
コンタクトセンタートレンド調査
コンタクトセンター業界では、デジタル化の加速により、顧客対応のチャネルやニーズが急速に多様化しています。 2025年は生成AIの高度活用を中心に、チャットボット導入の拡大、人材確保の難化、セキュリティ強化など、変化が顕著に表れた一年でした。
本調査では、これらの動きが現場にどのような影響を与えているかをデータに基づいて整理し、今後の戦略を考える上での示唆をまとめています。
2024年度の結果はこちらからご確認いただけます。
調査概要
調査名:コンタクトセンタートレンド調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2026年1月23日~2026年1月27日
調査対象:全国のコンタクトセンターに関わる業務に従事している20代~60代以上の男女890名
調査内容:2025年の振り返り
テクノロジー・ソリューション活用
顧客体験(CX)
人材・働き方
運営課題・戦略
トレンドサマリー:2025年を読み解く5つの視点
Insight | Summary |
AI活用の高度化 | 業界の最大変化は「AI活用の高度化」で、戦略的活用フェーズへ移行 |
生成AIの高い効果実感 | 2025年に最も効果を発揮した技術は生成AI |
AI活用は既に当たり前 | 活用率91.4%、効果実感95.8%で、AIは標準運用へ |
CXの核心は“解決力×スピード” | 顧客満足の最重要要素は問題解決力と応答スピード |
2026年の最重要投資領域はAI・自動化が最上位 | 投資が最も増えるのはAI・自動化 |
2025年のコンタクトセンターは構造的な転換点を迎えた1年でした。
とくに「AI活用の高度化」は象徴的で、PoC段階や部分導入から脱し、実運用レベルでの再設計フェーズに移行しました。
具体的には、ワークフローの刷新、ナレッジ体系の最適化、ガバナンス強化など、現場オペレーションの作り直しが進行しました。また、AI活用の進展に伴って、セキュリティ/コンプライアンス対応の重要性が一段と増したことも特徴的です。
さらに、業務の省力化が進む一方で、オペレーターには高度な問題解決能力や共感対応が求められるようになり、“AIが下支えし、人が価値を創出する”構造へ移行しつつあります。
調査結果
テクノロジー活用の現在地:導入・計画・効果
テクノロジー活用は、現場の生産性と顧客体験を左右する重要な要素です。導入状況やAI活用の広がり、今後注目される領域を整理します。
現在導入しているソリューション
チャットボット(47.1%)が最も広く導入されているソリューションであることが明らかになりました。ついで、自動応答(ボイスボット)41.7%、音声認識 38.3% と続き、音声領域でもAI活用が浸透している状況が伺えます。
また、CRM統合は34.1%と3割を超えており、顧客情報を一元管理しようとする動きが一定程度広がっていることがわかります。これは、チャットや音声など複数チャネルに分散しがちな顧客データを統合し、応対品質の均質化や分析基盤の整備につなげたいというニーズの表れでしょう。複数ソリューションの併用が主流であることから、導入の目的は単一課題の解決ではなく、運用全体の効率化・高度化へと広がっている傾向が見受けられます。
とくにチャットボット・ボイスボット・音声認識の3領域は「フロントオペレーションの自動化」という共通の目的を持つため、コンタクトセンターによっては段階的な導入を重ねながら、最終的にAIを多層的に活用できるオペレーションモデルへの移行が進んでいる可能性があります。
今後導入予定のソリューション
今後導入を予定しているソリューションとして「チャットボット(40.3%)」が最も多いことが明らかになりました。すでに導入率でもトップであるチャットボットは、問い合わせの一次受けや自己解決支援において高い効果が期待されており、今後も引き続き導入・強化の中心となる領域であることがうかがえます。
次いで、音声認識(38.0%)、自動応答(ボイスボット)37.1% が続いており、音声系ソリューションの強化意向も非常に強いことが特徴です。また、CRM統合(35.8%)が高い割合を示していることも注目すべきポイントです。複数チャネルが混在するコンタクトセンターでは、データが分断されがちですが、CRM基盤の統合は、顧客情報の一元管理、応対履歴の活用、分析環境の強化など、運営効率とCX向上の双方に直結します。
導入済み比率(34.1%)と導入予定比率(35.8%)が近いことから、まだ整備途上のセンターが多く、今後数年かけて基盤構築が進むと考えられます。
いずれも、コンタクトセンターの生産性向上、顧客体験改善、運営コスト最適化につながる領域であり、2026年に向けてセンターのデジタル基盤がさらに強化されていくことが示唆されています。
AI活用の浸透と効果実感
AIを活用していると回答した割合が91.4%に達し、コンタクトセンター業界におけるAI利用が“特別な取り組み”ではなく、標準化が進んでいる運用手法になっていることが明らかになりました。
ここ数年で急速に普及した生成AIを含め、AI技術がオペレーションの中核に位置づけられていることがわかります。
さらに注目すべきは、AI導入による効果実感が95.8%という非常に高い数値を示している点です。
その内訳を見ると、「とても実感している」48.5%、「ある程度実感している」47.3%と、ほぼすべての利用者がポジティブな評価を示しており、「実感していない」層は3.7%にとどまっています。
この結果は、AIが単なる効率化ツールではなく、応対品質の向上や業務負荷の軽減に実質的な価値をもたらしていることを示唆しています。このようにAI活用が浸透した背景には、コンタクトセンターが直面している人材不足や応対品質維持の難しさがあります。AIは、オペレーター業務の省力化だけでなく、応対中のナレッジ提示や要約作成を通じて、新人・熟練者のスキル格差を補完し、人材育成コストを抑える効果も発揮しています。
総合すると、AIはもはや「導入するかどうか」を議論する段階を過ぎ、“どのように高度活用し、組織全体の成果につなげるか”というフェーズに移行しています。
注目テクノロジー
生成AI(43.0%)とセキュリティ強化技術(40.3%)がともに4割を超え、最も注目されているテクノロジー領域であることがわかりました。
生成AIが1位となった背景には、2025年を通じて顕著となった“AI活用の高度化”の流れがあり、問い合わせ対応の自動化からナレッジ生成、会話要約、品質管理支援に至るまで、多様なユースケースが一気に広がったことが影響していると考えられます。
一方で、セキュリティ強化技術が2位に位置づけられたことも重要な示唆です。AI活用や在宅勤務の定着に伴い、センター内外で扱う情報量が増えたことで、情報漏洩リスクやアクセス管理の高度化が避けられないテーマとなっています。
とくに外部とのデジタル接点が拡張するにつれ、「攻めのテクノロジー活用」と「守りの情報保護」が同時並行で求められる環境が形成されており、企業は両輪の強化を迫られています。
顧客体験(CX):何を重視し、どのチャネルが使われているか
満足度向上の最重視要素
顧客満足度を高めるうえで最も重視されている要素として、「問題解決力(46.4%)」と「応答スピード(45.4%)」がほぼ同率で首位という結果が示されました。これら2つの項目は、コンタクトセンターに求められる価値の“基本品質”ともいえるものであり、顧客がセンターに接触する最も根源的な理由である 「早く確実に解決してほしい」 という期待が強く反映されていると考えられます。
さらに、パーソナライズ対応(36.7%)や セルフサービスの充実(36.5%) も3割を超える支持を得ており、センターへの期待が「ただ解決するだけ」から、「自分に合った対応をしてほしい」「自分で素早く解決できる環境がほしい」という方向へ広がっていることが読み取れます。
顧客接点の多様化が進む中、チャット・FAQ・ボイスボットなどのセルフサービスが定着しつつあり、“利便性と個別最適化”の両立が企業側に求められている状況が浮き彫りになっています。
この結果はセンター運営にとって 「速度 × 正確さ × 個別最適」 を同時に満たすことが、顧客体験向上の主要テーマであることを示唆しています。とくに近年は問い合わせチャネルが多様化し、顧客は課題や状況に応じて電話・チャット・セルフサービスを自由に使い分けるようになっています。
そのため、どのチャネルにおいても 一貫した問題解決力と迅速な対応が提供できるかどうか が、顧客満足度の決定要因としてますます重要性を増しています。
問い合わせチャネルの現状
最も利用が多い問い合わせチャネルは「電話(26.8%)」であることがわかりました。
依然として電話が主要な相談手段となっている背景には、複雑な相談内容や感情面のケアが必要なケースでは、「人によるリアルタイム対話」への安心感が強いことが挙げられます。
特にトラブルや高難度の問い合わせでは、即時性と対話の柔軟性が求められるため、電話の存在感は依然として高い状況です。
一方で、「チャット(25.5%)」と「メール(23.7%)」も拮抗しており、電話との差はわずかです。
AIチャットボットや有人チャットの併用が進み、24時間対応や気軽な問い合わせが可能になったことで選ばれやすくなっています。このように、電話・チャット・メール・SNSの4チャネルがすべて20%台で拮抗している状況は、顧客が目的や状況に応じて“最適な手段を選び分ける”段階に進んでいることを表しています。
企業側にとっては、どのチャネルにおいても一定品質を保つことが求められ、チャネルごとの分断をなくし、統一的なCXを提供する体制がますます重要になります。
また、チャネルが増えるほど、顧客情報や応対内容が分散しやすいため、CRM統合やナレッジ連携、生成AIによる横断支援など、裏側のオペレーション基盤の強化が不可欠です。単にチャネルを増やすだけではなく、チャネル間で一貫した応対品質を提供し、顧客がどの入り口から問い合わせても同じレベルの解決体験を得られるようにすることが、今後のCX戦略の鍵となると考えられます。
その他調査内容については、資料を準備しています。こちらからお問い合わせください。
・人材・働き方:確保・定着とリモート運用の定着 |
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