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「粗大ごみを出したくても、受付時間内に電話をかけたり、ごみ処理券を買いに行ったりする時間やがとれない」
「自治体で働いているが、粗大ごみ受付の電話対応に工数がかかり、効率が悪い」
このように、粗大ごみの回収手続きについては、住民にも職員にも不満や悩みがあるのではないでしょうか。
そのような課題を解決するために、2024年1月、LINEを活用した粗大ごみ収集受付ツール「KANAMETO ECO」がリリースされました。
このツールを導入すると、住民は自治体のLINE公式アカウントを友だち追加するだけで、24時間365日いつでもLINE上から粗大ごみ回収の申し込みができるようになります。
職員にとっても電話対応の工数が最小限に抑えられるため、業務の効率化が期待できるでしょう。
さらにトランスコスモスでは、KANAMETO ECOをコンタクトセンター(コールセンター)の運用と組み合わせて活用し、電話受付とLINE受付の両方をカバーする自治体向けのパッケージの提供を開始しました。
この記事では、自治体の粗大ごみ受付の現状や課題などの背景をふまえつつ、コンタクトセンター×KANAMET ECOの活用方法と事例を紹介した自治体向けのオンラインセミナーの講演内容をダイジェストにまとめてご紹介します。
◎自治体の粗大ごみ受付の現状や課題 |
この記事が、あなたの自治体での「粗大ごみ回収の効率化」の一助になれば幸いです。
【登壇者】
吉田 裕昭(よしだ ひろあき)
2023年、トランスコスモスに入社。 transcosmos online communications 株式会社 佐藤 隼人(さとう はやと)
2009年、トランスコスモス入社。 トランスコスモス株式会社 大山 明子(おおやま あきこ)
2016年、トランスコスモス入社。 |
1.自治体の粗大ごみ受付の現状や課題
最初に、自治体における粗大ごみ受付は現在どのように行われているのか、またそれについてどのような課題があるのかを整理しておきましょう。
1-1.自治体の現状と粗大ごみ受付の課題
今の日本では、「少子高齢化」「人口減少」「GDPの低下」「地方経済の崩壊」などが問題になっています。
この状況を受けて、各自治体でも「職員不足」と「超過勤務の増加」、「公務員志望者の減少」「公務員離職の拡大」といった課題が生じてきました。
さらに、コロナ禍を経て住民のニーズが多様化、複雑化していることも問題です。
これらのことは、自治体の粗大ごみ回収業務にも影響を及ぼしていますが、粗大ごみの回収申し込みに関しては、インターネット受付ではなく電話のみで受け付けている自治体が多く、住民側・職員側それぞれに、さまざまな課題が生じています。
住民の課題 | 職員の課題 |
電話受付についての課題 | |
・粗大ごみ回収を申し込みしたくても電話がつながらない | ・電話対応が煩雑 |
その他の課題 | |
・粗大ごみ処理券をコンビニなどで購入しなければならないが、購入場所が近くにない | ・アナログ受付のため紙書類の管理が必要で、事務処理が煩雑 |
これらの課題を解決するために、デジタル技術の活用が求められているのが現状です。
1-2.自治体粗大ごみ受付の変遷
では、自治体の粗大ごみ受付業務は、デジタル技術によってどのように変わっていくべきでしょうか?
以下の図は、粗大ごみ受付の改善過程を「1.0」「2.0」「3.0」の3段階にわけて示したものです。
【自治体の粗大ごみ受付の変遷】
「1.0」は、申請方法が電話と窓口のみで、受付時間も9時から17時までに限られるなど、住民の不満がかなり大きい状態です。
続く「2.0」の段階では、電話窓口に加えて電子申請を導入することで、24時間365日の受付が可能になります。
そのため、住民の満足度は少し向上するでしょう。
ただ、受付業務は依然として職員が担わなくてはならないため、負担は大きいと言えます。
そこで、「3.0」では申請方法に「LINE受付」や「チャットボット受付」を導入することで、「1.0」「2.0」での課題を解決します。
この方法であれば、24時間365日いつでも受付可能なだけでなく、支払いもすべてキャッシュレスで済ませることができます。
また、粗大ごみ処理券も、申請したタイミングで受付番号が発番されるので、コンビニなどに買いに行く必要はありません。
さらに、受付対応の業務がアウトソーシングできるようになるため、職員の業務負荷も小さくなるでしょう。
このように、住民・職員どちらも負担を減らすことができる「3.0」の状態が、各自治体の目指すべき姿だといえます。
1-3.粗大ごみ受付をオンライン化した事例
福岡市では、すでに粗大ごみ受付をオンライン化し、「インターネット経由での申し込み」と「LINE経由の申し込み」のふたつを実施しています。
その結果、LINE経由の申し込みのほうが40%と利用率が高く、満足度も88%でした。
【福岡市の事例】
これは、LINEというツールが広く一般化しているためでしょう。
住民の利便性を考えると、「LINE申し込み」の導入を進めることが重要だといえます。
ほかにも、デジタル庁が粗大ごみ申し込みのオンライン化事例を公開していますので、以下からご確認ください。
◎デジタル庁「粗大ごみ収集の申込手続に関するオンライン化の活用事例」
2.デジタル田園都市国家構想交付金の活用
ちなみに、自治体がデジタル技術を導入する際には、「デジタル田園都市国家構想給付金」の交付を受けることができます。
粗大ごみ受付をデジタル化する場合は、この制度の「デジタル実装タイプ」が適用されるので、補助率2分の1の給付金が受けられるでしょう。
実際に2024年8月現在で、23自治体がこの給付金を受けて粗大ごみ収集をデジタル化しています。
◎デジタル庁・内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進室「デジタル田園都市国家構想交付金」ページ
3.LINEを活用した粗大ごみ収集申込受付ツール「KANAMETO ECO」について
とはいえ、「粗大ごみ回収のデジタル化といっても、何をすればいいのかわからない」という自治体も多いでしょう。
そこでここからは、LINEを活用した粗大ごみ収集受付システム「KANAMETO ECO」について、機能や導入事例などを具体的に紹介します。
3-1.「KANAMETO ECO」とは?
「KANAMETO ECO」は、LINEを活用した粗大ごみ収集受付ツールです。
これを自治体に導入すると、住民が自治体のLINE公式アカウントを友だち追加することで、LINE経由で粗大ごみ回収の申し込みができるようになります。
住民の利便性向上と、職員の工数削減を同時に実現するシステムと言えるでしょう。
2024年8月時点で、以下の5団体がすでに導入しています。
1)宮城県登米市 |
3-2.「KANAMETO ECO」の利用イメージとポイント
「KANAMETO ECO」についてより具体的なイメージをつかめるように、住民が利用する際のデモ画面をまとめましたので、以下を見てください。
【KANAMETO EOの利用イメージ】
※デモ画面のため、実際とは文言などが異なる部分があります。
上記の内容は、カスタマイズも可能です。
また、個人情報などについては、内閣府によるLINE公式アカウント活用ガイドラインに準拠していますので安心してください。
この「KANAMETO ECO」を導入することによって、以下のように職員の業務効率化と住民の利便性向上をはかることができます。
まず職員は、これまでのように電話やメールに対応する必要がなくなり、24時間365日いつでも自動で粗大ごみの受付ができます。
収集日の調整やキャンセル手続き、リマインドなども自動化されますし、実際の粗大ごみの画像や収集場所の画像なども住民から送信してもらえるので、間違いなく確実に回収作業ができるでしょう。
受付内容をCSVで出力もでき、外部業者に業務委託する際の情報連携もスムーズです。
一方で住民側も、自治体のLINEアカウントと友だちになるだけで、役所に出向いたり何度も電話したりすることなく、いつでも簡単に粗大ごみ回収申し込みができるのは大きなメリットです。
収集日前にはリマインドメッセージが自動送信されるので、ごみの出し忘れも防止できます。
自治体側が「KANAMETO ECO」導入とあわせてキャッシュレス化の手続きをすれば、住民は粗大ごみ処理券を購入しなくてもクレジットカードや電子マネーで支払いできるようになるのも利点です。
3-3.「KANAMETO」と「KANAMETO ECO」の違い
この「KANAMEO ECO」は、前述したように粗大ごみ収集の申し込みに特化したツールですが、また別に「KANAMETO」というツールもあります。
両者の違いを図にまとめましたので、以下を見てください。
簡単に言えば、「KANAMETO」はLINE公式アカウントを行政のさまざまな業務に活用するためのツールで、チャットボットによる問い合わせ対応、チャット相談、各種予約などをLINEで行うことができます。
一方「KANAMETO ECO」は、LINE公式アカウントで粗大ごみ収集を受け付けることに機能を絞っています。
このふたつのツールをあわせて導入することもできますし、「KANAMETO ECO」だけを導入することも可能です。
もしすでに別のLINE連携ツールを利用している場合にも、そこに「KANAMETO ECO」を組み合わせて利用できますので、ぜひご相談ください。
3-4.「KANAMETO ECO」の機能
次に、「KANAMETO ECO」の機能について、さらにくわしく説明しましょう。
主な機能は以下の5点です。
機能 | 詳細 | |
1 | 電話受付にも対応可能 | 管理画面からも申込登録が可能であるため、電話での収集受付にも対応可能 |
2 | 収集申込みを手動承認可能 | LINEから受付けた申込内容を確認、 「不備の有無」「市外の申込み」「事業者の申込み」などを目視確認の上で「承認/非承認」を選択可能 |
3 | 申込地域ごとに作成可能な収集日・収集枠設定 | 収集枠を管理する地域単位で、各日に収集枠を設定可能(住民は最初に自宅住所が属する地域を選択する) |
4 | 管理画面で申込一覧確認・権限設定も可能 | 管理画面上で「受付済みの申込一覧」を表示可能 |
5 | 任意の注意事項を申込フォームに設置可能 | ・住民向け:収集申込みにあたっての注意事項などへの同意を必須化可能 |
まず、「KANAMETO ECO」を導入したからといって、LINEでしか申し込み受付できないわけではありません。
電話受付には従来通り職員が対応し、「KANAMETO ECO」の管理画面で情報を入力すれば、LINE申し込みと電話申し込みを一元管理することができます。
また、「申し込みはすべて受け付けるのではなく、内容によって承認・非承認を判断したい」という場合は、いったん職員が内容を確認した上で、手動で承認することも可能です。
承認の場合はメッセージを自動配信、非承認の場合も「なぜ非承認なのか」という理由を添えてメッセージ通知を出せるので、不備を解消して再申し込みを促せます。
ほかにも、地域ごとに収集できる日や定員枠数を設定できますし、申し込みに関する情報を管理画面で確認、検索、CSVでダウンロードする機能も備えています。
さらに、住民向けの申し込み画面に注意事項や同意事項を表示して、チェックボックスにチェックした人のみ申し込みができるような設定や、職員向けの管理画面にチェックリストを表示して、確認漏れを防ぐ機能もあり、ミスやトラブルの予防に役立つでしょう。
【管理画面での機能】
【その他の機能】
4. 粗大ごみ収集申込受付のオンライン化を実現した自治体事例
では、実際に「KANAMETO ECO」を導入して粗大ごみ収集をオンライン化した自治体の例を見てみましょう。
4-1.宮城県登米市:導入2.5か月でLINE申込割合が30%を突破
宮城県登米市は、2024年1月末にリリースされた「KANAMETO ECO」を3月にはじめて導入した自治体です。
それまでは、粗大ごみ受付は電話のみで行っていました。
それが、「KANAMETO ECO」導入から早くも2.5か月後には、粗大ごみ受付全体のうち、LINEでの申し込み割合が30%を突破したそうです。
ちなみにLINE申し込みのうち約70%は、平日夜や土日といった閉庁時間に行われていて、住民の利便性向上につながっていることが確認できました。
また職員側でも、これまでの電話受付では1件あたり10〜15分かかっていた受付業務が削減され、庁内から好評の声が上がっているとのことです。
実際の粗大ごみ収集業務も問題はなく、受付できないごみの申し込みなどもほとんど発生していないため、運用もスムーズに進んでいると言えるでしょう。
4-2.滋賀県湖北広域行政事務センター
もうひとつの事例は、滋賀県の長浜市と米原市の2市で構成される「湖北広域行政事務センター」です。
こちらも以前は粗大ごみを電話のみで受け付けていましたが、2024年6月に「KANAMETO ECO」を導入しました。
このケースでは、「KANAMETO ECO」にはじめてオンライン決済機能を実装しています。
まだリリースしたばかりなので、成果がデータで得られるのはこれからですが、自治体からの声を聞いてより使いやすいサービスへとアップデートしていく予定です。
5.コンタクトセンター(コールセンター)サービスで粗大ごみ受付を効率化
もうひとつ、「KANAMETO ECO」に関しては、トランスコスモスのコンタクトセンター(コールセンター)による電話対応とセットにしたパッケージサービスも提供しています。
というのも、粗大ごみの回収依頼をする人すべてがLINEを使えるとは限らず、「住民サービスの観点から従来の電話受付も残しておきたい」「ただ、それに対して職員の工数は最小限にしたい」という自治体も多いと考えられるためです。
そこでこの章では、粗大ごみ回収受付にコンタクトセンターを活用する方法について説明しましょう。
5-1.トランスコスモスのコンタクトセンター(コールセンター)事業概要
まず、トランスコスモスが展開しているコンタクトセンター事業とはどのようなものか説明します。
以前は顧客からの電話に対応する部門を「コールセンター」と呼んでいましたが、近年では電話だけでなく、メールやチャットなどさまざまなチャネルを用いて顧客対応をするようになっているため、「コンタクトセンター」と呼ばれるようになりました。
自治体向けに提供しているサービスとしては、主に以下のものがあります。
これらのサービスは、自治体や官公庁はもちろん、流通、小売、金融、メーカー、インフラ、通信、ソフトウエアなどさまざまな業界で活用されています。
5-2.自治体導入実績、事例紹介
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