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【セミナーレポート】CXマーケティングに必要なVOC分析・好事例

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「VOC(顧客の声)をマーケティングに活用したい!どこでどのように収集すればいいのか?」
「コンタクトセンターでのVOC収集が上手くできていない。いい方法は教えてほしい」

CX(顧客体験)の向上には顧客の本音や生の声となるVOCの活用が欠かせません。しかしVOCをどのように収集し活用すればいいのか悩んでいる担当者は多いのではないでしょうか。

顧客の本音を浮き彫りにするには、アンケート結果やSNS分析だけでは十分な情報を得られません。そこで顧客と直接接点を持つコンタクトセンター(コールセンター)が、顧客にインタビューをして「生の声」を取得するインタビューサービス「tra:Cii(トレイシー)」が注目を集めています。

「tra:Cii(トレイシー)」は顧客意見を深く聴取しビジネスグロースにつなげるサービス

トランスコスモスが2023年8月に実施したオンラインセミナー「CX・マーケティングに継続的な改善視点を見出すVOC分析~活用術~」では、コンタクトセンターでVOCを収集するメリットやトランスコスモスが提供するインタビューサービス「tra:Cii」の魅力、活用事例などを解説しました。

今回は、オンラインセミナーの内容をレポートとしてご紹介します。

◎マーケティング業界の変化と潮流
◎CXマーケティングに継続的な改善視点を見出すVOC分析活用術
◎トランスコスモスが提供するインタビューサービス「tra:Cii(トレイシー)」
◎VOCをマーケティングに活用する具体的な方法
◎よくある質問

この記事を最後まで読めば、コンタクトセンターを活用してVOCを収集するメリットや具体的な方法が分かり、CXマーケティングに活用できるようになります。市場やマーケティング様式の変化に対応して価値を生む施策を実施するためにも、ぜひ参考にしてください。

【登壇者紹介】
トランスコスモス株式会社 グローバル事業統括 CX事業戦略統括部 上席常務執行役員
 福島 常浩

トランスコスモス株式会社 CX事業統括 デジタルカスタマーコミュニケーション総括
 サービス戦略統括部 統括部長
森 紗介

トランスコスモス株式会社 CX事業統括 デジタルインタラクティブ事業本部
事業推進統括部 副統括部長
東野 克己

1.マーケティング業界の変化と潮流

まずは、フィリップ・コトラー教授の「マーケティング3.0~5.0」をベースに昨今のマーケティングの変化について解説します。

まさに今、世界中の人口が停滞から減少しており、更に1990年代半ばから始まったデジタル革命というものが生活にも、マーケティングにも大きく影響を与えているということが言えます。

マーケティング業界の変化と潮流のポイント

①価値の交換から価値の構築へ
②【マーケティング1.0~3.0】マーケティング進化論
③【マーケティング3.0以降】マーケティング進化論
④マーケターなら知っておきたいマーケティングの3つの変化

1-1.価値の交換から価値の構築へ

マーケティングの変化

これまでのマーケティングは企業が価値を創造し顧客に届ける「価値の交換」がマーケティングの主な手段でした。しかし、これからのマーケティングは「企業と顧客が関係を構築し、永続的に維持していく」ことが求められています。

そのためこれからのマーケティングで重要になってくるのは、これまでの商品購入意向の顧客満足指標ではなく、ロイヤリティや顧客体験などどれだけ顧客に好ましい体験を積み上げてもらえるかという点です。

もちろんCS(顧客満足度)の意味がなくなったわけではなく、CS以上に顧客との関係における体験価値が重視されるようになりました。

1-2.【マーケティング1.0~3.0】マーケティング進化論

マーケティング進化論1.0〜3.0

フィリップ・コトラー教授は著書の中で、マーケティング進化論1.0~5.0を発表しています。進化論を紐解きながら、マーケティングの進化を解説していきます。

近代マーケティングは、1920年頃に始まったと言われています。当時は物不足の時代で製品中心のマーケティング(マーケティング1.0)、つまりいい製品をどのように沢山作るかが焦点でした。

今は世界中に多種・多用途な自動車が存在しますが、当時は、非常に高価であった自動車というものを世の中に広めるために、同じスペックで黒一色のT型フォードを大量生産して安く提供するマーケティングが成功をおさめていました。

この後、どんどんコンシューマリズム(消費者主義)が進行していき、生活レベルも向上します。そうなると誰もが同じものを所有していればいいのではなく、「少し違ったものが欲しい」「いいものが欲しい」というニーズが増加します。

その結果、マーケティング2.0では顧客中心のマーケティングが登場します。

企業ではセグメンテーションという概念が生まれ、顧客を1つ1つのセグメントに分けてそれぞれ1番求められている商品を提供するようになっていきます。フィリップ・コトラー教授は、今現在の優良企業のほとんどはマーケティング2.0にあると述べています。

マーケティング3.0は、デジタル化の後に出てきた概念と言っていいでしょう。

サブタイトルとして「製品から人々の魂へ」とあるように、これまで生活者はマーケティングの中で消費者としての側面で捉えられてきました。が、例えば、この広告を見せるとどのように態度が変わり、どのくらい商品を購入してもらえるかのような施策を行ってきたのです。

マーケティング3.0では一人ひとりが製品を評価する、製品を使うだけではなく情緒的な価値や魂に響くような価値などを求める全人的な存在として捉えるようになりました。

簡単にいうとマーケティング2.0ではニーズに合うよい商品であれば顧客は喜んで購入してくれていました。

しかし、今日においては商品の良し悪しだけでなく提供している企業が真面目な企業なのか、もともとは何をやっていた企業なのか、もしくはその企業の社長のライフスタイルが顧客自身と相通じるものがあるかどうかなども選択基準になってきています。

分かりやすい例だと、ESG(Environment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)を考慮した投資活動や経営活動)に対する取り組みも商品の選択基準の1つになっています。

1-3.【マーケティング3.0以降】マーケティング進化論

マーケティング進化論3.0以降

マーケティング3.0の後に4.0、5.0と続きますが、実はマーケティング3.0から5.0は同じ世界観を示したものだと言われています。

3.0の次に4.0が来て、次に5.0が来るということではなく、マーケティング3.0は、人々を「消費者」という立場から「全人的な人」として捉えなければならないことを主張しています。

マーケティング4.0では近年直面しているデジタル化の影響をどのようにマーケティングに取り入れていくのか重視されています。

マーケティング5.0は、3.0と4.0を統合するという主張をしています。

全人的な人とデジタルを統合して、最終的にはテクノロジーは人間性のためにあるという主張です。マーケティング3.0以降の時代になり、企業はこのような方向性を意識した中でマーケティングを実施する必要があるのです。

また、フィリップ・コトラー教授は、この流れを汲んだアントレプレニュー・リアルマーケティングを推奨しています。似たような発想は、サラス・サラスバシ―教授もエフェクチュエーションという概念で話しています。

つまり、予測不能な時代のマーケティングを、どのように行っていくのかということです。

新型コロナウイルスの流行を経験して1年先や2年先、3年先が分からないときに長期計画、年次計画を立てて実行していく方法に対する問題意識の投げかけだと理解いただければと思います。

その中でアントレプレニュー・リアルと言うように一人ひとりの従業員が起業家として未来を予測して適合していくのではなく、プロアクティブに自分が未来を創っていくのだという主張が今のマーケティングの大きな流れです。

1-4.知っておきたいマーケティングの3つの変化

マーケティングが変化していく中で、知っておきたい3つのマーケティングの変化があります。

マーケターが知っておきたいマーケティングの3つの変化

①カスタマージャーニーの変化
②マーケティング・ミックスの変化
③NPSではなく5Aを活用する

変化①カスタマージャーニーの変化

DXに起因するカスタマージャーニーの変化

1つ目は、カスタマージャーニーの管理指標の変化です。

古くから使われてきたカスタマージャーニーは、AIDMA(アイドマ)やAIDA(アイーダ)のAttention(注意を引く)Interest(興味を持たせる)Desire(欲求を刺激する)Action(行動を促す)から成る非常にシンプルで分かりやすいものでした。

今は「5A」(Aware(認知)Appeal(訴求)Ask(調査)Act(行動)Advocate(奨励))のカスタマージャーニーを使用しなければならないと言われています。

フィリップ・コトラー教授の研究によると、従来のカスタマージャーニーは下記のように左から右へ人が減っていくものでした。

AIDAのカスタマージャーニーの例

Attention
(注意を引く)

Interest
(興味を持たせる)

Desire
(欲求を刺激する)

Action
(行動を促す)

100人

80人

60人

40人

このモデルを前提としていると、管理指標は自然とコンバージョンを追求する形になります。今でも多くの管理指標は、コンバージョンを設定しています。

しかし、デジタル時代の顧客は残念ながら、左から右に順番に流れていくわけではないというのがフィリップ・コトラー教授の研究結果です。

実は理想的なカスタマージャーニーは蝶ネクタイ型になり、真ん中が一番細くて両脇が開いている状態です。

理想的なカスタマージャーニーの形

トランスコスモスの経験においても国内でファネル型(逆三角形になる構造)のカスタマージャーニーの構造は、もはやどのカテゴリーでも見ることができない状況です。従来のカスタマージャーニーの考え方では現実を説明できない状態であることを、しっかりと受け止めていかなければならないのです。

変化②マーケティング・ミックスの変化

マーケティング・ミックスの変化

2つ目は、顧客接点の多様化です。

デジタルトランスフォーメーション(企業が外部環境の変化に対応しつつデジタル技術を活用しながら変革を図ることで新しい価値を創出し競争上の優位性を確立すること)が起きるまでは、マーケティングの主な情報伝達手段がマスメディアに限定されていました。

マスメディアの予算配分を決めて、それを軸にマーケティング戦略を組み立てられた時代であったと言えます。しかし、現在は顧客と企業がデジタルを中心にSNSやホームページ、検索など非常に多くの接点を持っています。20や30ある多接点を統合的に管理していく必要があるのです。

変化③NPSではなく5Aを活用する

5AとNPSの違い

3つ目は、ロイヤルティマーケティングやCXマーケティングの指標の変化です。

NPS(企業サービスへの愛着度・信頼感を測定する指標)は、ロイヤルティマーケティング(顧客ロイヤルティを高めるためのマーケティング)やCXマーケティング(顧客体験を向上させるためのマーケティング)でよく使用される指標です。

5Aは一般的には公表されていない指標(トランスコスモスでは使用可能)ですが、NPSは公表されている指標です。

NPSと5Aはそれぞれ特徴が異なりますが、一番の問題はセグメントされた市場への対応力です。
NPSは推奨者から非推奨者を引き算するモデルです。

例えば、ある有名なハンバーガーチェーンを推奨したい人が30%いて推奨したくない人が30%いる場合、このハンバーガーチェーンのロイヤルティはゼロになります。

しかし5Aではセグメントされる市場において、批判者をカウントする必要はないと語っています。純粋にその商品を推奨したい顧客の声に耳を傾けるということです。

また、5Aでは5つの指標とそれをもとにした11の指標を使い商品やブランドの診断ができます。

トランスコスモスの「tra:Cii(トレイシー)」を使い診断ができますので、ぜひロイヤルティマーケティングの実現に向けてご活用ください。

2.CXマーケティングに継続的な改善視点を見出すVOC分析活用術

ここからは、CXマーケティングを実施するときにVOCを活用する方法をご紹介します。

トランスコスモスが提供しているインタビューサービス「tra:Cii(トレイシー)」の特徴も踏まえて解説していくので、参考にしてみてください。

2-1.新規顧客獲得方法の変化

人口停滞期の新規顧客獲得手法の変化

先述したように昨今はどの国でも、人口の停滞/減少期です。そのため、新規顧客を獲得するには顧客を育成してファン化する農耕型となり、顧客のエンゲージメントを高めていく、パーソナライズな対応を深めていくことが重視されています。

2-2.コンタクトセンターに求められるCX向上施策

顧客エンゲージメント改革で目指す方向性

そのような中で、コンタクトセンター目線で顧客エンゲージメントに着目すると、成約につながるリードのトスアップや顧客を深掘りしていくパーソナライズな提案、各施策の要因特定をより具体的に実現していくことが肝になります。

そして、LTV(顧客生涯価値)を向上させるための仕組みを整えてループさせていくことが重要です。

2-3.コンタクトセンターの課題①顧客情報が収集しにくくなっている

課題①顧客の情報を集める環境の変化

CXマーケティングを実施するうえで2つの課題があります。1つ目は、顧客の情報を収集する環境が変化していることです。

Cookie規制や外部送信規律の厳格化により、顧客の意向や特性情報の取得が難しくなってきています。

2-4.コンタクトセンターの課題②コンタクトセンターの有効活用

課題②コンタクトセンターの課題

2点目は、コンタクトセンターの課題です。顧客との重要な接点であるコンタクトセンターは、お待たせしない、情報を正しく伝えるなど効率化や応答率に焦点を当てた運用が求められてきました。

さらに企業が抱えるVOC活用の課題としては、新たな顧客インサイトの発掘拠点としてコンタクトセンターがフィットすると考えているため、そこに着目して次章で「tra:Cii(トレイシー)」サービスについて紹介します。

企業が抱えるVOC活用の課題

3.トランスコスモスが提供するインタビューサービス「tra:Cii(トレイシー)」

トランスコスモスが提供するインタビューサービス「tra:Cii(トレイシー)」

「tra:Cii(トレイシー)」は、トランスコスモスが提供するインタビューサービスです。

「Cii」は Customer interview for insightの略語です。対話により顧客の本音を取得していく「インプット」と、インプットした情報をマーケティング思考で整理し提案施策として仕上げるアウトプットの双方ができるサービスです。

この2つが掛け算することで企業のビジネスグロースにつながるサービスになります。

コンタクトセンター(コールセンター)に問い合わせをする顧客は既存ユーザーの中でも連絡相談する理由がある、動機がある顧客です。

そのため、既存ユーザーの中でも特に思い入れがあったり、実際に困っていることがある顧客であるということです。「tra:Cii(トレイシー)」はそのようなリピートユーザーを中心にVOCが収集できます。

そのため、「tra:Cii」は、商品開発のコンセプトになるようなニーズの発掘や競合他社との差別化ポイントの整理、サービス改善の数値化・計測などのニーズがある企業にフィットします。

また「tra:Cii」は、顧客のニーズ把握に特化しており、顧客の動機・知覚・趣向・認識など、マーケティングマネジメントに活用できる情報を還元していくというところが大きな強みです。

LTVの向上やファン化を推進していく意味では、コンタクトセンターに集まる声を深掘りすることに価値があると考えています。

3-1.「tra:Cii(トレイシー)」の3つの要素

「tra:Cii」による評価方法・アウトプット

「tra:Cii(トレイシー)」は3つの要素で成り立っています。
まずは「5Aratio(ファイブエーレシオ)」です。「5Aratio」は顧客が商品を認知してから購買推奨に至るまでのプロセスを数値化して、レポート出力します。

トランスコスモスならではのポイントとしては、先ほど触れた5Aのメゾットをマーケティング目線で取り入れているのが特徴です。

続いて「CXrate(CXレート)」は、NPSの評価を描いていただくとイメージが近いかと思います。

競合他社との比較情報や、そこに対して顧客がどのような思いを抱えているのかなどを独自でスクリプト化、パッケージ化しています。
企業単体の評価だけでなく、競合他社と比較した内容で情報を取得できるところが特徴です。

最後に「Trend インタビュー」は、顧客個別の課題やプロダクトサービスに特化した質問を用意できます。課題に応じて知りたい情報を既存顧客から取得できます。

3-2.「tra:Cii(トレイシー)」を運用する2つの強み

「tra:Cii」の運用の強み

トランスコスモスならではの運用の強みとしては、コンタクトセンターで汎用的に使用しているCTS「Contact-Link」に「tra:Cii(トレイシー)」を標準機能として搭載しています。

また、CXマネージャー検定も実施しています。CXマーケティングをするときに、従来のコンタクトセンターのスキルだけでは質問設計やスクリプトの構築など難しい部分があります。

そこで、CXやマーケティング要素に特化した研修を用意して実施しています。トランスコスモスでは認定者数を増やしていくことに取り組んでおり、23年度7月時点で100名以上が認定を受けています。

3-3.「tra:Cii(トレイシー)」の運用フロー

「tra:Cii」の業務フロー

「tra:Cii(トレイシー)」の運用フローとしては、まずはお客様企業とトランスコスモスが一緒になり調査表を作成させていただきます。この調査表をお客様企業 マーケティング部門の担当者も含めて作成し、顧客に、どのようなヒアリングをしていくのか認識を合わせるところからスタートします。

顧客情報を取得してレポート化する工程はトランスコスモスにお任せいただいき、そこから仕上がってくるフィードバックレポートを納品する流れになっています。

3-4.「tra:Cii(トレイシー)」と他のリサーチサービスとの違い

「既存のアンケートサービスやインタビューサービスとどこが違うの?」と聞かれることがありますが、「tra:Cii(トレイシー)」は情報収集とレポート作成がメインです。

サンプル数は100~300件程度をワンショットとして、コンタクトセンターで情報を収集していきます。定性情報に強く、定性情報のノイズが少ない点がポイントです。

「tra:Cii」と他リサーチとの比較

アンケートサービスは多くのサンプル数を取得できますが、情報が浅く場合によってはノイズが入ることがあります。「tra:Cii」とうまく組み合わせていただけるといいのかなと思います。

インタビューサービスでは1件当たりの深掘りは非常によくできるかと思いますが、定期開催をしたりボリュームのある検査を取ったりすることが難しいかと思います。そこで「tra:Cii」と組み合わせて、日々コンタクトセンターに集まる声の中で情報を定量的に取得していくように活用いただけます。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションのノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。