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【MVV成功事例】生命保険A社と機械メーカーB社が成果を上げた理由

「企業としてのビジョン、理念などが、顧客対応の現場まで浸透しておらず、なかなかビジョンを実現できない」
「コンタクトセンターをもっと活用して、コア事業への貢献度を高めたい」

そんな悩みや要望を持っている方も多いのではないでしょうか。

企業が期待している顧客接点や顧客体験を実現するために、トランスコスモスが推進しているのが、各コンタクトセンター(コールセンター)独自の「事業所MVV」に基づいた運営です。

コンタクトセンター(コールセンター)の管理者からオペレーターまで全てのメンバーがお客様企業の「ありたい姿=Vision」を理解し、「センターの役割・存在意義=Mission」を認識すること、さらにそれらを実現するための「行動指針=Value」を示すことで、以下のような成果が期待できます。

・応対品質や生産性の向上
・コンタクトセンターのプロフィット化
・CX(=顧客体験)の創出
・センタースタッフのモチベーション向上  など

これはトランスコスモス独自の取り組みで、通常の「MVV=Mission・Vision・Value」をより具体的に実践するため、「Value」を以下のような4つの「TCIP」に分解しています。

「MVV=Mission・Vision・Value」の概要

現在では、全国で500か所以上のコンタクトセンターがこの「事業所MVV」を導入して成果を上げています。

そこでこの記事では、「事業所MVV」の成功事例を2つ紹介しましょう。

・生命保険会社:A社の事例
・機械メーカー:B社の事例

これを読めば、「事業所MVV」とは何か、どのような効果があるのかが具体的に理解できるようになるはずです。この記事で、あなたの会社のコンタクトセンターが貢献価値を高められるよう願っています。

1.事業所MVV成功事例1:生命保険会社・A社

まずひとつ目の成功事例は、生命保険会社:A社の事業所MVVです。
「Vision」「Mission」「TCIP」をそれぞれ以下のように策定しました。

Vision

私たちは、「お一人、おひとりの想いに共感し、心に響くカタチにする存在を目指しています。」

Mission

成立前の不備解消のみではなく、すべてのお客様へ「ありがとう」と言っていただける対応で後押しを行い、成約率・成約数へ貢献するコンタクトセンターになる。

TCIP

T

約束・ルールを守ります

・お客様対応と処理手続きフローの理解と順守
・実直な報告/連絡/相談
・正確/迅速/丁寧な対応を基本とした業務遂行

C

お客さまの声をしっかり聴きます

・お客様の声から、潜在要望を把握し、適切なご案内、ご提案を実施し、1人でも多くのお客様を成立へ向けサポートします

I

成長し続けます

・お客様満足を追求していくため、日々の業務に対し常に問題意識を持ち、対応いたします
・応対力向上施策に取り組み品質向上を目指します

P

人の価値を追求します

・保険のプロフェッショナルとして、きめ細やかな気づきでホスピタリティある応対を実践いたします
・新商品や新サービス、手続きフロー改定時の理解(知見)の積み上げをいたします

A社はこれを実践した結果、以下のような成果を上げることができました。

A社の成果

1)新規申込数、成約率・成約数の向上
 キャンセルのリテンション率:最高実績 27.0%/下期平均 24.9%(4.4%向上)

2)新規架電リストの創出
 下期平均 6,885件(771件創出)

3)VOC、VOE提案率 120%UP ※MVV浸透・行動:100%

ではこの事例について、詳しく見ていきましょう。

1-1.概要:Missionが大きく変化したためMVV・TCIPを再策定

A社の事業所MVVを策定したのは、顧客から生命保険契約の申し込みを受け付けるコンタクトセンター(コールセンター)の1部門です。

このコンタクトセンターでは、以前は顧客の申し込み内容に不備があった場合に、連絡をして不備について確認する「不備確認」の架電がメインでした。

しかし、申し込み数が減少してきたことを受けて、部署としてのミッションが「単なる不備確認」から「不備を解消した上で成約に結びつける」という内容に変わることとなったのです。

そこで、新たにMVVを策定し直し、このミッションに臨む必要が生じました。

1-2.課題:Missionの変化とリテンション率の低迷

まず、MVV再策定する以前のセンターの課題は、以下のようなものでした。

課題1)
これまでは「不備確認」の架電がメインだったが、申込数の減少により「不備確認だけでなく成約につなげる」というミッションに変わった。

課題2)
キャンセルを希望する顧客に対して、リテンション率を上げる必要があった。
→2023年度上期のリテンション率は、最低の月で4.3%、平均20.5%だった。

ただ、オペレーターがリテンション(=既存顧客にクロスセルなどで関係維持をはかる)やセールスアウトバウンドコール(=架電して営業をかける)に慣れておらず、管理者とオペレーターから不安や不満の声が複数上がっていました。

それまでは、どちらかといえばクオリティ重視のMVVを掲げて顧客対応していたのですが、新ミッションでは成約率や成約数に貢献することが求められるようになったためです。

そこで、オペレーターの不安や不満を解消し、A社が望む新たなミッションを実現できるよう、MVVを改訂しました。

1-3.施策:高話会やディスカッションなど、お客様企業とともにMVV活動を実施

MVVは策定すればいいというものではありません。
オペレーター全員にMVVを浸透し、それを体現することで成果を上げてこそ策定した意義があります。

そのためA社のコンタクトセンターでも、MVVを浸透しやすい施策を実施しました。
具体的には以下のような施策です。

施策1)お客様企業主催で高話会お客様企業とともにMVV活動を実施

施策2)毎月1回オペレーター交えてディスカッションを実施し、VOC・VOE活動を強化

施策3)リテンション率改善:オペレーターから意見を集約して、トークスクリプト改定、応酬話法作成

施策4)新規架電リスト創出:成約数向上に直結する(追加申込提案)架電項目を提案し、実施

施策5)チャネル拡大:SMS配信・コールバック予約システムの導入

1つ目の施策は、お客様企業にご協力いただき、MVVについての高話会を実施しました。
これにより、コンタクトセンターの管理者、オペレーターともにMVVが何を目的としているかを正しく理解することができ、全員が「自分ごと」としてMVV実現に取り組めるようになりました。

2つ目の施策として、月に1回オペレーターを交えたディスカッションも実施しています。

メンバー同士で話し合うことで、リテンションやセールスアウトバウンドコールに対する不安を解消し、VOC(=顧客の声)やVOE(=従業員の声)を吸い上げて業務改善の提案などにもつなげています。

他にも、3つ目の施策としてリテンション率が上がるようにトークスクリプトを改訂、応酬話法のトレーニングも実施しました。

新ミッションには「『ありがとう』と言っていただける対応」とありますが、具体的にはクロージングトークの前に応対の中で顧客からお伺いした「パーソナルな情報を盛り込んだ季節の挨拶」というのを設けています。

例えば得た家族構成情報などから電話をかけてきた顧客本人だけでなく、一緒に保険商品を検討する家族のことも気遣い寄り添うお声がけを行うなどの意識を持ち対応をしています。

さらに4つ目の施策として、追加申し込みを提案できそうな顧客を抽出して新たな架電リストを作り出したり、電話チャネル以外にSMS(ショートメッセージ/Short Message Service)を導入し顧客とのタッチポイントを拡大しています。

1-4.成果:キャンセルのリテンション率・最高27.0%を達成

このように、MVVにもとづいた施策を実施し、スタッフ全員が自分ごととして行動した結果、以下の大きな成果を得ることができました。

A社の成果

1)新規申込数、成約率・成約数の向上
キャンセルのリテンション率:最高実績 27.0%/下期平均 24.9%(4.4ポイント向上

2)新規架電リストの創出
下期平均 6,885件(771件創出)

3)VOC、VOE提案率 120%UP ※MVV浸透・行動:100%

まず、課題であったキャンセル希望の顧客へのリテンション率は、最高で27.0%を達成、月の平均も上期20.5%と比較して、下期は24.9%と4.4ポイントも向上しました。

他にも、新規架電リストは下期平均6,885件(771件創出)、VOC、VOE提案率も120%アップ(新MVVの浸透・行動:100%)といった成果が得られています。

またミッション変更に際しては、不安や不満を訴えるメンバーが複数いましたが、結果としてそれを理由にした退職者は0名で、MVVの再策定の意図や取り組み内容を全員がしっかり理解していた結果と言えるでしょう。
(※2024年9月現在)

1-5.成功のポイント:お客様企業との連携を密にとっていたこと

A社のコンタクトセンターが、MVVを成果につなげることができたのはなぜでしょうか?
そのポイントは、やはりお客様企業であるA社との連携を密にとっていたことにあります。

コンタクトセンター側から「どのような課題に対してどのように取り組んでいるか」「何を目指しているのか」といったことを積極的に相談したり伝えたりしました。

するとお客様企業からも、「オペレーターに対してこちらからも直接アナウンスしたい」と言っていただけるようになったのです。

密なコミュニケーションにより、ミッションに対するお互いの認識を一致させ、理解を深めることができたことが、成功の要因だったと言えるでしょう。

2.事業所MVV成功事例2:機械メーカー・B社

続いて、機械メーカー:B社事業所MVV事例を紹介します。
こちらの事業所MVVは、以下のようなものです。

Vision

お客様も気づいていない価値を創造し製品やサービスという形にします

Mission

迅速な手配受付・手厚いアフターサービスの提供・顧客思考の応対を実践することで、既存顧客を守ります
お客様の環境の変化に合わせた声(要望)を拾い、今後の製品開発に活かして頂けるよう貢献します

TCIP

T

約束・ルールを守ります

・ログを正確、簡潔に入力します
・迅速な手配でCEへ連携します

C

お客さまの声をしっかり聴きます

・お客様の要望の中から「真のニーズ」を引き出し、 新製品開発に活かせるような VOC/VOAをお届けします

I

お客様の疑問に回答するため、成長し続けます

・電話対処を希望されたお客様の期待に応えられるよう業務研修で知識を蓄えます

P

人の価値を追求します

・お客様に寄り添った思いやりのある電話対応をします

B社では、上記のビジョン、ミッション、そしてTCIPの中でも特に「C」と「P」に注力した結果、以下のような成果を上げています。

B社の成果

1)
「C」:オペレーターが顧客の要望を引き出し、管理者が分析結果を基に議論を重ねることでブラッシュアップされたVOC/VOAの提案が実現
実例化数(導入率)前年比150%増

2)
・「P」:モニタリング・プロセスチェックシートの改定で、より具体的なフィードバックが行えるようになったことでアウトプットの精度が向上
・品質ランクを設定し、実績と目標を可視化したことで、オペレーターの品質への意識強化を図ることに成功
顧客からの感謝の声:前年比286%増

この事例についても、具体的に説明します。

2-1.概要:顧客の「真のニーズ」に応えるため、「TCIP」の「C」と「P」に注力

B社では、法人向け印刷機を取り扱っています。
今回の事例で取り上げるコンタクトセンター(コールセンター)では、その製品を購入した顧客からのパソコン操作サポートや本体の操作・修理を受け付ける窓口業務を行っていました。

そこで、上記のような事業所MVVを策定し、中でも特に「TCIP」の「C」にあたる「お客様の声をしっかり聴きます」と、「P」にあたる「人の価値を追求します」の2点を重点的に取り組むことになりました。

2-2.課題:「TCIP」のうち特に「C」と「P」を高めたい

B社のコンタクトセンターが事業所MVVで、顧客自身も気づいていないような価値を創造して、新製品開発やサービスという形にすることを目指しています。

現場のミッションとしては、

・迅速な手配、手厚いアフターサービスの提供
・顧客の環境の変化に合わせた声をVOC(=顧客の声)/VOA(=オペレーターの声)として拾い、今後の新製品開発に活かせるような形でクライアント・B社に提供

という内容を掲げ、それを実践するための具体的な行動指針(バリュー)として前述の「TCIP」を設定しました。

「TCIP」の中でも特に重点的に取り組んだのが、以下の2点です。

TCIP

具体的な施策

C:Contribution
(貢献)

お客さまの声をしっかり聴きます

VOC/VOA施策
1)CTSへVOC入力
2)VOC抽出
3)VOC/VOA提案議論(毎月2回)
4)月次報告会にてVOC/VOA提案

P:People
(ヒト)

人の価値を追求します

CS向上
1)音声学習の実施(トークスキル強化)
2)モニタリング・プロセスチェックシートの見直し
3)モニタリング実施(品質ランク向上)

2-3.施策:「C」 毎月VOC/VOAを提案/「P」 音声学習の活用など

「C」と「P」を実践するための具体的な取り組みとしては、以下のような施策を行いました。

貢献

VOC/VOA

■お客様の声をしっかり聴きます
・お客様の要望を引き出し、製品開発に生かせるよう正しく記録を残します

「C」毎月VOC/VOAを提案の取組例

P

ヒト

CS

■人の価値を追求します
・顧客目線で、お客様に寄り添った思いやりのある電話対応をします

「P」音声学習の活用例

「C」については、まずオペレーターがCTSにVOCを入力し、そこから管理者がVOCを抽出します。

抽出したVOCの分析結果と競合他社リサーチ結果をもとに、管理者が月2回のSV会議を開き、そこでVOAにつながるようなものをさらにブラッシュアップし、月次報告会でB社側に「センターからのVOC/VOA」として提案するという流れです。

また「P」に対しては、CS(=顧客満足)を高めるため、オペレーター教育を強化しました。

まず、10分程度の「読み物研修」で、「顧客の心理に寄り添った対応とワード」「電話対応がうまい人の特徴」といった基本的な知識や情報を再習得します。

次に、ベテランオペレーターの対応などを手本して聞く「音声学習」でスキルを強化、その上で個々のオペレーターの対応をモニタリングシートで評価して、弱点をフィードバックしながら応対品質を向上させる方法をとっています。

2-4.成果:導入率・前年比150%増、顧客からの感謝の声・前年比286%増を達成

これらの取り組みの結果、「C」「P」ともに以下のような成果が得られました。

B社の成果

1)
「C」:オペレーターが顧客の要望を引き出し、管理者が分析結果を基に議論を重ねることでブラッシュアップされたVOC/VOAの提案が実現
実例化数(導入率)前年比150%増

2)
・「P」:モニタリング・プロセスチェックシートの改定で、より具体的なFBが行えるようになったことでアウトプットの精度が向上
・品質ランクを設定し、実績と目標を可視化したことで、オペレーターの品質への意識強化を図ることに成功
顧客からの感謝の声(CS13):前年比286%増

「C」については、センターからB社へのVOC/VOA提案が実際に導入される件数が、前年比で150%も増加しています。

さらに「P」では、オペレーターの応対品質が向上し、顧客からの感謝の声が前年比で286%という大幅増を記録しました。

2-5.成功のポイント:TCIP・KPIのつながりを認識してもらうため、説明資料と掲示物を有効活用した

B社の事業所MVVが成果を上げることができたのは、コンタクトセンター全体にMVVを十分浸透させることに成功したためです。

その為にB社のセンターでは、説明資料や掲示物を工夫、活用しました。

1. TCIP・KPIのつながりを認識してもらうため、「説明資料展開」と「掲示物変更」を実施

2. TCIPの取組みへの理解・実践に活かすため、週ごとに目標を掲示

3. TCIPの取組み実績を評価するため、「TCIP新聞」で情報共有

<例>

TCIP新聞による取り組みの例

特に新聞は独自の取り組みで、大きな効果を発揮している施策です。
はじめはMVVがKPIとつながっていることを周知するのが目的でしたが、現在ではTCIPそれぞれの項目に対して貢献したメンバーを表彰するものになっています。

スーパーバイザーを中心にチーム一丸となり作成し、毎月発行しますが、ここで表彰されたスタッフからは、「とてもうれしいです」「次ももっとがんばります」といった前向きな反応があり、モチベーションの向上につながっています

3.トランスコスモスの「事業所MVV」でコンタクトセンター(コールセンター)を戦略的に活用し、企業価値を向上させよう

ここまで、「事業所MVV」策定によってコンタクトセンター(コールセンター)が大きな成果をあげた事例を紹介しました。

トランスコスモスでは、コンタクトセンターの基盤づくりにMVVを活用する取り組みとして「事業所MVV」策定を支援しています。

センターのスタッフ全体が顧客企業の「ありたい姿=Vision」を理解して、「自らの役割や存在意義=Mission」を認識した上で、それらを実現するための「行動指針=Value」にまで落とし込む、トランスコスモス独自の取り組みです。

これにより、以下のような企業の課題・要望に貢献します。

・応対品質や生産性の向上
・コンタクトセンターのプロフィット化
・CX(=顧客体験)の創出
・センタースタッフのモチベーション向上  など

現在、この事業所MVVを導入しているコンタクトセンターは全国で500か所以上に上り、それぞれ成果を上げています。

「コンタクトセンター運営を改善したい」「コンタクトセンターをもっと戦略的に活用したい」といった要望を持つ企業の方は、ぜひ「事業所MVV」の導入を検討してください。

「事業所MVVでコンタクトセンター運営を変えたい」という方は、
ぜひトランスコスモスにお問い合わせください!

まとめ

いかがでしたか?
「事業所MVV」策定がいかに企業に貢献できるか、イメージできたのではないでしょうか。

ではあらためて、記事のポイントをまとめましょう。

◎生命保険会社・A社の事例

・課題:Missionの変化とリテンション率の低迷
・施策:高話会やディスカッションなどお客様企業とともにMVV活動を実施
・成果:キャンセルのリテンション率・最高27.0%を達成
・成功のポイント:お客様企業の高話や定期的なディスカッションでMVVの理解を深めることができた

◎機械メーカー・B社の事例

・課題:「TCIP」のうち特に「C」と「P」を高めたい
・施策:「C」→毎月VOC/VOAを提案/「P」→音声学習の活用など
・成果:導入率・前年比150%増、顧客からの感謝の声・前年比286%増を達成
・成功のポイント:TCIP・KPIのつながりを認識してもらうため、説明資料と掲示物を有効活用した

今回紹介した企業のように、あなたの会社も「事業所MVV」で成果をあげられるよう願っています。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションのノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。