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顧客ロイヤルティとは?顧客満足度との違いや向上させる方法を解説

顧客ロイヤルティとは、顧客がブランドや商品、サービスに対して抱く信頼や愛着のことです。

顧客ロイヤルティとは

ただ商品やサービスに満足をしているのではなく、信頼や愛着などポジティブな感情を持っているところが特徴です。

顧客ロイヤルティの高い顧客は購入頻度や購入単価が高く、企業やブランドへの貢献度が大きいです。それだけではなく、解約率が低く継続利用をするため、安定した利益を獲得しやすいメリットもあります。

顧客ロイヤルティが高いことは企業やブランドにとってプラスとなるので、下記のような向上させる方法を把握して実践することが欠かせません。

顧客ロイヤルティを向上させる3つの方法

①顧客の声に耳を傾ける

アンケート調査・イベントの実施・既存顧客との座談会開催など

②顧客との接点を増やす

SNSの運用・オウンドメディアの運用・メールマガジンの配信など

③顧客のロイヤルティに応じたプログラムを用意する

ロイヤルティに応じたプログラム・ランク・特典の用意など

そこでこの記事では、顧客ロイヤルティの概要や計算方法、向上させる具体的な方法をまとめて解説していきます。

◎顧客ロイヤルティとは
◎顧客ロイヤルティを測定する方法
◎顧客ロイヤルティを向上させる4つのメリット
◎顧客ロイヤルティを向上させる3つの方法
◎顧客ロイヤルティを向上させるステップ
◎顧客ロイヤルティを向上させるための注意点

この記事を最後まで読めば顧客ロイヤルティの概要や高める方法が把握でき、実践できるようになります。

既存顧客の育成が重要視される昨今において欠かせないポイントなので、ぜひ参考にしてみてください。

1.顧客ロイヤルティとは

冒頭でも述べたように顧客ロイヤルティとは、顧客がブランドや商品、サービスに対して抱く「信頼」や「愛着」のことです。
「充実」「忠誠心」という意味がある英単語「loyalty(ロイヤルティ)」から生まれたマーケティング用語で、昨今重要視されています。

たとえば、自社の商品に愛着を持ち長年継続して購入している顧客や毎月必ずサービスを利用し良好な関係を築けている顧客は顧客ロイヤルティが高いといえます。

一方で、1~2回大量に商品を購入してその後連絡が取れない顧客や顧客のタイミングで数年に1度利用する顧客は、信頼や愛着を感じられないので顧客ロイヤルティが低いといえるでしょう。

顧客ロイヤルティが高い顧客は、リピー率や購入単価が高いところが特徴です。

また、ブランドや商品に愛着があるので、商品やサービス、ブランドの良さを自主的に周囲に広げてくれます。一人の顧客ロイヤルティの高い顧客からその家族や友人へと利用者が拡大していく可能性も充分考えられます。

顧客ロイヤルティが高い顧客の特徴

商品やサービス、ブランドに対して愛着や信頼がある

商品やサービスの購入頻度や購入単価が高い

ポジティブな口コミや情報を拡散してくれる

新規顧客の獲得が難しくなった現在は既存顧客の顧客ロイヤルティを高めることで、安定した利益の獲得が見込めます。

顧客ロイヤルティの高い顧客はロイヤルカスタマーと呼ばれ、企業やブランドにとって大切な存在となります。ロイヤルカスタマーについては下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

1-1.顧客ロイヤルティの2つの側面

顧客ロイヤルティには、「行動ロイヤルティ」と「心理ロイヤルティ」の2つの軸があります。

行動ロイヤルティ

商品やサービスをリピートする、他に推奨するなどの行動

心理ロイヤルティ

商品やサービス、ブランドに対する信頼や愛着などのポジティブな感情

行動ロイヤルティとは、ロイヤルティの高い顧客が起こす具体的な行動を指します。商品やサービスを繰り返し購入する、推奨するような口コミを拡散するなど企業やブランドにとってプラスになる行動が当てはまります。

心理ロイヤルティとは、ロイヤルティの高い顧客が持つポジティブな感情を指します。愛着や信頼などの感情が当てはまります。

行動ロイヤルティと心理ロイヤルティの組み合わせると、下記のような4つのタイプに分類できます。

行動ロイヤルティと心理ロイヤルティの組み合わせによる4タイプ分類

顧客ロイヤルティの高い顧客は、行動ロイヤルティと心理ロイヤルティの双方が高い状態です。行動ロイヤルティのみ高い状態は企業やブランドに愛着や信頼がないので、すぐに離脱する可能性があります。

また、心理ロイヤルティが高く行動ロイヤルティが低い場合は、具体的な行動につながるひと押しをすることで顧客ロイヤルティを高められるかもしれません。

このように、顧客ロイヤルティを高めたい場合や確認したい場合は、行動と心理の二つの軸を基に検討してみてください。

1-2.顧客満足度との違い

顧客ロイヤルティと混在しやすい言葉に、顧客満足度があります。

顧客満足度(Customer Satisfaction)とは、商品やサービスに対してどの程度満足しているのかを示すものです。

概要

注意点

顧客満足度

商品やサービスに対してどの程度満足しているのかを示すもの

顧客満足度が高くても顧客ロイヤルティが高いとは限らない

顧客ロイヤルティ

顧客がブランドや商品、サービスに対して抱く「信頼」や「愛着」のこと

顧客ロイヤルティが高いと顧客満足度も高い傾向がある

たとえば、冷蔵庫を購入した場合、購入した冷蔵庫のデザインや性能、利便性に満足しているのか示すものが顧客満足度です。

コンタクトセンター(コールセンター)の場合は、オペレーターの応対品質や回答に満足しているのか示します。このように、商品やサービスそのものの満足度を知りたいときに使うのが顧客満足度です。

ここで注意したいのは、顧客満足度が高いことは顧客ロイヤルティが高いことに直結しないことです。顧客満足度はあくまでも商品やサービスに対する満足度であって、感情を図るものではありません。

冷蔵庫の価格やデザインに満足をしていても、商品やブランドを信頼しているのかは別問題です。顧客満足度と顧客ロイヤルティは別の指標であると認識して、使い分けるようにしましょう。

2.顧客ロイヤルティを測定する方法

顧客ロイヤルティを測定する方法には、顧客推奨度と顧客生涯価値の2つがあります。

顧客推奨度

商品やサービス、ブランドにどれくらい愛着や信頼を持っているのか示す指標

顧客生涯価値

顧客が特定の企業やブランドと取引を始めてから終えるまでの利益を算出したもの

顧客ロイヤルティを測定するときに活用できるため、それぞれどのように算出をするのか確認しておきましょう。

2-1.顧客推奨度(NPS)

顧客推奨度(Net Promoter Score)は、商品やサービス、ブランドにどれくらい愛着や信頼を持っているのかを示す指標です。

表面化しにくい感情的な満足度を数値化できるため、顧客ロイヤルティの高低を測る目安として使用できます。

調査の方法は非常に簡単で、「このサービスを知人や友人にどれくらい勧めたいですか?」など推奨度が測れる質問に10段階で回答してもらうだけです。

顧客からの回答を、0~6は「批判者」、7と8は「中立者」、9と10は「推奨者」と3つに分類します。

顧客推奨度(Net Promoter Score)の数値

分類した回答はパーセンテージ化して、下記の式に当てはめます。

推奨者の割合(%)-批判者の割合(%)=顧客推奨度

たとえば、推奨者が30%、批判者が10%だった場合、30%-10%=20%で、顧客推奨度は20です。顧客推奨度は最低で-100、最高が100となり、100に近ければ近いほど高くなります。

顧客推奨度についてより詳しく知りたい場合は、下記の記事を参考にしてみてください。

2-2.顧客生涯価値(LTV)

顧客生涯価値(LTV:ライフタイムバリュー)は、顧客が特定の企業やブランドと取引を始めてから終えるまでの利益を算出したものです。顧客生涯価値は、平均購入単価と平均購入回数を軸に算出します。

先ほども触れたように顧客ロイヤルティの高い顧客は商品やサービスの購入単価と購入回数ともに高くなるため、顧客生涯価値が高い場合は顧客ロイヤルティも高いと考えられます。

顧客生涯価値は、基本的に下記の計算方法で算出できます。

顧客の平均購入単価 × 平均購入回数

たとえば、顧客の平均購入単価が50,000円、平均購入回数が5回の場合は50,000円×5回=250,000円となり、顧客生涯価値は250,000円です。

サブスクリプションなど継続的な利用が前提となる商品やサービスの場合は、下記の計算方法を使うといいでしょう。

平均購入単価×平均購入回数×継続年数

たとえば、顧客の平均購入単価が100,000円、平均購入回数が5回、継続年数が3年の場合は100,000円×5回×3回=1,500,000円となり、顧客生涯価値は1,500,000円です。

顧客生涯価値は商品やサービスにより、基準が大きく異なります。自社の商品やサービスに応じた目安を立てて、分析してみるといいでしょう。

3.顧客ロイヤルティを向上させる4つのメリット

顧客ロイヤルティを向上させるメリットとしては、次の4つが挙げられます。

顧客ロイヤルティを向上させる4つのメリット

①利益の拡大が見込める
②既存顧客の育成につながる
③継続利用による解約率の低下
④口コミやSNSで第三者にポジティブな情報を拡散してくれる

顧客ロイヤルティの向上はどのような好影響を与えるのか、あらかじめ把握しておきましょう。

3-1.利益の拡大が見込める

1.顧客ロイヤルティとは」でも触れたように、顧客ロイヤルティの高い顧客は、購入頻度や購入単価が高いです。つまり、顧客ロイヤルティが向上すれば、自然と利益の拡大が見込めます。

たとえば、自分のタイミングで1年に10,000円の利益を生み出す既存顧客と、毎月10,000円必ず利益を生み出すロイヤルティの高い顧客がいたとしましょう。年間の利益で見ると、110,000円もの差がつきます。

顧客ロイヤルティの高い顧客が100人、1,000人と増えれば、その分効率よく利益が拡大していくことが分かります。

また、マーケティングで活用されている法則として「パレートの法則」があります。これは、企業の売上の8割は、2割の優良な顧客が生みだしていることを述べた法則です。優良な顧客とは、顧客ロイヤルティの高い顧客を指します。

たとえば、現状は50人の顧客ロイヤルティの高い顧客が売上の8割を占める100万円の利益を生み出しているとします。顧客ロイヤルティの高い顧客が100人に増えれば200万円の利益となり、全体の売上が拡大します。

このように、顧客ロイヤルティの向上は、売上の拡大に直結すると考えられます。

3-2.既存顧客の育成につながる

成熟した市場では商品やサービスの差別化が難しく、新規顧客の獲得が課題となります。

マーケティングで活用されている「1:5の法則」では、新規顧客に商品やサービスを販売するには既存顧客の5倍コストがかかると言われています。

広告宣伝費などのコストを抑えて利益を最大化するには、既存顧客の維持や育成が欠かせません。「1-1.顧客ロイヤルティの2つの側面」で解説しましたが、行動ロイヤルティや心理ロイヤルティの低い顧客は一時的な顧客で今後の離脱が予想されます。

一方で、顧客ロイヤルティの高い顧客は、購入単価が高く継続して利益を生み出します。

顧客ロイヤルティを向上させるとブランドや企業、商品やサービスに対する愛着や信頼が生まれるため、一般的な顧客からロイヤルカスタマーへと育成できます。

3-3.継続利用による解約率の低下

サブスクリプションを始めとする継続利用を前提としているサービスは、解約率が高いと継続的な利益の獲得が難しくなります。

たとえば、100人の顧客が年間12万円のサブスクリプションサービスを1年契約したとしましょう。途中解約をする顧客や2年目の更新をしない顧客が50%いたとすると、新規顧客を獲得しない限り2年目の利益は50%も低下します。

顧客ロイヤルティを向上させて商品やサービスに愛着や信頼を持つ顧客が増えれば、解約率を抑えて継続利用者を増やせます。その結果、常に新規顧客獲得に追われることなく、一定の利益を維持できるようになるでしょう。

3-4.口コミやSNSで第三者にポジティブな情報拡散してくれる

顧客ロイヤルティが高い顧客は信頼や愛着を持っており、対象の商品やサービス、ブランドが優れているものだと感じています。

そのため、第三者に商品やサービス、ブランドの素晴らしさやおすすめできるポイントを拡散してくれます。

【顧客ロイヤルティの高い顧客の拡散の一例】

・家族や友人など身近な人に商品やサービス、ブランドの良さを話す
・SNSに商品やサービス、ブランドに対するポジティブな意見を書く
・ブログなどで商品やサービス、ブランドの良さを発信する

たとえば、Twitterで、商品に対するポジティブな口コミを投稿したとします。それを見たユーザーが「いいね」や「リツイート」をすると二次拡散が起こり、ポジティブな情報が広範囲に拡散されます。その結果、新規顧客や潜在顧客の獲得へとつながっていくでしょう。

顧客ロイヤルティを向上させると顧客側が積極的にポジティブな情報を発信してくれるので、自社の商品やサービスのPRや新規顧客獲得につながる情報発信ができるようになります。

4.顧客ロイヤルティを向上させる3つの方法

顧客ロイヤルティを向上させるメリットが分かったところで、実際にどのように顧客ロイヤルティを向上させればいいのか気になるところです。

商品やサポート、ブランド問わず実践できる方法としては、下記の3つがあります。

顧客ロイヤルティを向上させる3つの方法

①顧客の声に耳を傾ける
②顧客との接点を増やす
③顧客のロイヤルティに応じたプログラムを用意する

どれも実践しやすい方法なので、ぜひ参考にしてみてください。

4-1.顧客の声に耳を傾ける

1つ目は、顧客の声に耳を傾けることです。自社の利益や方針だけを考えて商品やサービスを作ろうとすると、顧客の思いや考えを反映しにくいです。

たとえば、ファッションブランドで「店員と会話をしながら自分に合うコーディネートを探したい」と感じている顧客が多いとします。しかし、ブランドはこの声に気付かず、販売店員数を減らせるEC化を進めてしまうと顧客の信頼や愛着にはつながらないでしょう。

顧客の声に耳を傾けるには、アンケート調査や既存顧客との座談会、イベントなどがおすすめです。商品やサービスを利用した顧客を対象に使い心地や改善点などを問うアンケート調査を実施して、リアルな声を収集します。

【顧客の声に耳を傾ける方法の一例】

・アンケート調査
・既存顧客との座談会
・イベントの開催
・コンタクトセンター(コールセンター)に寄せられた声を拾う

顧客の声を商品やサービスに反映させると、顧客目線を取り入れることが可能です。顧客目線が取り入れられると「自分の考えや思いが届いている」「企業やブランドの考えに共感できる」と感じてもらえるため、信頼や愛着の育成につながります。

4-2.顧客との接点を増やす

2つ目は、顧客との接点を増やすことです。

【顧客との接点の一例】

・SNSの運用
・オウンドメディアの運用
・メールマガジンの配信
・既存顧客向けの情報誌やポータルサイトの開設
・既存顧客向けのイベントの開催

顧客ロイヤルティを向上させるために、顧客との接点を増やす理由は2つあります。

①顧客との関係性を継続しやすい

顧客との接点が増えれば増えるほど、顧客との関係性が継続しやすくなります。

たとえば、顧客との接点が店舗しかない場合は、店舗に訪れるとき以外は接点を持てません。来店回数の少ない顧客と良好な関係を継続しにくく、顧客ロイヤルティの低下につながるでしょう。

SNSやメールマガジン、オウンドメディアなど複数の接点があれば、顧客と関わる時間やタイミングが増えて、良好な関係を維持しやすいです。

とくに、SNSやメールマガジンは返信やスタンプなどで何らかの反応をしやすいため、顧客とコミュニケーションが取れる手段にもなるでしょう。

②単純接触効果を活用できる

単純接触効果とは、接触回数が増えるほど関心や興味、好意が高まる心理効果のことです。テレビCMや雑誌広告なども、単純接触効果を利用しています。

SNSやメールマガジンなどを活用し顧客との接点が増えれば自然と接触回数が増えるため、愛着や興味関心を持ってもらいやすくなるでしょう。既存顧客のみのポータルサイトの開設や既存顧客向けの季刊誌の発行なども、接触回数を増やし顧客ロイヤルティを向上させる方法として向いています。

このように、顧客との接点が増えれば顧客ロイヤルティが向上するきっかけを作れるため、商品やサービス、ブランドのペルソナに応じた接点を用意してみましょう。

4-3.顧客のロイヤルティに応じたプログラムを用意する

3つ目は、顧客のロイヤルティに応じた特典や優待プログラムを用意することです。

気に入っているブランドや企業から特別な扱いを受けて、ネガティブな感情を抱く顧客はいないでしょう。むしろ、特別扱いの優越感や満足度が愛着や信頼へとつながっていきます。

特典や優待プログラムの内容は商品やサービスによって大きく異なりますが、一例として下記のようなプログラムが検討できます。

プログラム

条件

特典

ロイヤルカスタマー
(顧客ロイヤルティの高い顧客)

年間50万円以上購入
年間来店回数6回以上

・特別なセールに招待する
・ワンランク上の会員に招待

優良顧客

年間30万円以上購入
年間来店回数4回以上

・5回目の来店時に15%オフ

一般的な顧客

年間5万円以上購入
年間来店数2回以上

・3回目の来店時に10%オフ

新規顧客

新規来店

・次回使えるクーポンプレゼント

顧客ロイヤルティが高くなるとワンランク上の優遇を受けられるようになるので、既存顧客のモチベーションアップにもつながります。

特典や優待プログラムを決めるときには条件を明確して、顧客と企業ともに共通認識を持てるようにすることが重要です。上記の例では、ロイヤルカスタマーに属するには年間6回目以上の来店が必要となります。

最上位会員の条件としてあらかじめ提示しておくと顧客もスケジュールが組みやすくなり、顧客ロイヤルティの向上が目指しやすいでしょう。

5.顧客ロイヤルティを向上させるステップ

顧客ロイヤルティを向上させるときには、下記の4つのステップを意識して取り組みます。

顧客ロイヤルティを向上させるステップ

それぞれのステップでどのようなことを意識すればいいのか解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

5-1顧客ロイヤルティの現状を把握する

現在の商品やサービス、ブランドの顧客ロイヤルティはどのようになっているのか、まずは現状を把握するところから始めます。

2.顧客ロイヤルティを測定する方法」で解説した顧客推奨度や顧客生涯価値などの方法を使い、顧客ロイヤルティの現状を可視化しましょう。

この他にも

・既存顧客を対象としたアンケート結果
・SNSでの反応
・コンタクトセンター(コールセンター)への問い合わせ内容

など、顧客ロイヤルティを把握するきっかけとなるあらゆるデータを用意してみましょう。

たとえば、顧客推奨度が高くても、SNSやコンタクトセンターへの問い合わせには不満な声や改善点が届いているかもしれません。この声を放置すると顧客の視点が欠けて、顧客ロイヤルティの低下につながる可能性があります。

さまざまなデータを基に複合的に分析をすると、既存顧客のリアルな声や顧客ロイヤルティの課題が見えてくるはずです。

5-2.顧客ロイヤルティの目標・ターゲットを設定する

顧客ロイヤルティの現状が把握できたところで、明確な目標とターゲットを設定します。目標では、どれくらい顧客ロイヤルティを向上するのか決めておきます。

・顧客推奨度を+15まで引き上げる
・ロイヤルカスタマーの基準を満たす顧客を〇人増やす
・ロイヤルカスタマーの特典を受け取る顧客を〇人増やす

など、具体的な目標を立てるようにしましょう。

続いて、顧客ロイヤルティを向上させるターゲット像を明確にします。顧客ロイヤルティを向上させるときに、既存顧客を一括りにしてしまうと効果の高い施策ができません。

顧客ロイヤルティの度合いや企業やブランドへの貢献度などで顧客をセグメントし、どの顧客に向けた施策を実施するのか決めます。

・直近の貢献度が高い顧客に愛着や信頼を持ってもらうための施策
・リピーターではあるが愛着や信頼が薄い顧客への施策

など、顧客ロイヤルティを向上するべきターゲット像を絞り込みましょう。

5-3.適切な施策を実施する

5-2.顧客ロイヤルティの目標・ターゲットを設定する」で決めたターゲットに、顧客ロイヤルティを向上させる施策を実施します。施策内容はターゲットや商品、サービスにより大きく異なるため、一概には言えません。

たとえば、リピーターではあるが愛着や信頼が薄い顧客への施策であれば、顧客との接点を増やして愛着や信頼を育てることが有効となる可能性があります。ターゲットに向けたイベントの開催やSNS運用などを行い、積極的に顧客との接点を創出していきます。

また、直近の貢献度が高い顧客に愛着や信頼を持ってもらうための施策であれば、企業やブランドのストーリーを伝えることも一つの方法です。

オウンドメディアやメールマガジンなどでどのような姿勢で商品やサービスを提供しているのか価値観を共有することで、愛着や信頼につながる可能性があります。

このように、ターゲットに応じて顧客ロイヤルティが向上する施策を考え実施してみましょう。

5-4.施策の効果を分析して次に活かす

顧客ロイヤルティを向上させる施策を実施した後には、目標に近づくことができたのか効果の分析を行います。目標と効果に差がある場合は、改善点や課題を考えてみましょう。

先ほども触れたように、顧客ロイヤルティを向上させる方法は商品やサービス、ターゲットにより大きく異なります。今回実施した施策よりも、他の施策のほうが効果を得られる可能性もあります。

一度の実施で終えるのではなく改善を繰り返しながら施策を継続することで、顧客ロイヤルティの向上が見込めます。

6.顧客ロイヤルティを向上させるための注意点

最後に、顧客ロイヤルティを向上させるための注意点として4つご紹介します。

顧客ロイヤルティを向上させるための4つの注意点

①顧客体験を可視化する
②ロイヤルティが高い顧客を分析する
③顧客情報を管理する
④顧客ロイヤルティが低下する原因を避ける

顧客ロイヤルティを向上させるときに知っておきたいポイントばかりなので、あらかじめチェックしておきましょう。

6-1.顧客体験を可視化する

昨今は商品やサービス自体に価値を感じる「モノ消費」よりも、商品やサービスを購入し使用する一連の体験に価値を見出す「コト消費」が重要視されています。

つまり、どれだけ付加価値のある顧客体験を提供できているのかが、顧客ロイヤルティを左右します。いくら優れた商品を提供していても、購入までのサポートやアフターフォローがないと愛着や信頼が生まれない可能性があります。

現在どのような顧客体験を提供できているのか可視化して分析すると、足りていない部分が明確になります。足りていない部分を補うことで、顧客ロイヤルティの向上へとつながるでしょう。

先ほどのようにアフターフォローがない場合は、アフターフォローができるサポート窓口や問い合わせ窓口の設置、FAQの準備などを検討できます。

顧客体験を可視化するときには、カスタマージャーニーマップの作成が有効です。カスタマージャーニーマップの作成方法は、下記の記事を参考にしてみてください。

6-2.ロイヤルティが高い顧客を分析する

顧客ロイヤルティを向上させるためには、ロイヤルティの高い顧客を分析することが大切です。

ロイヤルティの高い顧客はどこに満足しているのか、どこに信頼や愛着を持っているのかアンケートなどを活用して調査してみましょう。

・企業の考え方に共感している
・商品の性能やデザインが気に入っている
・アフターフォローやサポートが手厚い

など、さまざまな意見が出てくるでしょう。

ロイヤルティの高い顧客から得た情報は、企業やブランドの強みとして継続するべき部分です。

たとえば、企業の考え方に共感しているという意見が多い場合は、自社のストーリーや姿勢を積極的に発信することで、顧客ロイヤルティを向上できる可能性があります。

6-3.顧客情報を管理する

顧客情報の管理ができていないと、顧客ロイヤルティの分析や確認が難しくなります。顧客管理ツールや顧客管理ソフトなどを利用して、一元管理できる仕組みを整えましょう。

また、顧客を管理する際に独自の指標や条件を設けて、顧客ロイヤルティの段階が把握できるようにしておくと便利です。

たとえば、既存顧客を5段階に分けて管理しておけば、フェーズ3の既存顧客への施策、フェーズ4の既存顧客への施策など区別をしながら顧客ロイヤルティの向上を目指せるようになります。

6-4.顧客ロイヤルティが低下する原因を避ける

顧客ロイヤルティが低下する原因を把握して避けることも、顧客ロイヤルティを向上させるためには欠かせません。

顧客ロイヤルティを低下させる原因にはさまざまなものがありますが、基本的には顧客にストレスを与える行為が該当します。

【顧客ロイヤルティが低下する原因の一例】

・顧客を裏切る行動
・品質やサービスの低下
・居心地の悪い空間の提供
・満足のいくフォローやサポートがない

たとえば、事前連絡のない大幅な価格変更や仕様変更は、不信感につながります。また、疑問や質問が解決できないサポート環境も、顧客のストレスを与える一因となるでしょう。

顧客ロイヤルティを向上させる施策をしていても、顧客ロイヤルティ低下する原因があっては意味がありません。今一度振り返り、顧客ロイヤルティを下げるような要素はないか確認しておくといいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?顧客ロイヤルティとはどのような指標か把握でき、向上させるための施策を実施できるようになったかと思います。

最後に、この記事の内容をまとめると

◎顧客ロイヤルティとは顧客がブランドや商品、サービスに対して抱く「信頼」や「愛着」のこと

◎顧客ロイヤルティは次の2つの軸があり、行動ロイヤルティと心理ロイヤルティの双方が高い状態は顧客ロイヤルティが高いことになる

行動ロイヤルティ

商品やサービスをリピートする、他に推奨するなどの行動

心理ロイヤルティ

商品やサービス、ブランドに対する信頼や愛着などのポジティブな感情

◎顧客ロイヤルティとは商品やサービスに対してどの程度満足しているのかを示すもの。

顧客満足度では愛着や信頼など内面的な部分が分からないため、顧客満足度が高いから顧客ロイヤルティも高いとは限らない

◎顧客ロイヤルティを測定する方法は次の2つ

顧客推奨度

商品やサービス、ブランドにどれくらい愛着や信頼を持っているのか示す指標

「このサービスを知人や友人にどれくらい勧めたいですか?」など推奨度が測れる質問に10段階で回答してもらう

顧客生涯価値

顧客が特定の企業やブランドと取引を始めてから終えるまでの利益を算出したもの

一般的な計算方法:顧客の平均購入単価 × 平均購入回数
サブスクリプションなど継続利用が前提となる場合:平均購入単価×平均購入回数×継続年数

◎顧客ロイヤルティを向上させるメリットは次の4つ

1)顧客ロイヤルティの高い顧客は購入単価と購入頻度が高いので利益の拡大が見込める
2)既存顧客の育成につながる
3)顧客ロイヤルティの高い顧客は継続利用をするため解約率が低下する
4)口コミやSNSで第三者にポジティブな情報を拡散してくれる

◎顧客ロイヤルティを向上させる方法は次の3つ

1)顧客の声に耳を傾け顧客の視点を取り入れる
2)SNSやメールマガジン、イベントなどで顧客との接点を増やす
3)顧客のロイヤルティに応じたプログラムを用意する

◎顧客ロイヤルティを向上させるステップは下記のとおり

1)顧客ロイヤルティの現状を分析する
2)顧客ロイヤルティを向上させる目標とターゲットを設定する
3)目標とターゲットに応じて施策を実施する
4)施策の結果を分析し改善を繰り返す

◎顧客ロイヤルティを向上させるための注意点は次のとおり

1)顧客体験を可視化して欠けている部分を補う
2)ロイヤルティが高い顧客を分析し強みを見つける
3)顧客情報を管理する
4)顧客ロイヤルティが低下する原因を把握して避ける

顧客ロイヤルティが向上すると、利益の拡大や解約率の低下などが期待できます。

この記事をもとに既存顧客を育成し、顧客ロイヤルティが向上できることを願っています。

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