
ボイスボット(音声AI)利用実態調査
電話という顧客接点においても、AI活用はすでに一部企業の先進的な取り組みではなく、生活者にとって当たり前の選択肢になりつつあります。
ボイスボットは、問い合わせ対応の効率化を支える存在であると同時に、企業の顧客対応姿勢やサービス品質を直接的に映し出す重要なタッチポイントとして、その役割を大きく広げています。
本調査では、ボイスボットの利用実態や評価に加え、未利用者が抱く心理的なハードル、さらには導入企業に対して持たれるイメージまでを幅広く把握しました。
本レポートを通じて、ボイスボットを「単なる省人化ツール」で終わらせることなく、顧客接点戦略の中でどのように位置づけ、活用していくべきか、その視点を提示します。
前回2023年度の結果はこちらからご確認いただけます。
調査概要
調査名:ボイスボット(音声AI)利用実態調査2026
調査方法:インターネット調査
調査期間:2026年3月17日~2026年3月26日
調査対象:全国の20代~60代以上の男女2,426名
調査内容:利用経験・基本属性
利用シーン・問い合わせ内容
解決度・成果評価
人的オペレーター連携
利用満足・不満・心理影響
未利用者の意識・導入企業イメージ
調査結果サマリー:ボイスボット(音声AI)利用実態から見える 5つのポイント
Insight | Summary |
ボイスボットは“補助”ではなく主要な一次対応チャネルに | 電話問い合わせ経験者の約7割がボイスボットを利用しており、通信・金融・ECといった主要業界では、一次対応手段として定着しつつある。生活者にとってボイスボット対応は特別な体験ではなく、一般的な選択肢の一つとなっている |
利用体験の評価を分けるのは | 営業時間案内や手続き確認など定型的な問い合わせでは、9割前後が解決に至っている一方、トラブル・不具合対応では解決率が低下。利便性よりも「目的が達成されたか」が評価を左右している |
課題はAI性能だけでなく | 不満点として「複雑な内容に対応できない」「話が通じない」が上位を占めた。機能面の限界以上に、問い合わせ内容とボイスボットの役割設計のミスマッチが体験価値を損なっている |
人へのスムーズな切り替えがCXの分岐点 | 利用者の6割以上がボイスボット対応中に人のオペレーターへ切り替えており、9割超が「スムーズに切り替えられれば満足度が高まる」と回答。AI単体ではなく、人との連携が前提条件になっている |
未解決体験は企業イメージ・利用意向を大きく左右 | 解決しなかった経験がある場合、約4~5割が「今後利用したくなくなった」と回答。ボイスボットでの失敗は、効率化の問題に留まらず、顧客離反リスクや企業イメージ低下に直結する |
本調査から、ボイスボット(音声AI)はすでに多くの生活者に利用されており、電話対応における一次対応手段として一定の役割を果たしていることが明らかになりました。
特に、営業時間案内や手続き方法の確認など、定型・情報提供型の問い合わせにおいては高い解決率を示しており、自己解決を支援する仕組みとして有効に機能しています。
一方で、トラブル・不具合対応など内容が複雑・個別性の高い問い合わせでは、ボイスボット単体での解決には限界が見られました。
実際に、利用者の多くが対応途中で人のオペレーターへの切り替えを経験しており、ボイスボットの評価は「AIの性能」そのものよりも、解決までどのように導かれたかという体験全体によって左右されていることがうかがえます。
また、問い合わせが解決しなかった場合には、今後の利用意向が大きく低下する傾向も確認されました。ボイスボットでの未解決体験は、単なる利便性の問題にとどまらず、企業やサービスに対する印象や信頼、継続利用意向にまで影響を及ぼしています。
これらの結果から、ボイスボット活用において重要なのは、どこまでをAIで対応し、どのタイミングで人につなぐのかという役割設計です。
ボイスボットを省人化の手段として導入するのではなく、利用者が迷うことなく最短距離で解決にたどり着けるよう、AIと人が連携したサポート体験の設計が求められていると言えます。
調査結果
ボイスボットの利用経験・基本属性
電話問い合わせにおけるボイスボット(音声AI)の利用実態を把握するため、まず「ボイスボットを利用したことがあるか」という基本的な利用経験から整理します。生活者の間で、ボイスボット対応がどの程度浸透しているのかを確認することで、その位置づけを明らかにします。
ボイスボット利用経験の有無

電話問い合わせの際に、ボイスボット(音声AI)による対応を「利用したことがある」と回答した人は 68.6% と、全体のおよそ7割を占めました。一方で、「利用したことはない」は 27.2%、「わからない」は 4.2% にとどまっています。
この結果から、ボイスボットによる電話対応は、すでに一部の企業や限られたシーンにおける特別な取り組みではなく、生活者にとって想定内の対応手段として広く認識されていることが分かります。
電話をかけた際に、最初にボイスボットが応対する体験は、多くの利用者にとって珍しいものではなくなりつつあります。
また、「わからない」と回答した割合が低いことから、利用者自身がボイスボット対応であったかどうかを明確に認識しているケースが多い点も特徴と言えます。これは、ボイスボットの存在が生活者の中で一定程度定着していることを示唆しています。
ボイスボットを利用した分野

ボイスボットを利用した分野として最も多かったのは 「通信(携帯電話・インターネット)」で21.6% となりました。次いで 「金融(銀行・保険・クレジットカード)」が19.5%、「EC・通販」が19.3% と続いており、この3分野で全体の約6割を占めています。
これらの分野はいずれも、契約内容や料金、各種手続きなど、確認や問い合わせが頻繁に発生しやすい特徴を持っています。そのため、電話による問い合わせ件数が多く、ボイスボットを一次対応として活用しやすい領域であることがうかがえます。
一方で、「交通・旅行」や「行政・公共サービス」といった分野でも一定の利用が見られ、ボイスボットの活用が特定の業界に限られず、幅広い分野へと広がっていることも読み取れます。
ボイスボットは、限られた用途にとどまらず、さまざまな業界で電話対応の手段として定着し始めていると言えるでしょう。
ボイスボット利用したことがない理由

ボイスボットを利用したことがない理由として最も多かったのは、「特に理由はない」(32.4%)でした。次いで、「人に対応してほしい」(32.1%)、「正確に伝わるか不安」(28.0%)が続いており、明確な拒否というよりも、心理的な違和感や不安感が利用を妨げている様子がうかがえます。
特に、「人に対応してほしい」「正確に伝わるか不安」といった回答からは、ボイスボットの性能そのものに対する不信感だけでなく、AIによる対応では十分に用件が伝わらないのではないかという感覚的な不安が存在していることが読み取れます。
また、「使い方が分からない」「時間がかかりそう」といった回答も一定数見られ、利用経験の前段階でハードルを感じている層も少なくありません。
一方で、「特に理由はない」と回答した人が最多である点から、ボイスボットが強く忌避されているというよりも、積極的に選ばれていないだけの状態にあることも分かります。
こうした結果から、ボイスボットの利用促進には、機能面の向上だけでなく、分かりやすさや安心感を伝える設計・表現が重要であると言えるでしょう。
利用シーン・問い合わせ内容
ボイスボットが実際にどのような問い合わせに使われているのかを確認します。利用者がボイスボットに寄せている内容から、活用されやすいシーンや役割を整理します。
ボイスボットに問い合わせた具体的内容

ボイスボットに問い合わせた内容として最も多かったのは、「トラブル・不具合の問い合わせ」(45.7%)でした。次いで、「手続き方法の確認」(39.6%)、「契約内容・料金の確認」(34.4%)と続いており、具体的かつ目的が明確な問い合わせが上位を占めています。
これらの結果から、ボイスボットは単なる案内窓口としてだけでなく、利用者が実際の問題解決や判断を求める場面でも使われていることが分かります。
手続きや契約内容といった確認系の問い合わせに加え、トラブル・不具合といった緊急性やストレスを伴う内容でも一定の利用が進んでいる点は特徴的です。
一方で、「予約・変更・キャンセル」や「営業時間・窓口案内」といった定型的な問い合わせも一定数存在しており、ボイスボットが幅広い問い合わせ内容に対応する窓口として利用されている実態がうかがえます。
ボイスボット対応でも問題ない内容

ボイスボット対応でも「問題ない」と評価された内容として最も割合が高かったのは、「営業時間・手続き案内」でした。「とてもそう思う」「ややそう思う」を合わせると 約8割にのぼり、定型的な情報提供については、ボイスボットへの受容度が非常に高いことが分かります。
次いで、「簡単な変更手続き」や「料金・契約内容の確認」も、半数以上が肯定的に評価しており、一定の手続きや確認業務についてはボイスボット対応でも問題ないと考えられている様子がうかがえます。
これらの内容は、聞きたいことが比較的明確で、対話が複雑になりにくい点が特徴です。
一方で、「トラブル・クレーム対応」については肯定的な評価が伸び悩み、「あまりそう思わない」「全くそう思わない」といった否定的な回答も多く見られました。
感情的な配慮や状況に応じた判断が求められる内容では、ボイスボット単体での対応に不安を感じる利用者が多いことが分かります。
この結果から、ボイスボットはすべての問い合わせに一律で適用するのではなく、内容に応じた役割分担を前提に活用することが重要であることが示唆されます。
その他調査内容については、資料を準備しています。こちらからお問い合わせください。
- 解決度・成果評価 |
トランスコスモスではコンタクトセンターのトレンド上位に挙がったソリューションやサービスを含め、お客様企業のニーズに応えるサービスを幅広くご提供・ご提案しています。
トランスコスモスが提供するソリューション
コンタクトセンターソリューション
AIを活用した音声認識ソリューション:transpeech
ソリューションの導入やサービスの詳細についてはトランスコスモスへご相談ください。

