「チャットボットの失敗ってどんなものがあるのだろう?」
「チャットボットの導入を考えているが、失敗する可能性があるなら、きちんと対策したうえで導入を検討したい」
このようにお考えではないですか?
チャットボットは、コンタクトセンター(コールセンター)に勤務するオペレーターの業務負担を軽減し、問い合わせする顧客に対しても迅速な対応が可能になるため、多くのコンタクトセンターで導入されています。
しかし、導入後の運用がうまくいかず、失敗に終わるケースも見られます。
チャットボット導入失敗の事例としては、以下のようなものが挙げられます。
・想定よりも顧客にチャットボットが利用されない |
せっかくチャットボットを導入しても、このようなことが起こってしまうと失敗です。
しかし、これらの失敗をあらかじめよく知っておき、きちんと準備して運用することで、失敗を防ぎ、導入効果を得られるようになります。
そこでこの記事では、チャットボット導入の失敗事例をもとに、チャットボット導入を成功させるポイントなど、以下の内容を詳しく解説します。
この記事のポイント |
・チャットボット導入でよくある失敗事例4つ |
この記事を読むことで、チャットボット導入の失敗事例を把握でき、これからチャットボット導入をする上で気を付けるべきことについて、網羅的に理解することができるでしょう。
ぜひこの記事を参考に、あらかじめ予想される失敗を回避して、自社に合った確実な方法でチャットボット導入をご検討ください。
1.チャットボットの導入・運用においてよくある失敗事例4つ
それでは早速、チャットボットの導入・運用においてよくある失敗事例を見ていきましょう。
失敗事例 | 失敗の原因 |
①想定よりもチャットボットが顧客に利用されない | ・Webサイトへの集客が少なかった |
②顧客の課題がチャットボットを利用しても解決しない | ・ナレッジの蓄積が不十分だった |
③顧客を待たせてストレスを与えてしまう | ・チャットボットからオペレーターへの接続に問題があった |
④運用担当者が不在になってしまう | ・導入の際に運用担当者を決めないまま進めてしまった |
どの事例も、チャットボットを導入・運用するにあたって十分に準備しておかないと陥りやすい失敗です。
逆に言えば、これらのことを事前に把握し、きちんと準備しておくことで失敗を回避できる可能性が上がるでしょう。
次章からは、この4つの失敗事例をそれぞれ具体的に解説します。
どのようなシーンで起きた失敗だったのか、またその対策として何をすべきだったのかを詳しく見ていきましょう。
2.事例①:想定よりもチャットボットが顧客に利用されない
失敗事例 | 想定よりもチャットボットが顧客に利用されない |
原因 | Webサイトへの集客が少なかった |
対策 | チャットボットが顧客に十分に利用されるために、チャットボットを搭載しているWebサイトへの訪問を増やす |
まずは、チャットボットを導入したものの、想定していたより顧客から利用されなかったケースを見ていきましょう。
A社はチャットボットの導入を行ったものの、顧客の利用率を上げることができませんでした。
その理由としては、A社がWebサイトへの集客を十分にできていなかったことが挙げられます。
A社はWebサイトが充実しておらず、アクセス数が低いといった状況にありました。
そのため、せっかくチャットボットを導入しても、利用率がそれほど上がらなかったのです。
また、チャットボットは問い合わせ件数が多ければ多いほどシナリオやFAQを充実させることができます。
つまり、データが多ければ多いほど回答の精度が高まるという特徴があります。
A社のように、利用件数が少ない状況に陥ってしまうと、利用者が少ない上にデータの構築を十分に行えないため、質の高いチャットボットとして育てることは難しくなるのです。
チャットボットの導入は、ある程度のアクセス数や問い合わせ件数がある状況で検討し、導入後も改善していくことが望ましいでしょう。
3.事例②:顧客の課題がチャットボットを利用しても解決しない
失敗事例 | 顧客の課題がチャットボットを利用しても解決しない |
原因 | ・ナレッジの蓄積が不十分だった |
対策 | 導入をゴールにせずナレッジの蓄積に注力する |
チャットボットでの顧客の課題解決がうまくいかなかった例について見ていきましょう。
B社はチャットボットの導入を行ったものの、チャットボットでの顧客の課題解決がなかなかできず、失敗を経験しました。
実際には、チャットボットで問い合わせを行った顧客の約9割が最終的にオペレーターへの問い合わせを求めてしまったのです。これではチャットボットの意味を成しません。
その理由としては以下が挙げられます。
・ナレッジの蓄積が不十分だった |
チャットボットの役割の一つとして顧客の自己解決を促すことで、企業のコンタクトセンター(コールセンター)への問い合わせ件数を削減し、業務効率化を測ることが挙げられます。
しかし、B社の場合はチャットボットに質問と回答といったナレッジを充分に蓄積することができていませんでした。チャットボット導入後、管理やメンテナンスを怠っていたためです。
結果として顧客は自力での課題解決ができないことが多くなりました。
その結果、チャットボットを利用した問い合わせのほとんどがオペレーターに接続されてしまったのです。
その根本的な原因には、B社がDX化を急ぐあまりチャットボットの運用まで準備せず、導入がゴールになってしまっていたことがあります。
チャットボットは導入をゴールにせずに、を導入するのであれば、導入をゴールとせずに、ナレッジを蓄積して有用なシステムに作り上げていくという意識が重要なのです。
4.事例③:顧客を待たせてストレスを与えてしまう
失敗事例 | 顧客を待たせてストレスを与えてしまう |
原因 | チャットボットからオペレーターへの接続に問題がある |
対策 | チャットボットからオペレーターへの接続がシームレスに行えるシステムを構築する |
チャットボットの導入により、かえって顧客にストレスを与えてしまった事例を紹介します。
C社はチャットボットの導入を行ったものの、導入後顧客満足度が下がってしまいました。
その最大の理由は、チャットボットからオペレーターに切り替わるときに繋がりにくく、顧客を待たせてストレスを与えてしまった点にあります。
前章でも解説したように、チャットボットの成功には、オペレーターへのシームレスな連携が必要不可欠です。
C社の場合は、チャットボットからオペレーターに連携するシステム自体がうまく機能しておらず、結果的に顧客を待たせてしまう事態を頻発させてしまったのです。
顧客は大きなストレスを感じ、顧客満足度の低下につながりました。
顧客を待たせないために導入したチャットボットでオペレーターへの接続に時間がかかってしまっては意味がありません。
例えば、オペレーターへの接続をシームレスに行えるシステムを取り入れたり、元のチャットボットの質問や回答を充実させる、FAQを充実させたりすることなどが有効です。
チャットボットの運用体制の構築は、1秒でも早く顧客の問題を解決するということを心がけましょう。
5.事例④:運用担当者が不在になってしまう
失敗事例 | 運用担当者が不在になってしまう |
原因 | ・導入の際に運用担当者を決めないまま進めてしまった |
対策 | ・導入と同時に運用担当者を決める |
最後の事例は、チャットボットの導入の際に運用担当者を決めないまま進めてしまい、運用がうまくいかなかった例です。
D社はチャットボットを導入したものの、運用担当者を決めないままシステムだけ導入して運用を開始してしまいました。
そのため、長らくチャットボットを管理せずに放置した状態になってしまいました。
チャットボットの質は低いままで、顧客から活用されることもなかったのです。
ここまででも解説してきた通り、チャットボットはシステムを導入すれば終わりというものではありません。
定期的に顧客からの問い合わせ内容をチェックしたり、質問と回答を改善したりといった継続した運用により改善されて、より良いものに作り上げることができます。
担当者がいなければこうした運用は難しく、チャットボット自体の質を上げることができません。
D社の問題のひとつに、そもそも経営層側にそのような考え方がなかった、という点が挙げられます。
D社はコンタクトセンターのコストカットとDX化を目的としてチャットボットを導入したために、担当者はしばらく配置されず、質の低いチャットボットによって運用される時期が続いてしまっていたのです。
このような運用方法では、もちろんシステムの改善はできません。
顧客はチャットボットでは課題解決ができず、オペレーターへの対応を求めるも、オペレーターに繋がりにくいといった問題がしばらく放置されてしまいました。
チャットボットを導入する際に注意すべき点は、まずは運用担当者を決めることです。
それと同時に、「何のためにチャットボットを導入するのか」の認識を今一度、全体で揃えておく必要があります。
そうすることで初めて、顧客にとって使いやすく、企業にとっても利益を生み出すチャットボットを構築することができるでしょう。
6.チャットボットの導入を成功させるための5つのポイント
失敗事例や失敗理由を紹介したところで、実際に役立つ、チャットボットの導入を成功させるためのポイントを紹介します。
ポイントをおさえてチャットボットの導入を成功に導きましょう。
6-1.自社の課題に適したチャットボットを選定する
チャットボット導入の失敗を防ぐために、自社に適したチャットボットを選定しましょう。チャットボットで行いたい目的をきちんと見定めて、それに合ったシステムを構築することが大切です。
・AIによって自動的に学習し、質を高めていけるもの |
上記のように、チャットボットの種類によって備えている機能が異なります。
簡単な質問のみをチャットボットで対応し、難易度が高い質問についてはオペレーターに引き継ぐという基本的な形で運用する場合には、あまり高度な機能は必要ありません。
しかし、問い合わせの一次対応のほとんどをチャットボットで解決したいなどの目的がある場合は、顧客からの問い合わせデータを参照しながら自動的に学習し、回答パターンを充実させることができるAI機能が搭載されたものなども検討するといいでしょう。
機能面が充実しているほど導入価格も高額になるため、予算内に収まるかについても検討が必要です。
6-2.チャットボットの使用範囲を決める
チャットボットは全ての質問に対して正確に回答できるわけではないため、使用する範囲を決めておくことも大切です。
顧客からの問い合わせ件数が多い質問、テキストだけで顧客の悩みを解決できるような質問などに限定し、そのほかについてはオペレーターが対応するといったように使い分けするとよいでしょう。
無理に全ての質問をチャットボットで解決しようとすると、情報量が増えすぎてしまい、顧客の負担が増加します。
コンタクトセンター(コールセンター)にしかない強みも理解し、カスタマーサポート全体における品質向上を目指しましょう。
6-3.利用者目線でチャットボットの運用方法を考える
自社目線だけで運用体制を整えるのではなく、利用者目線も意識しましょう。
チャットボットの導入で失敗しないためには顧客がチャットボットに求めていることを考慮して、自社のチャットボットを構築する必要があります。
・チャットボットの見やすさ、利用しやすさ |
などを考慮し、顧客が使いやすいチャットボットの構築を行うことが重要です。
利用者にとって便利なチャットボットを作るには、フィードバックをもらうことも大切です。回答提案後にアンケートを表示したり、簡単に評価を入力できるようなボタンを設置したりすることで利用者の声を直接聞きくことができます。
なお、トランスコスモスでは利用者目線でチャットボットを設計する企業を支援するため、現状の問い合わせ傾向を分析し、電話、チャット、チャットボットの割合を検討できる診断サービスがあります。
こちらのチャットボットの運用や設計を推進するサービス「チャネル最適化診断サービス」にご興味があれば、下記よりご相談ください。
6-4.テスト期間を設ける
チャットボットで失敗しないためには、テスト期間を十分に設けましょう。
十分にテストを行わないまま、チャットボットを導入するのは避けなければなりません。テスト期間を設けないまま進めてしまうと、問い合わせに対する回答精度の低下や顧客満足度の低下につながります。
チャットボットは自社のカスタマーサポートの窓口となることから、じっくりと時間をかけながら進める必要があります。
自社でのテストを経てからテストユーザーにチャットボットを試してもらうなど、正式公開までのプロセスを計画してみてください。
6-5.効果測定と改善の継続
チャットボットを正式に公開した後は、自社の目的が達成できているかを確かめるために定期的な効果測定を実施します。
事前に設定したKPIをもとに、各項目における目標値と結果がどれほど離れているかをチェックし、必要であれば改善を行います。
より良いチャットボットに育てるためには、効果測定と改善の継続が大切です。
効果が出ないからといって中途半端に終わらせるのではなく、一定期間を設けながらデータを収集し、社内全体で取り組みましょう。
7.成功するチャットボットシステムの選び方
それでは最後に、成功するチャットボットシステムの選び方についても見ていきましょう。
ここでは、チャットボットシステムの選び方を4つ解説します。
それぞれ見ていきましょう。
7-1.用途に応じたボットタイプが選べるか
自社の用途に応じたボットタイプを選べるかどうかを検討しましょう。
チャットボットには「 シナリオ型 」「 FAQ型 」「 NLP型 」の3つの種類があります。
これらはチャットボットのシステムによって、利用できるかどうかが異なります。
自社ではFAQ型を使いたかったのに、導入してみたらシナリオ型にしか対応していなかった、ということもあり得るのです。
自社はどのタイプのチャットボットを使いたいのかをあらかじめ決めておき、導入の際にはそのシステムを運用できるものを選ぶようにしましょう。
7-2.AIが搭載されているか
チャットボットシステムにAIが搭載されているかどうかも、検討してみましょう。
チャットボットにAIが搭載されていれば、顧客からの問い合わせデータを分析することで精度の高い回答ができるようにすることが可能です。
例えば、
「3月2日に予約したいです」
「3月2日は空いていますか?」
「3月2日予約」
これらの内容はすべて同じですが、AIが搭載されていないシステムの場合はこれらを同じ質問だと判断できません。
AIが搭載されていれば、蓄積されたデータを解析することでこれらの内容はすべて同じだと判断することが可能です。これにより顧客への精度の高い回答が可能となるのです。
ただし、こうした精度の高い回答を導き出すには十分な量のデータが必要です。
そのためある程度の規模のチャットボットでないとなかなか効果が出づらい可能性もあります。
長期的な目線で質の高いチャットボットを運用したい場合には、AIが搭載されているシステムを選ぶことをおすすめします。
7-3.メンテナンスしやすい設計になっているか
チャットボットを選ぶ際には、メンテナンスがしやすい設計になっているかどうかも重要視しましょう。
チャットボットには定期的なメンテナンスや管理が欠かせません。
しかし、チャットボットの管理にばかり時間をかけているようでは本末転倒です。
例えば、以下のような機能が備わっているかどうかを確認しておきましょう。
・ユーザー分析機能 |
どのような顧客が利用したのか、どのような質問内容で、それくらいの時間がかかったのか、といった基本的なデータを分析することは手動では難しいものです。
これらの分析機能が備わっているだけでも、管理は大幅に効率化します。
また、チャットボットのセキュリティも一から自社で管理するよりも、元々セキュリティ対策が万全なシステムを導入することをおすすめします。
7-4.オペレーターへの切り替えに対応しているか
オペレーターへの切り替えに対応しているかどうかも確認しておきましょう。
事例でも解説した通り、チャットボットで解決しなかった問題をオペレーターへシームレスに接続することは必要不可欠です。
もしもこのシステムが十分に構築されていなかった場合、顧客は待たされたり、別の方法で問い合わせをしなければならず、大きなストレスとなってしまいます。
チャットボットで問題が解決しなかった場合には、すぐにオペレーターに繋がるようシステムを構築することが重要です。
8.チャットボット導入をお考えならトランスコスモスにご相談ください
チャットボット導入をご検討であれば、トランスコスモスにお問合せください。
トランスコスモスの「 DEC Supportサービス 」なら、お客様企業が実現したいビジネスの目的・条件に最適なAI/チャットボットシステムをご提案します。
「DEC Supportサービス」は問い合わせ対応だけでなく、商品・サービス検索、申込なども対話形式で設計できます。これにより、お客様は対話形式でスムーズに目的を達成可能です。
さらに、導入した後にもお客様のあらゆるデータを分析することで、シナリオのチューニングや回答文の見直しを行い、解決率向上を目指します。
もちろんオペレーターへの切り替え対応も可能です。チャットボットで解決しきれなかった問題に関しては、お客様にストレスを感じさせることなくシームレスにオペレーターへ導き、対応を行うシステムを構築します。
トランスコスモスの「DEC Supportサービス」にご興味がありましたら、以下よりお問合せください。
まとめ
この記事では、チャットボット導入の失敗事例をみながら、チャットボット導入を成功させるポイントなどを詳しく解説してきました。
この記事のポイント |
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・チャットボット導入でよくある失敗事例4選 |
この記事をお読みいただくことで、チャットボット導入の失敗事例を把握でき、これからチャットボット導入をする上で気を付けるべきことについて網羅的にご理解いただけたかと思います。
ぜひこの記事を参考に、チャットボット導入を検討してみてはいかがでしょうか。