「日本は高齢化が進んでいるけれど、コールセンターではどんな影響があるのだろう?」
「コールセンターが高齢化社会に対応するには、どんな施策が必要?」
コンタクトセンター(コールセンター)に勤務していて、そのような疑問を持っている人も多いでしょう。
高齢化によってコンタクトセンターが受ける影響は、大きくわけて以下の2点です。
・電話チャネルへの高齢者からの問い合わせ割合が増加している(高齢者対応) |
いずれも実感している人が多いのではないでしょうか?
まず重要なのは、高齢者からの問い合わせ増加にあわせて、高齢者対応を充実させる必要があるでしょう。
高齢者は、加齢にともなって以下のような対応しづらさを抱えています。
・聴力が低下してくるため聞き直しや聞き間違いが多い |
そのため、コンタクトセンター側では一般的な顧客対応に加えて、高齢者向けの対応ができる体制を整えなければなりません。具体的には、以下のような対策が必要です。
・オペレーターが高齢者向けの対応方法を身につける |
また、コンタクトセンターの慢性的な課題である人手不足を解消するために、高齢者をオペレーターとして積極採用するところも出てきています。
その際には、以下のような点に注意が必要です。
【シニア採用で重要な採用基準】
・基本的なパソコン操作ができる |
【シニア採用を成功させるポイント】
・シニアでもわかりやすい研修プログラムを用意する |
そこでこの記事では、高齢化社会の中でコンタクトセンターが知っておくべきこと、なすべきことをまとめました。
◎高齢化社会でコンタクトセンター(コールセンター)が受ける影響 |
この記事で、あなたのコンタクトセンターが高齢者対応でも高齢者採用でも成功できるよう願っています。
1.高齢化社会でコンタクトセンター(コールセンター)が受ける影響とは
日本社会は少子高齢化が深刻で、65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合=高齢化率は2023年9月時点で29.1%と過去最高を記録しました。
出典:総務省統計局 統計トピックス No.138「統計からみた我が国の高齢者 -「敬老の日」にちなんで-」
この影響は、コンタクトセンター(コールセンター)業界にも及んでいます。高齢化にともなって以下のような新たな課題が生じているのが現状です。
・電話チャネルへの高齢者からの問い合わせ割合が増加している(高齢者対応) |
そこでまず、これらの影響について詳しくひも解いてみましょう。
1-1.電話チャネルへの高齢者からの問い合わせ割合が増加している(高齢者対応)
コンタクトセンター(コールセンター)で最も顕著な高齢化現象といえば、「高齢者からの電話での問い合わせ割合が増加している」ことでしょう。
株式会社リックテレコムの月刊コールセンタージャパン編集部が実施した「コールセンター利用者調査2023 900人のカスタマーエクスペリエンス」によると、過去1年間にコンタクトセンターに電話で問い合わせをしたことがある人の年代別割合は以下のような構成でした。
これを見ると、60代以上の高齢者の割合は全体的に高く、2022年には38.4%でしたが2023年には43.3%と増加しています。
【過去1年間にコンタクトセンターに電話をかけたことがある人の年齢層】
出典:株式会社リックテレコム 月刊コールセンタージャパン編集部「コールセンター利用者調査2023 900人のカスタマーエクスペリエンス」
そのため、各コンタクトセンターでは「高齢者からの問い合わせにどのように対応すればいいのか」という新たな課題が生じることとなりました。
というのも、高齢者の中には「電話の声が聞き取りにくい」という人や、「専門用語や難しい言葉がわからない」「説明や理解に時間がかかる」という人など、加齢にともなう困難を抱えている人も多くいます。
その場合、オペレーターがマニュアル通りの応対をするだけでは、通常のようにスムーズに終話できないでしょう。高齢者にもきちんと理解できるような対応が求められます。
1-2.働きたい高齢者が増加している(高齢者採用)
もう1つ、「働きたい高齢者が増加している」こともコンタクトセンター(コールセンター)に影響を及ぼしています。
あなたのセンターでも、「求人を出すと、シニア層からの応募が増えてきた」「実際にシニアのオペレーターが増えている」と感じることはないでしょうか?
実際に、以下のような統計があります。
内閣府が発表した「令和6年版高齢社会白書」によると、高齢者の年齢階級別「就業者数」はここ数年多少の増減がありますが、「就業率」は増加しつづけています。
加えて、「あなたは、何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいですか」という問いに対しては、現在収入のある仕事をしている60歳以上の人の約4割が「働けるうちはいつまでも」と回答しました。
出典:内閣府「令和6年版高齢社会白書」
この流れを受けて、最近では「シニア歓迎!」と明記したコンタクトセンターの求人が目につくようになり、高齢者採用に積極的なセンターも増えているようです。実際に、コンタクトセンターでシニア層を採用すると、以下のようなメリットもあります。
・業務に慣れれば離職せず、若い人よりも長く働いてくれる割合が高い |
2.【高齢者対応 1 】高齢者からの問い合わせ対応が難しい5つの理由
高齢化が進んでコンタクトセンター(コールセンター)への高齢者からの問い合わせが増えると、何が問題になるのでしょうか?従来通りのマニュアル、トークスクリプトでは対応しきれないのはなぜでしょうか。
それは、高齢者ならではの以下のような困難があるためです。
・聴力が低下してくるため聞き直しや聞き間違いが多い |
こういった高齢者にとって「問い合わせること自体」が困難に感じたり、苦痛に感じたりしてしまうと、特に幅広い世代を対象にしている企業や高齢者向けのサービスを展開している企業にとっては、自社の顧客体験価値が下がる大きな問題となってきます。
今後、高齢化社会が進み高齢者の顧客割合が増えることで、顧客離れによる売り上げの低下などにつながる可能性もあります。
それぞれ詳しく掘り下げてみましょう。
2-1.聴力が低下してくるため聞き直しや聞き間違いが多い
人は高齢になるにつれて、若いときよりも聴力が徐々に低下していきます。俗にいう「耳が遠くなる」という現象です。そのためコンタクトセンター(コールセンター)での電話対応では、オペレーターの言ったことを何度も聞き直されたり、聞き間違いをしてしまったりするケースが発生します。
具体的に言えば、多くの高齢者は以下のような聞きづらさを感じているでしょう。
・高い周波数の音(高い声など)が聞こえなくなる |
対面で会話する場合は、相手の口の動き、表情や身振り手振りなどで聞こえにくさを補うこともできるかもしれません。
一方、コンタクトセンターのように顔の見えない電話での会話の場合、コミュニケーションツールは声だけですので、聞こえにくさが大きなハードルになってしまうのです。
そのためオペレーターは、高齢者に対しては通常より少し大きめ・低めの声で、ゆっくりはっきり話すなど、通常とは異なる話し方や対応が求められます。
対応のコツについては、「3-1.高齢者向けの話し方を身につける」で詳しく解説していますので、そちらも参考にしてください。
2-2.視力が低下してくるためWebサイトやマニュアルなどが見えづらい
また、加齢にともなって視力も低下します。
いわゆる「老眼」で近くのものが見えにくいという人は多いですし、白内障や緑内障などの目の疾患を持つ人もいるでしょう。
そのため、高齢者からの問い合わせに対してオペレーターが「公式Webサイトのこの部分を見てください」「製品マニュアルの◯ページの通りに操作してください」などと言っても、「読めない」「どこに書かれているのか見つけられない」となって、解決できないケースも生じてしまうのです。
この問題に対しては、視力に頼らずオペレーターの言葉だけで高齢者が理解できるよう、トークスクリプトを改善する必要があるかもしれません。
また、Webサイトやマニュアルなどを高齢者に見やすい色・デザインにするのも有効でしょう。
2-3.理解力や判断力が低下してくるため応対時間が長引きがち
もうひとつ大きな問題として、高齢者の中には記憶力や認知機能が低下していく人も多いことが挙げられます。
前出の内閣府「令和6年版高齢社会白書」によれば、2022年時点で65歳以上の高齢者のうち、認知症の人は443.2万人(有病率12.3%)、軽度認知障害(=MCI)は558.5万人(有病率15.5%)と推計されています。そしてこの割合は、今後増えていくと予測されているのです。
出典:内閣府「令和6年版高齢社会白書」
認知機能が低下すると、記憶力はもちろん判断力も衰えてきます。
そのため、高齢者からの問い合わせでは以下のようなことが起こりがちです。
・同じ話を繰り返す |
コンタクトセンター(コールセンター)においてこれらが問題になるのは、「結果として通話時間が長くなりがち」だということでしょう。
どこのセンターでも、生産性向上のために平均通話時間(=ATT)をできるだけ短くすることを目指しているはずです。ただ、高齢者対応を丁寧にすればするほど、ATTは長くなってしまいます。
かといって、ATTを意識しすぎると、高齢者の満足度が下がり、場合によってはクレームにもつながりかねません。
そのため高齢者対応では、ある程度ATTを犠牲にして満足度を優先する、つまり「多少時間はかかっても、十分な理解を得られるよう対応する」ように、通常の対応とはマインドセットを変える必要があります。
また、そもそも入電数自体を減らせるよう、高齢者向けの自己解決方法も整えておくといいでしょう。
2-4.忍耐や感情のコントロールがしづらく怒りやすくなる
また、認知機能の低下にともなって、感情を抑制する能力も衰えてしまうケースもあります。
「歳をとると怒りっぽくなる」「イライラしたり、過剰に心配したりしがち」と言われるのはこのためです。
コンタクトセンター(コールセンター)でも、オペレーターのちょっとした言葉遣いに対して怒り出したり、ご自身の説明不足や聞き間違いのせいで生じた誤解を「オペレーターの説明が悪い」と責めたりといったトラブルが、高齢者対応では生じることがあります。
そこで、高齢者に対しては、オペレーターはあらかじめ相手が不安や不満を感じないような対応を心がける必要があります。
もし怒らせてしまったとしても、否定の言葉は控えてまず相手の話をよく聴き共感する、いわゆる「傾聴」に徹することが重要です。
2-5.各種システム操作に慣れていないためIVRなどで離脱しがち
最後の問題点は、高齢者には機械操作が苦手な人も多いということです。
最近のコンタクトセンター(コールセンター)では、電話が入っても、まずはIVR(=自動音声応答)が応答し、プッシュ操作で問い合わせ内容に応じたチャネルに誘導するところも増えています。
高齢者の場合、このプッシュ操作などにうまく対応できず、切電してしまうケースもあるのです。
例えばスマートフォンで問い合わせしている場合、IVRが応答しても、スマートフォン操作に慣れていないと、スピーカー通話に切り替えることができず、耳に当てて通話、次に耳から離して画面を電話のボタンに切り替えて画面操作、また耳に当てて通話……と繰り返しているうちに、操作がわからなくなったり、間違ったボタンを押してしまったりするかもしれません。
ここで高齢者が問い合わせを諦めてしまうと、顧客満足度の低下につながります。
そのような余計なストレスをなるべく減らせるよう、問い合わせチャネルは高齢者でも使いやすいような仕様にするといいでしょう。
詳しい対処法は、「3-2.高齢者でも使いやすいチャネルを整備する」などを参照してください。
3.【高齢者対応 2 】高齢者からの問い合わせにうまく対応するための4つの施策
コンタクトセンター(コールセンター)での高齢者対応については、さまざまな問題があることがわかりました。
では、それらを解決して高齢者にも満足度の高い対応をするために、コンタクトセンターではどんな対策が可能でしょうか?
おすすめしたいのは、以下の4つの施策です。
・高齢者向けの話し方を身につける |
順番に説明します。
3-1.高齢者向けの話し方を身につける
まずオペレーター向けの施策として、「高齢者向けの話し方を身につけてもらう」ことが第一です。
前章で説明したように、高齢者は加齢にともなって「聴力」「視力」「理解力・判断力」「忍耐や感情のコントロール能力」が低下していきます。オペレーターは、それを意識して高齢者でも聞き取りやすい話し方をする必要があるわけです。
具体的には、以下のように話すといいでしょう。
・高い声ではなく、少し抑えた低めのトーンで話す |
これらを守って話すことで、高齢者にも聞き取りやすく理解しやすい対応になるでしょう。
3-2.高齢者でも使いやすいチャネルを整備する
また、コンタクトセンターとしては高齢者でも使いやすいチャネルを整えることも重要です。
近年、スマートフォンを利用している高齢者も増えてきました。
それに対応して、高齢者でも自己解決しやすいチャネル設計が求められます。
具体的には、以下のような施策が考えられるでしょう。
・電話チャネルでは、IVRの操作をシンプルにして、なるべく短い手順でオペレーターにつなげる |
ただ、一概に高齢者といっても、コンタクトセンターごとに扱う商品やサービスが異なる以上、適したチャネルもまちまちです。
自社のセンターに問い合わせしてくる高齢者にはどのチャネルが適しているか、見極めた上で必要なチャネルを設置・整備しましょう。
3-3.Webサイトの視認性を高める
「2-2.視力が低下してくるためWebサイトやマニュアルなどが見えづらい」で説明したように、高齢者は視力も衰えていきます。そこで、Webサイト自体を見やすく改善することも有効でしょう。
「問い合わせしたいのに、電話番号や問い合わせ先の文字が小さくて見えない」「知りたい情報がどこにあるのかわかりにくい」といったことがあると、顧客のストレスになり、満足度が下がってしまいます。
若い人にはすぐ判別できる文字でも、色やデザインによっては高齢者には見えにくい場合もあるのです。
そこで、以下のようなことを意識してWebサイトを見直しましょう。
・小さすぎる文字は避ける |
現状のサイトではどの部分が見づらいか、どうすれば見やすくなるかを、シニア層のスタッフに実際に検証してもらうのもいいでしょう。
3-4.FAQへの導線をわかりやすくする
最後に、高齢者であっても必ずしも電話チャネルに誘導するのではなく、できる人には自己解決を目指してもらうことも考えたいところです。
そのためには、公式WebサイトのFAQページへの導線をわかりやすく設定しましょう。
高齢者の中でもスマートフォンやパソコンの操作に抵抗がない人には、電話せずにFAQページを見て自己解決をしてもらうことで、生産性をキープする必要があるわけです。
具体的には、以下のような方法が有効でしょう。
・Webサイト上のどのページからもFAQページに飛べるようにする |
もちろんFAQの内容自体も、高齢者からよくある質問、わかりやすい回答を意識して改善するようにしましょう。
4.【高齢者採用 1 】シニア採用で見るべき採用基準3点
前章までは、「高齢者からの問い合わせ対応」について説明してきました。
ここからは高齢化によるコンタクトセンター(コールセンター)へのもう1つの影響である「高齢者をオペレーターとして採用すること」についても説明しておきましょう。
「1-2.働きたい高齢者が増加している(高齢者採用)」でも触れたように、コンタクトセンターのオペレーターに高齢者を採用することには、以下のようなメリットがあります。
・業務に慣れれば離職せず、若い人よりも長く働いてくれる割合が高い |
人手不足に悩むセンターの中には、「我が社でもシニア層をオペレーターに採用してみたい」と考えるところもあるでしょう。そこで、コンタクトセンターでシニア採用を成功させるにはどうすればいいのか、そのポイントを挙げておきます。
まず、「シニアを採用する際に、何をチェックすればいいのか=採用基準」です。
基本的なポイントとして、以下の3点を見てください。
・基本的なパソコン操作ができる |
4-1.パソコン操作ができる
まず、基本的なパソコン操作ができる人を選びましょう。
いまのコンタクトセンターでは、コールセンター向けシステムを導入していて、オペレーターはパソコンモニターに向かって対応をするというところが多いでしょう。
そうなると、パソコン操作は必須ですし、スキルが高いほど業務効率も上がります。
特に、タッチタイピングができる人であれば、顧客との応対中に並行して内容を入力できますし、応対後に内容を記録に残す後処理作業も短時間でできるはずです。
「高齢者はパソコンなど電子機器が苦手」という先入観のある採用担当者もいるかもしれませんが、同じシニア層でもデジタル機器に関するスキルやリテラシーの個人差は大きいです。
数年前までオフィスワークに携わっていた人なら、日常的にパソコンを使用していた可能性も高いでしょう。
反対に、長年子育てなどで仕事から離れていた人や、オフィスワーク経験がない人などであれば、パソコンに触れたことがあまりないということも考えられます。
ただ、「趣味で日常的にパソコンを使っている」「スマホに慣れているので電子機器に抵抗がない」といったケースもあります。
採用に際しては、タイピングテストを実施するなどパソコンスキルを確認してください。
ただ、パソコンスキルがないシニアでも十分に対応できるような研修プログラムを用意できれば、この採用基準にはこだわらなくてもいいでしょう。
4-2.接客業や営業職の経験があるなど、コミュニケーション能力が高い
2つ目のチェックポイントは、コミュニケーション能力です。
「人と話すのが苦手」という人よりは、コミュニケーション能力が高い人のほうが、業務に適応しやすいでしょう。
その点、対人経験が豊富なシニアであれば、さまざまな状況に柔軟に対応できるはずです。
特に、接客業や営業職の経験が長い人は、コミュニケーション能力に期待できそうです。
4-3.上司が年下でも気にしない
もうひとつ重要なポイントとして、上司が年下でも気にしないことが挙げられます。
コンタクトセンターで高齢者が働く場合、先輩、スーパーバイザーを含めた管理者の多くが年下であることが予想されるためです。
ときには自分の子どもより若い人から指導を受けることもあるかもしれません。年齢にこだわらずに素直に話を聞いて学ぶ姿勢が必要でしょう。
例えば、「自分は大企業の管理職をしていたのに、20代のリーダーから指示されたくない」といったタイプの人では、オペレーターとしてなかなか成長しづらいですし、顧客に対して高圧的な態度になるのでは……と不安にもなります。
本人も、採用されても納得できないことが多ければ、離職してしまう可能性も高まるでしょう。
そのようなミスマッチが起こらないよう、面接時などに「上司が年下でも気になりませんか?」などよく確認してください。
5.【高齢者採用 2 】シニア採用を成功させる2つの施策
さらに、採用後に高齢者をよりうまく活用するために、コンタクトセンター側で行っておくべき施策を挙げておきましょう。それは以下の2つです。
・シニアでもわかりやすい研修プログラムを用意する |
わかりやすく説明します。
5-1.シニアでもわかりやすい研修プログラムを用意する
第一に、研修プログラムを高齢者向けに見直すことが重要です。
シニア層には「経験値」というアドバンテージがありますが、一方で記憶力や判断力の低下というハンデも負っています。若い人と同じ研修内容、研修期間では、理解が追いつかずに脱落してしまう人もいるでしょう。
そこでまず、研修内容を高齢者でも理解しやすいようなものにしてください。
例えば以下のような対応が考えられます。
・若い人は当たり前に知っている専門用語やカタカナ語でも、必ず説明を付け加える |
さらに、研修期間も詰め込みすぎないようにしましょう。
トータル24時間の研修でも、8時間びっしり座学を3日間行うと、集中力が続かなかったり理解が追いつかなかったりする高齢者もいるはずです。
その場合、例えば1日の研修時間を4時間にして、期間を6日間にすることでかなり負担は減るでしょう。
時間が短くなることで、集中力も保てますし、学んだことをその日のうちに振り返る時間も持てます。
現場に出られるまでの期間は多少長くなりますが、高齢者は定着率が高いことを考えれば、のちに十分な貢献が期待できるでしょう。
5-2.同年代のSVやトレーナーを配置する
もうひとつのポイントは、「SVやトレーナーの中に、同年代=シニアのスタッフを配置すること」です。
シニア採用がうまく行かなかった場合、その原因を本人に訊ねると、「わからないことがあっても質問しづらかった」「年下のスタッフからの接し方が不満だった(壁を作られる、逆にぞんざいに扱われるなど)」といった声が上がることがあるそうです。
このような状況を未然に防ぐには、センター全体にシニア層を受け入れる雰囲気を醸成することが必要ですが、それは一朝一夕には難しいでしょう。
同世代の指導者がいれば、わからないことも聞きやすいですし、職場にも馴染めるはずです。
そうなれば、若い世代のスタッフも、シニア層を受け入れやすくなるでしょう。
世代ごとに分断されないよう、シニアが働きやすく力を発揮しやすい環境を整えてください。
コンタクトセンター(コールセンター)の高齢化対策にご興味のある方は、 |
まとめ
いかがでしたか?
高齢化とコンタクトセンターについて、よく理解できたことでしょう。
ではあらためて、この記事の要点をまとめておきます。
◎高齢化社会でコンタクトセンター(コールセンター)が受ける影響は、
・電話チャネルへの高齢者からの問い合わせ割合が増加している(高齢者対応) |
◎【高齢者対応 1 】高齢者からの問い合わせ対応が難しい5つの理由は、
・聴力が低下していくため聞き直しや聞き間違いが多い |
◎【高齢者対応 2 】高齢者からの問い合わせにうまく対応のための4つの施策は、
・オペレーターに高齢者向けの話し方を身につけさせる |
◎【高齢者採用 1 】シニア採用で見るべき採用基準3点は、
・パソコン操作ができる |
◎【高齢者採用 2 】シニア採用を成功させる2つのポイントは、
・シニアでもわかりやすい研修プログラムを用意する |
これらを踏まえて、あなたのコンタクトセンターが高齢化社会にうまく対応できるよう願っています。