「コールセンターで使われているCTIってどんなもの?」
「今度新しくコールセンターを立ち上げる予定だけれど、CTIはどれを選べばいいのかわからない」
コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)で勤務していて、そのような疑問や悩みを持っている方もあるでしょう。
「CTI」は、「Computer Telephony Integration(コンピュータと電話機能の統合)」の略で、ひと言でいえば、「電話やファックスをコンピュータと連携させるシステム」を指します。
具体的な機能としては、以下のようなものがあります。
- 着信番号から顧客データを瞬時に自動検索、属性や通話履歴、取引履歴などをモニターに表示する
- モニター上に表示されている顧客情報や架電リストの電話番号部分をクリックするだけで、自動的に架電する
CTIを導入することによって、電話業務が効率化され、応対品質を高めることができるため、コンタクトセンター(コールセンター)にとっては必要不可欠なシステムだと言えるでしょう。
そこでこの記事では、CTIについて知っておくべきことをまとめました。
まず最初に、以下のような基本的な知識をお伝えします。
- CTIとは何か
- コンタクトセンターにおけるCTIの活用法
- CTIの種類
- CRMとの違い
それを踏まえた上で、実際にCTIを導入する際に必要な以下の点を解説していきます。
- CTI導入のメリット
- CTI選びのポイント
- CTIの機能
最後まで読めば、CTIとは何か、どんな機能があるのか、何を基準に選べばいいのかがよくわかるはずです。
この記事で、あなたのコンタクトセンターがCTIを最大限に活用して効果を上げられるよう願っています。
1.コンタクトセンター(コールセンター)のCTIとは
CTIは、コンタクトセンター(コールセンター)を効率的に運営していくためのもっとも重要なITシステムのひとつです。
実際に、「『コールセンターの導入システム』を運営企業213社に聞いた結果(中略)CTI、IVRは概ね60%、音声録音システムに至っては90%以上の運営企業が導入している」(コールセンタージャパン「【導入・選定ガイド】 コールセンターの“ソリューションさがし”を解説」より引用・2015~2016年のデータ)という統計があるほど広く浸透しています。
が、一方で「CTIとは何か」と問われると、漠然としか答えられない方も多いのではないでしょうか?
そこでまず、CTIとはどんなシステムなのか、正確に把握するところから始めていきましょう。
1-1.CTIとは
そもそも「CTI」とは、「Computer Telephony Integration(コンピュータと電話機能の統合)」の略です。
簡単にいえば、電話やファックスをコンピュータと連携させるシステムを指します。
かかってきた電話をコンピュータで制御・管理したり、顧客情報をコンピュータ上で閲覧・記録したりする機能を備えているため、コンタクトセンター(コールセンター)の業務を大幅に効率化することが可能になります。
- 着信番号から顧客データを瞬時に自動検索、属性や通話履歴、取引履歴などをモニターに表示する
- モニター上に表示されている顧客情報や架電リストの電話番号部分をクリックするだけで、自動的に架電する
これらの機能によって、以前はオペレーターが手で行っていた作業を自動化することができるのです。
上記のようなしくみは、ほかのシステムやツールと連携することで実現できるようになります。
つまりCTIを導入することによって、コンタクトセンターでは業務効率化と顧客サービス向上をはかることができるというわけです。
1-2.コンタクトセンター(コールセンター)におけるCTIの活用法
CTIの機能やしくみの概略はわかりました。
では、実際にコンタクトセンター(コールセンター)において、CTIはどのように利用されているのでしょうか?
例を挙げると、以下のような活用法があります。
- 顧客からの着信があった際に、その顧客の過去の通話履歴や取引履歴が瞬時に表示される
→どのオペレーターが対応しても、「以前にご購入いただいた〇〇の件ですね」「前回のご連絡は〇月〇日で、△△についてのお問い合わせでした」といったように、これまでの事情を素早く把握して応対できる。
- 顧客から「〇日の〇時にかけなおしてほしい」といった再架電の要望があった際には、その日時を登録し、近くなるとモニター上にお知らせがポップアップされるように設定する。
→架電忘れがなくなり、受注率が伸びたり顧客満足度が上がったりといった効果が期待できる。
以上はCTI活用例のほんの一部にすぎません。
コンタクトセンターごとの特性や、それに合わせてどんな機能を利用するかによって、CTIはさまざまな効果を発揮します。
具体的にどんな機能があるか、また組み合わせることができるのかについては、「4.CTIの機能」でくわしく説明しますので、そちらもぜひ参照してください。
1-3.CTIの種類
さて、ここまでひと口に「CTI」と呼んできましたが、実はCTIは大きく以下の2種類に分けることができます。
- クラウド型
- オンプレミス型
それぞれどんな違いがあるのかも知っておきましょう。
1-3-1.クラウド型
クラウド型CTIは、CTIシステムを提供している企業のサーバに接続することで、そのシステムを利用することができます。
外部の既存システムを利用するだけなので、自社で新たにCTI用のサーバを設置したり、システムを構築したりする必要がありません。
つまり、その分のコストや手間がかからないため、次に説明する「オンプレミス型」と比較すると短期間・低コストで導入が可能です。
そのため、小規模なコンタクトセンターでも導入しやすいCTIだと言えるでしょう。
ちなみにクラウド型CTIのメリット・デメリットには以下のようなものがあります。
【クラウド型CTIのメリット】
- 自社サーバの設置や独自システムの構築、電話回線の増設が必要ない
→インターネット回線とオペレーター人数分のPCがあればいいので、比較的に短期間(最短数日~3カ月程度)、低コストでの導入が可能
- 応対マニュアルや連携システムなどに大きな改変があっても、既存のシステム内であれば、柔軟に機能の更新や拡張ができる
【クラウド型CTIのデメリット】
- 既存システムを利用するため、自社に合った機能の細かい調整には限界がある
- インターネットの接続障害や、提供元のサーバ不具合などが発生すると、CTIシステム自体が使用できなくなるリスクがある
1-3-2.オンプレミス型
一方、オンプレミス型CTIは、自社のサーバ上に独自のCTIシステムを構築して利用するものです。
そのため、コンタクトセンターの特性に合わせた細かいカスタマイズが可能で、自社に最適なCTIシステムを作ることができるというメリットがあります。
また、自社サーバとの接続という限られたネットワーク内で運用できるため、外部と接続必須なクラウド型に比べてセキュリティ面で強く、顧客情報などの重要なデータが漏洩するリスクを抑えることもできます。
オンプレミス型CTIのメリット・デメリットは、以下の通りです。
【オンプレミス型CTIのメリット】
- 自社サーバ内に独自のシステムを作るため、細かいカスタマイズや、他システムとのさまざまな連携が可能
- 社内ネットワークの中で運用できるため、セキュリティをより強固にすることができる
→インターネットを通して情報をやり取りするクラウド型に比べて、情報漏洩や外部から侵入されるリスクを低減できる
【オンプレミス型CTIのデメリット】
- 自社サーバの設置、独自システムの構築などが必要なため、導入コストはクラウド型より高額
- 同上の理由で、運用開始までの期間がおおむね6カ月以上は必要
以上のように、クラウド型、オンプレミス型ともに一長一短あります。
CTIシステムを導入する際には、自社の業務内容や導入事情、予算などを総合的に考慮して、どちらが適しているか選びましょう。
ちなみにCTIシステムの選び方については、「3.CTI選び 3つのポイント」でも解説しますので、あわせて参考にしてください。
1-4.CRMとの違い
さて、CTIについて考える際に、しばしばあわせて話題にあがるものに「CRM」があります。
「CTIとCRMの連携」について語られることも多いですし、中には両者を混同している方もいるようです。
そこでこの章の最後に、「CTIとCRMの違い」について明らかにしておく必要があるでしょう。
「CTI」は、前述したように「Computer Telephony Integration(コンピュータと電話機能の統合)」の略で、「電話やファックスをコンピュータと連携させるシステム」です。
一方の「CRM」は、「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略で、以下の2つの意味を持っています。
- 顧客との関係(過去の連絡履歴、取引履歴、ニーズなどを含め)を管理・分析することで、その顧客に最適な商品やサービスを提供する経営戦略
- 上記1. のためのITシステム、ITツール
CTIと絡めて論じられるのは、主に2. の意味でのCRMです。
では、このCRMとCTIとはどう違うのでしょうか?
大きな相違点を表にまとめてみました。
CTI | CRM | |
役割 | 電話回線とコンピュータを連携して、電話応対を自動化・効率化する | 顧客情報を管理・分析し、顧客に最適なサービスや商品を提供する |
主たる目的 | 電話応対業務の効率化 | 顧客サービス、顧客満足度の向上 |
ただ、上記のような違いはありますが、実際にはCTIとCRMの機能や役割が重複している部分もあります。
たとえば、以下のようなツールもあるのです。
- 簡単な顧客管理機能が備わったCTI
また、多くのコンタクトセンターにおいては、電話対応の効率化と顧客満足度の向上は両輪あわせて目指すべき目標となっていますので、CTIとCRMを連携させているケースもよく見られます。
CTIとCRMは、役割や目的に違いはあっても、深く関係したシステムだと理解しておきましょう。
2.CTI導入のメリット
ここまで、CTIシステムとは何かについて解説しました。
が、そもそもコンタクトセンター(コールセンター)にCTIを導入することの大きなメリットとは何でしょうか?
それは主に以下の2点に集約されます。
2-1.業務の効率化
第一のメリットは、コンタクトセンター(コールセンター)業務の効率化です。
のちに「4.CTIの機能」でくわしく説明しますが、ACD(着信呼自動分配装置)、IVR(自動音声応答)などの機能と組み合わせでインバウンド業務でのムダをなくし、架電リスト管理、予測発信との組み合わせや、プレビュー発信機能を使うことでアウトバウンドの件数を最大化することが可能です。
以前はアナログ電話や手入力で行なっていた電話業務を、CTIが自動化してくれるため、時間も手間も格段に減らすことができるでしょう。
2-2.顧客満足度の向上
さらに、CTIは顧客満足度を高めるためにも役立ちます。
前述の業務効率化は、顧客側から見れば、電話で待たされる時間が減ることにつながり、ストレスが軽減されます。
それだけではありません。
- ACD(着信呼自動分配装置)との組み合わせで、問い合わせ内容に合った知識とスキルのあるオペレーターが対応してくれる
- CRM連携やポップアップ機能などで、顧客情報や過去履歴がオペレーターに共有されるので、同じことを何度も説明する必要がなくなり、すぐに本題に入れる
- トークスクリプト共有やモニタリング機能との組み合わせで、オペレーターがより適切な対応をしてくれる
このようなメリットも享受できるでしょう。
こうした体験を通して、顧客の満足度は向上していくことでしょう。
3.CTI選び 3つのポイント
業務を効率化し、顧客満足度を向上させてくれるCTIを、「ぜひ導入したい」と考えている方も多いでしょう。
ですが、ひと口にCTIといっても、多くの企業がさまざま特徴をもったシステムを提供していて、どれを選べばいいのか迷ってしまいます。
そこで、CTIを選ぶ際に何を基準にすればいいか、そのポイントを3つ挙げておきましょう。
3-1.コンタクトセンター(コールセンター)の業務形態に合わせる
最初に考えるべきなのは、「自社のコンタクトセンター(コールセンター)の業務形態に合わせたCTIシステムを選ぶ」ことです。
具体的にいえば、「インバウンド業務かアウトバウンド業務か」によって、必要な機能が異なります。
インバウンドであれば、入電に関する機能、たとえば以下のような機能が充実しているものがよいでしょう。
- ACD(着信呼自動分配装置)
- ポップアップ
- IVR(自動音声応答)
- 着信履歴
アウトバウンドなら、架電を中心とした機能として、以下のような機能が必要になるはずです。
- 架電リスト管理
- 予測発信
- プレビュー発信
どちらの業態かによって、必要な機能が揃っているものを選びましょう。
3-2.既存のシステムと連携できるか確認する
次に重視すべきは、「既存のシステムと連携できるかどうか」です。
現在利用している、もしくはCTIと同時に導入しようとしている他のシステムがあれば、それと連携できるものを選びましょう。
中でもCRMとの連携は重要ですので、かならず確認してください。
特にクラウド型のCTIでは、提供企業の既存のサーバを利用するため、連携できるシステムが限られるケースがあり要注意です。
4.CTIの機能
前述したように、実際のCTIには、提供各社のシステムごとにさまざまな機能が備わっています。
導入を検討する際には、「自社のコンタクトセンター(コールセンター)にはどの機能が必要で、どれは不要か」を吟味して、最適なCTIシステムを選ばなければなりません。
そこでこの章では、現在のCTIシステムに備わっている主なシステムについて解説します。
4-1.ACD(着信呼自動分配装置)
まず、もっとも便利な機能のひとつとして、「ACD」があります。
これは「Automatic Call Distribution(着信呼自動分配装置)」の略で、その名の通り、顧客からかかってきた電話をオペレーターに自動的に分配する機能です。
その際に、振り分ける条件を事前に設定することができるのが特徴です。
<設定できる条件例>
- 待機時間が長いオペレーターから順に入電する
→オペレーターによって対応数に偏りが出ないよう平均化することができる
- 着信回数が少ないオペレーターに優先的に着信する
→同上
- オペレーターのスキルに応じて着信する
→先にIVR(自動音声応答)で入電内容によって着信を分類し、複雑な問い合わせはよりスキルの高いオペレーターが対応するように振り分ける
たとえば、「入会・退会手続き」といった単純な要件はスキルの高くないオペレーターに、「機器の不具合」など一定の知識が必要な要件は知識を持ったオペレーターに、内容が予測できない「その他の問い合わせ」は経験豊富なオペレーターに割り振る、など
<この機能のメリット>
- 顧客の待ち時間を短くすることができる
- 顧客の問い合わせ内容に見合った対応スキルをもつオペレーターが応対することで、顧客満足度が上がる
- オペレーター間での「対応件数が特定の人に偏る」「自分では対応しきれない問い合わせにも対応しなければならない」といった不満を減らせる
4-2.ポップアップ
CTIに必須の機能として「ポップアップ」があります。
これは、個々のオペレーターのPCモニター上に、必要な情報が自動的に表示される機能です。
<基本的な機能>
- 顧客からの着信と同時に、顧客データが自動的に画面上に表示される
→顧客データのある相手なら、名前、住所、電話番号、属性、過去の連絡履歴・取引履歴とその内容などさまざまな情報を、応対する前にオペレーターが把握できる
<アウトバンド型コンタクトセンター向けの機能>
- 特定の顧客に折り返し連絡する日時を登録すると、それが近くなったら画面上にお知らせが表示される
→一度架電した際に「担当者が不在なので、いついつに再度かけなおしてほしい」と言われた場合などに、再架電忘れを防ぐ
<この機能のメリット>
- 顧客それぞれに合わせた対応ができ、応対品質が上がる
- 名前や住所、電話番号などの重要な情報を聞き直す必要がなく、時間と手間を短縮できる
- 以前の通話内容や取引内容を踏まえた上で応対できるため、顧客満足につながる
→「前にも連絡したけれど…」という顧客には、「はい、〇月〇日に〇〇の件でご連絡いただきました」などと応対することで、顧客の信頼感を高めることができる
4-3.IVR(自動音声応答)
近年多くのコンタクトセンターでは、「IVR(自動音声応答)」機能が利用されています。
「IVR」は「Interactive Voice Response」の略で、顧客からの電話に対して個々のオペレーターが対応する前に、音声ガイダンスで対応するものです。
<ガイダンスの例>
- 入電に対して、まず最初に問い合わせ内容を大まかに分類して、担当部署に振り分ける
→「入会・退会のご連絡は1を、使い方に関するお問い合わせは2を、その他のお問い合わせは3を押してください」といったガイダンスを自動で流し、事前に問い合わせ内容を把握することで、オペレーターがより適切な対応をできるようにする
場合によってはオペレーターが対応する必要なく、IVRのガイダンスのみで問い合わせをクロージングできるケースもある
- 顧客が「待ち呼」状態のときに、「回線が混みあっております」などのガイダンスを流す
→呼び出し音が鳴り続けることによる顧客のイライラを解消することができる
同時に新商品やサービスの情報などを流すこともできる
- 営業時間外の着信に対して、「〇曜日から〇曜日の〇時から〇時の間におかけ直しください」などのガイダンスを流す
→適切な営業時間を案内しかけなおしを促すことで、顧客の取りこぼしも防止できる
<この機能のメリット>
- オペレーターの電話対応をより効率化、簡略化、最適化することができる
- 顧客のストレスを減らすことができる
- 見込み客の取りこぼしを防ぎ、業績アップにもつながる
4-4.通話録音
もうひとつの重要な機能が「通話録音」です。
顧客との通話内容をそのまま録音、保存することができる機能で、基本的にはすべての通話が録音されます。
この機能は、「1.コンタクトセンター(コールセンター)のCTIとは」でも引用したコールセンタージャパン「【導入・選定ガイド】 コールセンターの“ソリューションさがし”を解説」によると、「90%以上の運営企業が導入している」というほど広く利用されているものです。
<具体的な機能>
- 顧客との通話内容を、すべて自動的に録音し、一定期間保存する
→オペレーターが聞き洩らした場合、あとで確認することができる
また、顧客との間で「言った・言わない」のトラブルが発生した際のエビデンスになる
さらに、録音データをSVやリーダーが聞いて、オペレーターを個別に指導する材料になる
- 録音データをダウンロードし、他部署と共有できる
→営業部などの担当者が聞いて、特定の顧客の情報を把握、営業に活かせる
また、よい応対のデータは、オペレーター研修などでの応対見本として利用したり、トークスクリプト化して共有することもできる
- 録音データを「文字起こしツール」を使ってテキスト化し、通話後の後処理(通話内容の記録など)の時間を短縮する
→音声を自動的にテキスト化するツールと組み合わせることで、後処理の手入力の手間をなくす
また、テキスト化したデータを分析して、マーケティングに役立てることもできる
そのため、コンタクトセンターの枠を超えて有効な機能です。
顧客からの問い合わせ連絡は、企業にとって非常に貴重な顧客情報であり、マーケティングデータです。
これをデータベース化することは、多方面でのメリットが期待できるといえるでしょう。
<この機能のメリット>
- オペレーターの聞き洩らし、対応ミスなどのトラブルを減らし、顧客満足を高める
- トラブルやクレームに対してのエビデンスを残すことで、解決と予防につなげることができる
- オペレーターのスキルを高め、対応品質を向上させる
- 顧客とのやりとりをデータ化することで、顧客ニーズの把握ができる
4-5.着信電話の転送
前述したACD機能では、入電が自動的にオペレーターに振り分けられますが、それに対して「ちょうど別の作業が発生した」、または「途中まで対応したが、内容的に自分の知識やスキルの範囲を超えている」などの事情があって対応しきれないケースもあります。
そんな場合のために、「着信電話の転送」機能というものもあります。
これは文字通り、かかってきた電話をそのまま他のオペレーターに転送できる機能です。
最近では、新型コロナウイルス対策としてコンタクトセンターの在宅化も進んでいて、リモートワーク中のオペレーターに転送するケースも増えているようですから、これからますます必要性が高まる機能だと言えるでしょう。
<具体的な機能>
- 外線電話、内線電話ともに別のオペレーターに転送できる
→SVやリーダーに転送することもできるので、エスカレーション対応もスムーズにできる
- リモート環境のオペレーターにも転送できる
<この機能のメリット>
- 適切なオペレーターが対応することで、顧客満足につながる
- 場合によってSVやリーダーが対応を引き継ぐことで、成約率などを高めることもできる
- コロナ禍でも在宅ワークを活用して、コンタクトセンターを滞りなく運用できる
4-6.スクリーントランスファー(画面転送)
電話の転送にともなって、「スクリーントランスファー(画面転送)」ができるCTIシステムもあります。
これも名前の通り、応対中の顧客情報の画面をそのまま別のオペレーターに転送できる機能です。
電話を転送する際に、同時に画面も転送することで、転送を受けたオペレーターは瞬時に状況を把握することができます。
顧客に対してもう一度説明を求める必要なく、引き継いだ時点から話を再開することができるため、顧客に余計なストレスをかけずにすむのが利点です。
実際には、画面をスクリーンショットなどして転送するのではなく、次のようなしくみをとっています。
<具体的な機能>
- 顧客の通話に顧客IDを添付して転送することで、転送されたオペレーターのPCで瞬時に顧客情報を検索、画面表示する
そのため、転送前に何か情報(途中までの通話内容など)を追加していた場合は、いったん保存してから転送しなければなりません。
保存せずに転送すると、その前の情報しか相手に伝わらないので要注意です。
<この機能のメリット>
- 通話途中での転送でも、必要な情報が転送先に共有されるため、適切な対応ができる
4-7.トークスクリプト共有
コンタクトセンターには、さまざまなケースに合わせたトークスクリプトがあります。
オペレーターは問い合わせの内容にあわせて、瞬時に適切なトークスクリプトを記憶から呼び出し(あるいは紙でまとめられたトークスクリプト集をめくって探し出し)、不自然な間をあけずに対応しなければなりません。
が、新人のうちはどの対応をすべきか迷ってしまったり、ベテランでもスクリプトを度忘れしてしまうこともあるでしょう。
そんなときは、CTIに「トークスクリプト共有」の機能が備わっていると便利です。
これは、各オペレーターのモニター上に、あらかじめ登録しておいたトークスクリプトを表示することができる機能です。
<具体的な機能>
- 顧客からの問い合わせに合わせて、トークスクリプトの種類を選んで画面上に表示させる
- 顧客の反応に応じて「『はい』の場合/『いいえ』の場合」といった分岐を選択し、その時点で最適なトークスクリプトを表示させる
→複雑なスクリプトであっても、分岐をたどっていくことでスムーズにトークを進めることができる
- 「スクリプトのどの時点で顧客に断られたか」のデータを集積、分析する
→NGトークを洗い出し、トークスクリプトの改善ができる
<この機能のメリット>
- 場合に応じて最適な顧客対応ができ、顧客満足につながる
- 新人オペレーターでも対応に迷うことが少なくなり、離職率の低下が期待できる
4-8.着信履歴
コンタクトセンターでは、顧客との対応履歴を残すことも重要ですが、あふれ呼や営業時間外などで対応できなかった着信を把握することも大切です。
そのため、CTIには「着信履歴」が残る機能もあります。
<具体的な機能>
- 顧客からの着信について、先方の電話番号、着信した日時、こちらが応答したかどうかなどの履歴が残る
<この機能のメリット>
- 対応できなかった着信や、時間外の着信も含めて把握し、必要があれば折り返し連絡することで、顧客の取りこぼしを減らしたり、トラブルを早期解決したりできる
4-9.架電リスト管理
アウトバウンド型のコンタクトセンターには、かならず架電リストがあるはずです。
CTIによっては、このリストを管理する機能も備わっています。
この「架電リスト管理」機能があれば、次のようなことが可能です。
<具体的な機能>
- 架電リストを一元管理し、件数、これまでのコール記録、見込み度などを記録する
- リストから架電先を検索したり、オペレーターごとに振り分けることができる
- 顧客リストをCSV形式でインポートし、架電リスト化する
- 今後は架電しないほうがいい顧客を「発信禁止登録」し、モニター上では非表示にする
<この機能のメリット>
- 顧客の連絡先を探したり、どの顧客に架電すればいいのかで迷ったりする手間がなくなり、架電業務を効率化できる
- 架電前にこれまでの連絡履歴や顧客情報を把握でき、より適切な対応ができる
- 「架電NGな顧客」や「トラブルやクレームがあった顧客」などのネガティブ情報も共有できるため、クレームを防止しオペレーターのストレスを軽減できる
4-10.予測発信(プレディクティブコール)
上記の架電リストをさらに便利に利用する機能として、「予測発信(プレディクティブコール)」というものもあります。
これは、リストに掲載されている電話番号に対して、CTIが自動で架電し、先方が応答し次第オペレーターに接続するという機能です。
<具体的な機能>
- リストにある複数の電話番号に同時に架電して、応答があった場合のみオペレーターにつなぐ
→オペレーターが呼び出し中に待つ時間がなくなるため、より多くの電話に対応できるようになる
- 応答がなかった番号には、間をあけて自動的にまた架電を繰り返す
→応答してもらえる確率が上がる
- 応答があったら、まずオペレーターではなくIVRにつなぐこともできる
→自動音声のガイダンスで、顧客のニーズや見込み度をあらかじめ把握することもできる
<この機能のメリット>
- オペレーターの手動による架電よりもはるかに多く架電でき、効率アップがはかれる
- オペレーターは、ムダな架電や呼び出し中の待ち時間がなくなり、応対の内容にのみ集中できるので、応対品質が向上する
4-11.プレビュー発信
同じくアウトバウンド型のコンタクトセンターで、架電を効率化してくれるのが「プレビュー発信(クリック・トゥ・コール)」です。
従来の架電業務では、顧客リストや顧客情報画面を見ながら、オペレーターが電話番号を入力したりプッシュしたりする必要がありました。
それに対してこの機能には、次のような特徴があるため、オペレーターにとっては必須と言えるでしょう。
<具体的な機能>
- モニター上に表示されている顧客情報や架電リストの電話番号部分をクリックするだけで、自動的に架電される
<この機能のメリット>
- 電話番号をその都度入力する手間と時間が節約でき、より多く架電できるようになる
- 電話番号の入力間違いといったミスやムダがなくなる
4-12.モニタリング
SVやリーダーといった管理者サイドに役立つ機能もあります。
ひとつは「モニタリング」機能です。
<基本的な機能>
- 各オペレーターの通話内容を、管理者サイドがリアルタイムで聴くことができる
→オペレーターが対応に迷ったり、間違った応対をしたり、トラブルが起きそうになった際には、SVやリーダーがサポートに入って解決することができる
- オペレーターの稼動状態を確認することができる
→待機時間が長いオペレーター、対応件数が少ないオペレーターなどをチェックし、偏りなく最適な着信割り振りができるようになる
また、CTIシステムによっては、次のような機能が備わっているものもあります。
<関連する機能>
- 顧客側には聞こえないようにオペレーターのみに口頭で指示を出せる「ささやき機能」
- エスカレーションが必要になると予測される顧客からの着信を事前にSVに通知する「アラーム機能」
→アラームがあった入電をSVが最初からモニターできるため、エスカレーションになってもスムーズに対応できる
<この機能のメリット>
- オペレーターの対応品質を均一化することができる
- トラブルを未然に防ぐことができる
4-13.レポーティング
また、上記のモニタリング機能からさらに踏み込んで、オペレーターの稼働状況を管理・分析する「レポーティング」機能をもったCTIもあります。
<具体的な機能>
- 通話中、待ち呼、保留中、後処理中、離席中、休憩中といった個々のオペレーターの状態をリアルタイムに把握できる
- オペレーターごとの架電件数、通話時間、成約率などのデータを集積し、分析する
<この機能のメリット>
- 顧客からの入電を適切に配分し、効率よいセンター運営につながる
- 課題や改善点を洗い出し、よりよい対応をすることができる
4-14.CRM連携
最後に、「1-4.CRMとの違い」でも触れた既存の「CRMとの連携」機能です。
これがあることで、さまざまなことが可能になります。
<具体的な機能>
- 着信と同時に、よりくわしい顧客情報を検索・表示する
- 顧客ごとの連絡履歴、取引履歴、通話内容などを記録・閲覧できる
- 潜在顧客、見込み客、既存顧客などステージごとに顧客を分類することができる
→顧客のニーズに応じた対応ができるようになる
- 電話だけでなく、メール、チャット、SNSなどさまざまなチャネルからのコンタクトを一元管理できる
→同じ顧客が以前に電話以外で連絡してきていた場合でも、その内容を把握した上で電話対応できる
- オペレーターの応対内容、応対件数、成約率などさまざまなデータを集計・分析できる
→分析結果をもとに、トークスクリプトの改善、オペレーターの教育、対応品質の向上などにつながる
<この機能のメリット>
- コンタクトセンター全体の業務を均一化、効率化できる
- 顧客からの問い合わせやニーズに、より幅広く的確に応えることができる
このように、CTIにはさまざまな機能がありますが、もちろんこれらのうちどれが備わっているかはシステムごとに異なりますし、どれを利用するかもコンタクトセンターごとに選ぶ必要があります。
CTI導入の際には、「自社にとってどんな機能が必要か、それを備えているのはどのシステムか」を吟味して選んでください。
5.コンタクトセンター(コールセンター)業務の効率化なら「Amazon Connect」がおすすめ
ここまで、コンタクトセンター(コールセンター)の業務を効率化・品質向上させるCTIシステムについて解説してきました。
が、「CTIについてはよくわかったけれど、どのシステムが自社に最適化はまだよくわからない」という方もいるでしょう。
そんな方には、「Amazon Connect」をおすすめします。
Amazon Connectは、「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」が提供するコンタクトセンター向けのクラウド型プラットフォームです。
CTI機能をはじめ、以下のようなさまざまな機能が備わっており、コンタクトセンターの業務効率化や課題解決に貢献します。
- CCP機能(ソフトフォン機能):電話機がなくてもPC上で電話対応が可能
- メトリクス機能:オペレーターの稼働時間や着信数などのデータをレポート
- 音声録音機能:顧客・オペレーターの双方またはどちらかの通話内容を記録
- CRM連携
- ACD(着信自動呼分配機能)
- IVR(自動音声応答)
- コンタクトコールフロー設定機能:ノンプログラミングでコンタクトフローを作成
トランスコスモスでは、コンタクトセンターでAmazon Connectを使いやすいように、設計・構築・導入後のサポートや改修サービスを提供しています。
導入を検討される方は、別記事「Amazon Connectとは?Amazon Connectを活用したコンタクトセンター(コールセンター)の課題解決方法を解説」にくわしい説明がありますので、そちらを参照なさるか、以下のバナーから詳細資料のご請求・お問い合わせくださいますようお願いいたします。
まとめ
いかがでしょうか、コンタクトセンター(コールセンター)のCTIについて、知りたいことがわかったかと思います。
では最後にもう一度、記事の要点をまとめておきましょう。
◆「CTI」は、「電話やファックスをコンピュータと連携させるシステム」
◆CTIには「クラウド型」「オンプレミス型」の2種がある
◆CTIの導入メリットは、
- 業務の効率化
- 顧客満足の向上
◆CTI選びのポイントは、
- コンタクトセンターの業務形態に合わせる
- 既存のシステムと連携できるか確認する
- サポート体制が整っているものを選ぶ
以上を踏まえて、あなたのコンタクトセンターにとって最適なCTIシステムを最大限に活用できることを願っています。