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メタバース×展示会の活用事例を紹介!ハイブリッド型で効果を最大化

BtoB/BtoCを問わず、ビジネスにおいて大切な出会いの場である「展示会」。コロナ禍の影響でイベントの開催中止を余儀なくされたため、これまで対面が主流だった展示会が、代替手段としてオンラインで開催されるようになりました。アフターコロナといわれる昨今、展示会や音楽ライブなどのイベントは、コロナ渦で変化した人々の生活スタイルに合わせて、バーチャル空間へと活動場所を移行しています。メタバースを活用した展示会のニーズは今後も増えることが予想され、リアルとメタバースの展示会を同時開催する「ハイブリッド開催」も見られます。
本記事では、メタバース展示会について導入をご検討中の方や情報収集中の方に向け、メリットやデメリット、開催事例についてご紹介します。メタバース展示会を営業ツールやPR活用したいと考えている方や、展示会でのメタバース活用にご興味・ご関心をお持ちの方は、ぜひ最後までご一読ください。

1. メタバース展示会とは?

メタバース展示会とは、オンライン上の仮想空間で開催する展示会のことです。「バーチャル展示会」「オンライン展示会」などと呼ばれることもあります。一方、大規模なイベント会場に多くの来場者を集めて開催する従来型の展示会は、「リアル展示会」「オフライン展示会」と呼ばれています。
メタバース展示会はオンライン上に実写もしくはCGで会場を再現し、新商品のバーチャル展示や動画を使ったサービス紹介、来場者とのコミュニケーション、基調講演やセミナーなどを開催することが可能です。また、メタバース展示会を開催する目的はリアルと同様、自社の商品やサービスをPRすることでリード(見込み顧客)を獲得したり、既存顧客との接点強化を図ったりする場として活用されています。

2. メタバース展示会の形式

メタバース展示会には、次の3つの形式が存在します。

2-1. 自社で単独開催
企業や自治体が単独で開催するバーチャル展示会。自由度が高く、自社に興味のある来場者だけを集客できます。クローズドな場でじっくりと新商品やサービスをPRでき、来場者とのコミュニケーションを深めることが可能です。来場者は自社の商品に興味をもって参加しているため、コンテンツで興味を引くことができれば顧客になる可能性が高いです。バーチャル展示会を自社で実施した場合、その後、常設のショールームとしても活用できます。

2-2. 合同展示会への出展
主催者の開催するバーチャル合同展示会にブースを出展する形式です。プラットフォームを主催者側が準備してくれる点、単独で開催するより集客しやすい点がメリットとして挙げられます。初めてバーチャル展示会に出展する企業や自治体でも気軽に出展することが可能です。また、複数の企業が出展しているため、高い集客力が見込めます。

2-3. ハイブリッド開催
リアルの展示会とバーチャル展示会を融合したハイブリッド形式で行うことも可能です。ハイブリッド開催のメリットは、リアルとバーチャルにある、それぞれの強みを同時に活かせることです。

3. メタバース展示会の会場タイプ

メタバース空間の展示会場と聞いても、具体的な会場のイメージを持てない方も多いかもしれません。ここでは、「2D」「実写」「3DCG」という3つの会場タイプについて解説します。

3-1. 2D
2Dの展示会場は、イラストや画像などの「平面」で構成されています。プラットフォームの利用料も低額に抑えられ、ブースも手軽に作成できます。また、来場者も通常のWebサイトと同じように閲覧できるため、非常に利便性が高いタイプだといえるでしょう。

3-2. 実写
実際の展示会場やブースを360°カメラで撮影し、それをバーチャル展示会として公開するタイプです。展示会場やブースを忠実に再現したい場合は、この方法がよいでしょう。Googleストリートビューのように好きな方向へと進むことができ、詳細を見せたい場合はテキスト/写真/動画などの埋め込みもできます。来場者は従来の展示会場にいるかのような疑似体験を味わえます。

3-3. 3DCG
オンライン上に3DCGで仮想の展示会場を構築します。物理的な制約がないため、自由度の高い表現にこだわりたい場合はこの方法がおすすめです。3DCGの場合は、デジタル上で編集ができるため「レイアウトを変更したい」「展示物を変えたい」といった対応もスピーディーにできます。一方で、実写タイプよりコストや制作期間がかかることを覚えておきましょう。来場者は実際に展示会場へ足を運んでいるような臨場感と没入感を味わいながら、会場内をアバターで自由に回遊できます。ただし、専用アプリのダウンロードやVRヘッドセットが必要な場合もあります。

4. メタバース展示会を行うメリット

4-1. 場所や時間・天候に左右されない
メタバース展示会は実際の会場を使用しないため、場所や時間・天候などに左右されることなく、インターネット環境さえあれば実施することができます。そのため、自然災害や感染症の流行などによる中止や延期といったリスクがほぼありません。主催者も来場者もイベントが行われる会場への移動は必要なく、いつでもどこからでも参加することができます。また、自社で単独開催の場合、開催期間を自由に設定することができ、その後、自社サイト内に「メタバースショールーム」として常設することも可能です。その際、来場者はいつでも自由にショールームに来場し、展示コンテンツを利用できます。

4-2. 集客の幅が広がる
リアルの展示会の場合は、遠方からの集客はなかなか難しく、限られた範囲で集客のターゲットを絞る必要がありました。しかし、メタバース展示会なら日本全国・海外からも参加者を募ることができるので、集客の幅が広がります。これまで日程が合わなくて参加できなかった方や、遠くて参加できなかった方にもアプローチが可能です。来場者側も日本全国、世界中どこからでもインターネット環境さえあれば手軽に参加できます。

4-3. 参加人数もサーバー次第で増やせる
リアルの展示会は会場数やキャパシティの上限があり、小間数などの制約もあります。しかし、メタバースでの開催ならば、サーバーを増強することで参加人数を自由に増やすことができます。また、理論上どこまでも大きな空間を作ることも可能です。こうした人数や空間の制限を受けない点もメタバースで展示会を開催するメリットのひとつです。

4-4. 対面のような相互コミュニケーションが取りやすい
メタバース空間内はアバターを介したコミュニケーションですので、対面同様に自由でインタラクティブなコミュニケーションを取ることが可能です。会話しながらの移動はもちろん、資料や動画を見せながら、リアルタイムで商談を進めることができます。また、複数社が出展する合同展示会では、企業と来場者の偶発的な出会いが期待できるのも大きなメリットです。

4-5. リアルに限りなく近い展示会が開催できる
メタバースでの展示会はリアルの展示会と同様の内容で開催されており、画像や動画による商品・サービスの紹介や来場者とのコミュニケーション、事例紹介、展示会場やブース内でのセミナー開催など、さまざまなコンテンツが提供されています。また、オンライン上での名刺交換や営業資料のダウンロード、来場者へ向けたアンケートの実施も可能です。メタバース展示会ならば、オンライン上の仮想空間に作られた会場に自ら操作して入ることができ、仮想空間ならではのリアリティ、臨場感、特別感を味わうことができます。

4-6. 開催/出展コストを削減できる
リアルの展示会を開催/出展するとなると、会場の使用料や設営費、会場装飾費、人件費、パンフレットの印刷費、搬入搬出の運送費などが必要になってきますが、メタバース展示会では会場設営や運営にかかるコストを大幅にカットできます。また、出展中も担当者はブースに常駐しながら、並行して他の業務を行うことも可能です。さらに来場者にとっても会場までの交通費や宿泊費を抑えることができます。

4-7. 長期的に活用できる
リアルの展示会では、会場使用料や設営費などは都度発生する上に、準備時間も費やします。一方、メタバースでの展示会は最初にメタバース構築費がかかりますが、一度制作することでその後は繰り返し使うことができるので、長期的に見てコストパフォーマンスが高いといえます。一度開催して終了ではなく、長きに渡って活用できるという点も魅力です。

4-8. ユーザーデータを取得・管理・分析できる
メタバース展示会は、申込みから来場、離脱まですべての行動をオンライン上でデータとして取得できるため、より精度の高いユーザーデータを取得・管理・分析することができます。たとえば、ブースの来場者数はもちろん、年齢や性別、滞在時間、コンテンツの閲覧回数や視聴時間を細かくデータ収集することで、どのような層の来場者がどのコンテンツに興味・関心を抱いているのかを高い精度で分析することができ、今後のマーケティングに有効活用できます。また、実際の展示会では手書きのアンケートなどを使用するケースも多いですが、これらをオンライン上で完結することでアナログな作業は不要になります。

4-9. 商談やイベントに空間を持ち運べる
実際の展示会場や出展ブースを持ち運んで紹介したり、案内したりすることは不可能ですが、オンライン上であればパソコンやスマートフォンなどのデバイスを通じて、いつでもメタバース展示会場やブースを持ち運んでPRすることが可能です。たとえば、商談シーンでメタバース展示会場を営業ツールとして活用したり、遠方のイベントなどでメタバース展示会を体験してもらったり、さまざまなシーンで活用することができます。

5. 展示会にメタバースを活用する上での課題

5-1. 集客が難しい
メタバース展示会を自社で単独開催をする場合、自社SNSや招待メール、プレスリリース配信、広告出稿などで告知しても、ターゲットに十分リーチできるとは限りません。既存顧客に新商品を案内するなど明確な需要が見込めなければ、メタバース展示会の単独開催は避けたほうがベターです。リアル展示会への出展と同様、「合同展示会」に出展すると集客に失敗しづらいでしょう。来場者にとっても、興味・関心のある分野の商品・サービスをまとめてチェックできるメリットがあるため、展示会への参加意欲が高まり、自社ブースへの訪問・購入検討につながりやすくなります。

5-2. 商材によっては魅力を伝えづらい
メタバース展示会では、来場者が実際に商品を手に取る、実際に使ってみる、といった物理的な体験は提供できません。そのため、AR技術を活用したり、商品の紹介動画を作成したり、より具体的なイメージを持ってもらえるようなバーチャルコンテンツを用意するといいでしょう。また、展示会場やブース内からサンプル請求ができる導線を整えるなど、オンラインとオフラインを繋ぐアイデアも重要となるでしょう。

5-3. PUSH型の営業がしづらい
メタバース展示会では、呼び込みやビラ配りなどができないため、出展者が来場者に向けて積極的にアプローチする「PUSH型」の営業がしづらいです。また、対面で相手の反応を見ながらプレゼンテーションすることも難しいため、どうしても相手からのアクションを待つ「PULL型」の営業スタイルになってしまう点がデメリットといえるでしょう。

5-4. サイト構築が難しい
リアルの展示会は自社でブース設計から運営までを行う企業も多いですが、メタバース展示会の準備には3DCGやメタバースに関する専門的な技術が必要になるため、一から内製化するのは困難といえるでしょう。その点、展示会やイベント利用に特化したメタバースプラットフォームを利用すれば、ブースデザインやチャット機能など、展示会に必要な基本的な機能は備わっているため、一から専用サイトを構築するような手間がかかりません。また、きちんとセキュリティ対策を講じているプラットフォームを選べば、安心して利用できます。すでに構築してある空間を活用する場合と、希望に合わせてカスタムできる場合があるので確認しましょう。

5-5. 安定したインターネット環境が必要
参加者側に安定したインターネット環境がない場合、スムーズにアバターが動かなかったり、会話が途切れたりするなどのトラブルが生じ、バーチャル展示会を満足に楽しめない可能性があります。

5-6. イベントとしての「一体感」「特別感」が生まれづらい
実際の展示会は、会場の装飾や雰囲気、会場までの移動なども含めて、イベントに来場するという特別感が生まれやすいです。一方、メタバース展示会の場合は、それらのすべてがWeb上で完結してしまうため、「一体感」や「特別感」が生まれづらいというデメリットがあります。

5-7. 退場されやすい
リアルの展示会は時間とコストを割いて来場するため、情報を持ち帰ろうとする熱意のある来場者が多いですが、メタバース展示会は1クリックで来場できるため、「退場されやすい」というデメリットがあります。来場者が興味を持てなかった場合、簡単に1クリックで離脱されてしまいます。来場者が必要な情報やサービスにすぐにアクセスできるか、直感的に操作できて動作もスムーズかなど、なるべくユーザーファーストで使いやすいプラットフォームを選びましょう。

6. メタバース展示会の活用事例

6-1. 「京セラレーザーコンセプト製品展示ブース」をVRChatに設置
出典:京セラ株式会社
ソーシャルVRVRChat」にて、京セラ株式会社の公式ワールドKyocera Laser Worldが公開されました。現在パブリックで公開されており、629日から72日にかけてはツアーイベントが実施されました。今回公開された「Kyocera Laser World」は、メタバース上の「京セラ レーザーコンセプト製品バーチャル展示ブース」として、開発中の京セラレーザー製品が展示されています。展示パリビリオンでは各製品を近づいて見るだけでなく、一部は手に取り、その場で光を発射することもできます。そして、本ワールドではレーザー光源の活用事例を紹介するライドアトラクションもあります。

6-2. 「OMRON Virtual Booth」をclusterに常設
出典:OMRON 公式サイト
オムロン株式会社はメタバースプラットフォーム「cluster」上で、バーチャル展示ブースを常時公開しています。ソーシャルニーズを創造し続けるオムロンの長期ビジョン「Shaping the Future 2030」や、コア技術「センシング&コントロール+Think」が実現する未来社会を紹介するバーチャル空間です。また、人と機械の融和を実現する卓球ロボット「フォルフェウス」とのラリーが体験できたり、フォルフェウスの技術進化の歴史を開発ストーリーとともに展示されていたり、さまざまなコンテンツが用意されています。

6-3. メタバースGAIA TOWNで開催された「START DX SUMMIT 2021」
出典:株式会社ガイアリンク
2021122日・3日の2日間、DXを「知り・学び・交流する」イベントが、メタバース「GAIA TOWN」で行われました。メタバース内では、DX関連の各企業ブースに行って担当者から話を聞くことができたり、ステージではDXの専門家による基調講演が聞くことができたり、リアルな展示会のように情報収集が可能。さらに、花火大会やビンゴゲーム、音楽ライブなどのエンターテイメント要素も加わり、フェスのようなムードも。業務DX化の各エキスパートの登壇や展示会もすべてバーチャルで完結したイベントです。

6-4. メタバースSpatialで開催された「Japan NFT expo in メタバース」
出典:合同会社未来創世塾
日本最大級のビジネス特化のNFT展示会が、アメリカSpatial社が提供しているメタバースツール「Spatial」にて、20221217日~2023115日の約1か月間開催されました。アートや投機だけではないNFTの社会利用の可能性を知る展示会として、開催期間中は24時間いつでもメタバース内でNFTプロジェクトを閲覧できます。メタバースを体験したことのない初心者のために、開催期間中はZOOMによるメタバース体験会のフォローアップや、各NFTプロジェクトを知ってもらうためのZOOMセミナーなども開催しました。

6-5. 環境省「VIRTUAL JAPAN PAVILION」をclusterで開催
出典:Virtual Japan Pavilion
環境省は、日本の環境技術力と地球環境に対する取組を発信する「ヴァーチャル・ジャパン・パビリオン -カーボンニュートラル社会に向けたイノベーション-」を2021年に開催しました。国内約30/団体の取組をバーチャル空間に展示し、脱炭素化イノベーションに取り組んでいる企業の技術や取組の現状の一端を確認できるバーチャル展示会です。参加者はアバターを使い、バーチャル空間に構築された会場内を自由に移動でき、会場内では参加者同士のコミュニケーションも可能です。

6-6. そのまま展示会を活用した「第2回 中央アジア・バーチャルEXPO」出典:SoVeC株式会社
2022117日から202234日の期間で開催された「第2回 中央アジア・バーチャルEXPO(CAVEX II)」は、バーチャルイベントプラットフォーム「そのまま展示会」を活用しました。ウェブブラウザでも体験できる最新のVR技術とハイクオリティCGを駆使したオンライン会場は、マウス操作で自由に移動が可能。中央アジア6カ国が参加し、バーチャル空間で多言語での対応を実現しました。各国の民族柄絨毯などをあしらった専用ブース内では、各国の情報が掲載された資料や写真、動画などを閲覧することができます。また、コミュニケーションツールとしてチャットや名刺交換、Q&Aなどの機能も充実しており、効果的な商談が可能。3DCGによる展示空間により、2Dと比較して来場者の滞在時間が約7倍と長期滞在が見込めるのだそう(自社実績比較)

6-7. ネクシビを活用した「釣りフェスティバル2022 オンライン」出典:釣りフェスティバル2022オンライン
「釣りフェスティバル」は、世界最先端の技術が生む釣り文化を国内外に発信する国内最大級のイベントで、コロナ禍の影響で2021年・2022年はオンラインで開催。特設サイトを設けて、出展社と新製品の情報を発信するとともに、会期中、パシフィコ横浜内に設けた特設ステージから多彩なプログラムをライブ配信しました。Web広告などで幅広い釣りファンにアプローチした集客を行い、日本全国はもちろん、世界90カ国以上から閲覧があり、来訪ユーザーは24万人以上、ページビュー数は270万回以上を数えました。

7. まとめ

今回は、展示会にメタバースを活用するメリットや活用する上での課題とともに、メタバース×展示会の活用事例をご紹介しました。メタバース展示会は、会場規模や参加地域を特定せず開催することができ、参加者のユーザーデータや行動ログが一元管理できることから、スムーズなマーケティング活動が可能です。新規顧客の獲得チャンスが大きく、革新的なプラットフォームとして今後ますます注目を集めていくでしょう。
トランスコスモスでは、BtoB/BtoC向けのメタバース展示会のプラットフォーム選定開発をはじめ、企画・コンサルティングから、集客、コミュニケーション支援、データ利活用までをワンストップでサポートしています。ぜひお気軽にトランスコスモスにご相談ください。

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