対して、解約手続きに必要な情報提供の努力義務を課した「消費者契約法」の改正案を閣議決定しました。 サービス提供企業は今後、解約手続きをわかりやすく利用者に示すことが求められます。 |
5.サブスクリプションのデメリット
ここまでは、サブスクリプションのメリットについて説明しましたが、一方で、もちろんデメリットもあります。
そこで、メリットと同じく企業側のデメリット・顧客視点からのデメリットについても考えていきましょう。
5-1.提供企業側のデメリット
サブスクリプションを提供する企業側のデメリットは、以下の5点です。
それぞれについて、詳しく解説します。
導入にはイニシャルコストがかかる
もしサブスクリプションサービスを初めて導入するのであれば、さまざまな面でイニシャルコストが必要です。
よく「サブスクリプションは初期費用が少なく始められる」と言われますが、それは自社にある既存の商品やサービスを利用できる場合であり、新規となると以下のようなコストが必要になるからです。
・商品やコンテンツを一定数揃える費用:次項参照 |
これらを総計すると、それなりに大きな資金が必要になるはずです。
最初にコンテンツやリソースを揃える必要がある
最初にコンテンツやリソースを揃える必要があるというという点もデメリットになります。
サブスクリプションは、提供される商品やコンテンツの数やサービスのバリエーションが多いことがアピールポイントになります。そのため、競合他社と肩を並べられる数を用意する必要があるからです。
音楽配信であれば数百万~数千万曲が一般的ですし、マンガ読み放題なら数万冊、ファッションレンタルなら数十~数百ブランドという品揃えが標準です。
これだけのラインナップを揃えるには、多額の費用も必要ですし、何十社を相手に契約交渉もしなければなりません。
「自社商品・自社コンテンツをそのまま利用できる」というケース以外は、このコストと労力は大きな負担になるでしょう。
利益が上がるまで時間がかかる
また、サブスクリプションはそもそも利益が出るまで時間がかかるビジネスモデルです。
サブスクリプションサービスは月額利用料が安いため、収益を上げるには多数の利用者を獲得する必要があるからです。
サービス開始直後はもちろん利用者は少ないので、利用料収入も多くはありません。
利用者を増やすために広告宣伝を行ったり、無料トライアル期間を設けたりすれば、その分さらに収益化は遅れます。
随時コンテンツやリソースを追加しなければならない
サブスクリプションビジネスでは商品やサービスを常に追加、アップデートする必要がありますが、これにも大きな費用と工数が割かれます。
サブスクリプションビジネスのゴールは「顧客満足度の向上」です。
その実現のためには、顧客のニーズを的確に分析・把握し、十分に満足させられるような改善策を講じる必要があるのです。
もし、顧客の要望に合わないコンテンツを追加したり、希望しないアップデートを行ったりすれば、逆に顧客の満足度は低下し、解約につながってしまうでしょう。
解約されやすい
サブスクリプションは解約されやすいというデメリットもあります。
前章の顧客メリットのひとつ「登録・解約が簡単」は、企業側にとってはいつでも気軽に解約できてしまうという脅威になるからです。
かといって、契約しやすく解約はしにくいシステムにすれば、トラブルにつながるでしょう。
そこで、システム上は解約をしやすくしておきながら、解約を防ぐ施策を講じなければなりません。
商品やサービスを定期的に魅力あるものに更新していく、新しいサービスやプランを追加するなど、常に顧客満足度を意識して改善し続ける必要があります。
サブスクリプションは商品を売り切って終わりというビジネスモデルではないため、解約のリスクに対して継続的な対策と投資をすることが求められるのです。
5-2.顧客側のデメリット
以上が企業側のデメリットでしたが、顧客側のデメリットとは何でしょうか?
それは主に以下の2点です。
これらのデメリットについてよく知り、それを解消する施策を講じることで、サブスクリプションビジネスをより成功に近づけることができるはずですので、ひとつずつ説明していきましょう。
利用しなくても定期的に料金が発生する
消費者にとってサブスクリプション最大のリスクは、利用してもしなくても一定料金が発生することだといえます。
サブスクリプションは、利用状況にかかわらず定期的に一定額を支払うという契約になるからです。
例えば月額1,000円で動画見放題の配信サービスの場合、毎月映画を数本ずつ見ていれば、DVDをレンタルするよりもお得です。
しかし忙しくて1~2本しか見られない月も同じく月額1,000円が引き落とされてしまいます。
さらに、顧客が利用する予定のないサービスが付帯されているケースもあります。
「音楽配信サービスだけを利用したいのに、動画配信サービスとのセット契約になっている」という場合などです。
自分がそのサブスクリプションをトータルでどの程度利用するかは、定期的に追加されるコンテンツにも左右されるため、予測できません。
このデメリットを解消するには、サービスを提供する企業側がつねに顧客ニーズに沿った魅力的なコンテンツやサービスを提供し続ける必要があるでしょう。
解約後は手元に何も残らない
解約後は手元に何も残らないというデメリットもあります。
売り切り型のプロダクトビジネスでは、売買後には顧客の手に商品が渡ります。
CDを買えばCDの実物が、洋服を買えばその服が、購入者の所有物として手元に残るのです。
しかしサブスクリプションの場合には、「商品そのもの」や「商品の所有権」ではなく「利用権」のみを購入するため、利用後には原則的に手元には何も残りません。
音楽や動画をダウンロードしても、サービスを解約してしまうとその曲は聴けず、映画は見られなくなってしまうケースがほとんどです。
サブスクリプションが普及したとはいえ、「お金を払ったのに、モノが手元に残らない」ということに対して不満に感じる人もまだ一定数存在していて、その人たちにとってはこの点が大きなデメリットになっているようです。
6.代表的なサブスクリプションサービスの例
サブスクリプションのメリット・デメリットが把握できたところで、実際に提供されている代表的なサービスの例を見てみましょう。
自社が参入するとしたらどのような形になるのか、というイメージが湧くはずです。
6-1.コンテンツ配信
サブスクリプションの代表といえばコンテンツ配信です。
サブスクリプションサービスの中でも最も利用者が多いジャンルとなっています。
サービス内容 | 音楽・動画・漫画や書籍などを配信する |
特徴 | 配信されているコンテンツを見たり読んだりし「放題」のサービスが多い |
料金 | 月額定額が一般的で、「〇日間利用無料」といったトライアル期間が設けられていることも多い |
人気のサービスは、配信されているコンテンツの数が多いのに対して利用料は月額1,000円以内に設定されているものがほとんどであるため、コストパフォーマンスが高いといえるでしょう。
また、新規コンテンツの投入やサービス独自のコンテンツの充実など、ユーザーを飽きさせない工夫をしているところが多いです。
6-2.ソフト・アプリ・ゲーム利用
また、ソフトウエアやアプリ・ゲームの利用にもサブスクリプションサービスがあります。
サービス内容 | ソフトウエアやアプリ・ゲームの利用権を販売する |
特徴 | ソフトやゲームを個別に購入するよりも利用料金の方が安価に設定されている |
料金 | 月額定額または年額定額が一般的 |
数種類の画像・動画編集ソフトが月額定額で使い放題になるサービスや、複数のゲームメーカーのゲームが100作品以上、月額定額で遊び放題のサービスなどです。
このサービスの利点は、新バージョンがリリースされたりアップデートがあったりした場合でも、追加費用や再購入などなしに定額料金だけで利用できるというところにあります。
6-3.飲食店・食品宅配利用
食の分野にも、サブスクリプションは導入されています。
サービス内容 | 料理や食材の宅配・飲食店での食べ放題など |
特徴 | 調理の手間を減らしたりお得に食事ができるという点を訴求するサービスが多い |
料金 | 月額定額が一般的 |
毎月定額を支払うと定期的に野菜やミールキット・調理済みの料理などが宅配されるサービスや、飲食店が発行した定額のチケットを購入すると一定期間その店のあるメニューが何回でも食べられるサービスなどがあります。
このジャンルは、コロナ禍による外食自粛やおうち時間の増加を受けて、サービスの種類も利用者も増加したといわれており、今後も新たなサービスやビジネスモデルが生まれることが期待されています。
6-4.定額レンタル
レンタルの分野でも、サブスクリプションが普及してきました。
サービス内容 | ファッションや自動車・スペースなどを貸し出す |
特徴 | 商品やサービスを提供して終わりではなく、顧客間で使い回すという方法をとる |
料金 | 月額定額が一般的 |
洋服やバッグなどを、「〇着まで」の制限内で貸し出すファッションレンタルや、カーシェア・レンタルスペースなどのサービスがあります。
顧客にとっては、従来は購入していたものを少額の利用料で好きなときに好きなように利用できる上、自宅にそのモノを置いておくスペースも必要ありません。
SDGsやミニマリズムの観点からも、注目を集めているサービスだといえるでしょう。
6-5.その他
これ以外にも、近年は以下のように、さまざまな分野にサブスクリプションサービスが広がっています。
・生活サービス |
このように、サブスクリプションは多種多様なビジネス領域に導入が可能だといえるでしょう。
7.サブスクリプションビジネスの立ち上げ方 4ステップ
サブスクリプションのさまざまな可能性に触れ、「新事業としてサブスクに取り組みたい」と考えた方も多いことでしょう。
そこでここからは、実際にサブスクリプションをビジネスとして立ち上げるためのノウハウを解説していきます。
サブスクリプションサービスは、以下の4ステップで立ち上げます。
それぞれの内容について、解説していきます。
7-1.提供する商品・サービスとターゲット層を決める
最初に、サービスとターゲット層を明確化します。
<サービス>
・自社に既存の商品やサービスを、サブスクリプションサービスとして展開するのか |
<ターゲット>
・性別 |
これらを、具体的に絞り込んでいきます。
サービスのアイディアが先にある場合は、それに対応するターゲットのペルソナを細かく想定していきましょう。
あるいは、「自社の既存のサービスの知名度と売り上げアップのために、何かサブスクサービスを始めたい」といったケースや、「新規事業としてゼロからサブスクサービスを立ち上げたい」といった場合であれば、サービスの企画から始めなければなりません。
顧客が求めているのはどんなサブスクリプションサービスか、他社の成功事例とその要因はどうなっているかなど綿密にマーケットリサーチしてから企画を立てましょう。
7-2.提供方法を決める
次に、サービスの提供方法を決めていきます。
以下のような内容について、細かく定めていきましょう。
・サービスの提供方法はどうするか:〇〇放題・レンタル・定期宅配・1か月あたり〇回まで利用可など |
この際のポイントは、顧客側にある程度選択肢をあたえ、自由度の高い内容にするということです。
例えば「利用頻度は高くないので、できるだけ低価格がいい」という人向けにエコノミープランを、「ある程度の金額は払ってもよいので、コンテンツは自分の好みのものを選びたい」という人にはスタンダードプランを、「ヘビーユーザーなので飽きないようにサービスのバリエーションはできるだけ豊富に、そのかわり費用は惜しまない」という人にはプレミアムプランを、という具合です。
これにより、幅広いターゲット層を取り込むこともできますし、顧客それぞれにニッチな要望に近づけることで満足度も高まるでしょう。その結果、解約率を下げ継続率を上げることが可能になります。
7-3.提供システムをつくる
サービス内容が具体的に定まったら、次は実際にサービスを提供するシステムを構築します。
現在、サブスクリプションサービスの多くはWebで申し込み・決済・解約ができるようにつくられています。
そのため、Web利用を前提に説明しましょう。その場合、選択肢は以下の2つです。
1)サブスクリプションサービス向けの既存のプラットフォームを利用する |
既存のプラットフォームを利用する
1つめは、ベンダーが提供するサブスクリプション専用のプラットフォームサービスを利用する方法です。
サービスにもよりますが、主に以下のような機能が備わっています。
・商品管理 |
料金形態は、以下の3種類のいずれか、またはその組み合わせになっているケースが多いです。
・初期費用(導入費用) |
機能や料金に加えて、実績やサポート体制など、多角的な視点で複数のサービスを比較検討し、最適なものを選びましょう。
自社独自のシステムをつくる
自社のサブスクリプションサービスに適したプラットフォームが見つからない場合は、自社で独自のシステムを構築するという手もあります。
コストや開発の難易度も上がりますが、機能の自由度は高く、自社サービスに最適なシステムをつくれることが利点です。
また、一度リリースされたら月額利用料や決算手数料などは必要ありませんので、長期的に見れば既存のプラットフォームを利用するよりもコストパフォーマンスが高くなる場合もあります。
サブスクリプション向けのWebシステム開発を得意とする開発会社がありますので、その中からクオリティとコストを比較して、開発委託先を選ぶといいでしょう。
7-4.商品・サービスに関して発信・宣伝する
システムのリリース予定が立ったら、そこに向けてサービスの宣伝活動をしましょう。
前述したように、サブスクリプションは収益化できるまで時間がかかるものなので、なるべく早く軌道に乗せるためにも広く周知してもらうことが必要です。
自社のホームページやSNSで発信するのはもちろんですが、それでは自社の既存顧客中心の告知になってしまいます。もっと広く新規顧客を取り込むためには、Webの広告やインフルエンサーを利用したダイレクトマーケティングも効果的です。
初期投資が大きくなるのは避けたいと考える企業も多いでしょうが、実体ある商品を販売しないサブスクリプションの場合、サービスを認知してもらわなければ利用者は増えません。
できる限りの宣伝活動を展開したうえで、リリースを迎えるようにしてください。
8.サブスクリプションビジネスで重視すべきKPI
サブスクリプションを立ち上げたら、次は顧客を増やし収益を上げていかなければなりません。
そのためには、以下のようなKPIを重視しましょう。
・LTV(顧客生涯価値) |
8-1.LTV(顧客生涯価値)
まず最も重要なのは、「LTV(=Life Time Value、顧客生涯価値)」です。
これは、ひとりの顧客と企業が取引を初めてから終了するまでの間(=Life Time)に、企業が得られるすべての利益の合計を表すKPIです。
サブスクリプションは、顧客に長期的に利用を継続してもらうことで収益が上がるビジネスモデルです。
そのため、短期的な収益を測る指標よりも、優良顧客とできるだけ長期間の取引を続けることで収益を上げ続けることを目指すLTVが重要なのです。
LTVの計算式は以下のようにいくつかありますので、計算しやすいものを利用するといいでしょう。
この数値をできるだけ向上させることを目指してください。
【LTVの計算式】 1)LTV= ARPU(1ユーザーあたりの平均月次売上高)✕ 粗利率 ÷ レベニューチャーンレート(収益ベースでの解約率) |
LTVについて、詳しくはこちらをご覧ください。
8-2.NRR(売上継続率)
LTV同様に重視すべきなのは、「NRR(=Net Revenue Retention、売上継続率)」です。
これは、サブスクリプションサービスにおいて、既存顧客の売り上げを前年と比べてどの程度維持できているのかをパーセンテージで表す指標です。
継続的に売上を維持することが目標となるサブスクリプションでは、NRRがよい判断材料になるというわけです。
この数値が100%を超えていれば、既存顧客が利用を継続しているか新規顧客が順調に獲得できていることがわかります。
反対に100%を下回っていれば、既存顧客の解約が増えている・新規顧客が獲得できていないなどの課題があるということになるでしょう。
NRRがわかれば、翌年の売上予測も可能になります。計算式は以下の通りです。
【NRRの計算式】 NRR=(月初のMRR + エクスパンションMRR + アップセルMRR)ー(Churn MRR + ダウンセルMRR)÷ 月初の合計MRR |
8-3.解約率
もうひとつ注視しなければならないのが、「解約率(=Churn Rate、チャーンレート)」です。
これは、一定期間に既存顧客が契約を解約した率をパーセンテージで表した指標です。
前述したように、サブスクリプションサービスは顧客が利用を長期継続することを前提としています。
そのため、解約率をなるべく低く抑えることが必要で、一般的には10%以下がよいとされています。
計算式は以下の通りです。
【解約率の計算式】 解約率=一定期間の解約総数 ÷ 同期間のアクティブ顧客数 ✕ 100 |
8-4.その他
上記の3つ以外にも、サブスクリプションビジネスで重要なKPIはさまざまです。
その主な例を挙げておきましょう。
・APRU(1ユーザーあたりの平均月次売上高) |
適切なKPIを設定することが収益の最大化につながるため、よく検討されることをおすすめします。
9.サブスクリプションビジネスを成功させるためには「カスタマーサクセス」が欠かせない
最後に、サブスクリプションビジネスを成功させるために不可欠な考え方についてお伝えします。
それは、「カスタマーサクセス」です。
カスタマーサクセスとは、直訳すると顧客の成功です。
これは、自社の商品やサービスが顧客にとっての成功につながるようにしていこうという考え方です。
サブスクリプションビジネスで収益を上げるためには、顧客に「利用し続けてもらう」ことが必要です。
解約を未然に防ぎ、長期的・継続的に利用してもらうためには、顧客が商品やサービスに対してつねに「成功」を感じるように仕向けることが欠かせません。
つまり、顧客の本質的な要望に応えるというカスタマーサクセス志向こそが、サブスクリプションビジネスを成功に導くというわけです。
そのためには、具体的には、顧客の消費行動の中でさまざまなタッチポイントを用意して「VOC(=顧客の声)」をすくい上げることも必要です。
ホームページ上に問い合わせやご意見を募るフォームを設置したり、ユーザーコミュニティを形成したり、随時アンケートを実施するなどの方法でVOCを収集・分析し、顧客の要望を先取りするサービスを提供していきましょう。
カスタマーサクセスについては、下記の記事で詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。
コンタクトセンターのサブスクならトランスコスモスへお問い合わせください |
顧客対応サービスのサブスクリプションに関心をお持ちの方は、ぜひトランスコスモスにお問い合わせください。 トランスコスモスでは、問い合わせ窓口の仕組み(システム+運用)一式をサブスクリプションモデル(月額定額制)でご提供する「AIエージェント」をご用意しております。 AIエージェントは、顧客からの問い合わせに音声AI(音声ボット)やAIチャットボットで自動応答・受付できるシステムです。 最短5営業日で開設できるスマートなコンタクトセンターとして、24時間365日対応や電話対応業務の負担といったお客様企業の課題を解決いたします。 まずは必要性を検討したいというご要望にも対応いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。 |
まとめ
この記事では、サブスクリプションとそのビジネス活用について詳しく解説しました。以下に要点をまとめます。
・サブスクリプションとは
・「定期的に一定額を支払うことで商品やサービスを利用できる仕組み」のこと |
・サブスクリプションのメリット
【企業側】
・継続的・長期的な収益が期待できる |
【顧客側】
・コストパフォーマンスがよい |
・サブスクリプションのデメリット
【企業側】
・導入にはイニシャルコストがかかる |
【顧客側】
・利用しなくても定期的に料金が発生する |
・サブスクリプションビジネスの立ち上げ方 4ステップ
①提供する商品・サービスとターゲット層を決める |
・サブスクリプションビジネスで重視すべきKPI
・LTV(顧客生涯価値) |
サブスクリプションビジネスを成功させるためには「カスタマーサクセス」が欠かせません。
顧客満足度を追求し、常に商品やサービスのアップデートを図っていくことが重要です。