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顧客ロイヤルティとは?顧客満足度との違いや向上させる方法を解説

顧客ロイヤルティとは、顧客がブランドや商品、サービスに対して抱く信頼や愛着のことです。

顧客ロイヤルティの概要

ただ商品やサービスに満足しているだけではなく、信頼や愛着などのポジティブな感情を持っている点が特徴です。

顧客ロイヤルティの高い顧客は購入頻度や購入単価が高く、企業やブランドへの貢献度が大きいといえます。それだけでなく、解約率が低く継続利用につながるため、安定した利益を得やすいメリットもあります。

顧客ロイヤルティが高いことは企業やブランドにとってプラスとなるため、下記のような向上施策を実施することが欠かせません。

顧客ロイヤルティを向上させる4つの施策

パーソナライズされたサービスの提供

・購入履歴、サービス利用履歴などに基づく商品レコメンド
・誕生日や記念日に利用できるクーポンを発行
・顧客の属性や購入履歴などに基づくメールマガジンの配信 など

カスタマーサポートの強化・質向上

・オペレーターの人員配置の最適化
・オペレーターの応対品質向上
・チャネルの多様化
・公式サイトのFAQページの充実 など

ロイヤルティプログラムの実施

・商品やサービスの利用に応じたポイント付与、マイル付与
・クーポンの発行
・有償サービスの無償化
・イベントやセールへの招待 など

ファンコミュニティの形成

・会員制コミュニティサイト
・オーナーズクラブ
・ファンイベント
・SNSの公式アカウント など

そこでこの記事では、顧客ロイヤルティの概要や向上施策、向上事例などをまとめて解説していきます。

◎顧客ロイヤルティとは
◎顧客ロイヤルティを高める4つの施策
◎顧客ロイヤルティ向上の成功事例
◎顧客ロイヤルティを向上させる4つのメリット
◎顧客ロイヤルティを測定する指標
◎顧客ロイヤルティを向上させるステップ
◎顧客ロイヤルティを向上させるための注意点

この記事を最後まで読めば、顧客ロイヤルティの概要や高める方法を把握し、実践できるようになります。既存顧客の育成が重要視される昨今において欠かせないポイントであるため、ぜひご活用ください。

目次 [非表示]

1.顧客ロイヤルティとは

顧客ロイヤルティとは

まずは、「顧客ロイヤルティ」とは何なのか、その意味を正しく理解しておきましょう。

1-1.「顧客ロイヤルティ」とは?

「顧客ロイヤルティ」とは、顧客がブランドや商品、サービスに対して抱く「信頼」や「愛着」を指す言葉です。

「loyalty(ロイヤルティ)=忠実・忠誠心」から生まれたマーケティング用語で、顧客ロイヤルティが高い顧客ほど、その商品やサービスをよく利用し、リピート率も高くなります。

たとえば、「洗剤なら何でもいい」という人は顧客ロイヤルティが低いですが、「洗剤はA社のものと決めている。汚れがよく落ちると信頼しているし、香りが気に入っている」という人は顧客ロイヤルティが高いといえるでしょう。

【顧客ロイヤルティのイメージ】

顧客ロイヤルティの高い顧客はロイヤルカスタマーと呼ばれ、企業やブランドにとって重要な存在です。

ロイヤルカスタマーの概要

ロイヤルカスタマーが増えると、収益の一部を安定的に担うようになるため、新規顧客を獲得しなくても収益が安定しやすくなります。

また、自社の良さを自然に広げてくれるため、企業側が大きな広告宣伝を行わなくても顧客を獲得できる可能性があります。

顧客ピラミッドとロイヤルカスタマーの特徴

ロイヤルカスタマーについては、下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご活用ください。

1-2.顧客ロイヤルティが注目される背景

顧客ロイヤルティが注目される理由は以下の通りです。

近年、少子化による人口減少や消費市場の成熟により、新規顧客の獲得が難しくなっています。
そのためマーケティング分野では、新規顧客を獲得するよりも既存顧客のロイヤルティを高めるほうが、コストを抑えつつ利益向上を目指せるといわれています。

【マーケティングにおける「1:5の法則」「5:25の法則」】

1:5の法則

同じ売上を上げるためにかかる販売コストは、「既存顧客1:新規顧客5」
→新規顧客よりも既存顧客をターゲットにしたほうが、コストが少なくてすむ

5:25の法則

顧客離れを5%抑えることができれば、利益が25%改善される
→顧客ロイヤルティを高めることで利益が向上する

顧客ロイヤルティが高い顧客は、リピート率や購入単価が高いのが特徴です。

また、ブランドや商品に愛着があるので、商品やサービス、ブランドの良さを自主的に周囲に広げてくれる効果も期待できます。
ひとりの顧客からその家族や友人へと、利用者が拡大していく可能性が高いのです。

顧客ロイヤルティが高い顧客の特徴

1

商品やサービス、ブランドに対して愛着や信頼がある

2

商品やサービスの購入頻度や購入単価が高い

3

ポジティブな口コミや情報を拡散してくれる

このような理由から、近年多くの企業では顧客ロイヤルティを重視するようになったといえます。

1-3.顧客満足度との違い

顧客ロイヤルティと混同されやすい言葉に、「顧客満足度」があります。顧客満足度(Customer Satisfaction)とは、商品やサービスに対してどの程度満足しているのかを示すものです。

概要

注意点

顧客満足度

商品やサービスに対してどの程度満足しているのかを示すもの

顧客満足度が高くても顧客ロイヤルティが高いとは限らない

顧客ロイヤルティ

顧客がブランドや商品、サービスに対して抱く「信頼」や「愛着」のこと

顧客ロイヤルティが高い場合、顧客満足度も高い傾向がある

たとえば、冷蔵庫を購入した場合、購入した冷蔵庫のデザインや性能、利便性にどの程度満足しているかを示すものが顧客満足度です。コンタクトセンター(コールセンター)の場合は、オペレーターの応対品質や回答にどの程度満足しているかを示します。

このように、商品やサービスそのものの満足度を把握したいときに用いるのが顧客満足度です。

ここで注意したいのは、顧客満足度が高いことが顧客ロイヤルティの高さに直結するわけではない点です。顧客満足度はあくまでも商品やサービスに対する満足度を測るものであり、感情そのものを測定する指標ではありません。

冷蔵庫の価格やデザインに満足していても、その商品やブランドを信頼しているかどうかは別の問題です。顧客満足度と顧客ロイヤルティは別の指標であると認識し、適切に使い分けるようにしましょう。

2.顧客ロイヤルティを高める4つの施策

顧客ロイヤルティを高める4つの施策

では、顧客ロイヤルティを高めるには、企業はどうすればよいのでしょうか?
主に以下の4つの施策が有効とされています。

・パーソナライズされたサービスの提供
・カスタマーサポートの強化・質向上
・ロイヤルティプログラムの実施
・ファンコミュニティの形成

それぞれ説明します。

2-1.パーソナライズされたサービスの提供

第一の施策は、パーソナライズされたサービスの提供です。

企業が顧客に向けて情報やサービスを発信する際に、一人ひとりに適した内容のものを提供する方法です。

顧客は、自分に合った情報やサービスを提供してくれる企業に対して、愛着や親近感を覚え、顧客ロイヤルティが高まります。

たとえば、以下のような施策が考えられます。

・これまでの購入履歴、サービス利用履歴などに基づく商品レコメンド
 →ECサイトで「閲覧履歴に基づくおすすめ商品」や「保存した商品に関連するセール」が表示されるなど
・誕生日や記念日に利用できるクーポンを発行
・顧客の属性や購入履歴などに基づくメールマガジンの配信
 →興味を持ちそうな新商品やキャンペーンの情報を発信するなど

このように継続的に情報を発信することで、顧客との接点(=タッチポイント)が増え、企業とのつながりが深まります。その結果、顧客ロイヤルティの構築につながると考えられます。

2-2.カスタマーサポートの強化・質向上

第2の施策は、カスタマーサポートの強化と質の向上です。

カスタマーサポートは、顧客ロイヤルティに大きく影響します。
商品やサービスを利用した際に、手厚く迅速なサポートを受けられれば、顧客は企業への信頼を高め、継続利用につながるでしょう。

反対に、カスタマーサポートに問い合わせてもなかなかつながらなかったり、対応が悪かったりすれば、「もうこの会社の製品は使いたくない」と顧客が離れてしまう恐れがあります。

そのようなことがないよう、カスタマーサポートを担当するコンタクトセンター(コールセンター)では、以下のような改善策を実施するとよいでしょう。

・オペレーターの人員配置の最適化
・オペレーターの応対品質向上
 →研修やトレーニングの強化、トークスクリプトの見直しなど
・チャネルの多様化
 →電話だけでなくメール、チャットなども導入
・公式サイトのFAQページの充実
 →顧客の自己解決促進

2-3.ロイヤルティプログラムの実施

第3の施策は、ロイヤルティプログラムを実施することです。

「ロイヤルティプログラム」とは、商品やサービスの利用頻度や購入金額などに応じて顧客をセグメント化し、貢献度に応じた特典やポイントなどを提供する仕組みです。

たとえば、「利用額1万円の顧客はシルバーステータスとして5%割引、10万円ならゴールドステータスで10%割引」といったサービスがよくあります。

このような仕組みがあれば、顧客は特典を目当てにより利用機会を増やすことが期待できます。
さらに、ほかの顧客より優遇されることで優越感や愛着が生まれ、顧客ロイヤルティの向上につながるといえます。

ロイヤルティプログラムの具体例としては、以下のようなものが考えられます。

・商品やサービスの利用に応じたポイント付与、マイル付与
・クーポンの発行
・有償サービスの無償化
 →送料無料、セミナー参加など
・イベントやセールへの招待

2-4.ファンコミュニティの形成

第4の施策は、ファンコミュニティをつくることです。

前述したように、顧客ロイヤルティは、顧客が企業に対して「愛着」を持つことで育まれます。
つまり、顧客ロイヤルティの向上=ファンづくりといってよいでしょう。

そのため、まずは企業やブランドに興味のある人が集まれる場をつくり、そこで魅力やストーリーを発信したり、顧客と企業が交流したりすることで、顧客ロイヤルティを育んでいくことができます。

ファンコミュニティの具体例としては、以下のようなものが考えられます。

・会員制コミュニティサイト
・オーナーズクラブ
・ファンイベント
・SNSの公式アカウント など

ちなみにファンコミュニティは、顧客ロイヤルティ向上だけでなく、VOC(=顧客の声)の収集や、顧客インサイトの掘り起こしにも役立ちます。

SNSの公式アカウントなどは比較的簡単に始められるため、取り組みやすい施策といえるでしょう。

3.顧客ロイヤルティ向上の成功事例

顧客ロイヤルティ向上の成功事例

前章では顧客ロイヤルティ向上の施策を提案しましたが、実際にこれらの施策によって成功を収めた事例は多数あります。

そこで本章では、トランスコスモスが支援し、顧客ロイヤルティを向上させた企業の事例を紹介します。

・【カスタマーサポートの強化・質向上事例】アース製薬様:LINE公式アカウントの友だち数が5倍以上に拡大
・【パーソナライズされたサービスの提供事例】クラブツーリズム様:性格診断による商品提案でコンバージョン率1.1倍に向上

3-1.【カスタマーサポートの強化・質向上事例】アース製薬様:LINE公式アカウントの友だち数5倍以上に拡大

アース製薬

課題

ブランドへの愛着やロイヤリティを向上させたい

施策

チャット対応の強化によるロイヤリティ向上

成果

LINE公式アカウントの友だち数が5倍以上に拡大

アース製薬様では、ブランドに対する顧客の愛着やロイヤルティを高めたいという課題がありました。

そこでトランスコスモスがまず実施したのは、チャット対応の充実です。
24時間いつでも相談可能なチャットボットと、具体的な相談ができる有人チャットを併設し、ユーザーの悩みや不安に対してスピーディーに対応できる体制を整えました。

これにより、ユーザーがブランドに対して信頼や愛着を持つようになり、顧客ロイヤルティが向上しました。

また、チャットを利用するためにはLINEの友だち登録が必要な仕組みとなっていたため、自然とLINE公式アカウントの友だち数が増加する効果も得られました。
施策実施前は6.8万人だった友だち数は、実施後には36万人にまで拡大したそうです。

アース製薬様の「LINEで教えて!まもるくん」配信イメージ

ガーデニングのお悩み解決ホットライン「LINEで教えて!まもるくん」配信イメージ
<参考>アースガーデン https://www.earth.jp/earthgarden/

3-2.【パーソナライズされたサービスの提供事例】クラブツーリズム様:性格診断による商品提案でCVR 1.11倍に

クラブツーリズム

課題

ウィンドウショッピングをするユーザーを購入につなげたい

施策

「クリックZOSAN」を活用し、性格診断を通じた商品提案を実施

成果

CVR 1.11倍に改善(施策の ABテスト比較)

クラブツーリズム様では、Webサイトのアクセスログを用いてユーザーの行動分析を行った結果、意外な事実が明らかになりました。

旅行商品の詳細説明ページからトップページに何度も遷移するユーザーが一定数存在しており、これらのユーザーは単にサイト内を閲覧しているのではなく、ウィンドウショッピングをしており、一般的なユーザーよりもむしろ購買確率が高い傾向があったのです。

そこで、これまで特にアプローチしてこなかったこのウィンドウショッピング層に対して、商品購入のモチベーションを高める施策が求められました。

そのためにトランスコスモスが選んだのが、パーソナライズされた情報提供です。
具体的には、性格診断コンテンツ制作パッケージ「クリックZOSAN」を活用し、性格診断の結果に応じた旅行商品を提案するコンテンツ「旅タイプ診断」を開発しました。

さらに、CXプラットフォーム「KARTE」を導入し、ウィンドウショッピング行動を取ったユーザーに対して、そのタイミングで「旅タイプ診断」を表示する仕組みも構築しました。

ウィンドウショッピングをしているユーザーは、「欲しい商品」を発見した納得感や「新たな商品」に出会える機会を得ることができ、購入意欲が高まります。

これらの施策の結果、購入確率を従来と比べて1.1倍に向上させることに成功しました。

性格診断を活用した「旅タイプ診断」の利用イメージ

4.顧客ロイヤルティを向上させる4つのメリット

顧客ロイヤルティを向上させる4つのメリット

顧客ロイヤルティを向上させるメリットとしては、次の4つが挙げられます。

顧客ロイヤルティを向上させる4つのメリット

・利益の拡大が見込める
・既存顧客の育成につながる
・継続利用による解約率の低下
・口コミやSNSで第三者にポジティブな情報を拡散してくれる

顧客ロイヤルティの向上がどのような好影響をもたらすのか、あらかじめ把握しておきましょう。

4-1.利益の拡大が見込める

1.顧客ロイヤルティとは」でも触れたように、顧客ロイヤルティの高い顧客は、購入頻度や購入単価が高い傾向にあります。つまり、顧客ロイヤルティが向上すれば、自然と利益の拡大が見込めます。

たとえば、自分のタイミングで年間に10,000円の利益を生み出す既存顧客と、毎月10,000円を継続的に生み出すロイヤルティの高い顧客がいたとしましょう。年間の利益で見ると、110,000円もの差が生じます。

顧客ロイヤルティの高い顧客が100人、1,000人と増えれば、その分、効率よく利益が拡大していくことが分かります。

また、マーケティングで活用されている法則として「パレートの法則」があります。これは、企業の売上の8割は、2割の優良な顧客が生みだしているとする法則です。優良な顧客とは、顧客ロイヤルティの高い顧客を指します。

たとえば、現状では50人の顧客ロイヤルティの高い顧客が、売上の8割を占める100万円の利益を生み出しているとします。顧客ロイヤルティの高い顧客が100人に増えれば、200万円の利益となり、全体の売上が拡大します。

このように、顧客ロイヤルティの向上は売上の拡大に直結すると考えられます。

4-2.既存顧客の育成につながる

成熟した市場では商品やサービスの差別化が難しく、新規顧客の獲得が課題となります。マーケティングで活用されている「1:5の法則」では、新規顧客に商品やサービスを販売するには既存顧客の5倍のコストがかかると言われています。

広告宣伝費などのコストを抑えて利益を最大化するには、既存顧客の維持や育成が欠かせません。「1-1.「顧客ロイヤルティ」とは?」で解説したように、行動ロイヤルティや心理ロイヤルティの低い顧客は一時的な顧客であり、今後の離脱が予想されます。

一方で、顧客ロイヤルティの高い顧客は購入単価が高く、継続して利益を生み出します。顧客ロイヤルティを向上させることで、ブランドや企業、商品・サービスに対する愛着や信頼が生まれる、一般的な顧客からロイヤルカスタマーへと育成できます。

4-3.継続利用による解約率の低下

サブスクリプションをはじめとする継続利用を前提としたサービスは、解約率が高いと安定的な利益の確保が難しくなります。

たとえば、100人の顧客が年間12万円のサブスクリプションサービスを1年契約したとしましょう。途中解約する顧客や2年目の更新をしない顧客が50%いた場合、新規顧客を獲得しない限り、2年目の利益は50%低下します。

顧客ロイヤルティを向上させ、商品やサービスに愛着や信頼を持つ顧客が増えれば、解約率を抑え、継続利用者を増やすことができます。その結果、常に新規顧客獲得に追われることなく、一定の利益を維持できるようになるでしょう。

4-4.口コミやSNSで第三者にポジティブな情報を拡散してくれる

顧客ロイヤルティが高い顧客は、企業やブランドに対して信頼や愛着を持っており、商品やサービスの価値を高く評価しています。そのため、第三者に商品やサービス、ブランドの魅力やおすすめポイントを積極的に伝えてくれます。

【顧客ロイヤルティの高い顧客の拡散の一例】
・家族や友人など身近な人に商品やサービス、ブランドの良さを伝える
・SNSに商品やサービス、ブランドに対するポジティブな意見を投稿する
・ブログなどで商品やサービス、ブランドの魅力を発信する

たとえば、SNSで商品に対するポジティブな口コミを投稿した場合、それを見たユーザーが「いいね」や「リポスト」をすることで二次拡散が起こり、ポジティブな情報が広範囲に広がります。その結果、新規顧客や潜在顧客の獲得につながっていくでしょう。

顧客ロイヤルティを向上させることで、顧客自身が積極的にポジティブな情報を発信するようになり、自社の商品やサービスのPRや新規顧客獲得につながる情報発信が可能になります。

5.顧客ロイヤルティを測定する指標

顧客ロイヤルティを測定する指標

顧客ロイヤルティを測定する方法には、主に以下の8つがあります。

・顧客推奨度(NPS®)
・アップセル・クロスセル率
・継続利用意向(NRS)
・顧客生涯価値(LTV)
・CES(カスタマーエフォートスコア)
・顧客維持率
・解約率
・DWB

それぞれの算出方法とあわせて説明します。

5-1.顧客推奨度(NPS®)

顧客推奨度(Net Promoter Score)は、商品やサービス、ブランドにどの程度の愛着や信頼を持っているのかを示す指標です。

表面化しにくい感情的な満足度を数値化できるため、顧客ロイヤルティの高低を測る目安として活用できます。

調査方法は非常に簡単で、「このサービスを知人や友人にどの程度勧めたいですか?」といった質問に対し、10段階で回答してもらいます。

顧客の回答を、0~6は「批判者」、7・8は「中立者」、9・10は「推奨者」と3つに分類します。

顧客推奨度を測る指標

推奨者の割合(%)-批判者の割合(%)=顧客推奨度

たとえば、推奨者が30%、批判者が10%だった場合、顧客推奨度は20となります。顧客推奨度は最低-100から最高100までの範囲となり、100に近いほど高いと評価されます。

顧客推奨度についてより詳しく知りたい場合は、下記の記事も参考にしてください。

5-2.アップセル・クロスセル率

「アップセル」とは、既存顧客に対してより高額な商品やサービスを提案し購入してもらうこと、「クロスセル」とは、関連する商品やサービスを追加で購入してもらうことを指します。

アップセル率・クロスセル率が高いほど、顧客ロイヤルティも高い傾向があるため、指標の一つとして活用できます。

算出方法は以下の通りです。

・アップセル率:アップセルした顧客数 ÷ 総顧客数 × 100
・クロスセル率:クロスセルした顧客数 ÷ 総顧客数 × 100

ただし、アップセル・クロスセルした顧客のすべてが、高い顧客ロイヤルティを持っているとは限りません。

「ほかに適当なものがないため仕方なく購入した」「ほかの商品を探すのが面倒なため、提案されたものを利用した」といった理由でアップセル・クロスセルに至った可能性もあります。
こうした点も考慮したうえで、指標として活用してください。

5-3.継続利用意向(NRS)

「継続利用意向(NRS:ネット・リピーター・スコア)」とは、既存顧客が今後も同じ商品・サービスを利用し続ける意向があるかどうかを測る指標です。

競合商品が存在する中で「この商品を使い続けたい」と考える顧客は、顧客ロイヤルティが高いといえます。

NRSの測定方法はシンプルで、顧客に「1年後もこの商品・サービスを継続して利用したいと思いますか?」と質問します。
回答は以下の5段階で取得します。

・積極的に継続したい:5点
・今と同程度に継続したい:4点
・その時になってみないと分からない:3点
・できれば継続したくない:2点
・絶対に継続したくない:1点

その結果をもとに評価します。

継続利用意向を測る指標

5-4.顧客生涯価値(LTV)

顧客生涯価値(LTV:ライフタイムバリュー)は、顧客が特定の企業やブランドと取引を開始してから終了するまでに生み出す利益を算出した指標です。

顧客ロイヤルティの高い顧客は、購入単価と購入回数がともに高い傾向にあるため、LTVが高い場合は顧客ロイヤルティも高いと考えられます。

基本的な算出方法は以下の通りです。

顧客の平均購入単価 × 平均購入回数

たとえば、平均購入単価が50,000円、平均購入回数が5回の場合、LTVは250,000円となります。

サブスクリプションなど継続的な利用が前提となる場合は、以下の計算式を使用します。

平均購入単価×平均購入回数×継続年数

たとえば、顧客の平均購入単価100,000円、平均購入回数5回、継続年数3年の場合、LTVは1,500,000円となります。

顧客生涯価値は商品やサービスによって基準が大きく異なるため、自社に合わせた目安を設定して分析することが重要です。

5-5.CES(カスタマーエフォートスコア)

「CES(カスタマーエフォートスコア)」とは、顧客が商品やサービスを利用するまでに、どの程度の手間や労力をかけたのかをはかる指標です。
日本語では、「顧客努力指標」と呼ばれます。

この数値が高い場合、顧客が負担を感じていることを意味し、顧客離れにつながる可能性があります。
そのため、顧客ロイヤルティを高めるには、CESは低い状態が望ましいといえます。

CESの測定では、「この商品・サービスを利用するまでにどの程度の負担やストレスを感じましたか?」といった質問に対し、以下のような7段階で回答してもらうのが一般的です。

1)「まったくストレスを感じなかった」
2)「ストレスを感じなかった」
3)「あまりストレスを感じなかった」
4)「どちらとも言えない」
5)「ややストレスを感じた」
6)「ストレスを感じた」
7)「非常にストレスを感じた」

すべての回答のうち、「1)まったくストレスを感じなかった」「2)ストレスを感じなかった」の割合から、「5)ややストレスを感じた」「6)ストレスを感じた」「7)非常にストレスを感じた」の割合を差し引いた数値がCESです。

CES=1・2と回答した割合 ‐ 5・6・7と回答した割合

CESについては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。

5-6.顧客維持率

「顧客維持率」とは、一定期間内に取引を継続している顧客の割合を示す指標で、「リテンションレート」とも呼ばれます。

この数値が高いほど、継続利用している顧客が多く、顧客ロイヤルティが高い状態であると考えられます。

算出方法は以下の通りです。

顧客維持率=(期間終了時の総顧客数-期間中に獲得した新規顧客数)÷ 期間開始時の既存顧客数 × 100

さらに詳しくは、以下の記事で解説していますので、ぜひご参照ください。

5-7.解約率

「解約率」とは、一定期間内にサービス利用を停止した顧客の割合を示す指標で、「チャーンレート」とも呼ばれます。

解約率が高い場合、顧客が商品やサービスに愛着や満足感を持っていない可能性があり、顧客ロイヤルティが低い状態であると考えられます。

解約率は以下の式で算出します。

解約率=(期間中に解約した顧客数 ÷ 期間開始時の既存顧客数)× 100

また、解約率は顧客維持率と相反関係にあります。
顧客維持率が高ければ解約率は低くなり、逆に顧客維持率が低下すれば解約率は上昇します。

補完的に以下のように算出することも可能です。

解約率=100-顧客維持率

5-8.DWB

「DWB」とは「Definitely Would Buy(絶対に買いたい)」の略で、商品やサービスの購入意向を測る指標です。

顧客に対して「その商品・サービスをどの程度購入したいか」を以下の5段階で回答してもらいます。

・絶対に買いたい
・買いたい
・どちらでもない
・あまり買いたくない
・まったく買いたくない

このうち、「絶対に買いたい」と回答した人の割合をブランドロイヤルティの評価指標として用います。
DWBの数値が高いほど、顧客ロイヤルティも高いと判断できます。

6.顧客ロイヤルティを向上させるステップ

顧客ロイヤルティを向上させるステップ

顧客ロイヤルティを向上させる際には、下記の4つのステップを意識して取り組みます。

顧客ロイヤルティを向上させるステップ

それぞれのステップでどのような点を意識すべきか解説しますので、ぜひご活用ください。

6-1顧客ロイヤルティの現状を把握する

現在の商品やサービス、ブランドの顧客ロイヤルティがどのような状態にあるのか、まずは現状を把握することから始めます。

5.顧客ロイヤルティを測定する指標」で解説した顧客推奨度や顧客生涯価値などを用いて、顧客ロイヤルティの現状を可視化しましょう。

このほかにも

・既存顧客を対象としたアンケート結果
・SNSでの反応
・コンタクトセンター(コールセンター)への問い合わせ内容

など、顧客ロイヤルティを把握するきっかけとなるあらゆるデータを収集しましょう。

たとえば、顧客推奨度が高くても、SNSやコンタクトセンターへの問い合わせには不満の声や改善要望が寄せられている可能性があります。こうした声を放置すると顧客視点が欠け、顧客ロイヤルティの低下につながるおそれがあります。

さまざまなデータをもとに複合的に分析することで、既存顧客のリアルな声や顧客ロイヤルティに関する課題が見えてくるはずです。

6-2.顧客ロイヤルティの目標・ターゲットを設定する

顧客ロイヤルティの現状を把握できたら、明確な目標とターゲットを設定します。目標では、どの程度顧客ロイヤルティを向上させるのかを定めておきます。

・顧客推奨度を+15まで引き上げる
・ロイヤルカスタマーの基準を満たす顧客を〇人増やす
・ロイヤルカスタマーの特典を利用する顧客を〇人増やす

など、具体的な目標を設定しましょう。

続いて、顧客ロイヤルティを向上させるターゲット像を明確にします。既存顧客を一括りにして施策を実施すると、効果的なアプローチが難しくなります。

顧客ロイヤルティの度合いや企業・ブランドへの貢献度などで顧客をセグメントし、どの顧客に対して施策を実施するのかを定めます。

・直近の貢献度が高い顧客に対し、愛着や信頼をさらに高める施策
・リピーターではあるが愛着や信頼が薄い顧客への施策

など、優先すべきターゲットを明確に絞り込みましょう。

6-3.適切な施策を実施する

6-2.顧客ロイヤルティの目標・ターゲットを設定する」で定めたターゲットに対して、顧客ロイヤルティを向上させる施策を実施します。施策内容はターゲットや商品・サービスによって大きく異なるため、一概には言えません。

たとえば、リピーターではあるが愛着や信頼が薄い顧客に対しては、顧客との接点を増やし、関係性を強化する施策が有効な場合があります。ターゲット向けのイベント開催やSNS運用などにより、積極的に接点を創出します。

また、直近の貢献度が高い顧客に対しては、企業やブランドのストーリーを伝えることも一つの有効な方法です。オウンドメディアやメールマガジンなどで、商品やサービスに込めた価値観を発信することで、さらなる愛着や信頼につながる可能性があります。

このように、ターゲットに応じて最適な施策を設計・実施しましょう。

6-4.施策の効果を分析して次に活かす

顧客ロイヤルティ向上の施策を実施した後は、目標に対してどの程度成果が出たのかを分析します。目標と実績に差がある場合は、改善点や課題を整理しましょう。

前述の通り、顧客ロイヤルティ向上の方法は商品やサービス、ターゲットによって大きく異なります。今回実施した施策よりも、他の施策の方が高い効果を得られる可能性もあります。

一度の実施で終えるのではなく、分析と改善を繰り返しながら施策を継続することで、顧客ロイヤルティの向上が期待できます。

7.顧客ロイヤルティを向上させるための注意点

顧客ロイヤルティを向上させるための注意点

最後に、顧客ロイヤルティを向上させるための注意点として、4つご紹介します。

顧客ロイヤルティを向上させるための4つの注意点

・顧客体験を可視化する
・ロイヤルティが高い顧客を分析する
・顧客情報を管理する
・顧客ロイヤルティが低下する原因を避ける

顧客ロイヤルティを向上させるうえで重要なポイントばかりですので、あらかじめ確認しておきましょう。

7-1.顧客体験を可視化する

昨今は、商品やサービス自体に価値を感じる「モノ消費」よりも、商品やサービスを購入・使用する一連の体験に価値を見出す「コト消費」が重視されています。

つまり、どれだけ付加価値の高い顧客体験を提供できているかが、顧客ロイヤルティを左右します。どれほど優れた商品を提供していても、購入までのサポートやアフターフォローが不十分であれば、愛着や信頼が生まれない可能性があります。

現在どのような顧客体験を提供できているのかを可視化し分析すると、不足している部分が明確になります。不足している部分を補うことで、顧客ロイヤルティの向上につながるでしょう。

たとえば、アフターフォローが不足している場合は、サポート窓口や問い合わせ窓口の設置、FAQの整備などが検討できます。

顧客体験を可視化する際には、カスタマージャーニーマップの作成が有効です。作成方法については、下記の記事を参考にしてください。

7-2.ロイヤルティが高い顧客を分析する

顧客ロイヤルティを向上させるためには、ロイヤルティの高い顧客を分析することが重要です。どの点に満足しているのか、どのような点に信頼や愛着を持っているのかを、アンケートなどを活用して調査しましょう。

・企業の考え方に共感している
・商品の性能やデザインが気に入っている
・アフターフォローやサポートが手厚い

など、さまざまな意見が得られるはずです。

ロイヤルティの高い顧客から得た情報は、企業やブランドの強みとして維持すべき要素です。

たとえば、企業の考え方に共感しているという意見が多い場合は、自社のストーリーや姿勢を積極的に発信することで、顧客ロイヤルティのさらなる向上が期待できます。

7-3.顧客情報を管理する

顧客情報の管理が不十分だと、顧客ロイヤルティの分析や把握が難しくなります。顧客管理ツールやシステムを活用し、一元管理できる仕組みを整えましょう。

また、顧客を管理する際には独自の指標や条件を設け、顧客ロイヤルティの段階が把握できるようにしておくと有効です。

たとえば、既存顧客を5段階で分類して管理しておけば、フェーズごとに適切な施策を実施でき、効率的に顧客ロイヤルティの向上を図ることができます。

7-4.顧客ロイヤルティが低下する原因を避ける

顧客ロイヤルティが低下する要因を把握し、それを回避することも重要です。

顧客ロイヤルティを低下させる要因にはさまざまなものがありますが、基本的には顧客にストレスを与える行為が該当します。

【顧客ロイヤルティが低下する原因の一例】
・顧客の期待を裏切る行動
・品質やサービスの低下
・居心地の悪い体験の提供
・十分なフォローやサポートがない

たとえば、事前連絡のない大幅な価格変更や仕様変更は、不信感につながります。また、疑問や課題が解決できないサポート体制も、顧客にストレスを与える要因となります。

顧客ロイヤルティ向上の施策を実施していても、低下要因が存在していては効果が十分に得られません。あらためて現状を見直し、顧客ロイヤルティを損なう要因がないかを確認しましょう。

まとめ

顧客ロイヤルティの概要を理解し、向上させるための施策イメージを持っていただけたのではないでしょうか。

最後に、本記事の内容をまとめます。

◎顧客ロイヤルティとは、顧客がブランドや商品、サービスに対して抱く「信頼」や「愛着」のこと

◎顧客ロイヤルティを高める施策は以下の4つ

・パーソナライズされたサービスの提供
・カスタマーサポートの強化・質向上
・ロイヤルティプログラムの実施
・ファンコミュニティの形成

◎顧客ロイヤルティを向上させるメリットは次の4つ

1)顧客ロイヤルティの高い顧客は購入単価と購入頻度が高く、利益の拡大が見込める
2)既存顧客の育成につながる
3)継続利用により解約率の低下が期待できる
4)口コミやSNSを通じて第三者にポジティブな情報を拡散してくれる

◎顧客ロイヤルティを向上させるステップ

1)顧客ロイヤルティの現状を分析する
2)目標とターゲットを設定する
3)施策を実施する
4)結果を分析し、改善を繰り返す

◎顧客ロイヤルティ向上のための注意点

1)顧客体験を可視化し、不足部分を補う
2)ロイヤルティの高い顧客を分析し、強みを見出す
3)顧客情報を適切に管理する
4)顧客ロイヤルティの低下原因を把握し、回避する

顧客ロイヤルティが向上すると、利益の拡大や解約率の低下などが期待できます。本記事を参考に既存顧客の育成を進め、顧客ロイヤルティの向上に役立ててください。

 

下里 達也

監修者

下里 達也

トランスコスモス株式会社
CX事業統括 デジタルカスタマーコミュニケーション総括
人財戦略本部 組織開発部 組織開発課

2011年にトランスコスモスへ入社し、コンタクトセンターの現場責任者・クオリティマネージャーとして、COPCに基づく品質管理フレームワークの導入・運営を推進。
コロナ渦においては450名規模の完全在宅勤務コンタクトセンターの責任者として、完全在宅コンタクトセンターでは当社初となるCOPC® CX規格OSP版の認証を初回審査で取得。トランスコスモス創業60周年を迎える2026年よりコンタクトセンター事業部のPVV推進を担当。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションのノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。