「ユーザーコミュニティってどういうものなのかわからない」
「ユーザーコミュニティを導入して自社にとって本当に効果があるの?」
ユーザーコミュニティがどういうものなのか何となくは理解しているけれど、具体的にイメージするのが難しく、自社に導入するべきなのか判断に迷ってしまう…と感じてしまいますよね。
ユーザーコミュニティとは、「ユーザー同士」や「ユーザー対企業」で知識やノウハウ、アイデアを共有し、疑問を解決し合う場所のことです。
【代表的なユーザーコミュニティの形態例】
オンライン | オフライン | |
内容 | ・オンラインコミュニティツール | ・商品、サービスを起点とした交流会 |
そしてユーザーコミュニティを導入すると以下のようなメリットがあります。
①顧客ロイヤルティを向上できる |
▼本記事の内容 |
この記事を読むことで、ユーザーコミュニティとは何かを知り、そして自社に導入して効果があるのかを判断できるようになるだけでなく、実際にコミュニティを導入する際の構築方法まで知ることができます。ぜひ最後までお読みください。
1.ユーザーコミュニティとは
まずはユーザーコミュニティとはどういうものなのか、以下の2点を解説します。
・ユーザーコミュニティとはユーザー同士が知識やノウハウを共有し合う場所 |
それでは詳しく見ていきましょう。
1-1.ユーザーコミュニティとはユーザー同士が知識やノウハウを共有し合う場所
ユーザーコミュニティとは、商品・サービスのユーザーが集まって知識やノウハウ、アイデアを共有したり、商品・サービスに関する悩みや疑問をユーザー同士で解決しあったりする場所のことです。
また、商品・サービスを提供する企業はユーザーからの質問・相談に対する回答や、ユーザーから寄せられた要望・アイデアの受け付けを行うこともあります。
例えば、音楽のサブスクリプションサービスを利用するユーザー同士がオンライン上でつながれるコミュニティサイトでは、
・サービスに関する質問の投稿や課題解決方法の検索 |
といったように、ユーザー同士や、ユーザーと企業で、情報のやり取りができるようになっています。
具体的に、ユーザーコミュニティにはどのようなものがあるのかについては、次項「1-2.ユーザーコミュニティは2種類ある【例4つ】」で詳しく解説します。
1-2.ユーザーコミュニティは2種類ある【例4つ】
ユーザーコミュニティには、オンライン・オフラインの2種類があります。
【コミュニティの種類】
オンライン | オフライン | |
内容 | ・オンラインコミュニティツール | ・商品、サービスを起点とした交流会 |
それぞれ具体的に見ていきましょう。
オンライン
ユーザーコミュニティの種類の1つめは「オンライン」です。
オンラインのユーザーコミュニティには、
1.オンラインコミュニティサイト |
などがあります。
【オンラインのユーザーコミュニティ例①】 ◆音楽サブスクリプションサービスのユーザーコミュニティサイト(BtoC) <本例からわかるユーザーコミュニティの成果> |
【オンラインのユーザーコミュニティ例②】 ◆顧客管理ソフトウェアサービスのユーザーコミュニティ向け掲示板(BtoB) <本例からわかるユーザーコミュニティの成果> |
このようにオンラインにおけるユーザーコミュニティでは、ユーザーがオンライン上の特定の場所に集い質問や疑問を解決しあったり、意見やアイデア、ノウハウや知識を共有し合ったりすることができます。
オフライン
2つめのユーザーコミュニティの種類は「オフライン」です。
オフラインのコミュニティはユーザー同士、ユーザーと企業が対面で会い、お互いの知識やノウハウ、アイデアを共有したり、質問や疑問を解決し合ったりできるリアルイベントのことです。
オフラインのユーザーコミュニティには、
1.商品・サービスを起点とした交流会 |
などがあります。
【オフラインのユーザーコミュニティ例①】 ◆世界中で宿泊場所の貸し借りを行うサービスのユーザーコミュニティ <本例からわかるユーザーコミュニティの成果> |
【オフラインのユーザーコミュニティ例②】 ◆キャンプ用品メーカーによるユーザーコミュニティ <本例からわかるユーザーコミュニティの成果> |
2.ユーザーコミュニティの5つのメリット
ユーザーコミュニティがどういうものなのか理解したところで、「ユーザーコミュニティを導入する必要があるのか?」気になるところなのではないでしょうか。
そこで2章から4章にかけて
・ユーザーコミュニティのメリット、デメリット |
について解説します。「自社にユーザーコミュニティを導入するべきか」を判断しましょう。
まずはユーザーコミュニティのメリットについて、以下5点を解説します。
2-1.顧客ロイヤルティを向上できる
1つめのメリットは「顧客ロイヤリティを向上できる」ことです。
ユーザーコミュニティが顧客ロイヤルティを向上できる理由は2つあります。
1つめは「コミュニティ内の仲間意識の醸成によって愛着が生まれる」ためです。
ユーザーコミュニティにはユーザー同士に「同じ商品・サービスを使っている」という共通点があるため、コミュニティ内でやり取りをし、語り合う中で仲間意識が醸成されます。その結果、コミュニティや商品・サービスに対する愛着が湧き、顧客ロイヤルティが向上します。
例えば「メモアプリA」というサービスのコミュニティサイトについて考えてみましょう。
コミュニティ内では、そのメモアプリAのユーザーが集まり、
・新しい使い方、活用事例などのノウハウの紹介 |
などのコミュニケーションが行われています。
具体的には、
「鑑賞した映画の作品情報と感想を管理している」
「読んだ本の情報や要約を記載している」
といった活用事例や、
「メモ上で表を作成する方法を知りたい」
といった質問や解決策の投稿がなされます。
こうしたコミュニケーションを通して、各ユーザーが「なるほど!こんないい活用方法があるのか!」と感じたり、「自分の共有した活用方法にみんなが『いいね』と反応してくれる」と喜んだり、「疑問点を解決してくれてありがたい」と感じたりする中で、コミュニティや商品・サービス、ひいては企業に対してロイヤルティが高まっていきます。
2つめの理由は「コミュニティで発信された意見や改善提案が実際に商品・サービス改善に活かされる」ためです。
先ほどのメモアプリAの例で考えると、ユーザーによって、
「付箋機能をつけてほしい」
「過去のメモを探しやすくするために検索機能をつけてほしい」
といった改善提案がコミュニティ内で投稿されます。
そうしたユーザーの声を企業が商品改善に活かすことで、ユーザーにとってより使いやすい商品・サービスとなります。その結果、企業に対して信頼感が生まれ、顧客ロイヤルティが向上するのです。
このようにユーザーコミュニティの運営が顧客ロイヤルティ向上へとつながるのは、大きなメリットといえるでしょう。
2-2.サポート部署の負担を減らせる
2つめは「サポート部署の負担を減らせる」ことです。
というのも、ユーザーコミュニティではユーザー同士で疑問を解決し合うことができるため、カスタマーサポートへの問い合わせが減り、サポート部署の負担を減らせるのです。
先ほどの「メモアプリA」というサービスの例でみてみましょう。
コミュニティサイトにQ&Aができるような仕組みを整えておくことで、
「メモアプリ上で表を作成する方法を知りたい」
といった質問を投稿すると別ユーザーが回答するといったように、ユーザー同士で疑問を解決し合ってくれます。
さらに「検索機能」を加えることで、他のユーザーが全く同じ疑問を抱いたときに検索し、このQ&Aを見つけることで、自己解決を促進させることもできます。
その結果、「顧客が抱く疑問点の解決」に対応するサポート部署の負担を減らすことができるのです。
サポート部署では「自己解決率の向上」を課題にしている企業も多いため、サポート部署の負担を減らせるという点は、ユーザーコミュニティのメリットといえます。
2-3.商品・サービスの改善・開発につなげられる
3つめは「商品・サービスの改善・開発につなげられる」ことです。
ユーザーコミュニティでは、ユーザーが商品・サービスに関する意見や改善提案を話したり、発信したりできるようになっています。
・顧客は商品・サービスのどこを改善してほしいのか |
といった点をコミュニティから収集できるため、商品・サービスの改善・開発につなげることができるのです。
メモアプリAの例で考えると、
「過去のメモを探しやすくするために検索機能をつけてほしい」
といった改善提案がコミュニティ内で投稿されます。
この場合企業は、
「検索機能をつけることで、より使いやすくなり、顧客を満足させられる」
と判断し、サービス改善につなげることができます。
このように、ユーザーインタビューやアンケートを実施しなくても自然と、商品・サービスにおける改善点や意見を収集でき、改善・開発につなげられるのはユーザーコミュニティの魅力といえるでしょう。
2-4.解約率を下げる
4つめは「解約率を下げる」ことです。
ユーザーコミュニティを運営することで、顧客に長く商品・サービスを使い続けてもらうことができます。
先述の通りユーザーコミュニティでは、
・活用事例や疑問点の解決など、使い続けることでその商品・サービスに関する有益なノウハウや知識が手に入る |
といったように、商品・サービスとユーザーコミュニティをあわせて利用し続けることで得られる情報が有益であるため、使い続けることにメリットを感じてもらいやすいのです。
メモアプリAの例を顧客視点で考えてみます。
メモアプリAは月額サブスクリプションサービスで、ユーザーのBさんは月額がより安い別のメモアプリに切り替えようと考えました。
しかしユーザーコミュニティでの交流や疑問点解決、活用事例を知れる、顧客の声を反映してどんどんサービス改善していくなど、メモアプリAには使い続けるメリットが大きいと判断。
最終的には、BさんはメモアプリAを利用し続けることにしました。
さらにユーザーコミュニティ内で、
・商品、サービスの特別キャンペーンの案内 |
を行えば、顧客がコミュニティを利用するメリットがさらに大きくなり、商品・サービスもコミュニティも利用を続けてくれ、顧客を囲い込むことができます。
このように、ユーザーコミュニティを運営することで顧客を囲い込み、解約率を下げられるという点はメリットといえるでしょう。
2-5.カスタマーサクセスの効果を大きくする
5つめは「カスタマーサクセスの効果を大きくする」ことです。
カスタマーサクセスとは、直訳すると「顧客の成功」。商品・サービスを購入した顧客に対して積極的にアプローチし、「顧客のビジネスにおける成功」を支援するというものです。
ユーザーコミュニティでは、カスタマーサクセスの基本施策である「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」と組み合わせることで、効果の高いカスタマーサクセスを実現できるのです。
ハイタッチ、ロータッチ、テックタッチとは、下記のとおりです。
【各タッチ施策の解説】
施策 | アプローチ | 内容 |
ハイタッチ | 1対1 | 担当者による訪問やWeb会議などの個別打ち合わせを行う。個別状況をふまえた活用推進を実施。 |
ロータッチ | 1対多 | セミナーなどを実施。発信は企業が行い、複数のユーザーがオーディエンスとなる。 |
テックタッチ | 1対N | メールマガジンやヘルプページ等、企業が発信する施策。理論上全ユーザーが対象となる。 |
このようにカスタマーサクセスの基本施策とユーザーコミュニティを組み合わせることで、カスタマーサクセスの効果を最大化します。
カスタマーサクセスに取り組もうとしている企業、すでに取り組んでいる企業にとって、ユーザーコミュニティの運営は重要な施策の一つであり、運営のメリットは大きいといえます。
カスタマーサクセスにおけるコミュニティの運営については、以下の記事で詳しく解説しています。
3.ユーザーコミュニティの4つのデメリット
ユーザーコミュニティのデメリットは以下の4つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.運営負担がかかる
1つめのデメリットは「運営負担がかかる」ことです。
ユーザーコミュニティは立ち上げ時、立ち上げ後の管理・運営にそれぞれ負担がかかります。
以下はユーザーコミュニティ運営負担の一例です。
【ユーザーコミュニティ運営の負担一例】
<ユーザーコミュニティ立ち上げ時> ・ユーザーコミュニティ用のホームページ作成をする |
<ユーザーコミュニティ管理・運営時> ・ユーザーからの質問に回答する |
このように、ユーザーコミュニティを立ち上げて運営するためには多くの工数やリソースが必要になるなど、大きな負担がかかります。
ユーザーコミュニティは「手軽に立ち上げて運営する」というものではなく、新たに企業の工数や社内リソースをしっかり使わなければならず、負担がかかるという点はデメリットといえるでしょう。
3-2.効果が出るまで時間がかかる
2つめは「効果が出るまで時間がかかる」ことです。
というのも、ユーザーコミュニティが認知され、ユーザー数が増えるまで待つ必要があるからです。
先ほどの「メモアプリA」のユーザーコミュニティサイトの立ち上げを例に考えてみましょう。
このユーザーコミュニティサイトを立ち上げた後は、誰もメモアプリAのユーザーコミュニティサイトがあることを知りません。
そのためまずは、
・メモアプリAのユーザーコミュニティサイトがオープンしたこと |
などを継続的に発信して、コミュニティを認知してもらいます。ユーザーがコミュニティを認知しなければ、そもそもアクセスがされずユーザーは集まりません。
またメモアプリAのコミュニティサイトの参加ユーザー数を増やすには、そのサイトに有益なコンテンツ「メモアプリAの使い方事例」「メモアプリAに関する質問と回答」が投稿され続けている必要があります。
なぜなら、有益なコンテンツが発信され続けているコミュニティになって初めて、ユーザーに参加するメリットが生まれるからです。コンテンツが何もないユーザーコミュニティにはユーザーは参加するメリットがなく、ユーザー数は増えません。
運営企業がコンテンツを作って投稿し続け、ある程度蓄積されたり、ユーザー同士によるコミュニケーションが活発に行われるようになるには、短期間の運用では難しいでしょう。
コミュニティを育てるためには、少なくとも半年から数年はかかる、ということを知っておきましょう。
3-3.ユーザー同士のトラブルリスクがある
3つめは「ユーザー同士のトラブルリスクがある」ことです。
ユーザーコミュニティでは、ユーザーが自由にコメントや意見交換ができます。
そのため、時にはユーザーがネガティブな内容を発信する可能性もあり、ユーザー同士で意見がぶつかって思わぬ炎上やトラブルが発生する可能性があるのです。
例えば
「競合他社B社のサービスと比較したら、B社のサービスのほうがよかった」
という発言がコミュニティの中で発信され、他のユーザーが、
「いや、A社(コミュニティ運営企業)のサービスを使いこなせていないだけだ。A社のサービスのほうが優れている」
といった返信をしたことに端を発し、議論が大きくなって炎上してしまうリスクがあるでしょう。
このように、ユーザーコミュニティの中でユーザー同士が自由にコミュニケーションを取れる代わりに、ユーザー同士のトラブルリスクがあります。そのため、ユーザーの言動を適切に監視・管理する必要があり、一定の手間がかかってしまうことがデメリットといえるでしょう。
3-4.効果を可視化しづらい
4つめは「効果を可視化しづらい」ことです。
Web広告であれば、
・広告が実際に表示された回数 |
などを数値で確認できるため、効果が見えやすくなっています。
一方でユーザーコミュニティの場合、コミュニティのユーザー数やコミュニティ内での投稿数などを数字で見ることはできますが、どれくらいの売上に貢献しているかを測るのは難しいでしょう。
コミュニティのユーザーが周囲の人にどれほどの宣伝効果をもたらしたのかを可視化するのは、技術的に難しいのです。
ユーザーコミュニティを運営する際にはコストやリソースが必要になるにも関わらず、売上に対して、その効果がどのくらいあったのかを可視化できない、というのは企業にとってデメリットといえるでしょう。
4.ユーザーコミュニティの成功事例2つ
ここで、ユーザーコミュニティに取り組んで成功した事例を以下2つご紹介します。
・「キューピー マヨネーズ ファンクラブ」のユーザーコミュニティの成功事例 |
成功事例を知ることで、具体的な導入イメージが描けるため、自社に導入するかどうかの判断材料となるでしょう。
それでは詳しく見ていきましょう。
4-1.キューピー株式会社の成功事例
【行ったこと】
キユーピー株式会社(以下、キユーピー)は、2014年に「キユーピーマヨネーズファンクラブ」というユーザーコミュニティを開設しました。このコミュニティでは、ユーザー同士がコメントのやり取りを行えるようになっています。
コミュニティの中には「ラウンジ」「アカデミー」の2つのコミュニケーションの場があります。
ラウンジ | ユーザー同士でマヨネーズを使った料理を教え合ったり、旬野菜のレシピについて相談し合ったり、自由に投稿を楽しむスペース。 |
アカデミー | 毎年4月から1年間を1期として運営する学校スタイルの特別なスペース。企業側がマヨネーズの原料へのこだわりや、調理に使うメリット、マヨネーズを活かした調理法、開発の歴史などの雑学を紹介する。 |
上記の「アカデミー」スペースには「講義」「実習」の2タイプの投稿コーナーがあります。
「講義」では、ユーザーはキユーピーマヨネーズの特徴を知識として学び、「実習」では、実際にマヨネーズ活用メニューを作って体感します。一定回数以上「実習」に参加すると、卒業試験に挑戦でき、合格すればマヨネーズを使いこなす「マヨシェルジュ」に認定されます。
このようにキユーピーのコミュニティでは、ユーザー同士がマヨネーズの使い方を投稿しあったり、企業側がマヨネーズの使い方を発信したりして、ユーザーコミュニティを運営しています。
【結果】
「キユーピーマヨネーズファンクラブ」を運営した結果、令和3年度集計のマヨネーズの年間購入本数は、ファンクラブ会員の平均は9.4本、マヨシェルジュは13.6本となっています。
同年集計の総務省の家計調査による1世帯当たりのマヨネーズ・マヨネーズ風味調味料の消費量6.0本(※キユーピーマヨネーズの主力商品である450グラムで換算)と比べると、ファンクラブは約1.6倍、マヨシェルジュでは約2.3倍にあたります。
つまりキユーピーマヨネーズに対して、単なる商品を超えた特別な存在として愛着を感じ、パートナーのように思っているユーザーがいる傾向にあるのです。
また、ユーザーが「かける・和えるといった『食卓で使う』用途よりも、『キッチンで使う』ことで、マヨネーズで食材を炒めるとコクや旨味が増す」といったことを実感し、家族に喜ばれるといった成功体験を積むことで、「マヨネーズは料理をおいしくしてくれる存在なのだ」と認識し、強い親近感を持つようになる傾向を、キユーピーはユーザーコミュニティを運営する中で見つけました。
さらに、マヨシェルジュやユーザーたちの投稿をさかのぼることで、「炒め油の代わりに使うとコクがアップし、チャーハンがパラパラに仕上がる」体験や、「卵に混ぜこんで焼くとふわりと仕上がる」といった体験の投稿をきっかけに、調理の投稿が増えたり、好意的なコメントが増えたりといった変化が表れており、「ファン化」が裏付けられています。
このキユーピーの事例は、ユーザーコミュニティを運営することによって、顧客ロイヤルティを向上させている成功事例といえるでしょう。
4-2.茨城県鹿嶋市の成功事例
次に茨城県鹿嶋市の成功事例をご紹介します。
【行ったこと】
鹿児島市は2021年に自治体主催で「KASHIMA Colorful Base」というユーザーコミュニティを、ファンコミュニティ構築・運営大手のクオンが運営する「”絆”のコミュニティ(絆)」内にオープンしました。
このコミュニティでは、運営側である鹿嶋市役所の職員が、
・コミュニティでの話題提供 |
などを行い、ユーザーとコメントでコミュニケーションを取っています。
このコミュニティでは自治体運営らしからぬカジュアルな雰囲気や、ユーザー 一人ひとりのコメントに対して職員たちが丁寧に対応しています。
時間をかけて考えをまとめたような長文の投稿や、具体的な体験や思いを語るユーザーも多く、職員とのやり取りを楽しんでいる様子がうかがえます。
「こんなまちには住みたくない」
「女性が活躍できるまちになるためには?」
など、さまざまな地域課題をテーマとして常設しており、職員とユーザーたちで議論を深めています。
【結果】
鹿嶋市がこのユーザーコミュニティを運営した結果、実態の見えにくいオンライン関係人口(※)をコミュニティのユーザー数として可視化できるようになりました。
さらに、ユーザーの年齢や性別、日々の投稿がデータとして蓄積されるため、投稿や対話の内容を分析することで、市へ関心を高めてもらうコツが具体的に分かり、より効果的なシティプロモーションや移住定住施策を展開できるようになっています。
※関係人口:都市部などに暮らしながらも、地域や地域住民と関わり続ける人々のこと
5.ユーザーコミュニティの構築4ステップ
ここまで、ユーザーコミュニティとはどのようなもので、自社にとって導入するべきものかどうかを判断できるような判断基準をいくつか示しました。
その上でユーザーコミュニティの運営をしようと決断した場合、次は「どうやってユーザーコミュニティを構築していけばいいのか?」が気になるところです。
そこで5章では、ユーザーコミュニティの構築方法を以下の4ステップで解説します。
それでは各ステップを見ていきましょう。
5-1.【ステップ①】ユーザーコミュニティを作る目的を決める
ステップ①は「ユーザーコミュニティを作る目的を決める」ことです。
ユーザーコミュニティのゴールや方向性を決めておくことで、コミュニティの構築過程でブレない判断ができます。
また、コミュニティの構築と維持には時間やコストがかかるため、事業場の目的を明確にしておくことで、「効果を最大化しつつ、最短距離で目的を達成する取り組み」を考えやすくなるでしょう。
具体的には、
・どのような目的で運営するのか |
を考えるだけでなく、
・ユーザーコミュニティがユーザーにどんな価値をもたらすのか |
ということも明らかにしておきましょう。
例えば、
・新商品のフィードバックを得る場にする |
などです。
このように、まずはコミュニティの目的や方針を決めるようにしましょう。
5-2.【ステップ②】ターゲットを定める
ステップ②は「ターゲットを定める」ことです。
どのような人をターゲットにコミュニティを運営するのかを決めることで、
・ユーザーコミュニティの設計 |
を考える際の指針となります。
ターゲットを考える際は、普段から自社の商品・サービスを使っているリピーターに参加してもらうと、コミュニティは盛り上がりやすくなり、コミュニティの成長が早くなるでしょう。
さらに、自社の商品・サービスに熱意のあるファンから、
・住んでいる地域 |
といった情報を収集したり、商品・サービスを普段どのように使っているのかをヒアリングしたりすると、ターゲットとするべき像が見えやすくなるでしょう。
5-3.【ステップ③】コミュニティの運営方法を決定する
ステップ③は「コミュニティの運営方法を決定する」ことです。
以下の内容を決定し、コミュニティの運営方法を具体的にしていきましょう。
・コミュニティを運営する期間 |
コミュニティの運営期間については、効果が出るまでに時間がかかることから、半年~1年といった中長期スパンで考えましょう。
コンテンツ内容については、ユーザーにヒアリングやアンケートを行い、「どのようなコンテンツを必要としているか」を調査してから具体的なコンテンツを決めます。
まずは調査結果から、「オンライン」「オフライン」のどちらでコミュニティを運営するのか決めた後、具体的なコンテンツ内容を決めるようにしましょう。
例えば、「商品・サービスの使い方」「オフラインセミナー」「活用事例勉強会」「Q&A」といったものです。
また、コミュニティ運営で使用するツールについては、コミュニティで提供するコンテンツ内容に合わせてツールを決めましょう。
5-4.【ステップ④】コミュニティを立ち上げる
ステップ④は「コミュニティを立ち上げる」ことです。
目的やターゲット、運営方法が決定したら、実際にユーザーコミュニティを立ち上げましょう。
コミュニティを運営する際には、以下のようなポイントを意識して効果のあるコミュニティへと育てましょう。
【コミュニティ運営のポイント】
①リーダーとなるユーザーをつくりだす 各ユーザーが自社商品・サービスをどのくらいの頻度で、どのくらいの期間使用しているのか、コミュニティでの発信量が多いのかどうかなど分析を行うことで、積極的にリーダーとして活躍してくれるユーザーを見つけ出せます。 ②参加者を限定としたイベントを開催する 参加者を選ぶ際には、「コミュニティ内の質問に多く回答しているユーザー」や「活用事例を積極的に発信してくれているユーザー」など、貢献度の高いユーザーに参加権を与えると良いでしょう。 ③ユーザーに対してコミュニティの目的を明示する コミュニティ運営企業は、 ・ユーザーが参加すると何が良いのか を見失わないよう、ユーザーに対してコミュニティの目的を明確に伝え続けることが重要です。 ④ユーザー同士でコミュニティをまわしてもらう仕組みを作る ユーザー同士でコミュニティを回す仕組みを作るためには、チャットツールなどを活用して、気軽に交流できる環境を整えるのがおすすめです。一定数のユーザーが参加している状況であれば、自然にコミュニティが活性化していくでしょう。 |
まとめ
この記事では、ユーザーコミュニティとはどういうものなのか解説し、自社に導入するべきか判断できるよう、そのメリット・デメリット・・成功事例などを解説しました。
ここで改めて本記事の内容をおさらいしましょう。
◆ユーザーコミュニティとは
ユーザーコミュニティとはユーザー同士が知識やノウハウを共有し合う場所 |
◆ユーザーコミュニティの種類
・オンライン |
◆ユーザーコミュニティの5つのメリット
①顧客ロイヤルティを向上できる |
◆ユーザーコミュニティの4つのデメリット
①運営負担がかかる |
◆ユーザーコミュニティの構築4ステップ
【ステップ①】ユーザーコミュニティを作る目的を決める |
本記事によってユーザーコミュニティ導入判断ができ、自社にとって価値のあるユーザーコミュニティ導入が成功することを願っています。