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「最近コンタクトセンターに勤務し始めたので、コンタクトセンターについてまだよくわからない」
「コールセンターとコンタクトセンターってどう違うの? どんな業務をするの?」
コンタクトセンター(コールセンター)に着任したばかりで、そんな疑問や悩みを持っている方も多いでしょう。
もともと「コールセンター」と呼ばれていたのは、顧客と企業がコミュニケーションをとる手段=チャネルが「電話=コール」のみだったためです。
それが近年、電話以外にもメールやSNS、チャットなどいろいろなチャネルでコミュニケーションをとるようになったため、「コンタクトセンター」と呼ばれるようになってきました。
そして、コールセンターからコンタクトセンターへの移行が進んでいる背景には、顧客ニーズの変化とVOC(=顧客の声)に対する重要性の高まりがあります。
コンタクトセンターで働く際には、このような顧客ニーズやVOC、さらにKPIなどについても知っておく必要があるでしょう。
そこでトランスコスモスは、去る2024年4月19日に、コンタクトセンターの新任担当者に向けて知っておくべきことをレクチャーするセミナーを開催しました。
その中では、コンタクトセンターの役割や業務の流れ、KPIの決め方までわかりやすく説明されたのです。
この記事では、その貴重なセミナーの内容をくわしくわかりやすくレポートします。
◎コールセンターではない「コンタクトセンター」とは? |
登壇者は以下の2名です。
では、さっそくセミナーの内容をレポートします。
1.コールセンターではない「コンタクトセンター」とは?
司会 まず、最初のプログラムは、「コールセンターではない『コンタクトセンター』とは?」です。
コールセンターと聞くと、何となくイメージするのは「電話を受けて、お客様と対応する」ということだと思うのですが、最近は「コンタクトセンター」と呼ばれることが多いと思います。
なぜコールセンターからコンタクトセンターに変わっていったのかを知りたい方もいらっしゃると思うので、まずは「コンタクトセンターとは何か?」という最初のところから伺わせてください。
1-1.「コールセンター」と「コンタクトセンター」の違い
玉田 確かに「コールセンター」というのはずっと聞いてきた言葉で、「いつの間にか『コンタクトセンター』と呼ばれるようになった」と思っている方もいらっしゃるでしょう。
まず顧客と企業のコミュニケーションを取る手段や接点を「チャネル」と呼んでいます。
このチャネルが、従来のコールセンターでは「コール」、つまり電話だけでした。
ですが今は、電話以外にもメールやSNS、チャットなどいろいろなチャネルで顧客とコミュニケーション(コンタクト)をとっています。
そのため、「コール」センターではなく「コンタクト」センターと呼ばれるようになってきました。
1-2.「コンタクトセンター」が増えてきた経緯
玉田 今回は、新任者向けのセミナーということですので、もう少しさかのぼって、背景なども含めてご説明していきたいと思います。
顧客ニーズの変化
玉田 コールセンターがコンタクトセンターになってきた背景のひとつには、顧客のニーズが拡大してきたことがあります。
これはコールセンターとは関係なく、新しい技術やデバイスなどが世の中に出てきたためです。
たとえばパソコンが一般家庭でも1人1台の文字通りパーソナルなものになってきたり、インターネットが普及し始めたり、スマートフォンが出てみんながSNSをやるようになったり、新しい技術が出てくると、それを使っている我々の価値観やライフスタイルも変化・多様化してきます。
こういった流れを受けて、顧客のニーズはどんどん拡大してきているのです。
そのいちばんわかりやすい例として、友だちや家族などと連絡をとりたい、コミュニケーションを取りたいというときに、真っ先に電話を使う方はほとんどいないのではないでしょうか。
LINEなどもテキストベースですし、すでに「LINEももう古い」と言って使っていない世代もいます。
玉田 このデータは、トランスコスモスが行った「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2023-2024」です。
左の「電話」と書かれたグラフは、企業とのコミュニケーションで電話を使ったことがある人が66%いることを示しています。
ただ、「このチャネルを使いたかった」あるいは「使いたいという意向がある」という人は46%だけで、実際に利用した人とは20%のギャップがあります。
一方、真ん中の「チャット」を見ると、利用したことがある人が26%なのに対し、利用意向がある人は53%と電話を上回っています。
ここから、「普段使っているデバイスを使いたい」「企業とのコミュニケーションもそのチャネルで行いたい」、あるいは「状況に応じてチャネルを変えたい」というニーズがあることがわかると思います。
VOCの重要性の高まり
玉田 そしてもうひとつ、コールセンターがコンタクトセンターになってきた要因として挙げられるのは、「VOC=顧客の声」の重要性が高まっていることです。
顧客は、自分の言うことに耳を傾けてくれて、自分の声を商品やサービスに反映してくれる会社に愛着を持っていきます。
次のグラフも「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2023-2024」からのデータですが、左側を見てください。
「顧客の声=VOC」を傾聴してくれる企業を選ぶ人が69%もいることがわかっています。
司会 たしかに話を聴いてもらえるとうれしいですね。
玉田 顧客の目線で考えるとやはりそうだと思います。
また、右のグラフのように、商品やサービスという単位で見ても、50%がVOCを傾聴する企業の商品・サービスを積極的に使ったり購入したりしていくことがわかっています。
矢野 コールだけではなく、いろいろなコミュニケーションの手段がどんどん増えてきて、それらすべてで顧客とコンタクトしていくようになったので、文字通り「コンタクトセンター」になったわけです。
さらに最近では、(コンタクト)センターにコンタクトしなくても、たとえば検索するだけで全部解決してくれたりもします。
顧客としては、企業にコンタクトせずに友人に聞くとか、SNSで他のユーザーに聞くといった方法でも解決したいと考えています。
そこにどのように情報提供していくか、というのも今後コンタクトセンターの中で必要な要素になってくるのではと思います。
1-3.「コールセンター」と「コンタクトセンター」の違いや役割まとめ
玉田 簡単にまとめると、コールセンターとコンタクトセンターの違いは以下のようになります。
玉田 まずひとつは、コミュニケーションチャネルが電話だけだったのが、今はチャットやSNSなどもありますし、解釈を広げればFAQなども含まれてくるでしょう。
また、そういった変化にあわせて、企業における役割や、顧客に対して提供する価値などもどんどん変わってきています。
コールセンターのときは、顧客に何かしら困りごとができたときに、顧客側から企業に電話をかけていました。
コールセンターは、それを受けて顧客へ問題解決や必要な情報を提供していく役割でした。
今のコンタクトセンターにも、もちろんその役割はありますが、それだけではなく、顧客の声を収集したり分析したりもしています。
そして、その情報は自分たちだけで使うのではなく、マーケティングや販売、業界によっては製造、開発、流通などさまざまな部門に連携していくことで、顧客のニーズに応えていかなければなりません。
司会 コンタクトセンターの役割は、ただ単に困ったことを聞いて解決することだけではなく、顧客のニーズに合わせてSNSやいろいろなチャネルを通してつながっていくことなど、幅広くなってきたということですね。
矢野 それはもう、ほとんどのみなさんが体感されていらっしゃるかと思います。
2.コンタクトセンターの業務の内容・流れ
司会 顧客と企業がつながっていくプロセスの中には、いろいろな業種がありますし、役割もさまざまだと思います。
そこで、少し立ち返って、「実際のコンタクトセンター(コールセンター)というのは、一般的にどういう流れで業務を行っているのか」というところをいろいろ教えていただきたいと思います。
玉田 こちらは一般的なコンタクトセンターのオペレーションの流れです。
玉田 左上の顧客のように、「製品の使い方を知りたい」とか「新商品情報を知りたい」といった、必要な情報だけを取得したいシンプルな問い合わせの場合は、その右側に書いてある「無人チャネル」を利用します。
たとえばホームページやチャットボット、FAQなどを使って顧客が自己解決できるように、無人チャネルを置いておきます。
一方で、顧客の中にも「もう少し込み入った相談をしたい」という人もいます。
その場合は、状況に応じて「有人チャネル」の電話やメール、有人チャットを利用するでしょう。
ここまでの部分は従来通りです。
ただ、今のコンタクトセンターは、顧客の対応をしているだけではありません。
たとえば、FAQを用意するだけではなく、「どのFAQがどれくらい見られているのか」や「どれくらい解決に役立っているのか」という情報を収集・分析して、改善につなげていかなければいけないのです。
さらに、図の右側にあるように、関連部門やグループ会社、コンタクトセンター業務所管部門などに対しても、情報をレポートしたりシェアしたりする必要があります。
従来のコールセンターのように、顧客の電話対応のみではなく、コンタクトセンターの業務やオペレーションはかなり多様化していると思います。
司会 チャットやFAQを利用すると、「知りたいことと違う」と感じる回答が出てくることがあります。そのようなときは電話で再度問い合わせたりします。
矢野 チャットなどを使ってもなかなか回答にたどり着けなくて、結局電話に切り替えたり、あるいは何か別のものを見て解決したりすることがあります。
そのような、「全体の設計の中のどこで顧客が困っているのか」や、「FAQがきちんと顧客のためになっているのか」については、コンタクトセンターの中で情報を収集する必要があるでしょう。
これまでは、ホームページやFAQをコンタクトセンター以外の部門が作っていたケースも多かったと思います。
それはそれでいいのですが、やはりコンタクトセンターの中でも情報を収集して、他部門とも連携しながら、顧客にどれだけエフォートレスな情報を提供していくかを考えなければなりません。
コンタクトセンターは、顧客と企業のコミュニケーションにおける「ハブ(=ネットワークの中心、集約点)」のような存在になってきています。
ただ単純に電話とチャットで回答するのではなく、今後はハブとしての役割なども含めたオペレーションの流れを構築していくことが求められるでしょう。
3.コンタクトセンターにありがちな課題、失敗例と解決方法
司会 おふたりはコンサルタントとしてさまざまなコンタクトセンター(コールセンター)や業種、業態の方とお仕事をされる中で、いろいろとご存じのことも多いと思います。
そこで、普段はなかなか聞けないことなども聞いていきたいと思います。
このようなセミナーでは、「こうすればいい」とか「こういう成功例がある」とか言いがちなのですが、逆に「こういう失敗がよくあります」「こういう課題がありがちです」という「あるある」を聞かせてください。
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4.コンタクトセンター運営にはトランスコスモスのアセスメントサービスがおすすめ
司会 しかし、それを理解しても「では何からすればいいのか?」という疑問もあると思います。
幅広い役割の中で、「顧客とどう対応していくか」とか、「コンタクトセンター(コールセンター)が次はどんな戦略を持ってやっていくか」というところも考える必要があるでしょう。
そういった課題や役割に対しては、どのように取り組んでいけばいいのかを教えていただけますか?
矢野 こちらは「BSCを活用したアセスメント手法」です。
矢野 これまでのお話の中で出てきたマネジメントとしての浸透や設計、またパフォーマンスをどのように上げていくかなどに関しては、やはり全体を俯瞰して、それぞれのコンタクトセンターが持っている要素を見る必要があります。
そうしないと自分たちのコンタクトセンターはどこが強みでどこが弱点なのかというのは、なかなか見えてきません。
そこで、トランスコスモスのサービスとして展開しているのが、「バランススコアカード」という経営でよく活用するフレームワークです。
これに合わせて、26項目のコンタクトセンターの要素を洗い出していきます。
人間で言えば、人間ドックや健康診断のようなものです。
レベル1だと属人的だったり、レベル3だと体系的に運用ができていたりと、マネジメントを縦のラインで見ていくのがこの26項目だといえるでしょう。
また、「センターデザイン再設計支援」もマネジメントではありますが、業務プロセス、業務設計を支援する、いわゆる「BPR」というサービスです。
矢野 コンタクトセンターの業務やそのプロセスは、やっているうちにどんどん積み重なってくるものです。
そのため、「よく考えると、これはもういらないのではないか」というものや、「別々ではなく一緒にできるのではないか」「もっとデジタルツールを使ってできるのではないか」といったことがあるでしょう。
そこで、それぞれのサービスプロセスを分解して、もう一度設計しなおします。
業務プロセスの可視化と整流化です。
司会 縦の流れを診断した上で、いろいろなプロセスを洗い出して考え直す、ということですね。
矢野 コンタクトセンターというのは、属人化されているものではなく組織設計です。
きちんと体系化されていて、上から下まで組織としてつながっている状態が好ましいと思います。
それぞれの視点で見ていただいて、自分のセンターができていないことに少しメスを入れるところから始めてみてください。
そうすれば、「コンタクトセンターとはどういうものか」がわかってくるのではないかと思います。
まとめ
いかがでしたか?
コンタクトセンターについて知りたかったことがよくわかったと思います。
では最後に、記事のポイントをまとめましょう。
◎「コールセンター」と「コンタクトセンター」の違いは以下の通り
◎コンタクトセンターの業務の内容・流れは以下
この記事を踏まえて、あなたがコンタクトセンターで大いに活躍できるよう願っています。