問い合わせや応対の情報を
一元的に管理し
コンタクトセンターの
価値を向上させる
トランスコスモスの
コンタクトセンター支援サービス
Vol.10
Contact-Link for CTS[前編]
コンタクトセンターとエンドユーザーの皆さんとの接点は多様化しています。電話、メール、ウェブサイト、チャット、SNS──。そういったさまざまなチャネルにおける応対記録や情報を一元管理するトランスコスモスの独自プロダクトが〈Contact-Link for CTS〉です。このプロダクトを活用することで、オペレーターの現場業務やデータ活用などにどのような成果がもたらされるのでしょうか。2012年から〈Contact-Link for CTS〉の開発・導入・運用の取り組みを牽引してきた石坂公典と村上亮介に話を聞きました。
石坂 公典
CX事業統括
コミュニケーションプラットフォーム
推進本部
アプリケーション開発一課 課長
村上 亮介
CX事業統括
コミュニケーションプラットフォーム
推進本部
アプリケーション開発二課 課長
応対記録を統一的に
管理する仕組みを
トランスコスモスが開発したコンタクトセンタープラットフォーム〈Contact-Link〉には、機能別に3つのタイプがありますね。
石坂センターにおける応対記録を一元管理する〈Contact-Link for CTS〉、オペレーターの電話対応を効率化する〈Contact-Link for VoiceCloud〉、エンドユーザーの自己解決率を高める〈Contact-Link for V-IVR〉の3種類です。そのうち私たちが担当しているのが、最初に開発された〈Contact-Link for CTS〉です。「CTS」は「コールトラッキングシステム」を意味します。開発がスタートしたのは2012年でした。
〈Contact-Link for CTS〉開発の経緯についてご説明ください。
石坂コンタクトセンター業務においては、電話をかけてきた方々との対話の内容やメールなどで寄せられた情報を記録に残すことが必須です。トランスコスモスが運営するセンターでは、以前は現場ごとに応対を記録する仕組みを個別につくって運用していました。外部のソリューションベンダーのCRMシステムやビジネスツールなどを活用した仕組みです。現場によっては、紙に手書きで記録するアナログな運用ケースもありました。
しかし、各現場で独自につくった仕組みには、記録をまとめてお客様企業に提出する際に非常に手間がかかったり、まとめる内容の精度が低かったりするといった課題がありました。また、仕組みをつくった人が異動になったり退社したりすると、メンテナンスが難しくなるというのも大きな問題でした。
さらにトランスコスモスでは、東京と沖縄など複数のセンターで同じお客様企業の案件に対応するケースがしばしばあります。そういったケースでは、現場ごとに記録の仕組みが異なると、統一した動きがとれなくなってしまいます。これらの課題の解決を目指して開発したのが〈Contact-Link for CTS〉です。
開発はどのように進んだのですか。
石坂当初の取り組みは、汎用的なプロダクトではなく、お客様企業の個別課題に対応するためのツール開発でした。健康食品を販売しているお客様企業の受注窓口業務の応対記録システムです。お客様企業から寄せられる要件をそのつど吸収しながらシステムづくりを進めていたのですが、個別の要件に場あたり的に対応するだけでは、どうしても記録の抜け漏れなどが発生してしまいます。そこで、一般的な応対記録業務に必要とされる要件を整理し、あらゆる案件に汎用的に活用できる開発を目指すことにしました。それがのちに〈Contact-Link for CTS〉と呼ばれるようになるプロダクト開発のスタートでした。3カ月ほどをかけてつくったシステムを現場で試験的に活用し、その実績を踏まえて改良を重ねながら、徐々にほかのセンターへの導入を進めていきました。
現場の作業負担を軽減させたい
開発時に重視したのはどのような点でしたか。
村上応対記録は、オペレーターが電話で対話をしながら手入力していくのが基本です。その入力の作業をいかに軽減するかが大きなテーマでした。FAQや定型文を充実させて、簡単な操作で自動的に文言を選択できる機能などをつくることで、現場の負担が少なく、かつミスが極力発生しないシステムを目指しました。
石坂コンタクトセンターでは、応答率の向上がKPIのひとつになっている場合が多いです。かかってきた電話に対応できる率を上げるということです。一件の電話案件に長い時間がかかってしまうと、電話をかけてきた方を待たせたり、電話に出られなかったりするケースが発生してしまいます。それはすなわち応答率が下がるということです。そのような事態を避けるためにも、応対記録の入力はできるかぎり簡略にしなければなりません。システムによって作業を簡略化し、入力した情報を一元管理すること。それが〈Contact-Link for CTS〉開発の基本的なコンセプトでした。
各地のコンタクトセンターへの導入はどのように進めていったのでしょうか。
石坂開発に着手したのが2012年で、汎用的なシステムがほぼ完成したのが2013年でした。〈Contact-Link for CTS〉はネットワーク上で活用するシステムなので、その時点ですべてのセンターで使うことは可能でした。しかし、それぞれのセンターにはそれまで使ってきた仕組みがありました。その移行作業に時間がかかったり、お客様企業の案件の内容によってはすぐに移行することが難しかったりする場合もありました。営業担当者やセンターの管理者と話し合い、個々のセンターの事情を踏まえながら、全国にある拠点への導入を段階的に進めていきました。すべてのセンターへの導入が完了したのは2016年でした。
現場のオペレーターが〈Contact-Link for CTS〉を使いこなすためには、特別なスキルを身につける必要があるのでしょうか。
村上シンプルなUI(ユーザーインターフェース)で直感的な操作が可能となっているので、特別なスキルを身につける必要はありません。また、〈Contact-Link for CTS〉には小テストのようなオペレーターの研修に役立つ機能が標準で装備されています。それを活用して使い方を学んでもらいます。とはいえ、それでも疑問や問題が発生するケースがあるので、導入初期には開発担当者である私たちが現場に足を運んでサポートする場合も多々ありました。単にツールを開発して提供するだけでなく、すべてのオペレーターが活用できるようになるまで支援することが私たちの役割であると考えています。
〈Contact-Link for CTS〉に対する現場のオペレーターの反応はどのようなものでしたか。
村上応対記録の作業が非常に楽になったという声をたくさんもらいました。それまで多くのセンターで使っていた外部のシステムやビジネスツールは、コンタクトセンターに特化されたものではありませんでした。その点でどうしても使いにくさがあったわけです。その問題が〈Contact-Link for CTS〉によって解消された。そう感じてくれたオペレーターが多かったようです。
また、システムに不具合があった場合やカスタマイズが必要になった場合などには、現場のオペレーターや管理者がシステム担当者に作業を依頼することになります。しかし、現場のメンバーはシステムのプロではないので、どの点をどのように変えればいいのかうまく説明できないケースが過去にはありました。それに対して、〈Contact-Link for CTS〉は自社で開発したシステムであり、開発者である私たちもコンタクトセンター業務を理解しているので、現場のニーズに的確かつスピーディに対応することができます。現場と開発側のコミュニケーションが非常にスムーズになったこと。それも高評価を得られた1つの理由だったと思います。
課題抽出から
解決までをワンストップで
応対記録をスムーズに入力できることや、情報を一元管理できること以外に〈Contact-Link for CTS〉にはどのような特徴があるのでしょうか。
村上エンドユーザーからかかってくるインバウンドコールだけでなく、センター側からエンドユーザーに連絡するアウトバウンドコールや、メール、SMS、チャットなどに寄せられた情報もすべて一元管理できる点に〈Contact-Link for CTS〉の大きな特徴があります。また、PCから電話をかけるソフトフォンとも連携しています。
マルチチャネルに対応しているということですね。
石坂そのとおりです。また、インナーコミュニケーションツールとして活用できる点も特徴として挙げられます。センターの管理者からオペレーターへの情報周知、オペレーター間の連絡、オペレーターから管理者への相談など、センター内のさまざまなコミュニケーションに〈Contact-Link for CTS〉を使うことが可能です。
トランスコスモスが運営するコンタクトセンターでは、以前から「サンクスカード」を活用したコミュニケーションの活性化に取り組んできました。管理者からオペレーターに、あるいはオペレーターから同僚のオペレーターに感謝の言葉を伝えるカードです。これを壁などに掲示することで、メンバー間の信頼感の醸成や仕事のモチベーション向上を実現するのが狙いです。〈Contact-Link for CTS〉には、このサンクスカードの機能も盛り込まれています。ここまで多彩な機能を備えたコンタクトセンターの情報管理ツールはほかにないと自負しています。
〈Contact-Link for CTS〉に記録した情報の活用法についてもご説明ください。
村上ケースバイケースですね。お客様企業の要望や事業課題に応じて情報を抽出し、まとめていくことになります。
石坂〈Contact-Link for CTS〉は、やはりトランスコスモスが開発したBIツールである〈Insight BI〉と連携させることが可能です。〈Insight BI〉は、さまざまなデータを視覚化するダッシュボードの機能を備えたツールです。これを活用してデータから課題を発見し、それに対する解決策を考案していきます。また、〈Contact-Link for CTS〉には、応対の中で得られたVOC(顧客の声)を分析する機能があります。それを活用して、社内の分析のプロがお客様企業に施策を提案していくケースもあります。
分析の結果、例えばウェブコミュニケーションに課題があることがわかった場合は、社内のウェブ構築の専門部隊がその解決にあたります。〈Contact-Link for CTS〉を起点として、情報の一元化、課題の抽出、課題解決までをすべて社内で担うことができます。
まさに「オールトランス」のフォーメーションの基盤となるプラットフォームが〈Contact-Link for CTS〉ということですね。ほかにはどのような社内連携の形がありうるのでしょうか。
村上〈Contact-Link for CTS〉の開発自体がオールトランスの連携によって実現したものでした。開発を担当する私たちがいくつものセンターに足を運び、現場のオペレーターの要望や意見を聞きながらシステムを構築していきました。システムのリリース後も、現場の声に合わせて、さまざまな改善を施しています。現場サイドと開発サイドが一緒につくり、一緒に育ててきたツールと言っていいと思います。
〈Insight BI〉との連携が可能であるという話がありましたが、ほかの社内プロダクトとの連携もできるのですか。
村上電話の音声を自動でテキスト化する〈transpeech〉との連携が可能です。テキスト化されたデータを〈Contact-Link for CTS〉に取り込んで、ほかのデータと一緒に管理することができます。また、チャットサポートプロダクトの〈DEC Support〉と連携させて、チャットでの応対情報を記録することも可能です。
ほかにもトランスコスモスには独自に開発したさまざまなソリューションやプロダクトがあります。多様な連携のあり方を検証して、コンタクトセンターの生産性やCX(顧客体験)の向上、さらにはお客様企業の事業に寄与できる可能性を広げていきたいと考えています。
※本記事に記載されている情報は、2024年7月時点のものです
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