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トラブルシューティングとは?目的から必要性、実施方法まで解説

この記事で学べること

トラブルシューティングとは、電化製品やソフトウェア、システムなどにトラブルが発生した際に、原因を特定し解決に導く一連のプロセスを指します。顧客のトラブルを迅速に解決できれば、顧客満足度の向上にもつながります。

  • トラブルシューティングの必要性:顧客の抱える悩みを迅速に解決できる、オペレーターの「問題解決力」を平準化できるといった両者にメリットがあります。
  • トラブルシューティングの手順:現状の把握、トラブル箇所の特定、発生した条件の検討、原因究明と問題解決策の提示の4ステップで行います。
  • トラブルシューティングで押さえたいポイント:マニュアルの作成、「いつ・どこで・どのような問題が生じるのか」の確認、暫定措置と恒久措置の3つのポイントを押さえることでトラブルシューティングの際に困ることが少なくなります。

「製品やサービスのサポートに必要なトラブルシューティングとは何か?どのように対応すればよいのか?」
「トラブルシューティングの対応をしたいが、具体的な手順やポイントがわからない。」

製品やサービスのトラブルに対応する「トラブルシューティング」。
多くの方が耳にしたことがあるかもしれませんが、具体的な対応方法については不明な点が多いのではないでしょうか。

トラブルシューティングとは、電化製品やソフトウェア、システムなどに問題が発生した際に、原因を特定し解決に導く一連のプロセスを指します。

例えば、「製品が動かない」「ソフトウェアの使い方がわからない」といった顧客の困りごとを解決することにより、顧客満足度が向上します。

トラブルシューティングの概要

しかし、トラブルシューティングは的確な状況判断と正しい手順で取り組むことが求められます。適切に実施しないと、問題解決に時間がかかり、正しい解決策を提示できないといった課題に直面する可能性があります。

トラブルシューティングの手順

そのため、トラブルシューティングがどのようなものであるかを理解し、正しく取り組むことが重要です。

この記事では、トラブルシューティングの概要や必要性、正しい手順などトラブルシューティングの基礎知識をまとめて解説します。

最後までお読みいただければ、トラブルシューティングがどのようなものか理解し、適切に取り組むための知識を得ることができます。自社の製品やソフトウェアなどを顧客に末永く愛用してもらうためにも、ぜひ参考にしてください。

それでは早速、内容を見ていきましょう。

1.トラブルシューティングとは?

トラブルシューティングとは?

トラブルシューティングとは、電化製品やソフトウェア、システムなどにトラブルが発生した際に、原因を特定し解決に導く一連のプロセスを指します。

トラブルシューティングの概要

このプロセスは単なる故障だけでなく、製品の使い方や不具合など、顧客が「困りごと」と感じるトラブルを含みます。

【トラブルシューティングの対象となる問題例】
・製品の故障:製品が故障して動かなくなった
・製品の使い方:データの保存方法が分からない
・故障と判断できないトラブルや不具合:パソコンが急に動かなくなった

トラブルシューティングは、説明書、Webサイト、コンタクトセンター(コールセンター)などがサポートするケースが多いです。

トラブルシューティングの対応例

例えば、購入したパソコンの画面が映らなくなった場合を考えます。
顧客は説明書を確認し、「トラブルシューティングのお問い合わせ」と記載されている電話番号に連絡します。

オペレーターは「いつから画面が暗くなりましたか?」「何をしたら暗くなりましたか?」などと質問し、現状を詳しく確認します。その後、顧客の状況に応じて原因を検討し、「もう一度パソコンの電源を入れ直してみてください」といった具体的な解決策を提案し、問題解決を図ります。

「トラブルシューティングの手順」で詳しく解説していますが、問題が拡大しないように、短時間で効率的に解決できるように手順に沿って進めることがポイントです。

2.トラブルシューティングの必要性

トラブルシューティングの必要性

トラブルシューティングの重要性を2つの理由でご紹介します。

トラブルシューティングの必要性

・顧客の抱える悩みを迅速に解決できる
・オペレーターの「問題解決力」を平準化できる

2-1.顧客の抱える悩みを迅速に解決できる

トラブルシューティングは、顧客の悩みを迅速に解決するために不可欠です。

電化製品の不具合やソフトウェアの故障は、いつどのように発生するかわかりません。
もしソフトウェアが不具合を起こした際に、適切な対応ができなければ、トラブルが拡大し、復旧までに余計な時間がかかることも考えられます。

そのため、適切な手順で原因を特定し、迅速に解決するためにはトラブルシューティングが欠かせません。

例えば、「画面が暗くなる場合は再起動すると復旧するケースが多い」といった傾向を把握している場合、その解決策を最初に提案することで、短時間で問題解決を図ることが可能です。
顧客のトラブルを迅速に解決できれば、顧客満足度の向上にもつながります。

2-2.オペレーターの「問題解決力」を平準化できる

コンタクトセンター(コールセンター)でトラブルシューティングを行う場合、オペレーターの「顧客応対品質の平準化」が重要です。

トラブルシューティングは、オペレーターの直感だけで問題に対処することが難しいため、想定される原因に基づいて「解決できる可能性の高い対処法」を優先的に案内し、体系的に解決に導くことが求められます。

このためには、教育やマニュアルの整備が必要です。
トラブルシューティングのプロセスや考え方がしっかりと浸透しているコンタクトセンターでは、新人オペレーターでも顧客の問題を「確実かつスピーディ」に解決できるようになります。

これにより、オペレーターの「経験やスキル」に依存せず、「問題解決力」を平準化することが可能になります。

結果として、一貫したサービス品質を提供できるようになるため、顧客にとっても信頼性の高いサポートを受けられることとなります。これによって、顧客満足度の向上だけでなく、企業のブランド価値の向上にも寄与することでしょう。

3.トラブルシューティングの手順

トラブルシューティングの手順

続いて3章では、実際にトラブルシューティングを行う際の基本的な手順をご紹介します。正しい手順に沿って解決を目指すことが重要ですので、参考にしてください。

3-1.現状を正しく把握する

まずは、どのような不具合やトラブルが発生しているのか、現状を正確に把握しましょう。
エラーメッセージや顧客が行った操作などには、重要な手がかりが含まれている可能性があります。

現状を理解する際には、5W1Hを意識して顧客に確認すると効果的です。

5W1H

概要・例

When(いつ) 

いつトラブルが起きたのか
例:5分前にパソコンを起動したとき

Where(どこで)

どこでトラブルが起きたのか
例:会社のパソコン

Who(誰が)

誰が起こしたトラブルなのか
例:自分のパソコン

What(何を)

何が起きているのか
例:パソコンの画面が真っ暗になる

Why(なぜ)

なぜ起きたのか
例:いつもと同様の操作をしたので分からない

How(どのように)

どのように起きたのか
例:起動させたら突然画面が真っ暗になった

この段階で気になる点があれば、さらに詳しく聞いてみると良いでしょう。

例えば、パソコンを起動した際に画面が真っ暗になった場合、「エラーメッセージが表示されているか」「どのようにシャットダウンしたか」など、関連する質問をすることで現状がより明確になります。

3-2.トラブルが発生した箇所を特定する

次に、トラブルが発生した箇所を特定します。

この作業は手間がかかりますが、トラブルシューティングにおいて非常に重要な部分です。
以下の方法で、トラブルが発生した箇所を突き止めていきましょう。

階層の上から順に確認する

機能上の階層構造の上から順に確認する
例:パソコンの場合はベースとなるハードウェア、OS、アプリとベースから順に確認する

近くから遠くに確認する

トラブル箇所の近くから順に確認する
例:パソコンのHUBからルーター、サーバーと距の近いものから順に確認する

想定される箇所を1つずつ確認する

想定されるトラブル箇所を確認する
例:パソコンのディスプレイやハードウェア、OSなど想定される箇所を1つずつ確認する

トラブル発生個所を見つけるためには、1つずつ確実に確認していくしかありません。
「まとめて確認する」「分かる範囲で確認する」など工程を短縮すると見逃す可能性があるので、1つずつ慎重に取り組むといいでしょう。

3-3.トラブルが発生した条件を検討する

トラブルの発生箇所が特定したら、次にトラブルが発生する条件を検討します。
特定の条件下でトラブルが発生するケースが多いため、以下のような点を確認します。

【特定の条件下で発生するトラブル例】
・特定の時間帯に発生
・特定のシステムやアプリケーション起動時に発生
・特定の操作を行った際に発生

例えばパソコンを起動して5分以内に特定のアプリケーションを開くとトラブルが発生する傾向が分かれば、再発防止策や原因特定が容易になります。

想定されるシチュエーションを考慮し、1つずつ検証することが重要です。

3-4. 原因究明と最終的な問題解決につなげる

トラブルの発生箇所および発生条件に基づき、最終的な原因を検証します。
原因が特定できた場合、以下の2つの対策を明確にします。

応急処置

継続利用可能な状態を目指すこと
例:再起動して特定操作をしないようにする

根本的な解決

原因を解消するための対策を目指すこと
例:故障した基盤を修理する

例えば、パソコンのハードウェアがトラブルの原因で、特定の操作で画面が暗くなる場合、根本的な原因は基盤の故障です。この場合、根本的な解決には基盤の交換・修理が必要ですが、一時的には再起動で業務を続行できます。

トラブルシューティングには複数の原因が絡む場合もありますが、一つ一つ検証していくことが成功への鍵です。

4.トラブルシューティングで押さえたい3つのポイント

トラブルシューティングで押さえたい3つのポイント

トラブルシューティングの手順を理解したところで、コンタクトセンター(コールセンター)で迅速な対応を行うために押さえておきたいポイントを解説します。
これらを参考にすることで、トラブルシューティングの際に困ることが少なくなります。

トラブルシューティングで押さえたい3つのポイント

・トラブルシューティングマニュアルを作成する
・「いつ・どこで・どのような問題が生じるのか」を明確にする
・暫定措置と恒久措置の2段階で取り組む

4-1.トラブルシューティングマニュアルを作成する

トラブルシューティングで最も基本となるのが、「マニュアルの作成」です。

コンタクトセンター(コールセンター)では経験年数に関わらず、どのオペレーターでも対処できるようなマニュアルが必要です。

具体的には、発生している事象に対する想定される原因を列挙し、パターン分岐によって原因を特定できるようにすることで、トラブル解決の精度を高め、顧客満足度(CS)を向上させます。

トラブルシューティングのマニュアル作成時のポイントは以下の通りです。

トラブルシューティングマニュアル作成のポイント8つ

1 問い合わせやクレームの原因と解決策のログを「電話・チャット・メール」などから収集する
2 収集したログをトラブル内容ごとに「カテゴリー分け」する
3 問い合わせやクレームの頻度が高く「解決すべき優先度が高いもの」をリストアップする
4 トラブルシューティングの基本的な考え方を、マニュアル内に明示する
5 顧客に対して、困っていることに関する「アンケート」や「インタビュー」を実施する
6 まとめたマニュアルは、関連部署に「回覧・チェック・フィードバック」を依頼する
7 「中学生や高齢者が読んでも分かるか」を確認する(専門用語や業界用語が含まれていないか)
8 製品に関するWebサイトに「よくあるトラブル&解決マニュアル」を掲載する

これらのポイントを押さえて、新人・ベテラン問わず、誰もがトラブルシューティングを行える環境を構築しましょう。

4-2.「いつ・どこで・どのような問題が生じるのか」を明確にする

トラブルシューティングでは、契約情報や商品スペックに加えて、5W1Hの中でも特に「いつ・どこで・どのような問題が生じたのか」の3点を顧客に確認することが重要です。

この情報を把握することで、トラブル発生のシチュエーションに「法則性があるのか」や「どんな環境下で起こりうるのか」が明らかになり、原因を特定しやすくなります。

例えば、パソコンメーカーにおいて、「パソコン画面に異常がある」という問い合わせがあった場合、次のように情報を聞き出すことができます。

「パソコン画面に異常がある」という場合に想定される
トラブルの種類と一次対処例

パソコン画面が映らない

いつ

昨日から

どこで

パソコンの画面

どのような問題が生じるのか

電源ボタンを押しても画面が映らない

想定原因

「電源が入らない」または「モニターが映らない」可能性が高い

案内する一次対処案

【原因を電源かモニターか切り分ける】
・電源プラグが外れていないか確認
・パソコン本体の充電状況を確認
・モニターの表示内容を確認

パソコン画面が暗い

いつ

3日前から

どこで

パソコンの画面

どのような問題が生じるのか

画面が暗い

想定原因

3日前に誤って何らかの操作をした可能性がある

案内する一次対処案

・3日前の操作方法を確認
・画面の明るさ設定を調整
・画面設定をデフォルトに戻す

パソコンの電源は入るが、画面に線が入ってしまう

いつ

1ヵ月ほど前から不定期に発生

どこで

パソコンの画面

どのような問題が生じるのか

画面に線が入る

想定原因

ハードの問題の可能性が高い

案内する一次対処案

・線が入るきっかけとなった操作を確認
・他デバイスに接続して画面出力を確認
・修理依頼を促す

このように、「いつ・どこで・どのような問題が生じるのか」を明確にすることで、原因を特定しやすくなり、適切な対処法を案内できるようになります。
トラブルシューティングを行う際には、この点をぜひ押さえておきましょう。

4-3.暫定措置と恒久措置の2段階で取り組む

トラブルシューティングでは、暫定措置と恒久措置の2段階で取り組むことが重要です。

・暫定措置:一時的な対処です。
・恒久措置:同じトラブルが再発しないための根本的な対策です。

例えば、デジタルカメラメーカーで「撮影したデータを消去できない」という問い合わせがあったとします。

デジタルカメラには撮影データを消去できる機能があるため、オペレーターが撮影データの消去方法を案内することが、暫定措置としての問題解決となります。しかし、同様の問い合わせが頻繁に寄せられる場合は、「恒久措置」を検討する必要があります。

以下は、「撮影データを消去できない」という問い合わせに対する恒久措置として考えられる例です。

「撮影データを消去できない」という問い合わせが
多数寄せられた場合の「恒久措置」

・消去ボタンをカメラ本体に新たに追加する
・消去ボタンのデザインを変更し、視認性を向上させる (例:ゴミ箱マーク等)
・カメラの液晶をタッチパネル式にし、消去ボタンを設置する
・マニュアルに「撮影データを消去する方法」をわかりやすく掲載する

顧客からの問い合わせ内容や理由のログを記録し、以下の判断を行うことで、商品やサービスの品質向上に役立てましょう。

・暫定措置だけで問題が解決するか
・恒久措置が必要かどうか

このような積み重ねが、トラブルシューティングの精度を向上させ、顧客満足度(CS)の向上につながります。

5.トラブルシューティングをコールセンター専門の会社にアウトソーシングする

これまでトラブルシューティングの必要性や手順について解説してきましたが、実際に運用する際には以下のような課題がしばしば発生します。

「自社で運用する知識やノウハウが不足している」
「トラブルシューティングを行える人材リソースが不足している」

このような場合は、テクニカルサポートに強みがあるコンタクトセンター(コールセンター)にアウトソーシングすることを検討するのが効果的です。

テクニカルサポートは、電化製品やソフトウェアなどが提供するサービスで、使用方法やトラブル発生時の対応方法に関する技術的な問い合わせや修理受付を行います。専門的な知識を活用して迅速かつ効果的な解決策を提示できるため、スムーズな問題解決が実現します。

私たち「トランスコスモス」は、企業向けの社員ヘルプデスクサービスを展開してきた実績があり、テクニカルサポートが得意な領域です。

トランスコスモスの「テクニカルサポート」の詳細はこちら

ナレッジを効果的に活用することで、入電を削減し、自己解決率の向上を図るオペレーションモデルを確立しています。「テクニカルサポートを導入してトラブルシューティングに対応できる体制を整えたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ

いかがでしたか?
「トラブルシューティングとは何か」について、理解が深まったのではないでしょうか。
最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。

〇トラブルシューティングとは、電化製品やソフトウェア、システムなどにトラブルが発生した際に、原因を特定し解決に導く一連のプロセスのこと

〇トラブルシューティングの必要性は下記のとおり

・顧客の抱える悩みを迅速に解決できる
・オペレーターの「問題解決力」を平準化できる

〇トラブルシューティングの手順は下記のとおり

ステップ1.現状を正しく把握する
ステップ2.トラブルが発生した箇所を特定する
ステップ3.トラブルが発生した条件を検討する
ステップ4. 原因究明と最終的な問題解決につなげる

〇トラブルシューティングで押さえたいポイントは下記のとおり

・トラブルシューティングマニュアルを作成する
・「いつ・どこで・どのような問題が生じるのか」を明確にする
・暫定措置と恒久措置の2段階で取り組む

トラブルシューティングは、顧客満足度の向上させるためにも欠かせないサポートです。トランスコスモスではテクニカルサポートを提供していますので、お気軽にお問い合わせください。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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