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クラウドコンピューティングと
社内の技術力が
コンタクトセンターを
大きく進化させる

トランスコスモスの
コンタクトセンター支援サービス

Vol.12

クラウドコンピューティング活用
[前編]





トランスコスモスが運営するコンタクトセンターでは、数年前から「クラウド化」が進められてきました。サーバーやシステムを自社内で保有するオンプレミスと呼ばれるスタイルから、大手ベンダーが提供するクラウドコンピューティングサービスの活用へ。その取り組みを先導してきたのが、高村祥文と北村康明です。コンタクトセンターにおけるクラウド活用とはどのようなものか。そして、それがもたらすメリットとは──。二人が語りました。

STAFF PROFILE
高村 祥文

高村 祥文

CX事業統括
デジタルカスタマーコミュニケーション総括
コミュニケーションプラットフォーム
推進本部
プラットフォーム部 クラウドサービス課
課長

STAFF PROFILE
北村 康明

北村 康明

CX事業統括
デジタルカスタマーコミュニケーション総括
コミュニケーションプラットフォーム
推進本部
プラットフォーム部 ITインテグレーション課 課長/セキュリティ対策室 室長

クラウド活用に
舵を切った理由とは

今回は、トランスコスモスのコンタクトセンターにおけるクラウドコンピューティング活用を牽引しているお二人に話をうかがっていきます。はじめに、クラウド活用がこれまでどのように進んできたかご説明ください。

高村トランスコスモスがクラウド活用を始めたのは2018年からです。はじめにトライしたのは、VPC(仮想プライベートクラウド)と呼ばれるサービスを使った社内サーバー、ネットワークのクラウド化でした。サーバーやネットワーク機器を自社内で保有する形態をオンプレミスと言いますが、まずはクローズドな環境でオンプレミスからクラウドへの移行のノウハウを蓄積していこうと考えたわけです。

その後、外部ネットワークにつながるクラウドサービスを導入し、さまざまな機能をクラウド上で活用できる仕組みを段階的に構築していきました。最近では、クラウド上で生成AIを活用する仕組みづくりにもチャレンジしています。クラウドサービスにはいくつかの種類がありますが、大手ベンダーが提供しているサービスはこれまでひと通り導入しています。

北村2018年当時、日本国内のコンタクトセンターはオンプレミスが主流で、クラウドを活用している事業者はほとんどいませんでした。コンタクトセンター業界では、他社に先駆けた導入だったと思います。

クラウドを活用することになった背景をお聞かせください。

北村大規模災害やシステム障害などへの対応力を高めること。それがクラウド導入を検討した第一の理由でした。それ以前にも、一つのサーバー上に複数の仮想サーバーを設定する「仮想基盤」といった仕組みをつくり、緊急時にシステムがダウンしないような工夫をしてきました。しかしオンプレミスの場合、大きな地震などが起きた際に、すべてのサーバー機能が使えなくなってしまうリスクがあります。その点クラウドであれば、クラウドサービスを提供するベンダー側がそういったリスクに対処してくれます。

クラウド活用の3つのメリット

緊急時にシステムがダウンするリスクを回避できることが、クラウドの大きなメリットということですね。それ以外のメリットについてもいくつかの視点でご説明いただければと思います。まず、お客様企業にとって、コンタクトセンターにクラウドが導入されることにはどのようなメリットがありますか。

高村スピード、コスト、柔軟性の3点が挙げられます。お客様企業からのご要望に対応する際、オンプレミスの場合は、サーバーを増強したり、システムを再構築したりする作業が発生するケースがあります。その作業には、検討するリードタイムを含めて、数週間から数カ月の時間がかかります。それに対してクラウドは、ウェブサイトからの操作だけでサーバーを増やしたり、機能を追加したりすることが可能です。そのスピード感がオンプレミスとの圧倒的な差と言えます。

またオンプレミスでは、サーバーやシステムを増強するに際して、数百万円から数千万円規模のイニシャルコストが発生します。一方、クラウドサービスの多くは利用に応じた従量課金制なので、オンプレミスのように初期費用がかかることもありません。

スピーディーに、かつコストをかけずにチャレンジできるクラウドの特性は、3つ目のメリットである柔軟性を実現します。例えば、コンタクトセンターの繁閑差に対応してサーバー容量を変えたり、チャットやメールなどのチャネルを試験的に運用してみたりすることがクラウドでは可能です。サーバーやシステムを増強したが結果的に必要がなかった。そんな場合でも、すぐにもとの設定に戻すことができます。

北村クラウドのコストメリットをお客様企業にご説明する際、私たちは「コスト削減」ではなく「コスト最適化」という表現を使うようにしています。クラウドを導入するにあたって大きなイニシャルコストはかかりませんが、月々のランニングコストはかかるので、長期的に利用すればどこかでオンプレミスの導入コストを超えることになるからです。

とはいえ、高村が説明したようにクラウドには柔軟性があるので、繁閑差などに応じて利用サービスを変えることができます。サービス利用を減らせばランニングコストは下がります。つまり、必要に応じてコストを最適にコントロールできるわけです。それがコスト面でのクラウドの大きなメリットと言えます。

緊急時に発揮された
クラウドの力

エンドユーザーにとってのメリットにはどのようなものがありますか。

高村お客様企業にとってのメリットである柔軟性は、エンドユーザーの皆さんにとってのメリットでもあります。コンタクトセンターを利用するにあたって、エンドユーザーが不便に感じていることがあれば、クラウドサービスの機能を増やしたり、クラウド上で新しい仕組みを開発したりして、その悩みを迅速に解決することができます。例えば、それまで電話だけだった問い合わせ窓口にメールやチャットを追加したりすることが、クラウドならスピーディーにできます。それによって、CX(顧客体験)を向上させることが可能になります。

北村もっとも、コンタクトセンターがオンプレミスによって運用されているか、クラウドが活用されているかは、エンドユーザーからは見えない部分です。バックエンドの仕組みを一切意識させずにCXを高めていくことが重要であると私たちは考えています。

コンタクトセンターの現場で働くオペレーターや管理者にとってのメリットはいかがでしょうか。

高村それもやはり、スピードと柔軟性ですね。現場で必要とされる機能を短時間で実装することが可能です。オペレーターにはエンドユーザーの対話の内容を記録する業務があるのですが、その際の入力ミスを防ぐツールなどは、まさに現場からの要望を受けてクラウド上でスピーディーに開発したものです。

北村ツール開発だけでなく、働き方の柔軟性という点でもクラウドは力を発揮します。クラウドはアクセス権限があればどこからでもアクセスできるので、在宅や遠隔地でオペレーター業務をこなすことも可能になります。リモートワークに対応できるだけでなく、災害で交通網が麻痺してしまった場合などでも、業務を継続させることができます。

そういったクラウドの力が最大に発揮されたのが、コロナ禍の時期でした。その時期にトランスコスモスでは、センター内での感染を防ぐために、出勤するオペレーター数を減らし、在宅ワークを推進しました。センターで罹患者が発生して、センター全体をいったん閉鎖しなければならないこともありました。それでもコンタクトセンター業務を滞りなく続けることができたのは、それ以前からクラウド活用を進めていたからです。

先ほど、クラウドには緊急時への対応力があるという話をしました。その力がまさにコロナ禍においていかされたわけです。今後、大きな災害がいつ発生するかわかりません。BCP(事業継続計画)的観点から見ても、クラウドの重要性は今後ますます高まっていくことになると思います。

クラウドが可能にする
国内外の拠点との連携

コロナ禍における業務継続は、クラウド活用の大きな成果の1つと言えそうですね。それ以外に、これまでの成果として挙げられる事例はありますか。

高村公共の経済対策窓口として、Internet回線しかない場所に500席規模のコンタクトセンターを短期で立ち上げなければならないことがありました。サーバー等の機器の調達などにかかる日数を考えると、これも、クラウドがなければ実現できなかった案件でした。およそ2週間でセンターを立ち上げ、すぐに実運営に入ることができました。

500席規模の窓口が必要になる案件の場合、各地にある複数のセンターを組み合わせて運営するケースが少なくありません。クラウドを活用すれば、国内のセンターだけでなく、海外拠点との連携も可能です。現在トランスコスモスには、アジアに41拠点、欧州に2拠点、北米・南米に1カ所、計44カ所の海外コンタクトセンター拠点があります。今後は、そういった海外拠点をワンプラットフォームでセンター業務を行うケースも増えてくると思います。まさに、クラウドが可能にする連携と言っていいと思います。

北村クラウドを活用した新しいチャネルの開発や、外部のサービスと連携した事例もたくさんあります。これも先に話に出たように、クラウドはイニシャルコストがあまりかかりません。それゆえに、いろいろサービスやソリューションを気軽に試してみることができます。トライアルを繰り返しながら、お客様企業やエンドユーザーのニーズにより適合すると考えられるサービスを採用し、活用していく。そんな取り組みを今日まで続けています。

クラウド活用のデメリットがあるとすれば、どのようなものが考えられるでしょうか。

高村クラウドサービスは日々アップデートされています。それによって私たちが活用できる機能が増えていくのは大きなメリットですが、常にそのアップデートをキャッチアップしていく必要があります。クラウドに関わる社内のエンジニアそれぞれがアンテナを張って、クラウドの最新情報を抑えておかなければならないこと。それがクラウド活用ではたいへんな点ですね。

北村クラウドサービスは外部のベンダーが提供しているものなので、サービス自体に不具合が生じた場合は、私たちシステム管理者からはどうしようもありません。オンプレミスでは社内での対処ができるようなケースでも、クラウドの場合は復旧を待つしかない。それが1つのデメリットと言えるかもしれません。もちろん、そのようなケースでもできるだけ業務がストップしないようなプラットフォームを私たちは設計しています。

もう1つは、セキュリティ面です。クラウドは機能上どこからでもアクセスができますし、アクセス後はクラウド上にあるデータをすべて見ることができます。ですから、誰がクラウドにアクセスできて、どのデータに誰がアクセスできるのかといった権限をユーザー側である私たちが厳密に設定しなければなりません。アクセスと情報閲覧の権限を厳格に管理し、情報漏洩などを徹底的に防ぐ体制をつくらなければならないこと。それもクラウド活用において注意しなければならないことです。私たちは、その点で万全のセキュリティ対策を実施しています。逆に言えば、そういったセキュリティ対策ができない場合、クラウド利用にはリスクがある。そう言っていいと思います。

※記載の内容・役職等などの情報はすべて取材(2024年7月)時点のものです。

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