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ゼロパーティデータとは?重要視すべき3つの理由と収集方法を解説

ゼロパーティデータとは、顧客が意図的かつ積極的に企業やブランドと共有する情報のことです。

ゼロパーティデータとは、

ゼロパーティデータは顧客に同意を得て、ヒアリングやアンケートを行い、情報収集をします。顧客自身が回答をするので、価値の高いデータを収集できるところが特徴です。

2020年頃より注目され始めた新しい考え方なので、ゼロパーティデータを適切に把握しいち早くマーケティングに活かすことが大切です。

そこでこの記事では、ゼロパーティデータの概要や活用すべき理由、そして収集方法をまとめて解説していきます。

◎ゼロパーティデータとは
◎ゼロパーティデータが注目される理由
◎ゼロパーティデータを活用すべき3つの理由
◎ゼロパーティデータの収集方法
◎ゼロパーティデータを収集するときの3つのポイント

この記事を最後まで読めばゼロパーティデータの収集方法や活用方法が把握でき、企業やブランドのマーケティングに使えるようになるはずです。

ロイヤルカスタマーの育成や売上アップにつながる戦略的なマーケティングをするためにも、ぜひ参考にしてみてください。

1.ゼロパーティデータとは

冒頭でも述べたようにゼロパーティデータ(zero party data)とは、顧客が意図的かつ積極的に企業やブランドと共有する情報のことです。アメリカの調査会社であるForrester Researchが提唱した概念で、2020年ごろより注目を集めるようになりました。

ゼロパーティデータは顧客に同意を得て、ヒアリングやアンケートで情報収集を実施します。顧客自身が回答をするので、価値の高いデータを収集できるところが特徴です。

ゼロパーティデータを含む消費者データは、4つのタイプに分かれています。

消費者データの4つのタイプ

ゼロパーティデータ

顧客が意図的かつ積極的に企業やブランドと共有する情報
例:顧客に同意を得るアンケートやヒアリングの情報

ファーストパーティデータ

自社で収集する情報
例:購入履歴や電話番号・住所などの個人情報・WEB行動履歴

セカンドパーティデータ

他社が収集した情報(自社では収集が難しい情報)
例:cookieの情報・金融資産や収入など自社での収集が難しい情報

サードパーティデータ

データ収集を専門とする第三者機関の情報
例:人口統計情報・企業情報など第三者が収集して提供している情報

ファーストパーティデータは、自社で収集する情報のことです。webサイトの購入履歴や電話番号、住所などの個人情報が当てはまります。ゼロパーティデータとの違いは、顧客が意図的、積極的に提供する情報ではないことです。

購入履歴やweb閲覧履歴、電話番号などの情報は顧客の意図とは関係なく収集できるため、ファーストパーティデータに含まれます。

ただし、ファーストパーティデータもゼロパーティデータも自社で収集する情報には変わりがないので、ゼロパーティデータのことを「同意取得済みファーストパーティデータ」と捉えることもあります。

セカンドパーティデータは、他社が収集した情報を指します。cookieの情報や他社に依頼して収集した情報は、セカンドパーティデータに含まれます。

そして、サードパーティデータはより専門性の高い第三者機関の情報のことです。人口統計情報や企業情報など第三者機関が情報収集をして提供しているデータを指します。

このように、消費者データは4タイプに分かれており、唯一ゼロパーティデータのみ顧客が意図的、積極的に提供する情報となっています。

次の章では、なぜ今ゼロパーティデータが注目されるのか解説していきます。

2.ゼロパーティデータが注目される理由

ゼロパーティデータが注目される背景には、次の2つの変化があります。

・情報収集方法の変化
・消費者の情報提供の意識の変化

この2つの変化がゼロパーティデータとどのような関連があるのか解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

2-1.情報収集方法の変化

近年、各国で消費者のプライバシー保護を重視する動きが出ています。

実際にGoogleはWebブラウザ「Chrome」経由でのCookieのサポートを、2023年半ばから段階的に廃止する予定であることを発表しました。今後はセカンドパーティデータやサードパーティデータの取得が、より難しくなっていくでしょう。

ゼロパーティデータは顧客が自発的に提供してくれる情報なので、プライバシーを尊重しデータの収集ができます。

今後は顧客情報の取り扱いに対する同意や情報取得の同意が必要となると考えられるため、ゼロパーティデータへの知識を深めることが欠かせません。

2-2.消費者の情報提供の意識の変化

チーターデジタルが実施した「デジタル消費者調査レポート2021」によると、cookieの追跡による情報提供に不信感を抱いている消費者が全体の3分の2を占めることが分かりました。

一方で、自分へのサービスが向上するのであれば個人情報を提供したいと考えている消費者は50%、商品の先行販売や割引など特典を受けるために情報を提供してもいいと考える消費者は約80%にものぼることが分かっています。
出典:チーターデジタル社デジタル消費調査レポート2021

つまり、顧客体験価値が向上するのであれば、積極的に情報を提供したいと考えている消費者は意外と多いことになります。

消費者からの情報収集は、ハードルが高いと感じている企業は多いかと思います。しかし、昨今は顧客自身が体験価値を重視する傾向があり、より良いサービスや体験を受けられるのなら情報提供ができる消費者が増えています。

ゼロパーティデータ取得のハードルが下がり、企業が活用しやすくなっているところもゼロパーティデータが注目される理由の一つです。

3.ゼロパーティデータを活用すべき3つの理由

企業やブランドがゼロパーティデータを活用すべき理由としては、次の3つが挙げられます。

・顧客自身が直接提示する情報なので正確な情報が収集できる
・顧客への理解を深めることにつながる
・ロイヤルカスタマーが増やせる

3-1.正確な情報が収集できる

ゼロパーティデータは本人しか知り得ない情報を、顧客自身が直接提供します。憶測の情報や第三者機関の情報ではないので、情報の質が高いところが特徴です。

たとえば、ファーストパーティデータでは、サイトの利用履歴や個人情報など表面的な情報しか収集できません。

セカンドパーティデータのcookieでは収集できる情報に限りがあるため顧客を深く理解することは難しく、憶測や理想などを含めてマーケティングをする必要があります。

ゼロパーティデータは本人の同意を得て積極的に情報を提供してくれるため、趣味趣向や嗜好など一歩踏み込んだ情報を収集できます。もちろん、本人が直接情報を提供するので、情報そのものの信憑性も非常に高いと考えられるでしょう。

その結果、今まで到達できなかった領域まで深くマーケティングができ、より顧客に寄り添う商品開発やサービス提供が叶います。

3-2.顧客への理解を深めることにつながる

ゼロパーティデータには、顧客自身が企業やブランドにどのように認識して欲しいかという願望が含まれています。極端に言うと

・企業に親近感を感じている
・企業の商品やサービスに満足をしている
・企業の商品やサービスに不満があり改善して欲しいと感じている

など、顧客が企業や商品、サービスに抱く思いや願望が潜んでいるのです。

顧客の願望を読み取ることで顧客への理解を深めることができるのはもちろんのこと、最適な商品やサービスの提供ができます。

たとえば、自社商品の購入頻度が高い顧客を対象に、許可を得てアンケートを実施したとします。購入頻度の高い顧客とは言え、普段から積極的にコミュニケーションは取れていないものです。

アンケート内容から

・商品の使いにくい部分を改善して欲しい
・今の商品や企業の姿勢に安心感を得ている

など、今までにない声が拾えれば顧客への理解が深まります。顧客の声を参考にワンランク上の提案やサービス提供ができれば、ロイヤルカスタマーへの育成ができるでしょう。

顧客の本当の願望は、ファーストパーティデータやセカンドパーティデータからは見えてきません。顧客への理解を深めるには、ゼロパーティデータの活用が欠かせないのです。

3-3.ロイヤルカスタマーが増やせる

ゼロパーティデータは、ロイヤルカスタマーの育成にも活用できます。

従来のマーケティングは新規顧客に重点を置き、新規顧客の獲得から時間をかけてロイヤルカスタマーに育成をする方法が主流でした。

しかしこれでは、売上の大半を占めるロイヤルカスタマーの獲得までに時間と労力を要します。そこで、ゼロパーティデータを活用し、ロイヤルティの高い顧客へのアプローチを重視する流れにシフトチェンジが起きています。

3-3.ロイヤルカスタマーが増やせる

出典: チーターデジタル

ファーストパーティデータやセカンドパーティデータでは、ロイヤルティの高い顧客の願望や思いが把握できません。

ゼロパーティデータならロイヤルティの高い顧客の意見を直接収集でき、商品やサービスに反映することでより良好な関係を築けます。

ロイヤルティの高い顧客を増やし良好な関係を維持していくためにも、ゼロパーティデータの活用が必要です。ロイヤルカスタマーについて詳しく知りたい場合は、下記の記事も参考にしてみてください。

4.ゼロパーティデータを収集する方法

ゼロパーティデータの収集方法は、決まった方法はありません。現在主流となっているのは、ヒアリングとアンケートで情報を収集する方法です。

それぞれどのようにゼロパーティデータの取得をするのか、簡単に解説していきます。

4-1.ヒアリングで取得する

1つ目は、コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)のオペレーターが顧客にヒアリングをする方法です。

まずは顧客の趣味嗜好などを顧客管理システムに取り込める設計をします。その後、顧客から同意を得て、オペレーターがヒアリングを行います。

たとえば

・好みのカラーバリエーション
・良く着るコーディネート
・解約の場合は理由や理想の価格帯

など、目的に合わせた質問をして顧客に答えてもらいます。ヒアリング結果はCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)などのデータプラットフォームに取り込み、分析に活かします。

4-2.セルフアンケートで取得する

2つ目はWEBアンケートや郵送調査など顧客に自主的にアンケートを回答してもらう方法です。事前に顧客から同意を得て、アンケートを実施します。

こちらのアンケート結果も、CDPなどのデータプラットフォームに取り込み、分析に活かします。セルフアンケートは、コンタクトセンターと異なり収集できるサンプルが多いという特徴はありますが、趣旨が伝わりにくいこともあるため設計が重要になります。

トランスコスモスでは、ヒアリング、セルフアンケートどちらの手法でもゼロパーティデータ取得を行うことが可能です。どちらの場合でも収集プラットフォーム、データ取得にあたっての設計、それをどのように活用していくのかを見据えた戦略策定が重要になりますが、全ての領域で支援可能ですので興味があれば一度ご相談ください。

5.ゼロパーティデータを収集するときの3つのポイント

最後に、ゼロパーティデータを収集するときに知っておきたい3つのポイントをご紹介します。

・回答の収集性と適切性を考慮し方法や内容を決める
・情報提供のお礼を用意する
・データの収集目的や収集結果を示す

ゼロパーティデータを効率よく収集するためにも、ぜひチェックしておきましょう。

5-1.回答の収集性と適切性を考慮し方法や内容を決める

質の高いゼロパーティデータを取得するには、回答の収集性と適切性を考慮する必要があります。

回答の収集性

顧客の手間や負担を考慮して情報収集しやすい状況を作ること

回答の適切性

目的に応じた適切な回答をしてもらえること

回答の収集性とは、顧客の手間や負担を抑えて情報収集しやすい状況を作ることです。ゼロパーティデータの収集には顧客の同意が必要なので、顧客が協力してくれなければ情報の収集自体ができません。

顧客が難なく協力できるように、回答時間や回答数を考慮して内容を決める必要があります。回答の適切性とは、目的に応じた適切な回答をしてもらえることです。この適切性を向上させるためにはカスタマージャーニーを充分に考慮した上で設計をしていく必要があります。どういったシーンで何を検討していくためにどういうことを収集していけばいいか、これをジャーニーから設計するのが重要になります。

ゼロパーティデータであっても、顧客が適当な回答のできる内容であれば情報の精度が下がります。たとえば、2択や3択で回答するだけのアンケートでは、適当な回答をしやすくなるでしょう。

・記述式にする
・精度の高い回答には何らかのインセンティブがある
・情報収集の結果を公表する

など、顧客が手を抜きにくい状況を作ることで回答の適切性を維持できます。

5-2.情報提供のお礼を用意する

チーターデジタルが実施した「デジタル消費者調査レポート2021」では、約80%の消費者が商品の先行販売や割引など特典を受けるために情報を提供してもいいと考えていることが分かっています。

つまり、顧客は何らかのインセンティブがあれば積極的に情報提供をしたいと考えるようになるのです。先ほども述べたように、ゼロパーティデータの収集には顧客の協力が欠かせません。

そのため、ゼロパーティデータを収集するときには、あらかじめ情報提供のお礼を用意しておくといいでしょう。加えて、情報提供によりブランドのサービスが向上したり、パーソナライズコンテンツの精度が高まったりする顧客体験もインセンティブとなることを理解しておきましょう。

・アンケート回答で割引や特典が受けられる
・アンケート回答者の中から抽選でプレゼントを用意する
・回答することにより、顧客体験が高まる

など、顧客が積極的に情報提供をしたいと感じるインセンティブを考えてみてください。

5-3.データの収集目的や収集結果を示す

ゼロパーティデータの収集目的や収集結果は、協力してくれた顧客にしっかりと提示するようにしましょう。その理由は、2つあります。

1つ目は、顧客に前向きに情報提供をしてもらうためです。「何のためのアンケートなのか?」「何に使用されるのか」不透明なままでは、不信感を感じることがあります。

本音を回答することに不安を覚えることも考えられるので、情報の質が低下するでしょう。

・より良いサービスを提供するため
・新商品の開発のため
・改善点や現状を把握するため

など具体的な目的が分かれば積極的に協力したいと感じる顧客も多いので、ゼロパーティデータを収集する目的を顧客に伝えることが大切です。

2つ目は、顧客と良好な信頼関係を築くためです。自分自身が回答した情報がどのように使用されるのか分からないと、不信感を得る可能性があります。

そこで、ホームページや会員サイトなどで収集したデータの結果を提示すると、有効活用されていると安心してもらえます。結果が明確になると顧客自身が企業やブランドをサポートしている実感も沸くため、良好な関係を継続しやすくなります。

まとめ

いかがでしたか?ゼロパーティデータの概要や活用すべき理由が把握でき、企業やブランドのマーケティングに活かせるようになったかと思います。

最後にこの記事の内容をまとめてみると

〇ゼロパーティデータとは、顧客が意図的かつ積極的に企業やブランドと共有する情報のこと

〇ゼロパーティデータが注目される理由は次の2つ

1)各国で消費者のプライバシー保護を重視する動きがあり情報収集方法が変化した
2)特典があったり顧客体験価値が向上したりするなら情報提供してもいいと考える顧客が増えた

〇ゼロパーティデータを活用すべき理由は次の3つ

1)顧客自身が直接提示する情報なので正確な情報が収集できる
2)顧客の願望を把握でき、顧客への理解を深めることにつながる
3)ロイヤルカスタマーが増やせる

〇ゼロパーティデータを収集する方法は次の2つ

1)コンタクトセンター(コールセンター)のオペレーターがヒアリングをする
2)セルフサービスで取得する

〇ゼロパーティデータを収集するときのポイントは次の3つ

1)回答の収集性と適切性を考慮し方法や内容を決める
2)クーポンや割引、顧客体験の向上など情報提供のお礼を用意する
3)データの収集目的や収集結果を示す

この記事をもとにゼロパーティデータへの理解を深めて、企業やブランドのマーケティングに活用できることを願っています。

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